JP2007286183A - フレネルレンズ、プリズムアレイ、背面投射型表示装置及び照明装置 - Google Patents

フレネルレンズ、プリズムアレイ、背面投射型表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】最低入射角度の比較的小さい光学系の光線をフレネルレンズに入射させる場合にも出射主光線に比較的近い角度で出射される迷光を抑制し、且つ、フレネルレンズ用の金型の加工やフレネルレンズの成型を比較的容易にする。
【解決手段】入射光を屈折面7aで屈折させ、屈折面7aからの屈折光を反射面7bで出射面側に反射するプリズム7を、入射面側に複数配列したフレネルレンズにおいて、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム7同士の屈折面7aと反射面7bとの間に間隔をあけた間隔調整面7dを設ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、光源から射出された光線を偏向するフレネルレンズ及びプリズムアレイと、フレネルレンズまたはプリズムアレイを用いた背面投射型表示装置及び照明装置とに関する。
光源から射出された光線を偏向する機能を持つ光学部品として、フレネルレンズやプリズムアレイが知られている。
フレネルレンズやプリズムアレイは、例えば背面投射型表示装置(リアプロジェクションディスプレイ)において、透過型スクリーンの構成要素として用いられている。背面投射型表示装置は、周知の通り、CRT,LCD素子,DLP(Digital Light Processing)素子またはレーザー等の映像光源から出射した映像光を拡大して透過型スクリーンに背面から投射し、透過型スクリーンの正面側から画像を見るようにしたものである。
また、フレネルレンズやプリズムアレイは、例えばターゲットに光を照射したり、スクリーンや壁に映像や光を投射する照明装置においても、光源から射出された光線を偏向するために用いられている。
フレネルレンズやプリズムアレイには、屈折型,反射型の2種類のものが存在する。屈折型は、図1に示すように、微小な三角形状のプリズム51を出射面側(光源とは反対側)に複数配列し(フレネルレンズでは同心円状に配列し、プリズムアレイでは縦横にマトリクス状に配列し)、プリズム51の出射面51aの屈折を利用して光線の角度を調整するものである。他方、反射型は、図2に示すように、微小な三角形状のプリズム52を入射面側(光源側)に複数配列し、その屈折面52aで屈折させた入射光を反射面52bで出射面側に反射することによって光線の角度を調整するものである。
屈折型のフレネルレンズやプリズムアレイには、入射光線の入射角(図1のα)が大きくなると入射面での反射による損失が大きくなり、透過率が落ちる特性というがある。したがって、一般的に、入射角が大きい場合には反射型のフレネルレンズまたはプリズムアレイが用いられる。しかし、反射型のフレネルレンズやプリズムアレイは、最低入射角がある程度大きくないと、プリズムの屈折面や出射面で反射した光線の一部がフレネルレンズ内部で反射や屈折を繰り返すことにより、図3に示すように迷光が発生する。特に主光線に近い角度でフレネルレンズやプリズムアレイから出射される迷光は主光線と切り分けることが難しいため、問題となっている。
このように、屈折型は光線の入射角度が大きい領域がある系では用いることができず、反射型は光線の入射角度が小さい領域がある系では用いることができないため、その間の領域でフレネルレンズやプリズムアレイを使用したい場合、屈折型,反射型のどちらも使うことができない。
従来、屈折型と全反射型の間の領域で使えるフレネルレンズとしては、例えば、入射面側に屈折面と反射面を併せ持つハイブリッドタイプのフレネルレンズが提案されていた(特許文献1)。
国際公開番号WO2002/027399のパンフレット
しかし、上記特許文献1に記載のハイブリッドタイプのフレネルレンズは、プリズム形状が複雑なため金型の加工が難しかったり、金型加工用バイトの先端角が小さいため加工時にチッピング等を起こし、加工成功率が低いという問題がある。また、入射面等の各面で発生した反射光の方向を意図的に調整していないため、この反射光がフレネルレンズ内部で反射や屈折を繰り返した後迷光として出射されることにより、背面投射型表示装置の場合には多重像(ゴースト)が発生して画質を劣化させる可能性がある。
本発明は、上述の点に鑑み、反射型フレネルレンズや反射型プリズムアレイを用いる背面投射型表示装置や照明装置において、光線の最低入射角度が比較的小さい場合でも迷光を抑制し、且つ、フレネルレンズやプリズムアレイを金型から製造する場合においては、金型の加工を比較的容易にすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るフレネルレンズは、入射光を屈折面で屈折させ、この屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列したフレネルレンズにおいて、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられた間隔調整面を有することを特徴とする。
この反射型のフレネルレンズによれば、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔をあけることにより、屈折面で一部反射した光線の進行方向をコントロールして、主光線に近い角度で迷光が出射されることを回避することができる。これにより、最低入射角度の比較的小さい光線が入射した場合にも、主光線に近い角度で出射される迷光を抑制することができる。
屈折面で一部反射した光線の進行方向は、間隔調整面の幅を調整することによって、或る程度任意にコントロールすることができる。そして、この間隔調整面の幅を調整することにより、屈折面の角度や反射面の角度を変えることなく、プリズムのピッチや高さを変更することができる。
そして、この間隔調整面の幅の調整によってピッチに対するプリズムの高さを低くすることにより、プリズムの金型の加工時の加工量を減らすことができるので、加工装置及び金型加工用バイトにかかる負担を軽減したり、加工時間を短縮したり、金型作成の成功率や仕上がりをよくすることができる。これにより、金型の加工が比較的容易になる。
さらに、このようにプリズムの高さを低くすることにより、金型の溝を浅くすることができるので、金型から複写金型を作ったり製品としてのフレネルレンズを作る際に、金型へのシリコンや樹脂の充填が容易になるとともに、離型時の抵抗を小さくすることができる。
次に、本発明に係るプリズムアレイは、入射光を屈折面で屈折させ、この屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側にマトリクス状に複数配列した反射型のプリズムアレイにおいて、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられた間隔調整面を有することを特徴とする。
この反射型のプリズムアレイによれば、前述の本発明に係るフレネルレンズについて説明したのと全く同様にして、最低入射角度の比較的小さい光学系に用いた場合にも迷光を抑制することができるとともにプリズムの金型の加工が比較的容易になる。
次に、本発明に係る背面投射型表示装置は、映像光を出射する映像光源と、この映像光が背面から投射される透過型スクリーンとを含む背面投射型表示装置において、この透過型スクリーンに、入射光を屈折面で屈折させ、この屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列したフレネルレンズ(または、こうしたプリズムを入射面側にマトリクス状に複数配列したプリズムアレイ)が用いられており、このフレネルレンズ(またはプリズムアレイ)は、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられていることを特徴とする。
この背面投射型表示装置は、前述の本発明に係るフレネルレンズまたはプリズムアレイを透過型スクリーンに用いたものであり、光線の最低入射角度が比較的小さい場合でも迷光を抑制することができるので、多重像(ゴースト)の発生を抑制することができる。また、フレネルレンズやプリズムアレイ用のプリズムの製造が比較的容易になる。
次に、本発明に係る照明装置は、光源と、この光源からの出射光をターゲットに照射するためのフレネルレンズ(またはプリズムアレイ)とを含む照明装置において、このフレネルレンズは、入射光を屈折面で屈折させ、この屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列しており、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている(または、このプリズムアレイは、入射光を屈折面で屈折させ、屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側にマトリクス状に複数配列しており、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている)ことを特徴とする。
この照明装置は、光源からの出射光を、前述の本発明に係るフレネルレンズまたはプリズムアレイによって偏向してターゲットに照射するようにしてものであり、入射角度の比較的小さい光線をフレネルレンズやプリズムアレイに入射させる場合にも、迷光を抑制することができるので、ターゲットに迷光が照射されることを抑制することができる。また、フレネルレンズやプリズムアレイ用のプリズムの製造が比較的容易になる。
本発明によれば、背面投射型表示装置,照明装置等のフレネルレンズやプリズムアレイを用いる装置において、最低入射角度の比較的小さい光学系の光線をフレネルレンズやプリズムアレイに入射させる場合にも主光線に近い角度で射出される迷光を抑制することができ、且つ、フレネルレンズやプリズムアレイ用の金型の加工や、フレネルレンズやプリズムアレイの成型が比較的容易になるという効果が得られる。
〔背面投射型表示装置への適用例〕
以下、本発明を図面を用いて具体的に説明する。最初に、本発明を適用した背面投射型表示装置(リアプロジェクションディスプレイ)について説明する。図4は、本発明を適用した背面投射型表示装置の光学系の概要を示す図である。映像光源1は、例えばCRT,LCD素子,DLP(Digital Light Processing)素子またはレーザーから成っており、図示しない映像信号処理系からの映像データに応じて駆動されて、映像光を出射する。
映像光源1から出射された映像光は、複数のレンズを組み合わせた投影レンズ2で拡大されて投影ミラー3に入射する。そして、投影ミラー3で反射・拡大されて透過型スクリーン4に背面から投射され、透過型スクリーン4から観測者に出射される。
透過型スクリーン4は、光源側(投影ミラー3の側)にフレネルレンズ5が設けられ、観測者側にレンチキュラーレンズ6が設けられた構造をしている。フレネルレンズ5は、光源から出射された放射状の光線を平行光化する機能を持つ。レンチキュラーレンズ6は、入射光を偏向させることによって視野角を広げる機能を持つ。
この透過型スクリーン4は、フレネルレンズ5の構造に特徴を有している。図5は、このフレネルレンズ5の構造を示す断面図である。フレネルレンズ5は、光の入射側(光源側)に微小なプリズム7を同心円状に複数配列した反射型のフレネルレンズである。プリズム7の形状は、フレネルレンズ5の全面に亘って、入射光を屈折させる屈折面(第一面)7aと、屈折面7aからの屈折光を出射側に向けて反射する反射面(第二面)7bと、反射面7bからの反射光を出射する出射面(第三面)7cとを有するとともに、隣り合うプリズム7同士の屈折面7aと反射面7bとの谷間に間隔をあけるための間隔調整面(第四面)7dを有している。
図6は、このような間隔調整面を設けたプリズムにおける反射光の進行方向(図6(b))を、通常の三角形状のプリズムの場合(図6(a))と対比して示す図である。
フレネルレンズに入射する映像光の角度はスクリーンの高さ位置(図4の上下方向の位置)によって異なっているが、通常の三角形状のプリズムでは、入射光線の角度によっては、入射面で反射した光線がフレネルレンズ内部で反射や屈折を繰り返すようになる。図6(a)には、プリズムの屈折面で一部反射した光線が、プリズムの谷間に当たって上下の二方向に反射する様子を示している。このうちの上方向に反射した光は、フレネルレンズ内部で反射や屈折を繰り返すことにより、図3に示したように、迷光となって主光線に近い角度でフレネルレンズから出射されてしまう。このような、主光線に近い角度の迷光は、主光線と切り分けることが難しく、且つ、観測者から見えやすいため、多重像(ゴースト)が発生して画質を劣化させる要因となる。
これに対し、間隔調整面を設けたプリズムでは、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔をあけることにより、屈折面や出射面で反射した光線の一部の進行方向をコントロールして、主光線に近い角度で迷光が出射されることを回避することができる。図6(b)には、図6(a)と同様に屈折面で反射した光線が、再度プリズムで反射されることなく、主光線に対して大きな角度がついたままフレネルレンズの下方向に抜ける様子を示している。
このように、このフレネルレンズ5によれば、最低入射角度の比較的小さい光学系の光線が入射した場合にも迷光を抑制することができる。したがって、図4の背面投射型表示装置では、投影ミラー3から比較的小さい入射角度で映像光を透過型スクリーン4に投射する場合にも、多重像(ゴースト)の発生を抑制することができる。
屈折面で一部反射した光線の進行方向は、この間隔調整面の幅を調整することによって、或る程度任意にコントロールすることができる。そして、間隔調整面の幅を調整することにより、屈折面の角度や反射面の角度を変えることなく、プリズムのピッチや高さを変更することができる。
図7は、間隔調整面の幅の調整によるプリズムのピッチや高さの変更の様子を例示する図である。図7(a)には、間隔調整面7dの厚みを変えることなくその幅を広くする(図の左側→右側)ことにより、プリズム7のピッチを広くした様子を示している。図7(b)には、間隔調整面7dを厚くする(図の左側→右側)ことにより、プリズム7の高さ(間隔調整面7dからプリズムの頂点までの高さ)を低くした様子を示している。
例えば図7(b)に示したようにプリズムの高さを低くすることにより、プリズムの金型の加工時の加工量を減らすことができるので、加工装置及び金型加工用バイトにかかる負担を軽減したり、加工時間を短縮したり、金型作成の成功率や仕上がりをよくすることができる。これにより、金型の加工が比較的容易になる。
さらに、このようにプリズムの高さを低くすることにより、金型の溝を浅くすることができるので、金型から複写金型を作ったり製品としてのフレネルレンズを作る際に、金型へのシリコンや樹脂の充填が容易になるとともに、離型時の抵抗を小さくすることができる。
次に、以上に説明したフレネルレンズ5の構造に対する望ましい変更例を幾つか挙げる。図8(a)には、間隔調整面7dに、面粗さを持たせる(微細な凹凸をつける)ことによってAG(アンチグレア)処理を施した例を示している。このようにAG処理を施すことにより、屈折面で一部反射した光線が間隔調整面7dに入射した場合にも、その光が拡散されて特定の方向に出射されなくなるので、ゴーストをより一層抑制することができるようになる。
図8(a)には間隔調整面7d自体にAG処理を施した例を示したが、間隔調整面7dの上にAG層(バインダの表面に、粒子を配置することにより、適度の面粗さを持たせた層)を形成してもよい。
あるいはまた、間隔調整面7dの上にAR(アンチリフレクション)層を形成してもよい。それにより、屈折面や出射面で反射した光線の一部が間隔調整面7dに入射した場合にも、間隔調整面7dでの反射量が少ないため、更なる迷光が発生することを抑制することができるようになる。さらに、AG層の機能とAR層の機能とを併有する層を間隔調整面7dの上に形成してもよい。
図8(b)は、間隔調整面7dを、平面ではなく曲率のついた凸状の面にした例を示している。このように間隔調整面7dを自由曲面にすることにより、屈折面や出射面で反射した光線の一部が間隔調整面7dに入射した場合にも、その光が散乱されて特定の方向に出射されにくくなるので、やはりゴーストをより一層抑制することができるようになる。
図9(a)には、プリズム7と基板8との間に拡散層9を設けた例を示している。迷光は一般に主光線よりも長い光路を走るので、このように拡散層を設けることにより、迷光を主光線よりも大きく拡散させることができる。これにより、迷光をより一層抑制することができるようになる。
図9(b)には、基板としてティント入り基板(黒色の透明樹脂基板)10を用いた例を示している。前述のように迷光は一般に主光線よりも長い光路を走るので、このようにティント入り基板を用いることにより、迷光を主光線よりも大きく減衰させることができる。これにより、迷光をより一層抑制することができるようになる。
図9(b)にはティント入り基板を用いた例を示したが、プリズムのほうにティント入りのものを用いるようにしたり、基板とプリズムの両方にティント入りのものを用いるようにしてもよい。
図10(b)には、プリズム7の形状を、屈折面7aと透過面7cとの間にさらに形状調整面(第五面)7eを有する多角形状にした例を示している。この形状調整面は、次の(1)〜(5)のように利用することができる。
(1)形状調整面の長さや角度を変えることにより、プリズムのピッチやプリズムの先端角にとらわれずに、出射面に対する屈折面や反射面の角度を任意に調整することができる。すなわち、この形状調整面を、プリズムの形状を調整する面として利用することにより、屈折面や反射面の設計の自由度が高くなる。
これにより、フレネルレンズへの光線の入射角が小さい場合にも、それに対応して屈折面の角度を調整する(屈折面で一部反射した光線が迷光にならないような角度に調整する)ことが容易になるので、迷光をより一層抑制することができるようになる。
また、反射面の角度を任意に調整することが容易になるので、フレネルレンズからの出射する光線の角度を任意に調整することができるようになる。
(2)形状調整面の長さや角度を変えることにより、屈折面や反射面の角度を変えることなく、プリズムのピッチやプリズムの高さを任意に設定することができる。
(3)一般に、反射型のフレネルレンズでは、光線の入射角が小さかったり、フレネルレンズ全体が傾いたりプリズムが傾いたりすると、入射光がプリズムの屈折面で屈折された後反射面に当たらないままフレネルレンズ内を抜けてしまうことがある。図10(a)にはこうした抜け光を例示している。
この光の抜けは、プリズムのピッチやプリズムの高さを調整することにより、反射面のうち実際に反射に利用する領域を狭め、マージンを持たせることにより防止することができるが、3角形状のプリズムの場合には設計の自由度が低いので容易ではない。これに対し、形状調整面を有する多角形状のプリズムでは、設計自由度が増え、よりマージンを持ったフレネルレンズの設計を行うことができるので、この光の抜けを防止することが容易になる。前出の図10(b)には、この光の抜けを防止するように設計した多角形状のプリズムの例を示している。
(4)プリズムに任意の角度の抜け勾配を持たせるように形状調整面の角度を設定することができるので、プリズムの金型の製作が容易になるとともに、この金型からの成型品の取り出しも容易になる。
(5)プリズム成型用の金型を加工する際には、その山の先端部分(成型品の谷の部分)が曲がってしまう問題が多々発生する。このような金型で成型したプリズムを用いたフレネルレンズには、プリズムの反射面の一部の角度がずれてしまったり、曲がった部分により光線がトラップされるため、反射光が迷光になったり、光線が妨げられて映像にスジが見えるので画質が劣化してしまうという問題がある。プリズムのピッチやプリズムの高さを調整することにより、反射面のうち実際に反射に利用する領域を狭める(角度がずれた領域を利用しない)ようにすれば、金型の山の先端部分が多少曲がっていても反射光に影響しないので、この迷光やスジを回避することができるが、3角形状のプリズムの場合には設計の自由度が低いので容易ではない。これに対し、形状調整面を有する多角形状のプリズムでは、設計自由度が増え、よりマージンを持ったフレネルレンズの設計を行うことができるので、金型の仕上がり具合が多少悪くても、この迷光やスジを回避して画質の劣化を防止することが容易になる。
図10(b)には形状調整面を平面にした例を示したが、間隔調整面について図8(a)に示したようなAG処理を、形状調整面に施してもよい。それにより、形状調整面に光線が入射した場合にも、その光が拡散されて特定の方向に出射されなくなるので、迷光をより一層抑制することができるようになる。
あるいはまた、形状調整面を、間隔調整面について図8(b)に示したように自由曲面にしてもよい。それにより、形状調整面に光線が入射した場合にも、その光が散乱されて特定の方向に出射されにくくなるので、やはり迷光をより一層抑制することができるようになる。
〔照明装置への適用例〕
次に、本発明を適用した照明装置について説明する。図11は、本発明を適用した照明装置の光学系の概要を示す図である。光源11はDPL素子,LCD,MEMS素子またはレーザースキャン等によって作られた映像光を出射するもの(あるいは、複数色の光源からの光,単色光源からの光,紫外線または赤外線を出射するもの)である。
光源11から出射された光は、複数のレンズを組み合わせた(あるいは単レンズから成る)投影レンズ12で拡大されて背面ミラー13に入射する。背面ミラー13は、1枚または複数枚の平面ミラーまたは非球面ミラーから成っており、入射光を折り返すことにより、狭いスペースで光路をかせいだり、入射光を任意の方向に偏向する役割を果たす。
背面ミラー13で反射された光は、フレネルレンズ14に入射し、フレネルレンズ14によって偏向されてターゲット15に照射される。なお、投影レンズ12や背面ミラー13は、場合によっては省略してもよい。
フレネルレンズ14は、図5に示したのと同じ構造の反射型フレネルレンズである(さらに、図8〜図10に変更例として示した構造を採用することがより望ましい)。したがって、このフレネルレンズ14は、前記同等の理由により、最低入射角度の比較的小さい光学系の光線が入射した場合でも、主光線に近い角度で出射される迷光を抑制することができるため、ターゲット15に迷光が照射されることを回避できる。また、前記同等の理由により、フレネルレンズ14用の金型の加工やフレネルレンズの成型が比較的容易になる。フレネルレンズ14を傷や埃等から保護する必要がある場合には、フレネルレンズ14の前にカバーレンズを設けてもよい。また、このカバーレンズに、フライアイレンズ,レンチキュラーレンズ,フレネルレンズ,プリズムアレイのような光学特性を持たせてもよい。
なお、以上に説明した背面投射型表示装置や照明装置では、光線を偏向するために反射型フレネルレンズを用いている。しかし、反射型フレネルレンズと同じく光線を偏向する機能を持つ光学部品である反射型プリズムアレイ(光の入射面側に微小なプリズムをマトリクス状に複数配列したもの)を背面投射型表示装置や照明装置に用い、その反射型プリズムアレイにおいて、図5に示したようにプリズムに間隔調整面を設ける(さらには、図8〜図10に変更例として示した構造を採用する)ようにしてもよい。
また、以上の例では、図5に示したように、プリズム自体に間隔調整面を設けているが、別の例として、こうした間隔調整面を設けていないプリズムを、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面との間に間隔をあけて基板に配列する(基板面に間隔調整面としての役割を持たせる)ようにしてもよい。
また、以上の例では、フレネルレンズの全面に亘ってプリズムに間隔調整面を設けているが、フレネルレンズの一部の領域(例えば入射角が特定の範囲内にある領域)だけでプリズムに間隔調整面を設けるようにしてもよい。
また、本発明に係るフレネルレンズやプリズムアレイは、背面投射型表示装置及び照明装置において用いるだけでなく、光線を偏向する必要のあるあらゆる場面で用いることができる。
屈折型のフレネルレンズの断面構造を示す図である。 反射型のフレネルレンズの断面構造を示す図である。 反射型のフレネルレンズにおける迷光の発生を示す図である。 本発明を適用した背面投射型表示装置の光学系を示す図である。 図4のフレネルレンズの構造を示す断面図である。 間隔調整面を有するプリズムでの反射光の進行方向を、通常の三角形状のプリズムの場合と対比して示す図である。 間隔調整面の調整によるプリズムのピッチや高さの変更の様子を例示する図である。 間隔調整面にアンチグレア処理を施した例及び曲率をつけた例を示す図である。 拡散層を設けたりティント入基板を用いた例を示す図である。 多角形状のプリズムによる抜け光の防止の様子を示す図である。 本発明を適用した照明装置の光学系を示す図である。
符号の説明
1 映像光源、 2 投影レンズ、 3投影ミラー、 4 透過型スクリーン、 5 フレネルレンズ、 6 レンチキュラーレンズ、 7 プリズム、 7a 屈折面、 7b 反射面、 7c出射面、 7d 間隔調整面、 7e 形状調整面、 8 基板、 9 拡散層、 10 ティント入り基板、 11 光源、 12 投影レンズ、 13 背面ミラー、 14 フレネルレンズ、 15 ターゲット

Claims (13)

  1. 入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列したフレネルレンズにおいて、
    少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられた間隔調整面を有する
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  2. 請求項1に記載のフレネルレンズにおいて、
    入射光を屈折させる屈折面と、屈折光を出射面側に反射させる反射面と、反射光を出射する出射面と、屈折面とプリズム付け根の間にさらに形状調整面として別の面を有する多角形状のプリズムが、隣り合うプリズム同士の前記形状調整面と反射面の付け根の間に間隔をあけて配列されて前記間隔調整面を有する
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  3. 請求項2に記載のフレネルレンズにおいて、
    前記形状調整面に曲率がついている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  4. 請求項2に記載のフレネルレンズにおいて、
    前記形状調整面にアンチグレア処理が施されている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  5. 請求項1に記載のフレネルレンズにおいて、
    前記間隔調整面に、アンチグレア処理か、アンチリフレクション処理か、アンチグレア処理とアンチリフレクション処理の機能とを併有する処理が施されている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  6. 請求項1に記載のフレネルレンズにおいて、
    前記間隔調整面に、曲率のついた面が形成されている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  7. 請求項1に記載のフレネルレンズにおいて、
    フレネルレンズの基板に拡散層が設けられている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  8. 請求項1に記載のフレネルレンズにおいて、
    プリズム,基板のどちらか一方、または両方が黒色の透明な材質から成っている
    ことを特徴とするフレネルレンズ。
  9. 入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側にマトリクス状に複数配列したプリズムアレイにおいて、
    少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられた間隔調整面を有する
    ことを特徴とするプリズムアレイ。
  10. 映像光を出射する映像光源と、前記映像光が背面から投射される透過型スクリーンとを含む背面投射型表示装置において、
    前記透過型スクリーンに、入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列したフレネルレンズが用いられており、
    前記フレネルレンズは、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている
    ことを特徴とする背面投射型表示装置。
  11. 映像光を出射する映像光源と、前記映像光が背面から投射される透過型スクリーンとを含む背面投射型表示装置において、
    前記透過型スクリーンに、入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側にマトリクス状に複数配列したプリズムアレイが用いられており、
    前記プリズムアレイは、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている
    ことを特徴とする背面投射型表示装置。
  12. 光源と、前記光源からの出射光をターゲットに照射するためのフレネルレンズとを含む照明装置において、
    前記フレネルレンズは、入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側に複数配列しており、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている
    ことを特徴とする照明装置。
  13. 光源と、前記光源からの出射光をターゲットに照射するためのプリズムアレイとを含む照明装置において、
    前記プリズムアレイは、入射光を屈折面で屈折させ、前記屈折面からの屈折光を反射面で出射面側に反射するプリズムを、入射面側にマトリクス状に複数配列しており、少なくとも一部の領域で、隣り合うプリズム同士の屈折面と反射面の付け根の間に間隔があけられている
    ことを特徴とする照明装置。
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