JP2005291800A - 温度管理媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る温度管理媒体は、氷点下の温度において凝固し、前記乳化液は昇温により特定温度以上で相分離する乳化液からなる温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親油性有機溶剤からなる。前記乳化液が高粘度をなす場合は必ずしも密封容器内に収納する必要はない。前記乳化液が液状をなす場合は密封容器内に収納する形態が好ましい。
【選択図】 図1
Description
(1)脂溶性色素を溶解した炭素数7〜15の高級アルコールの1種または2種以上を非イオン系界面活性剤および水によって乳化してなる乳化液を密封容器に充填してなる保存温度管理用インデイケーターが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる構成によれば、通常の温度条件下では、乳化液は外観上は色素の色調が抑えられ、不透明な乳白色を呈する。乳化液が氷結する温度以下にすると、一旦はそのまま全成分が凝固し、再び融解したとき、粗大化した乳化粒子は浮上し、色素の濃い色調を有した油滴または油層が上層へ浮上し、水層と油滴または油層とに分離される。よって、このような変化が認められたインデイケーターを含む包装内の物品は劣化している恐れがあるとして使用時に注意を促すことができる。
第一には、近年、環境ホルモンであることが知られてきている、非イオン性界面活性剤を使用することから、食品や医薬品などに貼付して用いる場合、その安全性を確保することが難しい。また、皮膚への付着や誤飲による体内への摂取が生じた場合には、健康を害する恐れがあることから芳しくない。
第二には、高級アルコールを用いているため、誤って漏洩した場合には、悪臭が発生することから、特に食品分野での使用は望ましくない。
第三には、有機キレート発色剤又は金属化合物を多孔質シート内を移動させてお互いに接触させ、反応させて不可逆的に発色させる方法においては固体である多孔質シートが必須構成のため、外力が加わった際にその構造が損なわれる恐れがあり、搬送中の物品に貼付する際にはその取り扱いに注意を要する。また、使用前に貼り合わせる必要があることから、取り扱いの自由度が狭い。
本発明の温度管理媒体は、前記乳化液を密封容器内に収納したものとすることができる。
また、前記親油性有機溶剤として、含塩素系有機溶剤、アルキル系有機溶剤もしくは芳香族炭化水素類等を使用することができる。
かかる構成の温度管理媒体とすれば、外部と遮断された空間を有する密封容器内に、雰囲気あるいは貼付された荷物の温度が、例えば氷点下にあるときには不透明な凝固した状態を維持する乳化液が配されており、氷点を越えて特定温度以上に昇温した際には乳化状態から相分離状態に変化し、不透明な油相と透明な水相に分かれる、いわゆる相分離を起こす。ゆえに、このような状態変化、すなわち油相と水相に区分された状態を検知することにより、この温度管理媒体を貼付した物品の保存温度が特定の温度を越えるような温度になったか否かの温度履歴を容易かつ確実に検知することができる。
本発明に係る温度管理媒体を構成するリン脂質を含む脂質混合物としては、他に卵黄レシチンが挙げられる。卵黄レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)の含有量が高いという特長を備えているので、成分分析がしやすいことから好ましい。
図1は、本発明に係る温度管理媒体の一例を示す模式的な断面図であり、図1(a)は例えば氷点下において凝固した乳化液1が密封容器2内に収納された状態を、図1(b)は氷点下において凝固していた乳化液が昇温により相分離した状態をそれぞれ表している。相分離によって体積の変動が生じてもその影響を受けないようにするために、例えば空気などの気体3を密封容器2内に封入しておいても構わない。なお、乳化液1が液状ではなく高粘度物状などの形態をなす場合には、密封容器2は必ずしも要しない。
水としては、如何なる水を用いても構わないが、後述するリン脂質を含む脂質混合物に対する影響を考慮すると、特にイオン交換水や蒸留水が好適である。
上述したTAG、DAG及びMAG以外の油脂としては、例えば、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジメチル、アセトフェノン、アセトチェノン、安息香酸ベンジル、安息香酸ブチル、安息香酸メチル、エチレングリコール、ウンデシルアルコール、1−ウンデシル−11−オール、ウンデシル酸、n −オクチルアルコール、オレインアルコール、オレイン酸、オレイン酸ブチルオレオパルミチン、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、カプロン酸ラウリル、ジエチレングリコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジフェニルエーテル、ジベンジルケトン、ジリノレイン、ジリノレニン、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸メチル、ステアロジオレイン、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸モノエチル、スベリン酸モノメチル、セバチン酸ブチル、デシルアルコール、トリエチレングリコール、トリラウリルアミン、n−ノニルアルコール、パルミチン酸アミル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸デシル、パルミチン酸ドデシル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジラウリル、フタル酸モノメチル、t−ブチルアルコール、プロピオフェノン、3,4−ヘキサンジオール、ベヘノール酸エチル、1,7−ヘペタン−ジオール、ペラルゴン酸、ベンジルアルコール、ベゾフェノン、ペンタデシルアルコール、ポリエチレングリコール、ミリスチルアルコール、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸メチル、メチルヘキシルケトン、モノラウリン酸グリコール、ラウリルアルコール、ラウリルアミン、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ドデシル、ラウリン酸フェニル、ラウリン酸メチル、リノール酸、リノレイルアルコール、リノレニン、リノレイン酸、リノレン酸、アズキ油、オリーブ油、アンズ核油、エンドウマメ油、オランダゼリ油、油、落花生油、ヤシ油、カボチャ種油、カラス麦油、ゴマ油、ツバキ油、ナタネ油、ヒマシ油、ホホバ油、綿実油などを挙げることができる。
上述した油脂は、0℃近傍またはそれ以下の融点をもち、15℃程度の雰囲気温度にて水と相分離する組合せであれば、単独(1種)で用いる以外に、2種以上の混合物を用いても構わない。
卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。また卵黄リン脂質はホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine :PC)70〜80%、ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine:PE)10〜15%、スフィンゴミエリン(Sphingomyelin :SPM)1〜3%、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine :LPC)1〜2%からなる。
塩素系有機溶剤としては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、トリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレン等が例示できる。また、アルキル系有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、灯油もしくはガソリン等が例示できる。さらに、芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼンやトルエン等が例示できる。
乳化液中にこれらの親油性有機溶剤を少量加えることにより、乳化液の凝固点が下がるので、相分離温度をより正確に制御することが可能となる。
水としてイオン交換水を使用し、油脂としてTAGを使用し、リン脂質を含む油脂混合物として大豆レシチンを使用し、さらに親油性有機溶剤としてトリクロロエチレンを使用して混合し、乳化液とした。先ず、水に対してリン脂質を含む脂質混合物を溶解させ、次いで油脂と親油性有機溶剤を徐々に加えながら、混練装置(特殊機化工業製、T.K.ロボミックス)に入れて、12000rpmで5分間、常温にて混練することにより乳化させた。
Claims (4)
- 温度により相分離する乳化液からなる温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親油性有機溶剤からなることを特徴とする温度管理媒体。
- 前記親油性有機溶剤が、含塩素系有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
- 前記親油性有機溶剤が、アルキル系有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
- 前記親油性有機溶剤が、芳香族炭化水素類であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
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