JP6077729B1 - 温度管理媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】分子量の高い油脂を含有した乳化物であっても常温において高い透明性が維持され、凝固後、所定温度に昇温すれば確実に水相と油相に分離する乳化物を利用した温度管理媒体を提供する。【解決手段】常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備え、この乳化物は、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤を含み、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対する水、多価アルコール、及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比が10〜50質量%である、温度管理媒体。【選択図】なし

Description

本発明は、物品が一旦、所定の温度域以下の雰囲気に曝され、その後、これより高い温度の雰囲気に曝された際に相分離を生じる温度管理媒体に関する。
冷凍状態あるいは冷蔵状態で配送される物品の増加に伴い、配送中における当該物品の温度管理が重要な課題となっている。特に、配送車への積み込みや配送時等に冷凍・冷蔵状態の物品を冷凍・冷蔵施設から取り出す際に物品の温度が所定温度以上に上昇する可能性がある。
このような、冷凍・冷蔵状態で配送されるべき物品の温度管理を容易に行うために、常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により融解し、相分離する温度管理媒体が使用されている。
特に、近年では、トリグリセライドのような比較的分子量の高い油脂を含有した乳化物を利用して温度管理媒体を作成する試みがなされている。しかしながら、上記温度管理媒体を構成する乳化物は、凝固する前と後とで共に白濁しているため、該乳化液の凝固の有無を目視で確認することは困難であった。この問題を解決するため、例えば下記特許文献1には、分子量の高い油脂を含有した乳化物に糖類を添加することにより、常温において白濁化が抑制され、透明性の高い温度管理媒体が記載されている。
また、乳化物の凝固点を所望の温度範囲に調節する物質として添加するとともに、分離温度に昇温された際に相分離するまでの時間を延長するために電荷中和剤をさらに添加した温度管理媒体が下記特許文献2に記載されている。
特開2009−210348号公報 特開2015−40792号公報
しかし、上記特許文献1記載の技術によれば、水100質量部に対して20質量部以上400質量部未満の糖類を乳化物に添加すれば、常温では透明度が増し、かつ凝固すれば透明度が低下する乳化物が得られる利点はあるものの、所定温度まで昇温したときに水相と油相に分離しない場合があるという問題があった。なお、後の説明の補足のために上記の質量部で表示した糖の量を質量%で表示すると、16.7質量%以上80質量%未満となる。また、上記特許文献2の技術によれば、常温で透明性の高い乳化物を得ることはできないという問題点があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、分子量の高い油脂を含有した乳化物であっても常温において高い透明性が維持され、凝固後、所定温度に昇温すれば確実に水相と油相に分離する乳化物を利用した温度管理媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、前記乳化物は、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤を含み、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対する水、多価アルコール、及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比が10〜50質量%であることを特徴とする。
上記電荷中和剤は、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、HPO 、HPO 2−、HCO のうち少なくとも一つのイオンを生成するイオン化合物であるのが好適である。
また、上記多価アルコールは、糖類及び/または糖アルコールであるのが好適である。
また、上記糖類は、単糖類及び二糖類からなる群から選ばれる1種または2種以上の糖類であるのが好適である。
また上記水、多価アルコール、及び電荷中和剤を含む水相における前記多価アルコールの濃度は、15〜80質量%であるのが好適である。
また、上記温度管理媒体は、色素および抗菌剤をさらに含むのが好適である。
また、上記乳化物を構成する、水、多価アルコール、及び電荷中和剤を含む水相と乳化剤及び油脂を含む油相との屈折率の差が、10Brix%以内であるのが好適である。
また、本発明の他の実施形態は、常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、前記乳化物は、水、油脂、乳化剤、糖アルコール及び電荷中和剤を含み、水、油脂、乳化剤、糖アルコール及び電荷中和剤の総量に対する水、糖アルコール及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比が10〜50質量%であるのが好適である。
また、上記糖アルコールは、グリセリンであるのが好適である。
本発明によれば、分子量の高い油脂を含有した乳化物であっても常温において高い透明性が維持され、凝固後、所定温度に昇温すれば確実に水相と油相に分離する温度管理媒体を実現できる。
実施例13にかかる温度管理媒体の状態の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる温度管理媒体は、常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えており、上記乳化物は、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤を含んでいる。上記多価アルコールとしては、例えば糖類及び/または糖アルコールが好適であり、これらを単独で、又は混合して使用することができる。また、上記乳化物は、常温において透明または半透明の外観を呈する。
上記乳化物における水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対する水、多価アルコール、及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比は10質量%以上50質量%以下であり、好ましくは20質量%以上45質量%以下である。水相比が10質量%未満の場合、液体の粘度が高くなり乳化が阻害されて乳化物を生成しにくくなる。また、水相比が50質量%を超えると粘度は低下するが、乳化物を凝固した状態から昇温しても分離しにくくなり、温度管理媒体として機能することが困難になる。
上記乳化物は、水が分散媒(連続相)をなして、油脂が分散相(不連続相)をなす水中油滴型(Oil in Water型:O/W型)エマルションであってもよく、または、油脂が分散媒(連続相)をなして、水が分散相(不連続相)をなす油中水滴型(Water in Oil型:W/O型)エマルションであってもよい。
乳化物を構成する水としては、特に限定されず、いかなる水でも用いられるが、乳化剤への影響を考慮すると、イオン交換水や蒸留水が好適に用いられる。
油脂としては、常温付近にて乳化剤(界面活性剤)を用いて水と多価アルコールと共に乳化物を構成するとともに、一旦所定温度、例えば−60〜20℃にて凝固(起動)された後、昇温により水相と油相とに相分離するものが挙げられる。このような油脂としては、例えばトリアシルグリセロール(TAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、モノアシルグリセロール(MAG)などの油脂を主成分とする食用油脂が挙げられる。本実施形態にかかる乳化物では、これらの油脂から選択される1種または2種以上が、目的とする温度管理媒体の起動温度(乳化物が凝固する温度)の範囲に応じて適宜用いられる。また、融点が0℃以上の油脂と、融点が0℃以下の油脂とを適宜の割合で混合して用いるか、あるいは、融点が0℃以上の油脂または融点が0℃以下の油脂のいずれか一方を適宜用いることにより、温度管理媒体の起動温度を所望の温度範囲に制御することができる。
また、油脂に脂肪酸エステルなどを混合することで、乳化物の粘性、流動性、融点などを調節することができる。またTAGなどの油脂を乳化物中に均一に分散させることができる。このような脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸アミル、ミリスチン酸ペンチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸ヘプチル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸t−ブチル、ミリスチン酸イソアミル、ミリスチン酸t−アミル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸ブチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸アミル、オレイン酸ペンチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸ヘプチル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸t−ブチル、オレイン酸イソアミル、オレイン酸t−アミル、オレイン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸t−ブチル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸t−アミル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、パルチミン酸ブチル、パルチミン酸イソプロピル、パルチミン酸メチル、パルチミン酸エチル、パルチミン酸プロピル、パルチミン酸アミル、パルチミン酸ペンチル、パルチミン酸ヘキシル、パルチミン酸ヘプチル、パルチミン酸イソブチル、パルチミン酸t−ブチル、パルチミン酸イソアミル、パルチミン酸t−アミル、パルチミン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸アミル、ラウリン酸ペンチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸ヘプチル、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸t−ブチル、ラウリン酸イソアミル、ラウリン酸t−アミル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、などが挙げられる。なお、乳化物の構成上、脂肪酸エステルは油脂に分類される。
また、乳化剤としては、リン脂質を含む脂質混合物が挙げられ、例えば、レシチンおよびリゾレシチンを主成分とするものを用いるのが好ましい。なお、レシチンとリゾレシチンの配合比、あるいは、後述する水溶性高分子の種類や配合量などを変えることでも、温度管理媒体の上記起動温度の範囲を制御することが可能である。
レシチンは、乳化物において、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。レシチンとしては、下記の一般式(1)で表される大豆レシチン、下記の一般式(5)〜(8)で表される卵黄リン脂質を含む卵黄レシチン、魚介類由来のレシチンなどが挙げられる。
Figure 0006077729
上記の一般式(1)中、R1、R2は飽和および不飽和炭化水素から構成される。また、Aは塩基を表している。例えば、Aが下記の式(2)で表される塩基の場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルコリン、Aが下記の式(3)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルエタノールアミン、Aが下記の式(4)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルイノシトール、Aが水素原子である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンは、ホスファチジン酸である。
Figure 0006077729
Figure 0006077729
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大豆レシチンは、上記の一般式(1)に示すように、2つの脂肪酸残基と、1つの塩基を有している。大豆レシチンは天然の乳化剤・界面活性剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。また、大豆レシチンは、大豆を抽出した大豆粗油を濾過後、約2%の温水を加え攪拌し、ガム状となって油相から分離したものを乾燥することにより得られる。さらに、大豆レシチンは、安価で大量供給が可能であり、精製度合いによって様々な状態で得ることができるという特徴を備えているので、使用条件によって種類を選択できる。
卵黄レシチンは、卵黄のリン脂質を原料とするレシチンである。鶏卵の卵黄は水分48%、蛋白質16%、脂質33%からなるが、この脂質中に30%含まれる成分がリン脂質である。また、卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。また、卵黄リン脂質は、上記の一般式(5)のホスファチジルコリン(Phosphayidylcholine)70〜80%、上記の一般式(6)のホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine)10〜15%、上記の一般式(7)のスフィンゴミエリン(Sphingomyeline)1〜3%、上記の一般式(8)のリゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine)1〜2%から構成されている。
リゾレシチンは、上記のようなレシチンと同様に、乳化物において、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。リゾレシチンとしては、上記の一般式(1)で表される大豆レシチン、上記の一般式(5)〜(8)で表されるレシチンなどをリゾ化して、レシチンから脂肪酸が1個取れた構造をなすものが挙げられる。ここで、リゾ化とは、酵素であるPhospholipaseA2を用いて、レシチンが持つグリセリン基の第二位の脂肪酸残基を脱離させることをいう。
また、リゾレシチンは、天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。
乳化物において、乳化剤として用いるリン脂質等を含む脂質混合物の配合量は、油脂100質量部に対して、0.1質量部以上、40質量部以下が好ましく、1質量部以上、20質量部以下がより好ましい。
乳化剤の配合量が、油脂100質量部に対して0.1質量部未満では、乳化し難い。一方、乳化剤の配合量が、油脂100質量部に対して40質量部を超えると、水に油脂および乳化剤が分散し難くなり、うまく乳化しない。
また、乳化剤としてレシチンとリゾレシチンとを用いる(併用する)場合は、レシチンとリゾレシチンの配合割合は、20:80(wt:wt)〜80:20(wt:wt)が好ましく、70:30(wt:wt)〜30:70(wt:wt)がより好ましい。
また、乳化物には、水との親和性が高い多価アルコールが含有されている。多価アルコールとしては、上述したように、糖類及び/または糖アルコールが好適である。糖類としては単糖類や、スクロース、マルトース、ラクトースなどの二糖類が好適である。また、糖アルコールは、糖類のカルボニル基が還元された多価アルコールであり、グリセリン、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ソルビトールなどが好適である。これらの内、特に単糖類が好ましく、例えば、フルクトース、グルコース、キシロース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシルロース、リブロースなどが挙げられる。また、糖アルコールとしては、入手の容易性等からグリセリンが好適である。なお、上記糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールの中から1つを選択して用いても良いし、複数を混合して用いてもよい。
一般に油脂や乳化剤等で構成される油相の屈折率は水相の屈折率より高いので、油相と水相の界面で光を反射し、乳化物の透明性は低くなる。この乳化物に、水相に分類される糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールを配合すると、水相の屈折率が高くなり、油相の屈折率に接近することにより乳化物の透明性を向上させることができる。この場合、水相と油相との屈折率の差が10Brix%以内となれば、良好な透明性を確保することができる。なお、上記電荷中和剤も水相の屈折率を高くする効果があるので、糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールと電荷中和剤の使用量を適宜調整することにより、乳化物の透明性を高く維持することができる。
糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールの配合量としては、水、多価アルコール、及び電荷中和剤で構成される水相中に15〜80質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールの配合量が、水相中に15質量%未満では、乳化物の水相の屈折率を油相の屈折率に十分に近接させることができず、該乳化物の透明性を増すことが困難である。一方、糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールの配合量が、水相中に80質量%以上であると、粘度が高くなって水に油脂および乳化剤が分散し難くなり、仮に分散したとしても油相と水相との屈折率の差が大きくなり、不透明となる。また、粘度を抑えるため水相比を上げると、所定温度まで昇温したときに水相と油相に分離しにくくなる。
本実施形態にかかる温度管理媒体を構成する乳化物は、さらに電荷中和剤として、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl-、HPO -、HPO 2-、HCO -のうち少なくとも一つのイオンを生成するイオン化合物が添加されているのが好適である。
電荷中和剤を添加することにより、乳化物を構成する乳化剤等の電荷を中和し、乳化物が凝固した状態から昇温する際に、油相と水相との分離性を向上させることができる。ここで、中和とは、乳化物中に分散しているミセルの電荷の強度(クーロン力)を、正負が反対の電荷により低減することをいう。ミセルの電荷の強度が低減すると、ミセルの安定性が適度に低減し、上記油相と水相との分離性を向上できる。
水、糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対する(水相における)電荷中和剤の濃度は、5質量%以下が好適である。5質量%を超えると、乳化物の透明性の調整が困難となるとともに、水相比が高くなりすぎ、上記油相と水相との分離性が低下する。
上記の通り、電荷中和剤のイオンの価数は1価と2価のものが挙げられているが、これらに限定されるものではない。なお、イオンの価数が高いほど、例えば1価のイオンよりも2価のイオンの方が電荷の中和能力が高く、油相と水相との分離性を向上しやすい。
また、乳化物には、その凝固点や粘度等を所望の範囲に調整するために、水溶性高分子を配合してもよい。水溶性高分子の種類、配合量などを変えることにより、乳化物の融点や凝固点(温度管理媒体の起動温度)、粘度等を所望の範囲に調整することができる。
このような水溶性高分子としては、例えばアルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ゼラチン、ポリアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンオキサイド、ポリオキシプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、イソブテン−無水マレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテルなどが挙げられる。水溶性高分子は、重合度が大きくなると粘性が高くなり、乳化が困難となる傾向にあることから、重量平均分子量100000以下のものを使用するのが好ましい。
また、上記乳化物には、色素(水溶性色素または油溶性色素)および抗菌剤を添加してもよい。
色素としては、食して無害な天然着色料が好ましく、例えばマリーゴールド、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)など、従来公知のものを用いることができる。このような色素を添加することで、同時に複数の乳化物を使用した際に、個々の、あるいはグループごとに乳化物を識別することができると共に、デザイン性の高い乳化物を提供することができる。
次に、本実施形態にかかる温度管理媒体を構成する乳化物の製造方法の一例を説明する。まず、油脂に乳化剤を溶解して油脂の混合液(油脂混合液)を調整する。なお、油脂を2種以上用いる場合、予めこれらを混合した後、この油脂の混合物に乳化剤を溶解する。また、油脂と乳化剤との混合割合は、上述したように、油脂100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の脂質混合物(乳化剤)を混合する。
次いで、糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールと電荷中和剤とを所定の濃度に調整した水溶液を攪拌しながら、これに上記油脂混合液を少しずつ加えて十分に撹拌し、油脂を水溶液中に微粒子状に分散させて、本実施形態にかかる温度管理媒体に利用される乳化物が得られる。なお、上述したように、糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコールは、水、多価アルコール、及び電荷中和剤で構成される水相中に15〜80質量%配合し、電荷中和剤は、水、多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対し5質量%以下の範囲となるように配合する。
また、上述したように、必要に応じて色素(水溶性色素または油溶性色素)や抗菌剤を水溶液に混入してもよい。
本実施形態にかかる温度管理媒体は、上記乳化物を少なくとも一部が透明の密閉容器内に収容した構造となっている。また、温度管理媒体は、例えば室温(20〜25℃)近傍にて乳化物が安定かつ均一な透明の液体であり、乳化物が所定温度、例えば−60〜20℃にて凝固して透明性が低減し、乳化物が再び所定温度を超える温度(乳化物を構成する油脂、乳化剤の融点を超える温度)まで昇温されることにより水相と油相に相分離し、一旦相分離したら二度と元の乳化物には戻らない(不可逆)ことを利用したものである。このように乳化物の透明性、不透明性および相分離した状態を、上記容器の透明部分から例えば目視やセンサにより光学的に識別することで、温度管理媒体が所定の温度で冷却されて起動したか否かを、また、この温度管理媒体が具備された荷物が設定した以上の高温に曝されたか否かを容易に判別することができる。
密閉容器としては、乳化物を収容する部分(空間)を有し、乳化物の油滴が凝固して透明性が低下した様子、及び水相と油相とが相分離した様子を光学的に確認できる透明な材質からなるものが好ましく、ガラスや透明プラスチック、あるいは食して無害な材料が好適に用いられる。食して無害な材料としては、例えば、ゼラチン、プルラン、オブラート、ガム、アメなどが挙げられる。その形態としては、例えば管状、板状、フィルム状、球状などが挙げられる。なお、乳化物の透明性が上昇し、あるいは低下(不透明)した様子、または相分離を確認するだけならば、密閉容器を、乳化物が相分離してなる水相と油相の境界付近のみ透明な材質とし、他は不透明な金属などからなる構成としてもよい。
特に、密閉容器として可撓性のフィルム状のものを用いた場合、荷物などの対象物の外形に沿って温度管理媒体を貼付することができるばかりでなく、温度管理媒体に外力が加えられた際に密閉容器自体が柔軟に変形してその影響を回避することができるので望ましい。
また、乳化物の相分離によって、密閉容器内に収容されている液体の体積が変動してもその影響を受けないようにするために、例えば、乳化物とともに空気や不活性ガスなどの気体を密閉容器内に封入しておいてもよい。
従来の温度管理媒体では、所定温度で冷却した際に、乳化物の凝固前と凝固後とではいずれの場合でも透明ではなかったので、凝固の有無を目視で判断することが難しかった。これに対し、本実施形態の温度管理媒体では、乳化物が凝固する前の透明性が高く、起動可能な低温環境に置かれると透明度が低下するので、低温環境に置かれたことが透明度の低下で確認できる。また、凝固(起動)した際の透明度の低下が大きいために、乳化物の凝固が目視で認識でき、簡便に、かつ確実に温度管理媒体が起動したか否かをすばやく判別することが可能となる。さらに、起動して不透明となった後、昇温すると分離温度より低い温度で再透明化する。これにより、分離温度が近づいていることを視認することができる。
更に本実施形態の乳化物は、人体に悪影響を及ぼすことのない、水、油脂、乳化剤を含む脂質混合物および糖類及び/または糖アルコール等の多価アルコール、電荷中和剤等から構成されている。このため、乳化物が皮膚、食品、薬品に付着し、その結果、乳化物が体内に入っても健康を害することはない。よって、本実施形態にかかる温度管理媒体は、食品や薬品などのパッケージに貼付あるいは塗布して用いても事故が発生するおそれがなく、安全性が極めて高い乳化物である。このため、本実施形態にかかる温度管理媒体は、従来使用するものが難しかった分野も含めて幅広い分野において活用可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の一つの例示であり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
トリアシルグリセロールとしてニッコールトリファットC−24(商品名、融点:20〜26℃、日光ケミカル社製)60gと、トリアシルグリセロールとしてココナードRK(商品名、融点:−5℃、花王社製)60gと、ステアリン酸ブチル(融点:20℃、炭素数20、関東化学社製)70gと、ミリスチン酸ブチル(融点:5℃、炭素数18、和光純薬工業社製)10gとマリーゴールド0.5gとを混合し、これらの混合液を調整した。次いで、この混合溶液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製)2gと、ペーストリゾレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製)15gを溶解して、色素を含んだ油脂混合液を調整した。
次に、糖類としてのフルクトース(関東化学社製)を60.0質量%、NaClを3質量%に調製した水溶液109.52gに色素として青色1号を0.1g加え、この色素を含んだ水溶液を攪拌しながら、上記油脂混合液217.76gを少しずつ加えた(水相比33.5質量%)。油脂混合液を全量加えた後、乳化機により4500rpmで5分間、室温にて、上記水溶液と油脂混合液の混合物を攪拌することにより乳化させた。また、この乳化物0.3g〜0.5g程度の量を20×20mmの透明なポリエチレン製軟包材に充填して密封し、実施例1の温度管理媒体とした。
<実施例2〜5、参考例>
フルクトースを57.5質量%、NaClを0.2、1.0、3.0、5.0質量%とした水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、それぞれ実施例2〜5の温度管理媒体とした。この場合、実施例2では、水溶液95.82g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比30.6質量%)。実施例3では、水溶液97.65g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比31.0質量%)。実施例4では、水溶液102.62g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比32.0質量%)。実施例5では、水溶液108.07g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比33.2質量%)。なお、参考例として、フルクトースを65.0質量%、NaClを5.0質量%とした水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、参考例の温度管理媒体とした。この場合、水溶液135.07g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.74g使用した(水相比38.3質量%)。
<比較例1、2>
乳化物中にNaClを添加せず、他は上記実施例1、2と同様にして水溶液と油脂混合液を準備した。水溶液102.47g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用(水相比32.0質量%)して比較例1とし、水溶液95.35g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用(水相比30.5質量%)して比較例2として、それぞれの温度管理媒体を製造した。
以上に記載した実施例1〜5、比較例1、2および参考例の各温度管理媒体の内容が表1に示される。なお、表1には、乳化物の水相比の計算結果も記載されている。また、表1には、各温度管理媒体の評価結果も示される。評価結果は、後述する手順で確認した分離、未分離の結果、および水相の屈折率(単位は Brix%)である。水相の屈折率は、ポケット糖度計APAL−J(アズワン株式会社製)で測定した。なお、同様にして、乳化物の油相の屈折率も測定したが、63.8Brix%であった。
分離、未分離については、次のように測定した。すなわち、製造した各温度管理媒体(常温(23℃程度))を3℃の環境で冷却し、常温で透明であった乳化物の油相を凍らせて(結晶化させて)不透明とし(起動)、次に以下の手順による勾配昇温を行って、乳化物が油相と水相とに分離するか否かを目視で観察した。勾配昇温とは、まず温度管理媒体を8℃の温度に5分間置いて温度管理媒体の温度をほぼ8℃とした後、3分ごとに0.1℃の昇温速度で(0.1℃/3分)環境の温度を13℃まで昇温し、分離温度を確認する手順である。この場合の分離温度とは、乳化物が油相と水相とに分離したときの環境の温度をいう。乳化物が分離した場合には、表1の該当欄に分離したときの温度(分離温度)が記載されており、分離しなかった場合には未分離と記載されている。
表1に示されるように、フルクトースの濃度およびNaCl濃度が高くなるのに応じて水相の屈折率が高くなることが分かる。すなわち、フルクトース濃度57.5質量%における屈折率は、NaCl濃度が0質量%(比較例2)のときに56.6Brix%であったものが、NaCl濃度が5.0(実施例5)のときに61.6Brix%まで上昇している。また、NaCl濃度が3.0質量%において、フルクトース濃度57.5質量%(実施例4)のときに59.6Brix%であったものが、フルクトース濃度60.0質量%のときに62.0Brix%まで上昇している。これはフルクトースおよびNaClの添加により水相の屈折率が増大するためと考えられる。この結果、油相の屈折率(63.8Brix%)と極めて近い値となり、透明度が向上する。
また、フルクトース濃度が57.5質量%の場合には、比較例の場合(NaCl濃度が0質量%)のときを含めて全て再昇温時に分離したが、フルクトース濃度を高くし、60.0質量%とすると分離性が低下して、NaCl濃度が3.0質量%(実施例1)のときには分離した(分離温度11.6〜12.0℃)が、NaCl濃度が0質量%(比較例1)のときには分離しなかった。さらに、参考例である、フルクトースを65.0質量%、NaClを5.0質量%とした乳化物では、NaCl濃度を5.0質量%まで上げても分離しなかった。これは、NaClが1価のイオンを生成する電荷中和剤であり、乳化物の分離性を向上させる能力が2価のイオンを生成する電荷中和剤より低いためと考えられる。
Figure 0006077729
<実施例6〜10>
2価のイオンを生成する電荷中和剤として所定濃度のCaClを使用し、フルクトースの濃度を65.0質量%、CaCl濃度を1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%に調製した水溶液(実施例6〜8)、およびフルクトースの濃度を70.0質量%、CaCl濃度を1.0質量%、3.0質量%に調製した水溶液(実施例9、10)を使用し、他は実施例1と同様にして乳化物を作製し、実施例6〜10の温度管理媒体とした。この場合、実施例6では、水溶液116.53g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.76g使用した(水相比34.9質量%)。実施例7では、水溶液125.24g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比36.5質量%)。実施例8では、水溶液135.08g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.74g使用した(水相比38.3質量%)。実施例9では、水溶液136.61g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比38.6質量%)。実施例10では、水溶液148.41g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用した(水相比40.5質量%)。なお、乳化物を作製する際に水溶液と油脂混合液とを混合するための乳化速度は3500rpmとした。
<比較例3、4>
乳化物中にNaClを添加せず、他は上記実施例6〜10と同様にして水溶液と油脂混合液を準備した。水溶液115.78g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.75g使用(水相比34.7質量%)して比較例3とし、水溶液132.07g(別に青色1号を0.1g)、油脂混合液217.74g使用(水相比37.8質量%)して比較例4として、それぞれの温度管理媒体を製造した。
以上に記載した実施例6〜10および比較例3、4の各温度管理媒体の内容、水相比および評価結果を表2に示す。なお、評価方法は、表1の場合と同様である。
表2において、フルクトース濃度65%および70%の場合、CaClの濃度が0質量%の場合(比較例3、4)を除き、実施例6〜10の全ての場合で再昇温時に乳化物が分離していることがわかる。以上の結果は、CaClが2価のイオン(Ca2+)を生成できるので、再昇温時の乳化物の分離性を向上させる能力がNaCl等の1価のイオンを生成する電荷中和剤より高いためと考えられる。
Figure 0006077729
<実施例11、12>
糖類(フルクトース)の代わりに糖アルコールであるグリセリンを使用した。グリセリンの濃度を69質量%、CaCl濃度を0.1質量%に調製した水溶液72.4gに青色1号を0.0239g加え、この色素を含んだ水溶液を攪拌しながら、実施例1と同じ油脂混合液217.75gを少しずつ加えた(水相比25.0質量%)。油脂混合液を全量加えた後、乳化機により2500rpmで4.5分間、室温にて、上記水溶液と油脂混合液の混合物を攪拌することにより乳化させた。また、この乳化物0.3g〜0.5g程度の量を20×20mmの透明なポリエチレン製軟包材に充填して密封し、実施例11、12の温度管理媒体とした。
以上に記載した実施例11、12の各温度管理媒体の内容、水相比および後述する評価結果を表3に示す。
Figure 0006077729
実施例11として、温度管理媒体を3℃の環境で冷却して起動し、その後実施例1と同様に勾配昇温したところ、10.9℃で乳化物が油相と水相への分離を開始した。なお、本試験は、温度管理媒体2点で行ったが、12時間以内にすべて起動し、昇温によりすべて分離した。
また、実施例12として、温度管理媒体を0℃の環境で冷却して起動し、その後実施例1と同様に勾配昇温したところ、10.45℃で乳化物が油相と水相への分離を開始した。なお、本試験は、温度管理媒体2点で行ったが、10時間以内にすべて起動し、昇温によりすべて分離した。
<実施例13>本発明の適用例
上記実施例1の、フルクトースを60.0質量%、NaClを3質量%に調製した水溶液を使用して作製した乳化物を透明なポリエチレン製軟包材に充填して密封した温度管理媒体を3℃の環境で冷却し、常温(23℃程度)で透明であった乳化物の油相を凍らせて(結晶化させて)不透明とし、次に実施例1と同様に勾配昇温した。
図1(a)、(b)、(c)には、この際の温度管理媒体10の状態が示される。図1(a)は密閉容器内11に収容された透明性が確保された乳化物12を、図1(b)は密閉容器内に収容された乳化物12中の油相(油滴)が3℃の環境で凝固し不透明となった乳化物を、図1(c)は乳化物が実施例1と同様に勾配昇温され、水相13と油相14に相分離した状態をそれぞれ表している。
図1(a)で、透明な密閉容器11の外側かつ図の裏側の面の対角線上に描かれた線が乳化物12を透して見えることから、この乳化物12の透明性が判別できる。また図1(b)では、上記線の大部分が消失している(見えない)ことから、乳化物が不透明になったことを容易に判別することができる。
図1(c)は乳化物11が分離して水相13と油相14に分離した状態を示している。
本実施例にかかる温度管理媒体10は、所定の温度に冷却して乳化物が凝固した際に、乳化物12の油滴が白く結晶化し、透明化性が失われるものである。この透明性の変化を利用して、目視あるいはセンサで乳化物12や水相13と油相14が分離したことを確認する際に、図1(a)、(b)または(c)に示すように、密閉容器11の裏側に識別記号や文字を配置してその下地の情報を読み取ることにより、乳化物12に凝固が生じたか否か、相分離が生じたか否かを正確に確認する事ができる。
10 温度管理媒体、11 密閉容器、12 乳化物、13 水相、14 油相。

Claims (9)

  1. 常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、
    前記乳化物は、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤を含み、水、油脂、乳化剤、多価アルコール、及び電荷中和剤の総量に対する水、多価アルコール、及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比が10〜50質量%である、温度管理媒体。
  2. 前記電荷中和剤は、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、HPO 、HPO 2−、HCO のうち少なくとも一つのイオンを生成するイオン化合物である、請求項1に記載の温度管理媒体。
  3. 前記多価アルコールが、糖類及び/または糖アルコールである、請求項1または2に記載の温度管理媒体。
  4. 前記糖類は、単糖類及び二糖類からなる群から選ばれる1種または2種以上の糖類である、請求項3に記載の温度管理媒体。
  5. 前記水、多価アルコール、及び電荷中和剤を含む水相における前記多価アルコールの濃度が15〜80質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の温度管理媒体。
  6. 色素および抗菌剤をさらに含む請求項1から5のいずれか一項に記載の温度管理媒体。
  7. 前記乳化物を構成する、水、多価アルコール、及び電荷中和剤を含む水相と乳化剤及び油脂を含む油相との屈折率の差が、10Brix%以内である、請求項1から6のいずれか一項に記載の温度管理媒体。
  8. 常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、
    前記乳化物は、水、油脂、乳化剤、糖アルコール及び電荷中和剤を含み、水、油脂、乳化剤、糖アルコール及び電荷中和剤の総量に対する水、糖アルコール及び電荷中和剤の合計量の割合である水相比が10〜50質量%である、温度管理媒体。
  9. 前記糖アルコールがグリセリンである、請求項8に記載の温度管理媒体。
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