JP2008304432A - 温度管理媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度が常温以上になったことを容易に判定することができ、かつ、所定温度にて乳化液を相分離させることができる温度管理媒体を提供する。
【解決手段】常温以上の所定温度にて液状で、かつ、常温まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により相分離する温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、常温で固体の油脂、および乳化剤を必須成分とすることを特徴とする温度管理媒体を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】常温以上の所定温度にて液状で、かつ、常温まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により相分離する温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、常温で固体の油脂、および乳化剤を必須成分とすることを特徴とする温度管理媒体を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、温度管理媒体に係り、より詳しくは、物品が常温以上の雰囲気に曝されたか否かという温度履歴を容易に確認することができる温度管理媒体に関する。
物質を保存あるいは保管する場合において、温度変化はその物質に対して様々な影響を与える。特に、通年で温度変化がある場所においては、外部の温度変化が常温保存品に対して与える影響は少なくない。例えば、医薬品などは、温度の上昇によって品質が劣化し、本来の機能を損なうことがある。また、アンモニア水などの一部の試薬は、温度の上昇にともなって容器内のNH3分圧が増大し、時として爆発する虞もある。特に、食品類に関しては、人の病原菌のほとんどが中温菌であり、最適増殖温度は30〜38℃であるため、これら食品の保存状態、特に温度の上昇に関するモニタリングは必要不可欠である。
その一方で、飲食物等を提供する際は、適正な温度にまで加熱することが重要となってくる。特にオーブンや電子レンジ等で加熱する際、ちょうど良い温度にまで加熱できたかどうかを外部から目視で判定するのは困難である。
その一方で、飲食物等を提供する際は、適正な温度にまで加熱することが重要となってくる。特にオーブンや電子レンジ等で加熱する際、ちょうど良い温度にまで加熱できたかどうかを外部から目視で判定するのは困難である。
従来の温度管理において、温度の上昇を簡便に確認する方法としては、以下に示すような方法が提案されている。
そのひとつの例として、例えば、示温インキがある。示温インキは、感温変色物質を配合したインキで、熱分解や結晶転移、分子配向性の変化、及び、分子間の電子の受け渡し等の原理を利用したものである。この示温インキは、食品や医薬品、化粧品などの容器のほかに、衣類や、工業用の温度測定にも用いられている。
そのひとつの例として、例えば、示温インキがある。示温インキは、感温変色物質を配合したインキで、熱分解や結晶転移、分子配向性の変化、及び、分子間の電子の受け渡し等の原理を利用したものである。この示温インキは、食品や医薬品、化粧品などの容器のほかに、衣類や、工業用の温度測定にも用いられている。
また、別の例としては、データロガーが挙げられる。データロガーは、搭載された多様なセンサにより、温度だけに限らず、湿度や振動、照度等も取り込んで、任意の時間ごとにデータを表示・記録でき、特に工業用に用いられている。
更に別の例として、特許文献1に、エマルションを利用した温度管理媒体が開示されている。この温度管理媒体において、エマルションは常温では液状で、所定温度まで冷却すると凝固する。次いで、昇温によりこのエマルションは融解して相分離し、温度履歴が残るようになっている。
特開2006−208217号公報
しかしながら、示温インキは価格が高く、また示温インキに用いる物質の安全性に難が見られる。また、データロガーに関しては、記録をなんらかに読み込まなければデータ化ができないために手間がかかり、また価格が高い等の問題点がある。そして、前記温度管理媒体では、利用可能な温度範囲が−60℃から20℃の範囲内という常温以下であるため、常温(20℃)以上の高温域で、温度履歴インジケーターとして使用することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、温度が常温以上になったことを容易に判定することができ、かつ、所定温度にて乳化液を相分離させることができる温度管理媒体を提供することを目的とする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、温度が常温以上になったことを容易に判定することができ、かつ、所定温度にて乳化液を相分離させることができる温度管理媒体を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る温度管理媒体は、常温以上の所定温度にて液状で、かつ、常温まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により相分離する温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、常温で固体の油脂、および乳化剤を必須成分とすることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る温度管理媒体は、請求項1において、前記油脂は、更に常温で液体の油脂を含有することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る温度管理媒体は、請求項1乃至3において、前記乳化剤は、リン脂質であることを特徴とする
本発明の温度管理媒体は、常温温度以上になったことを判定することができる。したがって、本発明の温度管理媒体によれば、飲食物の加熱具合のチェックや、常温保存品の保存状態を簡単に確認することができる。
以下、本発明を実施した温度管理媒体およびその製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る温度管理媒体の一実施形態を示す概略正面図であり、(a)は密閉容器に収容された乳化液を、(b)は密閉容器に収容された乳化液が水相と油層に層分離した状態をそれぞれ表している。
図1中、符号10は温度管理媒体、11は乳化液、12は密閉容器、13は水相、14は油相をそれぞれ示している。
図1中、符号10は温度管理媒体、11は乳化液、12は密閉容器、13は水相、14は油相をそれぞれ示している。
この実施形態の温度管理媒体10は、乳化液11と、密閉容器12から概略構成されており、乳化液11が密閉容器12内に収容され、この密閉容器12が密閉されてなるものである。
乳化液11は、水、常温で固体の油脂、および乳化剤から構成されるエマルションであり、これを常温以上の所定の温度まで昇温すると、相分離するものである。
この乳化液11は、水または常温で固体の油脂のいずれか一方が分散媒(連続相)をなし、他方が分散相(不連続相)をなしており、乳化剤が界面活性剤として機能し、水または常温で固体の油脂のいずれか一方が他方に微粒子状に分散している。また、乳化液11は、分散媒(連続相)が水で、分散相(不連続相)が常温で固体の油脂の場合、水中油滴型(Oil in Water型:O/W型)エマルションをなし、一方、分散媒(連続相)が常温で固体の油脂で、分散相(不連続相)が水の場合、油中水滴型(Water in Oil型:W/O型)エマルションをなす。
この乳化液11は、水または常温で固体の油脂のいずれか一方が分散媒(連続相)をなし、他方が分散相(不連続相)をなしており、乳化剤が界面活性剤として機能し、水または常温で固体の油脂のいずれか一方が他方に微粒子状に分散している。また、乳化液11は、分散媒(連続相)が水で、分散相(不連続相)が常温で固体の油脂の場合、水中油滴型(Oil in Water型:O/W型)エマルションをなし、一方、分散媒(連続相)が常温で固体の油脂で、分散相(不連続相)が水の場合、油中水滴型(Water in Oil型:W/O型)エマルションをなす。
また、乳化液11の分散層(不連続相)をなす油脂の微粒子の平均粒径は、5μm以上、30μm以下が好ましく、10μm以上、20μm以下がより好ましい。乳化液11の分散相(不連続相)をなす微粒子の平均径が5μm未満あるいは30μmを超えると、温度管理媒体10を常温まで冷却した後に加熱する温度履歴に曝した際の相分離能力が十分ではない。
乳化液11において、水と常温で固体の油脂の割合(水:油脂)は、目的とする温度管理媒体10の作動温度(常温にて凝固した乳化液が、再び融解する温度)範囲に応じて適宜調整されるが、5:95(wt:wt)〜95:5(wt:wt)が望ましく、10:90(wt:wt)〜60:40(wt:wt)が好ましく、20:80(wt:wt)〜30:70(wt:wt)が特に好ましい。
乳化液11を構成する水としては、特に限定されず、いかなる水でも用いられるが、乳化剤への影響を考慮すると、イオン交換水や蒸留水が好適に用いられる。
油脂としては、以下の2つものが好適である。
(1)常温で固体である油脂としては、融点が40℃以上のものが好ましく、かつ50〜60℃付近にて界面活性剤を用いて水と共に乳化液11を構成し、一旦、常温(約20℃)付近に曝された後、再び所定温度を超える温度に昇温すると、水と相分離するものがよい。このような常温で固体の油脂としては、水添パーム油、牛脂などが挙げられる。
(1)常温で固体である油脂としては、融点が40℃以上のものが好ましく、かつ50〜60℃付近にて界面活性剤を用いて水と共に乳化液11を構成し、一旦、常温(約20℃)付近に曝された後、再び所定温度を超える温度に昇温すると、水と相分離するものがよい。このような常温で固体の油脂としては、水添パーム油、牛脂などが挙げられる。
(2)常温で液体である油脂としては、融点が20℃以下のものが好ましく、かつ50〜60℃付近にて界面活性剤を用いて水と共に乳化液11を構成し、一旦、常温(20℃)付近に曝された後、再び所定温度を超える温度に昇温すると、水と相分離するものがよい。このような常温で液体の油脂としては、例えば、大豆油、ナタネ油などが挙げられる。
乳化液11では、これらの油脂から選択される1種または2種以上が、目的とする温度管理媒体の起動温度(乳化液11が常温で凝固した後に、融解する温度)範囲に応じて適宜用いられる。例えば、融点が40℃以上の常温で固体の油脂と融点が20℃以上の常温で液体の油脂とを適宜の割合で混合して用いるか、又は、融点が40℃以上の常温で固体の油脂または融点が20℃以上の常温で液体の油脂のいずれか一方を適宜用いることにより、温度管理媒体10の起動温度範囲を所望の温度範囲に制御することが出来る。
なお、本発明では、作動温度とは、20℃以上100℃以下の範囲の温度をいう。
なお、本発明では、作動温度とは、20℃以上100℃以下の範囲の温度をいう。
また、乳化剤としては、リン脂質を含む脂質混合物が挙げられ、例えば、レシチンおよびリゾレシチンを主成分とするものを用いるのが好ましい。
レシチンは、乳化液11において、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。レシチンとしては、下記の一般式(1)で表される大豆レシチン、下記の一般式(5)〜(8)で表される卵黄リン脂質を含む卵黄レシチン、魚介類由来のレシチンなどが挙げられる。
上記の一般式(1)中、R1、R2は飽和および不飽和炭化水素から構成される。また、Aは塩基を表している。
例えば、Aが下記の式(2)で表される塩基の場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルコリン、Bが下記の式(3)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルエタノールアミン、Aが下記の式(4)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルイノシトール、Aが水素原子である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンは、ホスファチジン酸である。
例えば、Aが下記の式(2)で表される塩基の場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルコリン、Bが下記の式(3)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルエタノールアミン、Aが下記の式(4)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルイノシトール、Aが水素原子である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンは、ホスファチジン酸である。
大豆レシチンは、上記の一般式(1)に示すように、2つの脂肪酸残基と、1つの塩基を有している。大豆レシチンは天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。また、大豆レシチンは、大豆を抽出した大豆粗油を濾過後、約2%の温水を加え攪拌し、ガム状となって油相から分離したものを乾燥することにより得られる。さらに、大豆レシチンは、安価で大量供給が可能であり、精製度合いによって様々な状態で得ることができるという特徴を備えているので、使用条件によって種類を選択できる。
卵黄レシチンは、鶏卵の卵黄は水分48%、蛋白質16%、脂質33%からなるが、この脂質中に30%含まれる成分がリン脂質である。また、卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。また、卵黄リン脂質は、上記の一般式(5)のホスファチジルコリン(Phosphayidylcholine)70〜80%、上記の一般式(6)のホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine)10〜15%、上記の一般式(7)のスフィンゴミエリン(Sphingomyeline)1〜3%、上記の一般式(8)のリゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine)1〜2%から構成されている。
リゾレシチンは、上記のようなレシチンと同様に、乳化液11において、水または食用油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。リゾレシチンとしては、上記の一般式(1)で表される大豆レシチン、上記の一般式(5)〜(8)で表されるレシチンなどをリゾ化して、レシチンから脂肪酸が1個取れた構造をなすものが挙げられる。ここで、リゾ化とは、酵素であるPhospholipaseA2を用いて、レシチンが持つグリセリン基の第二位の脂肪酸残基を脱離させることをいう。
また、リゾレシチンは、天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。
乳化液11において、乳化剤として用いるリン脂質等を含む脂質混合物の配合量は、油分100質量部に対して、0.1質量部以上、40質量部以下が好ましく、1質量部以上、20質量部以下がより好ましい。
乳化剤の配合量が、油分100質量部に対して、0.1質量部未満では、乳化し難い。一方、乳化剤の配合量が、油分100質量部に対して、40質量部を超えると、水に油分および乳化剤が分散し難くなり、うまく乳化しない。
乳化剤の配合量が、油分100質量部に対して、0.1質量部未満では、乳化し難い。一方、乳化剤の配合量が、油分100質量部に対して、40質量部を超えると、水に油分および乳化剤が分散し難くなり、うまく乳化しない。
また、乳化剤としてレシチンとリゾレシチンをもちいる場合は、レシチンとリゾレシチンの配合割合は、目的とする温度管理媒体12の起動温度範囲に応じて適宜調整されるが、20:80(wt:wt)〜80:20(wt:wt)が好ましく、70:30(wt:wt)〜30:70(wt:wt)がより好ましい。
また、乳化液11には、その凝固点を所望の温度範囲に調整するために、糖類や水溶性高分子を配合してもよい。糖類や水溶性高分子の種類、配合量などを変えることにより、乳化液11の融点及び凝固点を所望の温度範囲に調整することができる。
糖類としては、例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、マルトース、スクロース、ラクトース、セルビオースなどの二糖類、スタキオース、ラフィノースなどのオリゴ糖類、ペクチン、ガラクタン、デンプン、アミロース、プルラン、アラビアガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、カルボキシメチルキチンなどの多糖類が挙げられる。これらの中でも、融点および凝固点の調整の意味から、分子量の分かっている、単糖類や二糖類が望ましい。
水溶性高分子としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ゼラチン、ポリアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンオキサイド、ポリオキシプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、イソブテン−無水マレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテルなどが挙げられる。水溶性高分子は、重合度が大きくなると粘性が高くなり、乳化が困難となる傾向にあることから、重量平均分子量100,000以下のものを使用するのが好ましい。
密閉容器12としては、乳化液11を収容する部分(空間)を有し、乳化液11が相分離した様子を光学的に確認できる材質からなるものが好ましく、ガラスやプラスチック、あるいは食して無害な材料が好適に用いられる。食して無害な材料としては、例えば、プルラン、オブラート、ガム、アメなどが挙げられる。その形態としては、例えば管状、板状、フィルム状、球状などが挙げられる。なお、相分離を確認するだけならば、密閉容器12を、乳化液11が相分離してなる水相と油相の境界付近のみ透明な材質とし、他は不透明な金属などからなる構成としてもよい。
特に、密閉容器12として可撓性のフィルム状のものを用いた場合、荷物などの対象物の外形に沿って温度管理媒体10を貼付することができるばかりでなく、温度管理媒体10に外力が加えられた際に密閉容器12自体が柔軟に変形してその影響を回避することができるので望ましい。
また、乳化液11の相分離によって、密閉容器12内に収容されている液体の体積が変動してもその影響を受けないようにするために、例えば、乳化液11とともに空気や不活性ガスなどの気体を密閉容器12内に封入しておいてもよい。
この実施形態の温度管理媒体10は、保存温度以上になったことを判定することができ、相分離の温度は、対象物の保存温度を考慮して、常温で固体の油脂、常温で液体の油脂、乳化剤のそれぞれ種類、配合量を適宜調整することによりコントロールできる。したがって、この実施形態の温度管理媒体10によれば、対象物の温度上昇の履歴を、簡単に目的とする温度範囲内にて行うことができる。
また、本発明の温度管理媒体10の乳化液11は常温で固形状態であるので、密閉容器12などに内包することなく使用することもできる。例えば、対象物への塗布等である。
更に本発明の乳化液11は、人体に悪影響を及ぼすことのない、水、油脂、乳化剤を含む脂質混合物から構成されているから、乳化液11が皮膚、食品、薬品に付着し、その結果、乳化液11が体内に入っても、健康を害することはない。よって、温度管理媒体10は、食品や薬品などのパッケージに貼付あるいは塗布して用いても、事故が発生するおそれがないことから、安全性が極めて高い。よって、本発明は、従来使用するものが難しかった分野も含めて幅広い分野において活用可能である。
次に、この実施形態の温度管理媒体10の製造方法の一例を説明する。
まず、常温で固体である油脂および/または常温で液体である油脂とを混合し、これらの混合液を調整する。
この混合液を調整するときの温度は、常温で固体である油脂の融点以上の温度で調整することが好ましい。
次いで、この混合液に乳化剤を溶解して油脂の混合液(油脂混合液)を調整する。
次いで、攪拌しながら、水に油脂混合液を少しずつ加えて、油脂を水に微粒子状に分散させて、乳化液11を得る。
次いで、密閉容器12内に乳化液11を充填して、密閉容器12を密閉し、温度管理媒体10を得る。なお、この際、密閉容器12の乳化液11で満たされていない部分に、空気などの気体を封入してもよい。
まず、常温で固体である油脂および/または常温で液体である油脂とを混合し、これらの混合液を調整する。
この混合液を調整するときの温度は、常温で固体である油脂の融点以上の温度で調整することが好ましい。
次いで、この混合液に乳化剤を溶解して油脂の混合液(油脂混合液)を調整する。
次いで、攪拌しながら、水に油脂混合液を少しずつ加えて、油脂を水に微粒子状に分散させて、乳化液11を得る。
次いで、密閉容器12内に乳化液11を充填して、密閉容器12を密閉し、温度管理媒体10を得る。なお、この際、密閉容器12の乳化液11で満たされていない部分に、空気などの気体を封入してもよい。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
常温で固体である油脂としてニッコールトリファットP−52(商品名、融点約50℃、日光ケミカル社製)50gと、常温で液体である油脂として、ニッコールトリファットC−24(商品名、融点約24℃、日光ケミカル社製)100gとを60℃で溶解・混合し、これらの混合液を調整した。
次いで、この混合液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製)2g、ペーストレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製)15gを60℃で溶解して、油脂混合液を調整した。
次いで、水50gを50〜60℃にした後、50〜60℃の湯浴中で、攪拌しながら、水に油脂混合液167gを少しずつ加え、油脂混合液を全量加えた。
次に、50〜60℃の湯浴中で、乳化機により7000rpmで30分間、水と油脂混合液の混合物を攪拌することで乳化させ、乳化液を得た。
乳化後すぐに、この乳化液を透明フィルム製の容器に入れて密封して、温度管理媒体Aを作製した。
そして、この温度管理媒体Aを、20℃にて24時間以上放置して乳化液を使用可能な状態(固形〜半固形)に凝固させた。
その後、40℃に設定したオーブン内に温度管理媒体Aを入れ、40℃の雰囲気に曝したところ、10分程度で相分離が確認され、相分離による温度管理媒体Aの変色が見られた。
変色後、温度管理媒体Aを常温に戻しても、変色したままであり、温度上昇履歴を表示していた。
常温で固体である油脂としてニッコールトリファットP−52(商品名、融点約50℃、日光ケミカル社製)50gと、常温で液体である油脂として、ニッコールトリファットC−24(商品名、融点約24℃、日光ケミカル社製)100gとを60℃で溶解・混合し、これらの混合液を調整した。
次いで、この混合液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製)2g、ペーストレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製)15gを60℃で溶解して、油脂混合液を調整した。
次いで、水50gを50〜60℃にした後、50〜60℃の湯浴中で、攪拌しながら、水に油脂混合液167gを少しずつ加え、油脂混合液を全量加えた。
次に、50〜60℃の湯浴中で、乳化機により7000rpmで30分間、水と油脂混合液の混合物を攪拌することで乳化させ、乳化液を得た。
乳化後すぐに、この乳化液を透明フィルム製の容器に入れて密封して、温度管理媒体Aを作製した。
そして、この温度管理媒体Aを、20℃にて24時間以上放置して乳化液を使用可能な状態(固形〜半固形)に凝固させた。
その後、40℃に設定したオーブン内に温度管理媒体Aを入れ、40℃の雰囲気に曝したところ、10分程度で相分離が確認され、相分離による温度管理媒体Aの変色が見られた。
変色後、温度管理媒体Aを常温に戻しても、変色したままであり、温度上昇履歴を表示していた。
「実施例2」
常温で固体である油脂としてニッコールトリファットP−52(商品名、融点約50℃、日光ケミカル社製)75gと、常温で液体である油脂として、ニッコールトリファットC−24(商品名、融点約24℃、日光ケミカル社製)75gとを60℃で溶解・混合し、これらの混合液を調整した。
次いで、この混合液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製)2g、ペーストレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製)15gを60℃で溶解して、油脂混合液を調整した。
次に、水50gを50〜60℃にした後、50〜60℃の湯浴中で、攪拌しながら、水に油脂混合液167gを少しずつ加え、油脂混合液を全量加えた。
次に、50〜60℃の湯浴中で、乳化機により7000rpmで30分間、水と油脂混合液の混合物を攪拌することで乳化させ、乳化液を得た。
乳化後すぐに、この乳化液を透明フィルム製の容器に入れて密封し、温度管理媒体Bを作製した。
そして、この温度管理媒体Bを、20℃にて24時間以上放置して乳化液を使用可能な状態(固形〜半固形)に凝固させた。
その後、43℃に設定したオーブン内に温度管理媒体Bを入れ、43℃の雰囲気に曝したところ、10分程度で相分離が確認され、相分離による温度管理媒体Bの変色が見られた。
変色後、温度管理媒体Bを常温に戻しても、変色したままであり、温度上昇履歴を表示していた。
常温で固体である油脂としてニッコールトリファットP−52(商品名、融点約50℃、日光ケミカル社製)75gと、常温で液体である油脂として、ニッコールトリファットC−24(商品名、融点約24℃、日光ケミカル社製)75gとを60℃で溶解・混合し、これらの混合液を調整した。
次いで、この混合液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製)2g、ペーストレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製)15gを60℃で溶解して、油脂混合液を調整した。
次に、水50gを50〜60℃にした後、50〜60℃の湯浴中で、攪拌しながら、水に油脂混合液167gを少しずつ加え、油脂混合液を全量加えた。
次に、50〜60℃の湯浴中で、乳化機により7000rpmで30分間、水と油脂混合液の混合物を攪拌することで乳化させ、乳化液を得た。
乳化後すぐに、この乳化液を透明フィルム製の容器に入れて密封し、温度管理媒体Bを作製した。
そして、この温度管理媒体Bを、20℃にて24時間以上放置して乳化液を使用可能な状態(固形〜半固形)に凝固させた。
その後、43℃に設定したオーブン内に温度管理媒体Bを入れ、43℃の雰囲気に曝したところ、10分程度で相分離が確認され、相分離による温度管理媒体Bの変色が見られた。
変色後、温度管理媒体Bを常温に戻しても、変色したままであり、温度上昇履歴を表示していた。
実施例1および実施例2から、本発明の温度管理媒体は、温度が常温(20℃)より高くなると、相分離による温度管理媒体の変色が見られる。この温度管理媒体の変色は、その後常温に戻しても変化しないので、温度上昇の履歴として表示される。
また、油脂混合比を変えることで、温度管理媒体が変色する温度を変えることが出来る。
また、油脂混合比を変えることで、温度管理媒体が変色する温度を変えることが出来る。
本発明の温度管理媒体は、常温である20℃以上から100℃までの温度の上昇履歴を確認できることから、常温保存の食品や薬品などの保管状態の管理に利用できるほか、飲食物の加熱状態(電子レンジ等での加熱具合や、再加熱調理における加熱具合)、を容易に確認することに利用することができる。
10 温度管理媒体、11 乳化液、12 密閉容器、13 水相、14 油相。
Claims (3)
- 常温以上の所定温度にて液状で、かつ、常温まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により相分離する温度管理媒体であって、
前記乳化液は、水、常温で固体の油脂、および乳化剤を必須成分とすることを特徴とする温度管理媒体。 - 前記油脂は、更に常温で液体の油脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の温度管理媒体。
- 前記乳化剤は、リン脂質であることを特徴とする請求項1〜2に記載の温度管理媒体。
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---|---|---|---|
JP2007154284A JP2008304432A (ja) | 2007-06-11 | 2007-06-11 | 温度管理媒体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2007
- 2007-06-11 JP JP2007154284A patent/JP2008304432A/ja active Pending
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