JP2019132706A - 温度管理媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】人間及び動物の体温を適切に管理でき、安全性が向上した温度管理媒体を提供する。【解決手段】常温にて半凝固した状態で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物12を備えた温度管理媒体10であって、乳化物12は、水、油脂、乳化剤を含み、油脂は常温より高い第一の温度に融点を有する第一の油脂と第一の温度よりも低い温度に融点を有する第二の油脂とからなる、温度管理媒体。【選択図】図3

Description

本発明は、物品が一旦、所定の温度域以下の雰囲気に曝され、その後、これより高い温度の雰囲気に曝された際に相分離を生じる温度管理媒体に関する。
乳幼児、高齢者、傷病者および動物の発熱時の体温を測定するには体温計が用いられるが、その値は計測時の体温であり、過去に突発的な発熱があっても検知することは不可能である。また、ある程度の人数の体温や所定数の家畜の体温など、体温測定対象が複数のときに、異常体温の個体を簡単に見分けるためには多くの労力を必要とする。
これまでに冷凍・冷蔵状態で配送されるべき物品の温度管理を容易に行うために、常温にて液状で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固する乳化液を備え、該凝固した乳化液は昇温により融解し、相分離する温度管理媒体が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
また、幼児の体温を測定するために、感温性液晶を用いて平熱から40℃までを表示可能とした感温性液晶体を用いた体温計が知られている(例えば、特許文献2および3を参照)。
国際公開第2016/152788号パンフレット 実開昭57−8543号公報 実開昭55−150337号公報
しかしながら、上述した特許文献1記載の技術による温度管理媒体は物品の冷蔵保存状態の管理を目的としたものであって、その乳化物が相分離する分離温度の設定は11℃から25℃くらいであって、人間あるいは動物の体温の状態を測定するためには用いることができなかった。
また特許文献2または3には、温度感受性液晶を用いた体温計が開示されているが、使用されている媒体が液晶であるため、万一容器が破損すれば、幼児の皮膚に悪影響を与える恐れもあり、また誤飲すればより深刻な症状を引き起こす恐れもある。
このように従来知られている温度管理媒体あるいはそれを用いた感温計にはそれぞれの特徴はあるものの、体温計としての適用温度範囲、及び安全性の観点から、さらなる改良が望ましいといえる。従来、このような問題を解決した温度測定用媒体あるいは温度管理用媒体は知られておらず、その実現が望まれていた。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、人間及び動物の体温を適切に管理でき、安全性が向上した温度管理媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、常温にて半凝固した状態で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から分離温度以上に昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、前記乳化物は、水、油脂、乳化剤を含み、前記油脂は常温より高い第一の温度に融点を有する第一の油脂と、前記第一の油脂と混合されて、前記第一の温度より低い第二の温度に融点を有する混合油脂を形成する第二の油脂とを含み、前記第一の油脂と第二の油脂との混合比が15:85〜95:5であることを特徴とする。
上記半凝固した状態の乳化物は、25℃における粘度が1000〜8000mPa・sであるのが好適である。
上記第一の油脂は、ミリスチン酸ミリスチルであり、前記第二の油脂は脂肪酸エステルから選択される一種以上の油脂であるのが好適である。
ここで、上記脂肪酸エステルから選択される油脂はトリアシルグリセロールであるのが好適である。
また、上記分離温度は32℃から41℃であるのが好適である。
本発明によれば、人間及び動物の体温を適切に管理でき、安全性が向上した温度管理媒体が実現できる。
実施例にかかる温度管理媒体において、ミリスチン酸ミリスチル(MM)の質量分率と分離温度との関係を示す図である。 ミリスチン酸ミリスチルとココナードRKまたはトリファットC−24との混合油の融点とミリスチン酸ミリスチルの質量分率との関係を示す図である。 実施例にかかる温度管理媒体の状態の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる温度管理媒体は、常温にて半凝固した状態で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えており、上記乳化物は、水、油脂、乳化剤を含み、上記油脂は常温(25℃)より高い第一の温度に融点を有する第一の油脂と、第一の油脂と混合されて、上記第一の温度より低い第二の温度に融点を有する混合油脂を形成する第二の油脂とを含み、上記第一の油脂と第二の油脂との混合比が15:85〜95:5であるものである。
ここで、半凝固とは、固体と液体が共存した固液共存状態をいい、上記第一の油脂が固化したものと液状である上記第二の油脂及び水並びに液体または固体の乳化剤とが混合された状態である。半凝固した状態の乳化物は、25℃における粘度が1000〜8000mPa・sの範囲となる。
上記乳化物における水、油脂、乳化剤の総量に対する水の割合である水相比は10質量%以上50質量%以下であり、好ましくは15質量%以上25質量%以下である。水相比が10未満の場合、液体の粘度が高くなり乳化が阻害されて乳化物を生成しにくくなる。また、水相比が50質量%を超えると粘度は低下するが、水相の一部が乳化液から分離する。
上記乳化物は、水が分散媒(連続相)をなして、油脂が分散相(不連続相)をなす水中油滴型(Oil in Water型:O/W型)エマルションであってもよく、または、油脂が分散媒(連続相)をなして、水が分散相(不連続相)をなす油中水滴型(Water in Oil型:W/O型)エマルションであってもよい。
乳化物を構成する水としては、特に限定されず、いかなる水でも用いられるが、乳化剤への影響を考慮すると、イオン交換水や蒸留水が好適に用いられる。
上記第一の油脂としては、ミリスチン酸ミリスチル(融点41〜45℃)、パルミチン酸セチル(融点45〜50℃)、ステアリン酸ステアリル(融点56〜66℃)、アラキジン酸メチル(融点45〜48℃)などの脂肪酸エステルが挙げられる。これらは、いずれも常温(25℃)より高い融点を有する。なお、乳化物の構成上、脂肪酸エステルは油脂に分類される。
また、上記第二の油脂としては、上記第一の油脂と混合でき、上記第一の温度よりも低い第2の温度に融点を有する混合油脂を形成できるものであって、例えばトリアシルグリセロール(TAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、モノアシルグリセロール(MAG)などの油脂を主成分とする食用油脂、凝固時に針状結晶または板状結晶を形成する脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記第一の油脂と第二の油脂とを、混合比が15:85〜95:5となるように混合した混合物(混合油脂)は、常温付近にて乳化剤(界面活性剤)を用いて水と乳化物を構成するとともに、一旦所定温度、例えば−25〜25℃にて凝固(起動)された後、昇温により水相と油相とに相分離する。本実施形態にかかる乳化物では、上記第一の油脂と第二の油脂との混合比を、上記範囲で変化させることにより、目的とする温度管理媒体の起動温度(乳化物が凝固する温度)及び相分離する温度(分離温度)を適宜制御することができる。分離温度としては、人間及び動物の体温の管理を目的とする場合、例えば32〜41℃の範囲とすることができる。
また、乳化剤としては、リン脂質を含む脂質混合物が挙げられ、例えば、レシチンおよびリゾレシチンを主成分とするものを用いるのが好ましい。なお、レシチンとリゾレシチンの配合比、あるいは、後述する水溶性高分子の種類や配合量などを変えることでも、温度管理媒体の上記起動温度の範囲を制御することが可能である。
レシチンは、乳化物において、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。レシチンとしては、下記の一般式(1)で表される大豆レシチン、下記の一般式(5)〜(8)で表される卵黄リン脂質を含む卵黄レシチン、魚介類由来のレシチンなどが挙げられる。
Figure 2019132706
上記の一般式(1)中、R1、R2は飽和および不飽和炭化水素から構成される。また、Aは塩基を表している。例えば、Aが下記の式(2)で表される塩基の場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルコリン、Aが下記の式(3)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルエタノールアミン、Aが下記の式(4)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルイノシトール、Aが水素原子である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンは、ホスファチジン酸である。
Figure 2019132706
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大豆レシチンは、上記の一般式(1)に示すように、2つの脂肪酸残基と、1つの塩基を有している。大豆レシチンは天然の乳化剤・界面活性剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。また、大豆レシチンは、大豆を抽出した大豆粗油を濾過後、約2%の温水を加え攪拌し、ガム状となって油相から分離したものを乾燥することにより得られる。さらに、大豆レシチンは、安価で大量供給が可能であり、精製度合いによって様々な状態で得ることができるという特徴を備えているので、使用条件によって種類を選択できる。
卵黄レシチンは、卵黄のリン脂質を原料とするレシチンである。鶏卵の卵黄は水分48%、蛋白質16%、脂質33%からなるが、この脂質中に30%含まれる成分がリン脂質である。また、卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。また、卵黄リン脂質は、上記の一般式(5)のホスファチジルコリン(Phosphayidylcholine)70〜80%、上記の一般式(6)のホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine)10〜15%、上記の一般式(7)のスフィンゴミエリン(Sphingomyeline)1〜3%、上記の一般式(8)のリゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine)1〜2%から構成されている。
リゾレシチンは、上記のようなレシチンと同様に、乳化物において、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させるための界面活性剤として機能する。リゾレシチンとしては、上記の一般式(1)で表される大豆レシチン、上記の一般式(5)〜(7)で表されるレシチンなどをリゾ化して、レシチンから脂肪酸が1個取れた構造をなすものが挙げられる。ここで、リゾ化とは、酵素であるPhospholipaseA2を用いて、レシチンが持つグリセリン基の第二位の脂肪酸残基を脱離させることをいう。
また、リゾレシチンは、天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。
乳化物において、乳化剤として用いるリン脂質等を含む脂質混合物の配合量は、油脂100質量部に対して、0.1質量部以上、40質量部以下が好ましく、1質量部以上、20質量部以下がより好ましい。
乳化剤の配合量が、油脂100質量部に対して0.1質量部未満では、乳化し難い。一方、乳化剤の配合量が、油脂100質量部に対して40質量部を超えると、水に油脂および乳化剤が分散し難くなり、うまく乳化しない。
また、乳化剤としてレシチンとリゾレシチンとを用いる(併用する)場合は、レシチンとリゾレシチンの配合割合は、20:80(wt:wt)〜80:20(wt:wt)が好ましく、70:30(wt:wt)〜30:70(wt:wt)がより好ましい。
また、乳化物には、その凝固点や粘度等を所望の範囲に調整するために、水溶性高分子を配合してもよい。水溶性高分子の種類、配合量などを変えることにより、乳化物の融点や凝固点(温度管理媒体の起動温度)、粘度等を所望の範囲に調整することができる。
このような水溶性高分子としては、例えばアルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ゼラチン、ポリアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンオキサイド、ポリオキシプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、イソブテン−無水マレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテルなどが挙げられる。水溶性高分子は、重合度が大きくなると粘性が高くなり、乳化が困難となる傾向にあることから、重量平均分子量100000以下のものを使用するのが好ましい。
また、上記乳化物には、色素(水溶性色素または油溶性色素)および抗菌剤を添加してもよい。
色素としては、食して無害な天然着色料が好ましく、例えばマリーゴールド、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)など、従来公知のものを用いることができる。このような色素を添加することで、同時に複数の乳化物を使用した際に、個々の、あるいはグループごとに乳化物を識別することができると共に、デザイン性の高い乳化物を提供することができる。
次に、本実施形態にかかる温度管理媒体を構成する乳化物の製造方法の一例を説明する。まず、第一の油脂と第二の油脂とを混合した後、この油脂の混合物(混合油脂)に乳化剤を溶解して油脂の混合液(油脂混合液)を調整する。また、油脂と乳化剤との混合割合は、上述したように、油脂100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の脂質混合物(乳化剤)を混合する。ここで油脂として常温(25℃)より高い温度に融点を有する第一の油脂と第一の油脂と混合されて、上記第一の温度より低い第二の温度に融点を有する混合油脂を形成する第二の油脂を選択して混合するが、上記第一の油脂と第二の油脂との混合比が15:85〜95:5であることが好適である。前記第一の油脂が15質量%より少ない状態で乳化物を作製した場合、当初目的とした所定温度よりも低い温度で相分離を開始する現象が生じる。これは低温にしても油脂の一部が凝固せず、壊れた乳化膜から油脂が流出することが原因であると推測される。なお、第一の油脂が95質量%を超えた場合にも本発明の温度管理媒体を構成する乳化物として機能できるが、非常に結晶化しやすく、製造時の温度管理が困難になるので、第一の油脂の好ましい混合比の上限を95質量%としている。
次いで、水を攪拌しながら、これに上記油脂混合液を少しずつ加えて十分に撹拌し、油脂を水中に微粒子状に分散させて、本実施形態にかかる温度管理媒体に利用される乳化物が得られる。
また、上述したように、必要に応じて色素(水溶性色素または油溶性色素)や抗菌剤を水溶液に混入してもよい。
本実施形態にかかる温度管理媒体は、上記乳化物を少なくとも一部が透明の密閉容器内に収容した構造となっている。また、温度管理媒体は、例えば常温(25℃)近傍にて乳化物が安定な半凝固した状態であり、乳化物が所定温度、例えば−25〜20℃にて乳化物の油滴が凝固(結晶化)した後、乳化物が再び分離温度以上の温度(乳化物を構成する油脂の融点を超える温度)まで昇温されることにより水相と油相に相分離し、一旦相分離したら二度と元の乳化物には戻らない(不可逆)ことを利用したものである。このように乳化物が均一か相分離した状態かを、上記容器の透明部分から例えば目視やセンサにより光学的に識別することで、温度管理媒体が所定の温度で冷却されて起動したか否かを、また、この温度管理媒体を貼付した対象の体温が設定された以上の高温に上昇したか否かを容易に判別することができる。
密閉容器としては、乳化物を収容する部分(空間)を有し、乳化物の水相と油相とが相分離した様子を光学的に確認できる透明な材質からなるものが好ましく、ガラスや透明プラスチック、あるいは食して無害な材料が好適に用いられる。食して無害な材料としては、例えば、ゼラチン、プルラン、オブラート、ガム、アメなどが挙げられる。その形態としては、例えば管状、板状、フィルム状、球状などが挙げられる。なお、乳化物の相分離を確認するだけならば、密閉容器を、乳化物が相分離してなる水相と油相の境界付近のみ透明な材質とし、他は不透明な金属などからなる構成としてもよい。
特に、密閉容器として可撓性のフィルム状のものを用いた場合、対象の形に沿って温度管理媒体を貼付することができるばかりでなく、温度管理媒体に外力が加えられた際に密閉容器自体が柔軟に変形してその影響を回避することができるので望ましい。
また、乳化物の相分離によって、密閉容器内に収容されている液体の体積が変動してもその影響を受けないようにするために、例えば、乳化物とともに空気や不活性ガスなどの気体を密閉容器内に封入しておいてもよい。
以上に述べた温度管理媒体は、人間の体温の範囲内において相分離することが好ましいが、用途に応じて家畜の体温の範囲内に設定することも可能である。
更に本実施形態の乳化物は、人体に悪影響を及ぼすことのない、水、油脂、乳化剤を含む脂質混合物等から構成されている。このため、乳化物が皮膚、食品、薬品に付着し、その結果、乳化物が体内に入っても健康を害することはない。よって、本実施形態にかかる温度管理媒体は、人間や動物の身体へ貼付あるいは塗布して用いても事故が発生するおそれがなく、安全性が極めて高い乳化物である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の一つの例示であり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
第二の油脂であるトリアシルグリセロールとしてココナードRK(商品名、凝固点:7℃、花王社製、以後RKということがある)48.09gと、第一の油脂であるミリスチン酸ミリスチル(融点:41〜43℃、炭素数28、日光ケミカル社製、以後MMということがある)151.91gとマリーゴールド0.5gとを混合し、これらの混合液を調製した。次いで、この混合液に、粉レシチン(商品名;SLP−ホワイト、辻製油社製、レシチン:リゾレシチンは96:4)2gと、ペーストリゾレシチン(商品名;SLP−ペーストリゾ、辻製油社製、レシチン:リゾレシチンは53:47)15gを溶解して、色素を含んだ油脂混合液を調製した。
次に、水48gに色素として青色1号を0.1g加え、この色素を含んだ水溶液を攪拌しながら、上記油脂混合液217.5gを少しずつ加えた。油脂混合液を全量加えた後、乳化機により4500rpmで5分間、室温にて、上記水溶液と油脂混合液の混合物を攪拌することにより乳化させた。また、この乳化物0.3g〜0.5g程度の量を20×20mmの透明なポリエチレン製軟包材に充填して密封し、実施例1の温度管理媒体とした。
<実施例2、3、4>
ココナードRKを86.43g、ミリスチン酸ミリスチルを113.57gとした油脂混合液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、実施例2の温度管理媒体とした。ココナードRKを112.77g、ミリスチン酸ミリスチルを87.23gとした油脂混合液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、実施例3の温度管理媒体とした。ココナードRKを150.00g、ミリスチン酸ミリスチルを50.00gとした油脂混合液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、実施例4の温度管理媒体とした。
<比較例1>
ココナードRKを175.00g、ミリスチン酸ミリスチルを25.00gとした油脂混合液を使用した以外は実施例1と同様にして乳化物を作製し、比較例1の温度管理媒体とした。
<実施例5>
第二の油脂としてココナードRKの代わりにニッコールトリファットC−24(商品名、融点:22〜26℃、日光ケミカル社製)を使用した以外は実施例3と同様にして乳化物を作製し、実施例5の温度管理媒体とした。
分離温度については、次のように測定した。すなわち、製造した各温度管理媒体(常温(25℃程度))を1〜5℃の環境で冷却し、乳化物の油相を凝固(結晶化)させた(起動)後、30℃に昇温し、そこから3分ごとに0.1℃の昇温速度で勾配昇温を行って、乳化物が油相と水相とに分離する温度を目視で観察した。実施例1〜4、比較例1の結果を表1に示す。また実施例1〜4におけるMMの質量分率と分離温度との関係を図1に示す。また、実施例5の結果を表2に示す。
なお、表1に示された粘度については、次のように測定した。すなわち、製造した各温度管理媒体を常温(25℃程度))で一晩放置した後、東機産業株式会社製TVC−7形粘度計を用いて2回測定し、平均をとった。
表1及び図1に示されるように、第二の油脂としてココナードRKを使用した場合、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率が高くなるのに応じて分離温度が高くなることが分かる。すなわち、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率が0.25のときに分離温度が32.0℃、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率が0.44のときに分離温度が35.5℃、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率が0.57のときに分離温度が37.5℃、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率が0.76のときに分離温度が39.6℃となっている。これは、ミリスチン酸ミリスチルの増加にともなう油脂混合液の融点上昇のためと考えられる。
なお、図1に示されるように、分離温度は近似式1で表現され、これを用いることで目的の分離温度に自由に調整することが可能である。
Figure 2019132706
ここでTは分離温度、WMMはミリスチン酸ミリスチルの質量分率である。
また、表2に示されるように、第二の油脂としてトリファットC−24を使用した場合でも、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率を0.44としたときに分離温度が35.4℃となり、ココナードRKを使用した場合に近い分離温度の温度管理媒体となっている。
図2には、ミリスチン酸ミリスチル(MM)の質量分率と混合油脂の融点との関係が示される。ここで、混合油脂は、MMとココナードRK(RK)とを混合した混合油脂、及びMMとトリファットC−24(C−24)とを混合した混合油脂であり、図2には、この両方の混合油脂の融点TpmとMMの質量分率との関係が示されている。図2から、ミリスチン酸ミリスチルにココナードRKまたはトリファットC−24を混合した混合油脂の融点Tpmの変化は、ほぼ同じであることがわかる。このことから、上述したように、第二の油脂としてココナードRKを使用した場合(実施例1〜4)の乳化物とトリファットC−24を使用した場合(実施例5)の乳化物とでは、分離温度がほぼ同じ値になる。このため、第二の油脂としてココナードRKとトリファットC−24のいずれを使用した場合でも、第一の油脂と第2の油脂との混合比により、分離温度の調整が可能となることがわかる。
なお、図2において、ミリスチン酸ミリスチルとココナードRKまたはトリファットC−24との混合油脂の融点Tpmは、株式会社日立ハイテクサイエンス製X−DSC7000を用いて測定した。
また、ミリスチン酸ミリスチルの質量分率0.13(比較例1)では、1℃の環境で冷却中に、乳化物が油相と水相への分離を開始した。これは、ミリスチン酸ミリスチルの量が少ないため、混合油の凝固が不十分となり、結晶化によるミセルの破壊とともに混合油が外に流れ出たためと考えられる。
Figure 2019132706
Figure 2019132706
<実施例6>本発明の適用例
上記実施例1の乳化物を透明なポリエチレン製軟包材に充填して密封した温度管理媒体を3℃の環境で冷却し、次に実施例1と同様に勾配昇温した。
図3(a)、(b)には、この際の温度管理媒体10の状態が示される。図3(a)は密閉容器内11に収容された乳化物12が1〜5℃の環境で冷却して凝固(起動)した状態を、(b)は乳化物が実施例1の分離温度の測定と同様に勾配昇温され、水相13と油相14に相分離した状態をそれぞれ表している。
本実施例にかかる温度管理媒体10は、所定の温度に冷却して乳化物が凝固した際に、乳化物12の油滴が結晶化することで乳化膜を破壊し、次に温度上昇によって油滴が融解することで水相13と油相14に分離する解乳化を利用したものである。この解乳化による変化を利用して、目視あるいはセンサで乳化物12や水相13と油相14が分離したことを観察し、所定の温度を超えたか否かを正確に確認する事ができる。
10 温度管理媒体、11 密閉容器、12 乳化物、13 水相、14 油相。

Claims (5)

  1. 常温にて半凝固した状態で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固し、該凝固した状態から分離温度以上に昇温することにより融解して相分離する乳化物を備えた温度管理媒体であって、
    前記乳化物は、水、油脂、乳化剤を含み、前記油脂は常温より高い第一の温度に融点を有する第一の油脂と、前記第一の油脂と混合されて、前記第一の温度より低い第二の温度に融点を有する混合油脂を形成する第二の油脂とを含み、
    前記第一の油脂と第二の油脂との混合比が15:85〜95:5であることを特徴とする温度管理媒体。
  2. 前記半凝固した状態の乳化物は、25℃における粘度が1000〜8000mPa・sである、請求項1に記載の温度管理媒体。
  3. 前記第一の油脂はミリスチン酸ミリスチルであり、前記第二の油脂は脂肪酸エステルから選択される一種以上の油脂である請求項1または請求項2に記載の温度管理媒体。
  4. 前記脂肪酸エステルから選択される油脂はトリアシルグリセロールである請求項3に記載の温度管理媒体。
  5. 前記分離温度は32℃から41℃である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の温度管理媒体。

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