JP2004085299A - 温度履歴表示体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、対象物に貼り付け、対象物が管理温度外の環境に曝された場合、不可逆的な変化を生じる温度履歴表示媒体で、かつ工業生産が容易なものを供給する。
【解決手段】本発明では、支持体上に特定温度にゾル−ゲル転移点を有する組成物を含み部分的に画像として形成された層と粘着層が形成され、その上に透明な保護層が形成されたことを特徴とする温度履歴表示体を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、支持体上に特定温度にゾル−ゲル転移点を有する組成物を含み部分的に画像として形成された層と粘着層が形成され、その上に透明な保護層が形成されたことを特徴とする温度履歴表示体を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の温度に曝された場合に不可逆的な変化が生じることにより、温度履歴を表示することができる温度履歴表示体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術や冷蔵技術の発展に伴って多くの低温保存食品が長期間にわたって、その品質や安全性を保つことができるようになってきた。また、低温輸送技術の発達と普及により、色々な種類の低温保存食品が製品化されてきている。
【0003】
一方、近年食品の安全性が一段と大きな問題となってきている。毎年生物要因によって、罹病する人の数は1万人程度であり、食品の取り扱いが改善されているにもかかわらず、年々増加の傾向にある。この要因は、細菌に対する抵抗力の弱い人が増大していること、即ち、過度な減菌等により、菌に対する免疫力の低下、あるいは添加物を使用しない社会的傾向によるものと考えられる。細菌による事故は細菌数と密接な関係があり、一般的には食品1g当たり105以下であれば、健康な人には発症はしないと考えられている。細菌の分裂は適温、水分、養分の3つが必要条件である。このうちの1つでも欠如すると分裂は抑止される。そこで細菌の分裂を抑え、細菌数を抑止するために、低温(細菌は一般に3℃以下では分裂は起こらない。)や塩乾等の方法が採られてきた。
【0004】
食品の味に影響を与えず、添加薬品の不要な細菌分裂抑止方法として、低温保存による方法が特に注目を集めている。この方法の最大の課題は、特定された一定温度を保持することにある。例えば、3℃の保存温度に保っている場合、この温度を超えて10℃に温度が変化すれば、大腸菌であれば2時間で2倍程度の細菌数になると共に、食品中の水分が膨張することによって、食品の間に隙間を作り、そこからも毛管現象によって食品の養分を食品表面に押し出す。次に温度を下げると、表面に流出した水分の何割かが再び食品の内部に引き込まれるため、細菌の汚染を食品内部に拡大する。また、細菌も低温状態から適温に変化すると、反作用が起こり分裂速度を速める。即ち、食品保存にとって温度の上げ下げは行わない方が良いということである。
【0005】
次に食品の流通を見た場合、食品工場で例えば3℃に温度保持を行うことは困難なことではない。しかし、その食品が工場を出て輸送段階にはいると、この温度保持ははなはだ難しいものになる。冷凍装置の設置されたトラックでも、直射日光の下では温度を一定に保つことは困難であり、温度のバラツキが生じる。また、スーパー、コンビニエンスストアやその他小売店で販売される状態において、常に3℃以下を保つことは容易なことではない。
【0006】
消費者が食品を消費するまでに、当該食品がどのような温度履歴を経てきたかということは、消費者が知ることができないのが現状である。食品が経てきた温度履歴を知るために様々な工夫がなされてきており、その一つとして温度履歴表示体というものが開発されてきている。例えば、特開平10−287863号公報には、所定温度での複数の物質の反応により不可逆的に発色する温度履歴表示体において、発色剤層、検温剤層および顕色剤層とを備えた温度履歴表示体についての発明が開示されている。この発明は、発色剤層と顕色剤層を検温剤層で区切っておき、所定温度以上になると検温剤が溶解して発色剤層と顕色剤層が接触して発色し、この発色反応が不可逆的に起こることから、所定温度以上になったか否かを温度履歴表示体の発色により知ることができるというものである。
【0007】
この方法は不可逆的であり有効な方法であるが、温度履歴表示体の構造が複雑で、工業生産には複雑な装置と工程が必要で、実用的な方法ということはできない。また、その他の温度履歴表示体においても、現実的な普及に至っていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、対象物に付け、対象物が管理温度外の環境に曝された場合、不可逆的な変化を生じる温度履歴表示媒体で、かつ工業生産が容易なものを供給する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。本発明では、支持体上に特定温度にゾル−ゲル転移点を有する物質(以下、感温組成物という)を含み部分的に画像として形成された層(以下、感温層という)が形成され、さらに粘着層と、透明な保護層が形成されたことを特徴とする温度履歴表示体を提供する。本発明の温度履歴表示体を低温保存食品などの対象物に貼り付けた場合、対象物の所定温度(感温組成物のゾル−ゲル転移点)以上の環境に曝された場合、感温層からなる画像が不可逆的に変形し、目視や機械を使って容易に判定が可能となる。また、本発明の温度履歴表示体は、感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、ゾル−ゲル転移点以上に温め液状になった感温組成物をノズルから支持体面に吹き出しながら画像を形成した後、保護層を形成して製造する方法が好ましい。本製造方法はラベラーやインクジェットの様なプリンターなどの既存の技術を応用し、装置は小型設備に作ることが可能である。従って、本温度履歴表示体は、本表示体を付ける対象物の包装現場や、流通センターなど対象物が低温保存される環境下に置かれた場所で製造することが可能となる。別な言い方をすれば、本発明の製造方法では、温度履歴表示媒体を対象物に付ける場所にて製造が可能である。従って、特別に製造設備を作る場所を設けたり、製造した温度履歴表示体の特別な保管場所を設けたり、特別な運搬手段で運ぶことが不要となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1〜4に温度履歴表示体の層構成を示す。図1における温度履歴表示体は、支持体(1)上に、感温層(2)が形成され、その上に粘着層(3)が形成され、さらにその上に保護層(4)が形成されたものである。図2における温度履歴表示体は、支持体(1)上に、粘着層(3)が形成され、その上に感温層(2)が形成され、さらにその上に保護層(4)が形成されたものである。図3、図4における温度履歴表示体は、図1に示した温度履歴表示体の最上層に粘着層(3)が形成されたものと、最下層に粘着層(3)が形成されたものであり、本粘着層は低温保存食品などに貼り付けるためのものである。図1〜4のいずれの場合も感温層(2)は画像として支持体上に部分的に形成されている。
【0011】
本発明に用いられる支持体は、特に限定するものではないが、各種の紙やプラスチックフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、EVA、セルロース系プラスチック、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリルエーテルニトリル、ポリベンゾイミダール、紙などを単独あるいは2種以上配合されたものからなるフィルム、あるいはこれらのフィルムを組み合わせた複合シートなどの使用が考えられる。本発明の温度履歴表示体が支持体の裏面に粘着層を形成したものである場合、貼り付けた対象物からの温度が支持体の熱伝導性に影響されるので、支持体を選択する場合、考慮する必要がある。
【0012】
本発明の温度履歴表示体は、感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、該ゾル−ゲル転移点以上の温度に保った感温組成物を含む液をノズルから吹きだし、支持体上あるいは支持体上に形成された粘着層上に、本液からなる感温層を部分的に画像として形成して製造することを特徴とする。本温度履歴表示体は、環境温度が該感温組成物のゾル−ゲル転移点より高くなった場合、保護層から環境温度が伝わり、感温層に到達し、感温組成物の流動性が増大することで感温層からなる画像に不可逆的変化が生ずる。即ち、本発明の温度履歴表示体を貼り付けた対象物が所定以外の環境に曝されたかどうかを、本画像の判読により判定する。画像の判読方法としては、特に限定しないが、文字情報や図形情報(バーコード情報を含む)を人や機械により行う方法が考えられる。
【0013】
本発明に係わる感温層は、主として有機化合物とゲル化剤からなる感温組成物を含有し、特定温度にゾル−ゲル転移点を有し該感温層の流動性が変化する点に特徴がある。すなわち、感温機能を感温組成物のゾル−ゲル転移の利用により実現しているため、有機化合物とゲル化剤の組み合わせにより幅広い要求、例えば所定温度設定、環境温度に対する鋭敏さ、有機化合物の安全性等に対応することができる。また、本感温層には別の特性を付与する目的で添加剤等を加えることも可能である。
【0014】
本発明に用いられる有機化合物は、後述するゲル化剤と共存することで特定温度にゾル−ゲル転移点を持つ層を形成できる性質を有するあらゆる有機化合物の使用が考えられ、炭化水素類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類、不飽和アルデヒド類、芳香族炭化水素類、芳香族アルコール類、芳香族カルボン酸類、シクロヘキサン誘導体類、シクロヘキサノール誘導体類などが考えられる。本発明に係わる有機化合物としては、1種類の化合物からなるものであってもよいし、2種類以上の物質の混合物であってもよい。本発明の温度履歴表示体を食品製品や医薬品などに利用する場合には、人体に対する安全性の高いものがより好ましいが、安全性が十分でない物質であっても、保護層や支持体により感温物質を密封することにより、使用することも考えられる。
【0015】
本発明に用いられる有機化合物の具体例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、オレイルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルラウレート、エチルシナメート,アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、プロピレンカーボネート、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラクロロメタン、オレイン酸、ケロシン、軽油、シリコンオイル、サラダ油、大豆油などの単独使用や2種以上の併用使用が考えられる。
【0016】
本発明に用いられるゲル化剤とは、前記有機化合物をゲル化させる性質を有するものであり、例えばPierre Terechら著「Low Molecular Mass Gelators of Organic Liquids and the Properties of Their Gels」(Chemical Review, 1997, p3133−3159)を参照し得る。具体例としては下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。例として、12−ヒドロキシステアリン酸などの(ポリ)ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアルキルアルコール、ベンジリデンソルビトール類、ベンジリデンキシリトール類、N−アシルアミン酸誘導体、ベンゾイルグルコンアミド誘導体、2,3−o−イソプロピリデングリセルアルデヒド誘導体、L−イソロイシン誘導体、L−バリル−L−バリン誘導体、trans−1,2−シクロヘキサンジアミンから合成したアルキルジアミド誘導体またはアルキル尿素誘導体、双頭型アミノ酸誘導体、L−リシン誘導体等が用いられ、単独もしくは複数の化合物を組み合わせ用いられる。また、熱可逆的であれば、アミド結合、水酸基、カルボキシル基等を有する高分子ゲル化剤も使用できる。これらのゲル化剤によるゲル化は、静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、π−π相互作用等の弱い結合を原動力としているため、溶解する媒体の極性に強く依存する。そのため、使用する感温層中の有機化合物やその他の添加物によって、使用するゲル化剤が選択される。また、その添加量も感温層中の組成や、ゾル−ゲル転移点の設定等により選択可能であるが、主として全感温組成物に対して0.1〜20質量%の範囲で使用される。
【0017】
本発明に係わる感温層は部分的に画像として形成されるが、目視での確認や機械による読み取りを容易にさせるため、染料や顔料で着色することが考えられる。感温層液は感温組成物を主成分とするが、染料や顔料以外に潤滑剤などの添加も考えられる。
【0018】
本発明に係わる感温層に用いられる染料は繊維、紙等の染色や印刷インク、塗装などに用いられる染料の使用が考えられる。色相は黒色が好ましいが、それ以外にも赤色、青色、茶色、黄色などの色相の使用も可能である。さらに、蛍光染料の使用も考えられる。本発明に使用する染料として、特に限定するものではないが、アゾ染料、アントラキノン染料、カルボニウム染料、インジゴイド染料、硫化染料、フタロシアニン染料、その他アジン、オキサジン、チアジン、ニトロ、ニトロソ、キノリン、スチルベン、ポリメチン、アミノケトン、酸化染料用塩基などに属する染料などが考えられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用する。
【0019】
本発明に係わる感温層に用いられる顔料は繊維、紙等の染色や印刷インク、塗装などに用いられる顔料の使用が考えられる。色相は染料と同じく、黒色が好ましいが、赤色、青色、茶色、黄色などの色相の使用も可能である。さらに、蛍光顔料の使用も考えられる。本発明に使用される顔料としては、特に限定するものではないが、無機顔料としては、カーボンブラック、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ベンガラ、カドミウムレッド、硫化水銀カドミウム、モリブデンオレンジ、紺青、群青など、有機顔料として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、金属錯塩顔料、トリフェニルメタン系顔料などが考えられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用する。
【0020】
本発明が推奨する感温層の形成方法は、該感温層に含まれる感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、本感温組成物のゾル−ゲル転移点以上に保った液状の感温層液を支持体面にノズルから吹き付ける。周囲の環境及び支持体は、該感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の温度に保たれているので、支持体表面で凝固し固着する。画像は本ノズルで形成される。使用するノズルは1本でも可能であるが、通常は複数のノズルを使用する方が好ましい。
【0021】
本発明の温度履歴表示体は、感温層の上に透明乃至半透明の保護層を設ける。本保護層は感温層が物理的接触により損傷したり、外部環境による変質を防止する。また、一時的に本温度履歴表示体が対象物の所定外の温度環境に曝された場合には感温層からなる画像が即座に不可逆的に変化することを防止するという目的にも使うことも考えられる。即ち、本温度履歴表示体を付ける対象物(低温保存食品など)は、対象物の管理温度内で保管されるが、搬送などの作業においては、常温環境での放置は時間を限定して許容されている。この許容時間内で感温層が不可逆的変化を起こさないよう保護層を形成する。本発明に係わる保護層はその断熱性を変化させることで、外部温度が感温層に伝達する速度をコントロールすることが可能である。該保護層の断熱性を変化させる方法は特に限定しないが、例えば、層の厚みを変化させる、断熱性の高い材質のフィルムを使用する、空気層を形成するなどの方法が考えられる。
【0022】
本発明に係わる保護層は感温層の上に形成するが、本発明が推奨する方法は透明フィルムの表面に粘着剤層を形成し、感温層による画像が形成された面に貼り付けて形成する方法である。あるいは支持体にあらかじめ粘着層を形成し、その上に感温層からなる画像を形成し、透明フィルムを保護層としてその上に貼り付ける方法も可能である。該保護層として使用する透明フィルムとしては、透明あるいは半透明であれば特に限定はしないが、前述の支持体に使われるものとして列挙したものがなどの使用が考えられる。
【0023】
上述の支持体と保護層の接着を受け持つ粘着層は、低温で保護層と支持体を接着するものなら特に限定されず、一般にシールラベル用に用いられる粘着剤などが考えられる。具体的には天然ゴム系粘着剤、合成イソプレンゴム系粘着剤、SBRゴム系粘着剤、ポリアクリル酸エステル系粘着剤、またはそれらの共重合体、シリコーンゴム系粘着剤、ビニルエーテル共重合体系粘着剤などの単独や2種以上混合したものからなることが考えられる。
【0024】
本発明の温度履歴表示体は支持体面あるいは保護層の上に粘着層を形成し、低温保存食品などの外装に貼り付けて使用することが考えられる。本粘着層も低温で接着するものなら特に限定されない。一般的にはシールラベルに使用される粘着剤が可能で、支持体と保護層の接着する粘着層に用いられるものと同様な組成のものが可能である。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例を使用し詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す部、%はいずれも質量基準である。
【0026】
実施例1
有機化合物として用いるキシレン100部に、黒色顔料としてカーボンブラック0.3部をミキサーで混合し、さらにゲル化剤であるトリベンジリデンソルビトール1部を加えて加熱溶解し、感温層液を作製する。支持体として軽量塗工紙(厚み、100μm)を用い、0℃の環境下で、30℃に温めた感温層液をノズルから支持体に噴射しバーコードを描く。感温層液はバーコードの画像で支持体面上に凝固し固定される。その上に片面に粘着層を施したポリエステルフィルム(厚さ、50μm)を、粘着層を下にして支持体と貼り合わせ、感温層を本フィルムで被覆し、温度履歴表示体を作製する。できた温度履歴表示体を0℃の環境下と、25℃の環境下に放置する。0℃の環境下のものはバーコードがバーコードリーダーでいつまでも読み取れるが、25℃の環境下のものはバーコードが徐々に崩れ読み取りが不能になる。
【0027】
実施例2
0℃の環境下で、支持体として裏面に粘着層を有する白色ポリエステルフィルム(厚み、100μm)の10cm角の形状にし、段ボールに粘着層を下にして貼り付け、この10cm角の面に、0℃の環境下で、30℃に温めた実施例1で作製した感温層液を、ノズルから支持体に噴射しバーコードを描く。感温層液はバーコードの画像で支持体面上に凝固し固定される。その上に片面に粘着層を施したポリエステルフィルム(厚さ、50μm)を、粘着層を下にして支持体と貼り合わせ、感温層を本フィルムで被覆し、温度履歴表示体を作製する。できた温度履歴表示体を0℃の環境下と、25℃の環境下に放置する。0℃の環境下のものはバーコードがバーコードリーダーでいつまでも読み取れるが、25℃の環境下のものはバーコードが徐々に崩れ読み取りが不能になる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の、支持体上に、画像として形成された感温層と粘着層が形成され、その上に保護層が形成された温度履歴表示体は所定温度に曝された場合、形成された画像が不可逆的変化を生じ、目視や機械などの判読ができなくなることで、所定温度に曝された履歴を不可逆的に表示することができる。また、保護層の断熱性を変化させることで、外部環境に対する時間の制御が可能である。本温度履歴表示体は、使用直前に感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の雰囲気で、感温層液をノズルから噴射して感温層による画像を形成することにより、容易に製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の温度履歴表示体の断面の層構造を示し、感温層の上に粘着層と保護層が形成されたものを示す。
【図2】図2は、本発明の温度履歴表示体の断面の層構造を示し、感温層の下に粘着層が形成されたものを示す。
【図3】図3は、本発明の温度履歴表示体の層構造を示し、図1に示す温度履歴表示体の保護層面に粘着層が形成されたものを示す。
【図4】図4は、本発明の温度履歴表示体の層構造を示し、図1に示す温度履歴表示体の支持体面に粘着層が形成されたものを示す。
【符号の説明】
1 支持体
2 感温層
3 粘着層
4 保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の温度に曝された場合に不可逆的な変化が生じることにより、温度履歴を表示することができる温度履歴表示体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術や冷蔵技術の発展に伴って多くの低温保存食品が長期間にわたって、その品質や安全性を保つことができるようになってきた。また、低温輸送技術の発達と普及により、色々な種類の低温保存食品が製品化されてきている。
【0003】
一方、近年食品の安全性が一段と大きな問題となってきている。毎年生物要因によって、罹病する人の数は1万人程度であり、食品の取り扱いが改善されているにもかかわらず、年々増加の傾向にある。この要因は、細菌に対する抵抗力の弱い人が増大していること、即ち、過度な減菌等により、菌に対する免疫力の低下、あるいは添加物を使用しない社会的傾向によるものと考えられる。細菌による事故は細菌数と密接な関係があり、一般的には食品1g当たり105以下であれば、健康な人には発症はしないと考えられている。細菌の分裂は適温、水分、養分の3つが必要条件である。このうちの1つでも欠如すると分裂は抑止される。そこで細菌の分裂を抑え、細菌数を抑止するために、低温(細菌は一般に3℃以下では分裂は起こらない。)や塩乾等の方法が採られてきた。
【0004】
食品の味に影響を与えず、添加薬品の不要な細菌分裂抑止方法として、低温保存による方法が特に注目を集めている。この方法の最大の課題は、特定された一定温度を保持することにある。例えば、3℃の保存温度に保っている場合、この温度を超えて10℃に温度が変化すれば、大腸菌であれば2時間で2倍程度の細菌数になると共に、食品中の水分が膨張することによって、食品の間に隙間を作り、そこからも毛管現象によって食品の養分を食品表面に押し出す。次に温度を下げると、表面に流出した水分の何割かが再び食品の内部に引き込まれるため、細菌の汚染を食品内部に拡大する。また、細菌も低温状態から適温に変化すると、反作用が起こり分裂速度を速める。即ち、食品保存にとって温度の上げ下げは行わない方が良いということである。
【0005】
次に食品の流通を見た場合、食品工場で例えば3℃に温度保持を行うことは困難なことではない。しかし、その食品が工場を出て輸送段階にはいると、この温度保持ははなはだ難しいものになる。冷凍装置の設置されたトラックでも、直射日光の下では温度を一定に保つことは困難であり、温度のバラツキが生じる。また、スーパー、コンビニエンスストアやその他小売店で販売される状態において、常に3℃以下を保つことは容易なことではない。
【0006】
消費者が食品を消費するまでに、当該食品がどのような温度履歴を経てきたかということは、消費者が知ることができないのが現状である。食品が経てきた温度履歴を知るために様々な工夫がなされてきており、その一つとして温度履歴表示体というものが開発されてきている。例えば、特開平10−287863号公報には、所定温度での複数の物質の反応により不可逆的に発色する温度履歴表示体において、発色剤層、検温剤層および顕色剤層とを備えた温度履歴表示体についての発明が開示されている。この発明は、発色剤層と顕色剤層を検温剤層で区切っておき、所定温度以上になると検温剤が溶解して発色剤層と顕色剤層が接触して発色し、この発色反応が不可逆的に起こることから、所定温度以上になったか否かを温度履歴表示体の発色により知ることができるというものである。
【0007】
この方法は不可逆的であり有効な方法であるが、温度履歴表示体の構造が複雑で、工業生産には複雑な装置と工程が必要で、実用的な方法ということはできない。また、その他の温度履歴表示体においても、現実的な普及に至っていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、対象物に付け、対象物が管理温度外の環境に曝された場合、不可逆的な変化を生じる温度履歴表示媒体で、かつ工業生産が容易なものを供給する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。本発明では、支持体上に特定温度にゾル−ゲル転移点を有する物質(以下、感温組成物という)を含み部分的に画像として形成された層(以下、感温層という)が形成され、さらに粘着層と、透明な保護層が形成されたことを特徴とする温度履歴表示体を提供する。本発明の温度履歴表示体を低温保存食品などの対象物に貼り付けた場合、対象物の所定温度(感温組成物のゾル−ゲル転移点)以上の環境に曝された場合、感温層からなる画像が不可逆的に変形し、目視や機械を使って容易に判定が可能となる。また、本発明の温度履歴表示体は、感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、ゾル−ゲル転移点以上に温め液状になった感温組成物をノズルから支持体面に吹き出しながら画像を形成した後、保護層を形成して製造する方法が好ましい。本製造方法はラベラーやインクジェットの様なプリンターなどの既存の技術を応用し、装置は小型設備に作ることが可能である。従って、本温度履歴表示体は、本表示体を付ける対象物の包装現場や、流通センターなど対象物が低温保存される環境下に置かれた場所で製造することが可能となる。別な言い方をすれば、本発明の製造方法では、温度履歴表示媒体を対象物に付ける場所にて製造が可能である。従って、特別に製造設備を作る場所を設けたり、製造した温度履歴表示体の特別な保管場所を設けたり、特別な運搬手段で運ぶことが不要となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1〜4に温度履歴表示体の層構成を示す。図1における温度履歴表示体は、支持体(1)上に、感温層(2)が形成され、その上に粘着層(3)が形成され、さらにその上に保護層(4)が形成されたものである。図2における温度履歴表示体は、支持体(1)上に、粘着層(3)が形成され、その上に感温層(2)が形成され、さらにその上に保護層(4)が形成されたものである。図3、図4における温度履歴表示体は、図1に示した温度履歴表示体の最上層に粘着層(3)が形成されたものと、最下層に粘着層(3)が形成されたものであり、本粘着層は低温保存食品などに貼り付けるためのものである。図1〜4のいずれの場合も感温層(2)は画像として支持体上に部分的に形成されている。
【0011】
本発明に用いられる支持体は、特に限定するものではないが、各種の紙やプラスチックフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、EVA、セルロース系プラスチック、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリルエーテルニトリル、ポリベンゾイミダール、紙などを単独あるいは2種以上配合されたものからなるフィルム、あるいはこれらのフィルムを組み合わせた複合シートなどの使用が考えられる。本発明の温度履歴表示体が支持体の裏面に粘着層を形成したものである場合、貼り付けた対象物からの温度が支持体の熱伝導性に影響されるので、支持体を選択する場合、考慮する必要がある。
【0012】
本発明の温度履歴表示体は、感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、該ゾル−ゲル転移点以上の温度に保った感温組成物を含む液をノズルから吹きだし、支持体上あるいは支持体上に形成された粘着層上に、本液からなる感温層を部分的に画像として形成して製造することを特徴とする。本温度履歴表示体は、環境温度が該感温組成物のゾル−ゲル転移点より高くなった場合、保護層から環境温度が伝わり、感温層に到達し、感温組成物の流動性が増大することで感温層からなる画像に不可逆的変化が生ずる。即ち、本発明の温度履歴表示体を貼り付けた対象物が所定以外の環境に曝されたかどうかを、本画像の判読により判定する。画像の判読方法としては、特に限定しないが、文字情報や図形情報(バーコード情報を含む)を人や機械により行う方法が考えられる。
【0013】
本発明に係わる感温層は、主として有機化合物とゲル化剤からなる感温組成物を含有し、特定温度にゾル−ゲル転移点を有し該感温層の流動性が変化する点に特徴がある。すなわち、感温機能を感温組成物のゾル−ゲル転移の利用により実現しているため、有機化合物とゲル化剤の組み合わせにより幅広い要求、例えば所定温度設定、環境温度に対する鋭敏さ、有機化合物の安全性等に対応することができる。また、本感温層には別の特性を付与する目的で添加剤等を加えることも可能である。
【0014】
本発明に用いられる有機化合物は、後述するゲル化剤と共存することで特定温度にゾル−ゲル転移点を持つ層を形成できる性質を有するあらゆる有機化合物の使用が考えられ、炭化水素類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類、不飽和アルデヒド類、芳香族炭化水素類、芳香族アルコール類、芳香族カルボン酸類、シクロヘキサン誘導体類、シクロヘキサノール誘導体類などが考えられる。本発明に係わる有機化合物としては、1種類の化合物からなるものであってもよいし、2種類以上の物質の混合物であってもよい。本発明の温度履歴表示体を食品製品や医薬品などに利用する場合には、人体に対する安全性の高いものがより好ましいが、安全性が十分でない物質であっても、保護層や支持体により感温物質を密封することにより、使用することも考えられる。
【0015】
本発明に用いられる有機化合物の具体例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、オレイルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルラウレート、エチルシナメート,アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、プロピレンカーボネート、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラクロロメタン、オレイン酸、ケロシン、軽油、シリコンオイル、サラダ油、大豆油などの単独使用や2種以上の併用使用が考えられる。
【0016】
本発明に用いられるゲル化剤とは、前記有機化合物をゲル化させる性質を有するものであり、例えばPierre Terechら著「Low Molecular Mass Gelators of Organic Liquids and the Properties of Their Gels」(Chemical Review, 1997, p3133−3159)を参照し得る。具体例としては下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。例として、12−ヒドロキシステアリン酸などの(ポリ)ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアルキルアルコール、ベンジリデンソルビトール類、ベンジリデンキシリトール類、N−アシルアミン酸誘導体、ベンゾイルグルコンアミド誘導体、2,3−o−イソプロピリデングリセルアルデヒド誘導体、L−イソロイシン誘導体、L−バリル−L−バリン誘導体、trans−1,2−シクロヘキサンジアミンから合成したアルキルジアミド誘導体またはアルキル尿素誘導体、双頭型アミノ酸誘導体、L−リシン誘導体等が用いられ、単独もしくは複数の化合物を組み合わせ用いられる。また、熱可逆的であれば、アミド結合、水酸基、カルボキシル基等を有する高分子ゲル化剤も使用できる。これらのゲル化剤によるゲル化は、静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、π−π相互作用等の弱い結合を原動力としているため、溶解する媒体の極性に強く依存する。そのため、使用する感温層中の有機化合物やその他の添加物によって、使用するゲル化剤が選択される。また、その添加量も感温層中の組成や、ゾル−ゲル転移点の設定等により選択可能であるが、主として全感温組成物に対して0.1〜20質量%の範囲で使用される。
【0017】
本発明に係わる感温層は部分的に画像として形成されるが、目視での確認や機械による読み取りを容易にさせるため、染料や顔料で着色することが考えられる。感温層液は感温組成物を主成分とするが、染料や顔料以外に潤滑剤などの添加も考えられる。
【0018】
本発明に係わる感温層に用いられる染料は繊維、紙等の染色や印刷インク、塗装などに用いられる染料の使用が考えられる。色相は黒色が好ましいが、それ以外にも赤色、青色、茶色、黄色などの色相の使用も可能である。さらに、蛍光染料の使用も考えられる。本発明に使用する染料として、特に限定するものではないが、アゾ染料、アントラキノン染料、カルボニウム染料、インジゴイド染料、硫化染料、フタロシアニン染料、その他アジン、オキサジン、チアジン、ニトロ、ニトロソ、キノリン、スチルベン、ポリメチン、アミノケトン、酸化染料用塩基などに属する染料などが考えられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用する。
【0019】
本発明に係わる感温層に用いられる顔料は繊維、紙等の染色や印刷インク、塗装などに用いられる顔料の使用が考えられる。色相は染料と同じく、黒色が好ましいが、赤色、青色、茶色、黄色などの色相の使用も可能である。さらに、蛍光顔料の使用も考えられる。本発明に使用される顔料としては、特に限定するものではないが、無機顔料としては、カーボンブラック、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ベンガラ、カドミウムレッド、硫化水銀カドミウム、モリブデンオレンジ、紺青、群青など、有機顔料として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、金属錯塩顔料、トリフェニルメタン系顔料などが考えられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用する。
【0020】
本発明が推奨する感温層の形成方法は、該感温層に含まれる感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の環境下で、本感温組成物のゾル−ゲル転移点以上に保った液状の感温層液を支持体面にノズルから吹き付ける。周囲の環境及び支持体は、該感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の温度に保たれているので、支持体表面で凝固し固着する。画像は本ノズルで形成される。使用するノズルは1本でも可能であるが、通常は複数のノズルを使用する方が好ましい。
【0021】
本発明の温度履歴表示体は、感温層の上に透明乃至半透明の保護層を設ける。本保護層は感温層が物理的接触により損傷したり、外部環境による変質を防止する。また、一時的に本温度履歴表示体が対象物の所定外の温度環境に曝された場合には感温層からなる画像が即座に不可逆的に変化することを防止するという目的にも使うことも考えられる。即ち、本温度履歴表示体を付ける対象物(低温保存食品など)は、対象物の管理温度内で保管されるが、搬送などの作業においては、常温環境での放置は時間を限定して許容されている。この許容時間内で感温層が不可逆的変化を起こさないよう保護層を形成する。本発明に係わる保護層はその断熱性を変化させることで、外部温度が感温層に伝達する速度をコントロールすることが可能である。該保護層の断熱性を変化させる方法は特に限定しないが、例えば、層の厚みを変化させる、断熱性の高い材質のフィルムを使用する、空気層を形成するなどの方法が考えられる。
【0022】
本発明に係わる保護層は感温層の上に形成するが、本発明が推奨する方法は透明フィルムの表面に粘着剤層を形成し、感温層による画像が形成された面に貼り付けて形成する方法である。あるいは支持体にあらかじめ粘着層を形成し、その上に感温層からなる画像を形成し、透明フィルムを保護層としてその上に貼り付ける方法も可能である。該保護層として使用する透明フィルムとしては、透明あるいは半透明であれば特に限定はしないが、前述の支持体に使われるものとして列挙したものがなどの使用が考えられる。
【0023】
上述の支持体と保護層の接着を受け持つ粘着層は、低温で保護層と支持体を接着するものなら特に限定されず、一般にシールラベル用に用いられる粘着剤などが考えられる。具体的には天然ゴム系粘着剤、合成イソプレンゴム系粘着剤、SBRゴム系粘着剤、ポリアクリル酸エステル系粘着剤、またはそれらの共重合体、シリコーンゴム系粘着剤、ビニルエーテル共重合体系粘着剤などの単独や2種以上混合したものからなることが考えられる。
【0024】
本発明の温度履歴表示体は支持体面あるいは保護層の上に粘着層を形成し、低温保存食品などの外装に貼り付けて使用することが考えられる。本粘着層も低温で接着するものなら特に限定されない。一般的にはシールラベルに使用される粘着剤が可能で、支持体と保護層の接着する粘着層に用いられるものと同様な組成のものが可能である。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例を使用し詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す部、%はいずれも質量基準である。
【0026】
実施例1
有機化合物として用いるキシレン100部に、黒色顔料としてカーボンブラック0.3部をミキサーで混合し、さらにゲル化剤であるトリベンジリデンソルビトール1部を加えて加熱溶解し、感温層液を作製する。支持体として軽量塗工紙(厚み、100μm)を用い、0℃の環境下で、30℃に温めた感温層液をノズルから支持体に噴射しバーコードを描く。感温層液はバーコードの画像で支持体面上に凝固し固定される。その上に片面に粘着層を施したポリエステルフィルム(厚さ、50μm)を、粘着層を下にして支持体と貼り合わせ、感温層を本フィルムで被覆し、温度履歴表示体を作製する。できた温度履歴表示体を0℃の環境下と、25℃の環境下に放置する。0℃の環境下のものはバーコードがバーコードリーダーでいつまでも読み取れるが、25℃の環境下のものはバーコードが徐々に崩れ読み取りが不能になる。
【0027】
実施例2
0℃の環境下で、支持体として裏面に粘着層を有する白色ポリエステルフィルム(厚み、100μm)の10cm角の形状にし、段ボールに粘着層を下にして貼り付け、この10cm角の面に、0℃の環境下で、30℃に温めた実施例1で作製した感温層液を、ノズルから支持体に噴射しバーコードを描く。感温層液はバーコードの画像で支持体面上に凝固し固定される。その上に片面に粘着層を施したポリエステルフィルム(厚さ、50μm)を、粘着層を下にして支持体と貼り合わせ、感温層を本フィルムで被覆し、温度履歴表示体を作製する。できた温度履歴表示体を0℃の環境下と、25℃の環境下に放置する。0℃の環境下のものはバーコードがバーコードリーダーでいつまでも読み取れるが、25℃の環境下のものはバーコードが徐々に崩れ読み取りが不能になる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の、支持体上に、画像として形成された感温層と粘着層が形成され、その上に保護層が形成された温度履歴表示体は所定温度に曝された場合、形成された画像が不可逆的変化を生じ、目視や機械などの判読ができなくなることで、所定温度に曝された履歴を不可逆的に表示することができる。また、保護層の断熱性を変化させることで、外部環境に対する時間の制御が可能である。本温度履歴表示体は、使用直前に感温組成物のゾル−ゲル転移点以下の雰囲気で、感温層液をノズルから噴射して感温層による画像を形成することにより、容易に製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の温度履歴表示体の断面の層構造を示し、感温層の上に粘着層と保護層が形成されたものを示す。
【図2】図2は、本発明の温度履歴表示体の断面の層構造を示し、感温層の下に粘着層が形成されたものを示す。
【図3】図3は、本発明の温度履歴表示体の層構造を示し、図1に示す温度履歴表示体の保護層面に粘着層が形成されたものを示す。
【図4】図4は、本発明の温度履歴表示体の層構造を示し、図1に示す温度履歴表示体の支持体面に粘着層が形成されたものを示す。
【符号の説明】
1 支持体
2 感温層
3 粘着層
4 保護層
Claims (2)
- 支持体上に、特定温度にゾルーゲル転移点を持つ感温組成物を含み且つ該組成物によって部分的に画像として形成された感温層が形成され、さらに粘着層と、透明な保護層が形成されたことを特徴とする温度履歴表示体。
- 特定温度にゾルーゲル転移点を持つ感温組成物の該転移点以下の環境下で、該組成物のゾルーゲル転移点以上の温度に保った該組成物を含む液をノズルから吹き出し、該液を支持体面に固着させて画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の温度履歴表示体の製造方法。
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JP2002244947A JP2004085299A (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | 温度履歴表示体とその製造方法 |
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2002
- 2002-08-26 JP JP2002244947A patent/JP2004085299A/ja active Pending
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