JP2005291799A - 温度管理媒体 - Google Patents

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徹 丸山
Makoto Kitsunai
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Abstract

【課題】 荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知することができ、かつ、外力に影響されにくい構成を備えてなる温度管理媒体を提供する。
【解決手段】 本発明に係る温度管理媒体は、氷点下の温度において凝固し、前記乳化液は昇温により特定温度以上で相分離する乳化液からなる温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤からなる。前記乳化液が高粘度をなす場合は必ずしも密封容器内に収納する必要はない。前記乳化液が液状をなす場合は密封容器内に収納する形態が好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一度は冷凍または冷蔵温度の雰囲気下に設けられ、その後、これより高い温度の雰囲気中に暴露されたか否かという温度履歴を容易に確認できる温度管理媒体に関する。例えば、冷凍・冷蔵荷物の運搬に際し、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの判別などに好適に用いられる。
近年、冷凍あるいは冷蔵した状態で配送される荷物が一段と増加し、これらの荷物を配達先まで予め決められた低温に保ちながら運搬する宅配便などの配送手段が広く普及しつつある。このような配達手段においては、例えば集荷元の冷凍・冷蔵施設から配送車へ荷物を積み込む場合、配送車間で荷物を積み替える場合、あるいは配送車から荷物を取り出し配達先へ配達する場合、冷凍・冷蔵状態を保つべき荷物は、直射日光による高温雰囲気や室温雰囲気に曝される場面に遭遇せざるを得ない。
また、製造後、無事に冷凍・冷蔵状態を保ちながら配達先に届けられた荷物についても、その荷物は冷凍・冷蔵状態が維持されることが求められる。例えば、荷物の中身が食品や医薬品であれば、内容物の変質や雑菌の繁殖などが発生し、その本来の品質が損なわれる恐れがあり、極端な場合は食中毒や医療事故などを誘発しかねない。このような温度管理が求められるものとしては、食品や医薬品の他に、化学関係や写真関係で用いられる各種薬品などが挙げられる。
上記温度管理が正常に行われているか否かを簡便に確認する方法として、以下に示す方法が提案されている。
(1)脂溶性色素を溶解した炭素数7〜15の高級アルコールの1種または2種以上を非イオン系界面活性剤および水によって乳化してなる乳化液を密封容器に充填してなる保存温度管理用インデイケーターが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる構成によれば、通常の温度条件下では、乳化液は外観上は色素の色調が抑えられ、不透明な乳白色を呈する。乳化液が氷結する温度以下にすると、一旦はそのまま全成分が凝固し、再び融解したとき、粗大化した乳化粒子は浮上し、色素の濃い色調を有した油滴または油層が上層へ浮上し、水層と油滴または油層とに分離される。よって、このような変化が認められたインデイケーターを含む包装内の物品は劣化している恐れがあるとして使用時に注意を促すことができる。
(2)ポリオレフィン・フィルムおよび水溶性染料を含有する白色系油性インキを印刷したポリオレフィン・フィルムの間に、寒天水性ゲルを含浸したポリオレフィン不織布、さらに必要に応じてポリオレフィン不織布を重ね、周辺を接着して得られる構造を特徴とする冷凍食品の温度表示用シートが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この構造を採ることにより、冷凍操作以前においては、水溶性染料は白色系油性インキ中に含有され発色しないが、一旦冷凍された後、内容物の温度が解凍される温度に上昇するとき、不織布の微細な孔を通して浸出する水によって、前記の水溶性染料が溶解して白色系油性インキ印刷面が着色して、温度表示用シートを貼付した物品の温度変化を指示することができる。
(3)基材シートの片面に有機キレート発色剤を有する粘着剤層を設けた第一ラベル用シート、他の基材シートの片面に前記有機キレート発色剤と反応して発色し得る金属化合物を有する粘着剤層を設けた第二ラベル用シート、及び、第一ラベル用シートの粘着剤層と第二ラベル用シートの粘着剤層との間に配される多孔質シートからなり、第一ラベル用シートの粘着剤層、第二ラベル用シートの粘着剤層及び多孔質シートの少なくとも1つに温度制御剤を含有させたことを特徴とする温度管理ラベルが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。かかる構成によると、所望の温度になると温度制御剤が流動し、その流動に伴って有機キレート発色剤又は金属化合物を多孔質シート内を移動させてお互いに接触させ、反応させて不可逆的に発色させ、その発色を検知することにより、この温度管理ラベルを貼付した物品の保存温度が所定温度以上になったか否かの温度履歴を検知することができる。
上述した従来の方法には、以下に示すような課題があった。
第一には、近年、環境ホルモンであることが知られてきている、非イオン性界面活性剤を使用することから、食品や医薬品などに貼付して用いる場合、その安全性を確保することが難しい。また、皮膚への付着や誤飲による体内への摂取が生じた場合には、健康を害する恐れがあることから芳しくない。
第二には、高級アルコールを用いているため、誤って漏洩した場合には、悪臭が発生することから、特に食品分野での使用は望ましくない。
第三には、有機キレート発色剤又は金属化合物を多孔質シート内を移動させてお互いに接触させ、反応させて不可逆的に発色させる方法においては固体である多孔質シートが必須構成のため、外力が加わった際にその構造が損なわれる恐れがあり、搬送中の物品に貼付する際にはその取り扱いに注意を要する。また、使用前に貼り合わせる必要があることから、取り扱いの自由度が狭い。
特開昭57−37227号公報 特開平7−49656号公報 特開平7−286914号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知することができ、かつ、外力に影響されにくい構成を備えてなる温度管理媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明に係る温度管理媒体は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤からなり、温度により相分離する乳化液を利用した温度管理媒体とした。
本発明の温度管理媒体は、前記乳化液を密封容器内に収納したものとすることができる。
また、前記親水性有機溶剤として、各種アルコール類やケトン類、エーテル類、カルボン酸類、アミン類、アルデヒド類、スルホン酸類等を使用することができる。
かかる構成の温度管理媒体とすれば、外部と遮断された空間を有する密封容器内に、雰囲気あるいは貼付された荷物の温度が、例えば氷点下にあるときには不透明な凝固した状態を維持する乳化液が配されており、氷点を越えて特定温度以上に昇温した際には乳化状態から相分離状態に変化し、不透明な油相と透明な水相に分かれる、いわゆる相分離を起こす。ゆえに、このような状態変化、すなわち油相と水相に区分された状態を検知することにより、この温度管理媒体を貼付した物品の保存温度が特定の温度を越えるような温度になったか否かの温度履歴を容易かつ確実に検知することができる。
また、上記温度管理媒体は乳化液からなり、その乳化液をなす物質は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤から構成されている。この乳化液を構成する油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤の特定の組合せを選択することにより高粘度物の形態が得られる。この場合には乳化液を敢えて密封容器に内包させる必要はないので、乳化液のパッケージング等が不要になることから使用する際の自由度が向上するので好ましい。
これに対して、外部と遮断された空間を有する密封容器内に乳化液を収納すると、高粘度物状に加えて液状の乳化液も採用することができ、乳化液を構成する油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤の組合せに関して選択の幅を広げることも可能になる。この組合せを適宜選択することにより、乳化液が相分離を起こす温度を調整でき、検知可能な温度帯域を自由に設定できる温度管理媒体が得られる。
本発明に係る温度管理媒体を構成するリン脂質を含む脂質混合物としては、例えば大豆レシチンが挙げられる。大豆レシチンは、安価で大量供給が可能であり、かつ、精製度合いによって様々な状態で得ることができるという特長を備えているので、使用条件によって種類を選択できることから好ましい。
本発明に係る温度管理媒体を構成するリン脂質を含む脂質混合物としては、他に卵黄レシチンが挙げられる。卵黄レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)の含有量が高いという特長を備えているので、成分分析がしやすいことから好ましい。
本発明に係る温度管理媒体を構成する親水性有機溶剤としては、例えば各種アルコール類やケトン類、エーテル類、カルボン酸類、アミン類、アルデヒド類、スルホン酸類等を使用することができる。これらの親水性有機溶剤を添加することにより管理温度をより正確に制御することができる。
本発明に係る温度管理媒体は、特定温度以下において凝固した乳化液を備え、前記乳化液は昇温により相分離するものであり、かつ、乳化液は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤からなり、この乳化液は昇温により相分離する構成とした。ゆえに、この温度管理媒体を荷物に貼付するだけで、その荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴、すなわち低温状態にあるべき荷物が所定の温度以下の条件で保管され続けたか否かを容易に検知できる。
また、上記構成の温度管理媒体であれば、温度管理媒体を構成する乳化液を必ずしも外部と遮断された空間を有する密封容器内に収納する必要はない。それ故、本発明の温度管理媒体は、温度管理を要するパッケージの外部に添えて指標として利用する形態のみならず、例えば当該パッケージの内部に荷物(食品、薬品)とともに同梱して利用する形態としてもよい。よって、本発明は、従来使用するのが難しかった分野も含めて幅広い分野において活用可能であり、かつ、包装を必ずしも要しないことから低コスト化も図れる温度管理媒体をもたらす。
よって本発明は、製造後様々な冷凍温度の条件下に保ちながら配達先に届けられることが求められている荷物の運搬において、その荷物の保存温度が適正な冷凍条件下に保たれていたのか、それとも不適な高温状態に曝された履歴があるのか、簡易かつ簡便に判別し、その荷物の品質を保証することに寄与する。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係る温度管理媒体の一例を示す模式的な断面図であり、図1(a)は例えば氷点下において凝固した乳化液1が密封容器2内に収納された状態を、図1(b)は氷点下において凝固していた乳化液が昇温により相分離した状態をそれぞれ表している。相分離によって体積の変動が生じてもその影響を受けないようにするために、例えば空気などの気体3を密封容器2内に封入しておいても構わない。なお、乳化液1が液状ではなく高粘度物状などの形態をなす場合には、密封容器2は必ずしも要しない。
本発明の温度管理媒体は、密封容器2内における乳化液1の相分離を利用したものであり、氷点下において凝固した状態にあり色調が白色の乳化液1が、昇温して特定の温度(乳化液1を構成する油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤混合物の融点)以上にある雰囲気に暴露され続けた時、相分離し、これに応じて乳化液1が透明な水相11と不透明な油相12とに分かれる。このように相分離した状態を、例えば目視やセンサにより光学的に識別することで、この温度管理媒体が貼付された荷物が、設定した以上の高温にどの程度の期間曝されたのかを判別できる。
密封容器2としては、乳化液1が相分離した様子を光学的に確認できる材質からなるものが好ましく、例えばガラスやプラスチック等が挙げられる。その形態としては、例えば管状、板状、フィルム状、球状などが挙げられる。なお、相分離を確認するだけなら、水相11と油相12の境界付近のみ透明な材質とし、他は光学的に不透明な金属などを用いた構成としても構わない。
特に、可撓性のあるフィルム状の密封容器2を用いた場合は、荷物の外形に沿って貼付することができ、さらには外力が加わった際に密封容器2自身が柔軟に変形してその影響を回避することが可能なので望ましい。密封容器2を容易に荷物に貼付するため、粘着物からなる接着シートを密封容器2は備えても構わない。
また、相分離後に透明となる水相11の性質を利用する技術としては、目視あるいはセンサで水相11を確認する際に、水相11の向こう側に識別記号や文字を配置してその下地の情報を読み取ったり、または鏡面を設けることによって反射光を捉えて識別することで、相分離が生じたか否かを正確にかつ定量的に確認することも可能である。
乳化液1は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤から構成されている。
水としては、如何なる水を用いても構わないが、後述するリン脂質を含む脂質混合物に対する影響を考慮すると、特にイオン交換水や蒸留水が好適である。
油脂としては、例えば0℃近傍またはそれ以下の融点をもち、15℃程度の雰囲気温度にて水と相分離するトリアシルグリセロール(TAGと略称する)からなる食用油が挙げられる。ただし、油脂はTAGに限定されるものではなく、ジアシルグリセロール(DAGと略称する)やモノアシルグリセロール(MAGと略称する)を用いてもよい。
上述したTAG、DAG及びMAG以外の油脂としては、例えば、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジメチル、アセトフェノン、アセトチェノン、安息香酸ベンジル、安息香酸ブチル、安息香酸メチル、エチレングリコール、ウンデシルアルコール、1−ウンデシル−11−オール、ウンデシル酸、n −オクチルアルコール、オレインアルコール、オレイン酸、オレイン酸ブチルオレオパルミチン、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、カプロン酸ラウリル、ジエチレングリコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジフェニルエーテル、ジベンジルケトン、ジリノレイン、ジリノレニン、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸メチル、ステアロジオレイン、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸モノエチル、スベリン酸モノメチル、セバチン酸ブチル、デシルアルコール、トリエチレングリコール、トリラウリルアミン、n−ノニルアルコール、パルミチン酸アミル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸デシル、パルミチン酸ドデシル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジラウリル、フタル酸モノメチル、t−ブチルアルコール、プロピオフェノン、3,4−ヘキサンジオール、ベヘノール酸エチル、1,7−ヘペタン−ジオール、ペラルゴン酸、ベンジルアルコール、ベゾフェノン、ペンタデシルアルコール、ポリエチレングリコール、ミリスチルアルコール、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸メチル、メチルヘキシルケトン、モノラウリン酸グリコール、ラウリルアルコール、ラウリルアミン、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ドデシル、ラウリン酸フェニル、ラウリン酸メチル、リノール酸、リノレイルアルコール、リノレニン、リノレイン酸、リノレン酸、アズキ油、オリーブ油、アンズ核油、エンドウマメ油、オランダゼリ油、油、落花生油、ヤシ油、カボチャ種油、カラス麦油、ゴマ油、ツバキ油、ナタネ油、ヒマシ油、ホホバ油、綿実油などを挙げることができる。
上述した油脂は、0℃近傍またはそれ以下の融点をもち、15℃程度の雰囲気温度にて水と相分離する組合せであれば、単独(1種)で用いる以外に、2種以上の混合物を用いても構わない。
リン脂質を含む脂質混合物としては、大豆レシチンや卵黄レシチンあるいは魚介類由来のレシチンなどが挙げられる。リン脂質を含む脂質混合物は、油脂に対して0.1wt%以上30wt%以下の範囲が適当であり、好ましくは0.5wt%以上10wt%以下の範囲が良い。
大豆レシチンは、大豆を抽出した大豆粗油を濾過後、約2%の温水を加え攪拌し、ガム状となって油層から分離したものを乾燥することにより製造できる。大豆レシチンは天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。大豆レシチンは、2つの脂肪酸基と1つの塩基を備えており、塩基の一例としては、ホスファチジルコリン(略称PC)、ホスファチジルエタノールアミン(略称PE)、ホスファチジルイノシトール(略称PI)、ホスファチジン酸(略称PA)が挙げられる。
卵黄レシチンは、鶏卵の卵黄は水分48%、蛋白質16%、脂質33%からなるが、この脂質中に30%含まれる成分がリン脂質である。商業的にはリン脂質を含む脂質混合物を「レシチン」と総称しているため、本明細書でもリンを含む複合脂質を「卵黄リン脂質」、脂質混合品を「卵黄レシチン」と呼ぶ。
卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。また卵黄リン脂質はホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine :PC)70〜80%、ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine:PE)10〜15%、スフィンゴミエリン(Sphingomyelin :SPM)1〜3%、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine :LPC)1〜2%からなる。
本発明の温度管理媒体に使用する親水性有機溶剤としては、メチルアルコールやエチルアルコール等の各種アルコール類や、アセトン等のケトン類、メチルエーテルやテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類の他に、カルボン酸類、アミン類、アルデヒド類、スルホン酸類等を使用することができる。乳化液中にこれらの親水性有機溶剤を少量加えることにより、乳化液の凝固点が下がるので、相分離温度をより正確に制御することが可能となる。
乳化液1の乳化形態は、水中油型(水分の中に油分が均一に分散したもの:O/W型)、油中水型(油分の中に水分が均一に分散したもの:W/O型)の何れであっても良い。油相と水分の割合(油相:水相)としては、5:95〜95:5が適当であり、好ましくは80:20〜40:60の範囲が良い。
相分離して得られる水相11としては、水のみからなる形態と、水とこれに糖類又は高分子からなる添加剤を含む形態が挙げられる。後者の形態、すなわち水に糖類又は高分子からなる添加剤を加えてなる水相11を用いることにより、乳化液1の氷点を調整することも可能となる。その調整は、添加剤の材料、種類および添加量などを変えることにより行われる。
相分離して得られる油相12としては、零度近傍または、それ以下の融点をもち、15℃程度の水(水相11)と相分離する上述したトリアシルグリセロール(TAGと略称する)からなる食用油が挙げられる。ただし、油脂はTAGに限定されるものではなく、ジアシルグリセロール(DAGと略称する)やモノアシルグリセロール(MAGと略称する)が好適に用いられる。融点の異なるTAGやDAG、MAGを単独または、2種以上を混合して用い、融点の制御を行っても構わない。また、上述したTAG、DAG及びMAG以外の油脂を用いてもよい。
さらには、常温における安定性向上および、より精密な温度制御を図るために、本発明の温度管理媒体は、零度近傍または、それ以下の融点をもち、15℃程度の水(水相11)と相分離する範囲内であるならば、以下に述べるような陽イオン(カチオン)、陰イオン(アニオン)、両性、非イオン(ノニオン)等からなる界面活性剤を含有しても構わない。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩などのスルホン酸塩類;硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩類;アルキル硫酸塩などの硫酸塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩などのリン酸エステル類;ポリ及びオリゴ(メタ)アクリル酸、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、ポリ及びオリゴ酢酸ビニル、ポリ及びオリゴビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース由来のオリゴマー、メチルセルロース由来のオリゴマー、カルボキシメチルセルロース由来のオリゴマーが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、四級アンモニウム塩基含有マレイミド共重合体、四級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体などを使用するが、中でも、臭化アルキルアンモニウム(アルキル基の炭素数は10〜14)等の脂肪族四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体などの高分子系四級アンモニウム塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル類;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエステルエーテル類;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル類;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素化合物が挙げられる。
なお、必要に応じて上述した2種類以上の界面活性剤を併用することもできる。さらには、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方と、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方とを併用としてもよい。
以下、本発明を、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
水としてイオン交換水を使用し、油脂としてTAGを使用し、リン脂質を含む油脂混合物として大豆レシチンを使用し、さらに親水性有機溶剤としてメチルアルコールを使用して混合し、乳化液とした。先ず、水に対してリン脂質を含む脂質混合物を溶解させ、次いで油脂と親水性有機溶剤を徐々に加えながら、混練装置(特殊機化工業製、T.K.ロボミックス)に入れて、12000rpmで5分間、常温にて混練することにより乳化させた。
得られた乳化液をガラス瓶に入れ、冷凍庫(−15℃)に4時間以上放置した後、室温(25℃)に取り出したものについて相分離の有無を目視で観察した。次いでこのガラス瓶入りの乳化液を30℃で1時間保持した後、相分離の有無を目視で観察したところ、明瞭な層分離が認められた。
以上の結果から、本発明の温度管理媒体は調製直後は均質で透明であるものの、−15℃以下に保存された後は乳化液が凝固して乳白色を呈していた。さらに、この凝固した乳化液を高温の室内に静置しておいたところ、溶融して油相と水相に相分離した。
このように本発明の乳化液を密封容器に封入して温度管理媒体として使用すれば、例えば、食品等の梱包に添付しておけば温度履歴インジケーターとして活用できる。本発明によれば親水性有機溶剤の添加割合によって相分離する温度を正確に設定できるので、より厳密な温度管理をすることが可能となる。
本発明に係る温度管理媒体は、氷点下において凝固した乳化液が、氷点より高い温度域まで昇温した際に相分離する現象を利用することにより、保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を視覚的に識別が容易な形態で表示できる。本発明は、荷物の外側に貼付する従来の利用形態の他に、食品や薬品と同梱して用いる新たな形態にも利用できることから、食品や薬品の真の温度履歴を正確に把握できる温度管理媒体の提供にも貢献する。
本発明に係る温度管理媒体の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 乳化液、2 密封容器、3 気体、11 水相、12 油相。

Claims (5)

  1. 温度により相分離する乳化液からなる温度管理媒体であって、前記乳化液は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物および親水性有機溶剤からなることを特徴とする温度管理媒体。
  2. 前記乳化液が密封容器内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
  3. 前記親水性有機溶剤が、アルコール類であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
  4. 前記親水性有機溶剤が、エーテル類であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
  5. 前記親水性有機溶剤が、ケトン類であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
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