JP2005308713A - 温度管理媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る温度管理媒体は、水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物から構成された乳化液1を含有する温度管理媒体であって、乳化液1が、色素を含有する構成とする。色素としては、水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方を用いることができる。
【選択図】 図1
Description
このような配達手段においては、例えば集荷元の冷凍・冷蔵施設から配送車へ荷物を積み込む場合や、配送車間で荷物を積み替える場合、あるいは配送車から荷物を取り出し配達先へ配達する場合に、冷凍・冷蔵状態を保つべき荷物が、直射日光による高温雰囲気や室温雰囲気に曝される場合がある。
例えば、荷物の中身が食品や医薬品であれば、内容物の変質や雑菌の繁殖などが発生し、その本来の品質が損なわれるおそれがあり、極端な場合は食中毒や医療事故などを誘発しかねない。
このような温度管理が求められるものとしては、食品や医薬品の他に、化学関係や写真関係で用いられる各種薬品などが挙げられる。
(1)温度管理媒体として乳化液が用いられ、この乳化液が密封容器に充填されてなる温度管理ラベルが開示されている(特許文献1)。
前記乳化液として、脂溶性色素を溶解した炭素数7〜15の高級アルコールの1種または2種以上と、水と、乳化剤として非イオン系界面活性剤とが混合、乳化されたものが用いられている。
乳化液は、凝固点以下の温度に曝されて凝固した後に融解すると、乳化粒子が粗大化し、高級アルコールの油相と水相とに分離して、高級アルコールに溶解された色素の色を呈することになる。
このため、温度管理用インジケータが色素の濃い色調を有しているかどうか確認することによって、被検温体が保存温度の許容範囲よりも低い温度に曝されたかどうか容易に確認できる。この保存温度管理用インジケータは、例えば、脂肪乳剤などのように、室温以下で、かつ氷結しない温度で保存する必要のある被検温体の温度管理を行うために利用できる。
この温度表示用シートでは、冷凍食品(被検温体)が保存温度よりも高い温度に曝された際、寒天水性ゲルが融け、この寒天水性ゲル中の水が不織布の微細な孔を通って白色系油性インキの印刷面に達し、水溶性染料が溶解して白色系油性インキ印刷面が着色するようになっている。
このため、温度表示用シートの白色系油性インキ印刷面が着色しているかどうか視認することによって、温度表示用シートが貼付された被検温体が保存温度よりも高い温度に曝されたかどうか容易に確認できる。
前記温度管理ラベルにおいて、第一ラベル用シートの粘着剤層、第二ラベル用シートの粘着剤層、多孔質シートの少なくとも1つにパラフィン類、アルコール類などの温度制御剤が含有されている。この温度制御剤は、所望の温度になると流動する性質を有しており、温度制御剤と共に有機キレート発色剤または金属化合物が多孔質シート内を移動し、有機キレート発色剤と金属化合物とが混ざり合って発色するようになっている。
このため、温度管理ラベルが発色しているかどうか視認することによって、温度管理ラベルが貼付された被検温体が保存温度よりも高い温度に曝されたかどうか容易に確認できる。
第一には、非イオン性界面活性剤や脂溶性色素などには、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)となるものもあり、食品や医薬品などに貼付して用いる場合、その安全性を確保することが難しい。また、皮膚への付着や誤飲による体内への摂取が生じた場合には、健康を害するおそれがあることから芳しくない。
第二には、高級アルコールを用いているため、誤って漏洩した場合には、悪臭が発生することから、特に食品分野での使用は望ましくない。
また、特許文献3では、被検温体が、保存温度の許容範囲よりも高い温度に曝された後に、再び保存温度の許容範囲内の温度となった際、温度管理ラベルは、有機キレート発色剤と金属化合物とが混ざり合って発色した状態で、低温度に曝されることになる。
有機キレート発色剤と金属化合物との反応生成物には、低温度において発色が弱くなるものがあり、温度管理ラベルの色が判別し難く、被検温体が品質を損なう温度となったかどうかを確認することが難しくなってしまう場合があった。
前記色素としては、水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方を用いることができる。
本発明の温度管理媒体をなす乳化液は、その凝固点以下の温度域では、凝固し乳白色を呈する。これに対して、この乳化液は一度凝固した後、その温度が凝固点よりも高い温度になると、融解して油溶性の食用色素が溶解した油(油脂)相と、水溶性の食用色素が溶解した水相とに相分離する。
乳化液が、水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方を含有していることによって、乳化液が油相と水相とに相分離した状態で、再度、凝固点以下の温度となっても、水相は水溶性の食用色素の濃い色調を呈し、また、油相は油溶性の食用色素の濃い色調を呈するので、乳化液が二相に相分離していることを確実に確認できる。
このため、温度管理媒体が水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方の濃い色調を呈しているかどうかを確認することによって、被検温体が、1回でも、品質を損なう高い温度になったになったか否かの温度履歴を確実に確認できる。
さらに、温度管理媒体の構成成分である乳化液1は、体内に入っても無害な化合物から構成されているため、誤って人体の皮膚へ付着したり、あるいは誤って飲み込み体内に入るような事態に陥っても安全性が確保される。このため、極めて高い信頼性を求められる食品や薬品用途などにおいても安心して利用できる。
図1は、本発明に係る温度管理媒体が密封容器に封止された状態の一例を示す模式図である。この温度管理媒体は、乳化液1を含有している。
乳化液1は、水と、油脂と、乳化剤としてのレシチンとが混合、乳化されたものである。この乳化液1の乳化形態は、水中に油脂が乳化粒子(分散粒子)となって均一に分散している状態(以下、水中油滴型またはOil in Water(「O/W」と略す。)型と言う。)、または、油脂中に水が乳化粒子(分散粒子)となって均一に分散している状態(以下、油中水滴型またはWater in Oil(「W/O」と略す。)型と言う。)のいずれであってもよい。
油脂と水の割合(油脂:水)は、5:95〜95:5が好ましく、さらに好ましくは80:20〜40:60である。これにより、安定な乳化形態が得られ、温度管理媒体の長期使用が可能となる。
具体例としては、前記油脂からなり、凝固点(融点)が0℃近傍または0℃以下のオリーブ油、コーン油などの天然の食用油や化学合成された食用油などが挙げられる。
食用油は、人体の健康上、安全性が高いため、油脂として好ましく用いられる。
2成分以上から構成された食用油は、その食用油の製造条件などによって構成成分の混合比が変動し、食用油の凝固点(融点)が変化する場合がある。
これに対して単一成分から構成された食用油は、その凝固点(融点)がほとんど変動しないため、食用油の凝固点(融点)の変動の影響を低減でき、ほぼ一定の凝固点(融点)を有する乳化液1とすることができる。
また、1種の食用油を油脂として適用しても構わないが、油脂として、単一成分から構成された食用油2種以上からなるものがさらに好ましい。各食用油の凝固点(融点)を参考にして、油脂(ここでは、食用油の混合物)の凝固点(融点)が所望の値となるように、各食用油の混合比などを調整でき、これにより所望の凝固点(融点)を有する乳化液1を容易に作製できる。
例えば、保存温度の上限が0℃近傍または0℃以下のものを管理する場合、凝固点(融点)が0℃近傍または0℃以下の油脂が用いられる。
前記大豆レシチンは天然の乳化剤であり、抗酸化作用、離型作用、分散作用、起泡・消泡作用、保水作用、蛋白質・澱粉との結合作用、チョコレートの粘度低下作用など多岐にわたる性質を兼ね備えている。
大豆レシチンに含まれるリン脂質は、その分子中に、2つの脂肪酸基と、リン原子を含む極性基(親水基)とを有する。前記大豆レシチンに含まれるリン脂質の一例としては、ホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine:略称PC)、ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine:略称PE)、ホスファチジルイノシトール(略称PI)、ホスファチジン酸(略称PA)が挙げられる。
大豆レシチンの製造方法としては、大豆を抽出した大豆粗油を濾過後、約2%の温水を加え攪拌し、ガム状となって油相から分離したものを乾燥する方法が挙げられる。
卵黄の脂質は中性脂肪65%、リン脂質30%、コレステロール4%から構成されている。卵黄レシチン中に含まれるリン脂質は、通常、ホスファチジルコリン(PC)70〜80%、ホスファチジルエタノールアミン(PE)10〜15%、スフィンゴミエリン(Sphingomylin:SPM)1〜3%、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine:LPC)1〜2%からなる。
リン脂質を含む脂質混合物の乳化液1中の含有量は、油脂に対して0.1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5質量%〜10質量%である。これにより水と油脂とを乳化させることができる。
乳化液1の凝固点(融点)は、乳化液1を構成する油脂や水溶液の凝固点(融点)によって決定される。このため、例えば、乳化液1の凝固点(融点)が、保存温度の許容範囲の上限値となるように油脂などの化学種を選択し、これら油脂、水、水溶性の食用色素、リン脂質を含む脂質混合物を所望の混合比で混合することによって乳化液1を作製できる。
なお、乳化液1を密封容器2などに封入する場合、相分離によって体積の変動が生じてもその影響を受けないようにするために、例えば空気などの気体を密封容器2内に封入しておいても構わない。
また、乳化液1が液状ではなく高粘度物状などの形態をなす場合には、密封容器2は必ずしも要しない。
なお、乳化液1が相分離した様子を確認するだけであれば、油相11と水相12の境界付近のみ透明な材質から構成され、他の部分は光学的に不透明な金属などの材質から構成された密封容器であっても構わない。
なお、密封容器2を容易に被検温体に貼付できるように、粘着物からなる接着シートを密封容器2に備えても構わない。
また、食して無害な材料からなる密封容器2を用いた場合、密封容器2の中身である乳化液1も誤飲して影響のない材料であるため、例えば食品や薬品などの被検温体と共に、同じ包装内に並べて同梱できる。
乳化液1には、水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方が含有されている。したがって、油相11は油溶性の食用色素の色を呈するか、または、水相12は水溶性の食用色素の色を呈するか、あるいは、油相11は油溶性の食用色素の色を呈し、かつ、水相12は水溶性の食用色素の色を呈する。このため、乳化液1が油相11と水相12とに相分離していることを確実に確認できる。
このとき、油相11は、油脂から構成されているため、凝固すると白色などの不透明な色となる場合があった。このため、油相11に油溶性の食用色素が含有されていない従来の乳化液では、再び凝固点以下の温度に曝されて凝固すると、乳化液が乳白色を呈しているか、または油相と水相に相分離した状態であるかをはっきりと確認することが難しかった。
このため、本発明では、水溶性の食用色素が含有されたことによって、乳化液1が、その凝固点よりも高い温度となって油相11と水相12とに相分離した後、再び凝固点以下の温度に曝されて凝固しても、水相12は水溶性の食用色素の色を呈することができる。
このため、乳化液1が油相11と水相12とに相分離していることを確実に確認できる。
このため、温度管理を行う被検温体または被検温雰囲気に配された温度管理媒体が、乳白色を呈しているか、または油相11と水相12に相分離し、油相11が油溶性の食用色素の色を呈し、水相12が水溶性の食用色素の色を呈しているかを確認することにより、被検温体や被検温雰囲気が、温度管理媒体を構成する乳化液1の凝固点よりも高い温度になったか否かの温度履歴を確認できる。
ここで、温度管理媒体が、乳白色を呈しているか、または油溶性の食用色素の色および水溶性の食用色素の色を呈しているかを確認する方法としては、目視やセンサなどの光学的手段を用いた方法が適用できる。
このため、目視やセンサなどの光学的手段によって、前記温度管理媒体が、乳白色を呈しているか、または水溶性の食用色素または油溶性の食用色素のいずれか一方、あるいは、水溶性の食用色素および油溶性の食用色素の両方を呈しているかを視認または検知することにより、被検温体または被検温雰囲気が、1回でも、温度管理媒体を構成する乳化液1の凝固点、すなわち被検温体の品質を損なう温度よりも高い温度になったか否かの温度履歴を容易かつ確実に確認できる。
このように、本発明によると、製造後、所望の冷凍温度(保存温度)に保つ必要のある被検温体において、その被検温体が適正な冷凍条件下に保たれていたのか、それとも品質を損なう高温度に曝された温度履歴があるのかを簡便に確認でき、これによりその被検温体の品質を保証することに寄与できる。
[実施例1]
食用青色1号(アイゼン保土谷株式会社)0.01gが溶解された水溶液を130g用意した。
また、油脂として、マリーゴールドO(アイゼン保土谷株式会社)0.01gを溶解させたカプリル酸トリグリセライド(融点−5℃、ココナードRK、花王株式会社)380gを用意し、この油脂に1質量%の大豆レシチンを溶解させた。
食用青色1号およびマリーゴールドOを使用しない以外は、実施例1と同様にして乳化液を作製した。
また、作製された乳化液を2g、ガラス瓶に入れ、室温(約20℃)で1日静置したものの状態と、室温で1週間静置したものの状態を目視で観察し安定性を調べた。
−18℃以下に冷却後、室温に約30分静置された乳化液1は、油相11と水相12とに相分離していた。油相11はマリーゴールドO(アイゼン保土谷株式会社)の黄色を呈しており、水相12は、食用青色1号(アイゼン保土谷株式会社)により、青色が濃くなった緑色を呈しており、二相の境界部分をはっきりと視認でき、二相に分離していることを確実に確認できた。
比較例1で作製された乳化液は、油相が、白みがかった色を呈し、乳化した状態であるか、または二相に相分離した状態であるか確認することが難しかった。
これに対して、実施例1で作製された乳化液1では、再度、−18℃以下に4時間以上静置されると、凝固していたが、油相11はマリーゴールドO(アイゼン保土谷株式会社)の黄色、水相12は食用青色1号(アイゼン保土谷株式会社)の青色を呈しており、二相の境界部分をはっきりと視認でき、乳化液1が油相11と水相12との相分離していることがはっきりと確認できた。
このため、乳化液1が、一度、乳化液1の凝固点よりも高い温度になったことを容易かつ確実に確認できた。
水を130g用意した。
また、油脂として、β−カロテン(和光純薬工業)0.05gが溶解されたカプリル酸トリグリセライド(融点−5℃、ココナードRK、花王社製)を用意し、この油脂に大豆レシチンを溶解して、1質量%の大豆レシチンが溶解された油脂を380g用意した。
なお、大豆レシチンの量は油脂に対する質量%である。
β−カロテン(和光純薬工業)を使用しない以外は、実施例2と同様にして乳化液を作製した。
また、作製された乳化液を2g、ガラス瓶に入れ、室温(約20℃)で1日静置したものの状態と、室温で1週間静置したものの状態を目視で観察し安定性を調べた。
−18℃以下に冷却後、室温に約30分静置された乳化液1は、油相11と水相12とに相分離していた。油相11はβ−カロテン(和光純薬)のオレンジ色を呈しており、水相12は透明であり、二相の境界部分をはっきりと視認でき、二相に分離していることが確実に確認できた。
比較例2で作製された乳化液は、油相が、白みがかった色を呈し、乳化した状態であるか、または二相に相分離した状態であるか確認することが難しかった。
これに対して、実施例2で作製された乳化液1では、再度、−18℃以下に4時間以上静置されると、凝固していたが、油相11はβ−カロテン(和光純薬)のオレンジ色を呈しており、二相の境界部分をはっきりと視認でき、乳化液1が油相11と水相12との相分離していることがはっきりと確認できた。
このため、乳化液1が、一度、乳化液1の凝固点よりも高い温度になったことを容易かつ確実に確認できた。
ニューコクシン(食用赤色102号)0.05gが溶解された水溶液を130g用意した。
また、油脂として、カプリル酸トリグリセライド(融点−5℃、ココナードRK、花王社製)を用意し、この油脂に大豆レシチンを溶解して、1質量%の大豆レシチンが溶解された油脂を380g用意した。
なお、大豆レシチンの量は油脂に対する質量%である。
ニューコクシン(食用赤色102号)を使用しない以外は、実施例3と同様にして乳化液を作製した。
また、作製された乳化液を2g、ガラス瓶に入れ、室温(約20℃)で1日静置したものの状態と、室温で1週間静置したものの状態を目視で観察し安定性を調べた。
−18℃以下に冷却後、室温に約30分静置された乳化液1は、油相11と水相12とに相分離していた。油相11は透明または半透明であり、水相12は、ニューコクシン(食用赤色102号)の赤色を呈しており、二相の境界部分をはっきりと視認でき、二相に分離していることが確実に確認できた。
比較例3で作製された乳化液は、油相は白みがかった色を呈し、乳化した状態であるか、または二相に相分離した状態であるか確認することが難しかった。
これに対して、実施例3で作製された乳化液1では、再度、−18℃以下に4時間以上静置されると、凝固していたが、水相12は、ニューコクシン(食用赤色102号)の赤色を呈しており、二相の境界部分をはっきりと視認でき、乳化液1が油相11と水相12との相分離していることがはっきりと確認できた。
このため、乳化液1が、一度、乳化液1の凝固点よりも高い温度になったことを容易かつ確実に確認できた。
Claims (3)
- 水、油脂、リン脂質を含む脂質混合物から構成された乳化液を含有する温度管理媒体であって、
前記乳化液が、色素を含有することを特徴とする温度管理媒体。 - 前記色素は、水溶性の食用色素であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
- 前記色素は、油溶性の食用色素であることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
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