JP2005288696A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】染料インク、顔料インクを問わずに優れた画像品質を得ることができ、特に発色性、インク吸収能が高く印字ベタ部の画像均一性に優れたインクジェット記録媒体を提供するものである。
【解決手段】本発明の上記目的は、支持体に、顔料及び親水性接着剤を主成分として含有するインク受理層を有するインクジェット記録媒体において、該無機顔料の吸油量が180〜220ml/100gであり、平均二次粒子径が6〜10μm、かつ比表面積が300m2/g以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体によって達成された。
【解決手段】本発明の上記目的は、支持体に、顔料及び親水性接着剤を主成分として含有するインク受理層を有するインクジェット記録媒体において、該無機顔料の吸油量が180〜220ml/100gであり、平均二次粒子径が6〜10μm、かつ比表面積が300m2/g以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体によって達成された。
Description
【0001】
【発明の所属する技術分野】
本発明は顔料インク及び染料インク適性を有するインクジェット記録媒体に関するものであり、特に高い発色性、インク吸収能を有し、印字ムラがなく優れた画像品質を得ることのできるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なことや印字騒音が少ないことなどから近年急速に普及してきた。この方式はノズルから記録媒体に向けてインクの微小液滴を高速で飛翔、付着させて画像や文字などの記録を行うものであり、インク中には多量の溶媒を含む。従って、記録媒体としては速やかにインクを吸収する必要がある。また、最近のコンピューターやデジタルカメラの普及により、銀塩写真に近い画像が求められるようになってきている。そこで、インクジェット記録用紙には高い発色性、解像度及び色再現性が必要となり、これに対応するため表面にインク受理層を設けたいわゆる塗工紙が開発されている。さらに用途の拡大などに伴い、インクジェット記録用紙には印字画像の耐水性や耐光性などの保存性が高いことといったより高度な特性も要求されるようになった。
【0003】
一方、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、水性染料インクが主に使用されている。水性染料インクは色材として染料が用いられているため発色性は良好であるものの耐光性や耐水性などの特性が悪く、記録画像の保存性や画像の堅牢度に問題がある。そこで色材として顔料を用いたインクが種々提案され実用化されている。
【0004】
顔料インクの利点としては上記のような耐光性、耐水性が優れている反面、印字濃度が低い、ベタ印字部の均一性に劣るなどの問題点もあり、逆に印字濃度を高くするためにインクをインク受理層表面に残すようにすると耐摩擦性が弱く、それゆえ印字物汚れ等を防止するために顔料を被記録媒体上に定着させる必要もあった。
【0005】
近年のインクジェット記録媒体においては、インクジェット記録装置用記録液の色材として染料、顔料ともに使用されるようになってきたため、インクジェット記録液が染料インク、顔料インクにかかわらず、上記のような特性を満足する記録媒体が要求されるようになってきた。
【0006】
例えば特開2001‐328344号公報では、インク吸収層中の無機顔料の吸油量が150ml/100g以上であり、平均二次粒子径が3.0μm以上15μm以下であることを特徴とする顔料インク用インクジェット記録媒体について提案されている。
【0007】
また特開2001‐270238号公報では、インク受容層に、平均粒子径が2〜17μmでありかつ非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミノシリケートおよびハイドロタルサイト群鉱物より選ばれる少なくとも1種の顔料と、接着剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含有することを特徴とする染料インク及び顔料インクでの記録特性に優れたインクジェット記録媒体について提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、染料インクと顔料インクではその発色機構が違い、インク受理層として要求される性能も異なってくる。すなわち、染料インクの染料は溶媒とともにインク受理層中の空隙に吸収され樹脂に定着するが、顔料インク中の顔料は、溶媒がインク受理層中に吸収されることでインク受容層表面に堆積定着する。
【0009】
特開2001‐328344号公報では、染料インクで印字した場合の印字適性については考慮されておらず、また特開2001‐270238号公報では、その印字特性、特に印字濃度やベタ印字部の均一性について更に改良の余地があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、染料インク、顔料インクを問わずに優れた画像品質を得ることができ、特に発色性、インク吸収能が高く印字ベタ部の画像均一性に優れたインクジェット記録媒体を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
染料インク及び顔料インクを用いて印字した場合の印字性能には、インク受理層中の無機顔料の性能が大きく関与していることは一般的に知られていた。しかし前記諸物性が該無機顔料のどの物性によるものなのかこれまで定かではなかった。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、インク受理層中の無機顔料の物性のうち吸油量、平均二次粒子径、比表面積という3つの物性を規定することで、顔料インク及び染料インクで印字を行った際に共に発色性、インク吸収能が高く、ベタ印字部の画像均一性にも優れたインクジェット記録媒体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、顔料及び親水性接着剤を主成分として含有するインク受理層を有するインクジェット記録媒体において、該無機顔料の吸油量が180〜220ml/100gであり、平均二次粒子径が6〜10μm、かつ比表面積が300m2/g以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体である。また該インク受理層にさらにカチオン性水溶性樹脂を含有するとなおよい。さらに該インクジェット記録媒体のインク受理層の塗工量は3〜20g/m2であることが好ましい。
【0013】
なお、顔料の物性は以下の方法に基づき測定した値である。
吸油量:顔料試験法を規定したJIS−K5101。
平均粒子径:コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製)でアパーチャー径50μmを使用。
比表面積:窒素ガス吸着によるBET法。
【0014】
本発明により、課題が達成される理由は定かではないが、以下のように考えられる。
これまで染料インクでは、インク受理層中の無機顔料の吸油量や平均二次粒子径がインク吸収性に影響することは知られていた。すなわち、該無機顔料の吸油量が多いと、染料インクの吸収がインク受理層表面近傍で起こることから、発色性が良好となる。また平均二次粒子径が小さいと二次粒子間の空隙が小さくなり吸収されたインキが狭い範囲に限定されインク滲みの少ない解像度がよい記録となる。一方で染料が無機顔料粒子の裏側にまで回りこむため発色性は悪くなる。しかし、顔料インク適性に関して、インク受理層中の、特に無機顔料の吸油量、平均二次粒子径及び比表面積が影響していることは大きな発見であった。そのような効果は、比表面積は無機顔料の一次粒子径と相関しており、一次粒子径が小さくなるほど比表面積が大きくなるとともに、二次粒子内の一次粒子間空隙が小さくなるので、二次粒子径に関係する二次粒子間空隙構造と関連して、顔料インク中の溶媒が吸収される際、例えば溶媒の吸収速度などが発色性や印字ムラに何らかの影響を及ぼして顔料インキの発色と印字ムラが改善されるものと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体は特に制限されるものではなく、木材繊維主体の紙、またはポリエチレンなどのプラスチック類、もしくは木材繊維や合成繊維を主体とした不織布のごときシート状物質が挙げられ、紙の場合は内添サイズ剤の添加又は無添加、填料の含有又は非含有で良く、サイズプレスの有無でも何等制限しない。
【0016】
本発明の支持体に使用される木材パルプとしてはLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応じて従来公知の填料やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機にて紙匹を形成した後に、乾燥させて得ることができる。特にインク吸収性に優れた支持体を使用することが望ましい。
【0017】
インク受理層に用いる無機顔料としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト等が使用することが出来るが、本発明で規定する吸油量、平均粒径および比表面積を合わせ有する顔料としては合成シリカが特に好ましく用いられる。
【0018】
無機顔料の吸油量が、180ml/100g未満であると染料インクで印字した際の発色性、インク吸収性が悪化し、220ml/100gを超えると顔料インクで印字した際の発色性、印字ムラが悪化するので好ましくない。さらに平均二次粒子径が、6μm未満であると特に顔料インクで印字した際の印字ムラが悪化し、10μmを超えると特に染料インクで印字した際のインク吸収性が悪化するので好ましくない。故に吸油量、平均二次粒子径については染料インク、顔料インク双方使用時の印字諸性能をバランス良く保つ範囲が要求される。また比表面積が300m2/g未満の場合は顔料インクで印字した際の発色性や印字ムラが悪化するので好ましくない。
【0019】
すなわち該無機顔料の吸油量、平均二次粒子径、比表面積という3つの物性を適正範囲とすることで、染料インク、顔料インクを問わずに優れた画像品質を得ることができ、特に発色性、インク吸収性が高く、印字ベタ部の画像均一性に優れたインクジェット記録媒体を得ることが可能となった。
【0020】
本発明で好ましく用いられる合成シリカとは非晶質シリカであり、合成非晶質シリカは大別して、各種天然シリカを出発原料として、湿式法と乾式法の2通りの方法で合成されており、さらに湿式法には沈降法とゲル法がある。非晶質シリカはこれら合成方法の違いにより物理的な性質をコントロールすることが出来、吸着分離用、触媒担体用、塗料や樹脂の充填用等使用目的に応じた性質をもつ非晶質シリカの合成が可能である。
【0021】
沈降法シリカは、通常珪酸ナトリウムと硫酸を反応させることにより合成されるが、反応条件として、比較的高温のアルカリ性のpH領域で反応させる。その結果、シリカ一次粒子の成長が早く進行し、一次粒子がフロック状に凝集し沈殿する。この様にして得られたシリカは一次粒子が大きい傾向にあり、そのため比表面積は小さく、二次粒子は柔らかくなる。
【0022】
ゲル法シリカは、一般的にシリカゲルとも表現されるが、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応を酸性のpH領域で進行させることにより、1次粒子は成長なしに凝集を起こす。この時、凝集体が形成する3次元網目構造により、反応液全体は一塊のゲルとなる。このようにしてできたゲル法シリカは、湿式法シリカと比較すると、一次粒子が小さく、また強い凝集体を形成しているため、二次粒子が硬く、細孔が小さい。それゆえ比表面積や吸油量が高いのが特徴である。
【0023】
乾式法シリカは一般的には四塩化珪素を原料に合成される。また、メチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も単独で、もしくは四塩化珪素と混合した状態のいずれかで原料として使用される。これら原料は気化され、続いて酸/水素ガス火炎中で中間体として生じる水と定量的に反応し、目的のシリカを形成する。乾式シリカは凝集構造がないため二次粒子の概念が無い。
【0024】
非晶質シリカとしては、上記のうち、湿式法により合成されたシリカが好ましく、特に好ましくはゲル法で合成されたシリカである。また本発明では、1種類の非晶質シリカを用いても良いが、2種以上の非晶質シリカを混合して用いることも可能である。
【0025】
本発明ではインク受理層にカチオン性水溶性樹脂を含有することも好ましい。本発明で使用されるカチオン性水溶性樹脂としては、二級アミン、三級アミン、及び四級アンモニウム塩としてポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルアミンアクリルアミド共重合体塩、ポリスチレンの四級アンモニウム塩等が挙げられる。中でも染料インクおよび顔料インクともに印字品質に優れ、特に印字濃度、耐水性が高いジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体が好ましい。またこれらカチオン性樹脂の2種類以上を配合使用することも可能である。
【0026】
これらカチオン性水溶性樹脂は、顔料インク中の色材である顔料が分散剤によって溶媒中に分散され、その表面が負に帯電していることより、これらを捕捉する作用がある。よって、顔料インクはインク受理層表面付近に残るようになり耐摩擦性が改善される。また染料インクについても同様に負に帯電している染料が、インク受理層中でカチオン性水溶性樹脂に捕捉され、保存性、特に耐水性が改善される。
【0027】
インク受理層には、塗膜としての特性を維持するために結着剤を有していることが好ましい。例えばポリビニルアルコール及びその変性物、酸化デンプン、エーテル化デンプン、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス、酢酸ビニル重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂等が使用できる。本発明においては、これらの結着剤の少なくとも1種を使用することができるが、その配合部数は、前記した顔料50〜100重量部に対し、5〜60重量部であることが好ましい。結着剤の配合部数が少ないと表面強度が不十分となり、多すぎるとインク吸収性が不十分となる。
【0028】
また、支持体あるいはインク受理層に、サイズ剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、保水剤などを必要に応じ適宜含有させることもできる。
【0029】
本発明において、支持体上に設けられるインク受理層の総数及び構成については特に限定されるものではない。すなわち、インク受理層を支持体の片面あるいは両面に2層以上設けてもよい。また、本発明において、インク受理層を支持体の片面に設けた場合は、支持体のインク受理層と反対側の面にカール矯正あるいは搬送性改良等の目的で塗工層を設けることも可能である。
【0030】
インク受理層の塗工量としては、インク受理層のインク吸収容量及び実用に耐えられる程度のインク受理層と支持体の接着強度を基準に決定することが好ましく、本発明においては乾燥塗工量が3〜20g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは5〜15g/m2である。乾燥塗工量が3g/m2に満たないと、インク受理層である塗工層が支持体表面を完全に覆うことが難しく、塗工層によるインクの吸収性が十分でないため、吸収ムラが発生し、インクジェット印字性能に悪影響が生じる。また、乾燥塗工量が20g/m2を超えると、インク受理層と支持体間の接着強度が実用に耐えられないレベルとなり、粉落ちと呼ばれる支持体からの塗工層の剥離等が発生し、重大な問題が生じる。
【0031】
インク受理層を支持体表面に設けるために、一般的な塗工装置である各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ショートドゥエルコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、サイズプレス等の各種装置をオンマシン又はオフマシンで使用することができる。
【0032】
本発明においては、インク受理層を塗工した後にインク受理層をマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り固形分重量部及び重量%を示す。
【0034】
<実施例1>
基紙
広葉樹漂白クラフトパルプ90%と針葉樹漂白クラフトパルプ10%を混合叩解して濾水度を350mlに調整したパルプに、炭酸カルシウム15部、カチオン化澱粉4部、及びアニオン化ポリアクリルアミド0.3部を添加し、公知の長網抄紙機で抄造乾燥した後マシンカレンダー処理を行い、坪量100g/m2の基紙を製造した。なお作製した基紙のステキヒトサイズ度は30秒であった。
インク受理層
顔料として、合成非晶質シリカ(SYLOID 74X4500:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径9μm、比表面積350m2/g:GRACE社製)100部、親水性接着剤として、ポリビニルアルコール(PVA―117 クラレ製)40部、エチレン酢酸ビニル共重合体(BE7000 中央理化工業製)4部、サイズ剤としてスチレンアクリル樹脂(ポリマロン360 荒川化学工業製)4部、カチオン性水溶性樹脂としてジメチルアミノエピクロロヒドリン縮合体8部に希釈水を加え攪拌混合して固形分濃度21%の塗料とした。この塗料を、前記支持体の片面にバーブレードコーターを用いて塗工量が10g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用紙を得た。
【0035】
<実施例2>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(SYLOID 74X5500:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径8μm、比表面積350m2/g:GRACE社製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0036】
<比較例1>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(NIPGEL AZ−600:吸油量315ml/100g、平均二次粒子径4μm、比表面積300m2/g:日本シリカ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、ブラック及びグリーンのベタ部にも酷いムラが発生した。また染料インクの場合もブラックのベタ部に酷いムラが発生した。
【0037】
<比較例2>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(CARPLEX BS312AM:吸油量225ml/100g、平均二次粒子径7.2μm、比表面積225m2/g:塩野義製薬製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、さらにブラックのベタ部にも酷いムラが発生した。
【0038】
<比較例3>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(FINESIL X60:吸油量240ml/100g、平均二次粒子径6.2μm、比表面積301m2/g:トクヤマ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低かった。
【0039】
<比較例4>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(FINESIL X37B:吸油量240ml/100g、平均二次粒子径3.7μm、比表面積287m2/g:トクヤマ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、ブラック及びグリーンのベタ部にも酷いムラが発生した。
【0040】
<比較例5>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(SYLOJET P612:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径12μm、比表面積310m2/g:GRACE社製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、染料インクを用いて印字したときの、グリーンのベタ部に酷いムラが発生した。さらにインク吸収も悪かった。
【0041】
<評価方法>
上記実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた塗料及びその記録用紙について、インクジェットプリンターで印字を行い、下記に示す方法で性能評価した。印字テストは、顔料インク使用インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン社製のMC−2000を、染料インク使用インクジェットプリンターとして同社製のPM−880Cを用いて、プリンター添付のプリンタードライバーの設定を、用紙についてはスーパーファイン専用紙2を、モード設定については推奨設定(きれい)をそれぞれ選択して行った。各項目において、△以上の評価であれば実用することができる。
【0042】
<発色性>
表計算ソフト『エクセル』でブラック、シアン、マゼンダ、イエローのベタ画像を作製し印字した。恒温恒湿室にて24時間放置した後、マクベス濃度計(RD915、Macbeth社製)を用いて各色の印字濃度を測定し、得られた測定値の合計により評価した。
(顔料インク)
○:4色合計が5.70以上である。
△:4色合計が5.50以上5.70未満である。
×:4色合計が5.50未満である。
(染料インク)
○:4色合計が6.70以上である。
△:4色合計が6.50以上6.70未満である。
×:4色合計が6.50未満である。
【0043】
<印字ムラ>
表計算ソフト『エクセル』でブラック、グリーンのベタ画像を作製し印字した。恒温恒湿室にて24時間放置した後、印字面のムラ(ブラックの場合はテカリムラ)の具合を目視評価した。
○:ムラが全く無い。
△:ムラはあるものの実用上問題にならないレベルである。
×:全面にムラがあり実用には耐えられない。
【0044】
<インク吸収>
レッドとグリーン、及びブルーとイエローの各ベタ画像を隣り合わせにして印字して、その境界部の滲み具合を総合評価した。
○:境界部が鮮明でかつ滲みが認められない。
△:境界部がやや不鮮明だが滲みは認められない。
×:境界部が不鮮明で滲みが認められる。
【0045】
評価の結果は表1に示した通りである。表中の○又は△の評価であれば実用上問題ないが、×の評価では実用上問題がある。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
表1から明らかなように、実施例1〜2のインクジェット記録媒体は、顔料インク及び染料インク使用インクジェットプリンターで印字した場合、その印字品質、特に発色性、印字ムラ、インク吸収に優れている。以上のことから、本発明により得られたインクジェット記録媒体は、顔料インク及び染料インク適性を有し、特に発色性、インク吸収能が高く印字ベタ部の画像均一性に優れているため、鮮明で均質な画像が得られる。
【発明の所属する技術分野】
本発明は顔料インク及び染料インク適性を有するインクジェット記録媒体に関するものであり、特に高い発色性、インク吸収能を有し、印字ムラがなく優れた画像品質を得ることのできるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なことや印字騒音が少ないことなどから近年急速に普及してきた。この方式はノズルから記録媒体に向けてインクの微小液滴を高速で飛翔、付着させて画像や文字などの記録を行うものであり、インク中には多量の溶媒を含む。従って、記録媒体としては速やかにインクを吸収する必要がある。また、最近のコンピューターやデジタルカメラの普及により、銀塩写真に近い画像が求められるようになってきている。そこで、インクジェット記録用紙には高い発色性、解像度及び色再現性が必要となり、これに対応するため表面にインク受理層を設けたいわゆる塗工紙が開発されている。さらに用途の拡大などに伴い、インクジェット記録用紙には印字画像の耐水性や耐光性などの保存性が高いことといったより高度な特性も要求されるようになった。
【0003】
一方、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、水性染料インクが主に使用されている。水性染料インクは色材として染料が用いられているため発色性は良好であるものの耐光性や耐水性などの特性が悪く、記録画像の保存性や画像の堅牢度に問題がある。そこで色材として顔料を用いたインクが種々提案され実用化されている。
【0004】
顔料インクの利点としては上記のような耐光性、耐水性が優れている反面、印字濃度が低い、ベタ印字部の均一性に劣るなどの問題点もあり、逆に印字濃度を高くするためにインクをインク受理層表面に残すようにすると耐摩擦性が弱く、それゆえ印字物汚れ等を防止するために顔料を被記録媒体上に定着させる必要もあった。
【0005】
近年のインクジェット記録媒体においては、インクジェット記録装置用記録液の色材として染料、顔料ともに使用されるようになってきたため、インクジェット記録液が染料インク、顔料インクにかかわらず、上記のような特性を満足する記録媒体が要求されるようになってきた。
【0006】
例えば特開2001‐328344号公報では、インク吸収層中の無機顔料の吸油量が150ml/100g以上であり、平均二次粒子径が3.0μm以上15μm以下であることを特徴とする顔料インク用インクジェット記録媒体について提案されている。
【0007】
また特開2001‐270238号公報では、インク受容層に、平均粒子径が2〜17μmでありかつ非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミノシリケートおよびハイドロタルサイト群鉱物より選ばれる少なくとも1種の顔料と、接着剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含有することを特徴とする染料インク及び顔料インクでの記録特性に優れたインクジェット記録媒体について提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、染料インクと顔料インクではその発色機構が違い、インク受理層として要求される性能も異なってくる。すなわち、染料インクの染料は溶媒とともにインク受理層中の空隙に吸収され樹脂に定着するが、顔料インク中の顔料は、溶媒がインク受理層中に吸収されることでインク受容層表面に堆積定着する。
【0009】
特開2001‐328344号公報では、染料インクで印字した場合の印字適性については考慮されておらず、また特開2001‐270238号公報では、その印字特性、特に印字濃度やベタ印字部の均一性について更に改良の余地があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、染料インク、顔料インクを問わずに優れた画像品質を得ることができ、特に発色性、インク吸収能が高く印字ベタ部の画像均一性に優れたインクジェット記録媒体を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
染料インク及び顔料インクを用いて印字した場合の印字性能には、インク受理層中の無機顔料の性能が大きく関与していることは一般的に知られていた。しかし前記諸物性が該無機顔料のどの物性によるものなのかこれまで定かではなかった。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、インク受理層中の無機顔料の物性のうち吸油量、平均二次粒子径、比表面積という3つの物性を規定することで、顔料インク及び染料インクで印字を行った際に共に発色性、インク吸収能が高く、ベタ印字部の画像均一性にも優れたインクジェット記録媒体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、顔料及び親水性接着剤を主成分として含有するインク受理層を有するインクジェット記録媒体において、該無機顔料の吸油量が180〜220ml/100gであり、平均二次粒子径が6〜10μm、かつ比表面積が300m2/g以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体である。また該インク受理層にさらにカチオン性水溶性樹脂を含有するとなおよい。さらに該インクジェット記録媒体のインク受理層の塗工量は3〜20g/m2であることが好ましい。
【0013】
なお、顔料の物性は以下の方法に基づき測定した値である。
吸油量:顔料試験法を規定したJIS−K5101。
平均粒子径:コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製)でアパーチャー径50μmを使用。
比表面積:窒素ガス吸着によるBET法。
【0014】
本発明により、課題が達成される理由は定かではないが、以下のように考えられる。
これまで染料インクでは、インク受理層中の無機顔料の吸油量や平均二次粒子径がインク吸収性に影響することは知られていた。すなわち、該無機顔料の吸油量が多いと、染料インクの吸収がインク受理層表面近傍で起こることから、発色性が良好となる。また平均二次粒子径が小さいと二次粒子間の空隙が小さくなり吸収されたインキが狭い範囲に限定されインク滲みの少ない解像度がよい記録となる。一方で染料が無機顔料粒子の裏側にまで回りこむため発色性は悪くなる。しかし、顔料インク適性に関して、インク受理層中の、特に無機顔料の吸油量、平均二次粒子径及び比表面積が影響していることは大きな発見であった。そのような効果は、比表面積は無機顔料の一次粒子径と相関しており、一次粒子径が小さくなるほど比表面積が大きくなるとともに、二次粒子内の一次粒子間空隙が小さくなるので、二次粒子径に関係する二次粒子間空隙構造と関連して、顔料インク中の溶媒が吸収される際、例えば溶媒の吸収速度などが発色性や印字ムラに何らかの影響を及ぼして顔料インキの発色と印字ムラが改善されるものと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体は特に制限されるものではなく、木材繊維主体の紙、またはポリエチレンなどのプラスチック類、もしくは木材繊維や合成繊維を主体とした不織布のごときシート状物質が挙げられ、紙の場合は内添サイズ剤の添加又は無添加、填料の含有又は非含有で良く、サイズプレスの有無でも何等制限しない。
【0016】
本発明の支持体に使用される木材パルプとしてはLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応じて従来公知の填料やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機にて紙匹を形成した後に、乾燥させて得ることができる。特にインク吸収性に優れた支持体を使用することが望ましい。
【0017】
インク受理層に用いる無機顔料としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト等が使用することが出来るが、本発明で規定する吸油量、平均粒径および比表面積を合わせ有する顔料としては合成シリカが特に好ましく用いられる。
【0018】
無機顔料の吸油量が、180ml/100g未満であると染料インクで印字した際の発色性、インク吸収性が悪化し、220ml/100gを超えると顔料インクで印字した際の発色性、印字ムラが悪化するので好ましくない。さらに平均二次粒子径が、6μm未満であると特に顔料インクで印字した際の印字ムラが悪化し、10μmを超えると特に染料インクで印字した際のインク吸収性が悪化するので好ましくない。故に吸油量、平均二次粒子径については染料インク、顔料インク双方使用時の印字諸性能をバランス良く保つ範囲が要求される。また比表面積が300m2/g未満の場合は顔料インクで印字した際の発色性や印字ムラが悪化するので好ましくない。
【0019】
すなわち該無機顔料の吸油量、平均二次粒子径、比表面積という3つの物性を適正範囲とすることで、染料インク、顔料インクを問わずに優れた画像品質を得ることができ、特に発色性、インク吸収性が高く、印字ベタ部の画像均一性に優れたインクジェット記録媒体を得ることが可能となった。
【0020】
本発明で好ましく用いられる合成シリカとは非晶質シリカであり、合成非晶質シリカは大別して、各種天然シリカを出発原料として、湿式法と乾式法の2通りの方法で合成されており、さらに湿式法には沈降法とゲル法がある。非晶質シリカはこれら合成方法の違いにより物理的な性質をコントロールすることが出来、吸着分離用、触媒担体用、塗料や樹脂の充填用等使用目的に応じた性質をもつ非晶質シリカの合成が可能である。
【0021】
沈降法シリカは、通常珪酸ナトリウムと硫酸を反応させることにより合成されるが、反応条件として、比較的高温のアルカリ性のpH領域で反応させる。その結果、シリカ一次粒子の成長が早く進行し、一次粒子がフロック状に凝集し沈殿する。この様にして得られたシリカは一次粒子が大きい傾向にあり、そのため比表面積は小さく、二次粒子は柔らかくなる。
【0022】
ゲル法シリカは、一般的にシリカゲルとも表現されるが、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応を酸性のpH領域で進行させることにより、1次粒子は成長なしに凝集を起こす。この時、凝集体が形成する3次元網目構造により、反応液全体は一塊のゲルとなる。このようにしてできたゲル法シリカは、湿式法シリカと比較すると、一次粒子が小さく、また強い凝集体を形成しているため、二次粒子が硬く、細孔が小さい。それゆえ比表面積や吸油量が高いのが特徴である。
【0023】
乾式法シリカは一般的には四塩化珪素を原料に合成される。また、メチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も単独で、もしくは四塩化珪素と混合した状態のいずれかで原料として使用される。これら原料は気化され、続いて酸/水素ガス火炎中で中間体として生じる水と定量的に反応し、目的のシリカを形成する。乾式シリカは凝集構造がないため二次粒子の概念が無い。
【0024】
非晶質シリカとしては、上記のうち、湿式法により合成されたシリカが好ましく、特に好ましくはゲル法で合成されたシリカである。また本発明では、1種類の非晶質シリカを用いても良いが、2種以上の非晶質シリカを混合して用いることも可能である。
【0025】
本発明ではインク受理層にカチオン性水溶性樹脂を含有することも好ましい。本発明で使用されるカチオン性水溶性樹脂としては、二級アミン、三級アミン、及び四級アンモニウム塩としてポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルアミンアクリルアミド共重合体塩、ポリスチレンの四級アンモニウム塩等が挙げられる。中でも染料インクおよび顔料インクともに印字品質に優れ、特に印字濃度、耐水性が高いジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体が好ましい。またこれらカチオン性樹脂の2種類以上を配合使用することも可能である。
【0026】
これらカチオン性水溶性樹脂は、顔料インク中の色材である顔料が分散剤によって溶媒中に分散され、その表面が負に帯電していることより、これらを捕捉する作用がある。よって、顔料インクはインク受理層表面付近に残るようになり耐摩擦性が改善される。また染料インクについても同様に負に帯電している染料が、インク受理層中でカチオン性水溶性樹脂に捕捉され、保存性、特に耐水性が改善される。
【0027】
インク受理層には、塗膜としての特性を維持するために結着剤を有していることが好ましい。例えばポリビニルアルコール及びその変性物、酸化デンプン、エーテル化デンプン、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス、酢酸ビニル重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂等が使用できる。本発明においては、これらの結着剤の少なくとも1種を使用することができるが、その配合部数は、前記した顔料50〜100重量部に対し、5〜60重量部であることが好ましい。結着剤の配合部数が少ないと表面強度が不十分となり、多すぎるとインク吸収性が不十分となる。
【0028】
また、支持体あるいはインク受理層に、サイズ剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、保水剤などを必要に応じ適宜含有させることもできる。
【0029】
本発明において、支持体上に設けられるインク受理層の総数及び構成については特に限定されるものではない。すなわち、インク受理層を支持体の片面あるいは両面に2層以上設けてもよい。また、本発明において、インク受理層を支持体の片面に設けた場合は、支持体のインク受理層と反対側の面にカール矯正あるいは搬送性改良等の目的で塗工層を設けることも可能である。
【0030】
インク受理層の塗工量としては、インク受理層のインク吸収容量及び実用に耐えられる程度のインク受理層と支持体の接着強度を基準に決定することが好ましく、本発明においては乾燥塗工量が3〜20g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは5〜15g/m2である。乾燥塗工量が3g/m2に満たないと、インク受理層である塗工層が支持体表面を完全に覆うことが難しく、塗工層によるインクの吸収性が十分でないため、吸収ムラが発生し、インクジェット印字性能に悪影響が生じる。また、乾燥塗工量が20g/m2を超えると、インク受理層と支持体間の接着強度が実用に耐えられないレベルとなり、粉落ちと呼ばれる支持体からの塗工層の剥離等が発生し、重大な問題が生じる。
【0031】
インク受理層を支持体表面に設けるために、一般的な塗工装置である各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ショートドゥエルコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、サイズプレス等の各種装置をオンマシン又はオフマシンで使用することができる。
【0032】
本発明においては、インク受理層を塗工した後にインク受理層をマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り固形分重量部及び重量%を示す。
【0034】
<実施例1>
基紙
広葉樹漂白クラフトパルプ90%と針葉樹漂白クラフトパルプ10%を混合叩解して濾水度を350mlに調整したパルプに、炭酸カルシウム15部、カチオン化澱粉4部、及びアニオン化ポリアクリルアミド0.3部を添加し、公知の長網抄紙機で抄造乾燥した後マシンカレンダー処理を行い、坪量100g/m2の基紙を製造した。なお作製した基紙のステキヒトサイズ度は30秒であった。
インク受理層
顔料として、合成非晶質シリカ(SYLOID 74X4500:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径9μm、比表面積350m2/g:GRACE社製)100部、親水性接着剤として、ポリビニルアルコール(PVA―117 クラレ製)40部、エチレン酢酸ビニル共重合体(BE7000 中央理化工業製)4部、サイズ剤としてスチレンアクリル樹脂(ポリマロン360 荒川化学工業製)4部、カチオン性水溶性樹脂としてジメチルアミノエピクロロヒドリン縮合体8部に希釈水を加え攪拌混合して固形分濃度21%の塗料とした。この塗料を、前記支持体の片面にバーブレードコーターを用いて塗工量が10g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用紙を得た。
【0035】
<実施例2>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(SYLOID 74X5500:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径8μm、比表面積350m2/g:GRACE社製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0036】
<比較例1>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(NIPGEL AZ−600:吸油量315ml/100g、平均二次粒子径4μm、比表面積300m2/g:日本シリカ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、ブラック及びグリーンのベタ部にも酷いムラが発生した。また染料インクの場合もブラックのベタ部に酷いムラが発生した。
【0037】
<比較例2>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(CARPLEX BS312AM:吸油量225ml/100g、平均二次粒子径7.2μm、比表面積225m2/g:塩野義製薬製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、さらにブラックのベタ部にも酷いムラが発生した。
【0038】
<比較例3>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(FINESIL X60:吸油量240ml/100g、平均二次粒子径6.2μm、比表面積301m2/g:トクヤマ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低かった。
【0039】
<比較例4>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(FINESIL X37B:吸油量240ml/100g、平均二次粒子径3.7μm、比表面積287m2/g:トクヤマ製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、顔料インクを用いて印字したときの発色性が低く、ブラック及びグリーンのベタ部にも酷いムラが発生した。
【0040】
<比較例5>
インク受理層
実施例1の塗料配合を、合成非晶質シリカ(SYLOJET P612:吸油量200ml/100g、平均二次粒子径12μm、比表面積310m2/g:GRACE社製)100部に変更した点以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。その結果、染料インクを用いて印字したときの、グリーンのベタ部に酷いムラが発生した。さらにインク吸収も悪かった。
【0041】
<評価方法>
上記実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた塗料及びその記録用紙について、インクジェットプリンターで印字を行い、下記に示す方法で性能評価した。印字テストは、顔料インク使用インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン社製のMC−2000を、染料インク使用インクジェットプリンターとして同社製のPM−880Cを用いて、プリンター添付のプリンタードライバーの設定を、用紙についてはスーパーファイン専用紙2を、モード設定については推奨設定(きれい)をそれぞれ選択して行った。各項目において、△以上の評価であれば実用することができる。
【0042】
<発色性>
表計算ソフト『エクセル』でブラック、シアン、マゼンダ、イエローのベタ画像を作製し印字した。恒温恒湿室にて24時間放置した後、マクベス濃度計(RD915、Macbeth社製)を用いて各色の印字濃度を測定し、得られた測定値の合計により評価した。
(顔料インク)
○:4色合計が5.70以上である。
△:4色合計が5.50以上5.70未満である。
×:4色合計が5.50未満である。
(染料インク)
○:4色合計が6.70以上である。
△:4色合計が6.50以上6.70未満である。
×:4色合計が6.50未満である。
【0043】
<印字ムラ>
表計算ソフト『エクセル』でブラック、グリーンのベタ画像を作製し印字した。恒温恒湿室にて24時間放置した後、印字面のムラ(ブラックの場合はテカリムラ)の具合を目視評価した。
○:ムラが全く無い。
△:ムラはあるものの実用上問題にならないレベルである。
×:全面にムラがあり実用には耐えられない。
【0044】
<インク吸収>
レッドとグリーン、及びブルーとイエローの各ベタ画像を隣り合わせにして印字して、その境界部の滲み具合を総合評価した。
○:境界部が鮮明でかつ滲みが認められない。
△:境界部がやや不鮮明だが滲みは認められない。
×:境界部が不鮮明で滲みが認められる。
【0045】
評価の結果は表1に示した通りである。表中の○又は△の評価であれば実用上問題ないが、×の評価では実用上問題がある。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
表1から明らかなように、実施例1〜2のインクジェット記録媒体は、顔料インク及び染料インク使用インクジェットプリンターで印字した場合、その印字品質、特に発色性、印字ムラ、インク吸収に優れている。以上のことから、本発明により得られたインクジェット記録媒体は、顔料インク及び染料インク適性を有し、特に発色性、インク吸収能が高く印字ベタ部の画像均一性に優れているため、鮮明で均質な画像が得られる。
Claims (3)
- 支持体に、顔料及び親水性接着剤を主成分として含有するインク受理層を有するインクジェット記録媒体において、該無機顔料の吸油量が180〜220ml/100gであり、平均二次粒子径が6〜10μm、かつ比表面積が300m2/g以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 該インク受理層にさらにカチオン性水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
- 該インク受理層の塗工量が3〜20g/m2である請求項1または2記載のインクジェット記録媒体。
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