JP2005281686A - 加工性改良剤とその製造方法および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

加工性改良剤とその製造方法および熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 充分に乾燥され、優れた成形外観の成形品を得ることができ、しかも取扱性に優れた加工性改良剤とその製造方法および熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の加工性改良剤は、メタクリル酸メチル単位50〜90質量%およびその他のビニル単量体単位10〜50質量%を含むアクリル系共重合体100質量部に対して、下記アルキル硫酸エステル金属塩を0.5〜2質量部含有するアクリル共重合体組成物からなり、噴霧乾燥により得られたことを特徴とする。アルキル硫酸エステル金属塩:R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、上記加工性改良剤が0.1〜30質量部配合されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂の成形加工性を向上させる加工性改良剤とその製造方法およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂である塩化ビニル系樹脂は、耐薬品性、耐衝撃性、耐候性等が優れ、かつ安価であることから、利用価値の高い汎用樹脂材料として広く用いられている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は、通常の成形加工温度下では伸び特性、溶融強度が不足するため、成形加工条件を調整しても満足な成形体を得ることは困難であった。その対策として、高分子量のアクリル系共重合体を添加する方法が種々提案されている。この方法では、塩化ビニル系樹脂を溶融混練する際の溶融および混練の効率を高め、溶融強度を向上させて成形性を改善する。
高分子量のアクリル系共重合体は、メタクリル酸メチルと長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であり、長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分によって加工性改良剤として必要な性能の一つである滑り特性を付与できる。
ところが、長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが多量に共重合されたアクリル系共重合体を加工性改良剤として使用した場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を低下させ、耐熱性能を低下させるなどの好ましくない結果を引き起こした。さらに、長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが共重合された加工性改良剤は、一般的な熱可塑性樹脂との混和性が低下するために、加工性改良剤が滲出して表面外観を悪くする傾向にあった。
そこで、アクリル系共重合体中の長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量を少なくした加工性改良剤が提案されている。例えば、特許文献1には、メタクリル酸メチルなどの短鎖状の単量体を主成分とするアクリル系共重合体であって、ガラス転移温度以下の出口温度で噴霧乾燥により回収したものが開示されている。
特開平8−169914号公報
しかし、一般的な噴霧乾燥装置を用い、特許文献1に記載の方法のように出口温度を低くした場合には、充分に乾燥された粉体を得ることが困難であった。また、アクリル系共重合体のガラス転移温度を高くすれば特許文献1に記載の方法であっても充分に乾燥できるものの、アクリル系共重合体のガラス転移温度が高くなりすぎると、熱可塑性樹脂との溶融混練の際に、アクリル系共重合体が充分に溶融しなくなった。その結果、溶融強度が不足して成形外観の悪化を招いた。また成形加工温度を高くして溶融強度不足を補った場合には、加工性改良剤を添加する意味がない上に、アクリル系共重合体および/または熱可塑性樹脂が熱分解し、成形品が着色したり、発生した低分子量化合物により臭気が発生したりした。しかも、特許文献1に記載の方法で得られた粉体は極めて細かい粒子を含有しているために、粉体計量時に粉立ちが起こるなど、取扱性が著しく低かった。
本発明の目的は、充分に乾燥され、優れた成形外観の成形品を得ることができ、しかも取扱性に優れた加工性改良剤とその製造方法およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の加工性改良剤は、メタクリル酸メチル単位50〜90質量%およびその他のビニル単量体単位10〜50質量%を含むアクリル系共重合体100質量部に対して、下記アルキル硫酸エステル金属塩を0.5〜2質量部含有するアクリル共重合体組成物からなり、
噴霧乾燥により得られたことを特徴とする。
アルキル硫酸エステル金属塩:R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)
本発明の加工性改良剤においては、アクリル系共重合体に含まれるその他のビニル単量体単位が、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル単位および/またはアクリル酸アルキルエステル単位であることが好ましい。
さらには、アクリル系共重合体に含まれるその他のビニル単量体単位が、アルキル基の炭素数が2〜6のメタクリル酸アルキルエステル単位および/またはアルキル基の炭素数が1〜6のアクリル酸アルキルエステル単位であることが好ましい。
また、本発明の加工性改良剤においては、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cが3〜10であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、上記加工性改良剤が0.1〜30質量部配合されてなることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂が、塩化ビニル重合体を80質量%以上含む塩化ビニル系樹脂である場合に好適である。
本発明の加工性改良剤の製造方法は、メタクリル酸メチル50〜90質量%とその他のビニル単量体10〜50質量%とを含む単量体混合物を、該単量体混合物100質量部に対して0.5〜2質量部の下記アルキル硫酸エステル金属塩の存在下で乳化重合してアクリル系共重合体分散液を得る重合工程と、
該アクリル系共重合体分散液を噴霧乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする。
アルキル硫酸エステル金属塩:R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)
本発明の加工性改良剤は、熱可塑性樹脂の溶融および混練の効率を高めることができ、溶融強度を充分に高くすることできる。よって、成形性を向上させることができ、優れた外観の成形品を容易に得ることができる。また、この加工性改良剤は、取扱性に優れ、充分に乾燥されたものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶融強度が高く、成形性が高いので、優れた外観の成形品を容易に得ることができる。また、成形条件幅が広がるので、成形工程を簡略化・効率化でき、より広範囲な用途に用いることが可能になる。
本発明の加工性改良剤は、アクリル系共重合体とアルキル硫酸エステル金属塩とを含有するアクリル共重合体組成物からなるものである。
アクリル系共重合体は、メタクリル酸メチル単位50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%と、その他のビニル単量体単位10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%とを含有するものである。アクリル系共重合体中のメタクリル酸メチル単位の含有量が、50質量%未満であると溶融および混練の効率を高めることができず、外観が良好な成形体を得ることが困難になる。また、加工性改良剤を粉体として回収する工程で粉体がブロッキングしたり、熱可塑性樹脂と配合する際にコンパウンドの嵩比重が低下したりする。一方、90質量%を超える場合には、粉体回収工程の際に発生した微粉量が多くなり、粉体計量時に粉立ちが発生するなど粉体取扱性が著しく低くなる。
その他のビニル単量体単位としては、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル、シアン化ビニルを例示することができる。これらの中でも、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数2〜6のメタクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数1〜6のアクリル酸アルキルエステルがさらに好ましい。なお、炭素数が6を超えるメタクリル酸アルキルエステルを用いた場合には、乳化重合が進行しにくくなるために残存単量体濃度が高くなり、粉体のブロッキング、熱可塑性樹脂組成物を成形加工する際の臭気の発生を招くおそれがある。さらには、熱可塑性樹脂との混和性が低下し、成形品表面への加工性改良剤の滲出による成形外観を悪化させる傾向にある。また、炭素数が6を超えるアクリル酸アルキルエステルを用いた場合には、アクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなりすぎるために、粉体のブロッキングが起こりやすくなる傾向にある。
加工性改良剤中のアルキル硫酸エステル金属塩は、R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)で表されるものであり、例えば、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸酸塩ナトリウム、およびこれらの混合物などが挙げられる。
アルキル硫酸エステル金属塩の含有量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.5〜2.0質量部である。アルキル硫酸エステル金属塩の含有量が0.5質量部以上であることで熱可塑性樹脂の成形性を高めることができ、2.0質量部以下であることで外観不良を防止する。すなわち、アルキル硫酸エステル金属塩の含有量が前記範囲であることで、この加工性改良剤が滑剤としての効果を発揮し、成形品の成形外観を良好にできる。
加工性改良剤として優れた効果を発揮するためには、加工性改良剤が上記構成であることに加えて、適度にアクリル系共重合体が高分子量であることが好ましい。具体的には、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cが3〜10であることが好ましい。ここでいう還元粘度ηsp/cとは、アクリル共重合体組成物0.1gを100mLのクロロホルムに溶解した溶液の25℃での還元粘度のことである(単位dL/g)。アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cが3未満の場合には、アクリル系共重合体の分子量が低く、溶融および混練の効率が高くならず、溶融強度付与効果が不足して、成形体の外観が良くならないことがある。一方、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cが10を超える場合には、アクリル系共重合体の分子量が高く、溶融強度付与効果が高くなり過ぎて成形体の成形外観がかえって低下する傾向にある。
なお、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cは、重合時の連鎖移動剤、開始剤の使用量および重合温度等などによって調節することができる。
この加工性改良剤を製造するには、まず、重合工程にて、メタクリル酸メチル50〜90質量%およびその他のビニル単量体10〜50質量%を含む単量体混合物と、この単量体混合物100質量部に対して0.5〜2.0質量部のアルキル硫酸エステル金属塩とを水中で混合して単量体乳化液を得る。ここで、アルキル硫酸エステル金属塩は乳化剤としての役割を果たす。そして、周知の方法で乳化重合してアクリル系共重合体とアルキル硫酸エステル金属塩とを含むアクリル系共重合体分散液を得る。
次いで、乾燥工程にて、重合工程で得られたアクリル系共重合体分散液を噴霧乾燥して、加工性改良剤の粉体を回収する。噴霧乾燥の条件としては特に制限はないが、粉体取扱性、粉体中の残存水分率などを考慮すると、アクリル系共重合体のガラス転移温度をTgとした際に、噴霧乾燥時の出口温度が、(Tg−5℃)または60℃のいずれか高い方の温度〜(Tg+20℃)の範囲内であることが好ましい。出口温度が(Tg−5℃)または60℃のいずれか高い方の温度を下回る温度では、粉体を充分に乾燥できないことがあり、Tg+20℃を上回る場合には、粉体が噴霧乾燥装置内に融着して回収率が低下することがある。
なお、一般的には、アクリル系共重合体分散液からポリマーを回収する方法としては、多価の金属塩もしくは硫酸などの強酸を凝集剤として使用した凝固回収法が採用されるが、この方法では、凝集剤によって乳化剤が他の金属塩やスルホン酸化合物に変質する。その結果、熱可塑性樹脂組成物としたときの滑剤としての効果が低下し、熱可塑性樹脂やアクリル系共重合体の熱分解を促進する。さらには、凝固回収法では、凝集・固化した共重合体を水洗するので、アルキル硫酸エステル金属塩の残存量を制御することが困難である。よって、加工性改良剤を噴霧乾燥によって得ることは、加工性改良剤の高性能化にあたっては重要な要素である。
以上説明した加工性改良剤は、特定のアクリル系共重合体と特定のアルキル硫酸エステル金属塩とを含有する。アクリル共重合体によって熱可塑性樹脂の溶融強度が高められ、かつアクリル系共重合体に含有するアルキル硫酸エステル金属塩が滑剤として機能するために溶融混練が安定的に行うことができる。さらにはアルキル硫酸エステル金属塩がアクリル系共重合体の表面に吸着した状態で回収されているため、アルキル硫酸エステル金属塩が効率良く熱可塑性樹脂にしたときに混合されるため、少量の添加量でも滑剤として充分な効果を発揮する。また、長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが多量に共重合されたものではないから、熱可塑性樹脂との混和性に優れており、成形品表面への加工性改良剤の滲出を防止できる。さらに、噴霧乾燥によって得られたものであるため、アルキル硫酸エステル金属塩の含有量を制御しやすい上に、アルキル硫酸エステル金属塩が変質せずに加工性改良剤の効果を十分に発揮する。
よって、この加工性改良剤は、成形性を向上させることができ、優れた外観の成形品を容易に得ることができる。
また、この加工性改良剤は、特定のアクリル系共重合体が主成分であり、ガラス転移温度が高いため、高温で噴霧乾燥でき、充分に乾燥できる。
さらに、この加工性改良剤は、メタクリル酸メチル単位を主成分としており、長鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を多く含むものではないから、微粒子の含有量を少なくでき、取扱性が高い。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、上記加工性改良剤が0.1〜30質量部配合されてなるものである。ここで、加工性改良剤の配合割合が0.1質量部より少なくても、あるいは30質量部より多くても溶融強度付与の効果が低下し、良好な成形外観を有する成形品を得ることが困難となる。
熱可塑性樹脂としては特に制限されず、例えば、塩化ビニル重合体や後塩素化塩化ビニル重合体などの塩化ビニル系樹脂、ポリスチレンなどのビニル重合体などが挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂を80質量%以上含む塩化ビニル系樹脂である場合には、本発明はとりわけ効果を発揮する。
熱可塑性樹脂組成物には、物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて、発泡剤、安定剤、滑剤、充填剤、耐衝撃性改質剤、難燃剤、離型剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤等の各種添加剤を添加することができる。
発泡剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミドなどのアゾ系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤;炭酸水素ナトリウムなどの無機系発泡剤等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛などの鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有してなる有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系などの複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛などの金属基と2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸などの分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの芳香族酸といった有機酸の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体などの有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤などといった金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物、有機亜リン酸エステルなどの非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレンなどの純炭化水素系滑剤、ハロゲン化炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリドなどの脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)などのエステル系滑剤のほか、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステルなどが挙げられ、これらは1種あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウムなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機質系のもののほか、ポリアミド等のような有機繊維などが挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。
耐衝撃性改質剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)などが挙げられる。EPDMのジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネンなどが挙げられる。これらの耐衝撃性改質剤は1種または2種以上組み合わせて使用できる。
難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物などが挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。
この熱可塑性樹脂組成物を製造するには、周知の溶融混練方法を適用すればよい。例えば、所定量の熱可塑性樹脂と加工性改良剤とをヘンシェルミキサ、バンバリーミキサ、V型ミキサ、リボンブレンダ等で混合し、その混合物を、単軸押出機、二軸押出機などの混練押出機により溶融混練することで、熱可塑性樹脂組成物を得る
そして、得られた熱可塑性樹脂組成物を、例えば、発泡成形、射出成形、中空成形、押出成形などの周知の成形方法で成形することにより、各種成形品を得ることができる。
以上説明した熱可塑性樹脂組成物は、上記加工性改良剤を含有しており、溶融および混練の効率が高いので、溶融強度が高く、成形性が高い。したがって、優れた外観の成形品を容易に得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実験例1:アクリル系共重合体(a−1)分散液の調製>
攪拌機付き反応容器にイオン交換水を150部仕込み、さらにメタクリル酸メチル(MMA)70質量部、メタクリル酸ノルマルブチル(nBMA)30質量部、ノルマルオクチルメルカプタン0.006質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.2部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、反応容器を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を加えた後、2時間加熱攪拌し重合を終了してアクリル系共重合体(a−1)分散液を得た。
得られた分散液を乾燥機で乾燥後、以下の方法でアクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cを測定したところ、ηsp/c=6.0であった。
(還元粘度)
得られたアクリル重合体組成物0.1gを100mLのクロロホルムに溶解して得た溶液を、ウベローデ型粘度計により温度25℃で測定した。
<実験例2:アクリル系共重合体(a−2)分散液の調製>
攪拌機付き反応容器にイオン交換水を150部仕込み、さらにメタクリル酸メチル85質量部、アクリル酸ノルマルブチル(nBA)15質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.2部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、反応容器を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を加えた後、2時間加熱攪拌し重合を終了してアクリル系共重合体(a−2)分散液を得た。
得られた分散液を乾燥機で乾燥後、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cを測定したところ、ηsp/c=9.0であった。
<実験例3:アクリル系共重合体(a−3)分散液の調製>
攪拌機付き反応容器にイオン交換水を150部仕込み、さらにメタクリル酸メチル40質量部、アクリル酸ノルマルブチル10質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.2部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、反応容器を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を加えた後、2時間加熱攪拌し1段目の重合を終了した。その後、反応容器内温を70℃に保持した後、メタクリル酸メチル25質量部、アクリル酸ノルマルブチル25質量部、ノルマルオクチルメルカプタン0.003質量部の混合物を60分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに60分間加熱攪拌を続け、重合を終了してアクリル系共重合体(a−3)分散液を得た。
得られた分散液を乾燥機で乾燥後、アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cを測定したところ、ηsp/c=3.5であった。
<実験例4:アクリル系共重合体(a−4)分散液の調製>
乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム1.2部の代わりにラテムルASK(花王製、アルケニルコハク酸カリウム)を1.2部用いた以外は、実験例1に準じてアクリル系共重合体(a−4)分散液を得た。このアクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cは6.0であった。
<実験例5:アクリル系共重合体(a−5)分散液の調製>
乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム1.2部の代わりにラテムルASKを1.2部用いた以外は、実験例2に準じてアクリル系共重合体(a−5)分散液を得た。このアクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cは9.0であった。
<実験例6:アクリル系共重合体(a−6)分散液の調製>
乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム1.2部の代わりにラテムルASKを1.2部用いた以外は、実験例3に準じてアクリル系共重合体(a−6)分散液を得た。このアクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cは3.5であった。
[実施例1]
アクリル系共重合体(a−1)分散液を、入口温度160℃および出口温度70℃の噴霧乾燥機で噴霧乾燥して粉体状の加工性改良剤(P−1)を得た。得られた加工性改良剤を以下のように評価した。その評価結果を表1に示す。
(スティッキングタイム)
ポリ塩化ビニル(平均重合度700)100質量部、オクチル錫メルカプチド1.3質量部、内部滑剤0.5質量部、外部滑剤0.7質量部、C215A(三菱レイヨン製)6.0質量部、加工性改良剤(P−1)2.0質量部を配合して評価用配合物を得た。その配合物を、200℃に予熱した8インチロールに投入し、17回転でロール混練したときに、ロールからはがれなくなるまでの時間を測定し、その時間をスティッキングタイムとした。スティッキングタイムが長いほど長時間成形加工性に優れることを示す。
(成形外観評価)
ポリ塩化ビニル(平均重合度700)100質量部、メチル錫メルカプチド2.0質量部、ステアリン酸カルシウム1.0質量部、滑剤3.0質量部、タルク10.0質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)1.0質量部、重曹7.0質量部、加工性改良剤15質量部をヘンシェルミキサにより混合し、内温90℃にてブレンドを終了して熱可塑性樹脂組成物を得た。そして、この熱可塑性樹脂組成物を30mm単軸押出機により成形し、その成形品の成形外観の肌理を目視により評価した。(肌理:表面の平滑性を1から5段階で評価した。なお、1:不良〜5:良好である。)
Figure 2005281686
[実施例2]
アクリル系共重合体(a−1)分散液の代わりにアクリル系共重合体(a−2)分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして粉体状の加工性改良剤(P−2)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
アクリル系共重合体(a−1)分散液の代わりにアクリル系共重合体(a−3)分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして粉体状の加工性改良剤(P−3)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
アクリル系共重合体(a−4)分散液を、攪拌機を備えた容器に仕込まれ、あらかじめ50℃に加温された硫酸水溶液に添加して凝集させた。次いで、90℃まで昇温して凝集物を固化させ、ろ別水洗後、70℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させ、20メッシュの篩を用いて粗大粒子を篩別して粉体状の加工性改良剤(P−4)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表2に示す。
Figure 2005281686
[比較例2]
アクリル系共重合体(a−4)分散液の代わりにアクリル系共重合体(a−5)分散液を用いたこと以外は比較例1と同様にして粉体状の加工性改良剤(P−5)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
アクリル系共重合体(a−4)分散液の代わりにアクリル系共重合体(a−6)分散液を用いたこと以外は比較例1と同様にして粉体状の加工性改良剤(P−6)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表2に示す。
[比較例4]
アクリル系共重合体(a−4)分散液を、入口温度160℃および出口温度70℃の噴霧乾燥機で噴霧乾燥して粉体状の加工性改良剤(P−7)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表2に示す。
[比較例5]
アクリル系共重合体(a−4)分散液の代わりにアクリル系共重合体(a−1)分散液を用いたこと以外は比較例1と同様にして粉体状の加工性改良剤(P−8)を得た。得られた加工性改良剤の評価結果を表2に示す。
実施例1〜3の加工性改良剤は、乳化剤としてアルキル硫酸エステル金属塩を用いて乳化重合し、そのアクリル系共重合体分散液を噴霧乾燥して得たものであったため、これらを配合した熱可塑性樹脂の成形体では、スティッキングタイムが長かった。しかも、成形外観に優れていた。
一方、比較例1〜3の加工性改良剤は、乳化剤としてアルケニルコハク酸カリウムを用いて乳化重合し、そのアクリル系共重合体分散液を凝固して得たものであったため、これらを配合した熱可塑性樹脂の成形体では、スティッキングタイムが短かった。また、比較例1,2は成形外観が良好でなかった。
比較例4の加工性改良剤は、乳化剤としてアルケニルコハク酸カリウムを用いて乳化重合し、そのアクリル系共重合体分散液を噴霧乾燥して得たものであったため、これらを配合した熱可塑性樹脂の成形体では、スティッキングタイムが短かった。また、成形外観が良好でなかった。
比較例5の加工性改良剤は、乳化剤としてアルキル硫酸エステル金属塩を用いて乳化重合し、そのアクリル系共重合体分散液を凝固して得たものであったため、これらを配合した熱可塑性樹脂の成形体では、スティッキングタイムが短かった。また、成形外観が良好でなかった。

Claims (7)

  1. メタクリル酸メチル単位50〜90質量%およびその他のビニル単量体単位10〜50質量%を含むアクリル系共重合体100質量部に対して、下記アルキル硫酸エステル金属塩を0.5〜2質量部含有するアクリル共重合体組成物からなり、
    噴霧乾燥により得られたことを特徴とする加工性改良剤。
    アルキル硫酸エステル金属塩:R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)
  2. アクリル系共重合体に含まれるその他のビニル単量体単位が、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル単位および/またはアクリル酸アルキルエステル単位であることを特徴とする請求項1に記載の加工性改良剤。
  3. アクリル系共重合体に含まれるその他のビニル単量体単位が、アルキル基の炭素数が2〜6のメタクリル酸アルキルエステル単位および/またはアルキル基の炭素数が1〜6のアクリル酸アルキルエステル単位であることを特徴とする請求項1に記載の加工性改良剤。
  4. アクリル共重合体組成物の還元粘度ηsp/cが3〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加工性改良剤。
  5. 熱可塑性樹脂100質量部に対して、請求項1〜4のいずれかに記載の加工性改良剤が0.1〜30質量部配合されてなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂が、塩化ビニル重合体を80質量%以上含む塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. メタクリル酸メチル50〜90質量%とその他のビニル単量体10〜50質量%とを含む単量体混合物を、該単量体混合物100質量部に対して0.5〜2質量部の下記アルキル硫酸エステル金属塩の存在下で乳化重合してアクリル系共重合体分散液を得る重合工程と、
    該アクリル系共重合体分散液を噴霧乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする加工性改良剤の製造方法。
    アルキル硫酸エステル金属塩:R−OSOM(Rはアルキル、アルキル置換芳香族、Mはアルカリ金属)
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