JP2005255717A - 発泡成形用加工助剤、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物、および発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細で均一な発泡セルを有し優れた外観を有する塩化ビニル系樹脂発泡成形品の製造に有用な発泡成形用加工助剤を提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチル50〜80質量%、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル20〜50質量%およびその他の共重合しうる単量体0〜20質量%を共重合して得られる粉体状の共重合体からなる加工助剤であって、該共重合体の還元粘度ηsp/cが4〜6でありかつ該共重合体を噴霧乾燥により粉体回収してなることを特徴とする発泡成形用加工助剤;塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して上記発泡成形用加工助剤(B)1〜25質量部を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物;並びに、上記塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物から成形された発泡成形体。
【選択図】なし
【解決手段】メタクリル酸メチル50〜80質量%、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル20〜50質量%およびその他の共重合しうる単量体0〜20質量%を共重合して得られる粉体状の共重合体からなる加工助剤であって、該共重合体の還元粘度ηsp/cが4〜6でありかつ該共重合体を噴霧乾燥により粉体回収してなることを特徴とする発泡成形用加工助剤;塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して上記発泡成形用加工助剤(B)1〜25質量部を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物;並びに、上記塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物から成形された発泡成形体。
【選択図】なし
Description
本発明は、発泡成形用加工助剤、その加工助剤を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物、および、その樹脂組成物から得られる発泡成形体に関する。より詳しくは、塩化ビニル系樹脂組成物の発泡成形性をより向上させることができる加工助剤に関する。
塩化ビニル系樹脂は、耐薬品性、耐衝撃性、耐候性等の優れた性質を有し、かつ安価であることから、利用価値の高い汎用樹脂材料として広く用いられている。発泡成形は好適な用途の一つであり、例えば合成木材等を指向した建材部材として発泡成形体の製造が試みらている。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂からそのまま発泡体を製造する場合は、塩化ビニル系樹脂の通常の成形加工温度下では伸び特性、溶融強度が不足するので、不均質な発泡セル構造しか与えず、また任意の高発泡倍率とすることができず、満足な発泡成形体を得ることは困難である。さらに、塩化ビニル系樹脂は許容成形条件幅が狭いので、成形加工条件の変更だけによって満足な発泡成形体を得ることも困難である。
このような塩化ビニル系樹脂の発泡成形性を改善するために、主に溶融強度の付与を目的として、高分子量のアクリル系樹脂を添加する手法が種々提案されている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂の発泡成形の普及、拡大と相俟って、近年、発泡成形体に対してより優れた成形性および成形外観が要求されている。
塩化ビニル系樹脂の発泡成形性を向上させるためには、その溶融および混練を効率良く行なうことが必要である。そのために、高分子量のアクリル系樹脂を添加する方法がある。例えば、特許文献1には、乳化重合によりアクリル重合体ラテックスを製造し、このラテックスを噴霧乾燥して粉体状のアクリル重合体を回収し、これを塩化ビニル樹脂に添加する方法が開示されている。しかし、この特許文献1には、アクリル重合体粉体の残存モノマー濃度に関する記載しかなく、発泡成形用加工助剤として使用する場合の重合体の分子量または還元粘度の記載は無い。
一方、特許文献2には、アクリル重合体を噴霧乾燥する際に得られた粉体の空隙率をある比率以上とすると、外観の良好な発泡成形体が得られると記載されている。しかし、本発明者らの知見によれば、ここで記載されている還元粘度の範囲内に入る重合体からなる加工助剤を用いたとしても、外観が不十分な発泡成形体が得られる場合がある。
特開平8−169914号公報
国際公開99/43741号パンフレット
本発明の目的は、微細で均一な発泡セルを有し、さらには優れた外観を有する塩化ビニル系樹脂発泡成形品の製造に有用な発泡成形用加工助剤、その加工助剤を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物、および、その樹脂組成物から得られる発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特に発泡成形用加工助剤として使用する共重合体について、その還元粘度を一定の範囲内にすることが加工性および成形品の物性に重要な影響を与えることを見い出し、さらに特定の還元粘度と組成を持つメタクリル酸エステル系共重合体粉体を噴霧乾燥により粉体回収し、これを発泡成形用加工助剤として配合すると、塩化ビニル系樹脂組成物の発泡成形性を著しく向上できることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、メタクリル酸メチル50〜80質量%、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル20〜50質量%およびその他の共重合しうる単量体0〜20質量%を共重合して得られる粉体状の共重合体からなる加工助剤であって、該共重合体の還元粘度ηsp/cが4〜6であり、かつ該共重合体を噴霧乾燥により粉体回収してなることを特徴とする発泡成形用加工助剤である。
さらに、本発明は、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、請求項1記載の発泡成形用加工助剤(B)1〜25質量部を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物である。
さらに、本発明は、上記塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物から成形された発泡成形体である。
本発明の発泡成形用加工助剤を配合することにより、塩化ビニル系樹脂組成物の溶融および混練を効率良く行ない、かつ溶融強度を高めることができる。これにより、塩化ビニル系樹脂組成物を用いた発泡成形において、微細で均一な発泡セルを有し、さらには優れた外観を有する発泡成形品を得ることができる。
本発明の発泡成形用加工助剤(B)は、メタクリル酸メチル、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、および所望によりその他の共重合しうる単量体を共重合して得られる共重合体の粉体から構成される。
メタクリル酸メチルの量は、50〜80質量%、好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは60〜75質量%である。50質量%未満では、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物の溶融および混練を効率良く行なうことができず、微細で均一な発泡セル構造と高発泡倍率の達成が困難となり、さらに粉体として回収する工程での粉体のブロッキング、あるいは塩化ビニル系樹脂とのブレンド時におけるコンパウンドの嵩比の低下等がみられる。また、80質量%を超えると、成形外観が損なわれる。
炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル等が挙げられる。なかでも、メタクリル酸n−ブチルが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルは、目的に応じて1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの量は、20〜50質量%、好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは25〜40質量%である。20質量%未満では、成形外観が損なわれる。また、50質量%を超えると、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物の溶融および混練を効率良く行なうことができず、良好な外観を有する発泡成形体を得る事が困難となり、さらに粉体として回収する工程での粉体のブロッキング、あるいは塩化ビニル系樹脂とのブレンド時におけるコンパウンドの嵩比の低下等が生ずる。
その他の共重合しうる単量体としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;無水マレイン酸等の酸無水物;などが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。その他の共重合しうる単量体も、目的に応じて1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の共重合しうる単量体の量は、0〜20質量%である。これが20質量%を超えると、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物の溶融および混練を効率よく行なうことができず、良好な外観を有する発泡成形体を得る事が困難となる。
上述の各単量体以外に、さらに、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート等の多官能性単量体を使用してもよい。多官能性単量体の量は、好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.2〜1.0質量%である。これら各範囲の上限値は、成形外観の点で意義がある。
本発明において、発泡成形用加工助剤(B)を構成する共重合体の還元粘度ηsp/cは、4〜6である。還元粘度ηsp/cが4未満であると、溶融強度付与効果が低下し、充分な発泡倍率の成形体が得られなくなる。また、6を超えると、溶融強度付与効果が高くなり過ぎて成形体の成形外観が低下することとなる。さらに、この還元粘度ηsp/cは、4.5〜6が好ましく、5〜5.8がより好ましい。この還元粘度ηsp/cは、共重合体0.1gを100mlのクロロホルムに溶解し、25℃で測定した値である。共重合体の還元粘度ηsp/cをこの範囲に調節する方法としては、例えば、重合時の連鎖移動剤や開始剤の使用量の調節、重合温度の調節等の方法が挙げられるが、表面外観の良好な発泡成形体を得るには連鎖移動剤を使用して調節する方法が好ましい。
共重合体を得る為の重合法としては、従来より知られる各種の方法を用いることができる。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等が挙げられる。重合時の単量体の添加方法は、一括添加、滴下、分割添加の何れでもよい。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合の何れでもよいが、単量体のの一括添加により得られるランダム共重合体が好ましい。
乳化重合法において使用する乳化剤は特に限定されず。従来から知られる各種のものを使用できる。具体例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩等カチオン性界面活性剤;などが挙げられる。これら乳化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組合わせて使用することができる。
乳化剤の種類により重合系のpHがアルカリ側になるときは、メタクリル酸アルキルエステルの加水分解を防止するために適当なpH調節剤を使用することもできる。pH調節剤としては、例えば、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム、ホウ酸−塩化カリウム−炭酸カリウム、クエン酸−クエン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム−ホウ砂、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸等を使用できる。
重合の際には、通常は重合開始剤を使用する。この重合開始剤は、水溶性または油溶性の単独系またはレドックス系の重合開始剤である。例えば、過硫酸塩等の無機系開始剤を単独で用いたり、あるいは、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等と組合わせてレドックス系開始剤として用いることができる。また例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、アゾ化合物等を単独で用いたり、あるいは、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等と組合わせてレドックス系開始剤として用いることもできる。ただし、これらに限定されるものではない。
本発明においては、以上説明した共重合体を噴霧乾燥により粉体回収して、これを発泡成形用加工助剤とする。例えば、乳化重合法により共重合体ラテックスを得た場合は、そのラテックスから共重合体を回収する方法としては、酸凝固、塩析、凍結乾燥等の種々の方法が存在する。しかし、本発明においては、微細で均一な発泡セルの形成の促進および良好な成形外観を得る為に、噴霧乾燥により粉体回収を行なう。
噴霧乾燥の条件に特に制限はないが、乾燥室の出口温度が共重合体のガラス転移温度よりも極端に高いと、乾燥室の内壁への粉体の付着によって回収率が低下する。一方、出口温度が極端に低いと、十分に乾燥された粉体を得る事が困難となり、これを加工助剤として使用すると発泡成形体の異常発泡を引き起こす事がある。したがって、乾燥室の出口温度は、50℃〜100℃が好ましく、特に「共重合体のガラス転移温度−20℃」または「60℃」の何れか高い方の温度以上であって、「共重合体のガラス転移温度+20℃」または80℃の何れか低い方の温度以下の範囲内とすることが最も好ましい。
本発明の発泡成形用加工助剤(B)を、塩化ビニル系樹脂(A)に配合することによって、本発明の塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物が得られる。
塩化ビニル系樹脂(A)は特に制限されず、例えば、塩化ビニルの単独重合体、後塩素化塩化ビニル重合体、部分架橋塩化ビニル重合体、塩化ビニルと他のビニル化合物とを共重合してなる塩化ビニル系共重合体等を使用できる。これら塩化ビニル系樹脂は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。このうち、塩化ビニル系共重合体については、塩化ビニル系樹脂の本来の特徴を維持する点から、他のビニル化合物の使用割合は30質量%以下であることが好ましい。塩化ビニルと共重合させる他のビニル化合物は、特に限定されない。その具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフイン;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のアルキルビニルエーテル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物;などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度は、300〜5000の範囲内が好ましく、500〜3000の範囲内がより好ましい。これが300以上であれば、発泡倍率や発泡体の機械物性の低下を抑制できる傾向にある。また、5000以下であれば、加工性の低下を抑制できる傾向にある。
塩化ビニル系樹脂(A)の製造方法は、特に制限されない。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法などの種々の重合法で製造することができる。
発泡成形用加工助剤(B)の配合量は、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して1〜25質量部、好ましくは5〜15質量部である。この配合量が1質量部未満では、溶融強度付与効果が低下し、微細で均一な発泡セルを有した高発泡倍率で、かつ良好な成形外観を有した発泡成形品が得られなくなる。また、25質量部を超えると、成形体の成形外観が低下する。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、従来より知られる各種の方法、例えば溶融混練法を用いることができる。溶融混練法としては、具体的には、例えば、塩化ビニル系樹脂(A)と発泡成形用加工助剤(B)を、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、V型ミキサー、リボンブレンダー等で混合する方法がある。そのようにして得た樹脂組成物を、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の混練押出機により溶融混練して押出す等の方法により発泡成形を行い、所望形状の発泡成形品を得ることができる。
塩化ビニル系樹脂組成物を発泡成形に用いる場合は、通常は発泡剤を配合する。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、例えば、安定剤、滑剤、充填剤、耐衝撃性改質剤、難燃剤等の各種添加剤を添加することもできる。
発泡剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド等のアゾ系発泡剤;N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ系発泡剤;炭酸水素ナトリウム等の無機系発泡剤;などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
安定剤としては、金属系安定剤、非金属系安定剤の何れも使用できる。金属系安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有してなる有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、有機酸(例えば2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸)の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤;などが挙げられる。非金属系安定剤としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物;有機亜リン酸エステル;などが挙げられる。これら安定剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロール等の部分エステル;などが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質系の充填材が挙げられる。また、ポリアミド等の有機繊維も使用できる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
耐衝撃性改質剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。また、EPDMのジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物等が挙げられる。
その他、離型剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて適宜配合できる。
本発明の塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物は、発泡成形によって所望形状の発泡成形体を得る為の樹脂材料である。この発泡成形は、フリー発泡成形、セルカ発泡成形の何れの成形方法でも良い。また、先に説明した溶融混練法に従い、樹脂組成物を溶融混練すると同時に樹脂を発泡させる発泡押出成形法を用いることができる。
本発明の塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物は、発泡押出成形の他、通常の公知の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形などにも適用して各種成形品を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。各実施例、比較例中「部」とあるのは「質量部」を示し、評価は下記に従った。
(還元粘度ηsp/c)
共重合体0.1gを100mlのクロロホルムに溶解し、25℃でウベローデ型粘度計を使用して測定した。
共重合体0.1gを100mlのクロロホルムに溶解し、25℃でウベローデ型粘度計を使用して測定した。
(発泡倍率:「ダイスウエル」「比重」)
発泡成形品のダイスウェル値が大きく、かつ比重値が小さいものほど高いことを意味する。
発泡成形品のダイスウェル値が大きく、かつ比重値が小さいものほど高いことを意味する。
(発泡成形品の外観:「凹凸レベル」「表面肌理」「外観」)
成形品の表面を観察し、表面に凹凸が少ないものほど、また表面光沢(肌理)が良好なものほど外観良好であるとした。外観の評価は具体的には以下の基準により行った。
「○」:凸凹、肌理のいずれも良好(凸凹+肌理の合計が7ポイント以上)。
「△」:凸凹、肌理のいずれかが不良(凸凹+肌理の合計が6ポイント以上)。
「×」:凸凹、肌理いずれも不良(凸凹+肌理の合計が5ポイント以下)。
成形品の表面を観察し、表面に凹凸が少ないものほど、また表面光沢(肌理)が良好なものほど外観良好であるとした。外観の評価は具体的には以下の基準により行った。
「○」:凸凹、肌理のいずれも良好(凸凹+肌理の合計が7ポイント以上)。
「△」:凸凹、肌理のいずれかが不良(凸凹+肌理の合計が6ポイント以上)。
「×」:凸凹、肌理いずれも不良(凸凹+肌理の合計が5ポイント以下)。
<実施例1>
攪拌機および環流冷却器付き反応容器に、イオン交換水230部を仕込み、さらにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5部を加えて、容器内を窒素ガスで置換した。その後、過硫酸カリウム0.2部、n−オクチルメルカプタン0.005部、メタクリル酸メチル70部およびメタクリル酸n−ブチル30部を仕込み、攪拌しながら反応容器の外温を65℃に昇温し、2時間加熱攪拌して重合を終了し、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、入口温度160℃および出口温度70℃で噴霧乾燥を行ない、共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは、0.58であった。この粉体15部を、ポリ塩化ビニル(平均重合度700)100部、メチル錫メルカプチド2.0部、ステアリン酸カルシウム1.0部、滑剤3.0部、タルク10.0部、発泡剤(アゾジカルボンアミド)1.0部および重曹0.7部と共にヘンシェルミキサーを用いて混合し、内温90℃にてブレンドを終了し、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、30mm単軸押出機により発泡成形を行い、加工性および発泡成形性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
攪拌機および環流冷却器付き反応容器に、イオン交換水230部を仕込み、さらにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5部を加えて、容器内を窒素ガスで置換した。その後、過硫酸カリウム0.2部、n−オクチルメルカプタン0.005部、メタクリル酸メチル70部およびメタクリル酸n−ブチル30部を仕込み、攪拌しながら反応容器の外温を65℃に昇温し、2時間加熱攪拌して重合を終了し、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、入口温度160℃および出口温度70℃で噴霧乾燥を行ない、共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは、0.58であった。この粉体15部を、ポリ塩化ビニル(平均重合度700)100部、メチル錫メルカプチド2.0部、ステアリン酸カルシウム1.0部、滑剤3.0部、タルク10.0部、発泡剤(アゾジカルボンアミド)1.0部および重曹0.7部と共にヘンシェルミキサーを用いて混合し、内温90℃にてブレンドを終了し、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、30mm単軸押出機により発泡成形を行い、加工性および発泡成形性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
n−オクチルメルカプタンの量を0.006部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.53であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンの量を0.006部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.53であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
n−オクチルメルカプタンの量を0.007部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.48であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンの量を0.007部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.48であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
n−オクチルメルカプタンの量を0.003部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.68であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンの量を0.003部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.68であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
n−オクチルメルカプタンの量を0.003部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行ない、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、あらかじめ加熱した塩化カルシウム5質量%の水溶液に投入し、凝固回収を行い共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.68であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンの量を0.003部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行ない、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、あらかじめ加熱した塩化カルシウム5質量%の水溶液に投入し、凝固回収を行い共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.68であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
n−オクチルメルカプタンの量を0.006部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行ない、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、あらかじめ加熱した塩化カルシウム5質量%の水溶液に投入し、凝固回収を行い共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.53であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンの量を0.006部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行ない、エマルジョンを得た。このエマルジョンを冷却し、あらかじめ加熱した塩化カルシウム5質量%の水溶液に投入し、凝固回収を行い共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.53であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
n−オクチルメルカプタンは使用せず、メタクリル酸メチルの量を90部に変更し、かつメタクリル酸n−ブチル30部の代わりにアクリル酸n−ブチル10部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.90であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
n−オクチルメルカプタンは使用せず、メタクリル酸メチルの量を90部に変更し、かつメタクリル酸n−ブチル30部の代わりにアクリル酸n−ブチル10部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして共重合体の粉体を得た。共重合体の還元粘度ηsp/cは0.90であった。この共重合体の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物を調製し、発泡成形を行った。評価結果を表1に示す。
表中の略号:
「MMA」:メタクリル酸メチル
「nBMA」:メタクリル酸n−ブチル
「nBA」:アクリル酸n−ブチル
「SD」:噴霧乾燥
「MMA」:メタクリル酸メチル
「nBMA」:メタクリル酸n−ブチル
「nBA」:アクリル酸n−ブチル
「SD」:噴霧乾燥
Claims (4)
- メタクリル酸メチル50〜80質量%、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル20〜50質量%およびその他の共重合しうる単量体0〜20質量%を共重合して得られる粉体状の共重合体からなる加工助剤であって、該共重合体の還元粘度ηsp/cが4〜6であり、かつ該共重合体を噴霧乾燥により粉体回収してなることを特徴とする発泡成形用加工助剤。
- 塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、請求項1記載の発泡成形用加工助剤(B)1〜25質量部を含む塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物。
- 塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度が300〜5000の範囲内である請求項2記載の塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物。
- 請求項3記載の塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物から成形された発泡成形体。
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JP2004065712A JP2005255717A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | 発泡成形用加工助剤、塩化ビニル系発泡成形用樹脂組成物、および発泡成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
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-
2004
- 2004-03-09 JP JP2004065712A patent/JP2005255717A/ja active Pending
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