JP2005281083A - 酸化黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、酸化黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法に関し、特に硫酸イオンや硝酸イオンの残存量を低減した酸化黒鉛及び膨張黒鉛に関する。
酸化黒鉛及び膨張黒鉛は、難燃剤、パッキング材として使用されている。酸化黒鉛とは、黒鉛を熱硝酸や濃硫酸と塩素酸カリウムの混合液中で長時間反応させて得られる反応生成物である。酸化黒鉛は、炭素網平面間に酸素などが侵入して結合し、膨張した層状化合物になっている。そして、酸素などが炭素網平面に垂直の方向から強く共有結合しており、屈曲しながら辛うじて平面性を保っているために、最も乾燥させた状態では炭素網平面間距離が約0.6[nm]と大きくなる。また、膨張黒鉛とは、炭素網平面間に硫酸や硝酸などの揮発性異分子を挿入した後にこれらをガス化させ、その際の圧力により黒鉛の炭素網平面間距離を拡大したものである。このように、酸化黒鉛及び膨張黒鉛は炭素網平面間距離が広がっているため、黒鉛材料の単位質量あたりの水素吸蔵能は大幅に向上すると考えられており、水素吸蔵材料としての用途が検討されている。また、燃料電池用セパレータや電極の材料としての用途が検討されている。
上記したように、酸化黒鉛及び膨張黒鉛は、通常天然黒鉛等を硫酸、硝酸などの強酸と酸化剤で処理した後、水洗、乾燥工程を経て製造される。このため、製造後の酸化黒鉛及び膨張黒鉛には、500[ppm]程度の硫酸イオン(SO4 2−)や硝酸イオン(NO3 −)が残留する。硫酸イオンや硝酸イオンは強酸のイオンであるため、上記硫酸イオンや硝酸イオンが残留した酸化黒鉛及び膨張黒鉛を用いて製造した製品は、製品の腐食や成形加工時における金型の腐食、熱硬化性樹脂と併用して用いた場合には硬化反応を異常に促進させるなどの悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、酸化黒鉛に350〜2500[℃]の熱処理及び水による洗浄処理を施すことにより、酸化黒鉛中の硫酸イオンを除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−100453号公報(第2頁)
しかしながら、熱処理工程や水洗工程を施すと、工程の増加に伴う材料の歩留まりの低下や、生産性低下によりコストが上昇する可能性がある。また、これらの処理を行っても、残留するイオン濃度は100[ppm]程度である。
(式中、環Yは、二重結合を有する、芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表し、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される触媒と、酸化剤を有する溶液とを混合して反応させることにより得られたことを要旨とする。
(式中、環Yは、二重結合を有する、芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表し、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される触媒と、酸化剤を有する溶液とを混合して反応させることを要旨とする。
さらに、第3の発明である膨張黒鉛は、第1の発明である酸化黒鉛に、さらに加熱処理を施して得られたことを要旨とする。
また、第4の発明である膨張黒鉛の製造方法は、第2の発明である酸化黒鉛の製造方法に、さらに加熱処理を施したことを要旨とする。
第1の発明によれば、強酸を使用しないため、硫酸イオンや硝酸イオンの残留量を著しく低減した酸化黒鉛を得ることが可能となる。
第2の発明によれば、強酸を使用せずに酸化黒鉛を製造することが可能となる。
第3の発明によれば、強酸を使用しないため、硫酸イオンや硝酸イオンの残留量を著しく低減した膨張黒鉛を得ることが可能となる。
第4の発明によれば、強酸を使用せずに膨張黒鉛を製造することが可能となる。
以下、本発明に係るさ酸化黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法の詳細を実施の形態に基づいて説明する。
(式中、環Yは、二重結合を有する、芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表し、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される触媒と、酸化剤を有する溶液とを混合して反応させることにより得られたことを特徴とする。この酸化黒鉛では、上記一般式(I)で示される触媒を用いることにより、強酸を使用せずに酸化黒鉛を得ることが可能となる。このため、酸化黒鉛中に残留する硫酸イオンや硝酸イオンが低いため、本実施の形態に係る酸化黒鉛を用いた製品の腐食、または成形加工時における金型の腐食、硬化性樹脂と併用して用いる場合には硬化反応への悪影響を回避することが可能となる。
なお、原料として使用する黒鉛としては特に制限はなく、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛を使用することが可能である。また、これらの天然黒鉛の他、キッシュ黒鉛や石油コークス類を原料として用い、これらを高温焼成した後さらに黒鉛化炉で無定形炭素を人工的に転移変成した人造黒鉛等を用いることが可能であるが、得られる特性やコストとのバランスを考慮すると天然黒鉛を用いることが好ましい。
(式中、R1及びR2は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、芳香環、又は非芳香族性の環を形成してもよい。また、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
また、一般式(II)で表される化合物において、ハロゲン原子は、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルキル基があげられる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。そして、好ましくはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、より好ましくは炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基があげられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基があげられる。
さらに、上記一般式(II)において、R1及びR2は互いに結合して、置換基を有するシクロアルカン環、置換基を有するシクロアルケン環、置換基を有する橋かけ式炭化水素環、置換基を有する芳香環からなる群から選択さる少なくとも一種を形成していることが好ましい。このような環としては、例えば、ベンセン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、シクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、アダマンタン環が含まれる。
(式中、R3〜R6は同一又は異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を示し、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
この置換基R3〜R6において、アルキル基には前述のアルキル基と同様のアルキル基のうち特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には前述と同様のアルコキシ基のうち特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれ、アルコキシカルボニル基には前述と同様のアルコキシカルボニル基のうち特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
また、アシル基としては、前述と同様のアシル基のうち特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示される。なお、置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
更に、より好ましいイミド化合物の形態としては、化合物の入手性、合成の容易性、コストの観点から、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド及びN,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物であることが好ましい。なお、このイミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製することができる。
ここで、酸化剤は、過酸化水素又は塩素酸塩であることが好ましい。酸化剤としては、酸素、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムなどが使用可能であり、さらに、塩素酸塩である塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カルシウムなどを使用することが可能である。特に過酸化水素又は塩素酸カリウムを用いた場合には、反応後に得られる酸化黒鉛中の金属イオンの残留が少なく、良質な酸化黒鉛が得られるため好ましい。
そして、酸化黒鉛中に含まれる硫酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度が、それぞれ10[ppm]以下であることが好ましい。このように、硫酸イオン及び硝酸イオン濃度が、それぞれ10[ppm]以下である場合には、酸化黒鉛を用いた製品の腐食、または成形加工における金型の腐食を防ぐことが可能となり、硬化性樹脂と併用して用いる場合には硬化反応への悪影響を回避することが可能となる。
上記したように、本発明の実施の形態に係る酸化黒鉛では、強酸を使用せずに酸化黒鉛が得られるため、硫酸イオンや硝酸イオンの残留量を著しく低減した酸化黒鉛を得ることが可能となる。また、硫酸イオン、硝酸イオンを著しく低減していることにより、酸化黒鉛を用いた製品の腐食、または成形加工時における金型の腐食、硬化性樹脂と併用して用いる場合は硬化反応への悪影響を回避することが可能となる。そして、水素吸蔵材料や燃料電池セパレータ、電極として使用することが可能となる。
(式中、環Yは、二重結合を有する、芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表し、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される触媒と、酸化剤を有する溶液とを混合して反応させることを特徴とする。
図1は、上記触媒の代表例としてN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を使用した場合において黒鉛が酸化される様子を示す説明図である。図1の(a)は原料である黒鉛1を示す。黒鉛1は平面状分子であり、黒鉛1を形成する炭素網平面1a、1bの層間距離は約0.34[nm]である。この黒鉛1は酸化反応により、図1(b)に示す酸化黒鉛2となる。この酸化黒鉛2を形成する炭素網平面2a、2bは、それぞれに酸素原子が官能基、例えば、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などとして炭素網平面2a、2bの面水平方向から突出した構造をとっている。このため、それぞれの原子の反発や立体障害により、炭素網平面2a、2bの層間距離が広がる。
ここで、黒鉛1が酸化黒鉛2への酸化反応は、図1(c)の3に示す触媒(NHPI)と酸化剤を存在させることにより起きる。NHPIは酸化剤として過酸化水素(H2O2)が共存すると、フタルイミド−N−オキシル(PINO)4を生成する。ここで、NHPI3のヒドロキシイミド基(=NOH)は、N−オキシルラジカル(=NO・)となり、このN−オキシルラジカルが黒鉛1のsp3結合から水素を引き抜くことにより黒鉛1の酸化が開始する。この際、N−オキシルラジカルは黒鉛1から水素を引き抜くとヒドロキシイミド基に戻る。そして、リサイクルされたNHPI3が新たにPINO4を生成し、生成したPINO4が新たに黒鉛1を酸化する。このように、次々と黒鉛1の酸化が進行し、酸化黒鉛2が生成する。
次に、図2に、酸化黒鉛の製造方法の概略的な工程を説明する工程フロー図を示し、具体的に酸化黒鉛の製造方法を説明する。まず、原料である天然黒鉛に、触媒を溶かした触媒溶液を加えて混合する(工程11)。ここで、溶媒としては、触媒と共存することから耐酸化性を有するものが好ましく、酢酸、アセトニトリル、ベンゼン、ベンゾニトリルなどが使用可能である。またこれらの2種以上の混合溶液を用いても良い。使用する溶媒量は、黒鉛100[重量部]に対して、100〜2000[重量部]を用いる。反応に用いる触媒量は、特に制限はないが、一般的には黒鉛100[重量部]に対して、0.1〜30[重量部]の範囲で使用することが好ましい。0.1[重量部]以下の少ない量である場合には、酸化反応の進行が遅くなる。また、温度などの条件設定にもよるが、触媒量を増やしても酸化反応の速度が変わらなくなるため、触媒量が多すぎる場合には増やすことによる効果が発揮されない。
次に、この混合溶液に酸化剤を加えて反応させ、原料である黒鉛を酸化させる(工程12)。図1に示す反応により、黒鉛1の酸化が進み、酸化黒鉛2となる。なお、反応温度は、50〜110[℃]の範囲が好ましい。温度が低いと酸化反応速度が遅くなり、一方温度が高すぎると、触媒の熱劣化のおそれがある。そして、反応時間は数[時間]程度で行う。酸化剤としては、酸素、過酸化水素、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カルシウムなどの塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムなどを使用することが可能であるが、過酸化水素又は塩素酸カリウムを用いた場合には、反応後に得られる酸化黒鉛中の金属イオンの残留が少なく、良質な酸化黒鉛が得られるため好ましい。また、酸化剤の重量は、特に制限はないが、一般的には20〜40[重量部]であることが好ましい。
次に、反応液を吸引ろ過により溶剤を取り除く(工程13)。この時、残留している触媒を除去するため、必要量の溶媒又は水を加えながら繰り返し吸引ろ過を行う。
そして、得られた生成物を、加熱、必要に応じて真空乾燥することにより完全に溶媒を除去し、目的の酸化黒鉛を得る(工程14)。乾燥は150〜400[℃]程度、時間としては0.5〜3[時間]程度で行う。
なお、本発明の実施の形態における酸化黒鉛の製造方法で原料として使用する黒鉛は特に制限はなく、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛を使用することが可能である。また、これらの天然黒鉛の他、キッシュ黒鉛や石油コークス類を原料として用い、これらを高温焼成した後さらに黒鉛化炉で無定形炭素を人工的に転移変成した人造黒鉛等を用いることが可能であるが、得られる特性やコストとのバランスを考慮すると天然黒鉛を用いることが好ましい。
(式中、R1及びR2は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、芳香環、又は非芳香族性の環を形成してもよい。また、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
また、一般式(V)で表される化合物において、ハロゲン原子は、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルキル基があげられる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。そして、好ましくはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、より好ましくは炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基があげられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基があげられる。
さらに、上記一般式(V)において、R1及びR2は互いに結合して、置換基を有するシクロアルカン環、置換基を有するシクロアルケン環、置換基を有する橋かけ式炭化水素環、置換基を有する芳香環からなる群から選択さる少なくとも一種を形成していることが好ましい。このような環としては、例えば、ベンセン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、シクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、アダマンタン環が含まれる。
(式中、R3〜R6は同一又は異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を示し、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
この置換基R3〜R6において、アルキル基には前述のアルキル基と同様のアルキル基のうち特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には前述と同様のアルコキシ基のうち特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれ、アルコキシカルボニル基には前述と同様のアルコキシカルボニル基のうち特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
また、アシル基としては、前述と同様のアシル基のうち特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示される。なお、置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
更に、より好ましいイミド化合物の形態としては、化合物の入手性、合成の容易性、コストの観点から、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド及びN,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物であることが好ましい。なお、このイミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製することができる。
このように、本発明の実施の形態に係る酸化黒鉛の製造方法では、強酸を使用せずに酸化黒鉛を製造することが可能となる。そして、強酸を使用せずに製造することが可能となるため、酸化黒鉛中に含まれる硫酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度がそれぞれ10[ppm]以下と残留量が著しく低減した酸化黒鉛が得られる。
(膨張黒鉛)
次に、本発明に係る膨張黒鉛の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る膨張黒鉛は、上記した酸化黒鉛に、さらに加熱処理を施して得られたことを特徴とする。上記した酸化黒鉛を急速加熱すると、酸化黒鉛はC軸方向に膨張して膨張黒鉛となる。この加熱処理の温度と時間の一例としては、300〜2500[℃]で、5〜30[分]程度で行うが、特に制限はない。なお、酸化劣化を抑えるために、加熱処理はN2やArなどの不活性ガス中で行うことが好ましい。
次に、本発明に係る膨張黒鉛の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る膨張黒鉛は、上記した酸化黒鉛に、さらに加熱処理を施して得られたことを特徴とする。上記した酸化黒鉛を急速加熱すると、酸化黒鉛はC軸方向に膨張して膨張黒鉛となる。この加熱処理の温度と時間の一例としては、300〜2500[℃]で、5〜30[分]程度で行うが、特に制限はない。なお、酸化劣化を抑えるために、加熱処理はN2やArなどの不活性ガス中で行うことが好ましい。
このように、本発明の実施の形態に係る膨張黒鉛では、強酸を使用しないため、硫酸イオンや硝酸イオンの残留量を著しく低減した膨張黒鉛を得ることが可能となる。
(膨張黒鉛の製造方法)
次に、本発明に係る膨張黒鉛の製造方法の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る膨張黒鉛の製造方法は、上記した酸化黒鉛の製造方法に、さらに加熱処理を施したことを特徴とする。上記した方法により酸化黒鉛を得た後に膨張黒鉛とする場合には、図2に示す工程14の後に、得られた酸化黒鉛を急速加熱して、黒鉛をC軸方向に膨張させる加熱化処理を行う。この加熱処理の温度と時間の一例としては、300〜2500[℃]で、5〜30[分]程度で行うが、特に制限はない。なお、酸化劣化を抑えるために、膨張化処理はN2やArなどの不活性ガス中で行うことが好ましい。
次に、本発明に係る膨張黒鉛の製造方法の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る膨張黒鉛の製造方法は、上記した酸化黒鉛の製造方法に、さらに加熱処理を施したことを特徴とする。上記した方法により酸化黒鉛を得た後に膨張黒鉛とする場合には、図2に示す工程14の後に、得られた酸化黒鉛を急速加熱して、黒鉛をC軸方向に膨張させる加熱化処理を行う。この加熱処理の温度と時間の一例としては、300〜2500[℃]で、5〜30[分]程度で行うが、特に制限はない。なお、酸化劣化を抑えるために、膨張化処理はN2やArなどの不活性ガス中で行うことが好ましい。
このように、本発明の実施の形態に係る膨張黒鉛の製造方法では、強酸を使用せずに膨張黒鉛を製造することが可能となる。強酸を使用しないため、硫酸イオンや硝酸イオンの残留量を著しく低減した膨張黒鉛を得ることが可能となる。そして、強酸を使用せずに製造することが可能となるため、膨張黒鉛中に含まれる硫酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度がそれぞれ10[ppm]以下と残留量が著しく低減した膨張黒鉛が得られる。
以下、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3参考例により本発明に係る酸化黒鉛及び膨張黒鉛をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。これらの実施例は、本発明に係る酸化黒鉛及び膨張黒鉛の有効性を調べたものであり、異なる材料にて調整した酸化黒鉛及び膨張黒鉛の例を示したものである。
<試料の調製>
(実施例1)
フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてNHPI3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
(実施例1)
フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてNHPI3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
(実施例2)
実施例2では、酸化剤として塩素酸カリウムを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてNHPI3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
実施例2では、酸化剤として塩素酸カリウムを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてNHPI3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
(実施例3)
実施例3では、触媒としてとしてN−ヒドロキシコハク酸イミドを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてN−ヒドロキシコハク酸イミド3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
実施例3では、触媒としてとしてN−ヒドロキシコハク酸イミドを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてN−ヒドロキシコハク酸イミド3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
(実施例4)
実施例4では、触媒としてとしてN−ヒドロキシマレイン酸イミドを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてN−ヒドロキシコハク酸イミド3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
実施例4では、触媒としてとしてN−ヒドロキシマレイン酸イミドを使用した。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]、触媒としてN−ヒドロキシコハク酸イミド3[g]及び溶媒としてアセトニトリル200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程11)。フラスコの温度は80[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として塩素酸カリウム60[g]を添加し、反応温度80[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程12)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、500[ml]のアセトニトリルを加えて10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過により酸化黒鉛と溶媒とを分離し、僅かに残る触媒を取り除いた。さらに、分離した酸化黒鉛を別のビーカーに移し、500[ml]の水を加えて10[分間]攪拌し、減圧ろ過により酸化黒鉛と水とに分離した(工程13)。このように溶媒洗浄、水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程14)。
(実施例5)
実施例5では、実施例1で得られた酸化黒鉛に加熱処理を施し、膨張黒鉛とした。具体的には、実施例1で得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移し、これを900[℃]に昇温した加熱炉で30[分間]加熱処理を施し膨張黒鉛粉を得た。そして、膨張黒鉛の粒子を揃えるために、得られた膨張黒鉛粉をボールミル用のポットに移し、ジルコニア製のボール(φ3[mm])を加えて、3[時間]のボールミル乾式粉砕を行い、粒子状の膨張黒鉛を得た。
実施例5では、実施例1で得られた酸化黒鉛に加熱処理を施し、膨張黒鉛とした。具体的には、実施例1で得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移し、これを900[℃]に昇温した加熱炉で30[分間]加熱処理を施し膨張黒鉛粉を得た。そして、膨張黒鉛の粒子を揃えるために、得られた膨張黒鉛粉をボールミル用のポットに移し、ジルコニア製のボール(φ3[mm])を加えて、3[時間]のボールミル乾式粉砕を行い、粒子状の膨張黒鉛を得た。
(比較例1)
比較例1では、通常行われているように発煙硝酸を用いて酸化黒鉛を得た。図3に、酸化黒鉛の製造方法の概略的な工程を説明する工程フロー図を示す。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]及び発煙硝酸200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程21)。フラスコの温度は55[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を徐々に添加し、反応温度55[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程22)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した(工程23)。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、1000[ml]の水を加えて発煙硝酸を希釈して10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過を行って酸化黒鉛と水とを分離した(工程24)。この工程は、ろ液が中性を示すまで繰り返し行った。なお、比較例1ではこの操作を4回繰り返した。このように水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程25)。
比較例1では、通常行われているように発煙硝酸を用いて酸化黒鉛を得た。図3に、酸化黒鉛の製造方法の概略的な工程を説明する工程フロー図を示す。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]及び発煙硝酸200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程21)。フラスコの温度は55[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を徐々に添加し、反応温度55[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程22)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した(工程23)。次に、分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、1000[ml]の水を加えて発煙硝酸を希釈して10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過を行って酸化黒鉛と水とを分離した(工程24)。この工程は、ろ液が中性を示すまで繰り返し行った。なお、比較例1ではこの操作を4回繰り返した。このように水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程25)。
(比較例2)
比較例2では、濃硫酸を用いて酸化黒鉛を得た。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]及び濃硫酸(濃度98[%])200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程21)。フラスコの温度は55[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を徐々に添加し、反応温度55[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程22)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した(工程23)。分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、1000[ml]の水を加えて濃硫酸を希釈して10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過を行って酸化黒鉛と水とを分離した(工程24)。この工程は、ろ液が中性を示すまで繰り返し行った。なお、比較例2ではこの操作を4回繰り返した。このように水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程25)。
比較例2では、濃硫酸を用いて酸化黒鉛を得た。具体的には、フラスコに、酸化黒鉛の原料である鱗片状黒鉛10[g]及び濃硫酸(濃度98[%])200[ml]を入れ、還流管を立てた後スターラーを用いて攪拌した(工程21)。フラスコの温度は55[℃]となるように制御した。その後、フラスコ内に酸化剤として過酸化水素水(濃度31[%])10[g]を徐々に添加し、反応温度55[℃]を保ちながら3[時間]反応させた(工程22)。攪拌終了後、フラスコ内の反応液を減圧ろ過し、反応生成物である酸化黒鉛と溶媒とに分離した(工程23)。分離した酸化黒鉛をビーカーに移し、1000[ml]の水を加えて濃硫酸を希釈して10[分間]攪拌し、再び減圧ろ過を行って酸化黒鉛と水とを分離した(工程24)。この工程は、ろ液が中性を示すまで繰り返し行った。なお、比較例2ではこの操作を4回繰り返した。このように水洗浄を行って得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移して、60[℃]に昇温した乾燥器に12[時間]放置して水分を除去し、目的の酸化黒鉛を得た(工程25)。
(比較例3)
比較例3では、比較例1で得られた酸化黒鉛に加熱処理を施し、膨張黒鉛とした。具体的には、比較例1で得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移し、これを900[℃]に昇温した加熱炉で30[分間]加熱処理を施し膨張黒鉛粉を得た。そして、膨張黒鉛の粒子を揃えるために、得られた膨張黒鉛粉をボールミル用のポットに移し、ジルコニア製のボール(φ3[mm])を加えて、3[時間]のボールミル乾式粉砕を行い、粒子状の膨張黒鉛を得た。
比較例3では、比較例1で得られた酸化黒鉛に加熱処理を施し、膨張黒鉛とした。具体的には、比較例1で得られた酸化黒鉛をセラミック製のバットに移し、これを900[℃]に昇温した加熱炉で30[分間]加熱処理を施し膨張黒鉛粉を得た。そして、膨張黒鉛の粒子を揃えるために、得られた膨張黒鉛粉をボールミル用のポットに移し、ジルコニア製のボール(φ3[mm])を加えて、3[時間]のボールミル乾式粉砕を行い、粒子状の膨張黒鉛を得た。
ここで、上記試料調製によって得られた試料は、以下の方法によって評価された。
<残留イオン濃度の測定>
残留イオン濃度の測定には、イオンクロマトグラフ(日本ダイオニクス社製、DX−120)を用いた。まず、陰イオン標準溶液を用いて検量線を作成した。そして、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた酸化黒鉛及び膨張黒鉛に含まれるイオン種の同定、並びに硝酸イオン及び硫酸イオン濃度の定量を行った。なお、イオンの抽出は、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた酸化黒鉛及び膨張黒鉛粒子1[g]と純水15[g]をテフロン(登録商標)耐圧容器に入れて、100[℃]で8[時間]温水抽出することにより行った。そして抽出液をろ過し、得られたろ液中のイオン濃度を測定した。測定結果を下表1に示す。
残留イオン濃度の測定には、イオンクロマトグラフ(日本ダイオニクス社製、DX−120)を用いた。まず、陰イオン標準溶液を用いて検量線を作成した。そして、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた酸化黒鉛及び膨張黒鉛に含まれるイオン種の同定、並びに硝酸イオン及び硫酸イオン濃度の定量を行った。なお、イオンの抽出は、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた酸化黒鉛及び膨張黒鉛粒子1[g]と純水15[g]をテフロン(登録商標)耐圧容器に入れて、100[℃]で8[時間]温水抽出することにより行った。そして抽出液をろ過し、得られたろ液中のイオン濃度を測定した。測定結果を下表1に示す。
発煙硝酸を用いて調整した比較例1及び3では、硝酸イオン濃度は約300〜500[ppm]であった。また、濃硫酸を用いて調整した比較例2では硫酸イオン濃度は510[ppm]であった。このように、比較例1〜3では4回の水洗浄を行い、ろ液が中性であることを確認したにもかかわらず、得られた試料には硝酸イオン及び硫酸イオンが残存していた。このように、硝酸イオン及び硫酸イオンの除去は容易ではないことが示された。
これに対し、強酸の代わりに触媒を用いた実施例1〜5では、ろ液中の硝酸イオン濃度及び硫酸イオン濃度は検出限界(0.5[ppm]以下)であった。このように、本実施の形態に係る酸化黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法により、硝酸イオン及び硫酸イオンの残留しない酸化黒鉛及び膨張黒鉛が得られることが分かった。
1 黒鉛
2 酸化黒鉛
3 NHPI
4 PINO
2 酸化黒鉛
3 NHPI
4 PINO
Claims (13)
- 前記一般式(II)において、R1及びR2は互いに結合して、置換基を有するシクロアルカン環、置換基を有するシクロアルケン環、置換基を有する橋かけ式炭化水素環、置換基を有する芳香環からなる群から選択さる少なくとも一種を形成していること特徴とする請求項2に記載の酸化黒鉛。
- 前記酸化剤は、過酸化水素又は塩素酸塩であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された酸化黒鉛。
- 前記酸化黒鉛中に含まれる硫酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度が、それぞれ10[ppm]以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された酸化黒鉛。
- 前記一般式(V)において、R1及びR2は互いに結合して、置換基を有するシクロアルカン環、置換基を有するシクロアルケン環、置換基を有する橋かけ式炭化水素環、置換基を有する芳香環からなる群から選択さる少なくとも一種を形成していること特徴とする請求項8に記載の酸化黒鉛の製造方法。
- 前記酸化剤は、過酸化水素又は塩素酸塩であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載された酸化黒鉛の製造方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された酸化黒鉛に、さらに加熱処理を施して得られたことを特徴とする膨張黒鉛。
- 請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載された酸化黒鉛の製造方法に、さらに加熱処理を施したことを特徴とする膨張黒鉛の製造方法。
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-
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- 2004-03-30 JP JP2004099171A patent/JP2005281083A/ja active Pending
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