JP2005008564A - フラーレン誘導体の製造方法 - Google Patents

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五兵衛 吉田
Kazutaka Ikeda
一崇 池田
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Abstract

【課題】プロトン伝導体として有用であるフラーレン誘導体、即ち、ポリ水酸化フラーレンやポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを低廉に安全に、しかも、大量生産することができる方法を提供する。
【解決手段】フラーレン又はポリ水酸化フラーレンに発煙硫酸を反応させた後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させて、それぞれシクロ硫酸化フラーレン又はポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを上記反応混合物から沈殿として分離させる際に、上記抽出溶媒として、水、炭素原子数1〜3の脂肪族カルボン酸、そのアルキルエステル、ベンゼン又はアルキルベンゼンを用いる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン伝導体として有用であるフラーレン誘導体、即ち、シクロ硫酸化フラーレン、ポリ水酸化フラーレン又はポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを低廉に安全に、しかも、大量生産することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭素クラスター、即ち、フラーレンのような炭素原子のみからなる閉殻状の分子やカーボンナノチューブのようなチューブ状の分子からなる炭素原子の集合体がナノテクノロジー(超微細技術)における代表的な材料であるとして、電子材料、医療用途、機械用途等の広い分野への応用が期待されている。
【0003】
特に、最近に至って、炭素クラスターにヒドロキシル基や硫酸水素エステル基のようなプロトン伝導性基を有せしめた炭素クラスター、即ち、ポリ水酸化フラーレンやその硫酸水素エステルの合成が報告されており(非特許文献1及び2参照)、更に、そのような化合物をプロトン伝導体として燃料電池に用いることも提案されている(特許文献1及び2参照)。更に、シクロ硫酸化フラーレンがプロトン伝導性を示すことも見出されている(特許文献3参照)。
【0004】
従来、ポリ水酸化フラーレンは、次のスキーム中の反応式(I)に示すようにして製造されている。即ち、フラーレン(1)に発煙硫酸を反応させて、シクロ硫酸化フラーレン(2)を生成させ、次いで、このシクロ硫酸化フラーレンを含む反応混合物をジエチルエーテル中に少量ずつ加え、沈殿を生成させて、これを遠心分離し、洗浄し、かくして、シクロ硫酸化フラーレン(2)を得、次いで、このシクロ硫酸化フラーレンに水を作用させ、加水分解して、ポリ水酸化フラーレン(3)を生成させ、これを遠心分離して、得ることができる。
【0005】
また、次のスキーム中の反応式(II)に示すように、このポリ水酸化フラーレン(3)に発煙硫酸を作用させ、水酸基を硫酸水素エステル基で置換して、部分エステルであるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(4)及び/又は全エステルであるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(5)を生成させ、この後、このポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを含む反応混合物を冷却したジエチルエーテル中に少量ずつ加え、沈殿を生成させて、これを遠心分離し、洗浄することによって、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを得ることができる。ここに、スキーム中、a、b、c、d及びeはそれぞれ1以上の整数である。
【0006】
【化1】
Figure 2005008564
【0007】
このように、従来、ポリ水酸化フラーレンやその硫酸水素エステルを得る場合、フラーレン又はポリ水酸化フラーレンを発煙硫酸で処理した後、得られた反応混合物を沈殿溶媒としてのジエチルエーテル中に加えて、出発物質がフラーレンの場合には、シクロ硫酸化フラーレンを反応混合物から沈殿として分離させるために、また、出発物質がポリ水酸化フラーレンの場合には、目的物であるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを反応混合物から沈殿として分離させることが必要である。ここに、本発明においては、便宜上、シクロ硫酸化フラーレンやポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを反応混合物から沈殿として分離させるために用いる沈殿溶媒を抽出溶媒ということとする。上述した従来の方法においては、抽出溶媒はジエチルエーテルである。また、上述した従来の方法においては、反応混合物から分離したシクロ硫酸化フラーレンやポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを洗浄する際にも、ジエチルエーテルが用いられている。
【0008】
しかし、ジエチルエーテルは毒性が強く、その使用に際しては、細心の注意が必要とされるし、また、上述したように、得られた反応混合物をジエチルエーテル中に加えた際、反応混合物が発熱するので、ジエチルエーテルが揮散しやすい。従って、ポリ水酸化フラーレンやその硫酸水素エステルの製造において、ジエチルエーテルを抽出溶媒として用いる従来の方法は、環境保護の必要や作業の安全性の要請から高価な設備を要して、設備費用が嵩むと共に、安全性の点からも、工業的な製造には適していない。
【0009】
【特許文献1】WO01/06519A1号公報
【特許文献2】特開2002−063917号公報
【特許文献3】特願2003−32493号明細書
【非特許文献1】L. Y. Chiang et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1992, 1791
【非特許文献2】L. Y. Chaing et al., J. Org. Chem., 1994, 59, 3960
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来のポリ水酸化フラーレンやその硫酸水素エステルの製造における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、上記抽出溶媒として、ジエチルエーテルに代えて、より低廉で安全に取扱うことができる溶媒を用いることによって、シクロ硫酸化フラーレンやポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを反応混合物から沈殿として分離させることができることを見出して、本発明に至ったものである。従って、本発明は、プロトン伝導体として有用であるフラーレン誘導体、即ち、シクロ硫酸化フラーレン、ポリ水酸化フラーレン又はポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを低廉に安全に、しかも、大量生産することができる方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、フラーレン又はポリ水酸化フラーレンに発煙硫酸を反応させた後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させて、それぞれシクロ硫酸化フラーレン又はポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを上記反応混合物から沈殿として分離させる際に、上記抽出溶媒として、水、炭素原子数1〜3の脂肪族カルボン酸、そのアルキルエステル、ベンゼン又はアルキルベンゼンを用いることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明において、ポリ水酸化フラーレンの製造において、出発物質として用いるフラーレンは、単一の組成を有するものである必要はなく、フラーレンを形成する炭素原子数は、フラーレンを形成し得る整数であればよい。従って、既に知られているように、フラーレンをCと記載するとき、nは、例えば、60、70、76、78、80、82、84等から選ばれる少なくとも1種であればよい。しかし、本発明によれば、特に、フラーレンとして、炭素原子数が60のフラーレン(C60)、炭素原子数が70のフラーレン(C70)又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0013】
本発明によるポリ水酸化フラーレンの製造方法によれば、フラーレンを不活性気体雰囲気中、発煙硫酸中に投入して、攪拌する。ここに、不活性気体は、特に限定されるものではないが、通常、窒素が好ましく用いられ、また、発煙硫酸としては60%発煙硫酸が好ましく用いられる。
【0014】
フラーレンを発煙硫酸で処理する際の反応温度は、通常、常温(25℃)から135℃の範囲であり、また、その反応時間は、通常、10時間以上であり、好ましくは、70時間以上である。しかし、120時間を越える必要はない。発煙硫酸は、ポリ水酸化フラーレン1重量部に対して、通常、10重量部以上用いられ、好ましくは、15〜50重量部の範囲で用いられる。
【0015】
本発明によれば、このようにして、フラーレンを発煙硫酸で処理した後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させて、シクロ硫酸化フラーレンを沈殿として、反応混合物から分離させる。ここに、上記抽出溶媒としては、水、炭素原子数1〜3の脂肪族カルボン酸、そのアルキルエステル、ベンゼン又はアルキルベンゼンが用いられる。
【0016】
ここに、炭素原子数1〜3の脂肪族カルボン酸としては、蟻酸、酢酸又はプロピオン酸を挙げることができ、また、これらの脂肪族カルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル等を挙げることができる。また、アルキルベンゼンとしては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等を挙げることができる。これらのなかでは、トルエンが好ましく用いられる。
【0017】
本発明によれば、このように、種々の抽出溶媒を用いることができるが、なかでも、抽出溶媒としては、水又は酢酸又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0018】
本発明において、反応混合物を抽出溶媒に接触させるには、通常、反応混合物に抽出溶媒を加えればよいが、しかし、必要に応じて、反応混合物を抽出溶媒に加えてもよい。また、本発明において、用いる抽出溶媒の量は、生成したシクロ硫酸化フラーレンを反応混合物から沈殿として分離させるに足りる量であれば、特に、限定されるものではないが、通常、得られた反応混合物の容量に対して、2倍以上、好ましくは3倍以上である。しかし、通常、反応混合物に対して、抽出溶媒を10倍量以上用いる必要はなく、好ましくは、5倍量までである。
【0019】
しかし、本発明によれば、望ましくない副反応を抑えて、目的とするシクロ硫酸化フラーレンを収率よく得るためには、反応混合物を抽出溶媒に接触させるに際して、反応混合物の温度を80℃以下に保つことが好ましく、特に、反応混合物の温度を50℃以下、常温までの温度に保つことが好ましい。
【0020】
本発明によれば、このように、フラーレンを発煙硫酸で処理した後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させることによって、通常、一般式(I)
(OSO
(式中、Cはシクロ硫酸化フラーレンの母体であるフラーレンを示し、xは5〜30の範囲の数である。)
で表されるシクロ硫酸化フラーレンを沈殿として得ることができる。また、このシクロ硫酸化フラーレンを加水分解することによって、一般式(II)
(OH)
(式中、Cはポリ水酸化フラーレンの母体であるフラーレンを示し、xは5〜30の範囲の数である。)
で表されるポリ水酸化フラーレンを得ることができる。
【0021】
次に、本発明によるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの製造について説明する。ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの製造において、出発物質として用いるポリ水酸化フラーレンも、前述したフラーレンと同様であって、単一の組成を有するものである必要はなく、ポリ水酸化フラーレンの母体を形成するフラーレンの炭素原子数は、フラーレンを形成し得る整数であればよい。従って、既に知られているように、フラーレンをCと記載するとき、nは、例えば、60、70、76、78、80、82、84等から選ばれる少なくとも1種であればよい。しかし、本発明によれば、特に、ポリ水酸化フラーレンとして、炭素原子数が60のポリ水酸化フラーレン、炭素原子数が70のポリ水酸化フラーレン又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0022】
更に、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの製造においては、出発物質として用いるポリ水酸化フラーレンは、単一の数のヒドロキシル基を有するフラーレンであってもよいが、また、種々の数のヒドロキシル基を有するものであってもよい。通常、本発明においては、分子中にヒドロキシル基を10〜30の範囲で有し、炭素原子数が60のポリ水酸化フラーレン、炭素原子数が70のポリ水酸化フラーレン又はこれらポリ水酸化フラーレンの混合物が好ましく用いられる。
【0023】
本発明によるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの製造においては、ポリ水酸化フラーレンを不活性気体雰囲気中、発煙硫酸中に投入して、攪拌する。ここに、不活性気体は、特に限定されるものではないが、通常、窒素が好ましく用いられ、また、発煙硫酸としては60%発煙硫酸が好ましく用いられる。
【0024】
ポリ水酸化フラーレンを発煙硫酸で処理する際の反応温度は、通常、常温(25℃)から135℃の範囲であり、また、その反応時間は、通常、10時間以上であり、好ましくは、70時間以上である。しかし、120時間を越える必要はない。発煙硫酸は、ポリ水酸化フラーレン1重量部に対して、通常、10重量部以上用いられ、好ましくは、15〜50重量部の範囲で用いられる。
【0025】
本発明によれば、このようにして、ポリ水酸化フラーレンを発煙硫酸で処理した後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させて、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを沈殿として、反応混合物から分離させる。ここに、本発明によれば、上記抽出溶媒として、前述したものが用いられ、なかでも、水又は酢酸又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0026】
ポリ水酸化フラーレンからのポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの製造においても、用いる抽出溶媒の量は、前述したと同様に、特に、限定されるものではないが、通常、得られた反応混合物の容量に対して、2倍以上、好ましくは3倍以上である。しかし、通常、反応混合物に対して、抽出溶媒を10倍量以上用いる必要はなく、好ましくは、5倍量までである。
【0027】
しかし、本発明によれば、望ましくない副反応を抑えて、目的とするポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを収率よく得るためには、反応混合物を抽出溶媒に接触させるに際して、反応混合物の温度を80℃以下に保つことが好ましく、特に、反応混合物の温度を50℃以下、常温までの温度に保つことが好ましい。
【0028】
本発明によれば、このようにして、ポリ水酸化フラーレンを発煙硫酸で処理した後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させることによって、通常、一般式(III)
(OH)x−y (OSOH)
(式中、Cはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの母体であるフラーレンを示し、xは10〜30の範囲の数であり、yは5〜10の範囲の数である。)で表されるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの部分エステルを得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下に比較例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0030】
比較例1
(ポリ水酸化フラーレンの合成)
窒素雰囲気下、フラーレンC60とC70との混合物(重量比C60:C70=0.8:0.2)20gを60%発煙硫酸500gに均一に分散させた後、60℃で72時間攪拌した。得られた反応反応物を冷却したジエチルエーテル中に分散させ、生成した沈殿物を遠心分離にて分別し、ジエチルエーテルとアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥した。得られた粉末を窒素雰囲気下で乾燥させ、イオン交換水1L中に均一に分散させた後、80℃で10時間攪拌した。遠心分離にて分別し、イオン交換水で洗浄、遠心分離を繰り返した後、減圧乾燥した。
【0031】
このようにして得られたポリ水酸化フラーレン(試料)のFT−IRを図1に示すように、前記文献(非特許文献1)に記載されているポリ水酸化フラーレン(C60(OH)12) のスペクトルとほぼ一致した。また、元素分析の結果、試料は、C60/C70(OH)15 (C60:C70=0.8:0.2)なる組成を有するものであった。
【0032】
また、上記試料300mgを白金円板で挟み、約1T/cmの圧力で直径16mmの円板状ペレットに成形し、このペレットのインピーダンス測定を行って、試料のプロトン伝導率を求めたところ、2.8×10−6S/cmであった。
【0033】
比較例2
(ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの合成)
窒素雰囲気下、比較例1で得られたポリ水酸化フラーレン15gを60%発煙硫酸500g中に均一に分散させた後、反応温度25℃で72時間攪拌した。得られた反応混合物を冷却したジエチルエーテル中に分散させ、生成した沈殿物を遠心分離にて分別し、ジエチルエーテルとアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥した。
【0034】
このようにして得られたポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(試料)のFT−IRスペクトルを図2に示すように、前記文献(非特許文献2)に記載されているポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのスペクトルとほぼ一致した。元素分析の結果、試料は、C60/C70(OH)11(OSOH) (C60:C70=0.8:0.2)なる組成を有するものであった。また、比較例1と同様にして、試料のプロトン伝導率を求めたところ、4.9×10−4/cmであった。
【0035】
実施例1
窒素雰囲気下、フラーレンC60とC70との混合物(重量比C60:C70=0.8:0.2)20gを60%発煙硫酸500gに均一に分散させた後、60℃で72時間攪拌した。得られた反応混合物の温度を80℃以下に保ちながら、これに抽出溶媒としてイオン交換水1.5Lを加え、生成した沈殿物を遠心分離にて分別し、更に、イオン交換水で洗浄した後、減圧乾燥した。得られた粉末を窒素雰囲気下で乾燥させ、イオン交換水1L中に均一に分散させた後、80℃で10時間攪拌した。遠心分離にて分別し、イオン交換水で洗浄、遠心分離を繰り返した後、減圧乾燥した。
【0036】
このようにして得られたポリ水酸化フラーレン(試料)のFT−IRを図3に示すように、前記文献(非特許文献1)に記載されているポリ水酸化フラーレン(C60(OH)12) のスペクトルとほぼ一致した。また、比較例1と同様にして、試料のプロトン伝導率を求めたところ、2.5×10−6S/cmであった。
【0037】
実施例2
(ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの合成)
窒素雰囲気下、実施例1で得られたポリ水酸化フラーレン15gを60%発煙硫酸500g中に均一に分散させた後、反応温度25℃で72時間攪拌した。得られた反応混合物の温度を80℃以下に保ちながら、これに酢酸1.5Lを加え、生成した沈殿物を遠心分離にて分別し、更に、酢酸で1回、アセトニトリルで2回、それぞれ洗浄した後、減圧乾燥した。
【0038】
このようにして得られたポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(試料)のFT−IRスペクトルを図4に示すように、前記文献(非特許文献2)に記載されているポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのスペクトルとほぼ一致した。また、比較例1と同様にして、試料のプロトン伝導率を求めたところ、1.5×10−3/cmであった。
【0039】
実施例3
(ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの合成)
実施例2において、抽出溶媒として、酢酸に代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを得た。比較例1と同様にして、このポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのプロトン伝導率を求めたところ、1.0×10−3/cmであった。
【0040】
実施例4
(ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの合成)
実施例2において、抽出溶媒として、酢酸に代えて、トルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを得た。比較例1と同様にして、このポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのプロトン伝導率を求めたところ、1.2×10−3/cmであった。
【0041】
実施例5
(ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの合成)
実施例2において、抽出溶媒として、酢酸に代えて、ベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを得た。比較例1と同様にして、このポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのプロトン伝導率を求めたところ、2.6×10−3/cmであった。
【0042】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の方法によるポリ水酸化フラーレンのFT−IRスペクトルである。
【図2】従来の方法によるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのFT−IRスペクトルである。
【図3】本発明の方法によるポリ水酸化フラーレンのFT−IRスペクトルである。
【図4】本発明の方法によるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのFT−IRスペクトルである。

Claims (5)

  1. フラーレン又はポリ水酸化フラーレンに発煙硫酸を反応させた後、得られた反応混合物を抽出溶媒に接触させて、それぞれシクロ硫酸化フラーレン又はポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを上記反応混合物から沈殿として分離させる際に、上記抽出溶媒として、水、炭素原子数1〜3の脂肪族カルボン酸、そのアルキルエステル、ベンゼン又はアルキルベンゼンを用いることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  2. 温度80℃以下に保ちながら、反応混合物を抽出溶媒に接触させる請求項1に記載の方法。
  3. 脂肪族カルボン酸が酢酸である請求項1に記載の方法。
  4. 脂肪族カルボン酸のアルキルエステルが酢酸エチルである請求項1に記載の方法。
  5. アルキルベンゼンがトルエンである請求項1に記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241037A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 Frontier Carbon Corp フラーレン誘導体の製造方法
JP2006315970A (ja) * 2005-05-11 2006-11-24 Sony Corp イオン解離性機能分子の製造方法及びその原料分子の製造方法
JP2016017063A (ja) * 2014-07-10 2016-02-01 国立大学法人大阪大学 長鎖アルキルエーテル化フラーレン誘導体およびその製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物

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