JP2005280293A - 光学素子用成形金型の製造方法、光学素子用成形金型及び光学素子 - Google Patents

光学素子用成形金型の製造方法、光学素子用成形金型及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】
低コストであり取り扱い性に優れるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型、及びそれにより形成される光学素子を提供する。
【解決手段】
基体10のベース面である凹部10aの曲率を、最終的に形成される光学素子用成形金型の成形転写面の曲率よりも大きいか、あるいは等しい形状で予め形成しておくことで、膜MGの表面形状が、成形転写面形状にほぼ一致する程度まで堆積が行われれば、膜厚の最も薄い部位でも、後加工において十分な膜厚が得られ、ダイアモンド切削加工や加熱プレス成形を適切に行えるというメリットがある。
【選択図】 図1


Description

本発明は、過冷却液体域を有する非晶質合金を用いて光学素子用成形金型を製造する製造方法、及びその製造方法により製造された光学素子用成形金型、並びにその光学素子用成型金型により成形された光学素子に関する。
従来から一般的に行われてきたプラスチック光学素子の成形用金型の製作手法によれば、例えば鋼材やステンレス鋼などでブランク(一次加工品)を作っておき、その上に無電解ニッケルメッキとよばれる化学メッキにより、アモルファス状のニッケルと燐の合金を100μmほどの厚みに鍍膜し、このメッキ層を超精密加工機によりダイアモンド工具で切削加工して、光学素子の光学面を成形するための高精度な光学面転写面を得ていた。
かかる従来技術の手法によれば、基本的に機械加工により部品形状を創成するため、加工機の運動精度近くまで容易に部品精度が高められる反面、製作工程に機械加工と化学メッキ処理が混在し煩雑で納期がかかること、メッキ層の厚みを考慮してブランク(一次加工品)を作製する必要があること、必ずしもメッキ処理が安定している訳ではなく、ブランクの組成の偏りや汚れ具合によってメッキ層の付着強度がばらついたり、ピットと呼ばれるピンホール状の欠陥が生じたりすること、メッキ層の厚みの中で光学面転写面を創成しなければならないため、光学面転写面を再加工するときなどはメッキ厚みに余裕が無く加工不可能となる場合があること等々の不具合が生じていた。
更に、従来技術によれば、多量に光学面転写面をダイヤモンド切削加工する必要があるが、かかる場合、工具の切れ刃の状態や加工条件、加工環境温度の変化などの影響を受けて、切削加工し仕上げた光学面転写面の形状が微妙にバラツくという問題もあった。この光学面転写面の加工バラツキは、素材の被削性の悪さに起因するものであり、一般的には100nm程度の光学面形状誤差を発生し、非常に慎重に加工した場合でも50nm程度の形状誤差が残るが、これが多量に同一形状の光学面転写面を創成する際の加工精度限界となっている。
また、近年、光学面に輪帯状の回折溝(回折輪帯)を施して色収差を効率よく補正する光学素子が、光情報記録分野などで実用化され、大量に生産されている。その光学材料としては、プラスチックやガラスが使われているが、赤外光学系などではZnSeなどの結晶材料も用いられている。この様な光学素子は、成形により大量に且つ効率的に生産することができるが、その成形の際に、光学素子用成形金型で、光学素子の光学面における微細な回折溝をいかに高精度に効率よく製作するかが、極めて重要な課題となる。
例えば、ダイアモンド切削により、光学素子用成形金型の光学面転写面上に回折溝などの光学機能を有する微細なパターンを創成する揚合は、刃先の鋭さが回折溝形状の正確さを左右し、光学素子の光学面として転写された時に回折効率に大きな影響を与える。
従って、回折輪帯の回折効率を低下させないためには、刃先の大きさを十分小さくせねばならず、そうすると、小さな刃先部分に切削抵抗が集中してかかるので切り込み量を小さくせねばならず、光学面全体を均一に切削除去するまでに加工回数が多くなる。また、刃先の小さなカッターマークによる光学面の表面粗さの劣化を防ぐためにも工具送り速度を遅くせねばならず、1回の光学面転写面加工時間も長くなる。その結果、回折溝を有する光学素子の成形用金型の切削加工においては、切削長が増大するので工具刃先の損耗が大きくなり、工具交換が頻繁となる。つまり、従来のダイアモンド切削により微細な形状を有する光学面転写面を加工する場合には、工具の寿命が極端に短くなり、しかも一つの光学面転写面を加工する時間も増大するので、頻繁に工具を交換せねばならないため加工効率が非常に低下し、光学素子用成形金型の生産性が低下してコストの急激な増大を招いていた。そのため、特にダイアモンド切削により微細な形状を表面に有する光学面転写面を仕上げる場合には、無電解ニッケルメッキ工程を含まない簡素で納期の短い金型製作手法が望まれる。
加えて、近年、使用する光源の波長の数倍からそれよりも小さな微細構造を光学面に施して、新たな光学的機能を光学素子に付加することが試みられている。例えば、成形レンズの屈折による通常の集光機能とその時に副作用として発生する正の分散を、その非球面光学面の表面に回折溝を施すことで得られる回折による大きな負の分散を利用してうち消し、本来、屈折だけでは不可能な色消し機能を単玉光学素子に付加することが、DVD/CD互換の光ディスク用ピックアップ対物レンズで実用化されている。これは、光学素子を透過する光の波長の数10倍の大きさの回折溝による回折作用を利用したもので、このように波長より十分大きな構造による回折作用を扱う領域は、スカラー領域と呼ばれている。
一方、光学素子を透過する光の波長の数分の一という微細な間隔で、円錐形状の突起を光学面の表面に密集させて形成させることで、光の反射抑制機能を発揮できることが判っている。即ち、光波が光学素子に入射する際の空気との境界面での屈折率変化を、従来の光学素子のように1から媒体屈折率まで瞬間的に変化させるのではなく、微細な間隔で並んだ突起の円錐形状によって緩やかに変化させ、それにより光の反射を抑制することができるのである。このような突起を形成した光学面は、いわゆる蛾の眼(moth eye)と呼ばれる微細構造で、光の波長よりも微細な構造体が波長よりも短い周期で並ぶことにより、もはや個々の構造が回折せずに光波に対して平均的な屈折率として働くものである。このような領域を等価屈折率領域と一般に呼んでいる。このような等価屈折率領域に関しては、例えば電子情報通信学会論文誌C Vol.J83−C No.3 pp.173−181 2000年3月に述べられている。
等価屈折率領域の微細構造によれば、従来の反射防止コートに比べて反射防止効果の角度依存性や波長依存性を少なくしながら大きな反射防止効果を得られるが、プラスチック成形等によれば、光学面と微細構造を同時に創成できることから、レンズ機能と反射防止機能が同時に得られて、従来のように成形後に反射防止コート処理をするといった後加工が不要となる等の生産上のメリットも大きいと考えられ注目されている。さらに、このような等価屈折率領域の微細構造を光学面に対して方向性を持つように配すると、強い光学異方性を光学面に持たせることもでき、従来、水晶などの結晶を削りだして製作していた複屈折光学素子を成形によって得ることができ、また、屈折や反射光学素子と組み合わせて新たな光学的機能を付加することができる。この場合の光学異方性は、構造複屈折と呼ばれている。
上述したスカラー領域と等価屈折率領域の間には、回折効率が入射条件のわずかな違いにより急激に変化する共鳴領域がある。例えば、回折輪帯の溝幅を狭くしていくと、波長の数倍程度で急激に回折効率が減少し、また増加するという現象(アノマリー)が発生する。この領域の性質を利用して、特定の波長のみを反射する導波モード共鳴格子フィルターを微細構造で実現して、通常の干渉フィルターと同等の効果をより角度依存性を少なくして実現できる。
ところで、スカラー領域や、等価屈折率領域や、共鳴領或を利用して光学素子を形成しようとする場合、その光学面に微細な突起(又はくぼみ)を形成する必要がある。このような微細な突起(又はくぼみ)を備えた光学素子を大量生産するには、一般的にはプラスチックを素材として成形を行うことが適しているといえるが、かかる場合、微細な突起(又はくぼみ)に対応したくぼみ(又は突起)を備えた光学面転写面を、光学素子の成形用金型に設ける必要がある。
しかるに、上述したような等価屈折領域や共鳴領域の突起(又はくぼみ)に関しては、数十乃至数百ナノメートルの間隔で突起(又はくぼみ)を形成しなくてはならず、切削加工を含む機械的加工では極めて困難である。
かかる問題に鑑みて、本出願人は、特許文献1において、基体に過冷却液体域を有する非晶質合金を付着させ、かかる非晶質合金を加工することで、光学素子の光学面を成形するための光学面転写面を形成する製造方法について開示している。かかる過冷却液体域を有する非晶質合金は、加工容易性に優れていることから、例えば光学面転写面に微細構造を形成する必要がある場合にも、これを容易に行うことができる。
特開2003−160343号公報
しかるに、特許文献1においては、基体に対して過冷却液体域を有する非晶質合金を、どのようにして適切な膜厚で成膜させるかについて、具体的に言及されていない。即ち、通常は過冷却液体域を有する非晶質合金をバルク材から切り出して、基体に接合させた後、かかる過冷却液体域を有する非晶質合金を加工することになるが、過冷却液体域を有する非晶質合金は高価なものであるため、加工によって除去される部分が多いと収率が悪化し、光学素子用成形金型の製造コストを増大させる恐れがある。又、スパッタ等によって、過冷却液体域を有する非晶質合金の粒子を飛散させて、基体の平面上に膜層を形成できたとしても、光学素子の非球面形状分は、切削加工等によって過冷却液体域を有する非晶質合金を除去しなくてはならず、同様に製造コストが増大すると共に、加工の手間もかかる。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストであり取り扱いが容易であるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型の製造方法、及びそれにより製造される光学素子用成型金型並びにそれにより成形される光学素子を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、光学素子の光学面を成形転写するための成形転写面を有する光学素子用成形金型の製造方法において、
前記光学素子用成形金型の基体に、前記成形転写面が凹形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が大きいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を形成し、前記成形転写面が凸形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が小さいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を形成する工程と、
前記ベース面に対し、隔置配置された素材から、その材料粒子を飛散させて、過冷却液体領域を有する非晶質合金を堆積させることで膜層を形成する工程と、
前記膜層に所定の加工を施すことで前記成形転写面を得る工程と、を有することを特徴とする。
従来の製法では,無電解Niメッキを基体のベース面に付着させ、そこに成形転写面を形成していたが、必要なメッキ膜の厚さを得るためには、数週間という非常に長い時間が必要となり、1つの金型を形成するために相当に手間がかかっていた。
これに対し、本発明のように,光学素子に光学面に対応した前記ベース面に対し、隔置配置された素材から、その材料粒子を飛散させて、過冷却液体領域を有する非晶質合金を堆積させる成膜工程(特にスパッタや蒸着法等)で膜層を形成した場合、非常に短時間で成膜できるため、メッキ製法に比較して、金型の製造時間を大幅に短縮できる。ところが、スパッタなどの成膜工程の場合、ターゲットより金属粒子が放射状に飛散するので、前記ベース面の形状によっては、過冷却液体領域を有する非晶質合金が堆積しやすい部位と、堆積しにくい部位とが生ずる。具体的には、金属粒子の飛散方向に対して、前記金型の面が傾いている部分には堆積しにくい傾向がある。従って堆積しやすい部位の膜厚は厚くなり、堆積しにくい部位の膜厚は薄くなるため、結果として前記ベース面上の膜厚が不均一となる。その膜層を、後工程で切削・研削等により削ることで成形転写面を得ようとした場合,膜厚が薄いと,加工可能な回数が減少することとなる。一般的に,光学素子用成形金型の成形転写面を加工するには,数回の加工を行って成形転写面を創成するため,加工可能な回数が少なくなると,1〜2回の加工で成形転写面を仕上げなければならず,加工自体の難易度があがるか、もしくは創成不可能となる。
かかる課題を解決するために、本発明においては、前記成形転写面が凹形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が大きいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を予め形成し、前記成形転写面が凸形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が小さいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を予め形成している。本発明の作用効果について、図1を参照して説明する。
図1(a)は、光学素子用成形金型の概略拡大断面図である。図1(a)において、金型Mの状面には、くぼんだ形状(凹形状)のベース面Bが形成されている。成膜時には、上方のターゲットTから、過冷却液体領域を有する非晶質合金粒子が放射状に飛散し、ベース面Bを含む金型Mの上面に付着し堆積する。本発明者の研究によれば、特にベース面Bの周辺(飛散方向に対して傾きが大きい位置)で、膜厚が薄くなるということが判明した。従って、ベース面Bの曲率R1を、最終的に形成される光学素子用成形金型の成形転写面Pの曲率R2よりも大きいか、あるいは等しい形状で予め形成しておくことで、膜MGの表面形状が、成形転写面形状にほぼ一致する程度まで堆積が行われれば、膜厚の最も薄い部位でも、後加工において十分な膜厚が得られることとなる。
図1(b)は、別な光学素子用成形金型の概略拡大断面図である。図1(b)において、金型Mの状面には、突出した形状(凸形状)のベース面Bが形成されている。成膜時には、上方のターゲットTから、過冷却液体領域を有する非晶質合金粒子が放射状に飛散し、ベース面Bを含む金型Mの上面に付着し堆積する。本発明者の研究によれば、特にベース面Bの周辺(飛散方向に対して傾きが大きい位置)で、膜厚が薄くなるということが判明した。従って、ベース面Bの曲率R1を、最終的に形成される光学素子用成形金型の成形転写面Pの曲率R2よりも小さいか、あるいは等しい形状で予め形成しておくことで、膜MGの表面形状が、成形転写面形状にほぼ一致する程度まで堆積が行われれば、膜厚の最も薄い部位でも、後加工において十分な膜厚が得られることとなる。
更に、過冷却液体領域を有する非晶質合金のバルク材に関しての特許文献が数多く知られている。しかるに、バルク材の過冷却液体領域を有する非晶質合金金属の問題点の1つとしては,その大きな特徴である結晶構造のアモルファス(非晶質)状態を安定して製作するのが難しいということがある。非晶質状態を造り出すためには,まず,所望する組成通りに合金(母合金と呼ぶ)をアーク炉等で製造し、その母合金を高温に熱し液化させ,その後,10℃/secの冷却速度で急冷する。金属ガラスは非晶質な結晶状態であるのに比べて,母合金は炉で同じ組成比の金属を混ぜ合わせてだけものであり,結晶状態は多結晶体である。従って、バルク材の過冷却液体領域を有する非晶質合金を得るためには,この冷却工程が必要不可欠なため,工数が増えると共に,熱した合金を均一に急冷するため製法が限られる上に,冷却技術に熟練を要する。
これに対し、本発明のように、所望の組成の金属の粒子を所定方向から飛散させて成膜を行えば、過冷却液体領域を有する非晶質合金を膜状に堆積させることができ、例えばターゲットに母合金さえ用意できれば,比較的容易に厚さ0.1〜500μm程度の薄膜状の過冷却液体領域を有する非晶質合金を得ることできるため、バルク材を用いる場合と比較し、製造時間が格段に短縮されることとなる。又、必要最低限の膜厚だけ成膜を行うことができるため、過冷却液体領域を有する非晶質合金の節約を図ることができ、製造コストを抑制できる。
更に、ターゲットの母合金としては、必ずしもアモルファス状態である必要はなく、所望の組成比を満たしていれば、飛散し堆積することで自然にアモルファス状態になるというメリットもある。即ち、所望とする過冷却液体領域を有する非晶質合金と同じ組成比の母合金ターゲットさえ用意してしまえば,バルク材等では安定して造ることが難しい材料・組成比の過冷却液体領域を有する非晶質合金,またバルク材ではアモルファス化しない材料・組成比についても,容易にアモルファス化して成膜できるのである。
ここで、過冷却液体域を有するアモルファス状合金(非晶質合金)、いわゆる金属ガラスについて説明する。これは、加熱すると過冷却液体となるアモルファス状の合金材料で構成されるものであり、通常の金属が多結晶組織であるのに対して、組織がアモルファス状のため組成がミクロ的にも均一で機械強度や常温化学耐性に優れ、ガラス転移点を有し、過冷却液体域であるガラス転移点〜結晶化温度の範囲(通常、ガラス転移点+10〜50℃前後(最大で100℃)である)に加熱するとガラス状に軟化する(粘性流動体となる)ためプレス成形加工が出来るという、通常の金属には無い特徴を有する。また、切削加工においても、特にダイアモンド工具による超精密切削加工を行うと、高精度な鏡面が容易に得られることが発見されている。その理由は、この材料がアモルファス状であり結晶粒界を持たないので場所によらず被削性が均一であること、又、アモルファス状を保つために結晶化エネルギーを大きくして組成的に多晶体としているため、切削加工中のダイアモンドの拡散摩耗が少なく工具の刃先寿命を長く保てること等によると考えられる。超精密切削加工により実用的に光学面転写面の創成ができるバルク材としては、従来から知られているのは軟質金属だけであり、非常に微細な切込み量(100nm前後)による延性モード切削によってのみ、シリコンやガラスなどの硬度の高い材料を切削加工可能ではあったが、それは極めて低効率であった。従って、非晶質合金を金型材料として用いることは、金型を中心とした光学面創成加工に極めて大きな応用展開を示唆する発見であったといえる。同様の加工特性は、ダイアモンド砥石などを用いた研削加工についても、研削比が大きくとれる等の形で現れる。
本発明の光学素子用成形金型で用いることができる非晶質合金の種類は問わない。Pd系、Mg系、Ti系、Fe系、Zr系などの公知の金属ガラスが使えるが、過冷却液体域を有するアモルファス状である合金材料であることが、本発明に必要な要件であって、これらの組成や種類は問わない。ただし、プラスチック光学素子成形用の金型材料としては、樹脂温度が300℃近くであることから、Pd系、Ti系、Fe系などがガラス転移点が高いので有利であるが、より好ましくはPd系が空気中でほとんど酸化することなく、加熱プレスができるという点でも有利である。この場合、Pd(パラジウム)は貴金属で高価ではあるが、本発明の製造方法により得られる光学素子用成形金型は、必要に応じて、付着した前記非晶質合金を加熱することで異なるパターンを再形成することもできる。
請求項2に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記光学素子用成形金型により成形される光学素子の光学面に、光軸を中心とした輪帯構造が形成されることを特徴とするので、前記製造方法によって製造された光学素子用成形金型により成形された光学素子の機能をより高めることができる。
請求項3に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項2に記載の発明において、前記輪帯構造は、光路差付与構造であることを特徴とするので、前記製造方法によって製造された光学素子用成形金型により成形された光学素子の機能をより高めることができる。光路差付与構造としては、いわゆるNPS(Non−Periodic Surface)構造等が知られている。
請求項4に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項2に記載の発明において、前記輪帯構造は、光軸方向断面が鋸歯状のブレーズ型回折構造であることを特徴とするので、前記製造方法によって製造された光学素子用成形金型により成形された光学素子の機能をより高めることができる。
請求項5に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項2に記載の発明において、前記輪帯構造は、光軸方向断面が階段状の回折構造であることを特徴とするので、前記製造方法によって製造された光学素子用成形金型により成形された光学素子の機能をより高めることができる。階段状の回折構造としては、DOE等が知られている。
請求項6に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項2〜5のいずれかに記載の発明において、前記輪帯構造は、前記光学素子に対して光を照射する光源の波長変化による前記光学素子の収差変化を補正する機能を有することを特徴とするので、例えば光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に好適な光学素子を提供できる。
請求項7に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項2〜6のいずれかに記載の発明において、前記輪帯構造は、前記光学素子の温度変化による収差変化を補正する機能を有することを特徴とするので、例えば光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に好適な光学素子を提供できる。
請求項8に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記光学素子用成形金型により成形される光学素子の光学面に、複数の突起またはくぼみが転写成形されるように,前記光学素子用成形金型成形転写面には,対応したくぼみまたは突起が形成されていることを特徴とするので、前記製造方法によって製造された光学素子用成形金型により成形された光学素子の機能をより高めることができる。又、たとえ突起又はくぼみが数十乃至数百ナノメートルの間隔で配置しなくてはならないものであっても、機械加工を必要とすることなく、転写成形により容易に形成することができる。尚、くぼみまたは突起とは、くぼみと突起の双方が混在するものも含む。
請求項9に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8に記載の発明において、前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、等価屈折率領域の微細構造を形成することを特徴とする。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
請求項10に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8又は9に記載の発明において、前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、反射防止効果を発生する微細構造を形成することを特徴とする。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
請求項11に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8〜10のいずれかに記載の発明において、前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、構造複屈折を発生する微細構造を形成することを特徴とする。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
請求項12に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8〜11のいずれに記載の発明において、前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、共鳴領域の微細構造を形成することを特徴とする。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
請求項13に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8〜12のいずれかに記載の発明において、前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、該光学面の一部に存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記成形転写面の一部には、対応したくぼみまたは突起が存在していることを特徴とする。
請求項14に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項8〜13のいずれかに記載の発明において、前記光学素子の光学面の一部に、少なくとも複数の形状または配置パターンを有する突起またはくぼみが存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記光学面転写面の一部には、対応した少なくとも複数の形状または配置パターンのくぼみまたは突起が存在していることを特徴とする。前記光学素子の光学面に、微細構造の突起またはくぼみを、複数の形状や配置パターンを有するように形成し、それらを該光学面上に部分的に配置することにより、かかる光学面が、局部的にそれらの微細構造の光学機能を発揮することができる。これにより、光学面を通る光束に、微細構造の突起やくぼみの各形状や配置パターンによって生じる光学機能を部分的或いは選択的に施して、複数の光学機能を一つの光束に盛り込むことができる。この場合、光学素子の光学面上には、微細構造の突起やくぼみが必ず光学面の全面に存在している必要はない。すなわち、従来では、所定の光学機能を発揮するために複数の光学素子を組み合わせる必要があるところ、本発明の製造方法により製造された光学素子用成形金型により成形した光学素子を用いれば、単独で所定の光学機能を発揮することができ、光学系をより簡素化することができ、大幅なコストダウンが実現できる。又、本発明の製造方法によって製造された光学素子用成形金型によれば、かかる光学素子を容易に大量生産することができる。
請求項15に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記光学素子用成形金型の成形転写面は、非球面形状のみからなることを特徴とする。即ち、微細構造を有しない光学面を成形することもできる。
請求項16に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、PVD(Physical Vapor Deposition)処理によって形成したことを特徴とする。
請求項17に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、スパッタ処理によって形成したことを特徴とするので、強固な薄膜を実現できる。
請求項18に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、イオンプレーティング処理によって形成したことを特徴とするので、強固な薄膜を実現できる。
請求項19に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、蒸着法によって形成したことを特徴とするので、強固な薄膜を実現できる。
請求項20に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理によって形成したことを特徴とするので、強固な薄膜を実現できる。
請求項21に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がFeを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Fe系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項22に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項21に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Ti,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項23に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がTiを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Ti系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項24に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項23に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Fe,Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項25に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がWを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Ti系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項26に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項25に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nbのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項27に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がCoを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Co系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項28に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項27に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項29に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がNiを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Ni系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項30に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項29に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項31に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がCuを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を、スパッタ法などの成膜方法を用いることで,必要な箇所に必要な厚みだけ膜層を形成して,得ることができる。また、Cu系の金属ガラスを用いた光学素子用成形金型を製作する上で,金属ガラスのバルク材の場合に必要となる制御が難しい急冷工程を省くことで,その分の製作工程を少なくすることができる。
請求項32に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項31に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Ni,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項33に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜20のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がMoを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする。
請求項34に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項33に記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Fe、Co,Ni、Cu、Hf,Zr,Ti,W,Sn,Al,Si,P,B、Pdのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有することを特徴とする。
請求項35に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項21〜34のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Pt,Ir,Au,Ag,Pd,Ru,Rh,Osの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とするので、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の耐酸化性能を向上させることができる。
請求項36に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項21〜35のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Zn,Al,Sn,Mg,Be,Sの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項37に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項21〜36のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Mo,Mn,V,Ge,Ru,Rh,N,S,Na,Be,K,Ca,Sの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とするので、非晶質合金の過冷却液体領域を1〜50℃拡大させることができる。
請求項38に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜37のいずれかに記載の発明において、前記所定の加工とは、光学素子の光学面に対応した母型を加熱して前記ベース面に形成された膜層に押しつける加熱プレス成形であることを特徴とする。
成形転写面上に微細な突起(又はくぼみ)を有する光学素子用成形金型の母型を予め形成しておき、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移点温度以上に加熱してから、前記ベース面に成膜された前記過冷却液体領域を有する非晶質合金にプレスすると、微細な突起(又はくぼみ)を精度良く前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層に転写でき、成形転写面を精度良く形成できる。即ち、形状精度の良い母型が一つ存在すれば、光学素子用成形金型を、容易に大量に製作することができるのである。しかるに、このような母型の形成としては、例えば、光学素子の光学面に対応した面(母光学面)にレジストをスピンコート法などで塗布し、電子ビームやレーザービームによって微細パターンを露光した後、現像によって母光学面上の微細パターンを形状化する手法が考えられる。この方法によれば、通常の機械加工での創成では極めて困難である微細な突起(又はくぼみ)を形成することができる。
請求項39に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜37のいずれかに記載の発明において、前記所定の加工とは、ダイヤモンド工具を用いて行う前記ベース面に形成された膜層の切削加工であることを特徴とするので、前記非晶質合金の被削性を利用し、簡単な工程で高精度な光学素子用成形金型を大量生産できる。
請求項40に記載の光学素子用成形金型の製造方法は、請求項1〜37のいずれかに記載の発明において、前記所定の加工とは、光学素子の光学面に対応した母型を加熱して前記ベース面に押しつける加熱プレス成形と、ダイヤモンド工具を用いて行う前記ベース面に形成された膜層の切削加工であることを特徴とするので、効率的な加工が可能となる。
請求項41に記載の光学素子用成形金型は、請求項1〜40のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法によって製造された光学素子用成形金型であって、200〜800℃の金型温度で光学素子の成形を1,000回行ったときに、金型表面粗度がRa0.05μm未満であることを特徴とするので、上述した製造方法で形成することにより、長寿命な光学素子用成形金型を提供できる。
請求項42に記載の光学素子は、請求項第1〜40のいずれか記載の光学素子用成形金型の製造方法により製造された光学素子用成形金型、又は請求項41に記載の光学素子用成形金型を用いて成形されたことを特徴とするので、高精度を有しながらも低コストで製造できる。
請求項43に記載の光学素子は,請求項42に記載の発明において、プラスチック材料を素材とすることを特徴とするので、安価に容易に製造できる。
請求項44に記載の光学素子は,請求項42に記載の発明において、前記光学素子は,ガラス材料を素材とすることを特徴とするので、収差特性等に優れたものとなり,またプラスチック材料と比較すると高温高湿等の環境に対して製品の性能が安定し,耐久力に優れる。
請求項45に記載の光学素子は,請求項42〜44のいずれかに記載の発明において、前記光学素子は,例えば光ピックアップ装置に使用されるレンズであることを特徴とする。
本明細書中で用いる回折構造(回折輪帯)とは、光学素子(例えばレンズ)の光学面表面に、光軸を中心とする略同心状の輪帯として形成されたレリーフを設けて、回折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせた回折面のことをいう。例えば、光軸を含む平面でその断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。回折輪帯を回折溝ともいう。
本発明が適用されるに当たり、輪帯構造や突起(又はくぼみ)の並びなど、個々の微細構造の形状や配列周期などは関係ない。どのような微細な構造であっても、光学素子に新たな機能を付加する目的で作られたものであれば、その光学素子用成形金型又はそれにより成形された光学素子は、本発明の範疇に含まれる。また、新たに付加する機能としては、収差を低減するものに限らない。光学系の特性に応じて収差を故意に増加させる場合も、最終的に理想とする収差に近づける目的で行う限り、本発明の範疇に含まれる。
本発明によれば、低コストであり取り扱いが容易であるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型の製造方法、及びそれにより製造される光学素子用成型金型並びにそれにより成形される光学素子を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図2は、光学素子用成形金型を製作するための母型の製作工程の例を示す図である。尚、母型の製作は、以下の方法に限らず、例えば後述する実施例で示すように、切削加工により形成しても良い。まず、図2(a)に示すように、母型材1に母光学面1aを形成する。かかる母光学面1aは、光学素子用成形金型により形成したいレンズ(光学素子の一例)の設計光学面形状に一致する。母光学面1aの周囲は、ティルト基準平面に対応する母幾何寸法基準面1bとなっている。
続いて、図2(b)に示すように、不図示の駆動体によって母型材1を光軸回りに回転させながら、母光学面1a及び母幾何寸法基準面1bにレジストRを塗布する(スピンコート)。レジストRは、母光学面1a及び母幾何寸法基準面1bを含む母型材1の上面に、等しい膜厚でコーティングされる。
更に、レジストRがコーティングされた母光学面1aに対し、不図示の露光機により電子ビームLBを照射して、微細パターンを露光形成する。続いて、図2(c)に示すように、母型材1を溶液中に浸し、母光学面1a上において、露光形成された微細パターンに応じてレジストRを除去する。ここで、電子ビームLBのビーム径は極めて小さいので、数十乃至数百ナノメートルの間隔で露光を行えるため、それに応じてレジストRを除去することができる。
その後、図2(d)に示すように、部分的にレジストRが除去された母型材1の上面を、イオンシャワーIS(加速されたアルゴンイオン等)の雰囲気中に曝し(ドライエッチング)、レジストRのパターンに応じて、母型材1の表面を除去する。このとき、レジストRの残っている部分は、表面が除去されない或いは除去されにくくなるため、露光時に厚く円形のレジストRを残すことで、それに対応して母型材1の光学転写面1a’の表面に、小さな円筒形状の突起が多数形成されることとなる。
このようにして形成された母型材1は、円管状のシリンダ2の一端を閉止するような形でボルト3で固定されて、母型4が形成されることとなる(図2(e))。シリンダ2と母型材1との間に、エアベントが形成されるように、シリンダ2の端面には、溝2aが形成されている。尚、母型材1の加工は、大規模な設備が必要であって、その製作コストも高いが、一つあれば、後述するようにして光学素子用成形金型を大量に製作できるので、特に問題はない。
図3は、光学素子用成形金型の製作工程を示す図である。まず、ステンレス鋼材等から基体10を形成する。基材10の材料は、特に限定されるものではないが、鋼やステンレス鋼などの一般的に用いられる金型材料であることが好ましく、その場合には供給も安定しており価格も安いという利点がある。ブランクとしての基体10は、一端(図で上端)に、光学素子の光学面(例えば非球面)に対応しているが、曲率がそれより大きいか等しい凹部(ベース面)10aと、その周囲の周囲面10bとを形成する(ベース面を形成する工程)ことで、金型の近似形状を有するようになっている。凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10cの形状精度は、表面に施す過冷却液体域を有する非晶質合金(以下、単に非晶質合金ともいう)MGの膜厚によるが100μm程度の非晶質合金MGを成膜する場合であれば、10〜20μm程度の精度であれば十分なので、ブランク加工そのものはNC旋盤などを使用して数10分でできる程度のものである。この凹部10aと周囲面10b、さらに基体10の端部周囲面10cに、過冷却液体域を有する非晶質合金MGを、以下のようにして付着させる。
非晶質合金MGを、凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10cの表面に対して、詳細は実施例で後述するようにして、スパッタや蒸着などのPVD処理やCVD処理により成膜する(膜層を形成する工程)。尚、本実施の形態では、凹部10a以外に、周囲面10b、端部周囲面10cにも非晶質合金MGを成膜させているが、成膜は凹部10aだけでもよい。
尚、以上の実施の形態では、基体10のベース面が凹形状を有している例を示しており、かかる場合には、最終的に形成される成形転写面よりもベース面の曲率が大きいか、あるいは等しい曲率の形状となっているが、基体10のベース面を凸形状とした例の場合には、最終的に形成される成形転写面よりもベース面の曲率が小さいか、あるいは等しい曲率の形状とすることで、同様の効果を得ることができる。
非晶質合金MGの成膜は、CVD処理では、基材10が高温となり過冷却液体状態とする非晶質合金の性質上不利ではあるが、本発明は成膜をCVD処理やPVD処理のどちらかに限ったものではない。非晶質合金MGを比較的容易に成膜しやすいPVD処理では、スパッタやイオンプレーティング、蒸着などの処理があるが、ここではどれを用いても良い。ちなみに、スパッタ法ではターゲット材料は必ずしもアモルファス状態でなくとも良く、基材10に所望の組成比で構成原子を付着させれば、スパッタの原理上、付着時に急冷を伴うため、アモルファス状態で容易に成膜できる。成膜速度は0.2〜数μm/h程度で、スパッタ装置の出力をあげれば容易に短縮できるが、基材10の温度が上昇してアモルファス状にならなくなるため、水冷などによる基材10の冷却が必要となる。あまり膜厚が厚くても、この後のダイアモンド切削加工や加熱プレス成形などで取り代がたくさん残り効率が悪いので、通常は100μm程度がより好ましい。しかし、複雑な形状では数mmの膜厚が必要なこともあり、大凡10nmから1mm程度の範囲が、実用的な膜厚範囲である。
特に膜厚が厚い場合は、凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10c以外の部分にはみ出した非晶質合金により、光学素子用成形金型の設計形状が損なわれることがある。そのために、成膜部分以外をマスキングしたり、成膜後にダイアモンド切削や研削加工によってはみ出し部を除去することも必要な場合がある。しかし、非晶質合金MGは、被削性が良くしかも除去量が少ないため、加工工数やコストの負担にはほとんどならない。
本実施の形態のごとく、非晶質合金MGを、このように光学素子用成形金型の極限られた部位だけに少量用いることによって、従来、優れた物性的な特徴をもちながらバルク形状の製作が難しかった種類の非晶質合金についても、光学素子用成形金型に適用することが可能となった。例えば、ニッケル系や銅系などの高硬度の非晶質合金は、金型材料として高耐久性が期待できるが、バルク状にしにくいため、先の出願の手法では光学素子用成形金型ヘの適用が難しかったが、本実施の形態のごとく成膜化することで、その適用が可能となった。さらに、バルク材料では冶金時に水素などのガスが地金中に存在するので、「す」と呼ばれる微小孔が存在し、ダイアモンド切削したり加熱プレス成形したときに、加工創成した光学面に現れて表面不良を生じさせることがあったが、本実施の形態のようなCVD処理やPVD処理によって気相から成膜する場合では、「す」が発生することはほぼ無いため、光学素子用成形金型の製作収率が高く維持できて、例えば不良対応のスペアを製作する必要がなくなるので、先の出願に開示した光学素子用成形金型に比べ、大幅に低コストになる。
続いて、この非晶質合金MGの成膜に対し、ダイアモンド切削加工や加熱プレス成形もしくはこれらの組み合わせを施すことで、非晶質合金MGの表面を所望の光学面転写面MGa(基体10の凹部10aに対応)及び幾何的寸法基準面転写面MGb(基体10の周囲面10bに対応)に仕上げる(成形転写面を得る工程)。本実施の形態によれば、基体10のベース面である凹部10aの曲率を、最終的に形成される光学素子用成形金型の成形転写面の曲率よりも大きいか、あるいは等しい形状で予め形成しておくことで、膜MGの表面形状が、成形転写面形状にほぼ一致する程度まで堆積が行われれば、膜厚の最も薄い部位でも、後加工において十分な膜厚が得られ、ダイアモンド切削加工や加熱プレス成形を適切に行えるというメリットがある。
ダイアモンド切削は、図3に点線で示す単結晶ダイアモンド工具Tを用いて、超精密旋盤(不図示)などにより一つ―つ切削加工するものであるため、従来の無電解ニッケルメッキによる金型製作手法と基本的に同じ加工工程を経るが、従来に比べて、光学面転写面MGa及び幾何寸法基準面転写面MGbは、PVD処理又はCVD処理で迅速に緻密に形成され、化学メッキ処理をしないためピンホールなどの欠陥が無く処理納期が早いことと、被削性が非常に良いので工具摩耗が少なく切削加工による形状創成が容易であること等が、より優れた特徴といえる。
図4は、加熱プレス成形による光学面素子成形用金型の光学面転写面及び幾何的寸法基準面転写面の形成工程を示す図である。まず、図2に示す工程で作製した母型4に、図4(a)に示すように支柱5を取り付ける。続いて、図4(b)に示すように、母型材1の周囲に配置されたヒーターHにより、母光学面1aと母幾何寸法基準面1bの周辺を予備加熱しておき、図3に示す工程で作製した基体10及び成膜した非晶質合金MG(機械加工されていてもよい)を、シリンダ2内に挿入し、プランジャー6で加圧する。このときシリンダ2内の空気は、エアベント(溝2a)を介して外部へと流出する。加熱された非晶質合金MGは、溶融した樹脂と同様に柔軟性があるため、わずかな加圧であっても、母型材1の母光学面1aと母幾何寸法基準面1bとの形状に一致するように変形する。
更に、図4(c)に示すように、母型4とプランジャー6とを一体で、冷却水が満たされた容器7内に沈下させることで、非晶質合金MGを急冷させる。尚、かかる冷却は自然放冷であっても良い。その後、容器7から取り出した母型4とプランジャー6とを分離させることで、母光学面1aと母幾何寸法基準面1bに対応した光学面転写面MGaと幾何寸法基準面転写面MGbとを形成した光学素子用成形金型10’(図5)を取り出すことができる。深い光学面形状や複雑な光学面形状や酸化しやすい非晶質合金を加熱プレス成形する場合は、加熱、成形、冷却の工程を真空中で行うのが好ましい。
図5は、光学素子の一例であるレンズを形成するための光学素子用成形金型を含むダイセットの断面図である。上述のようにして非晶質合金MGを成膜した光学素子用成形金型10’と、同様にして非晶質合金MG’を成膜した光学素子用成形金型11’とを、光学面転写面MGa、MGa’同士及び幾何寸法基準面転写面MGb、MGb’同士を対向させるようにして、ダイセット金型13,14に挿入し、溶融したプラスチック材料PLを、不図示のゲートから通常の射出成形と同様に光学素子用成形金型10’,11’間に射出して、更に冷却することで、所望の形状のレンズを得ることができる。尚、ダイセット取り付け用のネジ孔10d’、11dを加工する場合も、非晶質合金MGと異なり、靱性に優れた基体10、11に対して穿孔しタップ切りを行えばよいので、加工時の破損を抑えることができ、また成形時の外力に対しても基体10、11がたわんで応力集中を緩和させる機能を有するため破損が抑制される。
このように本実施の形態では、加熱プレス成形によって光学面転写面MGaや幾何寸法基準面転写面MGbを創成する場合、非晶質合金MGが成膜された部分を重点的に加熱して軟化させ、加熱した母型1に押圧すれば足りる。重要なことは、本実施の形態では、非晶質合金MGは光学素子用成形金型10’全体に用いず、光学面転写面MGaや幾何寸法基準面転写面MGbを形成する層及びその周辺のみに限られており、基体10全体を均一に加熱する必要がないことである。従って、バルク材料の非晶質合金全体を加熱プレス成形する場合に比べて、熱容量が小さく加熱が容易なため温度制御も精度良くでき、プレス変形量も少ないのでプレス時間を大幅に短くできる。これらの特徴は、単に成形プロセスが制御しやすいというだけでなく、加熱中の非晶質合金の結晶化を避けるには非常に都合の良い条件であり、その結果、結晶化を気にすることなく加熱プレス成形を何度もやり直すことができ、それにより鋳潰さなくとも光学面転写面MGa等の形状修正やリサイクルが可能となり、又、優れた物性的特徴を有しながら結晶化しやすいため加熱プレス成形ができなかったような、ある種の非晶質合金についても、光学素子用成形金型ヘの適用が可能となる。
さらに加熱方法を簡便化すると、非晶質合金に光学面転写面や幾何寸法基準面転写面を成形するための母型のみを、成形温度に加熱しておき、これに基体に成膜した非晶質合金を押しつければ(加熱プレス)、非晶質合金が母型との接触表面から成形温度になるに従って軟化し転写成形が進行し、最終的には非晶質合金の全表面が母型に密着したところで成形が完了することになる。このように、加圧力も一定でほとんど制御しなくても成形が可能となるため、極めて簡素な加熱プレス成形装置で高精度に高効率に光学素子用成形金型の光学面転写面や幾何寸法基準面転写面を創成加工できる。また、母型のみを過熱する際は熱容量がさらに小さくなるので、非常に高精度に温度制御が可能となり、オーバーシュートやハンチングなどによる過熱を防ぎ、加熱プレス成形中の非晶質合金の結晶化や融着を効果的に防ぐことができる。
加熱プレス成形の雰囲気は、通常は非晶質合金の酸化やそれに基づく結晶化を防ぐために真空中で行うことが好ましく、パラジウム系の非晶質合金は大気中で加熱してもほとんど酸化しないため、大気中で加熱プレス成形することができる。この場合、加熱プレス成形装置は、真空雰囲気を維持する必要もなくなるのでさらに簡素なものとすることができ、大気中で直接目視観察しながら加熱プレス成形ができるという利点がある。パラジウム系の非晶質合金としては、Pd40Cu30Ni1020やPd76CuSi18、Pd61Pt15CuSi18などがあるが、パラジウムの含有量が少なくとも20mol%以上含有しないと、他の構成原子が酸化したり結晶化しやすくなって、大気中での加熱プレス成形は難しくなる。一方、パラジウムの含有量が80mol%以上では、一般的には、ガラス転移点が存在しなくなり非晶質合金とならない。そのため、大気中で加熱プレス成形を安定して行う非晶質合金の材料としては、パラジウム含有量が20mol%以上かつ80mol%以下であることが好ましい。また、最多含有原子であるパラジウム以外の構成原子から見ると、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、燐、ボロンのいずれか1つ以上を、少なくとも3mol%以上含有していることが、アモルファス状の非晶質合金とするために必要である。これは、パラジウム系の非晶質合金に限らず、例えば、Zr55Al10Cu30Ni、Zr57TiAl10Ni10Cu20、La65Al15Ni20、La55Al15Ni10Cu20、Co51Fe21Zr20、Fe56CuNiZr1020、Mg75Cu1510、Mg70Ni20La10等々、ほとんどの系の非晶質合金について言えることである。また、大気雰囲気中での加熱プレス成形では、母型と非晶質合金の成形面とに閉じた空間ができると、空気溜まりとなって加熱プレス成形の転写性を劣化させる場合がある。この場合はパラジウム系の非晶質合金であっても真空中で加熱プレス成形を行うとよい。回折輪帯などの微細構造を光学面に有する光学素子の成形用金型では、特に微細構造部で微小空気溜まりができやすく、その転写性を大きく損ねるので、真空中で加熱プレス成形する方が良い。
パラジウム系などの貴金属の非晶質合金を光学素子用成形金型に用いる場合は、バルク材料では金型一つで高価な地金価値があるため、光学素子の成形生産工程でこのように高価で小さな部品を多量に扱うには、保管管理を厳重にするなどのセキュリティ上の問題が避けられなかった。しかし、本実施の形態のごとき光学素子用成形金型では、非晶質合金の膜厚を100μm程度とすることができるため、地金価値はわずかコンマ数パーセントにすぎず、その保管管理は従来と同様で良いという、先の出願の技術に対して、非常に重要な実用上の特徴がある。
本実施の形態の製造方法によって形成された光学素子用成形金型は、従来の金型のような化学メッキ処理が全く不要であり、高精度かつ高効率に光学面転写面の創成ができ、従って高精度な光学素子の光学面を転写成形できるにも関わらず、低コストで短納期かつ従来と同様の生産形態で取り扱えるという優れた特徴がある。さらに、微細構造を有する光学素子の成形用金型も容易に創成可能である。
図6は、このような光学素子用成形金型により形成されるレンズの光学面の例を拡大して示す斜視図である。図6(a)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として微細な円筒Cをマトリクス状に多数形成した構成(等価屈折率領域の微細構造の例)となっている。例えばかかる対物レンズをDVD記録/再生用光ピックアップ装置の対物レンズとして用いた場合、レンズを透過する光は650nm近傍である。そこで、微細な円筒Cの間隔Δを160nmとすると、かかる対物レンズに入射する光は殆ど反射せず、極めて光透過率の高い対物レンズを提供することができる。
図6(b)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数の微細な三角錐Tを形成しており、図6(a)と同様な顕著な効果を有する。この間隔Δとしては、0.1〜0.2μm以下であると散乱を低下させるので好ましい。図6(c)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数のフィンF(構造複屈折の微細構造の例)を形成している。フィンFの長さは、透過する光の波長より長く(上述の例では650nm以上)なっている。かかる構成を備えたレンズは、フィンFに沿った方向に振動面を有する光を透過させるが、フィンFに交差する方向の光は透過させないという、いわゆる偏光効果を奏する。図6(d)においては、レンズの光学面に、光軸を中心とした輪帯構造の例として、光軸方向断面が鋸歯状のブレーズ型回折輪帯Dを形成している。回折輪帯Dに関しては、例えば特開2001−195769号公報に、その形状に応じた効果である色収差補正及び温度補正について詳細に述べられているので、以下の説明を省略する。これ以外の輪帯構造として、NPS、DOE等も形成できる。また、図6(a)〜(c)においては、簡単のために平面上に、それら突起を設けた例を示したが、その底面を球面や非球面等の適宜の曲率を持った曲面とし、その曲面上に設けるようにしてもよい。
(金属ガラスの成膜方法)
図7は、金属ガラスの成膜装置を示す概略図である。図7において、筐体200で覆われた処理室Pには、ターゲットTを支持するターゲット支持台201が載置され、それにベース面を対応させるようにして、金型の基体10を保持する試料ホルダ202が配置されている。ターゲット支持台201の内部には冷却配管が形成され、かかる冷却配管には、外部の制御装置203を介して、温度調整用の冷却水を循環させることができるようになっている。
又、処理室Pは、バルブV1を介してターボ分子ポンプ204に連結され、ターボ分子ポンプ204は、バルブV2を介してロータリーポンプ205に連結されている。処理室P内は、2つのポンプ204,205により吸引されて、10−1〜数Pa程度の圧力にされ、且つAr分子を含んでいる。
本実施の形態における大きな特徴としては,ターゲットTはアモルファス構造の金属ガラスである必要はなく,膜層を形成しようとする金属ガラスと同じ組成比を有していれば良い。
次に、金属ガラスの成膜方法について説明する。まず,膜層を形成しようとする金属ガラスと同じ組成比のターゲットTを用意する。ここでは、必要とする組成比の母材を用意し,アーク放電により溶融(アーク炉)して銅鋳型に流し込む方法や,ホットプレスによる焼結法などで,母材を溶融し,図7の成膜装置のターゲットTに適合した型にすると良い。その際,ターゲットTの組成比が、所望する金属ガラスと同じ組成比になるように注意する。例えば,Feを主成分に含む金属ガラスで例をあげれば,Fe56CoNiZrNb20系金属ガラスのターゲットをホットプレスによる焼結法にて製作する。この場合は、まずFe,Co,Ni,Zr,Nbの元素を組成比通り用意し,アーク炉で入念に溶解し,混ぜ合わせる。これを溶かした後,十分冷やし,裏表反転させて,再度溶解し混ぜ合わせる。かかる工程を数回繰り返し,溶かしムラがないように,よく溶け合わせる。その後冷却してとりだしあと,粉砕し粉状にする。そののち,組成比通りのB(ホウ素)とあわせて,ホットプレスによって溶融し任意のターゲット形状に焼き固める。その他,Pd76CuSi18系金属ガラス等では,Pd,Cu,Siをアーク炉で入念に溶かすだけでターゲットを得ることが出来る。
ここで例をあげた両者に共通なことは,アーク炉やホットプレスで製作したターゲットは多結晶合金で,必ずしもアモルファス構造(金属ガラス)である必要はないということである。もちろん,金属ガラスをそのままターゲットとしても問題ない。Pd40Cu30Ni1020系金属ガラスでは,非常にアモルファス構造になりやすいため,ターゲットそのものを金属ガラスとすることもある。
以上のような方法にて製作したターゲットを図7の成膜装置に取り付け,スパッタ成膜を行う。成膜条件は,膜厚等の成膜する条件及び,装置によっても異なるが,1例をあげると,0.5PaのAr雰囲気中で,RF電極(不図示)間に500Wの高周波電圧を印加し,ターゲットTから成膜したい試料(ここでは,金型の基体10のベース面)までの距離を90mmにセットする。ターゲットT上に発生したプラズマのAr粒子が、高速でターゲットTに衝突することにより、その金属粒子が(所定の方向に)はじき飛ばされて、対向した基体10のベース面に付着し堆積して膜層となる。
成膜装置によるが,距離により成膜速度が大体1μm/h〜20μm/hに変化するため適宜調整を行う。試料が近づけば近づくほど成膜速度は上がるが,成膜した膜の粒子が粗くなる等の問題が生ずるため,調整が必要である。又、付着する面が傾いていると、成膜速度が変わる。例をあげると,スパッタ法による成膜では,成膜面の傾き角度θに応じて,膜厚が平面の膜厚をAとすると,A×cosBθという依存式を満たす(ただし,B=0.5〜1の任意値であり、θ=90°以上の角度を除く)。よって,この依存式に応じて膜厚が,角度が大きくなるにつれて薄くなってゆく。前述したように成形転写面の加工時に,金属ガラスの膜厚が十分確保されていないと,成形転写面創成加工の難易度が上昇,あるいは不可能になる。よって,この依存式に応じて,基体10の成形転写面形状は,最終的に求めようとする,金型成形転写面より曲率を大きくして製作するか,あるいは,最終的に求めようとする金型成形転写面形状と同じ形状に製作する。それにより、適切な後加工が可能となる。
この方式で成膜した試料のアモルファス状態の確認は,DSC(熱流束示差走査熱量測定装置)を用いて,アモルファス状態が過冷却液体領域に相転移する際に生ずる吸熱反応を観察するか,あるいはX線回折装置による観察で,アモルファス状態特有の結晶構造によるピークが全く見られないパターンを得ることで,確認することができる。以上のようにして,従来のバルク金属ガラスを製作する方法に比べて遙かに容易に,金属ガラスの膜を金型の基体10におけるベース面に成膜することができる。
光学素子用成形金型の概略拡大断面図である。 光学素子用成形金型を製作するための母型の製作工程を示す図である。 光学素子用成形金型の製作工程を示す図である。 光学素子用成形金型の製作工程を示す図である。 光学素子であるレンズを形成するための光学素子用成形金型を含むダイセットの断面図である。 光学素子用成形金型により形成されるレンズの光学面を拡大して示す斜視図である。 金属ガラスの成膜装置を示す概略図である。
符号の説明
1 母型材
2 シリンダ
4 母型
5 支柱
6 プランジャー
7 容器
10 基体
10’ 光学素子用成形金型
MG 非晶質合金

Claims (45)

  1. 光学素子の光学面を成形転写するための成形転写面を有する光学素子用成形金型の製造方法において、

    前記光学素子用成形金型の基体に、前記成形転写面が凹形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が大きいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を形成し、前記成形転写面が凸形状の場合には、前記成形転写面よりも曲率が小さいか、あるいは等しい曲率の形状でベース面を形成する工程と、
    前記ベース面に対し、隔置配置された素材から、その材料粒子を飛散させて、過冷却液体領域を有する非晶質合金を堆積させることで膜層を形成する工程と、
    前記膜層に所定の加工を施すことで前記成形転写面を得る工程と、を有することを特徴とする光学素子用成形金型の製造方法。
  2. 前記光学素子用成形金型により成形される光学素子の光学面に、光軸を中心とした輪帯構造が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  3. 前記輪帯構造は、光路差付与構造であることを特徴とする請求項2に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  4. 前記輪帯構造は、光軸方向断面が鋸歯状のブレーズ型回折構造であることを特徴とする請求項2に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  5. 前記輪帯構造は、光軸方向断面が階段状の回折構造であることを特徴とする請求項2に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  6. 前記輪帯構造は、前記光学素子に対して光を照射する光源の波長変化による前記光学素子の収差変化を補正する機能を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  7. 前記輪帯構造は、前記光学素子の温度変化による収差変化を補正する機能を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  8. 前記光学素子用成形金型により成形される光学素子の光学面に、複数の突起またはくぼみが転写成形されるように,前記光学素子用成形金型成形転写面には,対応したくぼみまたは突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  9. 前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、等価屈折率領域の微細構造を形成することを特徴とする請求項8に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  10. 前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、反射防止効果を発生する微細構造を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  11. 前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、構造複屈折を発生する微細構造を形成することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  12. 前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、共鳴領域の微細構造を形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  13. 前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、該光学面の一部に存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記成形転写面の一部には、対応したくぼみまたは突起が存在していることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  14. 前記光学素子の光学面の一部に、少なくとも複数の形状または配置パターンを有する突起またはくぼみが存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記光学面転写面の一部には、対応した少なくとも複数の形状または配置パターンのくぼみまたは突起が存在していることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  15. 前記光学素子用成形金型の成形転写面は、非球面形状のみからなることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  16. 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、PVD処理によって形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  17. 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、スパッタ処理によって形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  18. 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、イオンプレーティング処理によって形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  19. 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、蒸着法によって形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  20. 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜の膜層を、CVD処理によって形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  21. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がFeを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  22. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Ti,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項21に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  23. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がTiを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  24. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Fe,Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項23に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  25. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がWを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  26. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nbのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項25に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  27. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がCoを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  28. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Ni,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項27に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  29. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がNiを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  30. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Cu,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項29に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  31. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がCuを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  32. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Ti,Fe,Co,Ni,B,Al,Ga,C,Si,P,Zr,Nb,Wのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%の割合で含有してなることを特徴とする請求項31に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  33. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層は、厚さ0.1〜500μmであり、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成がMoを20〜80mol%の割合で含み、前記過冷却液体領域を有する非晶質合金のガラス転移温度Tgが300〜800℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  34. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Fe、Co,Ni、Cu、Hf,Zr,Ti,W,Sn,Al,Si,P,B、Pdのいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有することを特徴とする請求項33に記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  35. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Pt,Ir,Au,Ag,Pd,Ru,Rh,Osの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とする請求項21〜34のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  36. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Zn,Al,Sn,Mg,Be,Sの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とする請求項21〜35のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  37. 前記過冷却液体領域を有する非晶質合金は、Mo,Mn,V,Ge,Ru,Rh,N,S,Na,Be,K,Ca,Sの元素をいずれか1つ以上を、少なくとも1mol%以上の割合で含有してなることを特徴とする請求項21〜36のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  38. 前記所定の加工とは、光学素子の光学面に対応した母型を加熱して前記ベース面に形成された膜層に押しつける加熱プレス成形であることを特徴とする請求項1〜37のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  39. 前記所定の加工とは、ダイヤモンド工具を用いて行う前記ベース面に形成された膜層の切削加工であることを特徴とする請求項1〜37のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  40. 前記所定の加工とは、光学素子の光学面に対応した母型を加熱して前記ベース面に押しつける加熱プレス成形と、ダイヤモンド工具を用いて行う前記ベース面に形成された膜層の切削加工であることを特徴とする請求項1〜37のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法。
  41. 請求項1〜40のいずれかに記載の光学素子用成形金型の製造方法によって製造された光学素子用成形金型であって、200〜800℃の金型温度で光学素子の成形を1,000回行ったときに、金型表面粗度がRa0.05μm未満であることを特徴とする光学素子用成形金型。
  42. 請求項第1〜40のいずれか記載の光学素子用成形金型の製造方法により製造された光学素子用成形金型、又は請求項41に記載の光学素子用成形金型を用いて成形されたことを特徴とする光学素子。
  43. 前記光学素子は,プラスチック材料を素材とすることを特徴とする請求項42に記載の光学素子。
  44. 前記光学素子は,ガラス材料を素材とすることを特徴とする請求項42に記載の光学素子。
  45. 前記光学素子は,レンズであることを特徴とする請求項42〜44のいずれかに記載の光学素子。

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