JP2005319778A - 光学素子用成形金型、光学素子成形方法及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】
低コストであり取り扱い性に優れるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型、光学素子成形方法及びそれにより成形される光学素子を提供する。
【解決手段】
光学素子用成形金型の基体10に成形転写面を直接形成するのではなく、光学素子の材料のガラス転移点(Tg)+50℃以上の耐熱性を有し,且つ被切削性能に優れた過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を基体10に形成することで,ガラスモールドの光学素子用成形金型の母材に用いられる超硬などの耐熱材料を研削工程にて製作していた従来の工程に比べ、金型精度や納期を短縮できることに加えて,耐熱材料の研削工程では不可能であった,切削加工による金型成形転写面にブレーズ形状の輪体構造などの微細加工を施すことが可能になる。
【選択図】 図1
低コストであり取り扱い性に優れるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型、光学素子成形方法及びそれにより成形される光学素子を提供する。
【解決手段】
光学素子用成形金型の基体10に成形転写面を直接形成するのではなく、光学素子の材料のガラス転移点(Tg)+50℃以上の耐熱性を有し,且つ被切削性能に優れた過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を基体10に形成することで,ガラスモールドの光学素子用成形金型の母材に用いられる超硬などの耐熱材料を研削工程にて製作していた従来の工程に比べ、金型精度や納期を短縮できることに加えて,耐熱材料の研削工程では不可能であった,切削加工による金型成形転写面にブレーズ形状の輪体構造などの微細加工を施すことが可能になる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、過冷却液体領域を有する非晶質合金を用いて製造された光学素子用成形金型、光学素子成形方法及び光学素子に関する。
従来から一般的に行われてきたプラスチック光学素子の成形用金型の製作手法によれば、例えば鋼材やステンレス鋼などでブランク(一次加工品)を作っておき、その上に無電解ニッケルメッキとよばれる化学メッキにより、アモルファス状のニッケルと燐の合金を100μmほどの厚みに鍍膜し、このメッキ層を超精密加工機によりダイアモンド工具で切削加工して、光学素子の光学面を成形するための高精度な光学面転写面を得ていた。
かかる従来技術の手法によれば、基本的に機械加工により部品形状を創成するため、加工機の運動精度近くまで容易に部品精度が高められる反面、製作工程に機械加工と化学メッキ処理が混在し煩雑で納期がかかること、メッキ層の厚みを考慮してブランク(一次加工品)を作製する必要があること、必ずしもメッキ処理が安定している訳ではなく、ブランクの組成の偏りや汚れ具合によってメッキ層の付着強度がばらついたり、ピットと呼ばれるピンホール状の欠陥が生じたりすること、メッキ層の厚みの中で光学面転写面を創成しなければならないため、光学面転写面を再加工するときなどはメッキ厚みに余裕が無く加工不可能となる場合があること等々の不具合が生じていた。
更に、従来技術によれば、多量に光学面転写面をダイアモンド切削加工する必要があるが、かかる場合、工具の切れ刃の状態や加工条件、加工環境温度の変化などの影響を受けて、切削加工し仕上げた光学面転写面の形状が微妙にバラツくという問題もあった。この光学面転写面の加工バラツキは、素材の被削性の悪さに起因するものであり、一般的には100nm程度の光学面形状誤差を発生し、非常に慎重に加工した場合でも50nm程度の形状誤差が残るが、これが多量に同一形状の光学面転写面を創成する際の加工精度限界となっている。
また、近年、光学面に輪帯状の回折溝(回折輪帯)を施して色収差を効率よく補正する光学素子が、光情報記録分野などで実用化され、大量に生産されている。その光学材料としては、プラスチックやガラスが使われているが、赤外光学系などではZnSeなどの結晶材料も用いられている。この様な光学素子は、成形により大量に且つ効率的に生産することができるが、その成形の際に、光学素子用成形金型で、光学素子の光学面における微細な回折溝をいかに高精度に効率よく製作するかが、極めて重要な課題となる。
例えば、ダイアモンド切削により、光学素子用成形金型の光学面転写面上に回折溝などの光学機能を有する微細なパターンを創成する揚合は、刃先の鋭さが回折溝形状の正確さを左右し、光学素子の光学面として転写された時に回折効率に大きな影響を与える。
従って、回折輪帯の回折効率を低下させないためには、刃先の大きさを十分小さくせねばならず、そうすると、小さな刃先部分に切削抵抗が集中してかかるので切り込み量を小さくせねばならず、光学面全体を均一に切削除去するまでに加工回数が多くなる。また、刃先の小さなカッターマークによる光学面の表面粗さの劣化を防ぐためにも工具送り速度を遅くせねばならず、1回の光学面転写面加工時間も長くなる。その結果、回折溝を有する光学素子の成形用金型の切削加工においては、切削長が増大するので工具刃先の損耗が大きくなり、工具交換が頻繁となる。つまり、従来のダイアモンド切削により微細な形状を有する光学面転写面を加工する場合には、工具の寿命が極端に短くなり、しかも一つの光学面転写面を加工する時間も増大するので、頻繁に工具を交換せねばならないため加工効率が非常に低下し、光学素子用成形金型の生産性が低下してコストの急激な増大を招いていた。そのため、特にダイアモンド切削により微細な形状を表面に有する光学面転写面を仕上げる場合には、無電解ニッケルメッキ工程を含まない簡素で納期の短い金型製作手法が望まれる。
加えて、近年、使用する光源の波長の数倍からそれよりも小さな微細構造を光学面に施して、新たな光学的機能を光学素子に付加することが試みられている。例えば、成形レンズの屈折による通常の集光機能とその時に副作用として発生する正の分散を、その非球面光学面の表面に回折溝を施すことで得られる回折による大きな負の分散を利用してうち消し、本来、屈折だけでは不可能な色消し機能を単玉光学素子に付加することが、DVD/CD互換の光ディスク用ピックアップ対物レンズで実用化されている。これは、光学素子を透過する光の波長の数10倍の大きさの回折溝による回折作用を利用したもので、このように波長より十分大きな構造による回折作用を扱う領域は、スカラー領域と呼ばれている。
一方、光学素子を透過する光の波長の数分の一という微細な間隔で、円錐形状の突起を光学面の表面に密集させて形成させることで、光の反射抑制機能を発揮できることが判っている。即ち、光波が光学素子に入射する際の空気との境界面での屈折率変化を、従来の光学素子のように1から媒体屈折率まで瞬間的に変化させるのではなく、微細な間隔で並んだ突起の円錐形状によって緩やかに変化させ、それにより光の反射を抑制することができるのである。このような突起を形成した光学面は、いわゆる蛾の眼(moth eye)と呼ばれる微細構造で、光の波長よりも微細な構造体が波長よりも短い周期で並ぶことにより、もはや個々の構造が回折せずに光波に対して平均的な屈折率として働くものである。このような領域を等価屈折率領域と一般に呼んでいる。このような等価屈折率領域に関しては、例えば電子情報通信学会論文誌C Vol.J83−C No.3 pp.173−181 2000年3月に述べられている。
等価屈折率領域の微細構造によれば、従来の反射防止コートに比べて反射防止効果の角度依存性や波長依存性を少なくしながら大きな反射防止効果を得られるが、プラスチック成形等によれば、光学面と微細構造を同時に創成できることから、レンズ機能と反射防止機能が同時に得られて、従来のように成形後に反射防止コート処理をするといった後加工が不要となる等の生産上のメリットも大きいと考えられ注目されている。さらに、このような等価屈折率領域の微細構造を光学面に対して方向性を持つように配すると、強い光学異方性を光学面に持たせることもでき、従来、水晶などの結晶を削りだして製作していた複屈折光学素子を成形によって得ることができ、また、屈折や反射光学素子と組み合わせて新たな光学的機能を付加することができる。この場合の光学異方性は、構造複屈折と呼ばれている。
上述したスカラー領域と等価屈折率領域の間には、回折効率が入射条件のわずかな違いにより急激に変化する共鳴領域がある。例えば、回折輪帯の溝幅を狭くしていくと、波長の数倍程度で急激に回折効率が減少し、また増加するという現象(アノマリー)が発生する。この領域の性質を利用して、特定の波長のみを反射する導波モード共鳴格子フィルターを微細構造で実現して、通常の干渉フィルターと同等の効果をより角度依存性を少なくして実現できる。
ところで、スカラー領域や、等価屈折率領域や、共鳴領或を利用して光学素子を形成しようとする場合、その光学面に微細な突起(又はくぼみ)を形成する必要がある。このような微細な突起(又はくぼみ)を備えた光学素子を大量生産するには、一般的にはプラスチックを素材として成形を行うことが適しているといえるが、かかる場合、微細な突起(又はくぼみ)に対応したくぼみ(又は突起)を備えた光学面転写面を、光学素子の成形用金型に設ける必要がある。
しかるに、上述したような等価屈折領域や共鳴領域の突起(又はくぼみ)に関しては、数十乃至数百ナノメートルの間隔で突起(又はくぼみ)を形成しなくてはならず、切削加工を含む機械的加工では極めて困難である。
かかる問題に鑑みて、本出願人は、特許文献1において、基体に過冷却液体領域を有する非晶質合金を付着させ、かかる非晶質合金を加工することで、光学素子の光学面を成形するための光学面転写面を形成する製造方法について開示している。かかる過冷却液体領域を有する非晶質合金は、加工容易性に優れていることから、例えば光学面転写面に微細構造を形成する必要がある場合にも、これを容易に行うことができる。
特開2003−160343号公報
ところで、従来の光学素子用成形金型において,光学素子を成形する際に加熱される温度領域が400℃以上の場合,金型材料として超硬やSiC等の耐熱材料が選ばれる場合が多いが,これらの材料は、硬度がビッカース硬度にしてHv1000〜3000と硬い材料のため,切削しやすい無電解ニッケルメッキ(Hv500〜600程度)などと比較すると非常に加工しづらく,加工形状精度や金型成形転写面表面の鏡面性を向上させることが困難であり、又、加工時間もメッキ材料と比べて,4倍以上多く必要となる。その原因の一つとして,超硬やSiCなどの材料はダイアモンド工具にて切削・研削加工される際に、硬い材料のため,工具が磨耗し形状が変形し,削り量や切削痕・研削痕が加工中に変化してゆくということがあり,それにより形状精度や鏡面性に大きな影響を与えることとなる。また,材料の結晶性の点からも,SiCや超硬や多結晶体を焼結したものは結晶粒界が存在するため,加工しにくい材料であるのに対し,無電解ニッケルメッキは非晶質の均質な膜であり切削・研削しやすい材料であるなどの差異がある。
これに対し、特許文献1に記載されたように、過冷却液体領域を有する非晶質合金を、光学素子用金型の基体に付着させれば、ある程度加工容易性を確保できる。しかしながら、特許文献1には、具体的な付着量や温度範囲などが規定されておらず、特許文献1には、低コストであり取り扱いが容易であるにも関わらず、より切削性に優れ、寸法精度を更に高めることができる光学素子用成形金型を得ることについて何ら具体的には開示されていない。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストであり取り扱いが容易であるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型、光学素子成形方法及びそれにより成形される光学素子を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子用成形金型は、基体と、前記基体に形成された厚さ0.01〜500μmの膜層とを有し、
前記膜層の表面には所定の加工処理を施されて、光学素子の光学面を成形転写するための、表面粗さがRa0.1〜50nmである成形転写面が形成され、
前記膜層は、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層であり、
前記成形転写面は、前記成形転写面により成形される光学素子の材料のガラス転移点(Tg)より50℃以上であって且つ前記非晶質金属のガラス転移点以下の温度に加熱された後でも、前記表面粗さを保持することを特徴とする。ここで、「所定の加工処理」とは、切削加工、加熱プレス加工、それらの組み合わせを含むが、以上に限られることはない。
前記膜層の表面には所定の加工処理を施されて、光学素子の光学面を成形転写するための、表面粗さがRa0.1〜50nmである成形転写面が形成され、
前記膜層は、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層であり、
前記成形転写面は、前記成形転写面により成形される光学素子の材料のガラス転移点(Tg)より50℃以上であって且つ前記非晶質金属のガラス転移点以下の温度に加熱された後でも、前記表面粗さを保持することを特徴とする。ここで、「所定の加工処理」とは、切削加工、加熱プレス加工、それらの組み合わせを含むが、以上に限られることはない。
本発明によれば、前記光学素子用成形金型の基体に成形転写面を直接形成するのではなく、光学素子の材料のガラス転移点(Tg)より50℃以上であって且つ前記非晶質金属のガラス転移点以下の耐熱性を有し,且つ被切削性能に優れた過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を前記基体に形成することで,ガラスモールドの光学素子用成形金型の母材に用いられる超硬などの耐熱材料を研削工程にて製作していた従来の工程に比べ、金型精度や納期を短縮できることに加えて,耐熱材料の研削工程では不可能であった,切削加工による金型成形転写面にブレーズ形状の輪体構造などの微細加工を施すことが可能になる。
例えば研削工程で、超硬素材に光学素子用成形金型の成形転写面を形成する場合,要求される形状に対して誤差が約100nmほど生じるのに対し,切削工程で過冷却液体領域を有する非晶質合金を仕上げた場合、50nm以下の形状誤差に収まる。また,成形転写面の製作納期も,超硬素材を研削工程で仕上げる場合,1本あたり平均8時間ほどかかるのに対して,切削性の良い過冷却液体領域を有する非晶質合金を用いれば、1本あたり平均1時間で仕上げることが可能である。この加工時間・形状精度の差は,主に両素材の結晶構造に起因する。超硬素材は多結晶体であり,製法としては多結晶体の微粒子を焼き固めたものであるため,どんなに微粒子を細かくしたところで,その微粒子オーダーの結晶粒界が存在するため,ミクロンオーダーの局所局所で加工時の切れ味が異なってしまい,加工精度が上がらず,よって加工時間も長くなる。一方、過冷却液体領域を有する非晶質合金は,均一な非晶質の層であるため,理論上,結晶粒界が存在せず,滑らかな鏡面を仕上げることができる。このように、過冷却液体領域を有する非晶質合金は加工しやすいということが,光学素子用成形金型の納期を縮め,形状精度を上げる要因となる。
このような光学素子用成形金型の製作上の利点に加え,前記成形転写面は、光学素子の材料のガラス転移点(Tg)より50℃以上であって且つ前記非晶質金属のガラス転移点以下の高温下にて,表面粗さRa0.01〜50nmを保つことのできる,耐熱性を有した非晶質合金の膜層を形成しており、一般的に非晶質合金は高い耐食性を有し、化学的に安定な物質であるため,光学素子材料と融着しづらく,金型寿命を延ばすことが可能になる。このように、被切削性と耐熱性能を有した新規な光学素子用成形金型により、特に使用する温度領域が400℃以上と高いガラスモールド用金型など、従来の耐熱材料を研削して創られる光学素子用成形金型では不可能であった、微細構造を有する成形転写面の創成が可能となる。
ここで、過冷却液体領域を有するアモルファス状合金(非晶質合金)、いわゆる金属ガラスについて説明する。これは、加熱すると過冷却液体となるアモルファス状の合金材料で構成されるものであり、通常の金属が多結晶組織であるのに対して、組織がアモルファス状のため組成がミクロ的にも均一で機械強度や常温化学耐性に優れ、ガラス転移点を有し、過冷却液体領域であるガラス転移点〜結晶化温度の範囲(通常、ガラス転移点+10〜100℃程度である)に加熱するとガラス状に軟化する(粘性流動体となる)ためプレス成形加工が出来るという、通常の金属には無い特徴を有する。また、切削加工においても、上述したように、特にダイアモンド工具による超精密切削加工を行うと、高精度な鏡面が容易に得られることが発見されている。その理由は、この材料がアモルファス状であり結晶粒界を持たないので場所によらず被削性が均一であること、又、アモルファス状を保つために結晶化エネルギーを大きくして組成的に多晶体としているため、切削加工中のダイアモンドの拡散摩耗が少なく工具の刃先寿命を長く保てること等によると考えられる。超精密切削加工により実用的に光学面転写面の創成ができるバルク材としては、従来から知られているのは軟質金属だけであり、非常に微細な切込み量(100nm前後)による延性モード切削によってのみ、シリコンやガラスなどの硬度の高い材料を切削加工可能ではあったが、それは極めて低効率であった。従って、非晶質合金を金型材料として用いることは、金型を中心とした光学面創成加工に極めて大きな応用展開を示唆する発見であったといえる。同様の加工特性は、ダイアモンド砥石などを用いた研削加工についても、研削比が大きくとれる等の形で現れる。
プラスチック光学素子成形用の金型材料としては、樹脂温度が300℃近くであることから、Pd系、Ti系、Fe系などがガラス転移点が高いので有利であるが、より好ましくはPd系が空気中でほとんど酸化することなく、加熱プレスができるという点でも有利である。この場合、Pd(パラジウム)は貴金属で高価ではあるが、本発明の製造方法により得られる光学素子用成形金型は、必要に応じて、付着した前記非晶質合金を加熱することで異なるパターンを再形成することもできる。
請求項2に記載の光学素子用成形金型は、請求項1に記載の発明において、ガラス転移点が200℃〜250℃のプラスチック材料の光学素子を前記成形転写面により成形するための光学素子用成形金型であって、前記非晶質金属はガラス転移点が300℃以上の非晶質金属であることを特徴とする。
請求項3に記載の光学素子用成形金型は、請求項1又は2に記載の発明において、前記非晶質金属は、Pd40Cu30Ni10P20、Pd76Cu18Si6、Zr75Cu19Al6、又は、Zr55Cu30Al10Ni5であることを特徴とする。
請求項4に記載の光学素子用成形金型は、請求項1に記載の発明において、ガラス転移点が400℃〜500℃のガラス材料の光学素子を前記成形転写面により成形するための光学素子用成形金型であって、前記非晶質金属はガラス転移点が500℃以上の非晶質金属であることを特徴とする。
請求項5に記載の光学素子用成形金型は、請求項1又は4に記載の発明において、前記非晶質金属は、Fe56Co7Ni7Zr8Nb2B20、Co56Fe14Zr10B20、又は、Co51Fe21Zr8B20であることを特徴とする。
請求項6に記載の光学素子用成形金型は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層の膜硬さは、ビッカース硬度でHv100〜3000であることを特徴とする。
本発明によれば,前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層の硬度を幅広く選定することができるため,用途に応じて組成を変化させ,硬度を変化させることができる。更にHv800以下の硬さの場合,切削しやすく,大幅に光学用途切削工程を縮めることが可能である。また,Hv1500以上の硬さの場合,3000kg/cm2以上の強い圧力を加えても成形転写面の形状が崩れなく,型寿命を延ばす効果がある。従ってHv800〜1500程度の硬さが,両方の長所を持ち合わせているため,最も使いやすいといえる。
請求項7に記載の光学素子用成形金型は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜層は,スパッタ処理、イオンプレーティング処理、蒸着、CVD処理のいずれかによって前記基体上に形成されていることを特徴とするので、強固な付着を実現できる。
請求項8に記載の光学素子用成形金型は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記所定の加工処理は切削加工、加熱プレス加工、又は、それらの組み合わせであることを特徴とする。
請求項9に記載の光学素子用成形金型は、光学素子の光学面を成形転写するための成形転写面を有する光学素子用成形金型において、前記光学素子用成形金型の基体上に、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を、厚さ0.01μm以上500μm以下に形成した後、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層に対して所定の加工処理を施すことにより形成された前記成形転写面を備え、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点の温度に加熱した際に、前記成形転写面の表面粗さがRa0.1nm以上50nm以下を満足することを特徴とする。
本発明によれば、前記光学素子用成形金型の基体に成形転写面を直接形成するのではなく、被切削性能に優れた過冷却液体領域を有する非晶質合金の膜層を前記基体に形成することで,ガラスモールドの光学素子用成形金型の母材に用いられる超硬などの耐熱材料を研削工程にて製作していた従来の工程に比べ、金型精度や納期を短縮できることに加えて,耐熱材料の研削工程では不可能であった,切削加工による金型成形転写面にブレーズ形状の輪体構造などの微細加工を施すことが可能になる。
請求項10に記載の光学素子成形方法は、光学素子用成形金型を用いて光学素子を成形する光学素子成形方法において、 前記光学素子用成形金型の基体上に、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を、厚さ0.01μm以上500μm以下に形成した後、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層に対して所定の加工処理を施すことにより形成された成形転写面を備え、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点の温度に加熱した際に、前記成形転写面の表面粗さがRa0.1nm以上50nm以下を満足する光学素子用成形金型を用いて、
前記成形転写面によって成形転写される光学素子材料のガラス転移点より50℃以上であって、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点以下の温度に前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を加熱して光学素子の光学面を成形転写することを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
前記成形転写面によって成形転写される光学素子材料のガラス転移点より50℃以上であって、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点以下の温度に前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を加熱して光学素子の光学面を成形転写することを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
請求項11に記載の光学素子は、請求項1〜9のいずれかに記載の光学素子用成形金型を用いて成形されたことを特徴とする。
請求項12に記載の光学素子は、請求項10に記載の光学素子成形方法により成形されたことを特徴とする。
前記光学素子用成形金型により成形される光学素子の光学面に、光軸を中心とした輪帯構造が形成されると、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法を用いて成形された光学素子の機能をより高めることができる。
前記輪帯構造が光路差付与構造であると、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法を用いて成形された光学素子の機能をより高めることができる。光路差付与構造としては、いわゆるNPS(Non−Periodic Surface)構造等が知られている。
前記輪帯構造が、光軸方向断面が鋸歯状のブレーズ型回折構造であると、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法を用いて成形された光学素子の機能をより高めることができる。
前記輪帯構造が、光軸方向断面が階段状の回折構造であると、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法を用いて成形された光学素子の機能をより高めることができる。階段状の回折構造としては、DOE等が知られている。
前記輪帯構造が、前記光学素子に対して光を照射する光源の波長変化による前記光学素子の収差変化を補正する機能を有すると、例えば光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に好適な光学素子を提供できる。
前記輪帯構造が、前記光学素子の温度変化による収差変化を補正する機能を有すると、例えば光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に好適な光学素子を提供できる。
前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法により成形される光学素子の光学面に、複数の突起またはくぼみが転写成形されるように,前記光学素子用成形金型成形転写面には,対応したくぼみまたは突起が形成されていると、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法を用いて成形された光学素子の機能をより高めることができる。又、たとえ突起又はくぼみが数十乃至数百ナノメートルの間隔で配置しなくてはならないものであっても、機械加工を必要とすることなく、転写成形により容易に形成することができる。尚、くぼみまたは突起とは、くぼみと突起の双方が混在するものも含む。
前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、等価屈折率領域の微細構造を形成すると好ましい。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、反射防止効果を発生する微細構造を形成すると好ましい。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、構造複屈折を発生する微細構造を形成すると好ましい。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、共鳴領域の微細構造を形成すると好ましい。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
前記光学素子の光学面の突起またはくぼみは、該光学面の一部に存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記成形転写面の一部には、対応したくぼみまたは突起が存在していると好ましい。
前記光学素子の光学面の一部に、少なくとも複数の形状または配置パターンを有する突起またはくぼみが存在しており、その光学面を転写形成されるように、前記光学面転写面の一部には、対応した少なくとも複数の形状または配置パターンのくぼみまたは突起が存在していると好ましい。前記光学素子の光学面に、微細構造の突起またはくぼみを、複数の形状や配置パターンを有するように形成し、それらを該光学面上に部分的に配置することにより、かかる光学面が、局部的にそれらの微細構造の光学機能を発揮することができる。これにより、光学面を通る光束に、微細構造の突起やくぼみの各形状や配置パターンによって生じる光学機能を部分的或いは選択的に施して、複数の光学機能を一つの光束に盛り込むことができる。この場合、光学素子の光学面上には、微細構造の突起やくぼみが必ず光学面の全面に存在している必要はない。すなわち、従来では、所定の光学機能を発揮するために複数の光学素子を組み合わせる必要があるところ、本発明の製造方法により製造された光学素子用成形金型により成形した光学素子を用いれば、単独で所定の光学機能を発揮することができ、光学系をより簡素化することができ、大幅なコストダウンが実現できる。又、前記光学素子用成形金型又は前記光学素子成形方法によれば、かかる光学素子を容易に大量生産することができる。
前記光学素子は,プラスチック材料或いはガラス材料を素材とすると好ましく、更にレンズであると好ましい。
本明細書中で用いる回折構造(回折輪帯)とは、光学素子(例えばレンズ)の光学面表面に、光軸を中心とする略同心状の輪帯として形成されたレリーフを設けて、回折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせた回折面のことをいう。例えば、光軸を含む平面でその断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。回折輪帯を回折溝ともいう。
本発明が適用されるに当たり、輪帯構造や突起(又はくぼみ)の並びなど、個々の微細構造の形状や配列周期などは関係ない。どのような微細な構造であっても、光学素子に新たな機能を付加する目的で作られたものであれば、その光学素子用成形金型又はそれにより成形された光学素子は、本発明の範疇に含まれる。また、新たに付加する機能としては、収差を低減するものに限らない。光学系の特性に応じて収差を故意に増加させる場合も、最終的に理想とする収差に近づける目的で行う限り、本発明の範疇に含まれる。
本発明によれば、低コストであり取り扱いが容易であるにも関わらず、切削性に優れ、寸法精度を高めることができる光学素子用成形金型、光学素子成形方法及びそれにより成形される光学素子を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、光学素子用成形金型の製作工程を示す図である。まず、ステンレス鋼材等から基体10を形成する。基体10の材料は、特に限定されるものではないが、鋼やステンレス鋼などの一般的に用いられる金型材料であることが好ましく、その場合には供給も安定しており価格も安いという利点がある。ブランクとしての基体10は、一端(図で上端)に、光学素子の光学面(例えば非球面)に対応しているが、曲率がそれより大きいか等しい凹部(ベース面)10aと、その周囲の周囲面10bとを形成することで、金型の近似形状を有するようになっている。凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10cの形状精度は、表面に施す過冷却液体領域を有する非晶質合金(以下、単に非晶質合金ともいう)MGの膜厚によるが100μm程度の非晶質合金MGを成膜する場合であれば、10〜20μm程度の精度であれば十分なので、ブランク加工そのものはNC旋盤などを使用して数10分でできる程度のものである。この凹部10aと周囲面10b、さらに基体10の端部周囲面10cに、過冷却液体領域を有する非晶質合金MGを、以下のようにして付着させる。
非晶質合金MGを、凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10cの表面に対して、詳細は実施例で後述するようにして、スパッタや蒸着などのPVD処理やCVD処理により成膜する。尚、本実施の形態では、凹部10a以外に、周囲面10b、端部周囲面10cにも非晶質合金MGを成膜させているが、成膜は凹部10aだけでもよい。
尚、以上の実施の形態では、基体10のベース面が凹形状を有している例を示しており、かかる場合には、最終的に形成される成形転写面よりもベース面の曲率が大きいか、あるいは等しい曲率の形状となっているが、基体10のベース面を凸形状とした例の場合には、最終的に形成される成形転写面よりもベース面の曲率が小さいか、あるいは等しい曲率の形状とすることで、同様の効果を得ることができる。
非晶質合金MGの成膜は、CVD処理では、基体10が高温となり過冷却液体状態とする非晶質合金の性質上不利ではあるが、本発明は成膜をCVD処理やPVD処理のどちらかに限ったものではない。非晶質合金MGを比較的容易に成膜しやすいPVD処理では、スパッタやイオンプレーティング、蒸着などの処理があるが、ここではどれを用いても良い。ちなみに、スパッタ法ではターゲット材料は必ずしもアモルファス状態でなくとも良く、基体10に所望の組成比で構成原子を付着させれば、スパッタの原理上、付着時に急冷を伴うため、アモルファス状態で容易に成膜できる。成膜速度は0.2〜数μm/h程度で、スパッタ装置の出力をあげれば容易に短縮できるが、基体10の温度が上昇してアモルファス状にならなくなるため、水冷などによる基体10の冷却が必要となる。あまり膜厚が厚くても、この後のダイアモンド切削加工や加熱プレス成形などで取り代がたくさん残り効率が悪いので、通常は100μm程度がより好ましい。しかし、複雑な形状では数mmの膜厚が必要なこともあり、大凡10nmから1mm程度の範囲が、実用的な膜厚範囲である。
特に膜厚が厚い場合は、凹部10aと周囲面10b、基体10の端部周囲面10c以外の部分にはみ出した非晶質合金により、光学素子用成形金型の設計形状が損なわれることがある。そのために、成膜部分以外をマスキングしたり、成膜後にダイアモンド切削や研削加工によってはみ出し部を除去することも必要な場合がある。しかし、非晶質合金MGは、被削性が良くしかも除去量が少ないため、加工工数やコストの負担にはほとんどならない。
本実施の形態のごとく、非晶質合金MGを、このように光学素子用成形金型の極限られた部位だけに少量用いることによって、従来、優れた物性的な特徴をもちながらバルク形状の製作が難しかった種類の非晶質合金についても、光学素子用成形金型に適用することが可能となった。例えば、ニッケル系や銅系などの高硬度の非晶質合金は、金型材料として高耐久性が期待できるが、バルク状にしにくいため、先の出願の手法では光学素子用成形金型ヘの適用が難しかったが、本実施の形態のごとく成膜化することで、その適用が可能となった。さらに、バルク材料では冶金時に水素などのガスが地金中に存在するので、「す」と呼ばれる微小孔が存在し、ダイアモンド切削したり加熱プレス成形したときに、加工創成した光学面に現れて表面不良を生じさせることがあったが、本実施の形態のようなCVD処理やPVD処理によって気相から成膜する場合では、「す」が発生することはほぼ無いため、光学素子用成形金型の製作収率が高く維持できて、例えば不良対応のスペアを製作する必要がなくなるので、先の出願に開示した光学素子用成形金型に比べ、大幅に低コストになる。
続いて、この非晶質合金MGの成膜に対し、ダイアモンド切削加工や加熱プレス成形もしくはこれらの組み合わせを施すことで、非晶質合金MGの表面を所望の光学面転写面MGa(基体10の凹部10aに対応)及び幾何的寸法基準面転写面MGb(基体10の周囲面10bに対応)に仕上げる。本実施の形態によれば、基体10のベース面である凹部10aの曲率を、最終的に形成される光学素子用成形金型の成形転写面の曲率よりも大きいか、あるいは等しい形状で予め形成しておくことで、膜MGの表面形状が、成形転写面形状にほぼ一致する程度まで堆積が行われれば、膜厚の最も薄い部位でも、後加工において十分な膜厚が得られ、ダイアモンド切削加工や加熱プレス成形を適切に行えるというメリットがある。
ダイアモンド切削は、図1に点線で示す単結晶ダイアモンド工具Tを用いて、超精密旋盤(不図示)などにより一つ―つ切削加工するものであるため、従来の無電解ニッケルメッキによる金型製作手法と基本的に同じ加工工程を経るが、従来に比べて、光学面転写面MGa及び幾何寸法基準面転写面MGbは、PVD処理又はCVD処理で迅速に緻密に形成され、化学メッキ処理をしないためピンホールなどの欠陥が無く処理納期が早いことと、被削性が非常に良いので工具摩耗が少なく切削加工による形状創成が容易であること等が、より優れた特徴といえる。
図2は、光学素子の一例であるレンズを形成するための光学素子用成形金型を含むダイセットの断面図である。上述のようにして非晶質合金MGを成膜した光学素子用成形金型10’と、同様にして非晶質合金MG’を成膜した光学素子用成形金型11’とを、光学面転写面MGa、MGa’同士及び幾何寸法基準面転写面MGb、MGb’同士を対向させるようにして、ダイセット金型13,14に挿入し、溶融したプラスチック材料PLを、不図示のゲートから通常の射出成形と同様に光学素子用成形金型10’,11’間に射出して、更に冷却することで、所望の形状のレンズを得ることができる。尚、ダイセット取り付け用のネジ孔10d’、11dを加工する場合も、非晶質合金MGと異なり、靱性に優れた基体10、11に対して穿孔しタップ切りを行えばよいので、加工時の破損を抑えることができ、また成形時の外力に対しても基体10、11がたわんで応力集中を緩和させる機能を有するため破損が抑制される。
図3は、このような光学素子用成形金型により形成されるレンズの光学面の例を拡大して示す斜視図である。図3(a)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として微細な円筒Cをマトリクス状に多数形成した構成(等価屈折率領域の微細構造の例)となっている。例えばかかる対物レンズをDVD記録/再生用光ピックアップ装置の対物レンズとして用いた場合、レンズを透過する光は650nm近傍である。そこで、微細な円筒Cの間隔Δを160nmとすると、かかる対物レンズに入射する光は殆ど反射せず、極めて光透過率の高い対物レンズを提供することができる。
図3(b)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数の微細な三角錐Tを形成しており、図3(a)と同様な顕著な効果を有する。この間隔Δとしては、0.1〜0.2μm以下であると散乱を低下させるので好ましい。図3(c)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数のフィンF(構造複屈折の微細構造の例)を形成している。フィンFの長さは、透過する光の波長より長く(上述の例では650nm以上)なっている。かかる構成を備えたレンズは、フィンFに沿った方向に振動面を有する光を透過させるが、フィンFに交差する方向の光は透過させないという、いわゆる偏光効果を奏する。図3(d)においては、レンズの光学面に、光軸を中心とした輪帯構造の例として、光軸方向断面が鋸歯状のブレーズ型回折輪帯Dを形成している。回折輪帯Dに関しては、例えば特開2001−195769号公報に、その形状に応じた効果である色収差補正及び温度補正について詳細に述べられているので、以下の説明を省略する。これ以外の輪帯構造として、NPS、DOE等も形成できる。また、図3(a)〜(c)においては、簡単のために平面上に、それら突起を設けた例を示したが、その底面を球面や非球面等の適宜の曲率を持った曲面とし、その曲面上に設けるようにしてもよい。
(従来の光学素子用成形金型の製作方法)
光学素子用成形金型の母材は,使用温度領域(光学素子を成形する温度領域のこと、以下同じ)に合わせて素材を変える必要がある。使用温度領域が100℃〜300℃の場合,鉄を主成分に含む,容易に切削できる材料を用いると好ましい。この場合,メリットとしては材料費が安い上に,材料調達時間や加工工程を短くすることができる。一方,使用温度領域が300℃以上800℃以下の場合,光学素子用成形金型の母材には,超硬やSiC等の耐熱性材料を用いると好ましい。しかしながらデメリットとしては,材料費が高くなる上に,材料調達時間の長期化(約1ヶ月半)や,硬い母材のため加工がしにくく加工工程が長くなるという問題が残る。
光学素子用成形金型の母材は,使用温度領域(光学素子を成形する温度領域のこと、以下同じ)に合わせて素材を変える必要がある。使用温度領域が100℃〜300℃の場合,鉄を主成分に含む,容易に切削できる材料を用いると好ましい。この場合,メリットとしては材料費が安い上に,材料調達時間や加工工程を短くすることができる。一方,使用温度領域が300℃以上800℃以下の場合,光学素子用成形金型の母材には,超硬やSiC等の耐熱性材料を用いると好ましい。しかしながらデメリットとしては,材料費が高くなる上に,材料調達時間の長期化(約1ヶ月半)や,硬い母材のため加工がしにくく加工工程が長くなるという問題が残る。
使用温度領域100〜300℃で,鉄を主成分に含む容易に切削できる材料を用いる場合,光学素子用成形金型を製作するには,まずブランク金型を切削・研削等で製作する。このとき,ブランク金型のベース面(成形転写面を形成する面)の形状は,最終的に求めようとする成形転写面より数十μm程度曲率を小さくして製作する。従来、金型における成形転写面材料としては,無電解ニッケルメッキを用いることが多い。無電解ニッケルメッキを、ブランク金型全体に100μm程度成膜する。無電解ニッケルメッキは被成膜母材の形状に無関係で,面に垂直な方向に膜が成長する。そうすると,ベース面は,最終的に求めようとする成形転写面の形状より,曲率が数十μm大きい面が形成されていることになる。
無電解メッキ工程が終了したブランク金型を,金型成形転写面を除いて,外周部・端面部の加工をダイアモンド工具を用いた切削,及びダイアモンド工具を用いた研削工程にて行う。このときの外周部の加工精度は形状精度2μm以下,表面面粗さは100nm以下とする。この外周部加工工程終了後,成形転写面の加工を行う。成形転写面をダイアモンド工具で切削し,金型転写面光学面形状を得る。必要な形状精度は50nm以下であり,表面粗さはRa5nm以下である。以上が使用する温度領域が100℃〜300℃の場合の,従来の光学用途成形金型の製作方法である。
これに対し,使用温度領域が300〜800℃の場合,光学素子用成形金型がさらされる温度領域が高いため,切削しやすい無電解ニッケルメッキが結晶化を生じるため使えず,また鉄系の母材料も激しく酸化するため,使用ができなくなるという問題がある。そこで、この温度領域に耐えうる光学素子用成形金型の母材として一般的な、超硬やSiC等の耐熱母材を用意する。かかる材料は耐熱性能はあるが,ビッカース硬度でHv1000〜3000と硬く、また使用温度が高いため,加工後の保護コート等の機能膜の成膜が必須となる。
まず,母材からブランク金型を研削加工で製作する。砥石にはダイアモンド砥石を用いる。その後,母材に直接仕上げ加工を行う。加工方法はダイアモンド工具を用いた切削・研削工程が知られている。この仕上げ工程で成形転写面形状を求める形状の誤差±100nm以内に納めるように仕上げる。母材の硬度がHv1000〜3000という硬い材料のため,切削・研削工程中に,ダイアモンド工具が磨耗を生じ,求める形状から大きなズレを生みやすい。また,硬い材料のため,加工を行うのにも時間がかかる。この後,必要ならば,形状誤差分を削るための修正研磨工程を経て,光学素子用成形金型の成形転写面の形状が出来上がる。このまま,光学素子用成形金型として用いると、光学素材との融着や母材の酸化による表面荒れを起こすことが知られており,このままでは使用できないため,光学素材との融着防止・及び成形転写面の劣化・変形防止のための機能膜が0.1〜0.5μm程度成膜されて,光学素子用成形金型が完成する。一般に機能膜としては,Pt,Ir等の貴金属膜,ダイアモンドライクカーボンなどの炭素系膜,Crなどの遷移金属膜,他,酸化物膜,窒化物膜など,多数知られている。
(本発明による光学素子用成形金型の製作方法)
本発明による製作方法では,どの使用温度領域であっても工程に大差はなく、使用温度領域に合わせてブランク金型材料を選び,過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成を温度領域に合せて変化させればよい。例えば,使用温度領域が200〜250℃付近のプラスチックレンズ材料を成形する光学素子用成形金型の場合は,そのガラス転移点Tgが300℃以上になる材料を選定すればよく,そのような材料としては、Pd40Cu30Ni10P20(Tg=300℃),Pd76Cu18Si6(Tg=350℃)、Zr75Cu19Al6(Tg=404℃)、あるいはZr55Cu30Al10Ni5(Tg=418℃)などが該当する。また、ガラス転移点が低い光学ガラス、例えばK−PG325(Tg=288℃)やK−PG375(Tg=344℃)といった低融点光学ガラスで光学素子を成形する場合にも、上記非晶質合金をこの成形金型材料としても選定できる。一方、使用温度領域が400℃〜500℃のガラス材料を成形する光学素子用成形金型の場合には,ガラス転移点Tgが500〜600℃の金属ガラス材料を選定すれば良く,そのような材料としては,Fe56Co7Ni7Zr8Nb2B20(Tg=550℃)などが該当するが、材料の違いで大幅に製法・工程を変える必要がない。従って、その他のガラス転移点が高い非晶質合金である、Co56Fe14Zr10B20(Tg=537℃)やCo51Fe21Zr8B20(Tg=527℃)、Ni基の非晶質合金等であっても良いし、光学ガラスの離型性が良いPtやIrといった貴金属を含有する非晶質合金であっても良い。それらの組成によって非晶質合金のガラス転移点は変わるため、本発明の光学材料のガラス転移点に基づく温度範囲にガラス転移点を有する非晶質合金を選択して成形金型材料とすれば、光学材料に安定して光学面を成形転写でき、成形に伴う加熱により成形金型の光学転写面が結晶化して表面粗さが劣化することはない。
本発明による製作方法では,どの使用温度領域であっても工程に大差はなく、使用温度領域に合わせてブランク金型材料を選び,過冷却液体領域を有する非晶質合金の組成を温度領域に合せて変化させればよい。例えば,使用温度領域が200〜250℃付近のプラスチックレンズ材料を成形する光学素子用成形金型の場合は,そのガラス転移点Tgが300℃以上になる材料を選定すればよく,そのような材料としては、Pd40Cu30Ni10P20(Tg=300℃),Pd76Cu18Si6(Tg=350℃)、Zr75Cu19Al6(Tg=404℃)、あるいはZr55Cu30Al10Ni5(Tg=418℃)などが該当する。また、ガラス転移点が低い光学ガラス、例えばK−PG325(Tg=288℃)やK−PG375(Tg=344℃)といった低融点光学ガラスで光学素子を成形する場合にも、上記非晶質合金をこの成形金型材料としても選定できる。一方、使用温度領域が400℃〜500℃のガラス材料を成形する光学素子用成形金型の場合には,ガラス転移点Tgが500〜600℃の金属ガラス材料を選定すれば良く,そのような材料としては,Fe56Co7Ni7Zr8Nb2B20(Tg=550℃)などが該当するが、材料の違いで大幅に製法・工程を変える必要がない。従って、その他のガラス転移点が高い非晶質合金である、Co56Fe14Zr10B20(Tg=537℃)やCo51Fe21Zr8B20(Tg=527℃)、Ni基の非晶質合金等であっても良いし、光学ガラスの離型性が良いPtやIrといった貴金属を含有する非晶質合金であっても良い。それらの組成によって非晶質合金のガラス転移点は変わるため、本発明の光学材料のガラス転移点に基づく温度範囲にガラス転移点を有する非晶質合金を選択して成形金型材料とすれば、光学材料に安定して光学面を成形転写でき、成形に伴う加熱により成形金型の光学転写面が結晶化して表面粗さが劣化することはない。
まず,母材からブランク金型を製作する。その工程は、上述した従来の製作方法と変わりない。使用温度領域が300℃以下ならばFe系の母材料を,300℃以上であれば,超硬やSiCの母材料を加工してブランク金型を製作する。上述した従来の金型製作方法と大きく異なる点は,成形転写面を製作する工程で,ブランク金型の成形転写面に過冷却液体領域を有する非晶質合金(金属ガラス)膜層を厚さ0.01〜500μm形成する。ここでは、スパッタ法による金属ガラス膜層の形成例を示す。スパッタ法に必要なものはターゲットであり,ターゲットはアモルファス構造の金属ガラスである必要はなく,欲しい金属ガラスと同じ組成比を有していれば良い。
(金属ガラスの成膜方法)
図4は、金属ガラスの成膜装置を示す概略図である。図4において、筐体200で覆われた処理室Pには、ターゲットTを支持するターゲット支持台201が載置され、それにベース面を対応させるようにして、金型の基体10を保持する試料ホルダ202が配置されている。ターゲット支持台201の内部には冷却配管が形成され、かかる冷却配管には、外部の制御装置203を介して、温度調整用の冷却水を循環させることができるようになっている。
図4は、金属ガラスの成膜装置を示す概略図である。図4において、筐体200で覆われた処理室Pには、ターゲットTを支持するターゲット支持台201が載置され、それにベース面を対応させるようにして、金型の基体10を保持する試料ホルダ202が配置されている。ターゲット支持台201の内部には冷却配管が形成され、かかる冷却配管には、外部の制御装置203を介して、温度調整用の冷却水を循環させることができるようになっている。
又、処理室Pは、バルブV1を介してターボ分子ポンプ204に連結され、ターボ分子ポンプ204は、バルブV2を介してロータリーポンプ205に連結されている。処理室P内は、2つのポンプ204,205により吸引されて、10-1〜数Pa程度の圧力のAr雰囲気で満たされている。
次に、金属ガラスの成膜方法について説明する。まず,膜層を形成しようとする金属ガラスと同じ組成比のターゲットTを用意する。ここでは、必要とする組成比の母材を用意し,アーク放電により溶融(アーク炉)して銅鋳型に流し込む方法や,ホットプレスによる焼結法などで,母材を溶融し,図4の成膜装置のターゲットTに適合した型にすると良い。その際,ターゲットTの組成比が、所望する金属ガラスと同じ組成比になるように注意する。例えば,Feを主成分に含む金属ガラスで例をあげれば,Fe56Co7Ni7Zr8Nb2B20系金属ガラスのターゲットをホットプレスによる焼結法にて製作する。この場合は、まずFe,Co,Ni,Zr,Nbの元素を組成比通り用意し,アーク炉で入念に溶解し,混ぜ合わせる。これを溶かした後,十分冷やし,裏表反転させて,再度溶解し混ぜ合わせる。かかる工程を数回繰り返し,溶かしムラがないように,よく溶け合わせる。その後冷却してとりだしあと,粉砕し粉状にする。そののち,組成比通りのB(ホウ素)とあわせて,ホットプレスによって溶融し任意のターゲット形状に焼き固める。その他,Pd76Cu6Si18系金属ガラス等では,Pd,Cu,Siをアーク炉で入念に溶かすだけでターゲットを得ることが出来る。
ここで例をあげた両者に共通なことは,アーク炉やホットプレスで製作したターゲットは多結晶合金で,必ずしもアモルファス構造(金属ガラス)である必要はないということである。もちろん,金属ガラスをそのままターゲットとしても問題ない。Pd40Cu30Ni10P20系金属ガラスでは,非常にアモルファス構造になりやすいため,ターゲットそのものを金属ガラスとすることもある。
以上のような方法にて製作したターゲットを図4の成膜装置に取り付け,スパッタ成膜を行う。成膜条件は,膜厚等の成膜する条件及び,装置によっても異なるが,1例をあげると,0.5PaのAr雰囲気中で,RF電極(不図示)間に500Wの高周波電圧を印加し,ターゲットTから成膜したい試料(ここでは,金型の基体10のベース面)までの距離を90mmにセットする。ターゲットT上に発生したプラズマのAr粒子が、高速でターゲットTに衝突することにより、その金属粒子がはじき飛ばされて、対向した基体10のベース面に付着し堆積して膜層となる。
成膜装置によるが,距離により成膜速度が大体1μm/h〜20μm/hに変化するため適宜調整を行う。試料が近づけば近づくほど成膜速度は上がるが,成膜した膜の粒子が粗くなる等の問題が生ずるため,調整が必要である。この方式で成膜した試料のアモルファス状態の確認は,DSC(熱流束示差走査熱量測定装置)を用いて,アモルファス状態が過冷却液体領域に相転移する際に生ずる吸熱反応を観察するか,あるいはX線回折装置による観察で,アモルファス状態特有の結晶構造によるピークが全く見られないパターンを得ることで,確認することができる。以上のようにして,従来のバルク金属ガラスを製作する方法に比べて遙かに容易に,金属ガラスの膜を金型の基体10におけるベース面に成膜することができる。
このような方法にて,金属ガラス膜層を光学用途成形金型光学面に成膜し,この膜層をダイアモンド工具によって切削し,成形転写面を得る。この膜層の結晶構造は非晶質のため,切削性がよく,欲しい成形転写面形状からの形状誤差は±50nm以下になり,また,加工時間も金型1本あたり約1時間となり,金型形状精度向上・金型納期短縮に貢献する。
(実施例)
本発明者は、上述のようにして、成形転写面の非晶質材料にPd76Cu6Si18系金属ガラス(ガラス転移点Tg=365℃、ビッカース硬度Hv550,膜厚100μm)を用いて光学素子用成形金型を製作した。仕上げ加工終了時の成形転写面の表面粗さを測定したところRa10nmであり、形状誤差は±50nm以内であった。この光学素子用成形金型を用いて、ガラス転移点Tg200℃のプラスチックレンズ素材を、成形樹脂温度250℃,圧力800kg/cm2の成形条件下で成形した。2000ショットの成形を行っても、精度の良い光学素子が安定して得られ,また,その成形転写面における表面粗さはRa10nmと変化がなく、特に形状の変化も見られなかった。本発明の光学素子用成形金型は、ガラス素材を成形する場合にも同様の効果が期待できる。
本発明者は、上述のようにして、成形転写面の非晶質材料にPd76Cu6Si18系金属ガラス(ガラス転移点Tg=365℃、ビッカース硬度Hv550,膜厚100μm)を用いて光学素子用成形金型を製作した。仕上げ加工終了時の成形転写面の表面粗さを測定したところRa10nmであり、形状誤差は±50nm以内であった。この光学素子用成形金型を用いて、ガラス転移点Tg200℃のプラスチックレンズ素材を、成形樹脂温度250℃,圧力800kg/cm2の成形条件下で成形した。2000ショットの成形を行っても、精度の良い光学素子が安定して得られ,また,その成形転写面における表面粗さはRa10nmと変化がなく、特に形状の変化も見られなかった。本発明の光学素子用成形金型は、ガラス素材を成形する場合にも同様の効果が期待できる。
10 基体
10’ 光学素子用成形金型
MG 非晶質合金
10’ 光学素子用成形金型
MG 非晶質合金
Claims (12)
- 基体と、前記基体に形成された厚さ0.01〜500μmの膜層とを有し、
前記膜層の表面には所定の加工処理を施されて、光学素子の光学面を成形転写するための、表面粗さがRa0.1〜50nmである成形転写面が形成され、
前記膜層は、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層であり、
前記成形転写面は、前記成形転写面により成形される光学素子の材料のガラス転移点(Tg)より50℃以上であって且つ前記非晶質金属のガラス転移点以下の温度に加熱された後でも、前記表面粗さを保持することを特徴とする光学素子用成形金型。 - ガラス転移点が200℃〜250℃のプラスチック材料の光学素子を前記成形転写面により成形するための光学素子用成形金型であって、前記非晶質金属はガラス転移点が300℃以上の非晶質金属であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用成形金型。
- 前記非晶質金属は、Pd40Cu30Ni10P20、Pd76Cu18Si6、Zr75Cu19Al6、又は、Zr55Cu30Al10Ni5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子用成形金型。
- ガラス転移点が400℃〜500℃のガラス材料の光学素子を前記成形転写面により成形するための光学素子用成形金型であって、前記非晶質金属はガラス転移点が500℃以上の非晶質金属であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用成形金型。
- 前記非晶質金属は、Fe56Co7Ni7Zr8Nb2B20、Co56Fe14Zr10B20、又は、Co51Fe21Zr8B20であることを特徴とする請求項1又は4に記載の光学素子用成形金型。
- 前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層の膜硬さは、ビッカース硬度でHv100〜3000であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子用成形金型。
- 前記過冷却液体領域をもつ非晶質合金膜層は,スパッタ処理、イオンプレーティング処理、蒸着、CVD処理のいずれかによって前記基体上に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子用成形金型。
- 前記所定の加工処理は切削加工、加熱プレス加工、又は、それらの組み合わせであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学素子用成形金型。
- 光学素子の光学面を成形転写するための成形転写面を有する光学素子用成形金型において、前記光学素子用成形金型の基体上に、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を、厚さ0.01μm以上500μm以下に形成した後、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層に対して所定の加工処理を施すことにより形成された前記成形転写面を備え、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点の温度に加熱した際に、前記成形転写面の表面粗さがRa0.1nm以上50nm以下を満足することを特徴とする光学素子用成形金型。
- 光学素子用成形金型を用いて光学素子を成形する光学素子成形方法において、 前記光学素子用成形金型の基体上に、Pt,Ir,Au,Pd,Ru,Rh,Fe,Co,Ni,Zr,Al,Ti,Cu,W,Mo,Cr,B,Pの少なくともいずれか一種類以上の元素を20mol%以上含有した過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を、厚さ0.01μm以上500μm以下に形成した後、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層に対して所定の加工処理を施すことにより形成された成形転写面を備え、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点の温度に加熱した際に、前記成形転写面の表面粗さがRa0.1nm以上50nm以下を満足する光学素子用成形金型を用いて、
前記成形転写面によって成形転写される光学素子材料のガラス転移点より50℃以上であって、前記過冷却液体領域を有する非晶質金属のガラス転移点以下の温度に前記過冷却液体領域を有する非晶質金属の膜層を加熱して光学素子の光学面を成形転写することを特徴とする光学素子成形方法。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の光学素子用成形金型を用いて成形されたことを特徴とする光学素子。
- 請求項10に記載の光学素子成形方法により成形されたことを特徴とする光学素子。
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