JP2004352584A - 成形金型とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いパターン精度が容易に得られ、樹脂は勿論ガラスに対しても離型性がよく、耐圧性、耐熱性がよく耐久性に優れたものとする。
【解決手段】金型母材1と、この金型母材1の少なくともプレス面2上に形成された下地層3と、この下地層3上にパターン形状を有して形成されたパターン層4とを備えたものとして、上記の目的を達成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形金型とその製造方法に関し、詳しくは表面に微細なパターン形状を有する光学素子をプレス成形して得るのに好適な成形金型とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学素子表面に微細なパターン形状を有するものとして、例えば、光ディスクの高密度化、高機能化、小型化のなかで、半導体レーザー光を分光する回折レンズ、半導体レーザーの出力変化や温度変化による波長変化に伴う焦点距離変動を防止するための色消しレンズや温度消しレンズがある。また、表示装置として、液晶やプロジェクターのバックライトの高効率化を目的とした導光板や、マイクロレンズアレイなどがある。また、光通信の発達に伴い、ファイバーどうしや、ファイバーの光を効率よく導波路に接続するためのマイクロレンズアレイ等、
様々なものがある。これらは、平面、球・非球面、自由曲面などの上に、鋸歯状、矩形状、凸凹面状などの形状が多数パターン状に配列されたものとなっている。
【0003】
一方、高精度な光学素子を安価で大量に製造するのに、光学素子形状に対して反転した形状を有する金型を使用し、ガラスや樹脂等の光学素子材料を加熱プレスする成形方法がある。
【0004】
このような成形に用いられる金型で、既述したような微細なパターン形状をプレス面に有したものの1つとして、予めガラス基板にフォトレジストにより回折パターンを形成しておき、このガラス基板の回折パターン形成面上に電鋳法によりNi電鋳層を形成したスタンパーが知られ(例えば、特許文献1参照。)、このスタンパーによって回折パターンを有した製品を繰り返し成形し製造している。
【0005】
また、高強度な母材上にSiまたはSiOの薄膜を形成し、その膜を所望の形状に加工し、Pt、Re、W、Taなどの薄膜で覆った金型も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、高強度な金型母材上に形成された加工性のよい加工層を精密切削加工して、Pt、Pd、Ir、W、Taなどの貴金属よりなる保護膜を形成したものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平06−201908号公報(0016〜0020 図1)
【0008】
【特許文献2】
特開平06−279036号公報(0013〜0018 図1)
【0009】
【特許文献3】
特開平07−138032号公報(0012〜0016 図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載のような金型の場合は、表面にパターン形状を有する光学素子成形金型を製造する際、電鋳により形成した金型材料であるニッケル(Ni)や、金属とフッ素樹脂との複合膜は、成形温度が低い樹脂の場合に問題とならないが、樹脂に比して成形温度の高いガラスを成形する場合に高温強度が不足し、プレス温度、圧力に耐え切れず、回折パターンが変形したり、膜が剥離したりする。また、ガラスとの反応性が高いために離型性が乏しく、ガラスと融着を起こす。
【0011】
特許文献2に記載のような金型の場合は、耐ガラス反応性を有する保護層が形成されていることで、ガラスとの離型性に問題はないものの、対象物の成形時にパターンのエッジ部にプレス圧力による応力集中が発生し、形成された保護膜の強度が耐え切れず保護層に摩耗や膜剥離が発生する。また、パターンの深さが例えば数μm以下と比較的浅い範囲では問題にならないが、パターン深さがそれよりも深いと、保護層のSiOが長時間のエッチングにより金型表面の表面粗さが劣化するのと同時に、マスク形状とエッチングにより得られた金型のパターン形状との形状差が大きくなり、この結果、得られた光学素子の性能が良好でない。
【0012】
特許文献3に記載のような金型の場合、金型母材上に形成された加工層を精密切削することによりパターン形状を得るのに、切削加工に使用されるバイト先端の大きさにより、パターン形状に限界がある。このため微小で、エッジのシャープなパターンを形成するのに限界がある。また、金型を回転させながら切削加工をするため、非軸対称のパターンを形成するのにも限界がある。
【0013】
本発明の目的は、高いパターン精度が容易に得られ、樹脂は勿論ガラスに対しても離型性がよく、耐圧性、高温度強度がよく耐久性に優れた、成形金型とその安価な製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の成形金型は、金型母材と、前記金型母材の少なくともプレス面上に形成された下地層と、前記下地層上にパターン形状を有するパターン層とを備えたことを主たる構成としている。
【0015】
このような構成では、金型母材の少なくともプレス面の上の下地層が一様に形成されるだけで、その上のパターン層が持つパターン形状の底面をなして成形対象物と接し、パターン層とともにパターン成形面となって金型が成形面となることによって耐ガラス反応性のためのパターン表面の保護層の必要を回避するのに併せ、パターン層は底面のないマスクなどによって得られる簡単なパターン形状を有したものでよいようにして、エッチング、貼りあわせ、切削による問題を回避し、適正な材料の選択だけで、パターン精度や耐圧力性、高温度強度、耐久性が得られるようにすることができる。
【0016】
特に、前記金型母材は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr)、アルミナ(Al)を主成分とするサーメット、アルミナ、サファイヤ(Al)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr)、窒化珪素(Si)、窒化硼素(BN)のいずれかよりなることを1つの特徴としている。
【0017】
このような構成では、耐熱性、耐食性、熱伝導性に優れ、耐高温強度を有し、高温時の成形時に変形が生じるようなことがないので、樹脂はもとよりガラスの成形においても成形精度がより高く、かつ耐久性がさらに向上する。
【0018】
また、前記下地層、前記パターン層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、タンタル(Ta)のいずれか、あるいはそれらのいずれかを主成分とする合金よりなることをさらなる特徴としている。
【0019】
このような構成では、高温機械強度を有するとともに、耐酸化性、耐ガラス反応性に優れているとともに、前記金型母材との密着性に優れており成形時の金型酸化による表面荒れやガラスの融着による成形品の離型不良、プレス圧力による膜の摩耗、膜剥離がより発生せず、樹脂はもとよりガラスの成形においても、成形精度、耐久性がさらに向上する。
【0020】
本発明の成形金型の製造方法は、金型母材にプレス面を作成した後、前記金型母材の少なくともプレス面上に下地層を形成し、前記下地層上にマスクを形成し、このマスクを介して前記下地層上に薄膜を形成し、前記マスクを除去することによりパターン形状を有したパターン層を下地層上に形成することを主たる特徴としている。
【0021】
このような構成では、金型母材を機械加工するのに、パターン形状を有しないプレス面を含み、対象物を成形する動作を行なうための基本形状を満足しておけばよいので加工が簡単かつ低コストなものとなる。一方、パターン形状は、前記金型母材に形成しているプレス面上にほぼ一様な下地層と、マスクを利用した薄膜によるパターン層とを順次に形成するだけで、どのように微細なパターン形状でもマスクのパターンに依存して、研削加工、エッチングなどに比し簡単かつ短時間に高精度に、無理なく耐久性を満足して安価に形成できる。しかも、金型によってパターン面を形成しないので耐ガラス反応性を得るための立体的な保護層が必要となって却って耐久性が低下するようなことがない。
【0022】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の図1、図3に示す実施の形態1、2と、図2、図4に示す比較例を参照しつつ詳細に説明し、本発明の理解に供する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態1の成形金型は図1(a)(b)に示す例のように、金型母材1と、この金型母材1の少なくともプレス面2上に形成された下地層3と、この下地層3上にパターン形状を有して形成されたパターン層4とを備えている。このような本実施の形態1の成形金型では、金型母材1の少なくともプレス面2の上の下地層3が一様に形成されるだけで、その上のパターン層4が持つパターン形状の底面10をなして成形対象物11と接し、パターン層4とともにパターン成形面となる。これによって金型母材1が成形面となる場合のように耐ガラス反応性のための立体的な保護層の必要を回避することができる。併せ、パターン層4自体はマスクに依存するなどして得られる底面10を持たない簡単なパターン形状を有したものでよいものとすることができる。これによって、エッチングや貼り合せ、切削による既述したような従来の問題を回避して適当な材料を選択するだけで、パターン精度や耐圧力性、耐熱性ないし高温度強度、耐久性が得られるようにすることができる。
【0025】
本実施の形態1の成形金型における金型母材1は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金(バインダー:コバルト(Co))である。この金型母材1のプレス面2はダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工により、表面粗さRa1nmに平面形状に鏡面加工している。下地層3は白金(Pt)よりなり金型母材1のプレス面2上に膜厚0.5μmにて形成してある。パターン層4は白金・レニウム(Pt−Re)よりなり下地層3上に図1に示すようなパターン形状(幅5μm、高さ6μmの矩形状、パターン間のスペース8μm)に形成してある。
【0026】
ここで、図2(a)(b)に示す本実施例1に対する比較例を説明すると、金型母材1は本実施の形態1と同様に、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金(バインダー:コバルト(Co))で、そのプレス面2はダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工により、表面粗さRa1nmに平面形状に鏡面加工している。パターン形状は金型母材1のプレス面2自体に形成した下地パターン面13上に膜厚1μmの離型層5をスパッタリング法などにより立体形状形成し、この離型層5が底面5a、垂直面5b、および天面5cを有した本実施の形態1のものと同じ形状および大きさのパターン形状を形成するようにしている。離型層5は本実施の形態1のパターン層4と同様に、白金・レニウム(Pt−Re)よりなり、金型母材1のプレス面2に形成している立体的な下地パターン面13の全域を立体的に覆ってパターン形状を形成している。これによって、金型母材1が成形面をなして耐ガラス反応性が要求されるようなことを回避できる。
【0027】
以上のような図1(a)(b)に示す本実施の形態1の成形金型と、図2(a)(b)に示す比較例の成形金型とを用いて、平面状のガラス(アルミノシリケートガラス)を成形対象物11とし、プレス温度620℃、プレス圧力450kgf/cm にて成形したところ、何れの場合も、高温機械強度に優れたタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金を金型母材1に用いているため、金型母材1自体がプレス圧力によって変形することはない。
【0028】
しかし、図2に示す比較例では成形回数520ショットにおいて、パターンコーナー部6やパターン垂直面5bにおいて離型層5が、金型母材1から部分的に膜剥離した。これは、高温下でのプレス圧力において、コーナー部6に応力が集中するとともに、パターン垂直面5bはスパッタリング法により、立体的な下地パターン面13のスパッタリング粒子の飛翔方向に平行な垂直面に沿って形成されているためパターン垂直面5bの膜質が良好でなく、プレス圧力に耐え切れず膜剥離したものと考えられる。
【0029】
一方、図1に示す本実施の形態1では、また、金型母材1のプレス面2上には白金(Pt)よりなる下地層3を形成していてこれがガラスの成形対象物11と耐反応性があり、成形時に成形対象物11のガラスと融着することはなかった。また、下地層3の白金と超硬合金である金型母材1とは非常に密着性がよく、プレス時の成形圧力によって膜剥離が発生することはなく、5000回のプレス成形の繰り返しに耐えることができた。また、下地層3上に形成されたパターン形状を有したパターン層4は、図2(b)に示す比較例のように立体的な下地パターン面13の表面を覆う離型層5のような立体薄膜でなく、図1(b)に示すようにパターン形状の深さ分だけの厚みを平坦な下地層3上に有しただけの、単独かつ平坦な層であることによって耐圧力性が高く、しかもその材料は下地層3との密着性がよく高温での機械強度に優れているので、プレス成形時に変形したり、下地層3から膜剥離するといった問題が生じなかった。また、このパターン層4は前記下地層3と同様に耐ガラス反応性があるので、成形対象物11のガラスと融着することはなかった。
【0030】
図3(a)〜(e)は本実施の形態2の成形金型の製造方法を示し、プレス面2を有した金型母材1を形成した後、この金型母材1の少なくともプレス面2上に下地層3を形成し、この下地層3上にマスク8を形成し、このマスク8を介して前記下地層3上に薄膜12を形成し、前記マスク8をその上の薄膜12とともに除去することによりパターン形状を有したパターン層4を下地層3上に形成する。このようにすると、金型母材1を機械加工するのに、パターン形状を有しないプレス面2を含み、成形対象物11を成形する動作を行なうための図3(a)に示すような基本形状を満足しておけばよいので加工が簡単かつ低コストなものとなる。一方、パターン形状は、前記金型母材1に形成している平坦なプレス面2上にほぼ一様な下地層3と、マスク8を利用した薄膜12によるパターン層4とを順次に形成するだけで、どのように微細なものでもマスク8のパターンに依存して、研削加工やエッチングなどに比し簡単かつ短時間に高精度に、無理なく耐久性を満足して安価に形成できる。しかも、金型母材1が成形面を形成しないので、耐ガラス反応性のための立体的な保護層が必要となって却って耐久性が低下するようなことを回避することができる。
【0031】
さらに具体的には、金型母材1はタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金(バインダー:コバルト(Co))材料よりなるものを用いて図3(a)に示すようなパターン形状を有しないプレス面2を持った基本形状に形成する。この金型母材1のプレス面2はダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工により、表面粗さRa1nmに平面形状に鏡面加工する。
【0032】
次いで、図3(b)に示すように前記プレス面2上にスパッタリング法により下地層3として白金(Pt)を膜厚0.5μm形成した後、図3(c)に示すように前記下地層3の上にフォトレジストをスピンコートしてからマスクを通しUV露光し現像することによって、パターン状(幅8μm、高さ7μmの矩形状、パターン間のスペース5μm)のマスク8を形成する。
【0033】
この後、図3(d)に示すようにスパッタリング法により白金・レニウム(Pt−Re)合金を、膜厚6μmにて薄膜12を形成してから、図3(e)に示すようにマスク8をその上の薄膜12とともに除去して、マスク8間の薄膜12をパターン層4として残すことにより、成形金型を得る。
【0034】
ここで、図4(a)〜(e)に示す比較例について説明する。金型母材1は本実施例の場合同様にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金(バインダー:コバルト(Co))材料よりなるものを用いて図4(a)に示すようなパターン形状を有しないプレス面2を持った基本形状に形成する。この金型母材1のプレス面2はダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工により、表面粗さRa1nmに平面形状に鏡面加工する。
【0035】
この後、図4(b)に示すように前記プレス面2上にフォトレジストによりパターン状(幅4.5μm、高さ7μmの矩形状、パターン間のスペース8.5μm)のマスク9を形成してから、このマスク9を介して図4(c)に示すようにドライエッチング法により金型母材1の少なくともプレス面2を深さ6μmのパターン形状底面13aまで加工を行なって下地パターン面13を形成し、この後図4(d)に示すようにマスク9を除去してから図4(e)に示すように前記下地パターン面13上に、白金・レニウム(Pt−Re)合金よりなる離型層5を形成することにより、成形金型を得る。
【0036】
本実施の形態2に係る成形金型の製造方法では、パターン形状底面10を含む金型表面の表面粗さは良好で、表面粗さRa1.5nmであった。一方、比較例での成形金型は、金型母材1を深さ6μmにまで及ぶドライエッチング加工をしたことにより、パターン形状底面13aが非常に荒れて、離型層5を形成した後の表面粗さはRa50nmであった。この表面荒れの現象は加工深さが深くなるほど顕著になる。
【0037】
なお、本実施例において、金型母材1として、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金を、下地層3として白金(Pt)を、パターン層4として白金・レニウム(Pt−Re)合金をそれぞれ用いたが、金型母材1としてチタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr)、アルミナ(Al)を主成分とするサーメット、アルミナ、サファイヤ(AlO3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr)、窒化珪素(Si)、窒化硼素(BN)のセラミックスなど、耐熱性、耐食性に優れ、耐高温強度を有する他の材料を用いることができる。また、下地層3、パターン層4として、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、タンタル(Ta)などのいずれか、あるいはそれらのいずれかを主成分とする合金を用いることができる。
【0038】
また、下地層3とパターン層4は同じ材料でも同様の効果が得られるし、下地層3、パターン層4の形成方法として、スパッタリング法以外のPVD法やCVD法、メッキなどを採用しても同様の効果が得られる。
【0039】
また、金型母材1のプレス面2の形状として平面の場合を示したが、これに限られることはなく球面、非球面、自由曲面など、どのような面形状であってもよい。さらに、パターン層4によって形成するパターン形状やその大きさも例示したところに限られることはなく、形状としては鋸歯状、凹面、凸面のアレイ状、軸対称、非軸対称など、どのような形状であってもよい。
【0040】
また、マスクの形成方法として、フォトレジストを使用したが、その他の方法であってもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の成形金型によれば、金型母材の少なくともプレス面の上の下地層が一様に形成されるだけで、その上のパターン層が持つパターン形状の底面をなして成形対象物と接し、パターン層とともにパターン成形面となって金型が成形面となることによって耐ガラス反応性のためのパターン表面の保護層の必要を回避するのに併せ、パターン層は底面のないマスクなどによって得られる簡単なパターン形状を有したものでよいようにして、エッチング、貼りあわせ、切削による問題を回避し、適正な材料の選択だけで、パターン精度や耐圧力性、高温度強度、耐久性が得られるようにすることができる。
【0042】
また、前記金型母材が、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr)、アルミナ(Al)を主成分とするサーメット、アルミナ、サファイヤ(Al)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr)、窒化珪素(Si)、窒化硼素(BN)のいずれかよりなることにより、耐熱性、耐食性、熱伝導性に優れ、耐高温強度を有し、高温時の成形時に変形が生じるようなことがないので、樹脂はもとよりガラスの成形においても成形精度がより高く、かつ耐久性がさらに向上する。
【0043】
また、前記下地層、前記パターン層が、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、タンタル(Ta)のいずれか、あるいはそれらのいずれかを主成分とする合金よりなることにより、高温機械強度を有するとともに、耐酸化性、耐ガラス反応性に優れているとともに、前記金型母材との密着性に優れており成形時の金型酸化による表面荒れやガラスの融着による成形品の離型不良、プレス圧力による膜の摩耗、膜剥離がより発生せず、樹脂はもとよりガラスの成形においても、成形精度、耐久性がさらに向上する。
【0044】
本発明の成形金型の製造方法によれば、金型母材を機械加工するのに、パターン形状を有しないプレス面を含み、対象物を成形する動作を行なうための基本形状を満足しておけばよいので加工が簡単かつ低コストなものとなる。一方、パターン形状は、前記金型母材に形成しているプレス面上にほぼ一様な下地層と、マスクを利用した薄膜によるパターン層とを順次に形成するだけで、どのように微細なパターン形状でもマスクのパターンに依存して、研削加工、エッチングなどに比し簡単かつ短時間に高精度に、無理なく耐久性を満足して安価に形成できる。しかも、金型によってパターン面を形成しないので耐ガラス反応性を得るための立体的な保護層が必要となって却って耐久性が低下するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る成形金型の平面図および断面図。
【図2】図1の実施の形態1に対する比較例の平面図および断面図。
【図3】本発明の実施の形態2に係る成形金型の製造方法を(a)〜(e)の段階別に示す断面図。
【図4】図3の実施の形態2に対する比較例を(a)〜(e)の段階別に示す断面図。
【符号の説明】
1 金型母材
2 プレス面
3 下地層
4 パターン層
8 マスク
12 薄膜

Claims (3)

  1. 金型母材と、前記金型母材の少なくともプレス面上に形成された下地層と、前記下地層上にパターン形状を有するパターン層とを備え、前記金型母材が、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr)、アルミナ(Al)を主成分とするサーメット、アルミナ、サファイヤ(Al)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr)、窒化珪素(Si)、窒化硼素(BN)のいずれかよりなることを特徴とする成形金型。
  2. 金型母材と、前記金型母材の少なくともプレス面上に形成された下地層と、この下地層上にパターン形状を有するパターン層とを備え、前記下地層、前記パターン層が、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、タンタル(Ta)のいずれか、あるいはそれらのいずれかを主成分とする合金よりなることを特徴とする成形金型。
  3. 金型母材にプレス面を形成した後、少なくとも前記プレス面上に下地層を形成し、前記下地層上にマスクを形成し、前記マスクを介して前記下地層上に薄膜を形成し、前記マスクを除去することによりパターン形状を有したパターン層を下地層上に形成することを特徴とする成形金型の製造方法。
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