JP2012111663A - 光学素子成形用金型、光学素子成形方法、および光学素子成形用金型製造方法 - Google Patents

光学素子成形用金型、光学素子成形方法、および光学素子成形用金型製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学素子成形用金型および光学素子成形方法において、生産性を低下させることなく押圧成形時の抵抗を低減することができるようにする。
【解決手段】光学素子の形状を転写する成形面2A、3Aを有し、加熱軟化されたガラス素材を成形面2A、3Aによって押圧成形する下型2、上型3を有する金型1であって、成形面2A、3Aにおける表面粗さは、成形面中心O、Oを中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが、放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有するものを用いて成形を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子成形用金型、光学素子成形方法、および光学素子成形用金型製造方法に関する。
従来、ガラスレンズ等の光学素子の製造方法として、光学素子の形状を転写する成形面を有する光学素子成形用金型によって、加熱軟化されたガラス素材を成形面によって押圧成形する光学素子成形方法が知られている。
例えば、特許文献1には、ガラスレンズの表面形状を転写する凹状の成形面を有する成形型(光学素子成形用金型)が記載されている。
特開平9−12319号公報
しかしながら、上記のような従来の光学素子成形用金型、光学素子成形方法、および光学素子成形用金型製造方法には以下のような問題があった。
ガラス素材の押圧成形は、樹脂や金属の射出成形とは異なり、被成形体であるガラス素材が加熱によって軟化しているに過ぎないため、被成形体と成形面との間の抵抗が大きすぎると、成形面において被成形体が円滑に流動できないため、成形面成形面の形状を正確に転写することができず、不良が発生しやすくなるという問題がある。
また、成形抵抗が大きいと、成形面が劣化し易いため、光学素子成形用金型の耐久性が悪くなるという問題がある。
このため、特許文献1には、凹状の成形面をクロム酸化物系セラミックスでアルミナと焼結した焼結体を表面粗さ0.1μm以下に鏡面加工して形成されたものと、超硬(WC)材を表面粗さ0.05μm以下に鏡面加工したものとが記載されている。
このような成形面の形成方法の詳細は特許文献1に記載されていないが、一般には、予め金型母材を除去加工して成形面の形状に近い1次加工面を形成してから、研磨加工を行って鏡面に仕上げた2次加工面を形成し、さらに表面に補強膜や保護膜等を成膜することによって形成されている。
成形抵抗をさらに低減するには、鏡面加工を高精度に行って表面粗さを低減させたり、保護膜の材質として低抵抗の材質を採用したりすることが考えられる。
ところが、鏡面加工を光学素子面が必要とする以上に高精度化すると、加工に時間がかかってしまい、金型製造コストが増大するという問題がある。
また、発明者の観察によれば、単に、従来の光学成形用金型の鏡面加工の精度を向上しても、押圧成形時の抵抗は顕著には低減されないという問題がある。
また、成形温度を高めにして流動しやすくしたり、時間をかけて押圧したりすることも考えられるが、これらはいずれも生産性を低下させるという問題がある。
このため、ガラス素材の押圧成形時の抵抗を低減する成形技術が強く求められている。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、生産性を低下させることなく押圧成形時の抵抗を低減することができる光学素子成形用金型、および光学素子成形方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の光学素子成形用金型を製造することができる光学素子成形用金型製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の光学素子成型用金型は、光学素子の形状を転写する成形面を有し、加熱軟化されたガラス素材を前記成形面によって押圧成形する光学素子成形用金型であって、前記成形面における表面粗さは、前記成形面上の一点を中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが、前記放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有する構成とする。
また、本発明の光学素子成型用金型では、前記表面粗さの異方性は、前記ガラス素材に対する押圧中心を中心に形成されたことが好ましい。
また、本発明の光学素子成型用金型では、前記成形面は、押圧方向に沿う対称軸を中心とする回転対称形状を有し、前記表面粗さの異方性は、前記対称軸と交点を中心に形成されたことが好ましい。
また、本発明の光学素子成型用金型では、前記成形面が形成された金型本体の表面は、 放射状の加工条痕が形成される除去加工が施されてから研磨して形成されたことが好ましい。
本発明の光学素子成形方法は、加熱軟化されたガラス素材を、本発明の光学素子成形用金型を用いて押圧成形する方法とする。
本発明の光学素子成形用金型製造方法は、光学素子の形状を転写する成形面を有し、加熱軟化されたガラス素材を前記成形面によって押圧成形する光学素子成形用金型を製造する光学素子成形用金型製造方法であって、前記成形面における表面粗さは、前記成形面上の一点を中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが、前記放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有し、前記成形面が形成された金型本体の表面は、放射状の加工条痕が形成される除去加工を施してから研磨して形成する方法とする。
本発明の光学素子成形用金型および光学素子成形方法によれば、光学素子成形用金型において成形面上の一点を中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有するため、生産性を低下させることなく押圧成形時の抵抗を低減することができるという効果を奏する。
また、本発明の光学素子成形用金型製造方法によれば、本発明の光学素子成形用金型を製造することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型を用いて製造される光学素子の一例を示す模式的な正面図である。 本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の模式的な断面図、およびそのA部(B部)の部分拡大図である。 本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の下型の模式的な正面図および平面図である。 図2のC部およびD部の表面粗さの異方性を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の製造方法を説明する模式的な工程説明図、およびそのG視図である。 本発明の実施形態に係る光学素子成形方法を説明する模式的な工程説明図である。 ガラス素子軟化体の接触領域の変化について説明する平面視の模式図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型を用いて製造される光学素子の一例を示す模式的な正面図である。図2(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の模式的な断面図、およびそのA部(B部)の部分拡大図である。図3(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の下型の模式的な正面図および平面図である。図4(a)、(b)は、それぞれ図3(b)におけるC部およびD部の表面粗さの異方性を説明するための模式図である。図5(a)は、本発明の実施形態に係る光学素子成形用金型の製造方法を説明する模式的な工程説明図である。図5(b)は、図5(a)におけるG視図である。
まず、本実施形態の光学素子成形方法に用いる本実施形態の光学素子成形用金型について説明する。
本実施形態の光学素子成形方法で成形される光学素子は、ガラス素材を押圧成形して製造できるものであれば形状や機能は特に限定されない。例えば、レンズの場合、適宜の凹面、球面、平面をレンズ面として有する各種のレンズを成形することができる。また、成形面の形状は、球面でもよいし非球面でもよい。また、光学素子はレンズには限定されず、ミラーや平行平板などであってもよい。
以下では、一例として、光学素子が図2に示すレンズ5Cの場合の例で説明する。
レンズ5Cは、いずれも凸球面である第1レンズ面5aと第2レンズ面5bとを有し、レンズ側面5cが円筒状に成形された両凸レンズからなる。
本実施形態の金型1は、図2(a)、(b)に示すように、下型2(光学素子成形用金型)、胴型4、および上型3(光学素子成形用金型)を備える。
下型2は、レンズ5Cのレンズ側面5cの直径に等しい側面2cを有する略円柱状の金型本体2aと、金型本体2aの下端部の側方に突出されたフランジ部2dとを有する軸状部材であり、フランジ部2d側の底面2eを不図示の成形装置の加熱ステージ上に載置して用いる。
金型本体2aの底面2eと反対側の端部(上端部)には、図2(b)に示すように、レンズ5Cの第1レンズ面5aを成形するため第1レンズ面5aの曲率半径と等しい曲率半径を有する凹球面である成形面2Aが形成されている。
金型本体2aは、ガラス素材の押圧成形に用いられる適宜の材料の金型母材を除去加工して形成されている。金型母材の材質としては、例えば、タングステンカーバイド(WC)を採用することができる。
成形面2Aは、図2(b)に示すように、金型本体2aの上端に金型母材を除去加工した後、研磨加工して形成された2次加工面2B上に保護膜2bを成膜することにより形成されている。
保護膜2bとしては、本実施形態では、一例として、DCスパッタリング法により成膜された白金とイリジウムとからなる薄膜を採用している。
成形面2Aの表面粗さは、第1レンズ面5aに必要な面精度に応じて、例えば、算術平均粗さが、Ra=0.005μm以下になるように形成される。
ただし、成形面2Aの表面粗さは、図3(a)、(b)に示すように、レンズ5Cの第1レンズ面5aの面頂となる成形面2Aの成形面中心O(成形面上の一点)を中心とする異方性を持たせている。
本実施形態では、成形面2A上において、成形面中心Oを中心とする放射方向rに沿って測った表面粗さが、この放射方向rに直交する周方向cに沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有している。ただし、図3(a)、(b)では、それぞれの方向の一例を示している。放射方向rとは、成形面2Aの測地線に沿って、成形面中心Oから成形面2Aの外縁部に向かうすべての方向を意味する。
図4(a)、(b)に、図3(b)に示す成形面中心Oの近傍のC部内の点Eと、成形面2Aの外縁部に近いD部内の点Fにおける表面粗さのイメージを部分的かつ模式的に示す。図4(a)、(b)における円内の実線は、成形面2Aに形成された微細な凸部の頂上線を表し、実線の間の白地部は凸部の頂上線の間の微細な凹部形状の領域を示している。
点E、Fのいずれでも、放射方向rに沿って測った表面粗さは、微細な凹凸部に沿っているため、表面粗さは相対的に小さくなる。一方、周方向cに沿って測った表面粗さは微細な凹凸部を横断するため、表面粗さは相対的に大きくなる。
このような表面粗さの異方性を有する下型2の製造方法について説明する。
まず、図5(a)に二点鎖線で示すように、金型本体2aの上端部が軸方向に突出して2次加工面2Bの曲率半径に近い凹面である被加工面Wを有する被加工体Wを形成する。被加工面Wの突出量は、以下に説明する除去加工の加工代が確保されていれば十分であり、被加工面Wを形成する加工は表面粗さが粗くなってしまう加工でも十分である。
次に、被加工体Wの被加工面Wを除去加工して、2次加工面2Bを形成する位置よりもわずかに一様に突出した凹曲面である1次加工面2Cを形成する。
1次加工面2Cの突出量は、研磨代を確保できればよい。
1次加工面2Cの加工方法は、表面に放射状の凹凸形状を形成可能な除去加工であれば特に限定されない。例えば、切削加工、研削加工、レーザ加工、電子ビーム加工、放電加工等の除去加工を採用することができる。
本実施形態では、一例として、図5(a)、(b)に示す回転刃6を用いた切削加工を採用している。
回転刃6は、回転円板6bの外周部に複数の刃部6aが設けられ、不図示の回転駆動機構によって、水平方向に配置された回転円板6bの中心に設けられた回転軸6cを中心として回転されるようになっている。刃部6aの刃先は、1次加工面2Cの曲率半径に等しい円周に沿って回転するようになっている。
回転刃6の下方には、鉛直軸を中心に回転駆動される回転台7が設けられており、被加工体Wのフランジ部2dを保持できるようになっている。
回転台7は、不図示の移動ステージによって位置調整可能に保持されている。
したがって、回転刃6の回転軌跡の最下点が、回転台7に保持された被加工体Wの側面2cの中心軸を通るように位置合わせして、回転台7および回転刃6を回転させ、回転台7と回転刃6との鉛直方向の相対距離を近づけていくことにより、回転刃6が被加工体Wの被加工面Wに切り込まれる。これにより、被加工面Wが切削されて、1次加工面2Cの曲率半径を有する凹球面が形成される。
この際、刃部6aが被加工面Wを横断する方向に挽き目が形成され、この挽き目が側面2cの中心軸回りに回転していくことから、1次加工面2C上に、放射状の挽き目が形成される。
次に、1次加工面2Cが形成された被加工体Wを適宜の研磨機を用いて、1次加工面2Cの周方向の表面粗さが、第1レンズ面5a成形面として必要な表面粗さ、例えば、Ra=0.005μm以下になるように仕上げる。
このようにして研磨加工された2次加工面2Bは、1次加工面2Cに形成された挽き目が完全には均されず、挽き目の凹凸形状に対応した凹凸面が残るため、放射方向rに沿う表面粗さが相対的に大きく、周方向cに沿う表面粗さが相対的に小さい異方性が生じることになる。
次に、2次加工面2B上に、例えば、DCスパッタリング法によって、白金とイリジウムとからなる保護膜2bを成膜する。保護膜2bの膜厚は、例えば、下型2の中心軸上で膜厚が2000nmとなるようにしている。
このとき、スパッタリングでは、挽き目のピッチ程度の狭い領域では、スパッタリング粒子が一様に堆積するため、保護膜2bの表面での表面粗さも2次加工面2Bの表面粗さと略同様になる。
このようにして、下型2が形成される。
胴型4は、内面が滑らかな円筒部材であり、下型2の金型本体2aの側面2cに対して着脱可能に外嵌され、下端部がフランジ部2dに当接するように配置されている。
また、胴型4は、フランジ部2dに下端部が当接された状態で、成形面2Aの上方まで延びる長さを有している。
上型3は、成形面2Aに代えてレンズ5Cの第2レンズ面5bを成形するための凹球面である成形面3Aが設けられている点を除いて、下型2と略同形状、同材質に設けられている軸状部材である。成形面3Aの曲率半径は、第2レンズ面5bの曲率半径に一致している。
すなわち、レンズ5Cのレンズ側面5cの直径に等しい側面3cを有する略円柱状の金型本体3aと、金型本体3aの上端部の側方に突出されたフランジ部3dとを有し、側面3cを胴型4の内面に摺動可能に嵌合できるようになっている。
このため、上型3は、胴型4の内周面を案内面として上下方向に進退移動できるようになっている。
また、側面3cを胴型4に内嵌した状態では、フランジ部3dの端面である上面3eは、底面2eと平行である。
また金型本体3aは、金型母材であるタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金によって形成されている。
成形面3Aは、下型2と同様の上記の加工方法によって形成された2次加工面3B上に保護膜2bと同様な材質の保護膜3bを成膜することにより形成されている。このため、表面粗さは、放射方向rに沿って測った表面粗さが相対的に大きく、周方向cに沿って測った表面粗さが相対的に小さい異方性を有している。
次に、このような下型2、上型3を含む金型1を用いた光学素子成形方法について説明する。
図6(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態に係る光学素子成形方法を説明する模式的な工程説明図である。図7(a)、(b)は、ガラス素子軟化体の接触領域の変化について説明する平面視の模式図である。
まず、胴型4から上型3を引き抜いて成形面3A上にガラス素材5を配置し、上型3を成形面3Aが下側に向いた状態で胴型4内に貫入させ、図6(a)に示すように、成形面3Aがガラス素材5に当接するまで下降させて金型組立体10を組み立てる。
ガラス素材5は、予めレンズ5Cと同一の質量に計量され、レンズ5Cよりも曲率半径が小さい凸面を表裏に備え中央が厚肉とされた円盤状の塊からなる。ガラス素材5は、例えば、このような形状に成形されたプリフォームを用いてもよいし、ガラス母材をこのような形状に削り出したものを用いてもよい。
ガラス素材5の凸面はそれぞれの面頂が外形の略中心に位置する球面を採用することができるが、それぞれの面頂の曲率半径が成形面2A、3Aの曲率半径よりも小さい滑らかな湾曲面であれば、球面には限定されない。
このため、ガラス素材5は、金型組立体10において、成形面2A、3Aの間に挟まれた時に、ガラス素材5の凸面の面頂は、成形面2A、3Aの成形面中心O、O、もしくはその近傍に当接するようになっている。
以下では、一例として、ガラス素材5の各凸面が互いに同軸の凸球面からなる例で説明する。この場合、ガラス素材5は、成形面2A、3Aの成形面中心O、Oで当接することになる。
次に、金型組立体10を不図示の成形装置に入れて成形を行う。
成形装置は、光学素子のガラス押圧成形に用いる成形装置であれば、適宜の装置を用いることができる。すなわち、不活性雰囲気を形成するチャンバー内に、金型組立体10を載置して成形温度まで加熱する加熱ヒータを内蔵した板状の加熱ステージと、加熱ステージ上で金型組立体10を上方から下側に加圧する加圧機構とを備える装置を採用することができる。
成形温度は、ガラス素材5の材料のガラス転移点以上の適宜温度に設定する。
加熱ステージ上に載置された金型組立体10は、加熱ステージに当接する下型2の底面2eを通して加熱されるとともに、加圧機構によって上型3の上面3eが押さえられる。
底面2eが加熱されると、下型2および胴型4を通してガラス素材5および上型3も加熱される。ガラス素材5が成形温度に達して変形が可能になったら、加圧機構を下降させて上型3を加圧する。これにより、ガラス素材5は、成形面2A、3Aとの接触点である成形面中心O、Oを押圧中心として胴型4の中心軸方向に押圧される。
この結果、ガラス素材5は、図6(b)に示すように、ガラス軟化体5Aとして成形面2A、3Aおよび胴型4の内周面で形成される成形空間に沿って変形していく。
このとき、ガラス素材5、ガラス軟化体5Aは、成形面2A、3Aの接触部位から直接的に熱伝導を受けて加熱されるため、成形面2A、3Aとの接触部位から軟化する。このため、図7(a)に平面視の様子を示すように、加圧の開始時に、成形面中心O(O)と点接触していたガラス素材5は、図7(b)に示すように、成形面中心O(O)を中心とする略円状の接触領域S(S)を中心から周縁に向かって拡大させながら、変形していく。
したがって、接触領域S(S)では、図7(b)の矢印で示すように、放射状に流動していく。
このようなガラス軟化体5Aの流動方向は、従来技術と同様であるが、従来技術では、成形面2A、3Aのような球面等の回転対称形状の成形面を加工する場合、1次加工面の加工は、金型母材と工具とを、1次加工面の回転対称の対称軸を中心として相対回転させて行っている。このため、1次加工面には、対称軸を中心とした同心円状の挽き目が形成される。この結果、研磨加工によって2次加工面を形成した後も、この挽き目に倣った微小な凹凸が残り、放射方向の表面粗さが周方向の表面粗さよりも大きい表面粗さの異方性が生じる。
発明者は、鏡面加工された成形面であっても、微細に見ると成形面の表面には表面粗さの異方性があり、押圧成形時の抵抗に寄与していることを見出し、本発明に到った。
すなわち、従来技術では、1次加工面の挽き目が成形面に同心円状に形成されるため、鏡面加工された成形面でも、ガラス軟化体5Aの流動方向に直交する放射方向での表面粗さが相対的に大きくなる。このため、ガラス軟化体5Aと成形面との間の抵抗は、表面粗さの割には大きくなる。
これに対して、本実施形態では、成形面2A、3A上の表面粗さの異方性は、放射方向rの表面粗さが、周方向cの表面粗さよりも小さくなっている。
一方、レンズ5Cとして良好な第1レンズ面5a、第2レンズ面5bを成形するために必要な表面粗さの上限値は従来技術と同じであるから、本実施形態では、従来技術に比べて、押圧成形時の抵抗が低減される。
押圧成形時の抵抗が低減されると、ガラス軟化体5Aが滑らかに成形面2A、3A上を流動するため、成形面2A、3Aに沿って密着しやすくなり、形状転写性が向上する。
ガラス素材5が成形空間内に隙間なく満たされたら、上型3の下降を停止し、その状態を一定時間保持した後、加熱を中止してガラス転移点より低い温度まで徐冷し、ガラス固化体5Bを形成する。
ガラス固化体5Bが変形するおそれがなくなるまで冷却されたら、チャンバーから金型組立体10を搬出し、金型1を分解してガラス固化体5Bを脱型し、レンズ5Cとして取り出す。
以上で、レンズ5Cの成形が終了する。
このように、本実施形態の光学素子成形方法では、成形面2A、3A上の一点を中心とする放射方向rに沿って測った表面粗さが放射方向に直交する周方向cに沿って測った表面粗さよりも小さい下型2、上型3を含む金型1を用いて成形を行うため、同じ表面粗さを有する従来技術の金型に比べて、成形温度や押圧速度が同じであっても、押圧成形時の抵抗を低減することができる。したがって、生産性を低下させることなく押圧成形時の抵抗を低減することができている。
また、押圧成形時の抵抗を低減できるため、繰り返しの成形を行っても、成形面2A、3Aの劣化の進行が抑制されるため金型の耐久性が向上する。
なお、上記の実施形態の説明では、成形面2A(3A)の表面粗さの異方性の中心と、成形開始時のガラス素材5との接触点(押圧中心)とが一致する場合の例で説明したが、ガラス軟化体5Aの抵抗は、接触領域S(S)の面積の増大とともに増大する。
このため、初期的に、接触点と異方性の中心とがずれていても、接触領域S(S)の面積が増大した時点で、異方性の中心が、接触領域S(S)の中心部に位置していれば、十分に成形抵抗の低減効果がある。
すなわち、異方性の中心はガラス素材に対する押圧中心とずれていてもよい。
例えば、ガラス素材5と成形面2A(3A)との接触点が、異方性の中心とのずれ量は、成形面2A(3A)の有効半径の50%未満であることが好ましく、30%未満であれば、より好ましい。
また、上記の実施形態の説明では成形面2A(3A)が回転対称形状を有し、表面粗さの異方性がこの対称軸との交点である成形面中心O(O)を中心として形成されている場合の例で説明したが、回転対称形状の一部を除去して、偏心させたような形状であってもよい。この場合、ガラス素材5を偏心された回転対称の対称軸と成形面との交点、およびその近傍に当接させることで、上記実施形態に係ると同様に成形抵抗を低減することができる。
また、成形面は、自由曲面など、回転対称でない形状であってもよい。この場合、ガラス素材5の押圧時の流動方向を予め解析し、この流動方向に略沿って測った表面粗さをこれと直交する方向に沿って測った表面粗さよりも小さくすることによって、同様に成形抵抗を低減することができる。
また、上記の実施形態の説明では、1次加工面の挽き目が1点を中心とする放射線状に形成されているため、面粗さの異方性は、幾何学的に厳密な放射線状に形成されている。ただし、成形抵抗は、接触面における大域的な特性であるため、凹凸形状の方向性が中心から外縁に向かう略放射状であれば、十分に成形抵抗の低減効果がある。したがって、成形面における凹凸形状は、幾何学的に厳密な放射状でなくてもよい。
例えば、凸部の頂上線や凹部の谷底線が、成形面上の1点を通る緩やかなS字状曲線からなるスパイラル状に形成されていてもよい。この場合にも、成形面上の1点を中心とする放射方向rと周方向cとに表面粗さを測れば、成形面上の各点において表面粗さの異方性が計測される。
また、上記の実施形態の説明では、1次加工面の挽き目が1点を中心とする放射線状に形成されているため、成形面上の凹凸部が径方向に連続する場合の例で説明したが、面粗さの異方性が形成されれば、凹凸部が径方向に不連続な放射状に形成されていてもよい。
例えば、2次加工面を研削加工によって形成する場合には、1つの砥粒による加工条痕が必ずしも被加工面を横断するとは限らないため、凹凸部は径方向に不連続な放射状となる。この場合にも、成形面上の1点を中心とする放射方向rと周方向cとに表面粗さを測れば、成形面上の各点において表面粗さの異方性が計測される。
また、上記実施形態の説明では、従来技術の光学素子成形用金型は、放射方向に沿って測った表面粗さが周方向に沿って測った表面粗さよりも大きいとして、本実施形態の方が成形抵抗を低減できるとして説明したが、表面粗さが等方性を有する場合に比べても同様である。
また、上記の実施形態で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
1 金型
2 下型(光学素子成形用金型)
2a、3a 金型本体
2b、3b 保護膜
2c 側面
2A、3A 成形面
2B、3B 2次加工面
2C、3C 1次加工面
3 上型(光学素子成形用金型)
4 胴型
5 ガラス素材
5a 第1レンズ面
5b 第2レンズ面
5A ガラス軟化体
5B ガラス固化体
5C レンズ(光学素子)
6 回転刃
7 回転台
10 金型組立体
c 周方向
、O 成形面中心
r 放射方向
、S 接触領域
W 被加工体
被加工面

Claims (6)

  1. 光学素子の形状を転写する成形面を有し、加熱軟化されたガラス素材を前記成形面によって押圧成形する光学素子成形用金型であって、
    前記成形面における表面粗さは、
    前記成形面上の一点を中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが、前記放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有する
    ことを特徴とする光学素子成形用金型。
  2. 前記表面粗さの異方性は、
    前記ガラス素材に対する押圧中心を中心に形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  3. 前記成形面は、押圧方向に沿う対称軸を中心とする回転対称形状を有し、
    前記表面粗さの異方性は、前記対称軸と交点を中心に形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  4. 前記成形面が形成された金型本体の表面は、
    放射状の加工条痕が形成される除去加工が施されてから研磨して形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  5. 加熱軟化されたガラス素材を、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子成形用金型を用いて押圧成形する
    ことを特徴とする光学素子成形方法。
  6. 光学素子の形状を転写する成形面を有し、加熱軟化されたガラス素材を前記成形面によって押圧成形する光学素子成形用金型を製造する光学素子成形用金型製造方法であって、
    前記成形面における表面粗さは、
    前記成形面上の一点を中心とする放射方向に沿って測った表面粗さが、前記放射方向に直交する周方向に沿って測った表面粗さよりも小さい異方性を有し、
    前記成形面が形成された金型本体の表面は、
    放射状の加工条痕が形成される除去加工を施してから研磨して形成する
    ことを特徴とする光学素子成形用金型製造方法。
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