JP4848165B2 - 光学素子の製造方法、及びガラスレンズ - Google Patents
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ここで、芯取り加工とは、成形体の外周など(多くの場合、プレス成形によって形成された自由表面部)を研磨し、不要な部位を除去するとともに、得ようとする光学素子の外径中心軸と、光軸とを一致させることをいう。
また、プレス成形と、芯取り加工を同時に行う方法として、特許文献2には、ガラス素材を一対の成形型に保持、加熱し、押圧成形しながら成形型全体を回転させ、成形型からはみ出した余分なガラス素材を機械的に研削除去するガラスレンズの成形方法が記載されている。
このような方法とすれば、成形体に砥石を近接させるにあたり、一軸の精密制御のみの装置が適用できるため、大掛かりな制御をしなくても、きわめて簡便に、μmオーダーの研削制御を行うことができる。
このような方法とすれば、得られたガラスレンズを種々の光学機器に取り付ける際に、レンズの外周面とともに、この平坦面を基準面として位置決めを行うことができる。
ここで、図1は、成形素材50をプレス成形するプレス工程の概略を示す説明図であり、成形型は、上型10、下型20、及び胴型30を備えて構成されている。
なお、この上下型10,20に形成される成形面14,24は、成形しようとする光学素子の形状に応じて、凹面、凸面、平面のいずれとすることもでき、図示する例には限られない。
このため、上下型10,20と胴型30とのクリアランスは、要求される光学素子の偏心精度を考慮すると最も長い摺動部において10μm以下、特に、5μm以下とすることが好ましく、成形しようとする光学素子に要求される光学性能に応じて、さらに小さくすることもできる。
したがって、一般には、プレス成形に用いる成形素材50の容積は、得ようとするレンズの容積と一致していなければならない。
例えば、携帯端末などに搭載される撮像系などに好適な小径、薄肉のレンズの容積は、1〜60mm3程度であり、許容される容積のばらつきが0.1〜0.5%以内となることがあるが、このような条件下で、成形素材50の容積を一定にするのは非常に難しい。
上記のように、成形体51に生じたバリは破損しやすく、バリの破損につられてその周囲が大きく欠落してしまうこともある。
このため、バリの発生を避けるために、成形素材50の容積を少なめに設定したときに、成形素材50の容積のばらつきが、容積が不足する方へ大きくばらついてしまうと、前述したように成形体51(ガラスレンズ51a)の外周形状が不定形になるだけでなく、最終的に得られるガラスレンズ51aの外周面54が、十分な面積をもって形成さなくなってしまう。
なお、図3は、図1(c)において鎖線で囲む部分に相当する図2と同様の要部拡大図である。また、図示する例では、上下型10,20の両方に対して面取加工を施しているが、本実施形態にあっては、少なくとも上下型10,20の一方に対して面取加工を施すようにしてもよい。
このため、成形素材50の容積を規定量よりも若干多めにしておくことによって、成形体51(ガラスレンズ51a)の外周形状が不定形になってしまったり、最終的に得られるガラスレンズ51aの外周面54が、十分な面積をもって形成されなくなったりするというような不具合をより確実に回避することができる。
上下型10,20に対して面取加工を施すに際し、面取幅X1が大きくなり過ぎてしまうと、後述するようにして、成形体51に対して面取加工を施して、ガラスレンズ51aの光学機能面52a,53aの外周に平坦面52b,53bが形成されるようにする際に、このような平坦面52b,53bを形成する上で必要な面積を確保することができなくなってしまう。
このようにすれば、成形型の温度が相対的に低くなり、成形型の昇温、降温のサイクルタイムを短縮できるとともに、成形型の熱による劣化を抑制できるため好ましい。
例えば、図4(a)に示すように、成形体51をベルクランプなどの治具60に支持し、クランプ軸と成形体51の光軸C2が一致したところで、光軸C2を中心に成形体51を回転させつつ、砥石70を、光軸に直交する方向(以下、「X軸方向」という)に沿って図4(a)中の矢印方向に移動して、成形体51に接近させる。
そして、図4(b)に示すように、砥石70に形成された凹部71に、成形体51の上型側角部52cと、下型側角部53cとの両方を同時に接触させることによって、成形体51に対して面取加工を施すことができる。
したがって、成形体51に砥石70を近接させるにあたり、Y軸方向の位置制御は不要となり、一軸(X軸)の精密制御のみの装置が適用できるため、大掛かりな制御をしなくても、きわめて簡便に、μmオーダーの研削制御を行うことができる。
図4に示す例では、水平面に対して対称(θ1=θ2)となるように、90°の角度で断面V字型に開口する凹部71を有する砥石70を用いて面取加工をしているが(図6(a)参照)、上下で非対称(θ1≠θ2)とすることもできる(図6(b)参照)。また、図6(c)に示すように、凹部71には、成形体51に接触しない限り、底部71aがあってもよい。
このように、凹部71を断面V字型に開口するように形成すれば、その面取角度が一定である限り、得ようとするガラスレンズ51aの肉厚や径に関わらず、不特定のガラスレンズを製造するのに適用することができる汎用砥石とすることができるため好ましいが、図6(d)に示すように、必要に応じて所定の曲率を有する断面U字形としてもよい。
このようにすると、たとえ、上下型10,20の面取部15,25に成形素材50の一部が入り込んで、成形体51の周縁の上型側角部52cや、下型側角部53cに突起が生じたとしても、この突起が完全に除去され、得られるガラスレンズ51aの形状をより確実に均一とすることができる。
このような平坦面52b,53bを形成することにより、得られたガラスレンズ51aを種々の光学機器に取り付ける際に、レンズの外周面54とともに、この平坦面52b,53bを基準面として位置決めを行うことができる。
なお、図示する例では、第一面52と第二面53の両方に平坦面52b,53bが形成されているが、本実施形態にあっては、少なくとも第一面52と第二面53の一方に平坦面52b(又は53b)が形成されていればよい。
特に、このようにして製造されたガラスレンズ51aを複数組み合わせて組みレンズを構成する際には、外周面54や平坦面52b,53bを利用して、相手レンズや鏡筒などとの相互の光軸の傾きを容易に防止することができる。これは、部品点数に制限のある小型の光学機器に適用する場合に、特に有利である。
しかし、本実施形態によれば、上記したように、上型側角部52cと下型側角部53cを面取加工するので、不定形の突起(バリ)がレンズに残ることはなく、また、バリを懸念して成形素材50の容積を小さくする必要もないので、外周面54や、平坦面52b,53bの面積を必要量確保するのが容易である。
このような場合には、成形体51の周縁にバリが生じやすいが、本実施形態によれば、そのようなバリも容易に除去することができる。
しかしながら、本実施形態によれば、成形体51に対して施される面取加工によって面取部52d,53dを形成することで、上記段部の基部に形成される湾曲部との干渉が容易に確実に避けられるため、鏡筒への組み込みを精度よく、かつ、均一に行うことができる。このとき、成形体51に対する面取り加工において、面取部52d,53dが上記段部の基部に形成される湾曲部に接触しない寸法に面取幅X2及び面取高さY(光軸C2通る面に投影したときの高さ)を設定することが好ましい。
一方、鏡筒などに取り付けたときのレンズの傾きを抑制するために、レンズの外周面54は十分な面積をもって形成されているのが好ましく、成形体51の面取高さYは、このことを考慮して、必要以上に大きくなり過ぎないようにしなければならない。このためには、レンズ外周部の肉厚をTとしたときに、形成体51の面取高さYは、Y≦0.2Tの関係を満たしているのが好ましく、特にT≦1mmの薄肉レンズの場合には、Y≦0.1Tであるのが好ましい。
なお、面取角度が45度の場合にはX2とYは等しくなる。
一方、熱間成形によると、前述したように、成形素材50の容積を一定に維持することが困難であるものの、表面にキズや汚れなどの欠陥のない成形素材50を得ることができる上、生産効率が非常に高く有利である。
したがって、成形素材50の容積にばらつきがあっても、均一なガラスレンズ51aを製造することができる本実施形態は、熱間成形により成形素材50が作製される場合に好適である。
このとき、流出パイプ80は、周囲に設けられたヒータ81によって適切に温度制御され、流出パイプ80から一定の流量で滴下するよう、溶融ガラス50aの粘度の調節を行う。
このようにして、ほぼ球形に予備成形された成形素材50は、浮上状態のまま、又は軟化点以下の温度で浮上状態を解除して、室温まで冷却される。
なお、本発明において、成形素材50の外径は1〜5mmであり、最終的に得ようとするガラスレンズ51aのレンズ径は1〜5mmである。
14 成形面
15 面取部
20 下型
24 成形面
25 面取部
30 胴型
34 内周面
50 成形素材
51 成形体
51a ガラスレンズ
52 上型被転写面(第一面)
52a 光学機能面
52b 平坦面
52c 上型側角部
52d 面取部
53 下型被転写面(第二面)
53a 光学機能面
53b 平坦面
53c 下型側角部
53d 面取部
70 砥石
71 凹部
C1 プレス軸
C2 光軸
X1 成形型の面取幅
X2 成形体の面取幅
Claims (6)
- 互いに対向する成形面を有する上型及び下型と、前記上型と前記下型との間に形成される成形空間を包囲する胴型とを備えた成形型の内部に成形素材を配置して、加熱により軟化した前記成形素材をプレス成形するにあたり、
前記成形型に対して、少なくとも前記上型と前記下型の一方に、成形面の外周角部に面取加工を施して面取部を形成しておくことにより、前記成形素材の余剰部を前記面取部に接するように逃がしつつ、
前記上型の成形面、前記下型の成形面、及び前記胴型の内周面を、それぞれ転写してなる上型被転写面、下型被転写面、及び胴型被転写面を有し、かつ、外径が1〜5mmの成形体を成形し、
次いで、前記成形体に対して、前記上型被転写面と前記胴型被転写面の境界に位置する上型側角部、及び前記下型被転写面と前記胴型被転写面の境界に位置する下型側角部を、それぞれ除去する面取加工を施すとともに、
前記成形体に対して施す面取加工において、光軸と垂直な面に投影した面取幅をX2とし、前記成形型に対して施す面取加工において、プレス軸と垂直な面に投影した面取幅をX1としたときに、X2≧X1の関係を満たすことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記成形体に対して施す面取加工は、前記成形体の前記上型側角部及び下型側角部を同時に除去するものであることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
- 光軸を中心に前記成形体を回転させつつ、前記上型側角部、及び前記下型側角部のそれぞれに接する開口幅の凹部を有する砥石を、前記光軸に直交する方向から前記成形体に接近させ、前記凹部に、前記上型側角部、及び前記下型側角部の両方を同時に接触させることによって、前記成形体に対して面取加工を施すことを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
- 光学機能面を有する前記上型被転写面と前記下型被転写面の少なくとも一方に、
前記光学機能面の外周に位置する平坦面を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。 - 前記平坦面は、光軸に垂直であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
- 溶融ガラスを受け型に流下、又は滴下することによって予備成形した成形素材を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
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