JP2005271811A - 車体の前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の前方衝突時において、ストッパ部42aは、分岐フレーム44とフロアフレーム3とにより強固に連結されているため、衝突荷重を分岐フレーム44とフロアフレーム3とに分散して伝達させることができ、これにより衝突エネルギーの分散吸収が可能となり、サイドフレーム14の後退、つまりフロントサブフレーム17の後退を確実に抑制することで車体前部の損壊を極力抑制可能となる。
【選択図】 図1
Description
また、この特許文献1には、フロントサブフレームの後端に設けられる後端支持部を、車室の前部付近における下方側のメンバに支持させるとともに、この後端支持部が支持される部分より後方側にストッパ部(特許文献1の図12において図示されるストッパー17に相当)を設けることが記載されている。
このような構成により、例えば、車両と、車両の車体フレーム前端部の高さよりも低い障害物との前方衝突であって、車幅方向から見て、衝撃荷重を略直線的に車体フレームで受けることができない場合でも、フロントサブフレームにより、こうした衝突荷重を車幅方向から見て略直線的に受け止めることが可能となる。また、特許文献1によれば、ストッパ部により、上述のような前方衝突時において、フロントサブフレームの後端部を支持する連結部材が、後方側へ変位されるのを抑制している。
そこで、上述の特許文献1ように、フロントサブフレームの後端支持部が支持される部分の後方側にストッパ部を設け、フロントサブフレームの後退を抑制することが考えられるが、単にストッパ部を設けただけでは、フロントサブフレームの後退を大幅に抑制することは困難である。
車室の床面形成のため、該車室の下方側周辺に形成されるフロアパネルとから成るとともに、該フロアパネルには、該フロアパネルの前部近傍において、該フロントサブフレームの後端部付近に設けられた左右の後端支持部と締結される左右一対の取付部と、該取付部より後方側で、該フロアパネルより下方側に突出するストッパ部とが形成された車体の前部構造において、上記フロアパネルには、上記車体フレームの一部であって車両前後方向に延設されるフロアフレームと、該フロアフレームの前方部に位置する分岐部から車両内方側に分岐して、後方側に延設される分岐フレームとが、それぞれ延設方向に亘って下方側に突出するよう形成されており、上記取付部は、該分岐部あるいはその近傍において、該取付部の下面の高さが該取付部近傍の該フロアフレームの下面の高さよりも高くなるよう形成され、上記ストッパ部は、該分岐部あるいはその近傍で、該フロアフレームに隣接して形成されることを特徴とする。
このような構成によって、車両と、車両の車体フレーム前端部の高さよりも低い障害物とが前方衝突した場合、これに起因する大きな衝突荷重は、フロントサブフレームを介して、フロントサブフレームの後端支持部を支持する取付部に伝達することになり、ストッパ部は、こうした衝突荷重を受けることになる。その際、本発明においては、ストッパ部は、それぞれ車両前後方向に延設された分岐フレームとフロアフレームとが分岐される分岐部あるいはその近傍で、フロアフレームに隣接して形成されているため、ストッパ部は、衝突荷重を確実に受け止めて、受け止めた衝突荷重を分岐フレームとフロアフレームとに確実に分散化できる。これにより、衝突による衝撃エネルギーの吸収性を向上させつつ、フロントサブフレームの後退を確実に抑制できる。
また、車両と、車両の車体フレーム前端部と略同じ高さかそれより高い障害物とが前方衝突した時には、これに起因して発生する大きな衝突荷重が、車体フレームの前方部を介してフロアフレームまで伝達されることになる。その際、フロアフレームにはストッパ部が隣接するよう形成されており、フロアフレームの剛性を高めているため、この伝達された衝突荷重に対するフロアフレームの衝撃エネルギーの吸収性を向上できる。
また、取付部の高さは、フロアフレームの高さよりも高くしているため、走行中、隆起した路面に取付部周辺が接触するような場合でも、路面が取付部に直接接触して、取付部が破損し、フロントサブフレームの車体フレームへの支持を悪化させるといった頻度を大幅に減少できる。従って、取付部が破損した状態で前方衝突することを極力避けることができるため、衝撃エネルギーの吸収性向上とフロントサブフレームの確実な後退抑制とが可能となる。
このような構成により、フロントサブフレームの後端支持部を成すラバーブッシュの上端部と下端部とを、ストッパ部にて連結支持させるため、フロントサブフレームを介して伝達される衝突荷重を、確実にストッパ部に伝達でき、衝撃エネルギーの吸収性向上とフロントサブフレームの確実な後退抑制とが可能となる。
このような構成によって、上記の請求項2のような構成においては、ストッパ部に延設支持部が固定されることになるが、ストッパ部の下面の高さをフロアフレームの下面よりも高くできるため、走行中、隆起した路面にストッパ部周辺が接触するような場合でも、路面がストッパ部に直接接触して、ストッパ部が破損する頻度を大幅に減少可能となる。
よって、ストッパ部によるフロントサブフレームの後端支持部への連結支持剛性が悪化した状態で前方衝突する可能性を、極力低減できるため、衝撃エネルギーの吸収性向上とフロントサブフレームの確実な後退抑制とが可能となる。
このような構成により、取付部に伝達された衝突荷重を、補強フレームを介して一方側の取付部に伝達でき、より確実に衝撃エネルギーの吸収性を向上できる。
このような構成により、取付部に伝達された衝突荷重を、サイドシルに伝達でき、より確実に衝撃エネルギーの吸収性を向上できる。
このような構成によって、車両と、車両の車体フレーム前端部の高さよりも低い障害物とが前方衝突した場合、これに起因する大きな衝突荷重は、フロントサブフレームを介して、フロントサブフレームの後端支持部を支持する取付部に伝達することになり、ストッパ部は、こうした衝突荷重を受けることになる。その際、本発明においては、ストッパ部は、それぞれ車両前後方向に延設された分岐フレームとフロアフレームとが分岐される分岐部あるいはその近傍で、フロアフレームに隣接して形成されているため、ストッパ部は、衝突荷重を確実に受け止めて、受け止めた衝突荷重を分岐フレームとフロアフレームとに確実に分散化できる。これにより、衝突による衝撃エネルギーの吸収性を向上させつつ、フロントサブフレームの後退を確実に抑制できる。
また、車両と、車両の車体フレーム前端部と略同じ高さかそれより高い障害物とが前方衝突した時には、これに起因して発生する大きな衝突荷重が、車体フレームの前方部を介してフロアフレームまで伝達されることになる。その際、フロアフレームにはストッパ部が隣接するよう形成されており、フロアフレームの剛性を高めているため、この伝達された衝突荷重に対するフロアフレームによる衝撃エネルギーの吸収性を向上できる。
また、車両と、車両の車体フレーム前端部と略同じ高さかそれより高い障害物とが前方衝突した時には、これに起因して発生する大きな衝突荷重が、車体フレームの前方部を介してフロアフレームまで伝達されることになる。その際、フロアフレームに隣接配置されたストッパ部により、伝達された衝突荷重に対するフロアフレームによる衝撃エネルギーの吸収性も向上できる。
図1及図2に示すように、車体フレーム1は、車両前後方向に延設される左右一対のフロントサイドフレーム2,2と、フロントサイドフレーム2,2の後方でフロントサイドフレーム2,2に接続されるフロアフレーム3,3が配置されている。尚、フロントサイドフレーム2,2の後方側の部分は、後方且つ下方に向けて傾斜したキックアップ部4,4が形成されており、これによりフロントサイドフレーム2,2の前端部は、フロアフレーム3に対してある程度高い位置に設置されることになる。
フロントサイドフレーム2,2の中間部近傍には、車両外方側に隣接して、図示しない前輪を格納するホイールハウジング5,5が形成され、その中心付近には前輪を支持する緩衝装置を格納するためのサスペンションタワー6,6が上方に倒立するよう形成されている。
フロアフレーム3,3を上方から覆うようにフロアパネル8が設けられており、フロアパネル8の前端部付近は、前方に位置するに従って上方側に向うよう延設され、その前端部には、鉛直方向且つ上方に延設して、エンジンルーム8と車室9とを区分するダッシュパネル10が形成されている。また、フロアパネル8の車幅方向中心部は、上方側に隆起してトンネル部11を形成しており、トンネル部11には、図示しないエンジンの排気管や、所謂FRタイプの車両であればドライブシャフト等が格納されることになる。
フロアパネル8の車幅方向端部付近には、車幅方向が閉断面矩形状のサイドシル12,12が形成されており、フロアフレーム3,3の前端部とサイドシル12,12とは、フロアパネル8から下方側に隆起する接続フレーム13,13により接続されており、これにより車両前方からの衝突荷重がフロアフレーム3,3から一部分岐してサイドシル12,12にも入力可能となる。
各サイドフレーム14,14の前端部には、前端支持部18,18が形成され、後端部には、後端支持部19,19が形成されるとともに、後側クロスメンバ16よりも若干前方の中間部には、サイドフレーム14,14の上面から上方に向けて延設される縦メンバ20,20を介してその先端に中間支持部21,21が形成されており、これらの支持部は、それぞれ直ぐ上方のフロントサイドフレーム2,2の下面にて対応する位置に、ラバーブッシュを介して支持されている。これにより、フロントサブフレーム17は、計6ヶ所にて、フロントサイドフレーム2,2に支持されることになる。
この屈曲促進部24,24は、前方部25,25と、後方部26,26とから構成されており、前方部25,25は、後方且つ下方に向けて傾斜するよう形成され、後方部26,26は、これに対して後方に向って略水平に形成されている。
尚、本発明においては、前方部25,25の水平に対する傾斜角に対して、後方部26,26の水平に対する傾斜角小さければよく、例えば、後方部26,26の傾斜角がマイナスの値、つまり後方且つ上方に向けて傾斜していても構わない。
尚、本発明においては、前方部25,25の前後方向における上下方向の曲げに対する強度が、後方部26,26の当該曲げに対する強度より小さくなるように、前方部25,25の上側パネル25a及び下側パネル25bの少なくとも一方の材質を、後方部26,26の上側パネル26a及び下側パネル26bの少なくとも一方の材質よりも軟性の材料で成形してもよい。
具体的には、図3に示すように、サイドフレーム14,14の後方部後側部位26d,26dの車両外方側に、フロント側ロアアーム支持部27が形成され、縦メンバ20,20より後方側のサイドフレーム14,14の車両外方側に、リア側ロアアーム支持部28が形成されている。フロント側ロアアーム支持部27とリア側ロアアーム支持部28には、それぞれ車両外方側に向けて、フロント側ロアアーム29、リア側ロアアーム30が揺動可能に接続されており、これらフロント側ロアアーム29及びリア側ロアアーム30の各外方側端部は、前輪を直接支持するホイールサポート(図示せず)に揺動可能に接続されている。更に、図示しないが、フロントサイドフレーム2,2に接続されるアッパーアームもホイールサポートに接続されており、これらの構成により、サスペンション機構を成している。
尚、本発明では、フロント側ロアアーム29とリア側ロアアーム30とは別体として説明したが、ロアアームを所謂A型ロアアームとし、フロント側ロアアーム29とリア側ロアアーム30とが車両外方側で固定されたものであってもよい。
以上のようなフロントサブフレーム17の構成により、以下のような作用及び効果を奏す。
先ずは、車両が、高さの低い障害物と前方衝突等した場合、障害物から受けた衝突荷重は、レインフォースメント23及びクラッシュ管22,22に入力され、これらが前後方向に圧縮されながら縮合されることで(図2の一点破線参照)、衝撃エネルギーが吸収され衝撃荷重がある程度低減されることになる。また、レインフォースメント23は車幅方向に延設されているために、障害物が左右のクラッシュ管22,22の中間部分のみ衝突した場合も、衝撃荷重をクラッシュ管22,22に伝達でき、これにより衝撃荷重の低減が可能である。
従って、サイドフレーム14,14の前端から入力された衝突荷重により、サイドフレーム14,14の前端部は、高さを大幅下げることなく略同じ高さに維持しながら後方へ変位する。一方、サイドフレーム14,14の中間支持部21,21は、サイドフレーム14,14と縦メンバ20,20を介して強固に接続されている。従って、屈曲促進部24,24の前方部25,25と後方部26,26との接続部分を中心としてモーメントが働き、前方部25,25と後方部26,26とは、この接続部分を略中心として、前方部25の前端部が上方を向いて全体的に下方側に変位するように屈曲する。
この場合、上述のように衝突荷重がある程度クラッシュ管22,22とレインフォースメント23とによって低減されてサイドフレーム14,14に入力されるため、フロントサイドフレーム2,2による高い剛性による衝撃エネルギー吸収性を発揮し易いように、フロントサイドフレーム2,2に衝突荷重の一部を伝達でき、衝撃エネルギーの吸収性を全体的に向上できる。
これにより、屈曲促進部24,24が屈曲される際に前方部25,25の損壊が抑制できるため、確実に下方に屈曲させることができる。
以上により、車両前方部での衝撃エネルギー吸収性を確実に向上できる。
次に、サイドフレーム14,14の前端支持部18,18について、図4及び図5を参照して説明する。
図4に示すように、クラッシュ管22の後端部のフランジ部22aには、クラッシュ管後端壁31がクラッシュ管22の後端開口部を覆うように固定されている。
また、サイドフレーム14の前端部においては、前方部25の上側パネル25aと下側パネル25bとが重ね合わされて、後述するようなフランジ結合により成形されており、この場合、上側パネル25aの板厚は、下側パネル25bの板厚よりも厚いものが使用されている。
この上側パネル25aの前端部における車幅方向の中間部分は、クラッシュ管後端壁31に溶接にて固定されている。また、下側パネル25bの前端部は、前方に向かうに従って車幅方向における中間部分が上方に向かって凸状に隆起するよう形成されており、この前端部はこのように隆起した状態で、クラッシュ管後端壁31に対し溶接にて固定されている。
また、車両外方側において、下側パネル25bの上述の車幅方向中間部における隆起した部分の車幅方向端部は、下方を指向するよう延設される上側パネル25aに沿うように、サイドフレーム14の略下面の高さに至るまで下方を指向して延設されている。このとき、下側パネル25bは、上側パネル25aに重なる。下側パネル25bは、サイドフレーム14の略下面の高さ付近では、サイドフレーム14の車幅方向外方側に向けて略水平に延設されている。このように、サイドフレーム14の前端部の車両外方側では、互いに重なった上側パネル25aと下側パネル25bとが接合されることで、車両前後方向に亘って車両外方側に延設された略平坦なフランジ部32が形成される。
また、同様に、下側パネル25bに関しても、サイドフレーム14の前端部の車両内方側において、下側パネル25bの隆起した部分の車幅方向端部は、下方を指向して延設される緩やかな傾斜の上側パネル25aに沿うように、サイドフレーム14の略下面の高さに至るまで下方を指向して延設されている。そして、下側パネル25bは、上側パネル25aに重なるようにして下方に延設され、サイドフレーム14の略下面の高さ付近で、サイドフレーム14の車幅方向内方側に向けて略水平に延設されている。こうして、車両内方側でも、互いに重なった上側パネル25aと下側パネル25bとが接合されることで、車両前後方向に亘って車両内方側に延設された略平坦なフランジ部33が形成される。
尚、上側パネル25aと下側パネル25bとは、フランジ部32、及びフランジ部33において、それぞれのパネル同士が溶接により接合されている。(フランジ結合)
また、内方側においては、サイドフレーム14の上面近傍及びフランジ部33に、それぞれ前側クロスメンバ15端部の上面及び下面が接合されている。
このような構成により、車幅方向断面において、上側パネル25aの上方側部分と、下側パネル25bの上面とにより囲まれる略四角形の閉断面Oと、この閉断面Oの車幅方向の両端部から下方側に向けてクラッシュ管22の下面の高さ近傍まで延設される、上側パネル25aの下方側部分と下側パネル25bの側壁とが重なった下方側壁面P1,P2とが形成されることになる。(図5参照)
これによると、フランジ部32及びフランジ部33の高さとクラッシュ管22後端部の下面の高さとは略同じ高さとなるようこれらは近接して位置している。
また、サイドフレーム14より車両外方側で上側パネル25aが下方に延設されて形成されるサイドフレーム14の外方側側壁は、車両前後方向から見て、クラッシュ管22の車両外方側側壁と略重なるよう位置して、クラッシュ管後端壁31に接合されている。
更に、サイドフレーム14より車両内方側で上側パネルが下方に緩やか延設されることで形成されるサイドフレーム14の内方側側壁は、車両前後方向から見て、これより前方側に向かうに連れて、サイドフレーム14の車幅方向断面形状が四角形に近づくように傾きが大きくなり、クラッシュ管22の車両内方側側壁と略重なるよう位置した状態で、クラッシュ管後端壁31に接合されている。
円筒状のラバー38は、外筒部36と内筒部37とにより囲まれる空間内に嵌挿されている。このラバー38は、上方側で、上述の内筒部37の上端外周縁部37aと外筒部36の上端外周縁部36aとにより囲まれる空間において、外周側に延設されるラバー38の上端外周縁部38aが嵌挿されるように延設されている。
一方、ラバー38の下端側は、サイドフレーム14の上面の高さと窪み部34の高さとの略中間位置に、位置するよう構成される。
以上のような前端支持部18の構造により、次のような作用及び効果を奏す。
つまり、通常、車両には燃費を向上する目的で軽量化が求められているが、これは位置部品のラバーブッシュ35も例外ではない。
また、本実施形態においては、サイドフレーム14は、前方側からの衝突荷重に抗するようにしっかりと固定させる必要はある。しかし、サイドフレーム14自体は、中間支持部21と、後端支持部19とによりラバーブッシュ35を介して強固に固定されており、サイドフレーム14の前端支持部18を介してフロントサイドフレーム2に入力される振動や荷重などの影響は少ない。また、サイドフレーム14前端部には、軽量のクラッシュ管22等が設けられるだけで、この部分は比較的軽量である。これらのことから、前端支持部18によるフロントサイドフレーム2へのサイドフレーム14の支持は大掛りにする必要がない。そこで、本実施形態においては、ラバーブッシュ35への更なる軽量化を図っている。
ラバーブッシュ35の軽量化には、小型化、つまり、振動低減等を考慮してラバーブッシュ35、つまり外筒部36と内筒部37とラバー38をそれぞれ上下方向に短くすればよい。更に、外筒部36と内筒部37とラバー38とを短くした上で、更にラバー38だけの長さも短くすることで、より軽量化が可能となる。
これに対し、本実施形態では、サイドフレーム14の前端部及びその近傍には、車幅方向断面において、ラバーブッシュ35が設置される略四角形の閉断面Oと、この閉断面の車幅方向両端部から、衝撃吸収部材の下面が位置する高さ付近まで延設される下方側壁面P1,P2とを形成するとともに、これらを車両前後方向に亘って延設させた。具体的には、ラバーブッシュ35の下方側において、下側パネル25bを隆起されて窪み部34を形成した。これにより、補強部材を別途設けることなく簡単に、ラバーブッシュ35の短縮化が可能となる。しかも、略四角形の閉断面Oと、下方側壁面P1,P2とにより、ラバーブッシュ35を短くするための窪み部34が形成されることで生じるサイドフレーム14の前端部及びその近傍の剛性低下を抑制することができ、これによりクラッシュ管22の支持剛性を向上でき、クラッシュ管22による衝撃エネルギーの吸収性を高めることが可能となる。
また、前端支持部18による車体フレームへの支持剛性も向上するため、車両の衝突時に、衝突荷重をフロントサイドフレーム2,2に積極的に伝達して、上述の屈曲促進部24等を利用したフロントサブフレーム17による衝突荷重の更なる低減が可能となる。
特に、本実施形態では、上側パネル25aは、下側パネル25bと側壁面の下方部で重なった状態で、サイドフレーム14の下面まで延設され、それから車幅方向に向かって、上側パネル25aと下側パネル25bとが重なったフランジ部32,33が形成されるため、より高い剛性の維持が可能となる。
また、窪み部34により、ナット41をボルト39に締結させる作業も比較的大きな窪み部34により行なえるため、締結作業性の向上も可能となる。
尚、本発明においては、必ずしも、上側パネル25aの板厚を厚くする必要はなく、上側パネル25aと下側パネル25bの板厚が略同じか、あるいは下側パネル25bの板厚の方を厚くしても構わない。
次に、サイドフレーム14,14の後端部の取り付け構造周辺について説明する。
図1に示すように、フロアフレーム3,3の前端部における車両内方側のフロアパネル8には、フロアフレーム3,3に隣接して、取付部42,42が形成されており、サイドフレーム14,14の後端支持部19,19は、ラバーブッシュ43,43を介して、この取付部42,42に連結支持される。
尚、取付部42,42の下面は(但し、路面側が下)、後端支持部19,19付近において、後方程下方に傾斜するフロアフレーム3,3の下面よりも高くなるよう形成されている。(図6及び図7参照)
分岐フレーム44,44の後方部分の車幅方向の両端は、分岐フレーム44,44の下面より一段高いフロアパネル8が位置している。
このストッパ部42a,42aも、フロアフレーム3,3の車両内方側に隣接しているが、ストッパ部42a,42aの全部、あるいは少なくとも後方部を含む大部分の下面は、後方程下方に傾斜するフロアフレーム3,3の下面よりも高くなるよう形成されている。(図7及び図8参照)
図6示すように、後端支持部19付近において、フロアパネル8には、車両前後方向から見て断面が矩形状で上方が開口した凹状のフロアフレームパネル3aが、接合されており、その上下方向の中間部分には、前後方向に亘ってフロアフレームパネル3aの側面を連結するレインフォースメント3bが設けられている。また、フロアフレームパネル3aの下面を覆うように、接続フレーム13を形成する断面が矩形状で上方が開口した凹状の接続フレームパネル13aが、フロアフレーム3の下面に接合されており、これによりフロアフレーム3の補強と、フロアフレーム3と接続フレーム13との連結が図られている。尚、フロアフレーム3は、この後端支持部19付近においては、後方側に向かうほど下方に向けて傾斜していており、この図によると、接続フレーム13の下面の方がフロアフレーム3の下面よりも低く位置している。
また、ダッシュクロス端部パネル45aの車両内方側には、車両の中心部にかけては、ダッシュクロスメンバ45を形成するダッシュクロスメンバパネル45bがフロアパネル8に接合されている。このとき、このダッシュクロスメンバパネル45bの車両外方側の端部の下面に、ダッシュクロス端部パネル45aの内方側端部及び取付部パネル42bの内方側端部とが重なり合うように接合固定されており、これにより、取付部42及びダッシュクロスメンバ45の端部の補強が成されている。
カバー部46を貫通したボルト49には、ナット50が締結されており、これによりカバー部46と取付部パネル42bとの間にラバーブッシュ43が、上部ラバー43cと下部ラバー43dとを介して挟み込まれ、よってサイドフレーム14の後端部は取付部42に対して振動低減可能に固定されている。
フロアパネル8の傾斜している部分には、ダッシュクロス端部パネル45aが接合されており、ダッシュクロス端部パネル45aの後方側には、ダッシュクロス端部延長部45cが延設され、ダッシュクロスメンバ45の端部の補強が成されている。
このように取付部42とストッパ部42aとを、取付部パネル42bにより形成することで、これらの連結剛性を高めている。
このように、後端支持部19、つまりラバーブッシュ43の上部は、後方に向かうに連れ下方に延設される、連続した取付部パネル42bによりストッパ部42aに連結され、ラバーブッシュ43の下部は、後方に向かうに連れ上方に延設される、連続したカバー部46によりストッパ部42aに連結されるため、サイドフレーム14後端部と、ストッパ部42aとの連結剛性を強化できる。
これによると、フロアフレーム3は、フロアフレームパネル3aとレインフォースメント3bとで形成され、接続フレーム13は、接続フレーム13aにより形成されている点は、図6と略同じである。
フロアフレームパネル3aの車両内方側側面の下方部で、フロアフレームパネル3の下面より若干上方側に、ストッパ部42aを形成する取付部パネル42bの車両外方側端部が、フロアフレーム3の下面の車幅方向における略半分を覆うように接合されている。
また、フロアフレーム3より、車幅方向で車両内方側に所定距離離間したフロアパネル8には、取付部42から後方に延設される分岐フレーム44を形成する分岐フレームパネル44aが固定されている。
上述のストッパ部42aを形成する取付部パネル42bにおいて、その車幅方向の車両内方側端部は、この分岐フレームパネル44aの下面を覆うように接合されている。
このような構成により、フロアフレーム3及び分岐フレーム44の双方に対し、ストッパ部42aは、高い剛性で連結されることになる。
以上のような構成により、ストッパ部42aは、サイドフレーム14の後端支持部19に直ぐ後方側に配置されるので、車両の前方衝突時において、サイドフレーム14に対し前方から後方にかけて大きな衝突荷重が作用して、後端支持部19から取付部42に後方側を指向した衝突荷重が伝達されると、この衝突荷重は、更にストッパ部42aに伝達されることになる。この時、ストッパ部42aは、分岐部44aの近傍で、フロアフレーム3に隣接して配置されているため、衝突荷重を分岐フレーム44とフロアフレーム3とに分散して伝達させることができ、これにより衝突エネルギーの分散吸収が可能となり、サイドフレーム14の後退、つまりフロントサブフレーム17の後退を確実に抑制することで車体前部の損壊を極力抑制可能となる。
また、衝突荷重が大きく、前方衝突によりサイドフレーム14が実際に後退して後端支持部19がストッパ部42aに当接した場合でも、フロントサブフレーム17の更なる後退を抑制して、車体前部の損壊を抑制可能となる。
また、取付部42の高さは、フロアフレーム3の高さよりも高くしているため、走行中、隆起した路面に取付部周辺が接触するような場合でも、路面が取付部42に直接接触して、取付部42が破損し、フロントサブフレーム17の車体フレーム1への支持を悪化させるといった頻度を大幅に減少できる。従って、取付部42が破損した状態で前方衝突することを極力避けることができるため、衝撃エネルギーの吸収性向上とフロントサブフレーム17の大幅な後退抑制とが可能となる。
また、フロアフレーム3よりも若干高い位置に配置されたストッパ部42aにより、カバー部46を介して、後端支持部19の下方を支持するため、後端支持部19の下方の支持構造が、フロアフレーム3よりも大きく下方に配設されて、車体の下面と路面との距離が短くなるのを阻止できる。よって、走行中、隆起した路面にストッパ部42a周辺が接触するような場合でも、路面がストッパ部42aに直接接触して、ストッパ部42aが破損する頻度を大幅に減少可能となり、ストッパ部42aによるフロントサブフレーム17の後端支持部19への連結支持剛性が悪化した状態で前方衝突する可能性を、極力低減できる。
また、フロアフレーム3の取付部42より車両外方側で、且つ後方側には、フロアフレーム3に隣接して接続フレーム13が形成されているため、車両の前方衝突時にサイドフレーム14に作用する衝突荷重を、接続フレーム13、及びこれを介してサイドシル12にも伝達でき、これにより、更なる衝突エネルギーの分散吸収性向上が可能となる。
尚、本実施形態においは、分岐部44aは、取付部42を含んでおり、分岐部44aの後端にストッパ部42aを隣接させたが、本発明はこれに限らない。例えば、分岐部44a、取付部42、ストッパ部42aとをそれぞれ独立させて、フロアパネル8から下方側に突出させるとともに、取付部42の後方に、ストッパ部42aを含む分岐部44aを近接配置したり、あるいは、取付部42、ストッパ部42a、分岐部44aの順でこれらを近接配置させてもよい。但し、この場合であっても、ストッパ部は、フロアフレーム3に隣接するよう配置される。
2:フロントサイドフレーム
14:サイドフレーム
17:フロントサブフレーム
18:前端支持部
19:後端支持部
21:中間支持部
22:クラッシュ管(衝撃吸収部材)
23:レインフォースメント
24:屈曲促進部
25:前方部
25a:上側パネル
25b:下側パネル
26:後方部
26a:前方部前側部位(幅縮小部)
26b:前方部後側部位(幅拡大部)
27:フロント側ロアアーム支持部
28:リア側ロアアーム支持部
32,33:フランジ部
34:窪み部
35:ラバーブッシュ
42:取付部
42a:ストッパ部(突出部)
43:ラバーブッシュ
44:分岐フレーム
44a:分岐部
45:ダッシュクロスメンバ
46:カバー部(延設支持部)
O:閉断面
P1:下方側壁面
P2:下方側壁面
Claims (6)
- 車体フレームの車両前方部の下方側に位置するとともに、前端部が該車体フレームの車両前方部における前端部近傍まで延設されたフロントサブフレームと、
車室の床面形成のため、該車室の下方側周辺に形成されるフロアパネルとから成るとともに、
該フロアパネルには、該フロアパネルの前部近傍において、該フロントサブフレームの後端部付近に設けられた左右の後端支持部と締結される左右一対の取付部と、
該取付部より後方側で、該フロアパネルより下方側に突出するストッパ部とが形成された車体の前部構造において、
上記フロアパネルには、上記車体フレームの一部であって車両前後方向に延設されるフロアフレームと、該フロアフレームの前方部に位置する分岐部から車両内方側に分岐して、後方側に延設される分岐フレームとが、それぞれ延設方向に亘って下方側に突出するよう形成されており、
上記取付部は、該分岐部あるいはその近傍において、該取付部の下面の高さが該取付部近傍の該フロアフレームの下面の高さよりも高くなるよう形成され、
上記ストッパ部は、該分岐部あるいはその近傍で、該フロアフレームに隣接して形成されることを特徴とする車両の前部構造。 - 上記フロントサブフレームの後端支持部は、外形が略円筒状で、且つその軸方向が略上下方向に沿うように配置される内外筒式ラバーブッシュを備えるとともに、該後端支持部は、該ラバーブッシュの上端部が、上記取付部の下面に接し、該ラバーブッシュの下端部が、上記ストッパ部から該取付部に延設される延設支持部と接するように、該取付部に締結されることを特徴とする請求項1記載の車体の前部構造。
- 上記ストッパ部は、該ストッパ部の下面の高さが、該フロアフレーム下面の高さより高く且つ該取付部の下面の高さより低くなるよう形成されることを特徴とする請求項2記載の車体の前部構造。
- 上記フロアパネルには、車両前後方向の断面において閉断面を有し、上記左右の取付部同士を連結する補強フレームが形成されることを特徴とする請求項1乃至は請求項2に至るいずれかに記載の車体の全部構造。
- 上記フロアパネルの車幅方向両端側近傍には、車両前後方向に延設されるサイドシルが形成されており、上記フロアフレームの上記分岐部及びその近傍の部分と、該サイドシルの前方部分とを接続する接続フレームが形成されることを特徴とする請求項1、あるいは請求項2、あるいは請求項4に記載の車体の前部構造。
- 車体フレームの車両前方部の下方側に位置するとともに、前端部が該車体フレームの車両前方部における前端部近傍まで延設されたフロントサブフレームと、
車室の床面形成のために、該車室の下方側周辺に形成されるフロアパネルとから成るとともに、
該フロアパネルには、該フロアパネルの前部近傍において、該フロントサブフレームの後端部付近に設けられた左右の後端支持部と締結される左右一対の取付部と、
該取付部より後方側で、該フロアパネルより下方側に突出するストッパ部とが形成された車体の前部構造において、
上記フロアパネルには、上記車体フレームの一部であって車両前後方向に延設されるフロアフレームと、該フロアフレームの前方部における分岐部から車両内方側に分岐して、後方側に延設される分岐フレームとが形成されており、
上記ストッパ部は、該分岐部あるいはその近傍で、該フロアフレームに隣接するよう形成されることを特徴とする車両の前部構造。
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