本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る表面実装機(以下、実装機と略す)の第1の実施形態を概略的に示している。同図に示すように、実装機の基台1上には、プリント基板搬送用のコンベア2が配置され、プリント基板3(PCB;Printed Circuit Board)がこのコンベア2上を搬送されて所定の実装作業位置(同図に示すプリント基板の位置)で停止されるようになっている。なお、当実施形態では、図1及び図2の右側からプリント基板3が搬入され、左側へ搬出されるようになっている。
上記コンベア2の両側には部品供給部4が配置されている。これらの部品供給部4には、例えば多数列のテープフィーダー4aがX軸方向に並べて設けられている。各テープフィーダー4aは、各々IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を所定間隔おきに収納、保持したテープがリールから導出されるように構成されており、後述するヘッドユニット6により部品が取出されるに伴い間欠的に部品を繰り出すように構成されている。
上記基台1の上方には、部品装着用のヘッドユニット6が装備されている。このヘッドユニット6は、部品供給部4とプリント基板3が位置する実装作業位置とにわたって移動可能とされ、X軸方向(コンベア2の方向)及びY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動することができるようになっている。
すなわち、基台1上には、Y軸方向の固定レール7と、Y軸サーボモータ9により回転駆動されるボールねじ軸8とが配設され、上記固定レール7上にヘッドユニット支持部材11が配置されて、この支持部材11に設けられたナット部分12が上記ボールねじ軸8に螺合している。また、上記支持部材11には、X軸方向のガイド部材13と、X軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ軸14とが配設され、上記ガイド部材13にヘッドユニット6が移動可能に保持され、このヘッドユニット6に設けられたナット部分(図示省略)が上記ボールねじ軸14に螺合している。そして、Y軸サーボモータ9の作動により上記支持部材11がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ15の作動によりヘッドユニット6が支持部材11に対してX軸方向に移動するようになっている。
なお、Y軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15には、それぞれエンコーダ9a,15aが設けられており、これにより上記ヘッドユニット6の移動位置が検出されるようになっている。
上記ヘッドユニット6には、軸状に構成された複数の実装用ヘッド16が設けられており、当実施形態では、6本の実装用ヘッド16がX軸方向に等間隔で一列に並べられた状態で搭載されている。なお、以下の説明において特に各実装用ヘッド16を区別する必要がある場合には、図1及び図2の右端(基板搬入側)から順に第1実装用ヘッド、第2実装用ヘッド……第6実装用ヘッドと呼ぶことにする。
これらの実装用ヘッド16は、それぞれヘッドユニット6のフレームに対してZ軸方向の移動及びR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、サーボモータを駆動源とする昇降駆動手段および回転駆動手段により駆動されるようになっている。また、各実装用ヘッド16には、その先端(下端)に吸着ノズル16aが装着されており、図外の負圧供給手段から吸着ノズル先端に負圧が供給されることにより、この負圧による吸引力で部品を吸着するようになっている。
前記基台1上には、さらにヘッドユニット6が部品供給部4と実装作業位置との間を移動する際に、実装用ヘッド16に吸着された部品をその真下から撮像するための一対の撮像ユニット20,21が設けられている。
撮像ユニット20,21は、図1及び図3に示すようにコンベア2とその両側の部品供給部4の間の各スペースに設けられており、それぞれ、吸着部品を撮像するための一対のカメラ26a,26b(撮像手段)と照明装置27とを一体にX軸方向に移動させるように構成されている。すなわち、前記基台1上であってコンベア2と部品供給部4との間のスペースには、X軸方向に延びる互いに平行な一対の固定レール22とサーボモータ23により回転駆動されるX軸方向のボールねじ軸24とが設けられ、前記固定レール22に可動テーブル25が移動可能に装着されるとともにこの可動テーブル25に対して前記ボールねじ軸24が螺合挿着されている。そして、前記カメラ26a,26bおよび照明装置27が前記可動テーブル25に一体に搭載され、前記サーボモータ23の作動により前記カメラ26a,26b等が可動テーブル25と一体に固定レール22に沿ってX軸方向に移動するように構成されている。なお、撮像ユニット20,21のサーボモータ23には、それぞれエンコーダ23a(図4に示す)が設けられており、これにより可動テーブル25の移動位置が検出されるようになっている。
前記カメラ26a,26bは、いずれもX軸方向に撮像素子が並ぶCCDラインセンサと結像レンズ等とを内蔵したカメラであって、各CCDラインセンサの素子列がX軸方向に一列に並ぶ状態で前記可動テーブル25に固定されている。一方、照明装置27は、前記両カメラ26a,26bの全周に亘って配設される複数のLED27aを有している。これらLED27aは各カメラ26a,26bの光軸に向って斜め上方に指向する状態で可動テーブル25に固定されている。つまり、ヘッドユニット6が可動テーブル25の上方を通過すると、前記LED27aから射出される照明光が実装用ヘッド16に吸着された部品の下面で反射し、その反射光が前記カメラ26a,26bのCCDラインセンサに入射することにより、吸着部品の下面像(真下像)が撮像されるように構成されている。
なお、当実施形態では、上記実装用ヘッド16のうち第1〜第3実装用ヘッド16に吸着された部品の像が一方側のカメラ26aのCCDラインセンサ(撮像素子)に結像する一方、第4〜第6実装用ヘッド16の吸着部品の像が他方側のカメラ26bのCCDラインセンサ(撮像素子)に結像するようにカメラ26a,26bにおけるCCDラインセンサの素子数が設定されるとともにレンズ等の光学系が構成されている。
図4は、上記実装機の制御系を概略ブロック図で示している。
当実施形態の実装機は、論理演算を実行する周知のCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROMおよび装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM等から構成されるコントローラ30を有している。このコントローラ30は、その機能構成として主制御部32、軸制御部34、撮像ユニット駆動制御部35、照明制御部36、カメラ制御部38および画像処理部40を含んでいる。
主制御部32は、実装機の動作を統括的に制御するもので、予め記憶されたプログラムに従ってヘッドユニット6等を作動させるべく軸制御部34を介してサーボモータ9,15等の駆動を制御するとともに、カメラ26a,26bにより撮像される部品画像に基づいて部品の吸着状態、具体的にはノズル中心に対するX軸、Y軸方向の吸着ずれ量およびノズル中心軸(R軸)回りの吸着ずれ量の演算を行うものである。
また、実装作業時には、後述するように、図外の実装データ記憶部に記憶されている基板情報、すなわちプリント基板3の種類とこれに実装する部品の種類および実装位置等に関する情報に基づき前記カメラ26a,26bによる撮像位置(座標位置)を演算するとともに、実装用ヘッド16に吸着された部品を前記カメラ26a,26bにより撮像すべく前記撮像位置に基づいてヘッドユニット6の移動経路を演算する。
軸制御部34は、エンコーダ9a,15aからの信号によってヘッドユニット6の現在位置(X,Y)を検知しながら、Y軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15を駆動制御してヘッドユニット6を所定の位置に移動させる。なお、図示を省略しているが、軸制御部34は、実装用ヘッド16の昇降駆動手段および回転駆動手段の各サーボモータについても同様に駆動制御を行う。
撮像ユニット駆動制御部35は、エンコーダ23aからの信号によって可動テーブル25(カメラ26a,26b)の現在位置(X座標位置)を検知しながら、サーボモータ23を駆動制御して可動テーブル25を前記撮像位置に移動させる。
照明制御部36およびカメラ制御部38は、撮像ユニット20,21に搭載される照明装置27および各カメラ26a,26bを駆動制御するものである。
画像処理部40は、カメラ26a,26bから出力される画像信号に所定の処理を施すことにより部品認識に適した画像データを生成して主制御部32に出力するものである。
次に、上記コントローラ30による実装機の動作制御の一例について図6のフローチャートに従って説明する。
実装動作が開始されると、まず、コントローラ30の前記実装データ記憶部に記憶された基板情報から吸着部品情報、すなわち最初に部品供給部4から取出す対象部品の種類、対象部品が供給されるテープフィーダー4aの位置、対象部品の種類と該部品を吸着する実装用ヘッド16の位置、吸着順序等に関する情報と、対象部品のプリント基板3上の実装位置、実装順序等に関する搭載位置情報とを読出す(ステップS1)。
そして、吸着部品情報に基づき、最初の部品を吸着すべくヘッドユニット6を部品供給部4に移動させて実装用ヘッド16によりテープフィーダー4aから部品を吸着させる(ステップS2,S3)。具体的には、最初の実装用ヘッド16を対象となるテープフィーダー4aの上方に配置した後、実装用ヘッド16の下降および上昇に伴いテープ内の部品を吸着ノズル16aによって吸着させる。この際、可能な場合には複数の実装用ヘッド16により同時に複数のテープフィーダー4aから部品を吸着させる。
部品吸着後、対象部品の全てを吸着したか否かを判断し(ステップS4)、ここでNOと判断した場合にはステップS2に移行して残りの部品を実装用ヘッド16により吸着させる。
このようなステップS1〜S4での部品吸着処理中、吸着部品情報および搭載位置情報に基づき吸着部品の撮像位置、つまりカメラ26a,26b(可動テーブル25)を配置すべき座標位置を演算するとともに、ヘッドユニット6が最短距離でこの撮像位置を経由して最初の部品実装位置に至るように部品実装時のヘッドユニット6の移動経路を求める(ステップS5)。具体的には、図6に示すように、部品供給部4において最後に部品を吸着するときのヘッドユニット6の座標位置(図中の[1]ポジション)とプリント基板3上の最初に部品を実装するときのヘッドユニット6の座標位置(図中の[4]ポジション)との中間位置(X軸座標位置;[1]ポジションと[4]ポジションのX軸座標位置が同じ場合には同座標位置)を前記撮像位置として求める。また、この撮像位置に配置されるカメラ26a,26bの上方をY軸方向に通過することを条件として前記[1]ポジションから[4]ポジションへの移動距離が最短となる経路をヘッドユニット6の移動経路として求める。ここで求められるヘッドユニット6の具体的な移動経路は、同図に示すように、まず、[1]ポジションから撮像位置(カメラ26a,26bの位置)直ぐ側方の撮像開始位置(撮像位置とX軸方向において同位置であってY軸方向における撮像位置の直ぐ側方(部品供給部4側)の位置;[2]ポジション)にヘッドユニット6を直線的に移動させ、ここからヘッドユニット6を真っ直ぐY軸方向に移動させて前記撮像位置を通過させた後、通過地点(撮像完了位置、すなわち撮像位置とX軸方向において同位置であってY軸方向における撮像位置の直ぐ側方(プリント基板3側)の位置;[3]ポジション)から直線的に[4]ポジションにヘッドユニット6を移動させるものとなる。なお、ステップS4で対象部品の全てを吸着していないと判断された場合には、最後の部品を吸着するときのヘッドユニット6の座標位置が変化する場合が生じるので、その場合には撮像位置の演算をやり直す。
図5に戻って、撮像位置およびヘッドユニット6の移動経路の演算が完了した後、前記サーボモータ23を駆動制御して可動テーブル25を移動させ、これによりカメラ26a,26bを前記撮像位置に移動させる(ステップS6)。なお、このステップS6の処理は、ヘッドユニット6が前記撮像開始位置([2]ポジション)に移動完了すると同時又はそれよりも早いタイミングで前記カメラ26a,26bが前記撮像位置に配置されるように実行する。なお、前記カメラ26a,26bの前記撮像位置への移動開始タイミングをヘッドユニット6による部品吸着動作完了後とすれば、撮像位置が確定した後となるので、前記カメラ26a,26bに無駄な移動をさせる必要がないというメリットがある。
全ての実装用ヘッド16による部品の吸着が完了すると、部品供給部4からプリント基板3に向けてステップS5で求めた移動経路に従ってヘッドユニット6を移動させるとともに、この移動中、前記照明装置27を点灯させることにより、ヘッドユニット6が上記カメラ26a,26b上方を通過する間に各実装用ヘッド16に吸着された部品の撮像処理を行う(ステップS7)。すなわち、ヘッドユニット6がカメラ26a,26bを通過する際に照明装置27を点灯させることにより、照明光が吸着部品の下面で反射してその反射光がカメラ26a,26bに入射し、ヘッドユニット6の移動に伴いX軸方向一ライン分の吸着部品像がY軸方向に連続的に各カメラ26a,26bにより撮像されることとなる。この際、第1〜第3の実装用ヘッド16による吸着部品が一方側のカメラ26aによって、第4〜第6の実装用ヘッド16による吸着部品が他方側のカメラ26bによってそれぞれ撮像される。
吸着部品の撮像が完了すると、ヘッドユニット6を図6に示す[3]ポジションから最初の実装位置([4]ポジション)に移動させるとともに、その間に、各吸着部品の画像に基づいて各実装用ヘッド16による部品の吸着状態を画像認識し、吸着ノズル16aに対する部品のX軸、Y軸およびR軸回りの吸着位置誤差を求めるとともに、この誤差に基づいて補正量(ΔX,ΔY,ΔR)を演算する(ステップS8)。そして、この補正量に基づいて目標位置の再設定を行い、この再設定された目標位置に従ってヘッドユニット6を駆動制御することにより、各実装用ヘッド16に吸着された部品を順次プリント基板3上に実装する(ステップS9)。
次いで、プリント基板3に対する全ての実装処理が終了したか否かを判断し(ステップS10)、ここでNOと判断した場合には、ステップS1に移行して次の実装動作に移行し、これに対してYESと判断した場合には、コンベア2を駆動することにより実装作業位置のプリント基板3を次工程に搬出して本フローチャートを終了する。
以上のように、この実装機では、吸着部品を撮像するためのカメラ26a,26bを基台1上に移動可能に設け、遅くともヘッドユニット6が撮像開始位置に移動するタイミングで、吸着動作完了位置(図6中の[1]ポジション)と最初の部品実装位置(同図中の[4]ポジション)との中間位置にカメラ26a,26bを配置することにより、常に、同完了位置と最初の部品実装位置との間の領域で吸着部品の撮像処理が行われるように構成しているので、ヘッドユニット6による部品吸着完了位置が何処であっても効率的に吸着部品の認識処理を行うことができる。すなわち、基台上の特定位置にカメラが固定されている従来のこの種の実装機では、部品吸着完了位置とカメラ位置との関係によっては一旦部品実装位置を通り越してカメラ位置までヘッドユニットを移動させ、再度、部品実装位置までヘッドユニットを戻してから部品を実装するような場合が生じ得るが、上記の実装機によると、常に、部品吸着動作完了位置と最初の部品実装位置との間の領域で吸着部品の認識処理が行われるため、従来のように一旦部品実装位置を通り越してカメラ位置までヘッドユニットを移動させるといった無駄な動作が生じることが一切ない。
しかも、X軸方向に撮像素子が並ぶラインセンサを備えたカメラ26a,26bによって吸着部品を撮像するように構成しているので、プリント基板3の側方で部品の吸着動作が完了し、吸着動作完了位置と最初の部品実装位置とがY軸方向に隣り合わせとなっているような場合には、部品認識を極めて迅速に行うことができる。具体的には、図6に示すように、部品の吸着動作完了位置([5]ポジション)におけるヘッドユニット6のX軸座標位置と最初の部品実装位置([6]ポジション)におけるヘッドユニット6のX軸座標位置とが同じ場合には、これらの間にカメラ26a,26bを配置し、[5]ポジションから[6]ポジションへY軸方向に真っ直ぐにヘッドユニット6を移動させて吸着部品を撮像することになる。そのため、部品吸着後、吸着部品の認識処理を極めて速やかに行うことができる。
従って、上記実施形態の実装機によると、基台上の特定位置にカメラが固定されている従来のこの種の実装機に比べて効率的に吸着部品を認識することができ、その分、タクトタイムを短縮することができる。
なお、この実装機では、カメラ26a,26bによる吸着部品の撮像位置を設定するに際して、上記の通り吸着動作完了位置(図6中の[1]ポジション)と最初の部品実装位置(同図中の[4]ポジション)との中間位置を撮像位置として求めるようにしているが、例えば、
(1)ヘッドユニット6による吸着動作完了位置(X軸座標位置)をそのまま撮像位置として設定する、
(2)最初の部品実装位置(X軸座標位置)をそのまま撮像位置として設定する
ようにしてもよい。この場合、上記(1)の場合のヘッドユニット6の移動経路は、図7(a)に示すように、[1]ポジションからそのままヘッドユニット6をY軸方向に移動させてカメラ26a,26bを通過させ、その通過地点([3]ポジション)から直線的にヘッドユニット6を[4]ポジションへを移動させるものとなる。また、上記(2)の場合のヘッドユニット6の移動経路は、図7(b)に示すように、[1]ポジションから撮像位置(カメラ26a,26bの位置)の直ぐ側方の[2]ポジションへヘッドユニット6を直線的に移動させ、ここから真っ直ぐY軸方向にヘッドユニット6を移動させることによりカメラ26a,26bを通過させてそのまま[4]ポジションにヘッドユニット6を移動させるものとなる。
要は、ヘッドユニット6による部品吸着動作完了位置([1]ポジション)と最初の部品実装位置([4]ポジション)との間の領域内、すなわち図6中に符号Lを付して示す領域内で吸着部品の撮像処理が行われるように撮像位置、つまりカメラ26a,26bの配置を決定するとともに、ヘッドユニット6が最短距離でカメラ26a,26bを経由して最初の部品実装位置に至るようにヘッドユニット6の移動経路を決定すればよい。このように撮像位置等を決定することで、従来のような余分な動作を伴うことなく効率よく部品認識を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、可動テーブル25に2つのカメラ26a,26bを設け、第1〜第3の各実装用ヘッド16の吸着部品を一方側のカメラ26aで、第3〜第6の各実装用ヘッド16の吸着部品を他方側のカメラ26bで撮像するように構成しているが、勿論、各実装用ヘッド16に対応するカメラを設け、吸着部品毎に別のカメラで撮像するようにしても構わない。また、可能な場合には、全ての実装用ヘッド16による吸着部品を共通の一のカメラで撮像するように構成してもよい。要するに、複数の実装用ヘッド16による吸着部品の撮像を、ヘッドユニット6の1回のY軸方向の移動(部品認識動作)で行えるようなラインセンサの受光幅(撮像素子の数)が確保され得るように、一つあるいは複数のラインセンサを設けるようにすればよい。
さらに、上記実施形態の撮像ユニット20,21では、可動テーブル25上にカメラ26a,26bを上向きに固定し、カメラ26a,26bにより直接吸着部品を撮像するようにしているが、例えば図8に示すように、全反射ミラー29を傾斜姿勢で可動テーブル25に設けるとともに、このミラー29に映る吸着部品像を横から撮像するようにカメラ26a,26bを可動テーブル25に搭載した構成としてもよい。ここで、ミラー29の取付け角度は、ミラー29に立てた法線がカメラ26a,26bの光軸(水平)とZ軸とのなす角を2等分するような角度とする。すなわち、例えばカメラ26a,26bの構成上、上記実施形態のようにカメラ26a,26bを上向きに設けるとZ軸方向の占有スペースが大きくなるような場合には、図8に示す構成を採用することにより、カメラ26a,26bを含む可動テーブル25全体をZ軸方向にコンパクト化することが可能になるというメリットがある。なお、吸着部品を映す(反射させる)ための光学部材としては、全反射ミラー29以外に、ハーフミラーやプリズム等を用いてもよい。
次に、本発明に係る表面実装機の第2の実施形態について図9〜図15を用いて説明する。なお、第2の実施形態の実装機も基本的な構成は第1の実施形態の実装機と共通するため、共通する部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点についてのみ以下に詳細に説明することにする。
図9〜図11に示すように、第2の実施形態では、実装用ヘッド16に吸着された部品を撮像するための構成として、第1の実施形態の撮像ユニット20,21に代えてカメラユニット50およびミラー62等を有している。
カメラユニット50は、CCDラインセンサを内蔵した一対のカメラ52a,52bと照明装置51とを一体に備えており、前記支持部材11の下面に支持されてこの支持部材11に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
具体的に説明すると、支持部材11の下面にはX軸方向に延びる固定レール55とサーボモータ56により回転駆動されるX軸方向のボールねじ軸57とが設けられ、前記固定レール55にカメラユニット50が移動可能に装着されるとともにこのカメラユニット50に対して前記ボールねじ軸57が螺合挿着されている。この構成により、前記サーボモータ56が作動するとカメラユニット50が固定レール55に沿ってX軸方向に移動するように構成されている。なお、サーボモータ56は、ボールねじ軸57に対してY軸方向に並べられた状態で支持部材11に固定されており、例えばベルト伝動機構によりボールねじ軸57を駆動するように構成されている。すなわち、サーボモータ56の出力軸に駆動プーリ58aが、ボールねじ軸57にプーリ58bがそれぞれ装着され、これら両プーリ58a,58bに亘って駆動ベルト59が装着されている。
前記カメラ52a,52bは、いずれもX軸方向に撮像素子が並ぶCCDラインセンサと結像レンズ等とを内蔵したカメラであって、各CCDラインセンサの素子列がX軸方向に一列に並ぶ状態で前記カメラユニット50に斜め下向きに、詳しくは、基台1上に設けられる後記ミラー62上方をヘッドユニット6が移動する際に、同ミラー62に映った吸着部品像を撮像し得る角度(ミラー62の取付け角度は、ミラー62に立てた法線がカメラ52a,52bの光軸M1とZ軸とのなす角を2等分するような角度となるようにする)でカメラユニット50に対して斜め下向きに固定されている。
なお、この実施形態でも、ミラー62に映る吸着部品像のうち第1〜第3実装用ヘッド16に吸着された部品の像が一方側のカメラ52aのCCDラインセンサ(撮像素子)に結像する一方、第4〜第6実装用ヘッド16に吸着された部品の像が他方側のカメラ52bのCCDラインセンサ(撮像素子)に結像するように各カメラ52a,52bにおけるCCDラインセンサの素子数が設定されるとともにレンズ等の光学系が構成されている。
照明装置51は、詳しく図示していないが、両カメラ52a,52bの周囲に配設される複数のLED51aを有している。これらLED51aはカメラ52a,52bの光軸と平行に、かつ下向きに指向する状態でカメラユニット50に固定されており、ヘッドユニット6が後記ミラー62の上方を移動する際に、該ミラー62を介して実装用ヘッド16に対してその下側から照明光を照射するように構成されている。
前記基台1上であってコンベア2と部品供給部4との間のスペースには、ヘッドユニット6が部品供給部4からプリント基板3へ移動する際に、各実装用ヘッド16(吸着ノズル16a)に吸着されている部品の真下像(下面像)を映し出す(反射させる)ための一対のミラー62,62(光学部材)が設けられている。
これらのミラー62は、X軸方向に細長の矩形の全反射ミラーからなり、図11に示すように、反射面を上向きにした状態で、かつ各ミラー62の真上に各実装用ヘッド16が位置するときに前記支持部材11に支持されたカメラ52a,52b側を指向するように、装置前側から後側(図9では下側から上側)に向って先下がりの傾斜姿勢でコンベア2と部品供給部4との間の各スペースに固定的に設けられている。
各ミラー62は、少なくとも部品供給部4を包含するようにX軸方向の長さ寸法が設定されるとともに、実装用ヘッド16に吸着された部品、具体的には実装部品のうち最大サイズの部品が吸着された場合にその部品の真下像(下面像)の全体が映る(反射する)ようにY軸方向(傾斜方向)の長さ寸法が設定されている。
図12は、第2の実施形態に係る実装機の制御系を概略ブロック図で示している。
第2の実施形態のコントローラ30′も第1の実施形態のコントローラ30と同様に、主制御部32、軸制御部34、照明制御部36、カメラ制御部38および画像処理部40等をその機能構成として含んでおり、予め記憶されたプログラムに従ってヘッドユニット6等を作動させるべく、前記主制御部32により軸制御部34を介してサーボモータ9,15等の駆動を制御するとともに、カメラ52a,52bにより撮像される部品画像に基づいて部品の吸着位置誤差を演算するように構成されている。但し、以下の点で第1の実施形態のコントローラ30と構成が相違している。
まず、主制御部32は、実装作業中、実装用ヘッド16に吸着された部品を撮像するための所定の部品認識動作をカメラユニット50や上記ヘッドユニット6等に実行させるべく軸制御部34および後記カメラユニット駆動制御部42を介してサーボモータ9,15,56等を駆動制御するように構成されている。なお、詳しい部品認識動作については後に詳述することにする。
また、第1の実施形態の撮像ユニット駆動制御部35に代えてカメラユニット駆動制御部42が設けられている。カメラユニット駆動制御部42は、サーボモータ56に組込まれたエンコーダ56aからの信号によってカメラユニット50の現在位置(X座標位置)を検知しながら、サーボモータ56を駆動制御してカメラユニット50を所定の撮像位置に移動させるものである。
さらに、画像処理部40として歪み補正部44および倍率補正部45を含んだものが設けられている。歪み補正部44は、カメラ52a,52bによるミラー62上の撮像位置と図外の記憶部に記憶されている歪み成分データとに基づいて画像補正を行うものである。すなわち、前記記憶部には、ミラー62が有する画像歪み成分により当該ミラー62に映った画像が基準位置に対してどの程度ずれるかを、ミラー62の反射面を複数の部分領域に分けて測定したデータが予め記憶されており、前記歪み補正部44は、撮像位置とその位置が該当する部分領域の歪み成分データとに基づいて画像補正を行う。たとえば歪み成分の正負を逆転した歪みを吸着部品の撮像画像に付与することにより、その歪みを除去するように構成されている。また、倍率補正部45は、後述する部品認識動作に基づいて撮像された吸着部品画像に生じる倍率誤差を補正するものである。この点については後に説明する。
なお、第2の実施形態のコントローラ30′において、照明制御部36にはカメラユニット50の照明装置51が、カメラ制御部38には、同ユニット50の各カメラ52a,52bが電気的に接続されている。
ここで、第2の実施形態の実装機における部品認識の方法について詳述する。
第2の実施形態では、ミラー62に対して支持部材11をY軸方向へ移動させながらミラー62に映った各実装用ヘッド16の吸着部品像をカメラ52a,52bにより撮像する。この場合、ヘッドユニット6とカメラユニット50は、上記の通り共に支持部材11に支持されていてY軸方向へ一体的に移動するため、各カメラ52a,52b(X軸方向に撮像素子が並ぶCCDラインセンサ)によって吸着部品を撮像することは一見不可能と考えられるが、上記のようにミラー62を傾斜姿勢で基台1上に設けている結果、ミラー62に対して吸着部品をY軸方向に移動させることでカメラ52a,52bと吸着部品とを擬似的にY軸方向に相対移動させることができ、その結果、カメラ52a,52bによる吸着部品の撮像が可能となっている。
以下、その原理について図13に基づいて説明する。同図はカメラ52a,52b、実装用ヘッド16、吸着部品Cおよびミラー62の位置関係を模式的に示している。この図において、ヘッドユニット6およびカメラユニット50がミラー62に対して左側から右側に移動する場合を考える。ここで、
・移動前のカメラ52a,52bからミラー62(反射面)までの光路長 ;L1
・移動前のミラー62(反射面)から吸着部品Cまでの光路長 ;L2
・移動後のカメラ52a,52bからミラー62までの光路長 ;L1′
・移動後のミラー62(反射面)から吸着部品Cまでの光路長 ;L2′
・ミラー62の傾斜角度(反射面と水平面とのなす角度) ;θ
・ヘッドユニット6の移動距離 ;Δd
とする。また、移動前のカメラ52a,52bによる撮像位置(光軸L2の位置)はノズル中心に一致しているものとする。
この状態から吸着部品Cを一定の高さ位置に保ったままでヘッドユニット6およびカメラユニット50をミラー62に対して相対的にY軸方向に移動させると、ミラー62が傾斜している結果、カメラ52a,52bによる移動後の撮像位置(光軸L2′の位置)はノズル中心から変位量yだけY軸方向にずれることとなる。つまり、同図より
Δd・tanθ=y・tanθ+y/tan2θ
であるから、
y=((tanθ・tan2θ)/(tanθ・tan2θ+1))・Δd
だけ、カメラ22,23と吸着部品Cとが擬似的に相対移動することとなる。換言すればカメラ52a,52bと吸着部品Cのミラー像とが相対的に移動することとなる。
従って、上記のようにヘッドユニット6とカメラユニット50とを一体的にY軸方向に移動させながらも、上記のようなカメラ52a,52bと吸着部品Cとの擬似的な相対移動が生じる結果、カメラ52a,52bによる吸着部品Cの撮像が可能となる。
なお、上記のような擬似的な相対移動を利用して吸着部品Cを撮像する場合には、カメラ52a,52bと被写体(吸着部品C)との撮像距離がヘッドユニット6の移動に伴い変化する。すなわち画像倍率が変化するため、部品認識に際しては倍率補正を行う必要がある。
詳しくは、移動前後のカメラ52a,52bからミラー62(反射面)までの光路長の差をa、移動前後のミラー32から吸着部品Cまでの光路長の差をbとすると、図13より
・a=y/sin2θ
・b=y/tan2θ
であるから、移動前後の倍率のずれをeとすると、
・e=(L1′+L2′)/(L1+L2)
=(L1+L2−(y/sin2θ+y/tan2θ))/(L1+L2)
となる。
このように擬似的な相対移動を利用して吸着部品Cを撮像する場合にはカメラ52a,52bのY軸方向の移動量に応じた倍率ずれeが画像に生じることとなる。そこで、当実施形態では、このような倍率ずれeを前記主制御部32において演算し、この倍率ずれeに基づいて画像処理部40の前記倍率補正部45において画像補正(倍率補正)を行うように構成されている。
次に、上記コントローラ30′による上記実装機の動作制御についてフローチャートに基づいて説明する。なお、コントローラ30′による動作制御も、基本的なフローは第1実施形態のコントローラ30による動作制御と共通するため、以下の説明では、第1の実施形態と共通のフローチャート(図5)を使って動作制御を説明するものとし、また、第1の実施形態と共通する制御内容については説明を簡略化し、相違する制御内容についてのみ詳細に説明することにする。
図5のフローチャートにおいて実装動作が開始されると、実装データ記憶部に記憶された基板情報から吸着部品情報および搭載位置情報を読出し、前記吸着部品情報に基づき、最初の部品を吸着すべくヘッドユニット6を部品供給部4に移動させて実装用ヘッド16によりテープフィーダー4aから部品を吸着させる(ステップS1〜S3)。そして、対象部品の全てを吸着したか否かを判断し(ステップS4)、ここでNOと判断した場合にはステップS2に移行して残りの部品を実装用ヘッド16により吸着させる。
このようなステップS1〜S4での部品認識処理中、搭載位置情報に基づき吸着部品の撮像位置、つまりカメラ52a,52b(カメラユニット50)を配置すべきX軸座標位置を求めるとともに、前記支持部材11において当該撮像位置へ前記カメラユニット50を移動させる(ステップS5,S6)。具体的には、図14に示すように、部品供給部4において最後に部品を吸着するときのヘッドユニット6の座標位置(図中の[1]ポジション)に基づき、当該座標位置にあるヘッドユニット6に対してカメラ52a,52bがY軸方向に並ぶ座標位置を求め、前記サーボモータ56を駆動制御することによりその座標位置にカメラユニット50を移動させる。なお、このステップS6の処理は、ヘッドユニット6による部品吸着動作完了と同時又はそれよりも早いタイミングで前記カメラユニット50の移動が完了するように実行する。
図5に戻って、全ての実装用ヘッド16による部品の吸着が完了すると、部品供給部4からプリント基板3へヘッドユニット6を移動させるとともに、この移動中、前記照明装置51を点灯させることにより、ヘッドユニット6がミラー62上方を通過する間に各実装用ヘッド16に吸着された部品の撮像処理を行う(ステップS7)。
詳しくは、図14に示すように、前記支持部材11の作動により部品吸着動作完了位置からY軸方向にヘッドユニット6を真っ直ぐに移動させることによりミラー62上方を通過させるとともにこの間に照明装置51を点灯させる。このようにすると照明光がミラー62で反射して吸着部品の下面に照射され、さらに吸着部品の下面で反射した反射光が再度ミラー62で反射してカメラ52a,52bに入射する。その一方でヘッドユニット6の移動に伴い吸着部品とカメラ52a,52bとの間に上記のような擬似的な相対移動が生じることによりX軸方向一ライン分の吸着部品像がY軸方向に連続的に各カメラ52a,52bにより撮像されることとなる。この際、第1〜第2の実装用ヘッド16による吸着部品が一方側のカメラ52aに、第3〜第6の実装用ヘッド16による吸着部品が他方側の52bによって撮像される。
図5に戻って、ヘッドユニット6がミラー62を通過して吸着部品の撮像が完了すると、その撮像完了位置(図14中の[3′]ポジション)から最初の実装位置(図14中の[4]ポジション)にヘッドユニット6を直線的に移動させるとともに、その間に、各吸着部品の画像に基づいて各実装用ヘッド16による部品の吸着状態を画像認識し、吸着ノズル16aに対する部品のX軸、Y軸およびR軸回りの吸着位置誤差を求めるとともに、この誤差に基づいて補正量(ΔX,ΔY,ΔR)を演算する(ステップS8)。そして、この補正量に基づいて目標位置の再設定を行い、この再設定された目標位置に従ってヘッドユニット6を駆動制御することにより、各実装用ヘッド16に吸着された部品を順次プリント基板3上に実装する(ステップS9)。
次いで、プリント基板3に対する全ての実装処理が終了したか否かを判断し(ステップS10)、ここでNOと判断した場合には、ステップS1に移行して次の実装動作に移行し、これに対してYESと判断した場合には、コンベア2を駆動することにより実装作業位置のプリント基板3を次工程に搬出して本フローチャートを終了する。
以上のように、第2の実施形態の実装機では、カメラ52a,52b(カメラユニット50)を支持部材11に移動可能に設け、遅くともヘッドユニット6による部品吸着動作が完了するタイミングで、その吸着動作完了位置(図14中の[1]ポジション=撮像開始位置;[2′]ポジション)に対応する位置にカメラ52a,52bを移動させておき、部品吸着後は、ヘッドユニット6をY軸方向に移動させてミラー62上方を通過させることにより吸着部品の撮像処理を行うとともに、ミラー62通過後は、直線的にヘッドユニット6をプリント基板3上の最初の実装位置に移動させるようにしているので、第1の実施形態と同様に、部品吸着完了位置に拘わらず効率的に吸着部品の認識処理を行うことができる。すなわち、第2の実施形態においても、カメラ52a,52bによる部品認識は、ヘッドユニット6による部品の吸着動作完了位置に拘わらず、常に該完了位置と最初の実装位置との間の領域(図14中に符号Lで示す領域)で行われるので、従来のこの種の装置のような無駄な動作、つまり、一旦部品実装位置を通り越してカメラ位置までヘッドユニットを移動させて部品認識を行い、再度、部品実装位置までヘッドユニットを戻してから部品の実装を行うといった動作が生じることが一切ない。
また、第2の実施形態においても、X軸方向に撮像素子が並ぶラインセンサを備えたカメラ52a,52bを使って吸着部品を撮像するので、プリント基板3の側方で部品の吸着動作が完了し、かつ吸着動作完了位置と最初の部品実装位置とがY軸方向に隣り合わせとなっているような場合には部品の認識を極めて迅速に行うことができる。
従って、このような第2実施形態の実装機においても、第1の実施形態と遜色ないレベルで効率的に吸着を認識することができ、タクトタイムを短縮することができる。
なお、この実装機では、カメラ52a,52b(カメラユニット50)を支持部材11上で予めヘッドユニット6による部品吸着動作完了位置(図14中の[1]ポジション)に対応する位置(X軸座標位置)に移動させておき、部品吸着後、直ちにヘッドユニット6およびカメラ52a,52bをY軸方向に移動させて部品認識処理を行うようにしているが、例えば、図15に示すように、カメラ52a,52b(カメラユニット50)を支持部材11上で予め最初の部品実装位置(図15中の[4]ポジション)に対応する位置(X軸座標位置)に移動させておき、部品吸着後、ヘッドユニット6を支持部材11に沿って移動させてカメラ52a,52bに対応する位置(撮像開始位置;図15中の[2′]ポジション)に配置した後、ヘッドユニット6をY軸方向に真っ直ぐに最初の部品実装位置に移動させながらその間に部品の認識処理を行うようにしてもよい。
要は、第1の実施形態と同様に、ヘッドユニット6による部品吸着動作完了位置([1]ポジション)と最初の部品実装位置([4]ポジション)との間の領域内(図14中に符号Lを付して示す領域内)で吸着部品の撮像処理が行われるように予めカメラ52a,52bを支持部材11上で配置しておき、部品吸着後、ヘッドユニット6をカメラ52a,52bに対応する位置、すなわちカメラ52a,52bによる吸着部品の撮像が可能となる位置に移動させてから、支持部材11の移動に伴いヘッドユニット6およびカメラ52a,52bをミラー62に対して相対的にY軸方向に移動させるようにすればよい。このようにすれば、従来のような余分な動作を伴うことなく効率よく部品認識を行うことが可能となる。
また、第2の実施形態では、カメラユニット50に2つのカメラ52a,52bを設け、第1〜第3の各実装用ヘッド16の吸着部品を一方側のカメラ52aで、第3〜第6の各実装用ヘッド16の吸着部品を他方側のカメラ26bで撮像するように構成しているが、勿論、各実装用ヘッド16に対応するカメラを設け、吸着部品毎に別のカメラで撮像するようにしても構わない。また、可能な場合には、全ての実装用ヘッド16による吸着部品を共通の一のカメラで撮像するように構成してもよい。
さらに、第2の実施形態の構成において、カメラユニット50をヘッドユニット6に固定的に搭載するようにしてもよい。この構成によれば、カメラユニット50の駆動機構、すなわちサーボモータ56やボールねじ軸57等が不要となるため実装機の製造コストを抑えることができるとともに駆動系の制御負担が軽減されるというメリットがある。但し、ヘッドユニット6にカメラユニット50を搭載する構成の場合には、ヘッドユニット6が重量化することとなりヘッドユニット移動時の慣性力の影響が大きくなることから、ヘッドユニット6の移動速度を高速化する点では不利となる。従って、カメラユニット50をヘッドユニット6に搭載するか支持部材11に搭載するかは、実装機に求められるスペックや設定価格に応じて選定するようにすればよい。
また、上記の第2の実施形態では、カメラユニット50に照明装置51を設けているが、照明装置51を基台1側に設けるようにしてもよい。具体的には、ミラー62に沿ってその全域にLED51aを配置し、主制御部32により、部品撮像時のヘッドユニット6の移動経路に応じて必要なLED51aを点灯制御するように構成してもよい。この構成によるとミラー62の近傍にLED51aが配置されることで、実装用ヘッド16に吸着された部品に対してより接近した位置から照明光を照射することが可能となる。そのため、部品認識に適したより鮮明な画像を撮像することが可能になるという利点がある。
なお、第2の実施形態についてはその変形例として、図16〜図18に示すように、実装用ヘッド16に吸着された部品を映す(反射させる)ための構成として、前記ミラー62および照明装置51の代わりに光学ユニット70,71を設けた構成を採用することもできる。以下、この例(第3の実施形態とする)について説明する。
図16、図17に示すように、光学ユニット70,71は、それぞれコンベア2とその両側の部品供給部4との間のスペースに設けられており、吸着部品像を反射させるミラー76(光学部材)と、照明装置77とを一体にX軸方向に移動させるように構成されている。すなわち、前記基台1上であってコンベア2と部品供給部4との間のスペースには、X軸方向に延びる互いに平行な一対の固定レール72とサーボモータ73により回転駆動されるX軸方向のボールねじ軸74とが設けられ、前記固定レール72に可動テーブル75(保持部材)が移動可能に装着されるとともにこの可動テーブル75に対して前記ボールねじ軸74が螺合挿着されている。そして、前記ミラー76および照明装置77が前記可動テーブル75に一体に搭載され、前記サーボモータ73の作動によりミラー76等が可動テーブル75と一体に固定レール72に沿ってX軸方向に移動するように構成されている。
前記ミラー76は、X軸方向に細長の矩形の全反射ミラーからなり、図17に示すように、反射面を上向きにした状態で、かつ各ミラー76の真上に各実装用ヘッド16が位置するときに前記支持部材11に支持されたカメラ52a,52b側を指向するように、装置前側から後側(図16では下側から上側)に向ってやや先下がりの傾斜姿勢で前記可動テーブル75に搭載(保持)されている。なお、ミラー76のX軸方向のサイズは、ヘッドユニット6の全実装用ヘッド16に吸着された部品、具体的には実装部品のうち最大サイズの部品が吸着された場合にその部品の真下像(下面像)が同時に映る(反射する)ように両端の実装用ヘッド16の間隔よりも適度に長く設定されている。また、同Y軸方向のサイズは、上記の最大サイズの部品が余裕をもって映るように長さ設定されている。また、照明装置77は、詳しく図示していないが、ミラー76の全周に亘って配設される複数のLED77aを有している。これらLED77aは略真上に指向する状態で前記可動テーブル75に固定されており、ヘッドユニット6が可動テーブル75の上方にある時に、各実装用ヘッド16の吸着部品に対してその下側から照明光を照射するように構成されている。
第3の実施形態の制御系は、図18に示すように、第2の実施形態のコントローラ30′に、さらに光学ユニット駆動制御部46が設けられた構成となっている。
この光学ユニット駆動制御部46は、光学ユニット70,71の前記可動テーブル75の動作を制御するもので、前記サーボモータ73に内蔵されるエンコーダ73aからの信号によって可動テーブル75の現在位置(X座標位置)を検知しながらサーボモータ73を駆動制御することにより可動テーブル75を所定位置に移動させるものであり、実装動作中は、主制御部32からの制御信号に基づき、カメラ52a,52bによる吸着部品の撮像が可能となる位置、すなわちミラー76に吸着部品像が映る位置に可動テーブル75を移動させる。なお、このコントローラ30′において、照明制御部36には各光学ユニット70,71の照明装置77が接続されており、照明装置77の点灯制御がこの照明制御部36により行われるように構成されている。
第3の実施形態では、ヘッドユニット6による部品吸着後、カメラ52a,52bによる吸着部品の撮像が可能となるように光学ユニット70,71の可動テーブル75を移動させるようになっている。
すなわち、第2の実施形態では、遅くともヘッドユニット6による部品吸着動作が完了するタイミングで、その吸着動作完了位置(図14中の[1]ポジション)に対応する位置にカメラ52a,52bを移動させるが、第3の実施形態では、このカメラユニット50に連動して前記吸着動作完了位置にあるヘッドユニット6に対応する位置にミラー76(可動テーブル75)を移動させる。そして、部品吸着完了後は、第2の実施形態と同様に、ヘッドユニット6を最終部品の吸着位置からY軸方向に真っ直ぐに移動させてミラー76の上方を通過させることによりミラー76を介して吸着部品像を両カメラ52a,52bにより撮像するようになっている。
このように第3の実施形態では、テープフィーダー4aの配列方向全体に亘って長尺のミラー62を設ける代わりに、小型のミラー76を移動可能に設け、吸着部品の撮像が可能となるように、カメラ52a,52b(カメラユニット50)の配置に応じてミラー76(可動テーブル75)を移動させるように構成した、つまりカメラ52a,52b(カメラユニット50)にミラー76を連動させるようにしたものである。
このような第3の実施形態の構成によると、ミラー76が小型化されるため、ミラー76自体に歪みが生じ難くなり、また、雰囲気温度の上昇によるミラー76の歪みの発生も低減される。従って、ミラー76自体の歪みに起因する画像への影響を効果的に低減させることができる。また、このようにミラー76が小型化されることにより、画像歪みを補正するためのデータの収集負担、つまり前記歪み補正部44における歪み補正処理に用いる歪み成分データの収集負担も軽減されるため、ミラー76の全体(反射面全体)について歪み成分を精査することが容易になる。従って、トータル的にみるとミラー76の歪みに起因する画像への影響を低減させることが可能となり、第2の実施形態に比べて吸着部品の画像認識精度を高めることが可能になるという利点がある。
また、ミラー76を保持する可動テーブル75に照明装置77を一体に搭載した構成となっているので、吸着部品に対してより近接した位置から照明を提供することができ、部品認識に適したより鮮明な画像を得ることが可能になるという利点もある。
但し、この第3の実施形態では、コンベア2と部品供給部4との間のスペースに可動テーブル75の駆動機構、照明装置77の配線等を設ける必要があるため、同スペースにミラー62のみを配置する第2の実施形態に比べると部品供給部4とコンベア2との間隔を狭くすることが難しくなる。従って、一連の実装動作におけるヘッドユニット6のトータル的な移動距離を短縮する、要するにタクトタイムの短縮化を図るという点では第2の実施形態の方が若干有利である。
なお、第3の実施形態において、照明装置77は、第2の実施形態の場合と同様にカメラユニット50に搭載してもよいし、また基台1に固定的に設けたもの、具体的には、可動テーブル75の移動経路沿いにLEDを並べて設け、これらLEDのうち可動テーブル75の位置に対応するものを点灯させるものであっても構わない。
ところで、以上説明した第1〜第3の実施形態の実装機は、本発明に係る表面実装機(本発明に係る部品認識方法が適用される表面実装機)の最良の実施形態であって、その具体的な構成や部品認識方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。例えば、第2、第3の実施形態においては、実装用ヘッド16に吸着された部品を映す(反射させる)ための光学部材として全反射ミラー62(ミラー76)が適用されているが、勿論、これ以外のハーフミラーやプリズム等の光学部材を適用することもできる。
また、第2の実施形態に適用されている部品認識方法、つまり、カメラ52a,52bと吸着部品とを擬似的に相対移動させながら吸着部品像を撮像する方法は、表面実装機のみならず、例えば部品に対して各種試験を施す部品試験装置にも適用することが可能である。図示を省略するが、例えば、部品吸着用のヘッドを搭載した移動可能なヘッドユニットを有し、部品供給位置に載置された部品を前記ヘッドにより負圧吸着して試験装置に搬送し、この試験装置に設けられた試験用ソケットに部品を挿着して各種試験を実施する装置が知られているが、この種の部品試験装置においても、試験用ソケットへの部品の挿着に先立ち、吸着部品を画像認識して吸着ずれを補正することが行われている。従って、このような部品試験装置にについても上記のような部品認識方法を適用することができる。