本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る表面実装機(以下、実装機と略す)の第1の実施形態を概略的に示している。同図に示すように、実装機の基台1上には、プリント基板搬送用のコンベア2が配置され、プリント基板3がこのコンベア2上を搬送されて所定の実装作業位置(同図に示すプリント基板の位置)で停止されるようになっている。なお、当実施形態では、図1及び図2の右側からプリント基板3が搬入され、左側へ搬出されるようになっている。
上記コンベア2の両側には部品供給部4が配置されている。これらの部品供給部4には、例えば多数列のテープフィーダー4aが設けられている。各テープフィーダー4aは、各々IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を所定間隔おきに収納、保持したテープがリールから導出されるように構成されており、後述するヘッドユニット6により部品が取出されるに伴い間欠的に部品を繰り出すように構成されている。
上記基台1の上方には、部品装着用のヘッドユニット6が装備されている。このヘッドユニット6は、部品供給部4とプリント基板3が位置する実装作業位置とにわたって移動可能とされ、X軸方向(コンベア2の方向)及びY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動することができるようになっている。
すなわち、基台1上には、Y軸方向の固定レール7と、Y軸サーボモータ9により回転駆動されるボールねじ軸8とが配設され、上記固定レール7上にヘッドユニット支持部材11が配置されて、この支持部材11に設けられたナット部分12が上記ボールねじ軸8に螺合している。また、上記支持部材11には、X軸方向のガイド部材13と、X軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ軸14とが配設され、上記ガイド部材13にヘッドユニット6が移動可能に保持され、このヘッドユニット6に設けられたナット部分6a(図3参照)が上記ボールねじ軸14に螺合している。そして、Y軸サーボモータ9の作動により上記支持部材11がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ15の作動によりヘッドユニット6が支持部材11に対してX軸方向に移動するようになっている。
なお、Y軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15には、それぞれエンコーダ9a,15aが設けられており、これにより上記ヘッドユニット6の移動位置が検出されるようになっている。
上記ヘッドユニット6には、軸状に構成された複数の実装用ヘッド16が設けられており、当実施形態では、6本の実装用ヘッド16がX軸方向に等間隔で一列に並べられた状態で搭載されている。なお、以下の説明において特に各実装用ヘッド16を区別する必要がある場合には、図1及び図2の右端(基板搬入側)から順に第1実装用ヘッド、第2実装用ヘッド……第6実装用ヘッドと呼ぶことにする。
これらの実装用ヘッド16は、それぞれヘッドユニット6のフレームに対してZ軸方向の移動及びR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、サーボモータを駆動源とする昇降駆動手段および回転駆動手段により駆動されるようになっている。また、各実装用ヘッド16には、その先端(下端)に吸着ノズル16aが装着されており、図外の負圧供給手段から吸着ノズル先端に負圧が供給されることにより、この負圧による吸引力で部品を吸着するようになっている。
前記支持部材11には、図1〜図3に示すように吸着ノズル16aに吸着保持された部品を画像認識するためのカメラユニット20が搭載されている。
カメラユニット20は、CCDラインセンサを内蔵した一対のカメラ22,23(第1カメラ22、第2カメラ23という)と照明装置21とを一体に備えており、図2及び図3に示すように、支持部材11の下面に支持されこの支持部材11に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
具体的に説明すると、支持部材11の下面にはX軸方向に延びる固定レール25とサーボモータ26により駆動ベルト29を介して回転駆動されるX軸方向のボールねじ軸27とが設けられ、前記固定レール25にカメラユニット20が移動可能に装着されるとともにこのカメラユニット20に対して前記ボールねじ軸27が螺合挿着されている。この構成により、前記サーボモータ26が作動するとカメラユニット20が固定レール25に沿ってX軸方向に移動するようになっている。なお、サーボモータ26は、ボールねじ軸27に対してY軸方向に並べられた状態で支持部材11に固定されている。なお、図3中符号28a,28bは駆動ベルト29が装着される駆動プーリとアイドルプーリである。
前記カメラ22,23は、X軸方向に一列に並べられた状態で、それぞれ支持部材11に対して斜め下向きに、具体的には、基台1上に設けられる後記ミラー32上方をヘッドユニット6が移動する際に、同ミラー32に映った吸着部品像を撮像し得る角度でカメラユニット20に斜め下向きに固定されている。
両カメラ22,23のうち、第1カメラ22はカメラユニット20のフレームに対してその光軸回りに回転可能に支持され、サーボモータ30(図5参照)を駆動源とする回転駆動手段により回転駆動されるように構成されている。一方、第2カメラ23は前記フレームに対して固定的に支持されている。詳しくは、図4に模式的に示すように、第1カメラ22は、サーボモータ30の駆動によってCCDラインセンサの素子列22aがX軸方向と直交する方向となる第1姿勢(図中実線で示す姿勢)と同素子列22aがX軸方向と平行となる第2姿勢(図中破線で示す姿勢)とに切換え可能に構成される一方、第2カメラ23は、CCDラインセンサの素子列23aがX軸方向と平行となるように固定され、第1カメラ22が第2姿勢に切換えられた状態でちょうど両カメラ22,23のCCDラインセンサの素子列22a,23aがX軸方向に一列に並ぶように両カメラ22,23がカメラユニット20に対して設けられている。なお、この実施形態では、第1カメラ22、カメラユニット20およびサーボモータ30等により本発明の第1撮像手段が構成され、第2カメラ23およびカメラユニット20等により同第2撮像手段が構成される。
各カメラ22,23は、前記CCDラインセンサと、吸着部品像を同センサの素子に結像させるための集光レンズ等とを備えている。両カメラ22,23は、第1カメラ22を第2姿勢にセットした状態で、後記ミラー32に映る吸着部品像のうち第1〜第3実装用ヘッド16の吸着部品像が第1カメラ22のCCDラインセンサ(撮像素子)に結像する一方、第4〜第6実装用ヘッド16の吸着部品像が第2カメラ23のCCDラインセンサ(撮像素子)に結像し、かつ第1カメラ22を第1姿勢にセットした状態で、後記ミラー32に映る第1〜第6実装用ヘッド16の吸着部品(最大サイズの部品)像のY軸方向全体が第1カメラ22のCCDラインセンサ(撮像素子)に結合し得るように各カメラ22,23におけるCCDラインセンサの素子数や集光レンズの配置等が設定されている。
照明装置21は、詳しく図示していないが、両カメラ22,23の周囲に配設される複数のLED21aを有している。これらLED21aはカメラ22,23の光軸と平行に、かつ下向きに指向する状態でカメラユニット20に固定されており、ヘッドユニット6が後記ミラー32上方を移動する際に、該ミラー32を介して実装用ヘッド16に対してその下側から照明光を照射するように構成されている。
一方、前記基台1上には、さらにヘッドユニット6が部品供給部4と実装作業位置との間を移動する際に、各実装用ヘッド16(吸着ノズル16a)に吸着されている部品の真下像(下面像)を映し出す(反射させる)ための一対のミラー32,32(光学部材)が設けられている。これらのミラー32は、それぞれコンベア2と部品供給部4との間のスペースに固定的に設けられている。
これらのミラー32は、X軸方向に細長の矩形の全反射ミラーからなり、図3に示すように、各ミラー32の上方に各実装用ヘッド16が位置するときに各ミラー32がカメラ22,23を指向するように反射面を上向きにした状態で、かつ装置前側から後側(図1では下側から上側)に向って先下がりの傾斜姿勢で、詳しくは、ミラー32の法線が前記カメラ22,23の光軸M1とZ軸とのなす角を二等分するような角度でコンベア2と部品供給部4との間の各スペースに固定的に設けられている。
各ミラー32は、少なくとも部品供給部4を包含するようにX軸方向の長さ寸法が設定されるとともに、実装用ヘッド16に吸着された部品、具体的には実装部品のうち最大サイズの部品が吸着された場合にその部品の真下像(下面像)の全体が映る(反射する)ようにY軸方向(傾斜方向)の長さ寸法が設定されている。
図5は、上記実装機の制御系を概略ブロック図で示している。
当実施形態の実装機は、論理演算を実行する周知のCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROMおよび装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM等から構成されるコントローラ40を有している。このコントローラ40は、その機能構成として主制御部42、軸制御部44、カメラユニット駆動制御部45、カメラ姿勢切換制御部46、照明制御部47、カメラ制御部48および画像処理部50を含んでいる。
主制御部42は、実装機の動作を統括的に制御するもので、予め記憶されたプログラムに従ってヘッドユニット6等を作動させるべく軸制御部44を介してサーボモータ9,15等の駆動を制御するとともに、カメラ22,23により撮像される部品画像に基づいて部品の吸着状態、具体的にはノズル中心に対するX軸、Y軸方向の吸着ずれ量およびノズル中心軸(R軸)回りの吸着ずれ量の演算を行うものである。
また、実装作業中には、実装用ヘッド16に吸着された部品を撮像するための所定の部品認識動作をカメラユニット20や上記ヘッドユニット6等に実行させるべく軸制御部44、カメラユニット駆動制御部45およびカメラ姿勢切換制御部46を介してサーボモータ9,15,26,30等を駆動制御する。この際、図外の実装データ記憶部に記憶されている基板情報、すなわちプリント基板3の種類とこれに実装する部品の種類および実装位置等に関する情報に基づき、カメラユニット20に対してヘッドユニット6をX軸方向に移動させながら主に第1カメラ22により吸着部品を撮像する第1部品認識動作と、ミラー32に対して支持部材11をY軸方向へ移動させながら両カメラ22,23を使って吸着部品を撮像する第2部品認識動作とを択一的に実行すべく前記各制御部44,45,46を介してサーボモータ9,15,26,30等を駆動制御する。なお、各部品認識動作については後に詳述することにする。
軸制御部44は、エンコーダ9a,15aからの信号によってヘッドユニット6の現在位置(X,Y)を検知しながら、Y軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15を駆動制御してヘッドユニット6を所定の位置に移動させる。なお、図示を省略しているが、軸制御部44は、実装用ヘッド16の昇降駆動手段および回転駆動手段のサーボモータについても同様に駆動制御を行う。
カメラユニット駆動制御部45は、サーボモータ26に組込まれたエンコーダ26aからの信号によってカメラユニット20の現在位置(X座標位置)を検知しながら、サーボモータ26を駆動制御してカメラユニット20を所定の撮像開始位置に移動させる。
カメラ姿勢切換制御部46は、カメラユニット20の前記第1カメラ22の姿勢を切換制御するもので、サーボモータ30に組込まれるエンコータ30aからの信号によって第1カメラ22の回転角度位置を検知しながらサーボモータ30の駆動を制御することにより第1カメラ22の姿勢を切換える。
照明制御部47およびカメラ制御部48は、カメラユニット20の照明装置21および各カメラ22,23を制御するものである。
画像処理部50は、カメラ22,23から出力される画像信号に所定の処理を施すことにより部品認識に適した画像データを生成して主制御部32に出力するものである。
この画像処理部50は、歪み補正部51と倍率補正部52とを含んでいる。歪み補正部51は、カメラ22,23によるミラー32上の撮像位置と図外の記憶部に記憶されている歪み成分データとに基づいて画像補正を行うものである。すなわち、前記記憶部にはミラー32に映った画像が基準位置に対してどの程度ずれるかを、ミラー32の反射面を複数の部分領域に分けて測定したデータが予め記憶されており、前記歪み補正部51は、撮像位置とその位置が該当する部分領域の歪み成分データとに基づいて画像補正を行う。たとえば歪み成分の正負を逆転した歪みを吸着部品の撮像画像に付与することにより、その歪みを除去するように構成されている。また、倍率補正部52は、後述する第2部品認識動作に基づいて撮像された吸着部品画像を補正するものである。この点については後に詳述する。
次に、図6〜図8を参照しながら実装動作中に実行される前記第1、第2部品認識動作の動作制御について詳述することにする。
〈 第1部品認識動作 〉
第1部品認識動作は、カメラユニット20に対してヘッドユニット6をX軸方向に移動させながらミラー32に映った各実装用ヘッド16の吸着部品像を第1カメラ22により撮像する動作である。詳しくは、図6中に実線で示すように、部品吸着完了後、ヘッドユニット6を最終部品の吸着位置([1]のポジション)から、まずミラー32の上方の撮像開始位置、すなわち各実装用ヘッド16に吸着された部品がミラー32に一列に並んだ状態で映る位置([2]のポジション;必要に応じて第1の撮像開始位置という)に移動させるとともに、ヘッドユニット6が上記撮像開始位置に到達すると同時又はそれよりも早いタイミング(例えば、部品吸着動作完了と同時又はそれよりも早いタイミング)で、カメラユニット20を支持部材11におけるヘッドユニット6の部品吸着完了位置の近傍に配置する。すなわち、ヘッドユニット6が上記撮像開始位置([2]ポジション)にあるとしたときに第1、あるいは第6の実装用ヘッド16のうちプリント基板3に近い側の実装用ヘッド16の近傍であって、かつX軸方向においてプリント基板3側に若干偏った位置に第1カメラ22が位置するようにカメラユニット20を配置する。この際、第1カメラ22は第1姿勢に切換制御えておく。そして、カメラユニット20を停止させたまま照明装置21を点灯させ、この状態でヘッドユニット6をX軸方向に移動させる。このようにするとLED21aから照射された光がミラー32で反射し、さらに実装用ヘッド16に吸着された部品の下面で反射した後、再度ミラー32で反射して第1カメラ22に入射することとなり、その一方で、上記のようにカメラユニット20に対してヘッドユニット6が相対的にX軸方向(すなわち、実装用ヘッド16の並び方向)に移動することにより各吸着部品の下面像が第1カメラ22により順次撮像されることとなる。このようにして第1カメラ22を完全に通過する位置、すなわち撮像完了位置([3]のポジション)までヘッドユニット6を移動させた後、プリント基板3上の最初の実装位置([4]のポジション)に向けてヘッドユニット6を移動させる。
なお、第1部品認識動作における部品撮像開始時のヘッドユニット6の配置([2]のポジション)、カメラユニット20(カメラ22,23)の配置および部品撮像時のヘッドユニット6の移動方向は、最終部品を吸着したときのヘッドユニット6の位置([1]のポジション)と最初の部品実装位置にヘッドユニット6を配置したときの当該位置([4]のポジション)との相対的な位置関係に基づいて、ヘッドユニット6の移動量ができるだけ小さくなるように設定する。当実施形態では、前記基板情報等に基づき主制御部42において例えば次ぎのようにして部品撮像開始時のヘッドユニット6の配置等を設定する。
まず、[1]ポジションにおけるヘッドユニット6の第1,第6実装用ヘッド16の座標位置と、[4]ポジションにおけるヘッドユニット6の第1,第6実装用ヘッド16の座標位置と求め、図7(a)に模式的に示すように、[1]ポジションの第1実装用ヘッド16の座標位置と[4]ポジションの第6実装用ヘッドの座標位置とを直線で結んだ線分R1、および[1]ポジションの第6実装用ヘッド16の座標位置と[4]ポジションの第1実装用ヘッドの座標位置とを直線で結んだ線分R2の長さをそれぞれ演算する。そして、その演算結果に基づき、線分R1<線分R2となり、かつその差が所定値を超える場合(|R1−R2|>R)、すなわち同図に示すように、[1]ポジションにおいてヘッドユニット6がプリント基板3に対して基板搬出側に偏った位置にある場合には、吸着部品撮像時のヘッドユニット6の移動方向を右方向(同図において右方(白抜き矢印方向);基板出側から基板搬入側に向う方向)と設定する。
次いで、この方向(右方向)へヘッドユニット6を移動させることによって吸着部品像が順次撮像され得るように、部品撮像開始時のヘッドユニット6の配置([2]のポジション)とカメラユニット20の座標位置とを求める。具体的には、[1][4]の各ポジションにおける第1実装用ヘッド16の座標位置同士を直線で結んだ線分R0とミラー32の中心線M(Y軸方向中心を通りX軸に平行な線)との交点座標を求め、この交点座標位置に第1実装用ヘッド16が位置するときのヘッドユニット6の位置を前記[2]ポジションとして求められる。そして、支持部材11上でヘッドユニット6を[2]ポジションへ移動させたときのその先頭(右端)位置がさらに求められ、この先頭位置、あるいはその先頭位置よりも適度に外側に第1カメラ22(正確にはCCDラインセンサの素子列)を配置したときの当該カメラユニット20の座標位置を部品撮像時のカメラユニット20の配置として求める。
一方、前記線分R1、R2の比較結果が線分R1>線分R2となり、かつその差が所定値を超える場合(|R1−R2|>R)、すなわち、図7(b)に模式的に示すように、[1]ポジションにおいてヘッドユニット6がプリント基板3に対して基板搬入側に偏った位置にある場合には、吸着部品撮像時のヘッドユニット6の移動方向を左方向(同図で左方向(白抜き矢印方向);基板搬入側から基板搬出側に向う方向)と設定し、この方向(左方向)へヘッドユニット6を移動させることによって吸着部品像が順次撮像され得るように、部品撮像開始時のヘッドユニット6の配置([2]のポジション)とカメラユニット20の座標位置とを求める。具体的には、[1][4]の各ポジションにおける第6実装用ヘッド16の座標位置同士を直線で結んだ線分R0′とミラー32の中心線M(Y軸方向中心を通りX軸に平行な線)との交点座標を求め、この交点座標位置に第6実装用ヘッド16が位置するときのヘッドユニット6の位置を前記[2]ポジションとして求められる。そして、支持部材11上でヘッドユニット6を[2]ポジションへ移動させたときのその先頭(右端)位置がさらに求められ、この先頭位置、あるいはその先頭位置よりも適度に外側に第1カメラ22(正確にはCCDラインセンサの素子列)を配置したときの当該カメラユニット20の座標位置を部品撮像時のカメラユニット20の配置として求める。
〈 第2部品認識動作 〉
第2部品認識動作は、ミラー32に対して支持部材11をY軸方向へ移動させながらミラー32に映った各実装用ヘッド16の吸着部品像を両カメラ22,23により撮像する動作であり、第1部品認識動作と同様に前記線分R1、R2を演算し、その比較結果が線分R1=線分R2となる場合、あるいは線分R1と線分R2との差が所定値未満の場合(|R1−R2|<R)、すなわちヘッドユニット6による最終部品の吸着位置がプリント基板3の直ぐ側方部分(概ね図6中斜線で示す部分)に位置する場合に実行される。詳しくは、図5中に破線で示すように、部品吸着完了後、まずヘッドユニット6を最終部品の吸着位置([5]のポジション)からY軸方向に真っ直ぐに移動させてミラー32の上方を通過させ、この通過途中でミラー32に映る吸着部品像を両カメラ22,23により撮像する。この際、ヘッドユニット6がY軸方向に真っ直ぐに移動し、各実装用ヘッド16がミラー32手前の撮像開始位置(必要に応じて第2の撮像開始位置という)に到達すると同時かそれよりも早いタイミング(例えば、部品吸着動作完了と同時又はそれよりも早いタイミング)で、カメラユニット20をヘッドユニット6の中央部分(X軸方向中央)に対応する位置に配置し、かつ第1カメラ22を第2姿勢に切換しておくことにより、ミラー32に映る吸着部品像のうち第1〜第3実装用ヘッド16に吸着されている部品像を第1カメラ22により撮像する一方、第4〜第6実装用ヘッド16に吸着されている部品像を第2カメラ23により撮像する。このようにして完全にミラー32を通過する位置、すなわち撮像完了位置([6]のポジション)までヘッドユニット6を移動させた後、プリント基板3上の最初の実装位置([7]のポジション)に向けてヘッドユニット6を移動させる。
なお、ヘッドユニット6とカメラユニット20は、上記の通り共に支持部材11に支持されていてY軸方向へ一体的に移動するため、各カメラ22,23(X軸方向に撮像素子が並ぶCCDラインセンサ)によって吸着部品を撮像することは一見不可能と考えられるが、上記のようにミラー32が傾斜姿勢で設けられている結果、ミラー32に対して吸着部品をY軸方向に移動させることでカメラ22,23と吸着部品とを擬似的にY軸方向に相対移動させることができ、その結果、吸着部品の撮像が可能となっている。
以下、その原理について図8に基づいて説明する。同図はカメラ22,23、実装用ヘッド16、吸着部品Cおよびミラー32の位置関係を模式的に示している。この図において、ヘッドユニット6およびカメラユニット20がミラー32に対して左側から右側に移動する場合を考える。ここで、
・移動前のカメラ22,23からミラー32(反射面)までの光路長 ;L1
・移動前のミラー32(反射面)から吸着部品Cまでの光路長 ;L2
・移動後のカメラ22,23からミラー32までの光路長 ;L1′
・移動後のミラー32(反射面)から吸着部品Cまでの光路長 ;L2′
・ミラー32の傾斜角度(反射面と水平面とのなす角度) ;θ
・ヘッドユニット6の移動距離 ;Δd
とする。また、移動前のカメラ22,23による撮像位置(光軸L2の位置)はノズル中心に一致しているものとする。
この状態から吸着部品Cを一定の高さ位置に保ったままでヘッドユニット6およびカメラユニット20をミラー32に対して相対的にY軸方向に移動させると、ミラー32が傾斜している結果、カメラ22,23による移動後の撮像位置(光軸L2′の位置)はノズル中心から変位量yだけY軸方向にずれることとなる。つまり、同図より
Δd・tanθ=y・tanθ+y/tan2θ
であるから、
y=((tanθ・tan2θ)/(tanθ・tan2θ+1))・Δd
だけ、カメラ22,23と吸着部品Cとが擬似的に相対移動することとなる。換言すればカメラ52a,52bと吸着部品Cのミラー像とが相対的に移動することとなる。
従って、第2部品認識動作において上記のようにヘッドユニット6とカメラユニット20とを一体的にY軸方向に移動させながらも上記のようなカメラ22,23と吸着部品Cとの相対移動が発生することにより、カメラ22,23による吸着部品Cの撮像が可能となる。
なお、上記のような擬似的な相対移動を利用して吸着部品Cを撮像する場合には、カメラ22,23と被写体(吸着部品C)との撮像距離がヘッドユニット6の移動に伴い変化する。すなわち画像倍率が変化するため、部品認識に際しては倍率補正を行う必要がある。
詳しくは、移動前後のカメラ22,23からミラー32(反射面)までの光路長の差をa、移動前後のミラー32から吸着部品Cまでの光路長の差をbとすると、図8より
・a=y/sin2θ
・b=y/tan2θ
であるから、移動前後の倍率のずれをeとすると、
・e=(L1′+L2′)/(L1+L2)
=(L1+L2−(y/sin2θ+y/tan2θ))/(L1+L2)
となる。
このように擬似的な相対移動を利用して吸着部品Cを撮像する場合にはカメラ22,23のY軸方向の移動量に応じた倍率ずれeが画像に生じることとなる。そこで、当実施形態では、第2部品認識動作により吸着部品を撮像した場合には、このような倍率ずれeを前記主制御部42において演算し、この倍率ずれeに基づいて画像処理部50の前記倍率補正部52において画像補正(倍率補正)を行うように構成されている。
次に、上記コントローラ30による上記実装機の動作制御について図9のフローチャートに基づいて説明する。
実装動作では、まず、前記基板情報からヘッドユニット6の各実装用ヘッド16により吸着する部品に関する情報(吸着部品情報)、すなわち対象部品の種類、対象部品が供給されるテープフィーダー4aの位置、対象部品の種類と該部品を吸着する実装用ヘッド16の位置、吸着順序等に関する情報を読出すとともに、対象部品のプリント基板3上の実装位置、実装順序等に関する情報(搭載位置情報)を読出す(ステップS1)。
そして、部品供給部4における最終部品の吸着位置とプリント基板3上の最初の実装位置とに基づき前記線分R1,R2の長さが演算され、この線分R1,R2の比較結果に基づいて第1又は第2部品認識動作(フローチャート中では撮像方法1,2と記載)の何れの動作で吸着部品の認識を行うかを判断する(ステップS2)。具体的には、線分R1<(又は>)線分R2となり、かつその差が所定値を超える場合(|R1−R2|>R)には第1部品認識動作と判断し、線分R1=線分R2、あるいはR1とR2との差が所定値未満の場合(|R1−R2|<R)には第2部品認識動作と判断する。
ここで、第1部品認識動作と判断した場合には、カメラユニット20(カメラ22,23)の座標位置を求め、前記サーボモータ26を駆動することにより当該座標位置にカメラユニット20を移動させる(ステップS3,S4)。そして、第1カメラ22が第1姿勢にあるか否かを判断し、NOと判断した場合には、前記サーボモータ30を駆動することにより第1カメラ22の姿勢を第1姿勢に切換える(ステップS5,S6)。なお、ステップS2において第2部品認識動作と判断した場合にも、第1カメラ22の姿勢を第2姿勢に切換制御する以外は同様の処理を行う(ステップS3′〜S6′)。
そして、最後の部品の吸着が完了すると、ヘッドユニット6を部品供給部4から実装作業位置のプリント基板3上に移動させるとともに、この移動途中で各実装用ヘッド16に吸着された吸着部品をミラー32を介してカメラ22,23により撮像する。具体的には上述した通り、第1部品認識動作の場合には、ヘッドユニット6をミラー32の上方でカメラユニット20に対して相対的にX軸方向に移動させることにより、ミラー32に映った各実装用ヘッド16の吸着部品像を第1カメラ22により撮像する(図6の[1]〜[3]の動作)。これに対して第2部品認識動作の場合には、支持部材11の移動に伴いカメラユニット20とヘッドユニット6とを一体的にY軸方向へ移動させることによりミラー32に映った各実装用ヘッド16の吸着部品像を両カメラ22,23により撮像する(図6の[5]〜[6]の動作)。
上記の各部品認識動作に基づき吸着部品の撮像が完了すると、ヘッドユニット6をプリント基板3上の最初の実装位置(図6の[4]あるいは[7])に移動させるとともに、その間に、各吸着部品の画像に基づいて各実装用ヘッド16による部品の吸着状態を画像認識し、吸着ノズル16aに対する部品のX軸、Y軸およびR軸回りの吸着位置誤差を求めるとともに、この誤差に基づいて補正量(ΔX,ΔY,ΔR)を演算する(ステップS8)。そして、この補正量に基づいて目標位置の再設定を行い、この再設定された目標位置に従ってヘッドユニット6を駆動制御することにより、各実装用ヘッド16に吸着された部品を順次プリント基板3上に実装する(ステップS9)。
次いで、プリント基板3に対する全ての実装処理が終了したか否かを判断し(ステップS10)、ここでNOと判断した場合には、ステップS1に移行して次の実装動作に移行し、これに対してYESと判断した場合には、コンベア2を駆動することにより実装作業位置のプリント基板3を次工程に搬出して本フローチャートを終了する。
以上説明したように、この実装機では、吸着部品を撮像するためのカメラユニット20(カメラ22,23)が移動可能に設けられ、遅くともヘッドユニット6が撮像開始位置(第1部品認識動作では第1の撮像開始位置、第2部品認識動作では第2の撮像開始位置)に到達するタイミングで、各実装用ヘッド16による部品吸着完了位置の近傍、すなわちヘッドユニット6が撮像開始位置にあるとした場合の当該ヘッドユニット6の近傍であって、かつヘッドユニット6が移動することにより直ちに吸着部品像を撮像し得る位置にカメラユニット20が移動することにより部品吸着完了後は、速やかに吸着部品を撮像できるように構成されているので、ヘッドユニット6による部品吸着完了位置が何処であっても速やかに吸着部品の撮像を行うことができる。すなわち、基台上の特定位置にカメラが固定されている従来のこの種の実装機のように、部品吸着完了位置とカメラ位置との距離によって部品の撮像動作に要する時間が大きく変動することがなく、常に、可及的速やかに吸着部品を撮像することができる。しかも、吸着部品を撮像するカメラとしてCCDラインセンサを備えたカメラ22,23を使い、第1部品認識動作では、ヘッドユニット6とカメラユニット20とを相対的にX軸方向に移動させながら吸着部品を連続的に撮像するようにしているので、複数の実装用ヘッド16に吸着された各部品を極めて効率良く撮像することができる。従って、上記従来のこの種の実装機に比べるとタクトタイムを効果的に短縮することができる。
また、この実装機では、上記のように部品吸着位置に応じて第1部品認識動作と第2部品認識動作とを切換えるように構成されており、この点でもタクトタイムの短縮化に貢献するという効果がある。すなわち、吸着部品の認識を全て第1部品認識動作で行うようにしても構わないが、この場合には、ヘッドユニット6による部品吸着完了位置がプリント基板3の直ぐ側方部分(図6中斜線で示す部分)に位置するような場合でも、部品を撮像するためにヘッドユニット6をミラー32に沿ってX軸方向外側、つまりプリント基板3から基板搬入側又は搬出側に一旦移動させる必要がある。そのため、プリント基板3の側方部分で部品の吸着動作が完了した場合には、ヘッドユニット6のトータル的な移動量が却って大きくなり、タクトタイムを短縮する上で不利となる。これに対して第1部品認識動作と第2部品認識動作とを併用する実施形態の構成によると、上記のようにプリント基板3の側方部分で部品の吸着動作が完了する場合には、第2部品認識動作に基づいて部品認識を行うことにより、部品吸着後はヘッドユニット6をそのままプリント基板3上に移動させることができる(図6の破線図参照)。従って、第1部品認識動作だけで部品認識を行う場合に比べるとタクトタイムを短縮する上で有効となる。
なお、上記実施形態では、カメラユニット20に照明装置21を設けているが、照明装置21を基台1側に設けるようにしてもよい。具体的には、ミラー32に沿ってその全域にLED21aを配置し、主制御部42により、部品撮像時のヘッドユニット6の移動経路に応じて必要なLED21aを点灯制御するように構成してもよい。この構成によるとミラー32の近傍にLED21aが配置されることで、実装用ヘッド16に吸着された部品に対してより接近した位置から照明光を照射することが可能となるため、部品認識に適したより鮮明な画像を撮像することが可能になるという利点がある。
また、上記実施形態ではカメラユニット20に2つのカメラ22,23を設け、第1カメラ22を姿勢切換可能に設けることにより、第2部品認識動作では、第1〜第3の各実装用ヘッド16の吸着部品を撮像するカメラとして第1カメラ22を共用しているが、勿論、各部品認識動作毎の専用のカメラを設けても構わない。この場合には、各部品認識動作毎に使用するカメラはカメラユニット20に対して固定的に設けることができる。
さらに、第2部品認識動作では、複数の実装用ヘッド16に吸着された部品を共通のカメラ22(又は23)で撮像するように構成しているが、例えば実装用ヘッド16毎に個別のカメラで吸着部品を撮像するように構成してもよい。これによれば吸着部品をより鮮明に、かつ大きく撮像できるため部品認識精度を高めることが可能となる。
なお、第2部品認識動作により部品認識を行う場合、ヘッドユニット6(実装用ヘッド16)のY軸方向の移動量に対する吸着部品とカメラ22,23との擬似的な相対移動量(吸着部品のミラー像とカメラ22,23との相対的な移動量)は小さく、そのため第2部品認識動作に基づいて大型部品を認識するのは不向きである。従って、実装作業位置(極力プリント基板3)の側方部分については超小型のチップが供給されるようにテープフィーダー4aを段取りした上で、超小型のチップ部品を実装する場合には、各実装用ヘッド16による吸着部品が全て超小型のチップ部品となるように実装順序等を最適化するのが望ましい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図10及び図11は、本発明に係る実装機の第2の実施形態を概略的に示している。なお、第2の実施形態の実装機も基本的には第1の実施形態の実装機と構成が共通するため、当該共通する部分については第1の実施形態と共通の符号を付すことにより説明を省略し、以下に、第1の実施形態の実装機との相違点について詳細に説明することにする。
第2の実施形態の実装機は、コンベア2と部品供給部4との間のスペースに吸着部品を映し出す(反射させる)ための光学ユニット60,61が設けられている。
光学ユニット60,61は、それぞれコンベア2とその両側の部品供給部4との間のスペースに設けられており、吸着部品像等を反射させるミラー66(光学部材)と、照明装置67とを一体にX軸方向に移動させるように構成されている。すなわち、前記基台1上であってコンベア2と部品供給部4との間のスペースには、X軸方向に延びる互いに平行な一対の固定レール62とサーボモータ63により回転駆動されるX軸方向のボールねじ軸64とが設けられ、前記固定レール62に可動テーブル65(保持部材)が移動可能に装着されるとともにこの可動テーブル65に対して前記ボールねじ軸64が螺合挿着されている。そして、前記ミラー66および照明装置67が前記可動テーブル65に一体に搭載され、前記サーボモータ63の作動によりミラー66等が可動テーブル65と一体に固定レール62に沿ってX軸方向に移動するように構成されている。
光学ユニット60,61のサーボモータ63には、それぞれエンコーダ63a(図12に示す)が設けられており、これにより可動テーブル25の移動位置が検出されるようになっている。
前記ミラー66は、X軸方向に細長の矩形のミラーからなり、図11に示すように、各ミラー66の上方に各実装用ヘッド16が位置するときに各ミラー66がカメラ22,23を指向するように反射面を上向きにした状態で、かつ装置前側から後側(図10では下側から上側)に向って先下がりの傾斜姿勢で前記可動テーブル65に搭載(保持)されている。なお、ミラー66のX軸方向のサイズは、ヘッドユニット6の全実装用ヘッド16に吸着された部品、具体的には実装部品のうち最大サイズの部品が吸着された場合にその部品の真下像(下面像)が同時に映る(反射する)ように両端の実装用ヘッド16の間隔よりも適度に長く設定されている。また、同Y軸方向のサイズは、上記の最大サイズの部品が余裕をもって映るように長さ設定されている。
照明装置67は、詳しく図示していないが、ミラー66の全周に亘って配設される複数のLED67aを有している。これらLED67aは略真上に指向する状態で前記可動テーブル65に固定されており、ヘッドユニット6が可動テーブル25の上方にある時に、各実装用ヘッド16の吸着部品に対してその下側から照明光を照射するように構成されている。
図12は、第2の実施形態における実装機の制御系を概略ブロック図で示している。同図に示すように、第2の実施形態のコントローラ40には、光学ユニット駆動制御部54がさらに設けられている。
この光学ユニット駆動制御部54は、光学ユニット60,61の前記可動テーブル65の動作を制御するもので、エンコーダ63aからの信号によって可動テーブル65の現在位置(X座標)を検知しながらサーボモータ63を駆動制御することにより可動テーブル65を所定の位置に移動させるものであり、実装動作中は、主制御部42からの制御信号に基づき、可動テーブル65をX軸方向においてカメラユニット20と同じ位置、すなわちカメラ22,23による吸着部品の撮像が可能となる位置(ミラー66に吸着部品像が映る位置)に可動テーブル65を移動させる。
なお、第2の実施形態のコントローラ40において、照明制御部47には各光学ユニット60,61の照明装置67が接続されており、照明装置67の点灯制御がこの照明制御部47により行われるように構成されている。
第2の実施形態の実装機も、第1の実施形態と同様にヘッドユニット6及びカメラユニット20を移動制御するとともに、第1部品認識動作および第2部品認識動作において可動テーブル65をカメラユニット20の移動と同期連動させてX軸方向に移動制御することにより、可動テーブル65とカメラユニット20とを見かけ上一体的に移動させる。
つまり、第2の実施形態は、第1の実施形態のようにテープフィーダー4aの配列方向全体に亘って長尺のミラー32を設ける代わりに、小型のミラー66を移動可能に設け、ヘッドユニット6の移動経路に応じてミラー66がカメラユニット20に連動して移動するように構成したものである。
このような第2の実施形態の実装機によると、ミラー66が小型化されるため、ミラー66自体に歪みが生じ難くなり、また、雰囲気温度の上昇による歪みの発生も低減される。従って、ミラー66自体の歪みに起因する画像への影響を効果的に低減させることができる。また、このようにミラー66が小型化されることにより、画像歪みを補正するためのデータの収集負担、つまり前記歪み補正部51における歪み補正処理に用いる歪み成分データの収集負担も軽減されるため、ミラー66の全体(反射面全体)について歪み成分を精査することが容易になる。従って、トータル的にみるとミラー66の歪みに起因する画像への影響を低減させることが可能となり、第1の実施形態に比べると吸着部品の画像認識精度を高めることが可能になるという利点がある。
また、ミラー66を保持する可動テーブル65に照明装置67を一体に搭載した構成となっているので、第1の実施形態と比べると吸着部品に対してより近接した位置から照明を提供することができ、その結果、部品認識に適したより鮮明な画像を撮像することが可能になるという利点がある。
なお、照明装置67は、第1の実施形態の場合と同様にカメラユニット20に搭載してもよいし、また基台1に固定的に設けたもの、具体的には、可動テーブル65の移動経路沿いにLEDを並べて設け、これらLEDのうち可動テーブル65bの位置に対応するものを点灯させるものであっても構わない。また、可動テーブル65とカメラユニット20とは必ずしも見かけ上一体的に移動させる必要はなく、多少の時間差をもって移動させるようにしてもよい。
ところで、以上説明した第1および第2実施形態の実装機は、本発明に係る表面実装機の最良の実施形態であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような態様を採ることもできる。
(1)第1、第2の実施形態では、吸着部品の撮像動作として2種類の撮像動作(第1部品認識動作、第2部品認識動作)を択一的に実行するようにしているが、第1部品認識動作、つまりカメラユニット20に対してヘッドユニット6を相対的にX軸方向に移動させながら吸着部品を撮像する動作だけで部品認識を行うようにしてもよい。
この構成によると、部品供給部4において実装作業位置の直ぐ側方部分(図6中斜線で示す部分)で部品吸着が完了した場合のヘッドユニット6のトータル的な移動量が第2部品認識動作を併用する場合に比べて大きくなるため、効率的には若干不利となるが、部品認識に際して倍率補正処理が不要となるためコントローラ40に倍率補正部52を設ける必要がなくなり制御系の構成を簡素化することができ、また画像処理の制御負担も軽減されるというメリットがある。また、吸着部品を撮像するためのカメラとしても第1姿勢に保持した第1カメラ22のみで吸着部品を撮像することが可能となるため、カメラ数を低減でき、またカメラ姿勢を切換えるための機構も不要となる。従って、装置構成を簡略化、低廉化する上で有効な構成となる。
なお、第2の実施形態において、吸着部品の認識を第1部品認識動作だけで行う場合には、必ずしも全吸着部品をミラー66に映す必要はく、第1カメラ22(すなわちラインセンサ)によって取込み可能な幅の部品像がミラー66に映れば充分である。従って、第2の実施形態において第1部品認識動作だけで部品認識を行う場合には、ミラー66の幅寸法をX軸方向に縮小することが可能となる。この場合、可動テーブル65とカメラユニット20とを完全一体に連動させることにより、各実装用ヘッド16に吸着された部品を順次撮像することが可能となる。このような構成によれば、ミラー66がより小型化されるので、ミラー66の歪みに起因する画像への影響をより低減させることが可能になるという利点がある。また、照明装置67を構成するLEDの数もより少なくて済むため装置構成を簡略化、低廉化する上で有効な構成となる。
また、このように必要最小限の吸着部品像を映す小型のミラー66を適用する場合、例えば、図13に示すように、可動テーブル65に第1カメラ22を搭載し、ミラー66と第1カメラ22とを一体にX軸方向に移動させることも考えられる。このような構成によれば、ヘッドユニット6やヘッドユニット支持部材11に吸着部品等を認識するための構成(第1カメラ22)が一切搭載されなくなるためヘッドユニット6を高速駆動する上で有利な構成となる。また、ミラー66(可動テーブル65)の駆動系と第1カメラ22の駆動系とを集約できるという利点もある。
(2)第1、第2の実施形態では、第1部品認識動作において、カメラユニット20を停止させてヘッドユニット6を移動させるようにしているが、勿論、ヘッドユニット6を停止させてカメラユニット20を移動させるようにしてもよい。この場合、第2の実施形態については、可動テーブル65を停止させた状態でカメラユニット20だけを移動させることにより、ミラー66に映った吸着部品像を第1カメラ22により撮像させるようにすればよい。
また、第1部品認識動作において、ヘッドユニット6とカメラユニット20の双方を移動させるようにしてもよい。このようにヘッドユニット6およびカメラユニット20の双方を互いに反対方向に移動させるようにすれば、吸着部品撮像時の第1カメラ22と吸着部品との相対的な移動速度を高めることが可能となり、吸着部品をより高速で撮像することが可能となる。そのため、部品認識処理を迅速に行うこと、ひいてはタクトタイムをより短縮することが可能となる。
なお、このようにヘッドユニット6とカメラユニット20の双方を移動させる場合には、カメラユニット20とヘッドユニット6とを同方向に速度差をもって移動させるようにしてもよい。このようにすれば部品撮像時の第1カメラ22と吸着部品の相対移動速度が制限されるような場合でも、ヘッドユニット6を速やかにプリント基板3側に移動させる一方で、部品認識に最適な吸着部品像を撮像することが可能になるという利点がある。すなわち、部品吸着後は、ヘッドユニット6を高速で移動させながら吸着部品を撮像するのが効率的には望ましいが、例えばカメラユニット20を停止させて部品を撮像する場合であって、かつ照明装置21(67)の光量と部品品種との関係で第1カメラ22と吸着部品との相対移動速度が制限されるような場合、例えば画像品質を優先させるとヘッドユニット6の移動速度を下げざるを得ず、いきおい実装効率の低下を招くこととなる。これに対して、上記のようにカメラユニット20とヘッドユニット6とを同方向に速度差をもって移動させる場合には、部品吸着後、ヘッドユニット6を高速で移動させる一方、これよりも遅い速度でカメラユニット20をヘッドユニット6と同方向に移動させることにより、ヘッドユニット6を高速でプリント基板3側に移動させながらも、第1カメラ22と吸着部品とを制限速度内で相対的に移動させて最適な部品画像を撮像することが可能になる。従って、タクトタイムを効果的に短縮する一方で、吸着部品の認識精度も良好に保つことができるという利点がある。
(3)第1部品認識動作においては、ヘッドユニット6とカメラユニット20(カメラ22,23)との相対的な移動速度を部品の種類に応じて制御するようにしてもよい。このように移動速度を制御することにより照明を一定の光量に保ったままで吸着部品の種類に応じた露光時間を確保することが可能となり、部品の種類に応じた最適な画像、つまり部品認識に最適な画像を取得することが可能となる。なお、このような制御は、前記基板情報に基づき、前記主制御部42により照明制御部47を介して照明装置21(照明装置)を駆動制御することに行うことができる。
(4)第1,第2の実施形態は、いずれも各実装用ヘッド16に吸着された部品をミラー32(66)に映し(反射させ)、これを支持部材11に支持されたカメラユニット20(カメラ22,23)によって撮像するように構成されているが、Y軸方向に撮像素子が並ぶラインセンサを備えたカメラを、基台1上においてコンベア2と部品供給部4との間にX軸方向に移動可能に設け、部品吸着後、ヘッドユニット6をこのカメラの移動経路上方に配置して該カメラとヘッドユニット6とを相対的にX軸方向に移動させることにより、吸着部品を前記カメラによって直接撮像するように構成してもよい。具体的な構成として、例えば第2実施形態のミラー66の代わりに可動テーブル65上に前記カメラを搭載した構成が考えられる。このような構成によれば、カメラを駆動させるための機構が全て基台1側に搭載されるため、支持部材11を軽量化することができ、ヘッドユニット6を高速駆動する上で有利になるという利点がある。
なお、第1の実施形態のようにコンベア2と部品供給部4との間にミラー32を固定的に設ける構成によると、支持部材11の軽量化を通じてヘッドユニット6を高速駆動させるという点では上記の構成に劣るが、ヘッドユニット6の移動距離を短縮するという点では上記の構成に比べて優れている。すなわち、第1の実施形態では、コンベア2と部品供給部4との間にはミラー32が配設されるだけなので、コンベア2と部品供給部4との間にカメラの駆動機構、照明装置およびこれらの配線等を設ける必要がある上記の構成に比べて部品供給部4とコンベア2との間隔を狭くすることが可能となる。そのため、部品供給部4と実装作業位置との間を繰り返し移動するヘッドユニット6のトータル的な移動距離を低減することが可能となり、これを通じてタクトタイムの短縮化に貢献し得るという利点がある。
(5)第1、第2実施形態等では、実装用ヘッド16に吸着された部品を映す(反射させる)ための光学部材としてミラー32(66)が適用されているが、勿論、これ以外のハーフミラーやプリズム等の光学部材を適用することもできる。