JP2005264569A - 既存建物の下層階増築工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的低層の既存建物における1階部分などの下層階をそれより上階部分を押し上げて増築する施工方法を提供する。
【解決手段】増築階より上部の建物2を支持手段によって支持させ、増築階の既存柱を上端近傍位置で切断する。切断位置より下側の柱を柱部材6,6'で覆い、柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、上部建物を柱部材で支持させる。柱部材の相互を梁で連結し、梁又は柱部材に設けた反力治具10へジャッキ9を繋ぎ、柱部材が下側柱4bから抜けない限度に上部建物を上昇させる。露出した下側柱を柱部材で覆い柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、上部建物を柱部材で支持させる。梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる。柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する。
【選択図】図6

Description

この発明は、比較的低層の既存建物における1階部分などの下層階をそれより上階部分を押し上げて増築する施工方法の技術分野に属する。
近年、既存建物を有効に活用するべく、同既存建物の1階部分など(下層階)の階高を高くしたり、新設の床(ロフト)を設けて階層を増築する技術のニーズが高まりつつある。その増築工法としては、既存建物の増築階より上部の建物を支持した状態で、同増築階の既存柱を切断し、前記上部建物をジャッキアップした後に、切断した柱の間に新たな柱部材を挿入し一体化することにより、柱を延長して増築する施工方法が一般的である。例えば、
(i)特許文献1の「既存建物の免震構造化方法」には、上部建物の梁の下に同上部建物を支持するジャッキを持つ架台を設置し、架台で上部建物全体を支持したまま下部建物の最上層の頂部に梁を含むレベルで既存柱を切断し、ジャッキで上部建物全体を少なくとも上部建物の一層分上昇させ、下部建物の柱上に免震装置を設置する。一方、既存の上部建物の柱の下に、上部建物の柱に連続する柱とその柱の脚部間に架設される梁を新たに構築した後、新たに構築された柱・梁の躯体を含む上部建物を支持しながら降下させることにより、既存建物の下層階を増築すると共に、既存建物を免震化する技術が開示されている。
ちなみに、本発明に係る「既存建物の下層階増築工法」に関連する技術としては、例えば以下の技術が公知である。
(ii)特許文献2の「プッシュアップシステム工法」には、ジャッキアップした後に、上下の柱の間に新たな柱部材を挿入し、新設の床を設ける技術が開示されている。
(iii)特許文献3の「構築工法」には、多重鋼管を伸長させて柱を構築する技術が開示されている。
(iv)特許文献4の「既存建物の免震化構造」には、隣接する既存柱相互を上下に間隔を開けて繋ぎ梁で連結し、同上下の繋ぎ梁を支持した状態で、既存柱を切断して免震装置を挿入する技術が開示されている。
(v)特許文献5の「柱の補強構造」には、鋼管を縦方向に二分割した補強部材で柱を覆う技術が開示されている。
特許第2932970号公報 特開昭62−244941号公報 特開平11−303219号公報 特開平10−121746号公報 特開平9−317202号公報
上記(i)の従来技術は、既存建物の下層階の増築と共に、同既存建物を免震化することが可能で、注目できる。しかし、最も不安定な状態となるジャッキアップの際に地震などの水平力が作用すると、水平力は下部建物から上部建物へ伝達されず、層間で大きく相対変位する虞があり、安全性が高いとは云えない。しかも、切断位置より上側の柱と、下側の柱との軸心がズレてしまい、精度良く柱を延長することが困難な場合がある。そのため、ジャッキの設置部を大掛かりに補強する必要が生じ、コストが嵩み、作業が繁雑になる。
また、ジャッキの盛り換え工程などが開示されていないため、上部建物の上昇高さはジャッキのストロークに依存することとなり、上部建物の上昇高さが限られている。
上記(ii)、(iii)の従来技術は新築建物を構築する技術であり、上記(iv)、(V)の技術は既存建物を免震化する技術であるので、それぞれ技術分野が異なる。
本発明の目的は、既存柱の外周と略等しい内周の鋼管から成る柱部材で既存柱を覆い、同柱部材が切断位置より下側の柱から抜けない限度で、上部建物を上昇させることにより、最も不安定となるジャッキアップの際に作用する地震などの水平力を柱部材により下部建物から上部建物へ伝達させ、層間の相対変位を可及的に小さくし、安全性を高め、精度良く柱を延長することができる、既存建物の下層階増築工法を提供することである。
本発明の次の目的は、同じくジャッキアップの際に作用する地震などの水平力を柱部材により下部建物から上部建物へ伝達させて、層間の相対変位を可及的に小さくして、ジャッキの設置部を大掛かりに補強する必要を無くし、安価に、しかも簡易に既存柱を延長することができる、既存建物の下層階増築工法を提供することである。
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法は、
既存建物の下層階を増築するための工法であって、
I)増築階より上部の建物を支持手段によって支持させ、前記増築階の既存柱を上端近傍位置で切断する工程と、
II)切断位置より下側の柱を、同下側の柱と略等しい高さで、且つ下側柱の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、前記支持手段を解放して前記上部建物を柱部材で支持させる工程と、
III)隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結し、同梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床等に反力をとって、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
IV)露出した下側柱を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
V)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床等に反力をとって、同じく柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
VI)その後、IV)とV)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法は、
既存建物の下層階を増築するための工法であって、
I)増築階の既存柱の切断位置より下側の柱を、同下側の柱と略等しい高さで、且つ下側柱の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結する工程と、
II)前記梁と上階梁との間に支持手段を配置して、増築階より上部の建物を支持させ、前記既存柱を柱部材の上端位置で切断する工程と、
III)柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、前記支持手段を解放して前記上部建物を柱部材で支持させる工程と、
IV)前記梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床等に反力をとって、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
V)露出した下側柱を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
VI)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床等に反力をとって、同じく柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
VII)その後、V)とVI)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法は、
既存建物の下層階を増築するための工法であって、
I)増築階の既存柱は補強部材で密接に覆い、同補強部材を既存柱へ定着させる工程と、
II)増築階より上部の建物を支持手段によって支持させ、前記既存柱を補強部材の上方位置で切断する工程と、
III)前記補強部材を、当該切断位置より下側の柱をほぼ覆うことが可能な高さで、且つ補強部材の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結する工程と、
IV)前記梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床又は下側柱に反力をとって、予め切断位置より上側の柱と接合した柱部材が補強部材から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
V)露出した補強部材を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
VI)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床又は下側柱に反力をとって、同じく柱部材が補強部材から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
VII)その後、V)とVI)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法において、
上側柱と下側柱との間へ免震装置を挿入し、同免震装置の上端部を上側柱の下端部と接合し、下端部は下側柱を覆った柱部材の上端部と接合することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法において、
下側柱を囲む位置に架台を配置し、同架台上へ4機のセンターホール型油圧ジャッキを平面視が下側柱の中心線を通る対称の配置で設置すること、
前記ジャッキの貫通孔にネジロッドを通し、上端部を上下2個の反力ナットで同ジャッキに連結すること、
柱部材の側面で隣り合うネジロッドの下端部相互を桁で連結し、同桁を柱部材の反力治具に引っ掛けること、
ジャッキの伸縮、及び反力ナットの盛り換えを繰り返して柱部材を上昇させることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
支持手段として、先に既存柱を囲む位置に架台を配置し、同架台上へ4機のセンターホール型油圧ジャッキを平面視が既存柱の中心線を通る対称の配置で設置し、同ジャッキを上階床の下面に繋げて上部建物を支持させることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法において、
上側柱の下端部に十分なせん断剛性を有する水平力伝達板を接合し、柱部材の上端部に前記水平力伝達板を接合又は嵌め入れることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
既存柱を上階梁の直下位置で切断し、隣接する柱部材の上端相互を連結した梁を前記上階梁に当接させて上部建物を上昇させることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
補強部材の下端部にジャッキ受架台を設け、同ジャッキ受架台上に設置されたジャッキを、梁又は柱部材に設けた反力治具へ繋ぎ、下側柱に反力をとって上部建物を上昇させることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
上側柱に補強部材の厚さと略等しい厚さの介在物を被せることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
補強部材の外周に摺動部材を設けてから、同補強部材を柱部材で覆うことを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法において、
補強部材の内周又は柱部材の外周の一方に凹部を設け、他方に凸部を設けており、シアーキー構造で嵌め合わせていることを特徴とする。
本発明に係る既存建物の下層階増築工法は、既存柱の外周と略等しい内周の鋼管から成る柱部材で既存柱を覆い、同柱部材が切断位置より下側の柱から抜けない限度で、上部建物を上昇させたので、最も不安定となるジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、水平力は柱部材により下部建物から上部建物へ良好に伝達され、上部建物と下部建物との層間で大きく相対変位することが無く、安全性が高い。しかも、柱部材は上下の柱と軸心が略同一となるので、精度良く既存柱を延長させることができる。
また、ジャッキの設置部を大掛かりに補強する必要が無く、安価に、しかも簡易に既存柱を延長することができる。
I)増築階より上部の建物を支持手段によって支持させ、前記増築階の既存柱を上端近傍位置で切断する。II)切断位置より下側の柱を、同下側の柱と略等しい高さで、且つ下側柱の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、前記支持手段を解放して前記上部建物を柱部材で支持させる。III)隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結し、同梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床等に反力をとって、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる。IV)露出した下側柱を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる。V)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床等に反力をとって、同じく柱部材が下側柱から抜けない限度で上部建物を上昇させる。VI)その後、IV)とV)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化して実施する。
先ず、請求項1及び請求項4、5に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法(以下、単に増築工法と云う場合がある。)の実施例を、図1〜図10に基づいて説明する。本実施例の増築工法は、比較的低層の既存建物1(図1では、地上2階、地下1階の既存建物)において、事業空間として価値が高い1階部分(図1のAの部分)を増築すると同時に、既存建物1を免震化するために実施される。
先ず、増築作業を開始するにあたり、増築階である1階部分の内外装(壁部材など)を取り外す。次に、1階部分より上部の建物2を支持手段3によって支持させ(図2を参照)、前記1階部分の既存柱4を上端位置(本実施例では、上階梁2aの直下位置)で切断する(図3の左側の柱4を参照)。このとき、切断位置より上側の柱4aと下側の柱4bとの間へ免震装置(一例として積層ゴム)5を挿入できるように、既存柱4は前記免震装置5の高さ分の空間を形成して切断する。この空間に免震装置5を挿入し、同免震装置5の上端部を上側柱4aの下端部と剛強に接合し、下端部は下側柱4bの上端面に載置しておく(図3の中央の柱4を参照)。
前記下側柱4bは、同下側柱4bと略等しい高さH1で、且つ下側柱4bの外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材6で覆う(図3の右側の柱4を参照)。具体的には、柱部材6を構成する分割片6a、6bで下側柱4bを側方から覆い、同分割片6a、6bの突き合わせ端部同士を接合して一体化する。前記分割片6a、6bは上部建物2を支持し得る肉厚とし、その外周上端に隣接する柱部材6と梁7(図4を参照)で連結することができるようにブラケット6cを設けている。
柱部材6の上端部を免震装置5の下端部と剛強に接合し、支持手段3を解放して上部建物2を免震装置5と柱部材6で支持させる(図4の左側の柱4を参照)。つまり、柱部材6は免震装置5を介して上部建物2と下部建物8とを連結する役割を果たす。
隣接する柱部材6と6のブラケット6cと6c相互を梁7で剛強に連結し(図4の中間の柱4と右側の柱4を参照)、同梁7へジャッキ9を繋いで、1階部分の床8aに反力をとって、柱部材6が下側柱4bから抜けない限度に上部建物2を前記ジャッキ9によって上昇させる(図5の左側の柱4を参照)。柱部材6によって上部建物2と下部建物8とを連結し、更に隣接する柱部材6と6を梁7で剛強に連結しているので、ジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、水平力は下部建物8を構成する下側柱4bから柱部材6へ伝達され、更に同柱部材6から上部建物2を構成する上側柱4aへ伝達されるので、上部建物2と下部建物8との層間で大きく相対変位することが無く、安全性が高い。なお、地震などの際には、免震装置5によって上部建物2が水平追従(変位)するが、同免震装置5の復元力によって原位置に戻るので、問題にならない。
露出した下側柱4bを柱部材6’で覆い、同柱部材6’の上端部を上方の柱部材6の下端部と剛強に接合し、上記ジャッキ9を解放して上部建物2を免震装置5と柱部材6、6’で支持させる(図5の中央の柱4、右側の柱4を参照)。ちなみに、前記柱部材6’は、上記柱部材6と略同様に分割片6a’と6b’で構成しているが、その高さはジャッキ9のストローク量と略同様であり、上昇した上側の柱部材6と1階部分の床8aとの間で良好に突き合わせることができる。前記分割片6a’、6b’は、隣接する柱部材6’と梁7で連結しないので、ブラケットを省略している。
前記柱部材6’に反力治具10を設け、同反力治具10へジャッキ9を繋ぎ直し、1階部分の床8aに反力をとって、柱部材6’が下側柱4bから抜けない限度に上部建物2を上昇させる(図6の左側の柱4を参照)。ジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、やはり水平力は下部建物8から上部建物2へ良好に伝達され、層間で大きく相対変位することが無く、安全性が高い。
その後、更に露出した下側柱4bを柱部材6’で覆い、ジャッキアップするまでの工程を繰り返して上部建物2を所定の高さまで上昇させ(図6の中央の柱4及び右側の柱4を参照)、柱部材6、6’…の内部にコンクリート(図示を省略)を充填して同柱部材6、6’…を既存建物1と一体化する。柱部材6、6’…は上下の柱4a、4bと軸心が略同一となるので、精度良く既存柱4を延長させることができる。
最後に、柱部材6’の反力治具10を撤去すると共に、図示は省略したが新設床を必要に応じて設置し、内外装を施工すると増築作業は完了する。
上記した増築工法は、ジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、水平力は下部建物8から上部建物2へ良好に伝達され、層間で大きく相対変位することがないので、ジャッキ9の設置部を大掛かりに補強する必要が無く、安価に、しかも簡易に既存柱4を延長することができる。
本実施例のジャッキ9は通例の油圧ジャッキであれば採用できるが、柱部材6’を上昇させる際にはセンターホール型(以下、単にCH型と云う。)の油圧ジャッキが好適である。採用する際には、先ず、図7に示すように、下側柱4bを囲むように四隅の位置に架台用支柱11…を配置し、向かい合う架台用支柱11と11、11と11の上に、それぞれ一組づつ架台用梁12と12、12と12を平行に架け渡す。この架台用梁12と12、12と12の上に、それぞれ一組づつジャッキ9と9、9と9を下側柱4bの中心線を通る対称の配置で設置する。そして、ジャッキ9の貫通孔にネジロッド13を通し、収縮させた状態のジャッキ9のピストンロッド9a上面に上側の反力ナット14aが当接し、ジャッキ9の支持用治具9bのフランジ部9c上面に下側の反力ナット14bが当接するまで、ネジロッド13の上端部に反力ナット14a、14bをネジ込み、同ネジロッド13の上端部を反力ナット14a、14bでジャッキ9へ連結する(図8(A)を参照)。
柱部材6’の側面、すなわち、架台用支柱11と11の間で隣り合うネジロッド13と13の下端部相互を桁15で連結し、同桁15を柱部材6’の反力治具10に引っ掛ける。
その後、ジャッキ9の伸縮、及び反力ナット14a、14bの盛り換えを繰り返して柱部材6’を上昇させる(請求項5記載の発明)。具体的には、下側の反力ナット14bがジャッキ9のシリンダー9d下面に当接するまで、ピストンロッド9aを伸長させネジロッド13を吊り上げる(図8(B)を参照)。次に、上側の反力ナット14aでネジロッド13をジャッキ9から吊り下げた状態で、下側の反力ナット14bを支持用治具9bのフランジ部9c上面に当接するまでネジ戻す(図8(C)を参照)。更に、下側の反力ナット14bでネジロッド13をジャッキ9から吊り下げた状態で、ピストンロッド9aを収縮させ(図8(D)を参照)、併せて上側の反力ナット14aをピストンロッド9a上面に当接するまでネジ戻す(図8(E)を参照)。この工程を繰り返して柱部材6’、ひいては上部建物2を上昇させる。なお、下側の反力ナット14bは、図示は省略したが、支持用治具9bの側方に設けた孔からネジ込む。
上記4機のジャッキ9は、図9に示すように、下側柱4bの四隅、即ち、下側柱4bを中心にクロスの配置に設置しても良い。図7に示すジャッキ9…の配置関係に比べて、吊り点が柱部材6’の中心に近づき、架台用梁12の幅寸だけ偏心距離が短くなるので、吊り上げる際の偏心モーメントを軽減することができる。
ちなみに、上記CH型油圧ジャッキの他に、押し上げジャッキ16(図10を参照)や引き上げジャッキ17(図11を参照)を採用することもできる。
本実施例の支持手段3は通例の支持手段であれば採用できるが、図12に示すように、上記したCH型のジャッキ9を既存柱4の周辺に配置し、同ジャッキ9のピストンロッド9aを上階床2bの下面に繋げて上部建物2を支持させても良い(請求項6記載の発明)。免震装置5と柱部材6とで上部建物2を支持させた後は、前記ジャッキ9を解放し、今度は上部建物2を上昇させるために使用することができる。
なお、上記実施例1では、既存建物1の1階部分の増築と共に、同既存建物1を免震化しているが、これに限らない。下側柱4bを覆った柱部材6の上端部を直接に上側柱4aと接合しても良い。この場合は、上側柱4aの下端部に十分なせん断剛性を有する水平力伝達板が接合され、柱部材6の上端部に前記水平力伝達板を接合又は嵌め入れる(請求項7記載の発明)。隣接する柱部材6と6の上端相互を連結した梁7の上面を前記水平力伝達板の上面より高く又は面一に配置すると、同梁7の上面を上階梁2aの下面に当接させて、上部建物2を上昇させることができる(請求項8記載の発明)。
また、上記実施例1ではジャッキ9を盛り替えているが、これに限らない。上部建物2の荷重が大きいなどの理由により、柱部材6、6’の高さを短くせざるを得ない場合は、柱部材6’の反力治具10を省略して、断続的に梁7へジャッキ9を繋いで上部建物2を上昇させても良い。
次に、請求項2及び請求項4に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法の実施例を、図13〜図17に基づいて説明する。なお、本実施例の増築工法は、上記実施例1の増築工法と略同様であるので、重複する説明は省略する。
先ず、増築階である1階部分の既存柱4の切断位置より下側の柱4bを、同下側柱4bと略等しい高さH2で、且つ下側柱4bの外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材18で覆い、隣接する柱部材18と18の上端部を相互に梁19で連結する(図13を参照)。
前記梁19と上階梁2aとの間に支持手段20を配置して、1階部分より上部の建物2を支持させ、上記既存柱4を柱部材18の上端位置で切断する(図14の左側の柱4、中央の柱4を参照)。本実施例でも、上記実施例1と同様に、切断位置より上側の柱4aと下側の柱4bとの間に免震装置5を挿入できるように、既存柱4は前記免震装置5の高さ分の空間を形成して切断し、その空間に免震装置5を挿入し、上端部を上側柱4aと剛強に接合し、下端部は柱部材18の上端部と剛強に接合する(図14の右側の柱4を参照)。そして、支持手段20を解放して、上部建物2を免震装置5と柱部材18で支持させる。
前記柱部材18に反力治具21を設けて、同反力治具21へジャッキ22を繋ぎ(図15を参照)、1階部分の床8aに反力をとって、柱部材18が下側柱4bから抜けない限度に上部建物2を上昇させる(図16の左側の柱4を参照)。ちなみに、本実施例のジャッキ22には、上記したCH型油圧ジャッキを採用している。
その後の工程は、上記実施例1と同様に、露出した下側柱4bを再び柱部材18’で覆い(図16の中央の柱4を参照)、同柱部材18’の上端部を上方の柱部材18の下端部と接合し、ジャッキ22を解放して上部建物2を免震装置5と柱部材18,18’で支持させる(図16の右側の柱4を参照)。そして、前記柱部材18’に設けた反力治具21へジャッキ22を繋ぎ直し、上部建物2を上昇させる行程を繰り返して上部建物2を所定の高さまで上昇させ、柱部材18、18’…の内部にコンクリート23を充填して同柱部材18、18’…を上下の柱4a、4bと一体化する。最後に、柱部材18、18’…の反力治具21を撤去すると共に、新築の床24を設置し、内外装を施工すると増築作業は完了する(図17を参照)。
上記した増築工法も、ジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、水平力は下部建物8から上部建物2へ良好に伝達され、層間で大きく相対変位することがないので、安全性が高い。また、柱部材18、18’…は上下の柱4a、4bと軸心が略同一となるので、精度良く既存柱4を延長させることができる。
ジャッキ22の設置部を大掛かりに補強する必要が無く、安価に、しかも簡易に既存柱4を延長させて増築することができる。
なお、上記実施例2でも、既存建物1の1階部分の増築と共に、同既存建物1を免震化しているが、この限りでなく、上記実施例1と同様に、下側柱4bを覆った柱部材18の上端部を直接に上側柱4aの下端部と接合しても良い(請求項7記載の発明)。
また、上記実施例2では、柱部材18、18’…に反力治具21を設けて、当該反力治具21へジャッキ22を繋げて上部建物2を上昇させているが、この限りでない。すなわち、上記実施例1と同様に、最初のジャッキアップの工程は梁19へジャッキ22を繋いで上部建物2を上昇させ、その後のジャッキアップの工程は柱部材18’に設けた反力治具21へジャッキ22を繋げて上部建物2を上昇させても良い。また、ジャッキ22を盛り替えることなく、断続的に梁19へジャッキ22を繋いで上部建物2を上昇させても良い。
次に、請求項3及び請求項7〜9並びに請求項11に記載した発明に係る既存建物の下層階増築工法の実施例3を、図18〜図28に基づいて説明する。なお、本実施例も上記実施例1、2との重複した説明は省略する。
先ず、増築階である1階部分の既存柱4を4枚の補強部材25…で密接に覆う(図18及び図19を参照)。前記補強部材25は、長さLが既存柱4の切断位置より下側の柱4bをほぼ覆うことが可能な長さで、幅寸Tが既存柱4の一辺と略等しい幅寸の鋼板から成り、同補強部材25を既存柱4の側面と突き合わせるように配置して、その端部を隣接する補強部材25の端部と接合する。そして、前記補強部材25を既存柱4へアンカー等の手段で定着する。ちなみに、本実施例では、補強部材25を既存柱4の鉄骨4cの下部へ定着している。
1階部分より上部の建物2を支持手段(図示を省略)によって支持させ、前記既存柱4を補強部材25の上端位置(本実施例でも、上階梁2aの直下位置)で切断する(図20を参照)。
前記補強部材25を、下側柱4bをほぼ覆うことが可能な高さで、且つ補強部材25の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材26で覆い、隣接する柱部材26と26との上端部を相互に梁27で連結する(図21を参照)。なお、補強部材25の外周にテフロン(登録商標)シート等の摺動部材28を設けてから柱部材26で覆うと、後に柱部材26を上昇させる際に摩擦抵抗が低減され好都合である(請求項11記載の発明、図22(A)、(B)を参照)。
前記柱部材25の下端部にジャッキ受架台29を設け、同ジャッキ受架台29にジャッキ30を設置し、上記梁27へジャッキ30の上端部を繋ぐ。そして、切断位置より上側の柱4aの下端部に、柱部材26の内周と略等しい外周で、且つ十分なせん断剛性を有する水平力伝達板31を接合する。前記梁27が上階梁2aの下面に当接するまで、下側柱4bに反力をとって、柱部材26と梁27を上昇させ、同柱部材26の内部に水平力伝達板31を嵌め入れる(請求項7、8記載の発明)。その結果、上部建物2と下部建物8とは水平力の伝達が可能な構造に連結される。更に、下側柱4bに反力をとって、柱部材26が補強部材25から抜けない限度に上部建物2を上昇させる(請求項9記載の発明、図23及び図24を参照)。下側柱4bは補強部材25で補強したので、ジャッキアップの際に水平力が作用しても補強部材25の補剛効果によって、安全性を一層高められる。しかも、下側柱4bから反力をとってジャッキアップするので、1階部分の床8aから反力をとる場合に比べて大きな荷重を掛けて上部建物2を上昇させることができる。特に、梁27と上階梁2aとを当接させ、同梁27を押し上げて上部建物2を上昇させるので、上部建物2に集中荷重が生じることが無く、大きな荷重をかけて上部建物2を上昇させることができる。
露出した補強部材25を再び柱部材26’で覆い、同柱部材26’の上端部を上方の柱部材26の下端部と接合し、ジャッキ30を解放して上部建物2を柱部材26、26’で支持させる(図25及び図26を参照)。
前記ジャッキ30の上端部を梁27へ繋ぎ直し、下側柱4bに反力をとって、柱部材26’が補強部材25から抜けない限度に上部建物2を上昇させる。
その後、更に露出した補強部材25を柱部材26’で覆い、ジャッキアップするまでの工程を繰り返して上部建物2を所定の高さまで上昇させ、柱部材26、26’…の内部にコンクリート23を充填して同柱部材26、26’…を上下の柱4a、4bと一体化する(図27及び図28を参照)。柱部材26、26’…は上下の柱4a、4bと軸心が略同一となるので、精度良く既存柱4を延長させることができる。
最後に、図示は省略したが新設床を必要に応じて設置し、内外装を施工すると増築作業は完了する。
上記した増築工法も、ジャッキアップの際に地震などの水平力が作用しても、水平力は下部建物8から上部建物2へ良好に伝達され、層間で大きく相対変位することがないので、安全性が高い。また、柱部材26、26’…は上下の柱4a、4bと軸心が略同一となるので、精度良く既存柱4を延長させることができる。
ジャッキ30の設置部を大掛かりに補強する必要が無く、安価に、しかも簡易に既存柱4を延長させて増築することができる。
なお、上記実施例3では、ジャッキ30を盛り替えることなく、断続的に梁27へジャッキ30を繋いで上部建物2を上昇させているが、この限りでない。すなわち、上記実施例1と同様に、最初のジャッキアップの工程は梁27へジャッキ30を繋いで上部建物2を上昇させ、その後のジャッキアップの工程は柱部材26’に設けた反力治具へジャッキ30を繋げて上部建物2を上昇させても良い。また、上記実施例2と同様に、柱部材26、26’に反力治具を設けて、当該反力治具へジャッキ30を繋げて上部建物2を上昇させても良い。
また、上記実施例3では、補強部材25に設けたジャッキ受架台29にジャッキ30を設置し、下側柱4bに反力をとって上部建物2を上昇させているが、この限りでない。すなわち、補強部材25のジャッキ受架台29を省略して、既存建物1の1階部分の床8a上へジャッキ30を設置し、当該床8aに反力をとって上部建物2を上昇させても良い。
更に、上記実施例3では、既存柱4を上階梁2aの直下位置で切断しているが、この限りでない。すなわち、前記切断位置より下方の位置で切断しても良い。この場合は、上側柱4aが大きく突き出ることになり、柱部材26を上昇させた際に、前記上側柱4aの外周と柱部材26の内周との間に補強部材25の厚さ分の隙間が生じる。そのため、予め介在物32を上側柱4aの外周に被せておくと、上昇させた際に前記隙間が塞がり、水平力をより確実に伝達することができる(請求項10記載の発明、図29を参照)。
上記実施例3では、補強部材25の外周と柱部材26の内周とを略等しく形成し、嵌合構造としているが、この限りでない。補強部材25の内周又は柱部材26の外周の一方に凸部33を設け、他方に凹部34を設けて、シアーキー構造で嵌め合わせても良い(請求項12記載の発明、図30を参照)。
上記実施例1〜3の増築工法は、既存建物1の1階部分を増築しているが、これに限らず、2階部分でも良く特に限定されない。
また、図示例では既存柱4が角形柱であるが、丸形柱でも略同様に実施できる。
本発明に係る既存建物の下層階増築工法が実施される既存建物の立面図を示している。 実施例1の工程図を示している。 実施例1の工程図を示している。 実施例1の工程図を示している。 実施例1の工程図を示している。 実施例1の工程図を示している。 ジャッキの構造を概略的に示した斜視図である。 ジャッキの盛り換え工程を示した図である。 図7の異なるジャッキの配置関係を示した斜視図である。 異なるジャッキの構造を概略的に示した立面図である。 更に異なるジャッキの構造を概略的に示した立面図である。 ジャッキを支持手段として用いた実施例を示した立面図である。 実施例2の工程図を示している。 実施例2の工程図を示している。 実施例2の工程図を示している。 実施例2の工程図を示している。 実施例2の工程図を示している。 実施例3の工程図を示している。 (A)は、既存柱を補強部材で覆った状態を示した縦断面図である。(B)は、(A)の水平断面図である。 実施例3の工程図を示している。 実施例3の工程図を示している。 (A)は、補強部材を柱部材で覆った状態を示した縦断面図である。(B)は、(A)の水平断面図である。 実施例3の工程図を示している。 図23に示すジャッキアップの際の各部材の取り合い関係を示した拡大図である。 実施例3の工程図を示している。 図25に示すジャッキアップの際の各部材の取り合い関係を示した拡大図である。 実施例3の工程図を示している。 図27に示すジャッキアップの際の各部材の取り合い関係を示した拡大図である。 上側柱に介在物を被せ、ジャッキアップした際の各部材の取り合い関係を示した拡大図である。 シアーキー構造で補強部材と柱部材とを嵌め合わせた構造を示した水平断面図である。
符号の説明
1 既存建物
2 上部建物
2a 上階梁
2b 上階床
3 支持手段
4 既存柱
4a 上側柱
4b 下側柱
5 免震装置
6、6’ 柱部材
7 梁
8 下部建物
9 ジャッキ
10 反力治具
11 架台用支柱
12 架台用梁
13 ネジロッド
14a、14b 反力ナット
15 桁
18、18’ 柱部材
19 梁
20 支持手段
21 反力治具
22 ジャッキ
25 補強部材
26、26’ 柱部材
27 梁
28 摺動部材
29 ジャッキ受架台
30 ジャッキ
31 水平力伝達板
32 介在物
33 凸部
34 凹部

Claims (12)

  1. 既存建物の下層階を増築するための工法であって、
    I)増築階より上部の建物を支持手段によって支持させ、前記増築階の既存柱を上端近傍位置で切断する工程と、
    II)切断位置より下側の柱を、同下側の柱と略等しい高さで、且つ下側柱の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、前記支持手段を解放して前記上部建物を柱部材で支持させる工程と、
    III)隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結し、同梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床等に反力をとって、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    IV)露出した下側柱を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
    V)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床等に反力をとって、同じく柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    VI)その後、IV)とV)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする、既存建物の下層階増築工法。
  2. 既存建物の下層階を増築するための工法であって、
    I)増築階の既存柱の切断位置より下側の柱を、同下側の柱と略等しい高さで、且つ下側柱の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結する工程と、
    II)前記梁と上階梁との間に支持手段を配置して、増築階より上部の建物を支持させ、前記既存柱を柱部材の上端位置で切断する工程と、
    III)柱部材の上端部を切断位置より上側の柱と接合し、前記支持手段を解放して前記上部建物を柱部材で支持させる工程と、
    IV)前記梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床等に反力をとって、柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    V)露出した下側柱を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
    VI)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床等に反力をとって、同じく柱部材が下側柱から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    VII)その後、V)とVI)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする、既存建物の下層階増築工法。
  3. 既存建物の下層階を増築するための工法であって、
    I)増築階の既存柱は補強部材で密接に覆い、同補強部材を既存柱へ定着させる工程と、
    II)増築階より上部の建物を支持手段によって支持させ、前記既存柱を補強部材の上方位置で切断する工程と、
    III)前記補強部材を、当該切断位置より下側の柱をほぼ覆うことが可能な高さで、且つ補強部材の外周と略等しい内周の鋼管を縦方向に二分割して成る柱部材で覆い、隣接する柱部材の上端部を相互に梁で連結する工程と、
    IV)前記梁又は柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ、増築階の床又は下側柱に反力をとって、予め切断位置より上側の柱と接合した柱部材が補強部材から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    V)露出した補強部材を再び柱部材で覆い同柱部材の上端部を上方の柱部材の下端部と接合し、その後前記ジャッキを解放して上部建物を柱部材で支持させる工程と、
    VI)前記梁又は下方側の柱部材に設けた反力治具へジャッキを繋ぎ直し、同ジャッキにより増築階の床又は下側柱に反力をとって、同じく柱部材が補強部材から抜けない限度に上部建物を上昇させる工程と、
    VII)その後、V)とVI)の工程を繰り返して上部建物を所定の高さまで上昇させ、柱部材の内部にコンクリートを充填して上側柱及び下側柱と一体化する工程とから成ることを特徴とする、既存建物の下層階増築工法。
  4. 上側柱と下側柱との間へ免震装置を挿入し、同免震装置の上端部を上側柱の下端部と接合し、下端部は下側柱を覆った柱部材の上端部と接合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法。
  5. 下側柱を囲む位置に架台を配置し、同架台上へ4機のセンターホール型油圧ジャッキを平面視が下側柱の中心線を通る対称の配置で設置すること、
    前記ジャッキの貫通孔にネジロッドを通し、上端部を上下2個の反力ナットで同ジャッキに連結すること、
    柱部材の側面で隣り合うネジロッドの下端部相互を桁で連結し、同桁を柱部材の反力治具に引っ掛けること、
    ジャッキの伸縮、及び反力ナットの盛り換えを繰り返して柱部材を上昇させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法。
  6. 支持手段として、先に既存柱を囲む位置に架台を配置し、同架台上へ4機のセンターホール型油圧ジャッキを平面視が既存柱の中心線を通る対称の配置で設置し、同ジャッキを上階床の下面に繋げて上部建物を支持させることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存建物の下層階増築工法。
  7. 上側柱の下端部に十分なせん断剛性を有する水平力伝達板を接合し、柱部材の上端部に前記水平力伝達板を接合又は嵌め入れることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した既存建物の下層階増築工法。
  8. 既存柱を上階梁の直下位置で切断し、隣接する柱部材の上端相互を連結した梁を前記上階梁に当接させて上部建物を上昇させることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存建物の下層階増築工法。
  9. 補強部材の下端部にジャッキ受架台を設け、同ジャッキ受架台上に設置されたジャッキを、梁又は柱部材に設けた反力治具へ繋ぎ、下側柱に反力をとって上部建物を上昇させることを特徴とする、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法。
  10. 上側柱に補強部材の厚さと略等しい厚さの介在物を被せることを特徴とする、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法。
  11. 補強部材の外周に摺動部材を設けてから、同補強部材を柱部材で覆うことを特徴とする、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法。
  12. 補強部材の内周又は柱部材の外周の一方に凹部を設け、他方に凸部を設けており、シアーキー構造で嵌め合わせていることを特徴とする、請求項3に記載した既存建物の下層階増築工法。
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