JP2005264293A - 真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法 - Google Patents

真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 真空脱ガス設備の精錬中に、Alによって還元されたMgOから発生するMgガスを用いて溶鋼を脱硫処理する際に、反応界面積を従来に比較して大幅に拡大し、効率良く脱硫処理する。
【解決手段】 真空脱ガス設備1において精錬されている減圧下の溶鋼3の湯面に、上吹きランス13を用いて粉状のMgO源を吹き付け、予め溶鋼に添加したAl、MgO源と同時期に原料投入口12から添加したAl、或いはMgO源と共に上吹きランスから吹きつけたAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法に関するものである。
近年、従来にも増して不純物の少ない高級鋼製造に対する要請が増大しており、特に、硫黄含有量の少ない低硫鋼が求められている。低硫鋼の製造においては、転炉での脱炭工程の前に溶銑段階で脱硫処理を施すことが行われているが、硫黄濃度が0.001mass%以下である所謂極低硫鋼では、更に転炉から出鋼後の溶鋼段階でも脱硫が行われている。溶鋼の脱硫剤としては、一般に、主成分として生石灰(CaO)を用い、これに融点降下剤としてのアルミナ(Al23 )、蛍石(CaF2 )などを含有させた脱硫剤が使用されている。
この溶鋼の脱硫処理は、従来、加熱手段や攪拌手段更にはインジェクション手段を備えた、大気圧で行う所謂取鍋精錬炉で行われていた。ところで、極低硫鋼のような高級品種では、脱水素或いは溶鋼の清浄化などの目的のために脱ガス処理が必要であり、そのため、極低硫鋼は、転炉から出鋼後、先ず、取鍋精錬炉で脱硫され、その後、真空脱ガス設備で脱水素などがなされ、取鍋内において2つの精錬設備を経て製造されていた。しかし、2つの二次精錬設備の間を搬送することの煩雑さや、設備の二重投資の無駄などの問題点を解決するため、脱水素が主体であった真空脱ガス設備において脱硫処理を行うことで、製造プロセスの簡素化を図る多数の試みが提案されている。
例えば、特許文献1には、脱硫剤として生石灰に蛍石を添加したものを用い、RH真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼に脱硫剤を上吹きして脱硫処理する方法が提案されている。また、特許文献2には、RH真空脱ガス装置では溶鋼の攪拌が激しく、蛍石を含む脱硫剤を添加することによって真空脱ガス設備の耐火物の溶損が激しくなるため、これを防止するために、CaO−CaF2 系脱硫剤にMgOを添加した脱硫剤を使用して脱硫することが提案されている。但し、MgOを添加することによって脱硫能は低下する。
しかし、CaOを主成分とする脱硫剤では、何れにしろ、脱硫反応促進のためにアルミナや蛍石を添加してCaOの融点を下げる必要があることから、脱硫に直接関係のないアルミナなどの添加によるスラグ量の増加及びこれによる溶鋼温度の低下、或いは、蛍石の添加による耐火物の溶損などが避けられない。そこで、これらを未然に防止した脱硫方法として、特許文献3には、AlとMgOとを含有する塊成化した脱硫剤を、真空脱ガス設備の真空槽内の溶鋼上に投入添加して脱硫処理する方法が提案されている。特許文献3による脱硫処理方法は、AlによってMgOを還元し、発生するMgガスと溶鋼中の硫黄と反応させ、脱硫するという方法である。
特開平5−239534号公報 特公平1−49772号公報 特開平11−193416号公報
しかしながら、特許文献3の方法にも幾つかの問題点があり、その主たるものを挙げれば、以下の如くである。即ち、特許文献3では、真空脱ガス設備の排気装置によって排気されないようにするため、塊成化した脱硫剤を上置き投入しており、脱硫反応は主として塊状の脱硫剤の表面で起こり、反応界面積が小さく、脱硫速度が必ずしも速くない。また、塊成化したため溶鋼中における脱硫剤の浮上速度が速くなり、反応時間の減少を助長させる一因になっている。これらから、脱硫効率が必ずしも高いとはいえず、更なる改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、真空脱ガス設備の精錬中に、Alによって還元されたMgOから発生するMgガスを用いて溶鋼を脱硫処理する際に、反応界面積及び反応時間を従来に比較して大幅に拡大し、効率良く脱硫処理することができる、溶鋼の脱硫処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法は、真空脱ガス設備において精錬されている溶鋼のAl濃度を0.05mass%以上に調整し、次いで、上吹きランスを用いて減圧下の溶鋼の湯面に粉状のMgO源を吹き付け、溶鋼中のAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とするものである。
第2の発明に係る真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法は、真空脱ガス設備において精錬されている溶鋼にAl源を連続的に添加しながら、上吹きランスを用いて減圧下の溶鋼の湯面に粉状のMgO源を吹き付け、溶鋼中に溶解したAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とするものである。
第3の発明に係る真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法は、真空脱ガス設備において精錬されている減圧下の溶鋼の湯面に、上吹きランスを用いて粉状のMgO源及び粉状のAl源を同時に吹き付け、溶鋼中に溶解したAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とするものである。
第4の発明に係る真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法は、第1の発明ないし第3の発明において、前記MgO源のサイズは、平均粒径が1mm以下であることを特徴とするものである。
本発明においては、減圧下の溶鋼湯面に、上吹きランスを介してMgO源を高速度で吹き付けて添加するので、MgO源が粉体であっても、真空脱ガス設備の排気装置によって排気されず、溶鋼中に添加することができる。そして、MgO源を、比表面積の大きな粉体で添加するため、MgO源の反応界面積が大きく、そのため、溶鋼中に予め添加したAl或いはMgO源と同時に添加したAl源とMgOとが、下記の(1)式にしたがって迅速に反応してMgガスを生成し、生成したMgガスが、下記の(2)式にしたがって溶鋼中の硫黄と反応してMgSが形成されるので、溶鋼を効率よく脱硫処理することが可能となる。
Figure 2005264293
また、MgO源が粉体であるので、塊状の場合に較べて溶鋼中における浮上速度が遅く、MgO源が溶鋼中に長時間滞在するので、反応時間が長くなり、脱硫反応がより一層効率化する。更に、MgOを主成分とする高融点の脱硫剤を使用するので、真空脱ガス設備の耐火物の溶損が、CaO−CaF2 系の脱硫剤を使用した場合に比較して大幅に抑制される。MgO源の大きさは、反応界面積を大きくする観点から平均粒径が1mm以下であることが好ましい。
本発明によれば、粉体のMgO源を脱硫剤として使用するため、塊状のMgO源を使用した場合に比べて大幅に反応界面積及び反応時間が増大し、生成するMgガスの生成量が増加するため、溶鋼を効率良く脱硫処理することができる。また、CaO系脱硫剤による脱硫と異なり、アルミナや蛍石などの滓化促進剤を必要とせず、また、安価なMgOやAlを用いるため、脱硫剤原単価の低減が可能である。更に、CaO系の脱硫剤による脱硫反応と異なり脱硫剤を滓化させる必要がない上に、AlによるMgOの還元は発熱反応であるため、脱硫処理による溶鋼の温度降下を低減することができる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明による脱硫処理を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略断面図である。
図1において、1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は上吹きランスであり、真空槽5は上部槽6と下部槽7とから構成されている。
高炉から出銑され、溶銑段階で脱硫処理が施された溶銑の転炉脱炭精錬により得た溶鋼3を転炉から取鍋2に出鋼し、溶鋼3を収容した取鍋2をRH真空脱ガス装置1へ搬送する。RH真空脱ガス装置1では、搬送された取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8内にArガスを環流用ガスとして吹き込むと共に、真空槽5内をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5内を減圧する。真空槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスと共に上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
このRH真空脱ガス精錬中に、上吹きランス13から搬送用ガスと共に粉状のMgO源を真空槽5内の溶鋼3に向けて吹き付けて添加(「投射」ともいう)し、溶鋼3に脱硫処理を施す。搬送用ガスとしては、還元反応である脱硫反応を妨げることがないようにするため、Arガスなどの希ガスを用いることが好ましい。この場合に、溶鋼3に対して真空脱炭処理を施す必要がある場合には、脱硫処理の前に真空脱炭処理を施すことが好ましい。脱硫処理は還元反応であるのに対して真空脱炭処理は酸化反応であり、また、RH真空脱ガス精錬終了時には溶鋼3は一般に脱酸された状態となるので、脱硫処理、真空脱炭処理の順で精錬すると、脱硫処理で使用する還元剤即ち脱酸剤が真空脱炭処理において酸化してしまうため、無駄となるからである。但し、品質上に問題が生ずるなど不都合が生ずる場合には、この限りではない。
粉状のMgO源で溶鋼3を脱硫処理するには、前述した(1)式及び(2)式に示すようにAlが必要であり、従って、Al源を溶鋼3に投入する。このAl源の添加方法として、次の3つの方法を用いることができる。
1つ目の方法は、粉状のMgO源を投射する以前に、塊状の金属AlなどのAl源を原料投入口12から真空槽5内の溶鋼3に投入し、脱硫反応に必要な量のAlを溶鋼3に含有させておく方法である。本発明者等は、溶鋼中のAl濃度を0.05mass%以上とすれば、脱硫反応に必要な量のAlを確保できることを確認している。2つ目の方法は、粉状のMgO源の投射と同時期に、塊状の金属AlなどのAl源を原料投入口12から真空槽5内の溶鋼3に投入する方法である。3つ目の方法は、粉状のAl源を粉状のMgO源と同時に上吹きランス13から、真空槽5内の溶鋼3に向けて投射する方法である。どの方法を用いても、上吹きランス13から高速度で投射された粉状のMgO源は溶鋼3に混合し、真空槽5から取鍋2へと環流する溶鋼3と共に取鍋2に流入する。その間、溶鋼3に溶解したAlと反応し、Mgガスを生成し、このMgガスと溶鋼3中の硫黄とが反応し、効率良く脱硫処理することができる。2つ目の方法及び3つ目の方法でも、溶鋼3を脱酸する程度のAlを予め添加しても構わない。
MgO源としては、特に制限されるものではなく、例えば、ブルーサイト(Mg(OH)2 )やマグネサイト(MgCO3 )などを熱分解して得られる天然マグネシア、或いは海水から得られる海水マグネシアなどを好適に用いることができる。また、MgO源として900℃までに熱分解してMgOになる各種のMgO前駆体を使用してもよい。例えば、Mg(OH)2 やMgCO3 が挙げられる。ドロマイト(MgCO3 ・CaCO3 )を添加してもよい。MgO源粉末のMgO濃度は88mass%以上が好ましい。88mass%未満ではMgガスの発生に寄与しない成分が過多となり好ましくない。MgO源のサイズは、界面積を大きくして脱硫反応を促進させるために、1mm以下の平均粒径であることが好ましい。
MgO源粉末と同時に上吹きランス13から投射する粉状のAl源も特に制限されるものではない。粉状のAl源としては、アルミニウム融液をガスでアトマイズして得られるアトマイズ粉末、アルミニウム合金を研磨、切削する際に発生する粉末、アルミニウムスクラップを溶解再生するときに発生するアルミニウムドロス粉末などを好適に用いることができる。この粉状のAl源のサイズも、円滑な投射を行う上で、MgO源と同様に平均粒径を1mm以下とすることが好ましい。
Mgガスと溶鋼3に含有される硫黄との反応生成物であるMgSは、最終的には溶鋼3から浮上してスラグ4に吸収される。しかし、スラグ4の酸素ポテンシャルが高い場合には、下記の(3)式によってMgSがMgOになり、硫黄が溶鋼3に戻る現象、所謂復硫が起こり、脱硫効率が低下する。
Figure 2005264293
この復硫を防止するために、スラグ4のCaO濃度を、スラグ4の塩基度(CaO/SiO2 )が2.0以上となるように、調整することが好ましい。塩基度を高くすることにより酸素ポテンシャルが低下し、CaOとMgSとが下記の(4)式により反応し、安定なCaSが形成されるため、復硫が防止される。
Figure 2005264293
また、復硫を防止するために、CaOまたはCaCO3 を主成分としたものを、MgO粉末投射後に原料投入口12から添加してもよく、また、MgO粉末に混合して同時に投射してもよい。CaOまたはCaCO3 をMgO粉末に混合する場合には、CaOまたはCaCO3 をMgOの添加量の5mass%以上の量とすることが好ましい。更に、スラグ4の酸素ポテンシャルを低下させるために、スラグ4にAl源を添加し、Alでスラグ4を還元してもよい。
所定量のMgO粉末を投射した以降も数分ないし十数分間溶鋼3を環流させて脱硫し、溶鋼3の硫黄濃度が目標値まで低下したなら、必要に応じてAl、C、Si、Mn、Nb、Tiなどの成分調整剤を、環流を継続した状態で原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整した後、真空槽5の内部を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了する。脱水素処理、脱窒素処理及び清浄化処理は、溶鋼3を環流させることで脱硫処理と同時に遂行される。
このように、本発明によれば、減圧下の溶鋼湯面に、上吹きランス13を介してMgO源を高速度で吹き付けて添加するので、MgO源が粉状であっても、RH真空脱ガス装置1の排気装置によって排気されず、溶鋼3中に添加することができる。そして、MgO源を、比表面積の大きな粉体で添加するため、MgO源の反応界面積が大きくなり、溶鋼3を効率よく脱硫処理することができる。また、MgOを主成分とする高融点の脱硫剤を使用するので、脱硫剤を滓化させる必要がなく、RH真空脱ガス装置1の耐火物の溶損が、CaO−CaF2 系の脱硫剤を使用した場合に比較して大幅に抑制される。
尚、上記説明は真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置1を使用した例で説明したが、本発明はRH真空脱ガス装置1に限るものではなく、上吹きランスを有するならば、DH真空脱ガス装置、VOD設備、VAD設備などにも上記説明に沿って適用することができる。
図1に示すRH真空脱ガス装置を用い、溶鋼にMgO粉末を投射して脱硫する試験を実施した。転炉から取鍋へ出鋼された約250トンの溶鋼を出鋼時に金属Alで脱酸し、この溶鋼をRH真空脱ガス装置に搬送した。出鋼時の溶鋼中の硫黄濃度をおよそ35ppmに調整すると共に、出鋼時に取鍋内に生石灰を投入してスラグの塩基度を2.0以上に調整した。RH真空脱ガス装置では、水準1〜3の3種類の方法で脱硫処理を施した。
水準1では、RH真空脱ガス装置において溶鋼の環流が形成されたなら、原料投入口から塊状の金属Alを添加し、溶鋼中のAl濃度を0.05mass%に調整した後、平均粒径が1.0mm以下の粉状のMgOと、平均粒径が1.0mm以下の粉状のCaOとの混合物(MgO質量:CaO質量=9:1)を、RH真空脱ガス精錬開始から約3分経過した時点から上吹きランスを介して70kg/minの添加速度で窒素ガスを搬送用ガスとして溶鋼湯面に吹き付けた。
水準2では、RH真空脱ガス装置において溶鋼の環流が形成され、RH真空脱ガス精錬開始から約3分経過した時点から、原料投入口から塊状の金属Alを30kg/minの添加速度で添加すると同時に、平均粒径が1.0mm以下の粉状のMgOと、平均粒径が1.0mm以下の粉状のCaOとの混合物(MgO質量:CaO質量=9:1)を、上吹きランスから70kg/minの添加速度でArガスを搬送用ガスとして溶鋼湯面に吹き付けた。
水準3では、RH真空脱ガス装置において溶鋼の環流が形成され、RH真空脱ガス精錬開始から約3分経過した時点から、平均粒径が1.0mm以下の粉状のMgOと、平均粒径が1.0mm以下の粉状のCaOとの混合物(MgO質量:CaO質量=9:1)を、上吹きランスから70kg/minの添加速度で溶鋼湯面に吹き付けると当時に、上吹きランスから26kg/minの添加速度で平均粒径が1.0mm以下のアトマイズAl粉を溶鋼湯面に吹き付けた。即ち、上吹きランスからMgO粉末、CaO粉末、Al粉末の混合物を96kg/minの添加速度でArガスを搬送用ガスとして溶鋼湯面に吹き付けた。
各水準共に、MgO粉末とCaO粉末との混合物の投射量が溶鋼トン当り4kg(総量:1000kg)となった時点で投射を中止した。水準2では上吹きランスからの投射を停止する時期に合わせて、金属Alの投入も停止した。投射停止後も環流を続け、RH真空脱ガス装置における処理開始から30分間経過した時点で真空脱ガス精錬を終了した。この間、約5分間毎に溶鋼から分析試料を採取して、硫黄濃度の推移を調査した。脱硫剤の原単位を溶鋼トン当り4kgに合わせた試験のうちで、水準1の試験を本発明例1、水準2の試験を本発明例2、水準3の試験を本発明例3と表示する。上記の条件では、本発明例2における金属Alの添加量は約430kg、本発明例3におけるアトマイズAl粉の添加量は370kgとなる。
また、比較のために、CaO−CaF2 系の脱硫剤を上吹きランスから窒素ガスを搬送用ガスとして投射して脱硫した水準4の試験、及び、MgO粉末とAl粉末との混合物を塊状のブリケットに成形した脱硫剤を、原料投入口から溶鋼に上置き投入して脱硫した水準5の試験も実施し、水準4及び水準5でも溶鋼の硫黄濃度の推移を調査した。脱硫剤の添加開始時期は、水準1〜3と同一とした。水準4では、脱硫剤の原単位を水準1〜3に合わせ、また、水準5では脱硫剤中のMgOで換算した原単位を水準1〜3に合わせた。脱硫剤の原単位を水準1〜3に合わせた試験のうちで、水準4の試験を比較例1と表示し、水準5の試験を比較例2と表示する。
表1に本発明例1〜3及び比較例1〜2における操業条件及び脱硫率を示す。脱硫率は、脱硫処理開始前の溶鋼中硫黄濃度と脱硫処理終了時の溶鋼中硫黄濃度との差を、脱硫処理開始前の溶鋼中硫黄濃度に対して百分率で表示したものである。また、図2に、本発明例1〜3及び比較例1〜2において調査した溶鋼中の硫黄濃度の推移を示す。
Figure 2005264293
表1及び図2に示すように、本発明例1〜3では、溶鋼中の硫黄濃度は安定して10ppm以下となり、75%以上の高い脱硫率が得られた。これに対して、比較例1では、溶鋼の硫黄濃度は25ppm程度に留まり、脱硫率は24%であった。比較例2では、比較例1に比べて大幅に脱硫率が向上したが、本発明例1〜3の脱硫率に比べれば低かった。
また、水準1〜5において、1チャージ当たりの脱硫剤の使用量を変更した試験をそれぞれ実施し、RH真空脱ガス装置の下部槽耐火物の損傷速度を調査した。その結果を、表2及び図3に示す。
Figure 2005264293
表2及び図3に示すように、MgO粉末を脱硫剤とした水準1〜3及び水準5では、CaO−CaF2 系脱硫剤を使用した水準4に対して、RH真空脱ガス装置の下部槽耐火物の損傷速度が大幅に低減することが確認できた。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略断面図である。 実施例1において調査した溶鋼中の硫黄濃度の推移を示す図である。 実施例1において調査したRH真空脱ガス装置の下部槽耐火物の損傷速度を示す図である。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス

Claims (4)

  1. 真空脱ガス設備において精錬されている溶鋼のAl濃度を0.05mass%以上に調整し、次いで、上吹きランスを用いて減圧下の溶鋼の湯面に粉状のMgO源を吹き付け、溶鋼中のAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とする、真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法。
  2. 真空脱ガス設備において精錬されている溶鋼にAl源を連続的に添加しながら、上吹きランスを用いて減圧下の溶鋼の湯面に粉状のMgO源を吹き付け、溶鋼中に溶解したAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とする、真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法。
  3. 真空脱ガス設備において精錬されている減圧下の溶鋼の湯面に、上吹きランスを用いて粉状のMgO源及び粉状のAl源を同時に吹き付け、溶鋼中に溶解したAlとMgO源中のMgOとを反応させてMgガスを生成させ、このMgガスによって溶鋼を脱硫することを特徴とする、真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法。
  4. 前記MgO源のサイズは、平均粒径が1mm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の真空脱ガス設備における溶鋼の脱硫処理方法。
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