JP2005263858A - 吸水材及びその製造方法並びに吸水性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生分解性を有し、血液、尿等の体液の吸水性能に優れ、製造コストの安価な吸水材及びその製造方法並びにそれを含む吸水性物品を提供すること。
【解決手段】 セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を多価金属イオンで架橋して形成される架橋体からなる吸水材であって、その吸水材0.5gが2.5gの馬血を吸収する吸収時間が、1回目:180秒以内、2回目:600秒以内であり、且つ馬血吸収量が自重の15倍以上であることを特徴とする吸水材を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた生分解性、血液、尿などの体液に対して優れた吸水性能を有する吸水材及びその製造方法並びにそれを含む吸水性物品に関する。
吸水材は、自重の数十倍から数千倍の水を吸水できる樹脂であり、例えばアクリル系吸水材などが知られている。これらの吸水材は、その高い吸水性から広く使い捨て衛生用品に使用されている。しかし、これまでの吸水材は生分解性がなく、それを含む衛生用品の処理方法に問題があった。また、血液に対する吸収性能(吸収速度、繰返し吸収能、保血量等)が不充分であった。
生分解性を有する吸水材としては、例えばポリエチレンオキシド架橋体(例えば、特許文献1参照)、ポリビニルアルコール架橋体(例えば、特許文献2参照)、カルボキシメチルセルロース架橋体(例えば、特許文献3、4参照)、アルギン酸架橋体(例えば、特許文献5参照)、澱粉架橋体(例えば、特許文献6参照)、ポリアミノ酸架橋体(例えば、特許文献7〜11参照)、ガラクトマンナン金属イオン架橋体(例えば、特許文献12〜14参照)などが知られている。
一般に吸水材には、一価以上のカチオンを含む尿、血液、経血、汗等の体液、さらに泥水、海水、河川水などの環境中の液体を大量に、かつ速やかに吸収し、保液することが要求される。さらに環境面から生分解性を有することが望ましい。
しかし、上記した生分解性を有する吸水材は、非生分解性の合成高分子系吸水材と比較した場合、一価以上のカチオンを含む尿、血液どちらに対しても吸水性能が低い、吸水後のゲル強度が弱い、製造コストが高いなどの問題がある。
一方、ポリアクリル酸系吸水材のような非生分解性の合成高分子系吸水材は、生理食塩水などの固形分を含まない粘性の低い液体に対する吸収性能には優れるものの、血液に対する吸収性能(吸収速度、繰返し吸収能、吸収量、保血量等)は不十分であった。
すなわち、非生分解性の合成高分子系吸水材であっても、被吸収液が血液などの場合には、血液吸収時に血液成分が個々の吸水材粒子を包囲し吸収を妨げるために吸水材の吸収量が低下する等の特別の事情があるため、尿に対する吸収量が高い吸水材であっても、血液に対する吸収量も高いとは限らない。
このような事情に鑑み、吸水材の血液吸収特性を改良する試みとして、種々の提案がなされている。例えば、互いに血液吸収速度の異なる二種以上の吸水性樹脂を混合する方法(例えば、特許文献15参照)、また、吸水性樹脂に対して20〜900重量%の水を含有させることにより血液の吸引量を改善する提案(例えば、特許文献16参照)や血液吸収性組成物として、ポリアミノ酸塩を含む吸収性組成物(例えば、特許文献17参照)などが提案されているが、血液の繰り返し吸収性という点では実用上必ずしも満足のいくものではなかった。更に、その他にも吸水性樹脂と陰イオン性界面活性剤及び/又はHLB7以上の非イオン性界面活性剤から成る組成物(例えば、特許文献18参照)、界面活性剤あるいは該界面活性剤とカルボン酸類とを吸水性樹脂に処理することにより、血液に対して優れた吸収特性を有する吸収性組成物(例えば、特許文献19参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの吸水材では、血液の吸収性はある程度改善されるものの、未だ実用上不十分であり、血液と接触した時にゲルブロッキングやママコを生じやすく、特に繰り返し吸収性に劣るという問題があった。血液を繰り返し吸収させた場合、血液中に含まれる赤血球、白血球、血小板などの血球成分や、細胞、タンパク質などの高分子量物質などの固形分が吸水材表面に沈着したり、次の血液を吸収する前に血液凝固が起こるなどの現象により、血液の吸収速度が極端に遅くなり、血液吸収量も低いものとなってしまう。
そこで、本発明者らはガラクトマンナンとホウ素及びホウ素以外の三価以上の多価金属イオンからなる吸水材が、生分解性があり、吸水性能、吸水後のゲル強度が優れていることを報告した(例えば、特許文献20〜25参照)。また、生産性が高く、且つ優れた吸水性能を有する吸水材の製造方法を報告した(例えば、特許文献26、27参照)。
この技術は極めて有意義なものであるが、まだ改善の余地が有り、吸水材のさらなる高性能化が要望されていた。特に、血液、尿等の体液に対するより高い吸液量、保液量が望まれていた。
特開平6−157795号公報 特開平7−228616号公報 米国特許4650716号 特許第2538213号公報 特開平5−105701号公報 特開昭55−15634号公報 特開平7−224163号公報 特開平7−309943号公報 特開平8−59820号公報 特開平8−504219号公報 特開平9−169840号公報 特開平8−59891号公報 特公平3−66321号公報 特開昭56−97450号公報 特開平11−246625号公報 特開平11−47588号公報 特開平7−310021号公報 特開昭58−32641号公報 特開2002−35580号公報 特開2001−120992号公報 特開2001−226525号公報 特開2001−224959号公報 特開2002−37924号公報 特開2002−265672号公報 特開2003−154262号公報 特願2002−253953号 特願2003−397600号
本発明の目的は、上記のような従来の問題点を解決し、生分解性を有し、血液、尿等の体液の吸水性能に優れ、製造コストの安価な吸水材及びその製造方法並びにそれを含む吸水性物品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を多価金属イオンで架橋してなる吸水材が、優れた吸収性能及びゲル強度を併せ持ち、特に血液に対する吸収性能に優れることを見出し、本発明に到達した。
本発明は第一に、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を多価金属イオンで架橋して形成される架橋体からなる吸水材であって、その吸水材0.5gが2.5gの馬血を吸収する吸収時間が、1回目:180秒以内、2回目:600秒以内であり、且つ馬血吸収量が自重の15倍以上であることを特徴とする吸水材を提供する。
吸水材の馬血の保血量は、自重の5倍以上であり、また、吸水材の嵩密度は、0.15〜0.80g/cm3で且つ比表面積は0.1〜200m2/gであるのが好ましい。
多価金属イオンは、アルミニウムイオン、鉄イオン、チタニウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンからなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましい。セルロース誘導体として、カルボキシメチルセルロース塩(以下、CMCと略記する)、好ましくはカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用い、且つ多価金属イオンとして、アルミニウムイオンを用いるものが特に好ましく、この場合、アルミニウムイオン含有量がCMC質量1kg当たり1〜1000ミリモルであるのが好ましい。CMCは、エーテル置換度(DS)が0.3〜2.8であり、且つその1質量%水溶液の粘度が100mPa・s〜20000mPa・sであるのが好ましい。また、アルギン酸はアルギン酸塩であるのが好ましい。
本発明は第二に、
a)多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHが1.0〜7.0の水溶液を提供する工程、
b)該水溶液にセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を、添加後の混合液に対して固形分濃度が2〜40質量%となるように添加し、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を架橋させるとともに水で膨潤、水和させてゲル化させる工程、
c)得られたセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩の架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水する工程、および、
d)乾燥する工程、
を含む上記吸水材の製造方法を提供する。
本発明はさらに、所望により、工程c)により得られた固形物又は工程d)により得られた固形物を、表面架橋剤により処理する工程をさらに含む吸水材の製造方法を提供する。
(用語の定義)
[血液吸収速度(吸収時間)]
φ60mmのシャーレに粒径200〜1000μmの吸水材0.5gをシャーレ底面全体に均一に撒布し、馬血(抗凝固剤ヘパリン含有;ジャパン・ラム社製)2.5gを中央に2秒間で滴下し、吸収が完了(血液が吸収されることを目視で確認)するまでの時間を測定して1回目の吸収速度(吸収時間)とする。1回目の吸収速度(吸収時間)測定終了時から10分後に、再度馬血2.5gを滴下し、吸収が完了するまでの時間を測定して2回目の吸収速度(吸収時間)とする。
[血液吸収量]
血液吸収量の測定は、ティーバッグ法にて馬血を用いて行なう。255メッシュのナイロン網で作製したティーバッグ(縦5.0cm、横7.0cm)に、粒径200〜1000μmの吸水材0.20gを入れ、馬血(抗凝固剤ヘパリン含有;ジャパン・ラム社製)100ml中に60分間浸漬して吸収させた後、15分間吊して液切りした後、その質量を測定する。吸水材の血液吸収量は、60分間馬血に浸した吸水材が入っていないティーバッグの重量をブランクとし、血液吸収して膨潤した吸水材が入ったティーバッグの重量から、膨潤前の吸水材の重量とブランクの重量を減じた値を、膨潤前の吸水材の重量で除した値を血液吸収量(g/g吸水材)とする。
[保血量]
保血量の測定は、ティーバッグ法にて馬血を用いて行なう。255メッシュのナイロン網で作製したティーバッグ(縦5.0cm、横7.0cm)に、粒径200〜1000μmの吸水材0.20gを入れ、馬血(抗凝固剤ヘパリン含有;ジャパン・ラム社製)100ml中に5分間浸漬して吸収させた後、遠心分離機にて850rpmで90秒間遠心した後、その質量を測定する。吸水材の保血量は、5分間馬血に浸した吸水材が入っていないティーバッグを同様に遠心分離した後の重量をブランクとし、血液吸収して膨潤した吸水材が入ったティーバッグの重量から、膨潤前の吸水材の重量とブランクの重量を減じた値を、膨潤前の吸水材の重量で除した値を保血量(g/g吸水材)とする。
[0.9%生理食塩水吸水量]
吸水量の測定は、ティーバッグ法にて0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用いて行なう。すなわち、255メッシュのナイロン製ティーバッグに粒径200〜1000μmの吸水材1gを入れ、1Lの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液にティーバッグを60分間浸し、ティーバッグを引き上げ、10分間水切りを行った後、その重量を測定する。吸水材の吸水量は、60分間水に浸した吸水材が入っていないティーバッグの重量をブランクとし、吸水して膨潤した吸水材が入ったティーバッグの重量から、膨潤前の吸水材の重量とブランクの重量を減じた値を、膨潤前の吸水材の重量で除した値を吸水量(g/g吸水材)とする。
[嵩密度]
嵩密度は、European Disposable and NowovenaAssociation(edana)のDENSITY460.1−99に従って測定した値である。
[比表面積]
比表面積は、JIS標準篩で200〜1000μmに分級した吸水材を80℃で180分脱気した後、液体窒素で冷却しながら窒素ガスを標準ガスとするBET(Brunauer-Emmett-Teller)吸着法による比表面積によって測定した値である。
本発明によれば、血液の吸収性能に優れた吸水材、特に血液吸収速度及び繰返し吸収能に優れた吸水材を得ることができる。よって、血液を短時間で素早く吸収することと、一旦血液を吸収した吸収材が再度血液を吸収することができ、生理用品や紙おむつ等の衛生材料分野をはじめとして、外科用血液吸収物品、手術用廃液処理材などの医用材料分野、動物用屎尿処理材、飼料添加剤、農園芸用分野、鮮度保持等の食品分野、結露防止や保冷材等の産業分野等、吸水や保水を必要とする種々の用途に好適に利用できる。
本発明で用いられるセルロース誘導体とは、セルロースの有する水酸基をエーテル化したセルロースエーテル類およびその塩であり、かかるセルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等および、これらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、二種類以上を適宜混合して使用してもよいが、コスト、性能面からカルボキシメチルセルロース塩(CMC)が好ましい。CMCはリンターパルプや木材パルプなどのセルロースをイソプロピルアルコール等の有機溶媒と水との混合溶媒中でアルカリ金属水酸化物存在下にクロロ酢酸等のエーテル化剤を反応させることにより得ることができる。
セルロース誘導体の分子量としては、5万〜150万が好ましく、20万〜80万がさらに好ましい。
CMCとしては、カルボキシル基による水酸基の置換度、即ち、エーテル置換度(DS)が0.3〜2.8の範囲内のものが好ましく、0.5〜1.0の範囲内のものが特に好ましい。DSが0.3未満ではCMCの溶解性が低いため、均一なゲルが得られない。逆にDSが2.8を超えると、アルミニウムイオン等による架橋が分子内で進行し、均一なゲルが生じないまま沈降してしまう場合が生じる。
また、CMCとしては、1質量%水溶液とした時に粘度が10mPa・s〜20000mPa・sの範囲内にあるものが好ましい。10mPa・s未満の場合はアルミニウムイオン等で架橋しても強度のあるゲルを形成しないので不適当である。20000mPa・sを超えると粘性が非常に高くなるため、攪拌等の作業性が著しく悪化し、均一なゲルが得られない場合があるので、好ましくない。
本発明で用いられるアルギン酸とは、褐藻類の細胞間を充填する粘質多糖でその組成はβ-D- マンヌロン酸とα-L-グルロン酸から成るポリウロン酸である。アルギン酸は、昆布、ジャイアントケルプ等の海藻類より抽出して得られたものが市販されている。また、これらのアルギン酸の塩、エステル、エーテルも包含される。アルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノール塩、アンモニウム塩等のアルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルギン酸塩は水溶性のものが好ましく、特に、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムは水溶性であり、市販されており入手が容易であるため、好ましい。
1質量%水溶液としたときの粘度が10mPa・s〜5000mPa・sの範囲内にあるものが好ましい。10mPa・s未満の場合はカルシウムイオン等で架橋しても強度のあるゲルを形成しないので不適当である。5000mPa・sを超えると粘性が非常に高くなるため、攪拌等の作業性が著しく悪化し、均一なゲルが得られない場合があるので、好ましくない。
アルギン酸の分子量としては5万〜270万が好ましく、20万〜150万がさらに好ましい。
本発明においては、必要に応じて、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、カラギーナン、キサンタンガム、寒天、ペクチン、タラガントガム、プルラン、ジェランガム、タマリンドシードガム、カードラン、アラビアガム、グルコマンナン、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸又はこれらの誘導体などのセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩以外の天然多糖類を混合してもよい。これらを混合する割合としては、多糖類の組み合わせ等にもよるが、セルロース誘導体又はアルギン酸もしくはその塩100質量部に対し1〜100質量部の範囲内、より好ましくは10〜50質量部の範囲内とすればよい。
以下、本発明を、本発明の吸水材の製造方法に言及して説明する。
工程a)では、多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHが1.0〜7.0の水溶液を提供する。
本発明における工程a)で用いられる架橋剤として作用する多価金属イオンは、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩の有する官能基(水酸基、カルボキシル基等)と架橋を形成し得る多価金属イオンであれば、特に限定されない。例えば、アルミニウムイオン、鉄イオン、チタニウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、銅イオン、マンガンイオン、カドミウムイオン、クロムイオン、アンチモンイオン等の多価金属イオンが例示されるが、安全性、性能、価格からアルミニウムイオン、鉄イオン、チタニウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンが好ましい。これらの中でも、特にアルミニウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンが好ましい。架橋剤として、これらからなる群の1種だけを使用してもよいが、2種以上を使用してもよい。
多価金属イオンの形態(化合物の形態)は特に限定されず、二価以上の金属イオンまたはセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩の有する官能基と反応しうる官能基を2個以上有する金属化合物イオンを含む化合物であれば特に限定されないが、好ましくは親水性、より好ましくは水溶性の金属塩である。例えば、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)、塩化アルミニウム、などのアルミニウム塩、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸二鉄などの鉄塩、その他無機または有機のバリウム塩、カルシウム塩、チタン酸塩などが例示される。
工程a)で調製される水溶液中の多価金属イオンの濃度としては、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩1kg当たり金属原子に換算して1〜1000ミリモルが好ましく、より好ましくは10〜600ミリモル、特に好ましくは50〜250ミリモルである。1ミリモル未満では、十分に架橋できず、非常にゲル強度の弱い吸水材になってしまう。一方、1000ミリモルを超えると保血量が低下するため好ましくない。
工程a)で用いられる界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤としては、混合脂肪酸ナトリウム石けん、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム石けん、ステアリン酸ナトリウム石けん、オレイン酸カリウム石けん、ヒマシ油カリウム石けん等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤および両面界面活性剤としては、例えば、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドが挙げられる。
本発明において用いる界面活性剤は、水溶性で、高い発泡性を有するものがより好ましい。また、使用する界面活性剤としてはこれらからなる群の1種だけでもよいが、2種以上を混合し、使用してもよい。
セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩に対する界面活性剤の使用量は、界面活性剤にもよるが、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩100質量部に対して界面活性剤0.05〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩に対する界面活性剤の添加量が0.05質量部未満の場合、工程b)でゲルを得る際に、作業性が悪化し、ママコが発生するなど均一なゲルが得られなくなるだけでなく、血液吸収特性の改善効果が不十分となる。一方、界面活性剤の添加量が20質量部を超えると、血液吸収速度の改善効果は認められるが、血液吸収量、保血量が低下してくる。
工程a)で提供される水溶液のpHは1.0〜7.0に調整する。好ましくは、pH2.0〜4.0である。このため水溶液のpHがこの範囲外にある場合は、pH調整剤を添加してpHを調整すればよい。本発明で用いるpH調整剤としては、水溶液のpHを1.0〜7.0に調整できるものであれば特に限定されるものではなく、一般によく知られている酸性、塩基性試薬を用いればよい。
pH値を下げる場合には、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、酢酸等を用いればよく、pH値を上げる場合には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオンの水酸化物・炭酸塩・リン酸塩などを用いればよい。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、アンモニア水などが挙げられ、安価であることから水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
水溶液のpHが7.0以上の場合、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を水溶液に添加した際にママコが発生するなどの問題が生じる場合があり、好ましくない。さらに、性能面からもゲル強度が低下し、それに伴って吸収速度及び繰返し吸収性能が悪化する。
工程b)は、工程a)で調製した水溶液にセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を、添加後の混合液に対して固形分濃度が2〜40質量%となるように添加し、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を架橋させるとともに水で膨潤、水和させてゲル化させる工程である。
工程b)においてセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を添加する量としては、固形分濃度がこれらの多糖類の添加後の全質量に対して2〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%がより好ましい。2質量%未満では製造コストの上昇を招くだけでなく、血液に対しての繰返し吸収能が低下する。40質量%を超えると吸収量、保血量が低下するため、好ましくない。
工程b)を行う際の温度は特に限定されないが、反応を促進させるためにも5〜100℃が好ましく、45〜80℃がさらに好ましい。
反応時間は特に限定されないが、5分間〜12時間が好ましく、30分間〜6時間がさらに好ましい。
セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩ゲルの最終的なpHは3.0〜9.0が好ましく、pH4.0〜7.0がさらに好ましい。このためpHがこの範囲外にある場合は、適宜水酸化ナトリウムや塩酸などを添加してゲルpHを調整すればよい。
本発明における工程a)及び工程b)において、反応操作を実施する為の反応装置は、特に限定されず、原料の混合及び加熱を連続式及び/又は回分式で実施できる装置であればよい。また、原料の混合と加熱を、2つ以上の装置に分割して行ってもよい。具体的には、撹拌槽、解砕・粉砕機構付乾燥機、遊星運動撹拌装置付乾燥機、撹拌乾燥機、1軸又は多軸混練機等、任意の装置を用いることができる。
本発明における工程c)は、前記工程b)で得られたセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩の架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水する工程である。ここで使用する親水性揮発性有機溶媒は特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を挙げることができるが、コストや安全性の面からメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類が好ましい。
該親水性揮発性有機溶媒の使用量は、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩からなる架橋ゲル中の水分に対して0.5〜5倍容量の使用が好ましく、1〜2.5倍容量が特に好ましい。使用量がゲル中の水分に対して0.5倍容量未満の場合は、ゲル中の水分の親水性有機溶媒との置換が不十分であり、吸水量、吸水速度が低下する場合がある。また5倍容量を超える量を用いても使用量に見合った効果は得られず、コストの上昇を招くだけであり、工業的に好ましくない。
脱水温度は1〜100℃が好ましく、15〜40℃が特に好ましい。
脱水時間は1分間〜24時間が好ましく、より好ましくは10分間〜8時間であり、30分間〜2時間が特に好ましい。脱水の程度としては、ゲル中の水分の30%以上が置換されていることが好ましく、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは90%以上である。30%未満では吸収量、保血量が低下するだけでなく、乾燥に時間を要し、エネルギーコストアップに繋がるため好ましくない。
親水性揮発性有機溶媒と接触させた後に得られる固形物の形状は特に限定されるものではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とすることができる。例えば、顆粒状、フレーク状、シート状、粉末状、断片状、薄片状、棒状、線状などである。
例えば顆粒状、粉末状固形物を得る場合は、ゲルを親水性揮発性有機溶媒と接触させると同時に破砕すればよい。破砕する混合装置としては、剪断力の大きいものが好ましいが、通常の混合機、捏和機、破砕機を用いることができる。例えば円筒型混合機、石臼式粉砕機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等である。
また得られる固形物を繊維状にする場合は、ゲルを適切なノズル径の紡糸機により連続的に繊維状ゲルを吐出させてから親水性揮発性有機溶媒に接触させればよい。さらに固形物をフィルム状にする場合は適切な支持体上にゲルを適度な厚さに塗布、コーティングし、次いで親水性揮発性有機溶媒と接触させればよい。
有機溶媒でゲル中の水分を置換した後、固形物を回収する方法としては、濾過、デカンテーション、遠心分離などの公知の方法により、固形物と含水親水性揮発性溶媒とを分離し、固形分を回収すればよい。
工程d)は、工程c)で回収された固形物を乾燥する工程である。
前記工程c)で回収された固形物を乾燥する方法としては、乾燥後の吸水能、吸水速度、吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければいかなる乾燥方法でも限定されず、例えば常温乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥が挙げられる。好ましくは経済的な30〜100℃での加熱乾燥である。加熱乾燥では装置内を風が循環しないものでもよいが、速やかな乾燥を行うためには発生させた熱風が装置内を循環する熱風循環式乾燥機、流動床式乾燥機などが好ましい。
乾燥方法や乾燥温度、固形物の含溶媒量などにもよるが、乾燥時間は10分間〜24時間が好ましく、3時間〜12時間がより好ましい。乾燥の程度としては、脱水時使用の溶媒が完全に吸水材から除去され、且つ乾燥後の吸水材の含水率が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、5%以下が特に好ましい。
以上説明した本発明の製造方法においては、工程c)により得られる固形物又は工程d)により得られる固形物を、表面架橋剤により処理することが好ましい。
ここで用いられる表面架橋剤としては、多価金属イオンを含む金属塩が挙げられるが、その他にも、セルロース誘導体又はアルギン酸もしくはその塩の有する官能基(即ち、水酸基、カルボキシル基等)と反応しうる官能基を2個以上有する化合物であり、親水性、より好ましくは水溶性の化合物であれば特に限定されない。このようなものの具体例としては、グルタルアルデヒド、グリオキサール等の如き多価アルデヒド類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の如き多価グリシジル化合物類;二塩化エタン、テトラメチレンクロロブロマイド、ジブロモプロパン、ジブロモブタン等の如き多価ハロゲン化物類、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等の如きハロエポキシ化合物類を例示することができる。
固形物に対する表面架橋剤の使用量は、固形物および表面架橋剤の組み合わせ等にもよるが、乾燥状態の固形物100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲内、より好ましくは0.05〜3質量部の範囲内とすればよい。上記の範囲内で表面架橋剤を用いることにより、尿や汗、経血等の体液(水性液体)に対する吸水特性をさらに一層向上させることができる。
表面架橋剤の使用量が0.01質量部未満では、吸水材としての表面近傍の架橋密度をほとんど高めることができない。また、表面架橋剤の使用量が5質量部より多い場合には、該表面架橋剤が過剰となり、不経済であるとともに、架橋密度を適正な値に制御することが困難となるおそれがある。
固形物に表面架橋剤を用いて処理する際の処理方法は、特に限定されるものではない。例えば、工程c)又はd)において固形物を回収後、回収物と表面架橋剤とを無溶媒で混合する方法、シクロヘキサンやペンタン等の疎水性溶媒に回収物を分散させた後、表面架橋剤を混合する方法、親水性溶媒に表面架橋剤を溶解もしくは分散させた後、該溶液もしくは分散液を回収物に噴霧あるいは滴下して混合する方法等が挙げられる。なお、上記親水性溶媒としては、水、または水と水に可溶な前記工程c)で述べた親水性揮発性有機溶媒との混合物が好適である。
表面架橋処理温度は、5〜200℃が好ましく、45℃〜100℃がより好ましい。処理時間は1分間〜24時間が好ましく、より好ましくは10分間〜8時間、特に好ましくは30分間〜2時間である。
本発明による吸水材は、上述した本発明の製造方法により得ることができるものであり、その吸水材0.5gが2.5gの馬血を吸収する吸収時間が、1回目:180秒以内、2回目:600秒以内であり、且つ馬血の吸収量が自重の15倍以上であることを特徴とする。好ましくは、1回目:60秒以内、2回目;300秒以内であり、さらに好ましくは1回目:30秒以内、2回目:60秒以内である。
本発明の吸水材は、さらに好ましくは、前記の吸収性能に加え、馬血の保血量が自重の5倍以上であることを特徴とする。保血量が5倍未満では、ナプキン等の製品にした際に血液の逆戻りの原因となるため好ましくない。
本発明の吸水材は、さらに、粒径200〜1000μmとした場合の嵩密度が0.05g/cm3以上が好ましく、0.15〜0.80g/cm3がより好ましく、0.35〜0.50g/cm3が最も好ましい。また、同時にその表面積は0.1〜200m2/g以上が好ましく、0.5〜200m2/gがより好ましく、5.0〜50m2/gが特に好ましい。嵩密度が0.05g/cm3未満の場合、血液吸収速度、特に繰返し吸収能が悪化すると共に輸送コストも上昇するため好ましくない。吸水材の表面積が0.1m2/g未満の場合、吸水材と血液との接触面積が小さく、吸収速度が遅くなる他、保血量が低下するなどの傾向がみられるため好ましくない。
本発明の吸水材は、血液や尿、汗、膿、胃液、唾液、鼻分泌粘液などの体液を吸収することを目的とした吸水物品、例えば、子供用紙オムツ、大人用紙オムツ、生理用ナプキン、タンポン、パンティーライナー、生理用シーツ、失禁用パッド、携帯用トイレ、携帯用汚物処理袋、動物用屎尿処理剤、医療用手当材、創傷被覆材、肉や魚などの鮮度保持材、さらには家畜の飼料添加物等に使用することができる。また体液だけでなく、泥水や海水、河川水などを吸水することを目的とした建材や土壌保水材、汚泥固化剤、止水材、パッキング材、ゲル水嚢等の土木建築用資材、保冷材等の食品用物品、油水分離材、結露防止材などの各種産業用物品、植物や土壌等の保水材、種子被覆材等の農園芸用物品などに好適に用いることができる。
本発明の吸水材に、本発明の吸水性物品の目的や用途に応じて、消臭剤、香料、各種の無機粉末、顔料、染料、抗菌剤、発泡剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等の添加剤を配合してもよい。
かかる添加剤は、本発明の吸水材の製造方法の工程a)〜d)において適宜添加してもよく、本発明の方法によって製造された吸水材に例えばドライブレンド法によって添加してもよい。ここでの添加剤の配合量は、吸水材および添加剤の組合せにもよるが、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩100質量部に対し0.001〜10質量部の範囲内、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲内とすればよい。また、添加剤は吸水材の製造工程で添加しても、製造後の吸水材に配合してもよい。
ここで用いられる無機粉末としては、水性液体等に対して不活性な物質、例えば、各種の無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。該無機粉体は、水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶もしくは難溶であるものが好ましい。具体的には、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合製ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。このうち、二酸化珪素および珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が200μm以下の二酸化珪素および珪酸(塩)がさらに好ましい。
ここでの無機粉末の使用量は、吸水材および無機粉体の組み合わせ等にもよるが、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩100質量部に対し0.001〜10質量部の範囲内、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲内とすればよい。吸水材と無機粉体との混合方法は、特に限定されるものではなく、例えばドライブレンド法、湿式混合法等を採用できるが、ドライブレンド法を採用するのが好ましい。
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いたCMCはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩である。
実施例で得られた吸水材の血液に対する吸収時間(吸収速度)、吸収量、保血量、および0.9%−生理食塩水に対する吸水量は上述のようにして測定した。
(実施例1)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり250ミリモルになるように攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは3.8であった。
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度6質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物を室温で1時間放置し、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは4.8であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをイソプロピルアルコール(以下IPAと略称する。)100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、75℃で2時間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をIPA50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(実施例2)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり250ミリモルになるように攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは3.8であった。
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させ、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは4.8であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをIPA100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、室温で30分間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をIPA50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(実施例3)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり100ミリモルになるように攪拌しながら添加した。pH調整剤として2N-HCl水溶液を該水溶液に適宜添加し、pHを2.2に調整した。
次にpH調整した上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させ、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは4.8であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをIPA100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、室温で30分間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をIPA50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(実施例4)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり100ミリモルになるように攪拌しながら添加した。pH調整剤として2N-HCl水溶液を該水溶液に適宜添加し、pHを2.2に調整した。
次にpH調整した上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させ、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは4.8であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをIPA100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、室温で30分間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(実施例5)
アルギン酸ナトリウム100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;塩化カルシウムをカルシウムイオン換算量としてアルギン酸ナトリウム重量1kg当たり250ミリモルになるように攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは5.8であった。
次に上記水溶液にアルギン酸ナトリウム粉末(紀文フードケミファ社製;DuckAlgin NSPH2)を固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物をステンレストレイに約2cm厚となるように広げ、水分が飛ばないようにラップをかけた後、80℃を保持した状態で60分間、熱風乾燥機中で加熱し、その後室温まで冷却し、架橋ゲルを得た。このときのアルギン酸ゲルpHは6.7であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをIPA100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物に塩化カルシウムをカルシウムイオン換算量としてアルギン酸ナトリウム重量1kg当たり300ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、室温で30分間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(比較例1)
純水100mlに架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり250ミリモルになるように攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは3.6であった。このとき界面活性剤は用いなかった。
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させ、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは4.7であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをIPA100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、室温で30分間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をIPA50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(比較例2)
CMCゾルを架橋してゲルを作製し、乾燥するという従来の製造方法で行った。CMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を純水100mlに固形分濃度10質量%になるように攪拌しながら添加し、溶解・膨潤させた。
次にゲル100ml中に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり250ミリモルになるように攪拌しながら添加し、ブレンダーで破砕しながら架橋させた。
次に得られた含水ゲルを80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
(比較例3)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に架橋剤;硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり500ミリモルになるように攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは4.3であった。
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業社製;ダイセルCMC2280、DS=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度1質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させ、架橋ゲルを得た。このときのCMCゲルpHは5.4であった。
次にゲル中に含まれる水100mlをイソプロピルアルコール(以下IPAと略称する。)100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。IPAで脱水された固形物にチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/IPA混合溶液(水:IPA=1:1)中、75℃で2時間攪拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をIPA50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、吸水材を得た。
得られた吸水材について、嵩密度、比表面積の結果を表1に、血液吸収速度、血液吸収量、保血量、及び生理食塩水吸水量の測定結果を表2に示す。
Figure 2005263858
Figure 2005263858
本発明の実施例1〜5では、ゲル作製の際にママコが発生することなく、均一なゲルが得られた。また、表2からも明らかなように、血液に対する吸収速度、繰り返し吸収性能、吸収量、保血量について優れた性能を有していた。
比較例1は界面活性剤を添加しなかった以外はすべて実施例2と同様にして作製したものであるが、CMCを水溶液に添加直後に流動性なく固まってしまい、均一なゲルを得ることができなかった。吸収性能についても、血液に対する吸収速度および繰返し吸収性能、保血量が実施例2と比べて低下していた。
比較例2ではCMCゾル作製し、それを架橋してゲルを作製し、乾燥するという従来の製造方法で行ったが、水溶液にCMC粉末を添加時、大量のママコが発生した。また、得られたCMCゾルの粘性が非常に高くなるため、架橋時のブレンダーでの攪拌がスムーズにできず、均一なゲルを得ることが困難であった。最終的に得られた吸水材の表面積も、窒素吸着では測定できない程低く、吸収性能についても、血液に対する1回目の吸収速度が低下し、吸収量、保血量が低下していることがわかる。
比較例3は固形分濃度を1%、アルミニウムイオン量をCMC重量1kg当たり500ミリモルとした以外は実施例1、2と同様にして作製したものであるが、嵩密度が低く、たとえ比表面積が高くても吸収速度および繰返し吸収性能が著しく低下することがわかる。また、吸収量、保血量は高いもののゲル強度が非常に弱かった。
以上のことから本発明の吸水材は血液に対する吸収速度および繰り返し吸収性能が著しく改善され、且つ吸収量、保血量にも優れ、性能のバランスがとれていることが分かる。また、本発明の製造方法を用いることによって、架橋剤使用量の低減、固形分濃度の高濃度化が可能となり、よって、生産効率の向上とコスト削減が可能である。

Claims (12)

  1. セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を多価金属イオンで架橋して形成される架橋体からなる吸水材であって、その吸水材0.5gが2.5gの馬血を吸収する吸収時間が、1回目:180秒以内、2回目:600秒以内であり、且つ馬血吸収量が自重の15倍以上であることを特徴とする吸水材。
  2. 吸水材の馬血の保血量が、自重の5倍以上であることを特徴とする請求項1記載の吸水材。
  3. 吸水材の嵩密度が、0.15〜0.80g/cm3で且つ比表面積が0.1〜200m2/gであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸水材。
  4. 多価金属イオンが、アルミニウムイオン、鉄イオン、チタニウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水材。
  5. セルロース誘導体として、カルボキシメチルセルロース塩を用いることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれかに記載の吸水材。
  6. カルボキシメチルセルロース塩が、エーテル置換度(DS)が0.3〜2.8であり、且つその1質量%水溶液の粘度が100mPa・s〜20000mPa・sであるカルボキシメチルセルロース塩であることを特徴とする請求項5記載の吸水材。
  7. 多価金属イオンが、アルミニウムイオンであることを特徴とする請求項5または6に記載の吸水材。
  8. アルミニウムイオン含有量がカルボキシメチルセルロース塩質量1kg当たり1〜1000ミリモルであることを特徴とする請求項7に記載の吸水材。
  9. アルギン酸またはアルギン酸塩を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の吸水材。
  10. a)多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHが1.0〜7.0の水溶液を提供する工程、
    b)該水溶液にセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を、添加後の混合液に対して固形分濃度が2〜40質量%となるように添加し、セルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩を架橋させるとともに水で膨潤、水和させてゲル化させる工程、
    c)得られたセルロース誘導体および/またはアルギン酸もしくはその塩の架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水する工程、および、
    d)乾燥する工程、
    を含む請求項1〜9のいずれかに記載の吸水材の製造方法。
  11. 工程c)により得られた固形物又は工程d)により得られた固形物を、表面架橋剤により処理する工程をさらに含む請求項10記載の吸水材の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の吸水材を含んでなることを特徴とする吸水性物品。
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