JP2005259333A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】バックコート層の膜特性の向上を図り、優れた走行性耐久性及び走行安定性を有する高密度記録型の磁気テープを提供する。
【解決手段】磁気テープ媒体のバックコート層4を形成する塗料に関し、非磁性顔料として少なくともカーボンブラックと、結合剤樹脂とが含有されているものとし、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmであり、DBP吸油量が30〜100cc/100gであり、結合剤には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれているものとする。
また、バックコート層形成用塗料に、非磁性顔料としてカーボンブラックと、その他の無機顔料とが含有されている場合、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nm、無機顔料の平均粒径は30〜90nmに特定する。
【選択図】図1
【解決手段】磁気テープ媒体のバックコート層4を形成する塗料に関し、非磁性顔料として少なくともカーボンブラックと、結合剤樹脂とが含有されているものとし、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmであり、DBP吸油量が30〜100cc/100gであり、結合剤には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれているものとする。
また、バックコート層形成用塗料に、非磁性顔料としてカーボンブラックと、その他の無機顔料とが含有されている場合、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nm、無機顔料の平均粒径は30〜90nmに特定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、蒸着、スパッタ等の薄膜形成技術により形成された強磁性金属薄膜を磁性層として有する、高密度記録型の磁気記録媒体に関するものである。
従来からオーディオテープ、ビデオテープ等の磁気テープとしては、非磁性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分散させた磁性塗料を塗布することにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されていた。
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni系合金、Co−Cr系合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が提案され実用化されている。
この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層をきわめて薄層に形成できるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材であるバインダー(結合剤)が混入することが無いため、磁性材料の充填密度を高めることが出来ること等、数々の利点を有している。
また、金属薄膜型の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるようにするために、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案され、実用化されている。
このような金属薄膜型の磁気記録媒体においては、通常、耐久性や走行性等の改善を目的として、磁性層上に保護層を形成し、最外層に潤滑剤層を形成し、非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側の面にバックコート層を形成する構成が採られている。
このような金属薄膜型の磁気記録媒体においては、通常、耐久性や走行性等の改善を目的として、磁性層上に保護層を形成し、最外層に潤滑剤層を形成し、非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側の面にバックコート層を形成する構成が採られている。
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、高密度化に対応してスペーシングロスの低減化を図るために表面を平滑化する方向にあるが、磁性層表面が平滑になると磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために、摩擦力が増大し、磁性層に生ずるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺動条件から磁性層を保護するために、保護層を形成することが重要であるとされている。
また、バックコート層を形成することにより、非磁性支持体表面の電気抵抗を下げて帯電による走行不良が防止され、非磁性支持体の耐久性の向上が図られ、使用中の傷つき等の発生を防止でき、また磁気テープ間の摩擦を小さくすることができ、磁気テープの走行性、耐久性の向上が図られるが、このような各種機能の実効を図るべく、バックコート層を形成するための結合剤樹脂、及びその他の構成成分については、従来、様々な提案がなされてきた(下記、特許文献1〜4参照。)。
ところで、近年のハードディスクの飛躍的な記録密度の向上に対応するべく、磁気テープ媒体においては、これまで以上の高記録密度化が要求されてきている。
すなわち、記録再生装置自体の小型化への要求が高くなると磁気テープを組み込むカセットの小型化が必要になり、必然的に磁気テープを薄型化させることが要求されるようになる。
一般的に、磁気テープを薄型化する場合には、非磁性支持体(ベースフィルム)の薄膜化させることで対応するが、これに伴って磁気テープの機械的強度が低下してヘッド当たりの悪化等の弊害が生じるため、非磁性支持体の材質を強度の高いものにする等の工夫がなされてきた。
すなわち、記録再生装置自体の小型化への要求が高くなると磁気テープを組み込むカセットの小型化が必要になり、必然的に磁気テープを薄型化させることが要求されるようになる。
一般的に、磁気テープを薄型化する場合には、非磁性支持体(ベースフィルム)の薄膜化させることで対応するが、これに伴って磁気テープの機械的強度が低下してヘッド当たりの悪化等の弊害が生じるため、非磁性支持体の材質を強度の高いものにする等の工夫がなされてきた。
しかしながら、高い強度を有するプラスチックフィルムは一般に高価であるため、これを用いて磁気テープを作製すると、生産コスト高を招来する。
このため、磁気テープの薄層化を図るために、バックコート層の検討を行うことが必要となってきており、薄膜化しても実用上良好な機械的強度を有しつつ、表面の電気抵抗を下げて帯電による走行不良を防止し、走行耐久性を維持し、傷つきの発生を防止し、磁気テープ間の摩擦を小さくするといった、バックコート層本来の機能を確保可能な材料の開発が必須となると考えられる。
このため、磁気テープの薄層化を図るために、バックコート層の検討を行うことが必要となってきており、薄膜化しても実用上良好な機械的強度を有しつつ、表面の電気抵抗を下げて帯電による走行不良を防止し、走行耐久性を維持し、傷つきの発生を防止し、磁気テープ間の摩擦を小さくするといった、バックコート層本来の機能を確保可能な材料の開発が必須となると考えられる。
バックコート層は、通常、カーボンブラックや、その他の無機粒子よりなる非磁性顔料と、結合剤樹脂とを有機溶媒とともに分散、混練することで調製した塗料を、磁性層形成側とは反対側の面に、塗布、乾燥することにより形成される。この塗布方法により形成されるバックコート層の厚さは0.8μm以下、例えば概ね0.5μm程度とされている。
しかしながら、従来のバックコート層を形成する塗料組成では、長時間走行における高い信頼性を確保することが困難であった。
これは、粒子径が大きいカーボン粒子が含有されていると、ガイドとの摺動によって、表面の突起部にせん断力が集中的に働き脱落を生じたり、あるいは、バックコート層の接着力が弱く、繰り返し摺動を行うことにより膜の剥離が生じたりするためである。
これは、粒子径が大きいカーボン粒子が含有されていると、ガイドとの摺動によって、表面の突起部にせん断力が集中的に働き脱落を生じたり、あるいは、バックコート層の接着力が弱く、繰り返し摺動を行うことにより膜の剥離が生じたりするためである。
また、従来のバックコート層用の塗料においては、金属磁性薄膜よりなる磁性層側の最表面に形成した潤滑剤層がバックコート層との接着により剥離してしまい、潤滑剤がバックコート層に移動してしまい、走行耐久性を劣化させる原因となっていた。
また、データバックアップに適用される磁気テープにおいては、高い信頼性が要求されることから、多数回摺動しても、塗膜が削れず、厳しい環境下でも高い耐久性を確保しなければならない。
そのために、磁性層面側に存する潤滑剤がバックコート層へ吸収されずに、磁性層面に適正量の潤滑剤が維持されるようにすることもバックコート層に求められる特性の一つである。
そのために、磁性層面側に存する潤滑剤がバックコート層へ吸収されずに、磁性層面に適正量の潤滑剤が維持されるようにすることもバックコート層に求められる特性の一つである。
そこで、本発明においては、上述したような従来の実情に鑑み、バックコート層用の塗料を構成する組成についての検討を行い、長時間の走行安定性と耐久性に優れた高密度磁気記録に最適な磁気記録媒体を提供することとした。
本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属あるいはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、他の主面上に、膜厚0.8μm以下のバックコート層を有するものであり、バックコート層を形成する塗料は、少なくとも非磁性顔料であるカーボンブラックと、結合剤とを含有してなり、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmであり、DBP吸油量が30〜100cc/100gであり、結合剤には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれているものとする。
また、本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属あるいはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、他の主面上に、バックコート層を有するものであり、バックコート層を形成する塗料には、非磁性顔料として、少なくとも、平均粒径20〜50nmのカーボンブラックと、平均粒径30〜90nmの無機顔料が含有されているものとする。
本発明によれば、バックコート層を構成するカーボンブラック、無機顔料、及び結合剤樹脂についての適正な特定を行ったことにより、厳しい環境下において多数回走行を行った場合においても、良好な摩擦特性を維持でき、かつ顔料の脱落や膜剥離のない、走行耐久性、走行安定性に優れた信頼性の高い、高密度記録型の磁気記録媒体が実現できた。
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を図1に示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1の一主面上に、磁性層2、及び保護層3が形成されており、磁性層形成面とは反対側の主面にバックコート層4が形成されており、磁性層形成面側の最表面には潤滑剤層5が設けられた構成を有しており、高密度記録化に対応して薄物化するべく、全体の膜厚は8μmであるものとする。
本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を図1に示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1の一主面上に、磁性層2、及び保護層3が形成されており、磁性層形成面とは反対側の主面にバックコート層4が形成されており、磁性層形成面側の最表面には潤滑剤層5が設けられた構成を有しており、高密度記録化に対応して薄物化するべく、全体の膜厚は8μmであるものとする。
非磁性支持体1について説明する。
非磁性支持体(ベースフィルム)1形成用材料としては、ポリエステル系が主に用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート等が挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好適であり、これらのポリエステルはホモポリエステルやコポリエステルも適用できる。
非磁性支持体(ベースフィルム)1形成用材料としては、ポリエステル系が主に用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート等が挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好適であり、これらのポリエステルはホモポリエステルやコポリエステルも適用できる。
非磁性支持体1の表面に例えば径が数nm〜数十nmのフィラーを分散させることによって微細凹凸を付したり、その他リソグラフィー技術によって人工的に凹凸を形成したり、メッキや真空薄膜形成技術によって金属、無機化合物または有機高分子によって島状構造を形成したりする方法を用いて、最終的に得られる磁気記録媒体の表面には所定の粗さを付与してもよい。
次に、磁性層2について説明する。
磁性層2は、強磁性金属材料、あるいはこの合金を非磁性支持体1上に被着することにより形成される。
磁性材料としては、通常の蒸着テープに使用されるものであればいずれも適用でき、例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu 、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
磁性層2は、強磁性金属材料、あるいはこの合金を非磁性支持体1上に被着することにより形成される。
磁性材料としては、通常の蒸着テープに使用されるものであればいずれも適用でき、例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu 、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
更には、非磁性支持体と磁性層間、あるいは多層膜の場合には各層間の付着力向上、並びに抗磁力の制御等のため、所定の下地層や中間層を設けてもよい。また、磁性層表面近傍が耐蝕性改善等のために酸化物となっていてもよい。
上記磁性層2の形成方法としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等の、いわゆるPVD技術によればよい。
上記磁性層2の形成方法としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等の、いわゆるPVD技術によればよい。
磁性層2の形成工程の一例として、図2に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置20を挙げ、真空蒸着によって磁性層を形成する場合について説明する。
この真空蒸着装置20においては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口21から排気されて内部が真空状態となされた真空室22内に、送りロール23と、巻き取りロール24とが設けられ、これら送りロール23から巻き取りロール24に長尺状の非磁性支持体1が順次走行するようになされている。
この真空蒸着装置20においては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口21から排気されて内部が真空状態となされた真空室22内に、送りロール23と、巻き取りロール24とが設けられ、これら送りロール23から巻き取りロール24に長尺状の非磁性支持体1が順次走行するようになされている。
送りロール23から巻き取りロール24側に非磁性支持体1が走行する中途部には、冷却キャン25が設けられている。冷却キャン25は非磁性支持体1を図中下方に引き出すように設けられ定速回転する構成とされる。なお冷却キャン25には、内部に冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体1の温度上昇よる変形等を抑制するようになされている。
また、送りロール23と冷却キャン25との間、及び冷却キャン25と巻き取りロール24との間には、それぞれガイドロール27、28が設けられ、送り走行する非磁性支持体1に所定のテンションをかけ、円滑に走行するようになされている。
また、送りロール23と冷却キャン25との間、及び冷却キャン25と巻き取りロール24との間には、それぞれガイドロール27、28が設けられ、送り走行する非磁性支持体1に所定のテンションをかけ、円滑に走行するようになされている。
真空室22内には、冷却キャン25の下方にルツボ29が設けられ、このルツボ29内に金属磁性材料30が充填されている。一方、真空室22の側壁部には、ルツボ29内に充填された金属磁性材料30を加熱蒸発させるための電子銃31が取り付けられている。この電子銃31は、放出される電子線Xが上記ルツボ29内の金属磁性材料30に照射されるような位置に配設される。そして、電子銃31によって蒸発した金属磁性材料30が冷却キャン25の周面を走行する非磁性支持体1上に磁性層2として被着形成されるようになっている。
また、冷却キャン25とルツボ29との間であって、冷却キャン25の近傍に、シャッタ32が配設されている。このシャッタ32は、冷却キャン25の周面を定速走行する非磁性支持体1の所定領域を覆う形で設けられており、シャッタ32により金属磁性材料30が非磁性支持体1に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。さらに真空室22の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入口34を介して非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
次に、保護層3について説明する。
保護層3は、通常の金属薄膜型の磁気テープ用の保護層として一般に使用されるものであればいずれも適用できる。例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC等が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。保護層3は、例えばCVD法等、真空中で成膜する方法によって形成できる。
保護層3は、通常の金属薄膜型の磁気テープ用の保護層として一般に使用されるものであればいずれも適用できる。例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC等が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。保護層3は、例えばCVD法等、真空中で成膜する方法によって形成できる。
図3に保護層3形成用の装置の一例としてCVD装置40を挙げ、成膜工程について説明する。
CVD装置40は、頭部に設けられた真空排気系41によって内部が高真空状態となされた真空室42内に、定速度で回転する送りロール43と巻き取りロール44とが設けられ、これら送りロール43から巻き取りロール44に、被処理体45が順次走行するようになされている。
CVD装置40は、頭部に設けられた真空排気系41によって内部が高真空状態となされた真空室42内に、定速度で回転する送りロール43と巻き取りロール44とが設けられ、これら送りロール43から巻き取りロール44に、被処理体45が順次走行するようになされている。
これら送りロール43から巻き取りロール44に被処理体45が走行する途中部には、対向電極用キャン46が設けられている。この対向電極用キャン46は、被処理体45を図中下方に引き出すように設けられ、図中の矢印A方向に定速度で回転する構成となされている。また、対向電極用キャン46には、内部に冷却機構(図示せず)が設けられ、被処理体45の温度上昇による変形等を抑制している。
従って被処理体45は、送りロール43から順次送り出され、冷却キャン46の周面を通過し、巻き取りロール44に巻き取られるようになされている。なお、送りロール43と対向電極用キャン46との間、及び対向電極用キャン46と巻き取りロールとの間には、それぞれガイドロール47が設けられ、被処理体65に所定のテンションをかけ円滑に走行するようになされている。
従って被処理体45は、送りロール43から順次送り出され、冷却キャン46の周面を通過し、巻き取りロール44に巻き取られるようになされている。なお、送りロール43と対向電極用キャン46との間、及び対向電極用キャン46と巻き取りロールとの間には、それぞれガイドロール47が設けられ、被処理体65に所定のテンションをかけ円滑に走行するようになされている。
また、上記真空室42内には、対向電極用キャン46の下方にパイレックス(登録商標)ガラス、プラスチック等よりなる反応管48が設けられている。この反応管48は、一方の端部が真空室42の底部を貫通しており、この端部から成膜ガスが当該反応管48内に導入されるようになっている。
また、この反応管48内の中途部には、金属メッシュ等よりなる電極49が取り付けられている。この電極49は、外部に配設されたDC電源50と接続されており、500〜2000Vの電圧が印加されるようになっている。
このCVD装置では、この電極49に電圧が印加されることで、電極49と対向電極用キャン46との間にグロー放電が生じる。そして、反応管48内に導入された成膜ガスは、この生じたグロー放電によって分解し、被処理体45上に被着されることになる。
また、この反応管48内の中途部には、金属メッシュ等よりなる電極49が取り付けられている。この電極49は、外部に配設されたDC電源50と接続されており、500〜2000Vの電圧が印加されるようになっている。
このCVD装置では、この電極49に電圧が印加されることで、電極49と対向電極用キャン46との間にグロー放電が生じる。そして、反応管48内に導入された成膜ガスは、この生じたグロー放電によって分解し、被処理体45上に被着されることになる。
次に、バックコート層4について説明する。
バックコート層4は、最終的に目的とする磁気記録媒体10を、全体として薄型化させるため、膜厚を0.8μm以下とし、さらには0.5μm以下とすることが望ましい。
バックコート層4は、磁性層形成面とは反対側の主面に形成するものとし、カーボンブラック及びその他の無機顔料よりなる非磁性顔料と結合剤樹脂を主成分とし、これらを有機溶剤で混合し調整した塗料を塗布することにより形成できる。
なお、バックコート層4には、上記主成分の他、防錆剤、帯電防止剤等、所定の添加剤を加えてもよい。
バックコート層4は、最終的に目的とする磁気記録媒体10を、全体として薄型化させるため、膜厚を0.8μm以下とし、さらには0.5μm以下とすることが望ましい。
バックコート層4は、磁性層形成面とは反対側の主面に形成するものとし、カーボンブラック及びその他の無機顔料よりなる非磁性顔料と結合剤樹脂を主成分とし、これらを有機溶剤で混合し調整した塗料を塗布することにより形成できる。
なお、バックコート層4には、上記主成分の他、防錆剤、帯電防止剤等、所定の添加剤を加えてもよい。
カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmとする。これにより、最終的に得られる磁気記録媒体を走行させるガイドに対する摩擦が低減化でき、走行安定性の向上が図られ、かつカーボンブラック粒子の脱落を抑制でき、対摺動傷特性が向上する。
また、表面の粗度Raを好適な範囲に制御でき、磁性層面側の潤滑剤(図1における潤滑剤層5)が、バックコート層4側に移着する量を抑制でき、磁気ヘッドとの摺動耐久性の向上も図られる。
また、表面の粗度Raを好適な範囲に制御でき、磁性層面側の潤滑剤(図1における潤滑剤層5)が、バックコート層4側に移着する量を抑制でき、磁気ヘッドとの摺動耐久性の向上も図られる。
また、バックコート層4におけるカーボンブラック(P)と結合剤樹脂(B)との重量比(P/B)は、45/55〜65/35であることが望ましい。この範囲となるようにすることにより、優れた分散性が得られるようになり、膜特性の向上が図られることが確かめられた。
また、バックコート層4に、非磁性顔料としてカーボンブラックと、その他の無機顔料を含有させる場合、その他の無機顔料としては、従来公知の無機顔料粒子を適用できるが、モース硬度が3〜9程度のものが好適である。
例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。
例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。
また、上記の場合、非磁性顔料と結合剤樹脂との重量比は、46/54〜70/30とすることが好ましい。
但し、この重量比は、非磁性顔料の吸油量の値によって変化する。
詳細には、この設定は、下記式(1)に従って行われる。
但し、Vb/Vp(Vb:顔料の容積、Vp:結合剤(バインダー)の容積)を吸油量とする。
但し、この重量比は、非磁性顔料の吸油量の値によって変化する。
詳細には、この設定は、下記式(1)に従って行われる。
但し、Vb/Vp(Vb:顔料の容積、Vp:結合剤(バインダー)の容積)を吸油量とする。
また、下記において、OAmを、非磁性顔料1mlに対する亜麻仁油量〔ml〕(吸油量が亜麻仁油に対するものでない場合は、その値を代用する)とおくと、CPVC(Critical Pigment Volume Concentration:臨界顔料体積濃度)は、下記式(2)によって表される。
非磁性顔料と、結合剤樹脂との重量比は、上記CPVC値から重量比に変換した値近辺に設定することが望ましい。その範囲は、プラスマイナス15%以内とする。
非磁性顔料/結合剤樹脂の重量比が、大きい方にずれた場合は、塗料中での非磁性顔料成分が過多になるため、結合剤樹脂が、非磁性顔料を摺動時に保持できなくなり、バックコート層から脱落してしまう現象が生じる。また、非磁性顔料の量が過多であると、結合剤樹脂が、非磁性顔料間を充分に埋めることができず、空隙が増加するため、磁性層表面に存する潤滑剤を吸収してしまい、磁性層表面の潤滑剤量を充分に保持できなくなってしまうという問題も生じる。
一方、非磁性顔料/結合剤樹脂の重量比が、小さい方にずれた場合には、結合剤成分が過多の状態になり、表面が平滑化し、摺動時にバインダー成分の粘着等が生じるおそれがある。
なお、非磁性顔料の吸油量は、カーボンブラックと無機顔料で大きく異なるため、使用するカーボンブラックの吸油量(粒径によっても種類によっても異なる)と、使用する無機顔料を、体積分率で掛け合わせた値として計算される。
非磁性顔料/結合剤樹脂の重量比が、大きい方にずれた場合は、塗料中での非磁性顔料成分が過多になるため、結合剤樹脂が、非磁性顔料を摺動時に保持できなくなり、バックコート層から脱落してしまう現象が生じる。また、非磁性顔料の量が過多であると、結合剤樹脂が、非磁性顔料間を充分に埋めることができず、空隙が増加するため、磁性層表面に存する潤滑剤を吸収してしまい、磁性層表面の潤滑剤量を充分に保持できなくなってしまうという問題も生じる。
一方、非磁性顔料/結合剤樹脂の重量比が、小さい方にずれた場合には、結合剤成分が過多の状態になり、表面が平滑化し、摺動時にバインダー成分の粘着等が生じるおそれがある。
なお、非磁性顔料の吸油量は、カーボンブラックと無機顔料で大きく異なるため、使用するカーボンブラックの吸油量(粒径によっても種類によっても異なる)と、使用する無機顔料を、体積分率で掛け合わせた値として計算される。
無機顔料としては、上記において挙げた、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、硫酸バリウムの他に、従来公知の材料を併用することができ、例えば、ヘマタイト、雲母、シリカゲル、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、炭化タングステン、窒化ホウ素、酸化亜鉛、カオリン、タルク、粘土、硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ベーム石(γ−Al2O3・H2O)、硫化タングステン、金属粉等が挙げられる。
上記無機顔料の平均粒径は、30〜90nmであることが好ましく、更には、カーボンブラックの平均粒径に比して、無機顔料の平均粒径が大になるように選定することが望ましい。
そして、非磁性顔料全体の重量を100%としたとき、この非磁性顔料中に占める、カーボンブラック以外の無機顔料の重量比は、3〜85%とすることが好ましい。
また、バックコート層を構成するカーボンブラックのDBP吸油量は、30〜100cc/100gとし、結合剤樹脂には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含有されるようにすることが好適である。
カーボンブラックのDBP吸油量を上記のように特定したことにより、塗料の分散性の向上が図られ、かつ結合剤樹脂を構成する極性基との充分なマッチングが得られ、長時間走行を行った場合においても脱落の発生を回避できる。
カーボンブラックのDBP吸油量を上記のように特定したことにより、塗料の分散性の向上が図られ、かつ結合剤樹脂を構成する極性基との充分なマッチングが得られ、長時間走行を行った場合においても脱落の発生を回避できる。
また、上記ポリウレタン樹脂は、スルホン酸金属塩を含有しているものであることが好ましい。
これにより、非磁性顔料であるカーボンや無機顔料との良好な分散性だけでなく、非磁性支持体との接着性もよくなり、摺動時の顔料脱落や塗膜の剥離も防止できる。
以下このことについて説明する。
非磁性支持体との接着強度については、樹脂中にスルホン酸金属塩を加えることで、剥離強度が上昇することが知られており、また顔料との分散性においては、カーボンの分散に用いる分散剤として一般的にアミン系分散剤を使用することから、樹脂中のスルホン酸塩との結合が強くなり、顔料自体の分散性だけでなく、荷重が加わったときの粒子脱落も防止できる。
これにより、非磁性顔料であるカーボンや無機顔料との良好な分散性だけでなく、非磁性支持体との接着性もよくなり、摺動時の顔料脱落や塗膜の剥離も防止できる。
以下このことについて説明する。
非磁性支持体との接着強度については、樹脂中にスルホン酸金属塩を加えることで、剥離強度が上昇することが知られており、また顔料との分散性においては、カーボンの分散に用いる分散剤として一般的にアミン系分散剤を使用することから、樹脂中のスルホン酸塩との結合が強くなり、顔料自体の分散性だけでなく、荷重が加わったときの粒子脱落も防止できる。
また、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、種々の手法によって制御可能である。
ポリウレタンは、通常、ハードセグメントとソフトセグメントからなり、それらの比やその材料を変えてTgを変更する方法は従来においても種々の提案がなされている。また、ポリオール成分と呼ばれるソフトセグメントに種々の構造物を添加することにより、Tgの制御やその他の特性の付加が可能となる。例えば、ポリエステルポリオールはポリエーテルポリオールに比べて強度を高く、かつ耐熱性が高くすることができ、縮合系ポリエステルは加水分解が起きやすいが、ポリカーボネートジオールを入れるとカーボネート結合によって耐加水分解性が向上する。
なお、Tgは、ハードセグメント、及びソフトセグメントともに添加する構造物によっても制御することができる。例えば、メチレン鎖よりもベンゼン環を導入した方がTgの上昇効果は大きく、メチレン鎖は長いものを選定した方がTg上昇効果は大きい。
さらに、ハードセグメントとソフトセグメントとの比においても、ポリオール成分からなるソフトセグメントの分子量を増やすことにより、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離が生じやすくなりTgが下がる等の効果が得られる。
なお、スルホン酸金属塩含有ポリウレタンについて、塗料を作製する方法は何ら限定されるものではなく、ハードセグメントに関しても、MDI(メタン−ジ−イソシアネート)や、TDI(トルエン−ジ−イソシアネート)等をベースにしてもよい。
ポリウレタンは、通常、ハードセグメントとソフトセグメントからなり、それらの比やその材料を変えてTgを変更する方法は従来においても種々の提案がなされている。また、ポリオール成分と呼ばれるソフトセグメントに種々の構造物を添加することにより、Tgの制御やその他の特性の付加が可能となる。例えば、ポリエステルポリオールはポリエーテルポリオールに比べて強度を高く、かつ耐熱性が高くすることができ、縮合系ポリエステルは加水分解が起きやすいが、ポリカーボネートジオールを入れるとカーボネート結合によって耐加水分解性が向上する。
なお、Tgは、ハードセグメント、及びソフトセグメントともに添加する構造物によっても制御することができる。例えば、メチレン鎖よりもベンゼン環を導入した方がTgの上昇効果は大きく、メチレン鎖は長いものを選定した方がTg上昇効果は大きい。
さらに、ハードセグメントとソフトセグメントとの比においても、ポリオール成分からなるソフトセグメントの分子量を増やすことにより、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離が生じやすくなりTgが下がる等の効果が得られる。
なお、スルホン酸金属塩含有ポリウレタンについて、塗料を作製する方法は何ら限定されるものではなく、ハードセグメントに関しても、MDI(メタン−ジ−イソシアネート)や、TDI(トルエン−ジ−イソシアネート)等をベースにしてもよい。
また、バックコート層4を構成する結合剤樹脂としては、従来公知の材料を併用することができる。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジェン−アクリロニトリル共重合体、ブタジェン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジェン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジェン−アクリロニトリル共重合体、ブタジェン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジェン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
バックコート層4の表面粗さRaは、20〜50nmとすることが好適である。
表面粗度をこの範囲に規定することにより、走行ガイドに対して低摩擦で耐摺動性に優れ、また、磁性層形成面における潤滑剤がバックコート層側へ移着する量を適切に抑制、制御でき、耐久性と信頼性の向上が図られる。
表面粗度をこの範囲に規定することにより、走行ガイドに対して低摩擦で耐摺動性に優れ、また、磁性層形成面における潤滑剤がバックコート層側へ移着する量を適切に抑制、制御でき、耐久性と信頼性の向上が図られる。
また、バックコート層4側の最表面における、3次元粗度は、初期Ra0と多数回(例えば1000パス)摺動後Ra1とにおいて変化しないことが望ましく、変化量は摺動前の20%未満で、数値的な差は0.01μm以下であることが望ましい。
これにより、ガイドとの摩擦を好適に制御でき、安定した走行性を長時間に亘って確保することができる。
これにより、ガイドとの摩擦を好適に制御でき、安定した走行性を長時間に亘って確保することができる。
バックコート層4形成用塗料を調整する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
また、バックコート層4には、ポリイソシアネート系硬化剤を添加することにより、耐久性の向上が図られ、さらにまた任意の極性基を導入することにより、所望の膜特性を付加したりすることができる。
ポリイソシアネート系硬化剤としては、特に、トリメチロールプロパンに2,4−トリレンジイソシアネート(TDI:日本ポリウレタン社製商品名 コロネートL−50)を添加したものが良いが、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やヘキサンジイソシアネート(HDI)等を添加させたものも適用可能である。
ただし、主剤となる樹脂のガラス転移温度Tgが高くなるほど硬化剤を添加しても、主剤の末端基との結合確率が減少し、また主剤内での硬化剤分子の運動も阻害されるため、架橋反応は起こりにくくなる。
また、硬化剤を溶解塗布する溶剤としては、上述したような従来公知の溶剤が使用可能である。
ポリイソシアネート系硬化剤としては、特に、トリメチロールプロパンに2,4−トリレンジイソシアネート(TDI:日本ポリウレタン社製商品名 コロネートL−50)を添加したものが良いが、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やヘキサンジイソシアネート(HDI)等を添加させたものも適用可能である。
ただし、主剤となる樹脂のガラス転移温度Tgが高くなるほど硬化剤を添加しても、主剤の末端基との結合確率が減少し、また主剤内での硬化剤分子の運動も阻害されるため、架橋反応は起こりにくくなる。
また、硬化剤を溶解塗布する溶剤としては、上述したような従来公知の溶剤が使用可能である。
次に、潤滑剤層5について説明する。
潤滑剤層5は磁気記録媒体10の磁気ヘッド摺動面に形成されているものとする。
潤滑剤は、従来公知のハードディスクや磁気記録テープに適用されているものを使用でき、特に主骨格がフルオロカーボン系、アルキルアミン、アルキルエステル等が好適である。
潤滑剤層5は磁気記録媒体10の磁気ヘッド摺動面に形成されているものとする。
潤滑剤は、従来公知のハードディスクや磁気記録テープに適用されているものを使用でき、特に主骨格がフルオロカーボン系、アルキルアミン、アルキルエステル等が好適である。
上記において説明した本発明の磁気記録媒体10は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
例えば必要に応じて非磁性支持体上に下塗層を形成したり、潤滑剤、防錆剤等の材料層を形成したりしてもよい。
例えば必要に応じて非磁性支持体上に下塗層を形成したり、潤滑剤、防錆剤等の材料層を形成したりしてもよい。
〔実験A〕
以下、本発明の磁気記録媒体の具体的な実施例を作製し、特性評価を行った。
〔実施例A1〕〜〔実施例A5〕、〔比較例A1〕〜〔比較例A5〕
以下の例に示す磁気記録媒体は、図1に示したように、非磁性支持体1の一主面上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2と、保護層3と、潤滑剤層5とが積層形成されてなり、他の主面上にバックコート層4が形成されてなる構成を有している。
以下、本発明の磁気記録媒体の具体的な実施例を作製し、特性評価を行った。
〔実施例A1〕〜〔実施例A5〕、〔比較例A1〕〜〔比較例A5〕
以下の例に示す磁気記録媒体は、図1に示したように、非磁性支持体1の一主面上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2と、保護層3と、潤滑剤層5とが積層形成されてなり、他の主面上にバックコート層4が形成されてなる構成を有している。
先ず、非磁性支持体1として、厚さ6μm、幅150mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
次に、図2に示したような構成の真空蒸着装置を用いて、非磁性支持体1の一の主面に下記の条件により、金属磁性薄膜よりなる磁性層2を形成した。
次に、図2に示したような構成の真空蒸着装置を用いて、非磁性支持体1の一の主面に下記の条件により、金属磁性薄膜よりなる磁性層2を形成した。
(磁性層の蒸着条件)
金属磁性材料:Co100重量%
入射角:45°〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10-6m3/sec
蒸着時真空度:2×10-2Pa
磁性層の膜厚:200nm
金属磁性材料:Co100重量%
入射角:45°〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10-6m3/sec
蒸着時真空度:2×10-2Pa
磁性層の膜厚:200nm
次に、上述のようにして形成した磁性層上に、プラズマCVD法により、ダイヤモンドライクカーボン膜よりなる保護層3を形成した。
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
次に、磁性層形成面とは反対側の主面に、マイクログラビア塗布法により、下記条件により、膜厚0.5μmのバックコート層4を形成した。
(バックコート層の成膜条件)
顔料:カーボンブラック(平均粒径、DBP吸油量は下記表1に示す):110重量部
結合剤:スルホン酸金属塩含有ポリウレタン:90重量部
硬化剤:コロネートL50(日本ポリウレタン社製):9重量部
溶剤:トルエン:40重量部
メチルエチルケトン:40重量部
シクロヘキサノン:20重量部
P/B比:45/55〜65/35
(バックコート層の成膜条件)
顔料:カーボンブラック(平均粒径、DBP吸油量は下記表1に示す):110重量部
結合剤:スルホン酸金属塩含有ポリウレタン:90重量部
硬化剤:コロネートL50(日本ポリウレタン社製):9重量部
溶剤:トルエン:40重量部
メチルエチルケトン:40重量部
シクロヘキサノン:20重量部
P/B比:45/55〜65/35
次に、保護層3上に潤滑剤層5を形成した。潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテルを適用することとし、フルオロカーボンを主骨格とし第3アミンにより変成したものを使用した。フルオロカーボンは商品名デムナム(ソルベイソレクシス社製)を使用し、第3アミンはジメチルデシルアミンを使用し塩構造をとるように合成した。
上述のようにして作製したテープ原反を6.35mm幅に裁断し、サンプル磁気テープを作製し、各サンプル磁気テープについて、以下の測定、及び評価を行った。
(静止摩擦係数)
バックコート形成面側を、直径5mmのポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン:POM)ガイドに抱き角10°となるように掛け、摩擦係数を測定した。これを、下記表1においては、「最大静止摩擦係数」として表した。
(動摩擦係数)
磁気テープを、直径1.5mmのSUS製のガイドに対して、抱き角90°で1000回摺動させたときの、摺動1000回目における摩擦係数を測定した。
なお、それぞれ上限を、静止摩擦係数:0.37、動摩擦係数:0.37とし、これ以上の値になれば、実用上、NGであると判断した。
(3次元粗度Ra)
島津製作所製AFM(SPM−9500J2)を用いて、バックコート層形成面の、10×10μmの範囲を測定し、算出した。
なお、摺動後3次元粗度Ra1については、動摩擦測定でSUSガイドに対して1000pass摺動した磁気テープのバックコート層形成面をAFMで測定し、走行前における3次元粗度Ra0との変化率が20%以上である場合には、摺動によってカーボンブラック粒子の脱落や削れが発生したと判断し評価を×とした。変化率が20%未満であれば粒子の脱落等が抑制できたものとして評価を○とした。
(接着強度)
磁気テープのバックコート層形成面を、所定の粘着テープに貼り付け、剥がすときにバックコート層とベースフィルムの間で剥離し、粘着テープにバックコート層が付着した場合には、実用上充分な強度が無いものとし評価を×とした。
(静止摩擦係数)
バックコート形成面側を、直径5mmのポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン:POM)ガイドに抱き角10°となるように掛け、摩擦係数を測定した。これを、下記表1においては、「最大静止摩擦係数」として表した。
(動摩擦係数)
磁気テープを、直径1.5mmのSUS製のガイドに対して、抱き角90°で1000回摺動させたときの、摺動1000回目における摩擦係数を測定した。
なお、それぞれ上限を、静止摩擦係数:0.37、動摩擦係数:0.37とし、これ以上の値になれば、実用上、NGであると判断した。
(3次元粗度Ra)
島津製作所製AFM(SPM−9500J2)を用いて、バックコート層形成面の、10×10μmの範囲を測定し、算出した。
なお、摺動後3次元粗度Ra1については、動摩擦測定でSUSガイドに対して1000pass摺動した磁気テープのバックコート層形成面をAFMで測定し、走行前における3次元粗度Ra0との変化率が20%以上である場合には、摺動によってカーボンブラック粒子の脱落や削れが発生したと判断し評価を×とした。変化率が20%未満であれば粒子の脱落等が抑制できたものとして評価を○とした。
(接着強度)
磁気テープのバックコート層形成面を、所定の粘着テープに貼り付け、剥がすときにバックコート層とベースフィルムの間で剥離し、粘着テープにバックコート層が付着した場合には、実用上充分な強度が無いものとし評価を×とした。
各サンプル磁気テープについての、静止摩擦係数、動摩擦係数の測定結果、及びバックコート層の膜特性の評価結果を下記表1に示す。
上記表1に示すように、カーボンブラックの平均粒径が20〜50nmであり、DBP吸油量が30〜100cc/100gであり、結合剤樹脂には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれているものとした実施例A1〜A5においては、いずれも優れた走行安定性を有し、かつカーボンブラックの脱落もなく、耐久性についても優れた評価が得られた。
比較例A1においては、バックコート層中のカーボンブラックの平均粒径が小さく、表面が平滑化しすぎたため、動摩擦係数、静止摩擦係数ともに高くなり、走行性が劣化した。
比較例A2においては、結合剤樹脂として、スルホン酸金属塩を含有せず、ガラス転移温度が60℃未満のものを適用したため、多数回走行後にカーボンブラックの脱落が生じてしまい、また、膜の接着性についても実用上充分な強度が得られなかった。
比較例A3においては、カーボンブラックの粒径が大きすぎ、表面の粗度が大きすぎるため、磁性層側からの潤滑剤の移動量が多くなり、走行耐久性が劣化した。
比較例A4においては、カーボンブラックの吸油量が高すぎ、バックコート層形成用塗料の混練工程において塗料の粘度が高くなりすぎ、分散プロセスを行うことができず、成膜自体を行うことができなかった。
比較例A5においては、カーボンブラックの吸油量が低すぎ、バックコート層形成用塗料の混練工程において、結合剤樹脂を構成する極性基とのマッチングが不充分であるため、膜強度が弱くなり、摺動を行ったときに剥離が生じた。
比較例A2においては、結合剤樹脂として、スルホン酸金属塩を含有せず、ガラス転移温度が60℃未満のものを適用したため、多数回走行後にカーボンブラックの脱落が生じてしまい、また、膜の接着性についても実用上充分な強度が得られなかった。
比較例A3においては、カーボンブラックの粒径が大きすぎ、表面の粗度が大きすぎるため、磁性層側からの潤滑剤の移動量が多くなり、走行耐久性が劣化した。
比較例A4においては、カーボンブラックの吸油量が高すぎ、バックコート層形成用塗料の混練工程において塗料の粘度が高くなりすぎ、分散プロセスを行うことができず、成膜自体を行うことができなかった。
比較例A5においては、カーボンブラックの吸油量が低すぎ、バックコート層形成用塗料の混練工程において、結合剤樹脂を構成する極性基とのマッチングが不充分であるため、膜強度が弱くなり、摺動を行ったときに剥離が生じた。
上述したことから明らかなように、バックコート層4を構成するカーボンブラックと、結合剤樹脂についての適正な特定を行ったことにより、優れた摩擦特性を有し、かつ顔料の脱落ない、走行耐久性、安定性に優れた信頼性の高い、高密度記録型の磁気記録媒体が実現できた。
〔実験B〕
〔実施例B1〜B10〕、〔比較例B1〜B9〕
下記の例に示す磁気記録媒体は、図1に示したように、非磁性支持体1の一主面上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2と、保護層3と、潤滑剤層5とが積層形成されてなり、他の主面上にバックコート層4が形成された構成を有している。
〔実施例B1〜B10〕、〔比較例B1〜B9〕
下記の例に示す磁気記録媒体は、図1に示したように、非磁性支持体1の一主面上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2と、保護層3と、潤滑剤層5とが積層形成されてなり、他の主面上にバックコート層4が形成された構成を有している。
先ず、非磁性支持体1として、厚さ6μm、幅150mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
次に、図2に示したような構成の真空蒸着装置を用いて、非磁性支持体1の一の主面に下記の条件により、金属磁性薄膜よりなる磁性層2を形成した。
次に、図2に示したような構成の真空蒸着装置を用いて、非磁性支持体1の一の主面に下記の条件により、金属磁性薄膜よりなる磁性層2を形成した。
(磁性層の蒸着条件)
金属磁性材料:Co100重量%
入射角:45°〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10-6m3/sec
蒸着時真空度:2×10-2Pa
磁性層の膜厚:200nm
金属磁性材料:Co100重量%
入射角:45°〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10-6m3/sec
蒸着時真空度:2×10-2Pa
磁性層の膜厚:200nm
次に、上述のようにして形成した磁性層上に、プラズマCVD法により、ダイヤモンドライクカーボン膜よりなる保護層3を形成した。
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
次に、磁性層形成面とは反対側の主面に、下記表2に詳しく示す条件で、カーボンブラック、所定の無機顔料、及びポリウレタン結合剤を含有する塗料を塗布することにより、膜厚0.5μmのバックコート層4を形成した。
(バックコート層の成膜条件)
非磁性顔料:カーボンブラック(平均粒径は下記表2に示す。)
:下記表2に示す所定の無機顔料(平均粒径は下記表2に示す。)
(カーボンブラック/無機顔料の重量比:下記表2に示す。)
結合剤:スルホン酸金属塩含有ポリウレタン
(非磁性顔料/結合剤の重量比:下記表2に示す。)
溶剤:トルエン:40重量部
メチルエチルケトン:40重量部
シクロヘキサノン:20重量部
(バックコート層の成膜条件)
非磁性顔料:カーボンブラック(平均粒径は下記表2に示す。)
:下記表2に示す所定の無機顔料(平均粒径は下記表2に示す。)
(カーボンブラック/無機顔料の重量比:下記表2に示す。)
結合剤:スルホン酸金属塩含有ポリウレタン
(非磁性顔料/結合剤の重量比:下記表2に示す。)
溶剤:トルエン:40重量部
メチルエチルケトン:40重量部
シクロヘキサノン:20重量部
なお、通常、ポリウレタンよりなる結合剤樹脂の他に、硬化剤として日本ポリウレタン社製 コロネートL等を含有させるが、結合剤樹脂のガラス転移温度が高くなると、その反応性が極めて低くなるため、必要に応じて添加するようにすればよい。
添加する場合には、添加量に応じて、予め結合剤樹脂の量を調節しておき、最終的な非磁性顔料/結合剤樹脂の比率を制御するようにする。
今回の実験Bにおいては、すべての例において、硬化剤の添加は行っていない。
添加する場合には、添加量に応じて、予め結合剤樹脂の量を調節しておき、最終的な非磁性顔料/結合剤樹脂の比率を制御するようにする。
今回の実験Bにおいては、すべての例において、硬化剤の添加は行っていない。
次に、保護層3上に潤滑剤層5を形成した。潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテルを適用することとし、フルオロカーボンを主骨格とし第3アミンにより変成したものを使用した。フルオロカーボンは商品名デムナム(ソルベイソレクシス社製)を使用し、第3アミンはジメチルデシルアミンを使用し塩構造をとるように合成した。
上述のようにして作製したテープ原反を6.35mm幅に裁断し、サンプル磁気テープを作製し、各サンプル磁気テープについて、以下の測定、及び評価を行った。
〔摩擦測定〕
上記のようにして作製した磁気テープサンプルに対し、摩擦測定を行った。
静止摩擦測定は、バックコート層形成面を、直径5mmのポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン:POM)製のガイドに、抱き角10°となるように掛け、摩擦係数を測定した。これを下記表2において、「静止摩擦係数」として表した。
また、動摩擦係数については、磁気テープサンプルを、直径1.5mmのSUS製のガイドに対して、抱き角90°で1000回摺動させ、摺動1000回目の値を測定値とした。
静止摩擦係数、動摩擦係数の上限値は、それぞれ0.37とし、この値を超えた場合、不適切(NG)と判断した。
なお、静止摩擦係数は室温条件下で、動摩擦係数はバインダーにとって実用上厳しい環境である40℃80%RHで行った。
上記のようにして作製した磁気テープサンプルに対し、摩擦測定を行った。
静止摩擦測定は、バックコート層形成面を、直径5mmのポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン:POM)製のガイドに、抱き角10°となるように掛け、摩擦係数を測定した。これを下記表2において、「静止摩擦係数」として表した。
また、動摩擦係数については、磁気テープサンプルを、直径1.5mmのSUS製のガイドに対して、抱き角90°で1000回摺動させ、摺動1000回目の値を測定値とした。
静止摩擦係数、動摩擦係数の上限値は、それぞれ0.37とし、この値を超えた場合、不適切(NG)と判断した。
なお、静止摩擦係数は室温条件下で、動摩擦係数はバインダーにとって実用上厳しい環境である40℃80%RHで行った。
〔3次元粗度Ra〕
バックコート層形成面の3次元粗度Raについては、島津製作所製AFM(SPM−9500J2)を用いて、10μm×10μmの範囲を測定し、このデータにより算出することとした。
3次元粗度Raは、初期の値(Ra0)と1000回摺動後の値(Ra1)の両方の値を測定して比較し、変化率を算出した。
バックコート層形成面の3次元粗度Raについては、島津製作所製AFM(SPM−9500J2)を用いて、10μm×10μmの範囲を測定し、このデータにより算出することとした。
3次元粗度Raは、初期の値(Ra0)と1000回摺動後の値(Ra1)の両方の値を測定して比較し、変化率を算出した。
〔塗膜強度判定〕
また、初期Ra0と、1000回摺動後のRa1との差が20%以上であった場合、摺動によって非磁性顔料の脱落や削れが生じたものと判断して評価を×とした。差が20%未満であった場合は、実用上、充分な強度を有するものとして、評価を○とした。
また、初期Ra0と、1000回摺動後のRa1との差が20%以上であった場合、摺動によって非磁性顔料の脱落や削れが生じたものと判断して評価を×とした。差が20%未満であった場合は、実用上、充分な強度を有するものとして、評価を○とした。
〔潤滑剤量変化率(シャトル耐久性)〕
サンプル磁気テープ全長を、市販品のデジタルビデオデッキ(ソニー製TRV22)を用いてシャトル走行を行い、走行前と走行後における、磁性層形成面の潤滑剤量を比較した。
シャトル耐久性を行う条件は、潤滑剤が最もバックコート層形成面側へ移動しやすい高温環境下で行うようにするため、40℃80%RHの環境下で、100パスの走行を行うこととした。
潤滑剤量の測定には、島津製作所製ESCA(ESCA−3200)を用いた。
シャトル走行前(F前)とシャトル走行後(F後)の潤滑剤量から、{(F前−F後)/ F前}×100の値を算出し、これを変化率として定義した。
この変化率が50%を超える場合、初期に対して走行後の潤滑剤が50%以下となっていることを表しているので、実用上充分なシャトル耐久性が得られない。
サンプル磁気テープ全長を、市販品のデジタルビデオデッキ(ソニー製TRV22)を用いてシャトル走行を行い、走行前と走行後における、磁性層形成面の潤滑剤量を比較した。
シャトル耐久性を行う条件は、潤滑剤が最もバックコート層形成面側へ移動しやすい高温環境下で行うようにするため、40℃80%RHの環境下で、100パスの走行を行うこととした。
潤滑剤量の測定には、島津製作所製ESCA(ESCA−3200)を用いた。
シャトル走行前(F前)とシャトル走行後(F後)の潤滑剤量から、{(F前−F後)/ F前}×100の値を算出し、これを変化率として定義した。
この変化率が50%を超える場合、初期に対して走行後の潤滑剤が50%以下となっていることを表しているので、実用上充分なシャトル耐久性が得られない。
上記表2に示すように、バックコート層を形成する塗料中に、非磁性顔料として、少なくとも、平均粒径20〜50nmのカーボンブラックと、平均粒径30〜90nmの無機顔料とを含有させ、カーボンブラックの平均粒径に比して、無機顔料の平均粒径が大になるように選定し、非磁性顔料全体重量を100%としたとき、非磁性顔料中に占める無機顔料の重量比を3〜85%とし、バックコート層の結合剤中に、スルホン酸塩が含有されており、当該結合剤のガラス転移温度が60℃以上であるものとした実施例B1〜B10のサンプル磁気テープにおいては、いずれも、多数回走行後においても摩擦係数が大きく変化せず、表面粗度も実用上好適な範囲に保持され、バックコート層の強度も実用上充分であった。
更には、多数回走行後においても、磁性層形成面における潤滑剤量が実用上充分に確保されており、バックコート層形成面側への潤滑剤の移行が抑制されており、実用上充分なシャトル耐久性が得られた。
更には、多数回走行後においても、磁性層形成面における潤滑剤量が実用上充分に確保されており、バックコート層形成面側への潤滑剤の移行が抑制されており、実用上充分なシャトル耐久性が得られた。
一方、カーボンブラックの平均粒径に比して、無機顔料の平均粒径が小である比較例B1においては、摩擦時にかかる加重がカーボンブラックの粒子に負荷されることとなり、多数回走行によって、モース硬度の小さいカーボンブラックが摩耗し、バックコート層の表面が削れ、塗膜破壊が生じてしまい、実用上充分なシャトル耐久性が得られなかった。
比較例B2においては、バックコート層中のカーボンブラックの平均粒径が、50nmよりも大であるものとしたため、初期における粗度が大きくなりすぎ、バックコート層面に保持した潤滑剤が適度に磁性層面へと供給されなくなり、多数回走行を行うことによって、磁性層形成面の潤滑剤量が不足し、実用上充分なシャトル耐久性が得られなかった。
比較例B3においては、バックコート層中のカーボンブラック、無機顔料の平均粒径がいずれも極めて小さいため、初期において極めて平滑な面となり、その結果、最大静止摩擦係数が極めて高くなった。また、表面が平滑であるためガイドピンとの接触面積が大きくなり、初期から動摩擦係数も高く、1000パス後においても高くなった。このため、多数回走行によってバックコート層の塗膜に削れが生じてしまい、潤滑剤の磁性層形成面への供給がうまく行われず、実用上充分なシャトル耐久性が得られなかった。
比較例B4においては、バックコート層中の無機顔料の平均粒径をカーボンブラックの平均粒径よりも大となるように選定したものの、その平均粒径自体は極めて小さいものであるため、塗膜表面からの突出による加重を支える起点としての効果が充分に得られず、上記比較例B3の場合と同様に、多数回走行によってバックコート層の塗膜に削れが生じてしまい、潤滑剤の磁性層形成面への供給がうまく行われず、実用上充分なシャトル耐久性が得られなかった。
比較例B5においては、バックコート層中の無機顔料の平均粒径が、極めて大きいものであるため、塗膜表面からの突出が大きくなり、多数回走行によって脱落が生じた。また、上記比較例B2の場合と同様に、初期における粗度が大きくなりすぎ、バックコート層面に保持した潤滑剤が適度に磁性層面へと供給されなくなり、多数回走行を行うことによって、磁性層形成面の潤滑剤量が不足し、実用上充分なシャトル耐久性が得られなかった。
比較例B6においては、バックコート層を構成する非磁性顔料中の、無機顔料の添加量が少なすぎるため、バックコート層表面において、加重を支える起点としての効果が充分に得られなかった。そのため、多数回走行によってバックコート層の塗膜に削れが生じてしまい、潤滑剤の磁性層形成面への供給が充分に行われず、磁性層表面における潤滑剤量の減少率が50%を超えてしまい、走行耐久性や安定性に支障を来たした。
比較例B7においては、カーボンブラックの含有量に対して、無機顔料の添加量が多すぎるため、テープ自体の光透過率上昇を招き、磁気テープにおいてエンド検出の誤動作を招来してしまい、実用上利用可能な磁気テープが得られなかった。
比較例B8においては、バックコート層の結合剤中に、スルホン酸塩基を導入しなかったため、非磁性支持体(ベースフィルム)への接着強度や、非磁性顔料との親和性が低下してしまい、多数回走行によって、顔料の粉落ちや膜の剥離が生じてしまった。
比較例B9においては、バックコート層を構成する結合剤のガラス転移温度が60℃未満と極めて低いものであるため、広い温度範囲における塗膜の強靭性、高強度・走行耐久性が得られず、多数回走行によって塗膜破壊による摩擦の上昇を来たした。
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……保護層、4……バック層、5……潤滑剤層、6……イオン導入層、10……磁気記録媒体、20……真空蒸着装置、21……排気口、22……真空室、23……送りロール、24……巻き取りロール、25……冷却キャン、27,28……ガイドロール、29……ルツボ、30……金属磁性材料、31……電子銃、32……シャッタ、34……酸素ガス導入管、40……CVD装置、41……排気手段、42……真空室、43……送りロール、45……被処理体、46……対向電極用キャン、47……ガイドロール、48……反応管、49……電極、50……DC電源
Claims (13)
- 長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属あるいはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、
他の主面上に、膜厚0.8μm以下のバックコート層を有し、
前記バックコート層を形成する塗料は、少なくとも、非磁性顔料であるカーボンブラックと、結合剤とを含有しており、
前記カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmであり、DBP吸油量が30〜100cc/100gであり、
前記結合剤には、スルホン酸金属塩を含有するガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記結合剤樹脂には、スルホン酸金属塩を含有する、ガラス転移温度60℃以上のポリウレタン樹脂が含まれてなることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層における、非磁性顔料と結合剤の重量比(顔料/結合剤)が、
45/55〜65/35であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 前記バックコート層形成面側最表面において、
初期における3次元粗度Ra0と、1000パス摺動後における3次元粗度Ra1との変化率が、20%未満であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属あるいはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、他の主面上に、バックコート層を有する磁気記録媒体であって、
前記バックコート層を形成する塗料に、非磁性顔料として、少なくとも、平均粒径20〜50nmのカーボンブラックと、平均粒径30〜90nmの無機顔料が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記カーボンブラックの平均粒径に比して、前記無機顔料の平均粒径が大になるように選定されたことを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性顔料全体の重量を100%としたとき、当該非磁性顔料中に占める前記無機顔料の重量比は、3〜85%であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層の結合剤中に、スルホン酸塩が含有されており、当該結合剤のガラス転移温度が、60℃以上であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層の3次元粗度Raが、20〜50nmであることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層中の、非磁性顔料と結合剤との重量比(非磁性顔料/結合剤)が、46/54〜70/30であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層中の、非磁性顔料と結合剤との重量比は、非磁性顔料中における前記無機顔料の含有比率に応じて選定されたものであることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- シャトル走行後の、磁性層形成面における潤滑剤量が、走行前の潤滑剤量に対して、50%以上であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層の膜厚が、0.8μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
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JP2005027252A JP2005259333A (ja) | 2004-02-09 | 2005-02-03 | 磁気記録媒体 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005259333A true JP2005259333A (ja) | 2005-09-22 |
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ID=35084878
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JP2005027252A Pending JP2005259333A (ja) | 2004-02-09 | 2005-02-03 | 磁気記録媒体 |
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2005
- 2005-02-03 JP JP2005027252A patent/JP2005259333A/ja active Pending
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