JP2005257306A - X線分析用試料容器及び試料容器収容装置 - Google Patents

X線分析用試料容器及び試料容器収容装置 Download PDF

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洋 野崎
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真一 砥綿
Masakazu Aoki
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Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Yoshiki Senoo
与志木 妹尾
Ichiro Hirozawa
一郎 廣沢
Masanao Sato
眞直 佐藤
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Abstract

【課題】入射X線の入射角度及び回析X線の出射角度を任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用でき、しかも小型化及び低コスト化を図ることができるX線分析用試料容器、及びこのX線分析用試料容器に対して所望のガスを容易に導入・排出できる試料容器収容装置を得る。
【解決手段】 X線分析用試料容器10では、試料22は、ドーム隔壁34及び載置台12により形成された密閉空間42内へ収容される。このドーム隔壁34は、ポリイミド膜により半球状に形成されているため、入射X線の入射角度を0度から90度までの全ての角度で任意に設定することができると共に、回折X線を0度から90度までの全ての出射角度でドーム部36から出射させて測定することができる。また、密閉空間42に高圧のガスを導入した場合でも、ドーム部36の半球状の内壁面にガス圧が均一に分散されると共に、ドーム部36の弾性変形範囲が広いため、高圧のガスにも耐えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多結晶性の薄膜材料の構造を分析するためのX線回折装置に適用されるX線分析用試料容器及び試料容器収容装置に関する。
従来、薄膜材料の試料に対してX線を照射すると共に、該試料にて回折された回折X線を測定して分析することで試料の構造を評価できるX線回折装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示されているX線回折装置では、試料を密閉状態で収容する箱状の試料容器を備えている。試料容器には、内部にガスを導入・排出可能なガス導出手段が設けられており、内部の空気を高圧の活性ガス等に置換できるようになっている。さらに、この試料容器には、X線を透過させるためのX線透過窓が設けられている。
ところで、このようなX線透過窓の材料としては、X線の透過性が良好なベリリウム箔が用いられることが多い。しかしながら、ベリリウム酸化物は、人体への影響が極めて大きいため、取り扱いに十分な注意が必要である。また、ベリリウムは、室温でもろく難加工性であるため、薄膜への加工及び種々の形状への加工が困難である。しかも、ベリリウムは、それ自体が高価であるため、加工費も含めて考慮すると極めてコスト高となる。また、ベリリウムは結晶化しているため、窓材であるベリリウムからの回折X線が試料からの散乱X線の観測の障害になる場合がある。更にベリリウムは、可視光線を透過させないため、容器内の試料の状態を目視で確認することができない。
このような問題点から、上記試料容器には、内部に収容した試料に対してX線を入射させるための小さなX線透過窓と、試料で回折されたX線を出射させるための小さなX線透過窓が互いに独立して設けられているにすぎず、入射X線の試料への入射角度および回折X線の出射角度が極めて狭い範囲に限定されるという問題がある。
一方、回折X線を透過させるX線透過窓を高分子膜により構成したX線回折装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、薄膜の面内配向の効果を消す測定では試料の回転、X線残留応力測定では試料の傾斜が必要であるが、この特許文献2に開示されているX線回折装置では、X線透過窓の形状が帯状とされているため、このような試料の動きを伴った測定が困難である。また、トポグラフィーでは大きなX線照射面積から回折されるX線を任意の角度で検出する必要があるが、このX線回折装置では、試料およびX線透過窓は計数器等と共に真空雰囲気の測定室に収容される構成であるため、計数器を写真乾板に取り替えるといった操作は容易には行えない。さらにこの構成は測定室自体の大型化、ひいてはX線回折装置自身の大型化、高価格化の原因にもなる。
特開2001−141674号公報 特開平5−332958号公報
本発明は、上記事実を考慮し、入射X線の入射角度及び回折X線の出射角度を任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用でき、しかも小型化及び低コスト化を図ることができるX線分析用試料容器、及びこのX線分析用試料容器に対して所望のガスを容易に導入・排出できる試料容器収容装置を得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係るX線分析用試料容器は、試料が載置される載置台と、X線が透過可能でかつガスが透過不能な高分子膜により半球状に形成され、前記試料を内部に収容した状態で前記載置台上に取り付けられて前記載置台と共に前記内部に密閉空間を形成するドーム隔壁と、前記密閉空間に対してガスを導入・排出するためのガス導出手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項1記載のX線分析用試料容器では、試料が載置される載置台と、X線が透過可能でかつガスが透過不能な高分子膜により半球状に形成されたドーム隔壁とを備えている。このドーム隔壁は、試料を内部に収容した状態で載置台に取りつけられて、載置台と共に内部に密閉空間を形成している。この密閉空間内の空気は、ガス導出手段を介して排気可能であり、また、このガス導出手段を介して密閉空間内へ所望のガスを導入することができる。なお、一般的に、高分子膜はベリリウム金属に比較して結晶化度が著しく小さいため、窓材からの回折X線を低減できる。
ここで、本X線分析用試料容器では、上述した如く、試料を内部に収容するドーム隔壁が半球状に形成されている。したがって、試料へ入射させる入射X線の入射角度を0度から90度までの全ての角度で任意に設定することができると共に、試料で回折された回折X線を0度から90度までの全ての角度でドーム隔壁から出射させて測定することができる。
しかもこの場合、ドーム隔壁の形状が半球状であるため、X線はドーム隔壁の表面に対して常に垂直に入射する。これにより、X線の試料面への入射強度の低下を抑制することができる。
また、本X線分析用試料容器では、ドーム隔壁が半球状であるため、試料に面内配向がある場合でも、ドーム隔壁の軸線回りに載置台を回転させることで、この配向の効果を除去して任意の回折角における測定を行うことが可能である。しかも、このように試料を回転させた場合でも、ドーム隔壁が半球状であるため、常に同一条件での測定が可能である。また、残留応力測定においても同様に、試料を傾斜させた上で任意の回折角における測定が可能である。
さらに、本X線分析用試料容器では、ドーム隔壁が高分子膜により半球状に形成されているため、ドーム隔壁内部の密閉空間に高圧のガスを導入した場合でも、ドーム隔壁の半球状の内壁面にガス圧が均一に分散されると共に、ドーム隔壁の弾性変形範囲が広いため、高圧のガスにも耐えることができる。
またさらに、ドーム隔壁を構成する高分子膜は、ベリリウム等の金属に比べて材料自体が安価であると共に、半球状に加工することも容易であるため、加工費も含めた製造コストの低コスト化を図ることができるうえ、可視光を容易に透過させることから、容器内の試料の状態を外側から目視で確認できる。
また、本X線分析用試料容器は、「ガス雰囲気中に試料を収容した容器」として完結する構成のものであり、X線回折装置等の他の部品に依存して完結する構成のものではない。したがって、容器自体の小型化が可能である。
このように、請求項1記載のX線分析用試料容器では、入射X線の入射角度及び回折X線の出射角度を任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用可能で、しかも、小型化及び低コスト化を図ることができる。
請求項2記載の試料容器収容装置は、前記X線分析用試料容器を密閉状態で収容する筐体と、前記筐体内部に対してガスを導入・排出するための筐体用ガス導出手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項2記載の試料容器収容装置では、筐体の内部に請求項1記載のX線分析用試料容器を収容して密閉することができる。この状態で、ガス導出手段を介してX線分析用試料容器の密閉空間内の空気を排出すると共に、筐体用ガス導出手段を介して筐体内部の空気を排出することで、X線分析用試料容器の密閉空間及び筐体内部を真空状態とすることができる。さらにこの状態で、ガス導入手段を介してX線分析用試料容器の密閉空間に所望のガスを所定の圧力まで導入することができる。そして、筐体用ガス導出手段を介して筐体内部に大気又は不活性ガス等を大気圧まで導入すれば、筐体を開放することができ、所望のガスが所定の圧力で封入されたX線分析用試料容器を取り出すことができる。
このように、請求項2記載の試料容器収容装置では、請求項1記載のX線分析用試料容器の密閉空間に所望のガスを容易に導入することができる。
以上説明したように、本発明のX線分析用試料容器によれば、入射X線の入射角度及び回折X線の出射角度を任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用でき、しかも、小型化及び低コスト化を図ることができる。また、本発明の試料容器収容装置によれば、請求項1記載のX線分析用試料容器に対して所望のガスを容易に導入・排出できる。
図1には、本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器10の構成が斜視図にて示されている。また、図2には、X線分析用試料容器10の構成が分解斜視図にて示されている。さらに、図3には、X線分析用試料容器10の構成が側断面図にて示されている。
X線分析用試料容器10は、載置台12を備えている。載置台12は、ベース部14と配管部16とを有している。ベース部14は、金属材料等により円盤状に形成された本体部18を有している。本体部18の軸線方向一側(図1乃至図3では上側)には、円柱状の試料載置部20が同軸的に突設されている。この試料載置部20の先端側(図1乃至図3では上側)には、薄膜材料等の試料22が載置されるようになっている。
また、本体部18の軸線方向他側(図1乃至図3では下側)には、試料載置部22よりも小径とされた円柱状の位置決め用突起24が同軸的に突設されている。この位置決め用突起24は、後述するX線回折装置70の回転テーブル72に対応している。
一方、ベース部14の軸線方向一側(試料載置部20側)には、金属材料により円盤状に形成された配管部16が設けられている。配管部16の中央部分には、ベース部材14の試料載置部20に対応した円孔26が形成されており、試料載置部20が同軸的に貫通している。この配管部16は、その外径寸法がベース部材14の本体部18と同径とされ、厚さ寸法がベース部材14の試料載置部20の軸線方向に沿った長さ寸法よりも短く(薄く)形成されている。また、円孔26の内径寸法は、試料載置部20の外径寸法よりも大径とされており、試料載置部20の外周部と円孔26の内周部との間には環状の隙間が形成されている。
また、この配管部16には、ガス導出手段を構成する一対の連通孔28が設けられている(図2参照)。これら一対の連通孔28は、それぞれ配管部16の径方向に沿って設けられて配管部16の外周部と円孔26とを連通している。また、これら一対の連通孔28は、互いに周方向において反対側(180度反対側)に設けられている。
一対の連通孔28には、それぞれ配管部16の外周側において、ガス導出手段を構成する一対のパイプ30(図2では図示省略)の各基端部が接続されている。一対のパイプ30の各先端部には、それぞれ継手32(図2では図示省略)が接続されている。
一方、配管部16を介してベース部14とは反対側には、ドーム隔壁34が設けられている。ドーム隔壁34は、ポリイミド膜(ポリイミド成形体)により形成されたものであり、半球状のドーム部36と、ドーム部36の開口端部から径方向外側に向けて同心状に延設されたリング状のフランジ部38とを備えている。ドーム部36の内径寸法は、ベース部14の試料載置部20の外径寸法に比べて充分に大きく形成されている。また、フランジ部38の外径寸法は、配管部16の外径寸法と同径(すなわち、本体部18と同径)とされている。なお、本実施の形態では、ドーム部36及びフランジ部38の厚さ寸法は、例えば、0.5ミリとされている。
また一方、ドーム隔壁34のフランジ部38を介して配管部16とは反対側には、金属材料等によりリング状に形成された固定盤40が設けられている。固定盤40は、その外径寸法がフランジ部38と同径(すなわち、配管部16及び本体部18と同径)とされており、内径寸法がドーム部36の外径寸法よりも僅かに大きく形成されている。
ここで、上述したベース部材14、配管部16、ドーム隔壁34、及び固定盤40は、図示しないネジ等の締結具によって同軸的かつ一体的に締結されている。この場合、ベース部材14と配管部16との間、及び配管部16とドーム隔壁34のフランジ部38との間には、図示しないOリングが設けられている。このため、ドーム隔壁34のドーム部36は、ベース部14及び配管部16により密閉されており、ベース部14の試料載置部20に載置された試料22は、この密閉空間42内に収容されている。
次に、本発明の実施の形態に係る試料容器収容装置50の構成を説明する。
図4には、試料容器収容装置50の概略的な構成が側断面図にて示されている。
試料容器収容装置50は、筐体52を備えている。この筐体52には、図示しない開閉扉が設けられており、この開閉扉を介して前述したX線分析用試料容器10を筐体52の内部へ入れることができるようになっている。筐体52の内部には、X線分析用試料容器10を支持する図示しない支持台が設けられており、この支持台にX線分析用試料容器10をセットして開閉扉を閉めることで、X線分析用試料容器10を筐体52内部に密閉状態で収容できるようになっている。
また、筐体52には、筐体用ガス導出手段を構成するガス管54が設けられている。このガス管54は、筐体52の側壁を貫通した状態で筐体52に支持されている。このガス管54の筐体52外側の端部は、図示しない真空ポンプ等に接続されており、筐体52内部の空気を排気して筐体52内部を真空状態にできるようになっている。更にこのガス管54の筐体52外側の端部は、不活性ガス等が充填された図示しないガスボンベ等にも接続されており、筐体52内部へ不活性ガス等を導入したり、或いは筐体52内部へ大気を導入したりできるようになっている。
さらに、筐体52には、ガス導出手段を構成するガス排出管56及びガス導入管58が設けられている。ガス排出管56及びガス導入管58は、それぞれ筐体52の側壁を貫通した状態で筐体52に支持されている。
ガス排出管56の筐体52内側の端部には、継手60が接続されている。この継手60は、筐体52内部に収容されたX線分析用試料容器10の一方の継手32に接続される構成である。ガス排出管56の筐体52外側の端部には、図示しない真空ポンプ等が接続されており、X線分析用試料容器10の密閉空間42内部の空気を排気して密閉空間42内部を真空状態にできるようになっている。
一方、ガス導入管58の筐体52内側の端部には、継手60が接続されている。この継手60は、筐体52内部に収容されたX線分析用試料容器10の他方の継手32に接続される構成である。ガス導入管58の筐体52外側の端部には、多種多用の活性ガス等(例えば、ヘリウムや水素等)が充填された図示しない複数本のガスボンベ等が接続されており、密閉空間42内部へ所望のガスを導入できるようになっている。
次に、本発明の実施の形態に係る本X線分析用試料容器10が適用されるX線回折装置70について説明する。
図5には、X線回折装置70の概略的な構成が正面図にて示されている。
X線回折装置70は、回転ステージ72を備えている。回転ステージ72の上部には、前述したX線分析用試料容器10のベース部14に設けられた位置決め用突起24が嵌入可能な図示しない位置決め孔が設けられており、X線分析用試料容器10は、位置決め用突起24が当該位置決め孔に嵌入した状態で、回転ステージ72上に載置される構成である。
この回転ステージ72は、図示しないスイッチの操作により、上部に載置されたX線分析用試料容器10を、その軸線周りに回転できると共に任意に停止できるようになっている。
また、このX線回折装置70は、回転ステージ72上のX線分析用試料容器10に収容された試料22に対して入射X線76を照射するX線源78を備えている。このX線源78は、試料22の表面に対する入射X線76の入射角度θを、少なくとも0度乃至90度の範囲で任意に設定できるようになっている。
さらに、このX線回折装置70は、X線源78による入射X線76の照射により試料22にて回折された回折X線80を検出するX線検出器82を備えている。このX線検出器82は、回折X線80の試料22の表面に対する出射角度θが、少なくとも0度乃至90の範囲にある場合に当該回折X線80を検出できるようになっている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成のX線分析用試料容器10では、目的の試料22をセットする場合には、図示しない締結具を取り外して、ベース部14、配管部16、ドーム隔壁34、固定盤40を分解し、ベース部14の試料載置部20に試料22を載置する。試料載置部20に試料を載置したら、再び締結具によりベース部14、配管部16、ドーム隔壁34、固定盤40を一体に組み付ける。これにより、試料22は、密閉空間42内に収容される。
次に、密閉空間42内に所望のガスを導入する場合には、先ず、試料容器収容装置50の筐体52の内部にX線分析用試料容器10を入れて、一対の継手32を、ガス排出管56及びガス導入管58の各継手60にそれぞれ接続すると共に、図示しない開閉扉により筐体52を密閉する。
そして、図示しない真空ポンプを作動させることで、ガス管54及びガス排出管56を介して、筐体52内部及び密閉空間42内部を真空状態にする。筐体52内部及び密閉空間42内部を真空状態にしたら、ガス導入管58を介して図示しないガスボンベから密閉空間42内部へ所望のガスを所定の圧力まで導入する。さらに、ガス管54を介して、筐体52内部に大気または不活性ガス等を大気圧まで導入すれば、筐体52の開閉扉を開放することができ、密閉空間42内に所望のガスが所定の圧力で封入されたX線分析用試料容器10を筐体52の外部へ取り出すことができる。このように、試料容器収容装置50を用いることで、X線分析用試料容器10の密閉空間42内部へ所望のガスを容易に導入できる。
次に、X線分析用試料容器10にセットされた試料22をX線回折装置70で測定する場合には、X線分析用試料容器10の位置決め用突起24を回転ステージ72の位置決め孔に嵌入して、X線分析用試料容器10を回転ステージ72にセットする。
回転ステージ72にセットされたX線分析用試料容器10には、X線源78から入射X線76が照射される。照射された入射X線76は、ドーム隔壁34のドーム部36を透過して密閉空間42内部の試料22に入射する。試料22に入射した入射X線76は、試料22における結晶格子面にて回折され、回折X線80としてドーム部36を透過し、密閉空間42の外部に出射される。出射された回折X線80は、X線検出器82により検出され、検出された回折X線80の回折角及びX線強度等が測定されて記録される。
ここで、本X線分析用試料容器10では、ドーム隔壁34のドーム部36が半球状に形成されているため、入射X線76の入射角度θを0度から90度までの全ての角度で任意に設定することができると共に、回折X線80を0度から90度までの全ての出射角度θでドーム部36から出射させて測定することができる。
しかもこの場合、ドーム部36の形状が半球状であるため、入射X線76はドーム部36の表面に対して常に垂直に入射する。これにより、入射X線76の試料22表面への入射強度の低下を抑制することができる。
また、本X線分析用試料容器10では、ドーム隔壁34のドーム部36が半球状であるため、試料22に面内配向がある場合でも、回転ステージ72によりX線分析用試料容器10をその軸線回りに回転させることで(図6の矢印T参照)、この配向の効果を除去して任意の回折角における測定を行うことが可能である。しかも、このように試料22(X線分析用試料容器10)を回転させた場合でも、ドーム部36が半球状であるため、常に同一条件での測定が可能である。また、残留応力測定においても同様に、試料22を傾斜させた上で任意の回折角における測定が可能である。
さらに、本X線分析用試料容器10では、ドーム隔壁34のドーム部36がポリイミド膜により半球状に形成されているため、ドーム部36内部の密閉空間42に高圧のガスを導入した場合でも、ドーム部36の半球状の内壁面にガス圧が均一に分散されると共に、ドーム部36の弾性変形範囲が広いため、高圧のガスにも耐えることができる。
ここで、図7(A)には、密閉空間42内部にヘリウムガスを導入した場合における、ヘリウムガスの圧力(ゲージ圧)の時間変化が線図にて示されている。この図に示される如く、導入当初0.4MPaであったヘリウムガスの圧力が長時間維持されている。また、図7(B)には、密閉空間42内部に水素ガスを導入した場合における、水素ガスの圧力(ゲージ圧)の時間変化が線図にて示されている。この図に示される如く、導入当初の圧力が約0.4MPaの場合(×印)、約1MPaの場合(◆印)、及び約1.4MPaの場合(▲印)の何れの場合においても、水素ガスの圧力が長時間維持されている。
また、本X線分析用試料容器10では、ドーム隔壁34のドーム部36がポリイミド膜により半球状に形成されており、可視光を容易に透過させることから、密閉空間42内の試料22の状態を本X線分析用試料容器10の外側から目視で確認できる。
さらに、ドーム隔壁34を構成するポリイミド膜は、ベリリウム等の金属に比べて材料自体が安価であると共に、半球状に加工することも容易であるため、加工費も含めた製造コストの低コスト化を図ることができる。
またさらに、本X線分析用試料容器10は、「ガス雰囲気中に試料を収容した容器」として完結する構成のものであり、X線回折装置70等の他の部品に依存して完結する構成のものではない。したがって、容器自体の小型化が可能である。
このように、本X線分析用試料容器10では、入射X線の入射角度θ及び回折X線の出射角度θを任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用可能で、しかも、小型化及び低コスト化を図ることができる。
ところで、従来のX線分析用試料容器では、水素吸蔵多層薄膜のX線回折測定が不可能であった。すなわち、例えば、水素貯蔵材料であるMgを薄膜にし、水素を貯蔵させると、大気中で水素を放出してしまうため、高圧の水素雰囲気内においてX線回折測定を行う必要がある。しかしながら、従来のX線分析用試料容器では、水素を高圧に保つことができないため、X線回折測定時には吸蔵させた水素がMg薄膜から放出してしまい、正確な測定が不可能であった。図8に、水素化したMg薄膜を大気中で放置した後測定したX線回折図形を○印で示す。
これに対し、本X線分析用試料容器10では、密閉空間42内に水素を高圧に保つことができるので、Mg等の薄膜に水素を貯蔵させた状態でのX線回折測定が可能となる。図8に、本X線分析用試料容器10の密閉空間42内部を水素圧0.6MPaに保持した状態で測定したMg薄膜のX線回折図形を●印で示す。
しかも、薄膜状のMgは配向が強く、試料を回転させないと測定できないが、本X線分析用試料容器10では、高圧の水素雰囲気を保ったまま試料を回転させることができるので、配向の問題もクリアできる。図9に、Mg薄膜を水素化した後、本X線分析用試料容器10を2度ステップで回転させながらMg水素化物の回折線を測定した場合のX線回折図形を●印で示す。この場合、Mg薄膜の強い配向のため、90度付近にしか回折ピークが観測されていないが、本X線分析用試料容器10を回折線測定の際、1測定点あたり1回転以上の速度で回転させることでこの影響を消すことができる。さらにこのMg水素化物の残留応力を計測しようとする場合は、試料を傾斜させながら回折角を計測する必要があるが、本X線分析用試料容器10を用いれば、試料を回転させながら傾斜させて回折角を容易に計測することができる。
一方、水素貯蔵合金や触媒材料などの酸化性、還元性の強い材料、及び大気中の水分を極端に嫌うゼオライトやLi電池、Ni電池などの材料は、大気中での測定が困難であるが、本X線分析用試料容器10では、このような試料においても、X線回折測定が可能である。
すなわち、本X線分析用試料容器10では、上述した如き試料をグローブボックス中などで調整した後、そのままの雰囲気で密閉空間42内に収容し、粉末X線回折実験を行うことができる。しかもこの場合、本X線分析用試料容器10では、試料を回転させることができるので、粉末試料の配向を補正する必要がなくなり、精度の高い実験をさまざまな雰囲気中で行うことができる。
また一方、本X線分析用試料容器10では、Si半導体などの単結晶試料において、結晶の完全性を測定する分析手段であるX線トポグラフィを、様々な雰囲気中において測定することができる。すなわち、X線トポグラフィを測定する場合、試料の全面にX線を照射させることが必須条件であるが、本X線分析用試料容器10では、ドーム隔壁34のドーム部36が半球状とされているため、試料に対して広い範囲からX線を入射させることができ、このような条件もクリアすることができる。
また、トポグラフィの試料は単結晶試料なので、異条件で測定する際に、試料を回転させることが必要条件となるが、本X線分析用試料容器10では、試料を回転させて測定を行うことができるので、このような条件もクリアすることができる。
さらに、単結晶上に酸化性の強い金属等を配した試料の場合、大気中での測定は不可能であるが、このような試料に対しても、本X線分析用試料容器10の密閉空間42内部を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに置換することで、X線回折測定が可能となる。
以上説明した如く、本X線分析用試料容器10では、入射X線の入射角度θ及び回折X線の出射角度θを任意に設定できると共に、高圧のガスにも適用可能で、しかも、小型化及び低コスト化を図ることができる。
なお、上記実施の形態では、ドーム隔壁34の材料をポリイミド膜としたが、これに限らず、ドーム隔壁の材料としては、X線が透過可能でかつガスが透過不能な高分子膜であればよい。
本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器の構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器の構成を示す側断面図である。 本発明の実施の形態に係る試料容器収容装置の概略的な構成を示す側断面図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器がX線回折装置にセットされた状態を示す概略的な正面図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器がX線回折装置にセットされた状態を示す概略的な平面図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器にガスを封入した場合のガス圧の経時変化を示し、(A)はヘリウムガスを封入した場合のヘリウムガス圧の経時変化を示す線図であり、(B)は水素ガスを封入した場合の水素ガス圧の経時変化を示す線図であ 従来のX線分析用試料容器にて測定されたX線回折図及び本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器にて測定されたX線回折図である。 本発明の実施の形態に係るX線分析用試料容器を回転させながら測定されたX線回折図である。
符号の説明
10 X線分析用試料容器
12 載置台
28 連通孔(ガス導出手段)
30 パイプ(ガス導出手段)
32 継手(ガス導出手段)
34 ドーム隔壁
42 密閉空間
50 試料容器収容装置
52 筐体
54 ガス管(筐体用ガス導出手段)

Claims (2)

  1. 試料が載置される載置台と、
    X線が透過可能でかつガスが透過不能な高分子膜により半球状に形成され、前記試料を内部に収容した状態で前記載置台上に取り付けられて前記載置台と共に前記内部に密閉空間を形成するドーム隔壁と、
    前記密閉空間に対してガスを導入・排出するためのガス導出手段と、
    を備えたX線分析用試料容器。
  2. 請求項1記載のX線分析用試料容器を密閉状態で収容する筐体と、
    前記筐体内部に対してガスを導入・排出するための筐体用ガス導出手段と、
    を備えた試料容器収容装置。
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