JP2005256538A - プレストレスト木質系構造部材、プレストレスト木質系構造部材を用いた建築物、及び、プレストレスト木質系パネル部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小径の木材等でも有効に活用することが可能であり、かつ、簡易な構造で一定の強度を保持しつつ設計の自由度を向上させることができる構築物の構造部材に関する技術を提供する。
【解決手段】 プレストレスを導入するPC鋼材2を挿通するための穴部1aが形成された木質系の単位構造部材1を備え、この穴部1aにPC鋼材2を挿入し、PC鋼材2を緊張させることにより、穴部1aの軸方向にプレストレスが導入されることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材10である。
【選択図】 図2
【解決手段】 プレストレスを導入するPC鋼材2を挿通するための穴部1aが形成された木質系の単位構造部材1を備え、この穴部1aにPC鋼材2を挿入し、PC鋼材2を緊張させることにより、穴部1aの軸方向にプレストレスが導入されることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材10である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、建築物を構成するプレストレスト木質系構造部材及びこれに関する技術に関し、特に、戸建住宅等の小規模の建築物に好適に用いることができる技術に関する。
従来より住宅等の建築物において木材が多用されており、種々の工法により木質建築物が構築されていた。その構築工法としては、例えば、在来軸組工法が挙げられる。在来軸組工法とは、日本の伝統的な家の建て方で、柱、梁、桁、筋交いなどで家の骨組みをつくる工法である。この在来軸組工法の特徴としては、それぞれの部材の長さが自由に決められるので、プランニングの自由度が高く、狭い土地や変形敷地に対応できる柔軟性を有している。しかし、自由度が高い一方、筋かい一つ見てみても取り付け方は様々であり、設計や施工のレベルによって建物の性能に大きな差が生じるといった特徴もある。また、その品質は大工の技能に依存するため、熟練した大工の減少等により一定品質保持が困難であるという問題点がある。さらに、長年の運用により確立された工法であり、明確な設計基準等が存在せず、十分な強度を備えているか否か明確な判断が出来ないという問題点もあった。
このような問題を背景に、近年、天井、壁、床の面で建築物を構築する木質パネル工法等が多用されている。木質パネル工法は、予め工場でパネルを製作し、このパネルを用いて構築する工法である。この木質パネル工法の特徴としては、予め工場で製作したパネルを組み合わせて建築物を構築するため、安定した一定品質を保持することができるとともに、現場での作業を縮減できるため、工期を短縮することができる。また、それに伴い、建築物の強度の計算が容易となり、十分に強度を備えているか否かの判断を確実することが可能である。その一方で、予め工場で一定規格のパネルを製作するため、設計の自由度が低下するという問題点がある。
一方、近年、日本の林業において、かつての急速な森林伐採に伴う対応策として、植林されてきた杉材等の成長の早い木材の問題が存在する。急速に成長する杉材等の木材は、地中深くに根を張らないため、山林の地盤を軟弱なものとしてしまう。しかし、その杉材等の木材を建築物に適用しようとしても、例えば柱等構造部材として用いるには、その径が小さく、適用箇所に制限を伴い十分に活用することが困難であった。これらの杉材等の木材が日本国内において、高い需要が求められることが望ましいが、近年では、比較的安価な輸入木材が多用されており、国内の木材の需要は十分でなく、国内の林業が成立しない状況にまで至っている。
本発明は、前記種々の問題に鑑みてなされたものであり、小径の木材等でも有効に活用することが可能であり、かつ、簡易な構造で一定の強度を保持しつつ設計の自由度を向上させることができる構築物の構造部材に関する技術を提供することを技術的課題とする。
本発明は、前記技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された木質系の単位構造部材を備え、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、穴部の軸方向にプレストレスが導入されることを特徴とするプレストレスト木質系構造部
材である。
材である。
本発明に係るプレストレスト木質系構造部材は、前記単位構造部材に形成された穴部にPC鋼材を挿入して、このPC鋼材を緊張させることにより、単位構造部材にプレストレスが導入される。このPC鋼材のプレストレスによって単位構造部材は圧縮力をうけ、構造体としての強度が向上する。この強度の向上により、耐震性が向上するとともに、構造部材として径を小さくすることができる。そのため、従来において十分に活用することが出来なかったような径の小さい木材であっても有効に活用することができる。また、径の小さい部材を適宜に組み合わせることができるため、設計の自由度を向上させることができるとともに、現場への搬入が容易となり、作業効率の向上に貢献することができる。
前記PC鋼材とは、プレストレスを付加できる部材であれば良く、例えば、PC鋼棒、PC鋼線が挙げられる。また、PC鋼材の緊張のみでは、十分な強度で連結できない場合には、連結面に接着剤を貼付したり、連結部分に連結部材を設けることが望ましく、設計条件等に応じて適宜に用いることが望ましい。
さらに、本発明は木質からなる単位構造部材を備えているため、木材の特性が生かされ種々の利点を有する。例えば、木材は、断熱性を有するため、従来の木質以外の建築物において要されていた断熱材を不要にすることができる。この断熱材が不要になることにより、断熱材自体のコストの低減のみならず、断熱材の施工工程が不要となるため、工期の縮減を図ることができる。また、木材を有効活用することにより、従来において十分に利用されていなかった国内の木材の利用を促進させ、国内の林業の発展に貢献することができる。さらに、本発明に係る単位構造部材は、径の小さな部材及び長さの短い部材であっても適宜に組み合わせて用いることができるため、適用可能な木材の制限が少なく有効活用が期待できる。加えて、木材は、調湿性も備えており、特に住宅において好適に用いることができる。また、本発明に係る単位構造部材は、PC鋼材を挿通するための穴部が予め形成されているため、木材が本来有している水分を適切に乾燥させることが可能となる。
また、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材は、前記穴部の軸方向が木材の繊維方向に沿って形成されていることを特徴とすることが望ましい。前述のように前記穴部には、PC鋼材が挿入され、このPC鋼材を緊張するため、穴部の軸方向に圧縮力が付加される。木材は、繊維(木目)を備えており、繊維に沿った方向に付加される外力より、繊維に直行した方向に付加される外力に弱いという性質がある。そのため、前記穴部の軸方向を繊維に沿って形成することにより、PC鋼材のプレストレスを高い強度を有する繊維方向に沿わせて付加することができる。さらに、一般的に木材は、乾燥収縮を繰り返す性質があり、その乾燥収縮は繊維に沿って生じる。そのため、前記穴部は、繊維方向に沿って形成することが望ましい。一方、設計条件等を満たせば、穴部の軸方向を木材の繊維と直交する方向に穴部を形成することもできるが、PC鋼材の圧縮力による木材のめり込みに注意が必要となる。
さらに、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材は、前記穴部の軸方向において前記単位構造部材が複数連結されていることが望ましい。本発明は、前記構成により、単位構造部材に形成された穴部にPC鋼材を挿入し、このPC鋼材を緊張させることにより、他の単位構造部材と連結することができる。この連結作業は容易であり、施工効率を向上させることができるとともに、連結部分に設計上の制限を少なくすることができるため、設計の自由度を更に向上させることができる。加えて、本発明によれば前記PC鋼材により部材同士の連結を行うため、接合部分の仕口等が不要となり、耐力の低下を防ぐことができ、強度を向上させることが可能となる。尚、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材は、前述のように、単位構造部材同士を複数連結して構成しても良いし、他の構造部
材等と連結して構成しても良い。すなわち、単位構造部材の穴部に挿入されたPC鋼材のプレストレスによって連結されていれば良く、連結される部材の構造、材質等は特に制限されない。
材等と連結して構成しても良い。すなわち、単位構造部材の穴部に挿入されたPC鋼材のプレストレスによって連結されていれば良く、連結される部材の構造、材質等は特に制限されない。
また、本発明は、単位構造部材をPC鋼材によって連結することにより種々の構造部材等と連結されるが、単位構造部材同士を複数連結し、この連結されたものを柱、梁等の構造部材としても良い。従来、木材からなる柱、梁等は、強度等の観点から、大きな径のものが多用されており、建築物の規模にもよるがその長さは長尺なものが多かった。従って、径の小さい部材、及び、長さの短い部材は、柱、梁等の構造部材に適用することは困難であった。しかし、本発明は、前記単位構造部材を軸方向において複数連結することにより構築できるものであり、その連結方法もPC鋼材の緊張のみで簡易であるため、小さな径の部材等を用いて十分な強度を有する構造部材を容易に構築することができる。
加えて、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材は、前記穴部の軸方向において前記単位構造部材が複数連結されているとともに、前記穴部の軸方向と直交する方向において前記単位構造部材が複数連結されていることを特徴としても良い。
建築物の構造部材としては、例えば、面状である壁、床等の構造部材もある。このような面状の構造部材を構築するためには、個々の単位構造部材を大きくしなければ、軸方向における連結のみで構築することが困難である。しかし、個々の単位構造部材を大きくすると、十分な強度を得るために複数のPC鋼材が必要となることがあるとともに、小さな部材を十分に活用することができないという問題が生じるおそれがある。従って、このような場合には、単位構造部材を軸方向において複数連結するとともに、この軸方向と直交する方向においても複数の単位構造部材を連結することが望ましい。すなわち、軸方向において連結された長尺のプレストレスト木質系構造部材を複数並列して連結することにより面状の構造部材とすることができる。この構成により、前記柱、梁等の長尺状の構造部材だけでなく、壁、床等の面状の構造部材にも容易に適用することが可能となる。
尚、前記穴部の軸方向において連結された単位構造部材は、前記PC鋼材で連結されており、前記穴部の軸方向と直交する方向において連結された単位構造部材は、接着剤又は連結部材のうち少なくともいずれか一方にて連結されていることを特徴としても良いし、前記穴部の軸方向において連結された単位構造部材、及び、前記穴部の軸方向と直交する方向において連結された単位構造部材はいずれも、前記PC鋼材にて連結されていることを特徴としても良い。尚、前記連結部材とは、隣接する単位構造部材同士を連結できるものであれば良く、例えば、接合する両方の木にまたがって打ち込んで接続するジベル、かすがい等が例示できる。
前記穴部の軸方向における単位構造部材同士の連結は、穴部に挿入されるPC鋼材で行うことができる。一方、穴部の軸方向と直交する単位構造部材同士の連結は、互いに連通する穴部が形成できる場合には、軸方向の連結と同様にPC鋼材によって連結することができる。しかし、設計上の問題により、互いに連通する穴部が形成できない場合には、互いの接続面に接着剤を貼付すること、又は、互いの単位構造部材にかみ合う連結部材を設けることにより、適宜に連結することが望ましい。尚、接着剤、連結部材のいずれか一方では、十分な強度が得られない場合には、両方を用いて連結することが望ましい。
また、本発明に係る前記単位構造部材は、杉材からなることを特徴とすることが望ましい。原則として、本発明に用いる単位構造部材は、木質系の材料であれば良く、特に制限されない。しかし、前述のように、成長の早い杉材等に関する問題が存在しており、さらに、この問題に付随して、杉材にあってはその増加に伴う花粉症の問題も引き起こしている。従って、杉材の利用を促進させ、需要を高めることにより、前記問題の解決に貢献す
ることが可能となる。
ることが可能となる。
加えて、本発明は、前記プレストレスト木質系構造部材を用いた建築物であって、前記単位構造部材を複数組み合わせてなる柱、梁、床、壁等建築物の構造部材となるプレストレスト木質系構造部材は、その接合部において互いに連通する穴部を備えており、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、他の構造部材と連結されていることを特徴としても良い。また、本発明は、前記プレストレスト木質系構造部材を用いた建築物であって、前記単位構造部材を複数組み合わせてなる柱、梁、床、壁等建築物の構造部材となるプレストレスト木質系構造部材は、その接合部において互いに連通する穴部を備えており、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、他のプレストレスト木質系構造部材と連結されていることを特徴としても良い。
本発明は、前記プレストレスト木質系構造部材を用いることにより、各構造部材の接合を簡易なものにすることができるため、耐力の向上、施工工期の短縮、コストの低減に貢献することができる。また、各単位構造部材同士の連結が簡易な構造であるため、設計上の制限が少なく、自由度の高い空間を作り出すことができ、好適である。
さらに、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物は、前記単位構造部材を複数組み合わせてなる壁、柱等の立設部材となるプレストレスト木質系構造部材に挿入されるPC鋼材の一方が建築物の基礎に連結しており、このPC鋼材が緊張されることにより、壁、柱等立設部材が構築されるとともに、基礎と立設部材とが連結されることを特徴としても良い。住宅等の戸建ての建築物においては、基礎との接合が重要となる。このような基礎との接合をPC鋼材を緊張させることにより行うことで、十分な強度を保持しつつ、作業の効率を向上させることができる。
また、本発明は、プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された木質系の単位構造部材を複数備え、各単位構造部材の各穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、穴部の軸方向において連結され、複数の単位構造部材が一体化されていることを特徴とする木質系パネル部材であっても良い。PC鋼材を挿入する穴部が形成された単位構造部材を複数連結することにより、パネル部材を構成することにより、簡易な構造で、高い強度のパネル部材を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、前記単位構造部材に形成された穴部に挿入されたPC鋼材を緊張させることにより、単位構造部材に圧縮力が付加されるため、部材自体の強度を向上させることができる。また、強度の向上により、部材の径を小さくすることができ、小径の部材等であっても好適に用いることができる。さらに、他の部材等の連結部に、仕口等を設ける必要がなく、簡易な構造とすることができるため、設計の自由度を向上させることができるとともに、施工効率を向上させることができる。
以下、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、本発明に係るプレストレスト木質系構造部材を組み合わせて構築した住宅である。まず、本実施の形態に用いるプレストレスト木質系構造部材を構成する木質の単位構造部材1を図1に基づいて説明する。この単位構造部材1は、略矩形の直方体の角材であり、PC鋼材を挿通させるための穴1aが貫通した状態で形成されている。この穴1aは、挿入するPC鋼材の径の大きさによって適宜に変更可能である。また、単位構造部材1の幅、高さ等も適宜に変更可能である。例えば、本実施の形態では、前記単位構造部材1を壁部材として用いる場合には、幅を120mmとした。一方、単位構造部材1の長さにおいても、PC鋼棒2を緊張させることにより容易に
連結可能であるため、搬入、施工、加工の観点から適宜に選択することが可能である。
連結可能であるため、搬入、施工、加工の観点から適宜に選択することが可能である。
図2は、図1に示した単位構造部材1を複数並列して連結したプレストレスト木質系構造部材10の斜視図である。このプレストレスト木質系構造部材10は、主に壁部材、床部材等面状の部材の基本単位となる。このプレストレスト木質系構造部材10は、3つの単位構造部材1が接合されており、各単位構造部材1間は、接着剤で接合されている。各単位構造部材1には、各々穴1aが形成されており、3つの穴1aは略平行である。このプレストレスト木質系構造部材10を複数連結する際には、単位構造部材の穴1aが連通するようにプレストレスト木質系構造部材10を重合させて、この穴1aにPC鋼棒2を挿入する。そして、このPC鋼棒2を緊張させることにより、各単位構造部材1は、その穴1aの軸方向において圧縮されるとともに、穴1aの軸方向において隣接する単位構造部材1と接合される。このように、PC鋼棒2を緊張させることにより、種々の部材を構築することができ、例えば、図3に示す壁部材20を構築することができる。
次いで、図1及び図2に示した構造部材を用いた住宅を構成する各部材の構築例を図面に基づいて説明する。図3は、前記プレストレスト木質系構造部材10を用いた壁部材20、大梁40と住宅の基礎30との接合を示した図である。以下、各部間の接合方法及び構築方法を説明する。まず、基礎30を施工し、予め基礎30にPC鋼棒2の一端を埋設して、PC鋼棒2を立設する。次いで、図2に示したプレストレスト木質系構造部材10の各単位構造部材1の穴1aにPC鋼棒2を挿入しつつ、基礎30の上部から複数設置する。必要高さ(壁部材20)分のプレストレスト木質系構造部材10を設置した後、壁部材20を貫通するPC鋼棒2を緊張する。このPC鋼棒2の緊張により、壁部材20は圧縮力を付加されるとともに、基礎30と壁部材20とが連結される。
尚、この連結力が十分に得られない場合には、接合面に接着剤等を用いることが望ましい。また、外から雨等により壁部材20に漏水のおそれがある場合には、各単位構造部材1間の接合面、及び、基礎30と壁部材20の接合面にシールを施すことが望ましい。壁部材20と基礎30を連結した後、図1に示す単位構造部材1を長尺状に連結した大梁40を壁部材20の上部に設置し、壁部材20と大梁40を定着金物3で固定する。このようにして、壁部材20と大梁40を基礎30と容易に連結、構築することができる。
次いで、図4は、図3と異なる態様の構造部材と基礎との接合を示した概略図である。図4の壁部材20を構築するプレストレスト木質系構造部材は、図3の壁部のプレストレスト木質系構造部材10と異なり、鉛直方向にPC鋼棒2を配置せず、水平方向に配置する。そのため、プレストレスト木質系構造部材10を構成する単位構造部材の穴1aは水平方向に連通している。図4の壁部材20は、PC鋼棒2により水平方向を接合されており、鉛直方向における基礎30と壁部材20は内蔵金物4を用いて接合されている。また、大梁40と壁部材20はコッタ6により接合されている。このように、本発明は、組み合わせ自由な単位構造部材1によって各構造部材を構築するため、壁部の構造だけでも種々の態様とすることが可能となる。そのため、設計上の制限が少なく自由度の高い空間を作り出すことが可能となる。
図5は、図3に示す壁部材20と小梁5との接合を示した概略図である。壁部材20の上端に位置する単位構造部材1には、小梁5の一端と嵌合する切り欠き部が形成されている。この切り欠き部と小梁5が嵌合し、隣接する単位構造部材1により小梁5を挟持している。尚、この壁部材20は、鉛直方向にPC鋼棒2を配置しているが、この配置に制限されず、PC鋼棒2を水平方向に配置しても良い。水平方向にPC鋼棒2を配置した場合には、PC鋼棒2のプレストレスによって単位構造部材1間の連結力が増加し、小梁5の支持力を増加させることが可能となる。
図6は、壁部材20のコーナー部分の概略図である。この壁部材20のコーナーを構成する単位構造部材1は、縦横共に同幅の正方形端面を有する単位構造部材1cと、縦横の幅が異なる長方形端面を有する単位構造部材1dの2種類の単位構造部材である。この壁部材20のコーナーは、前記2種類の単位構造部材1c,1dを交互に組み合わせており、長方形端面を有する単位構造部材1dは、隣り合う2本のPC鋼棒2が挿通されている。そのため、水平方向における単位構造部材1同士を連結することができる。すなわち、PC鋼棒2によって鉛直方向を連結し、長方形端面を有する単位構造部材1dによって水平方向を連結している。仮に、2種類の単位構造部材1c,1dを用いず、同一形状の単位構造部材1cのみでコーナーを構築すると、水平方向における連結は接着剤等で行わなければならず、十分な締結力で接合できないおそれがある。しかし、前記長方形端面を有する単位構造部材1dを用いることにより、隣接する単位構造部材間の連結を強固なものにすることができる。
以上のように、本実施の形態に係るプレストレスト木質系構造部材は、単位構造部材1を自由に組み合わせて、種々の構造部材を構築することができる。また、その連結は、PC鋼棒2により行われているため、構造及びその連結作業等を容易にすることができる。さらに、連結部分の構造の簡略化と木材に対する圧縮力の付加により、構造部材としての耐力を向上させることができ、耐震性の向上、設計の自由度を向上させることも可能となる。尚、本実施の形態では、壁部材20等の構築例を示したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、種々の組み合わせをすることができ、種々の建築物の構造部材に適用可能である。
本発明に係るプレストレスト木質系パネル部材50を図面に基づいて詳細に説明する。図7は、本実施例に係るプレストレスト木質系パネル部材50の斜視図であり、図8は、図7に示すプレストレスト木質系パネル部材50の接合部分の概略図である。このプレストレスト木質系パネル部材50は、PC鋼棒2を挿通するための穴1aが貫通された単位構造部材1が連結された枠材を複数重合し、連結したものである。単位構造部材1は、PC鋼棒2によって穴1aの軸方向において隣接する単位構造部材1と連結されており、PC鋼棒のプレストレスにより圧縮力が付加されている。前記PC鋼棒2は、枠状のプレストレスト木質系パネル部材の周方向にわたって配置されている。そのため、PC鋼棒2のプレストレスは、枠材を構成する4辺のいずれの辺の単位構造部材1にも付加されおり、全体として高い強度を得ることができる。本実施例では、前記プレストレスを付加することにより、長尺部材の耐力を高めることができた。また、PC鋼棒2により簡易な構造で連結することができるため、作業効率の向上を図ることができた。
1,1c,1d 単位構造部材
1a 穴
2 PC鋼棒
3 定着金物
4 内蔵金物
5 小梁
6 コッタ
10 プレストレスト木質系構造部材
20 壁部材
30 基礎
40 大梁
50 プレストレスト木質系パネル部材
1a 穴
2 PC鋼棒
3 定着金物
4 内蔵金物
5 小梁
6 コッタ
10 プレストレスト木質系構造部材
20 壁部材
30 基礎
40 大梁
50 プレストレスト木質系パネル部材
Claims (11)
- プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された木質系の単位構造部材を備え、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、穴部の軸方向にプレストレスが導入されることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材。
- 前記穴部の軸方向は、木材の繊維方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 前記穴部の軸方向において前記単位構造部材が複数連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 前記穴部の軸方向において前記単位構造部材が複数連結されているとともに、前記穴部の軸方向と直交する方向において前記単位構造部材が複数連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 前記穴部の軸方向において連結された単位構造部材は、前記PC鋼材で連結されており、前記穴部の軸方向と直交する方向において連結された単位構造部材は、接着剤又は連結部材のうち少なくともいずれか一方にて連結されていることを特徴とする請求項4に記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 前記穴部の軸方向において連結された単位構造部材、及び、前記穴部の軸方向と直交する方向において連結された単位構造部材はいずれも、前記PC鋼材にて連結されていることを特徴とする請求項4に記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 前記単位構造部材は、杉材からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のプレストレスト木質系構造部材。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物であって、
前記単位構造部材を複数組み合わせてなる柱、梁、床、壁等建築物の構造部材となるプレストレスト木質系構造部材は、その接合部において互いに連通する穴部を備えており、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、他の構造部材と連結されていることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物であって、
前記単位構造部材を複数組み合わせてなる柱、梁、床、壁等建築物の構造部材となるプレストレスト木質系構造部材は、その接合部において互いに連通する穴部を備えており、この穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、他のプレストレスト木質系構造部材と連結されていることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物であって、
前記単位構造部材を複数組み合わせてなる壁、柱等の立設部材となるプレストレスト木質系構造部材に挿入されるPC鋼材は、その一方が建築物の基礎に連結しており、緊張されることにより、壁、柱等立設部材が構築されるとともに、基礎と立設部材とが連結されることを特徴とするプレストレスト木質系構造部材を用いた建築物。 - プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された木質系の単位構造部材を複数備え、各単位構造部材の各穴部にPC鋼材を挿入し、PC鋼材を緊張させることにより、穴部の軸方向において連結され、複数の単位構造部材が一体化されていることを特徴とするプレストレスト木質系パネル部材。
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2004
- 2004-03-15 JP JP2004072456A patent/JP2005256538A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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