以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る木造3階建ての木造構造物を示す正面図である。
木造3階建ての建物は、狭い敷地でも敷地の広狭に関らず、敷地を有効に活用して3階建ての木造建築物10を建てることができる。3階建て木造建築物10は、狭小地に建つ木造住宅では難しかったビルトインガレージ11を1階部分を造ることができ、また、1階部分を全面開放の店舗スペースとして活用することもできる。
木造建築物10は、1階部分をビルトインガレージ11とした例を示す在来軸組工法の建物である。木造建築物10では一例として、建物敷地の少なくとも4隅部に角筒状の構造用鉄骨柱12が立設される。鉄骨柱12は構造用通し柱(メイン柱)として構成されており、敷地内の建物基礎13に、例えば矩形プレート状の柱脚金物14が設置される。
建物基礎13は、図2および図3に示すように、柱脚主筋15や異形鉄筋が配筋された鉄筋コンクリート製で構成され、各建物基礎13に埋設されるアンカーボルト16は複数本、例えば4本ずつ突出している。アンカーボルト16は、柱脚金物14から柱脚ベースパック17を貫いて突出し、締結ナット18で締結される。締結ナット18は、例えば、緩み止めを防ぐためのダブルナットで構成される。
柱脚ベースパック17は、構造用鉄骨柱12の基部(底部)に一体に固定されており、構造用鉄骨柱12を立設させることで、鉄骨柱12は建物基礎13の柱脚金物14上に堅固に緊締される。構造用鉄骨柱12は、柱脚金物14および柱脚ベースパック17を介して複数本(4本)のアンカーボルト16および締結ナット18で強固に緊締され、立設される。
構造用鉄骨柱12は、建物の各階毎に鋼製で角筒状の鉄骨柱エレメント12a,12b,12cおよび柱ジョイントブロック19,19a〜19cで構成される。各鉄骨柱エレメント12a,12b,12cおよび柱ジョイントブロック19(19a〜19c)は、立設状態で交互に順次積み重ねられて一体に構成され、通し柱が立設される。鉄骨柱エレメント12a,12b,12cは、シームレスな一般流通材の角筒状鉄骨柱であり、鉄骨柱エレメント12a,12b,12cの柱寸法は、120mm角〜300mm角×長さ3000mm〜5000mm、肉厚6mm〜16mmが用いられる。一例として200mm角×長さ3000mmで、肉厚9mmの構造用鉄骨柱12が使用される。
また、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)は、鋼製で角筒状に構成され、建物各階の天井部分に設けられる。柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)は、梁受け金物30を介して建物各階の横架材である木製構造梁がメイン梁40として一体に設けられる。木製のメイン梁40は、対向する構造用鉄骨柱12,12間を接続するラーメン梁である。
柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)は、建物1階に相当する鉄骨柱エレメント12aと、建物2階の鉄骨柱エレメント12aとの間、建物2階の鉄骨柱エレメント12bと建物3階の鉄骨柱エレメント12cとの間、および建物3階の鉄骨柱エレメント12cと屋根用小柱または束21との間にそれぞれ設けられる。
各柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の上下には、矩形プレート状の鋼製の拡開防止板20a、20b(板厚10mm〜20mm)が介装され、溶接やボルトナットなどの締結手段で固定され、一体化される。拡開防止板20a、20bは、角筒状の構造用鉄骨柱12の各階毎に節部を形成し、角筒状の構造用鉄骨柱12の剛性や強度を柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)とともに一層向上させている。
柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)及び拡開防止板20a、20bは、品質管理された工場で精度よく加工処理され、建物2階の鉄骨柱エレメント12bの底部(または建物1階の鉄骨柱エレメント12aの頂部)、建物3階の鉄骨柱エレメント12cの底部(または建物2階の鉄骨柱エレメント12bの頂部)および小柱21の下部(または建物3階の鉄骨柱エレメント12cの頂部)に、必要に応じ工場にて予め一体に取付けられる。なお、各鉄骨柱エレメント12a、12b、12cの中間に拡開防止板(図示省略)を内設し、構造用鉄骨柱12途中の剛性、強度を向上させてもよい。
また、構造用鉄骨柱12は、図2に示すように、通し柱を構成している。建物3階の柱ジョイントブロック19cの頂部に拡開防止を兼ねた鋼製のトッププレート22が一体に固定される。このトッププレート22上に、図4に示す柱脚柱頭金物23のベースプレート24が設置される。柱脚柱頭金物23は、トッププレート22に溶接等で固定され、立設されたガイドプレート25に小柱あるいは束21がドリフトピン等で固定され、立設される。なお、構造用鉄骨柱12は、建物敷地に立設された後、建物基礎13の凹部は埋め戻され、建物敷地は地面に面一に整地される。
木造建築物10の小柱または束21上に上枠や頭継ぎ(不図示)が横架されて、公知の登り梁(不図示)に屋根パネル26が敷設され、屋根27が構成される。この木造建築物10では、屋根パネル26下に屋根裏部屋28が形成される。屋根裏部屋28内に柱や束を設ける必要がないので、収納スペースを大きく確保することができる。
さらに、木造建築物10では構造用鉄骨柱12,12間に横架される木製のメイン梁40に直交するように図示しない構造用床梁は梁受け金具(図示せず)を介して一体に接合される。建物各階の木製のメイン梁40と床梁は上面が面一に構成され、メイン梁40と床梁上に構造用床パネル29が敷設される。図1および図2に示した例では、床パネル29により木造建築物10の建物2階、3階に床面が構成される。構造用床パネルや屋根パネル26および図示しない床パネルは、品質管理された工場内でプレカットマシンにより正確に製作される。
図1に示された木造建築物10では、建物各階の木製のメイン梁40はその両端部が構造用鉄骨柱12の各柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側部に梁受け金物30を用いて一体接合され、強固な接合構造となって木製構造梁のラーメン梁を構成している。木製のメイン梁40は大断面の構造用集成材を使用している。メイン梁40は構造用鉄骨柱12に梁受け金物30を用いて固定させ、門型ラーメン構造のハイブリッドな木造建築物10とすることで接合強度を向上させ、耐震性、耐久性を向上させることができる。この木造建築物10は、構造用鉄骨柱12に鉄骨柱エレメント12a,12b,12cや柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)を用いて鋼製の梁受け金物30により木製のメイン梁40を一体に接合したハイブリッドラーメン構造である。このハイブリッドラーメン構造では、建物の70%以上に木材を使用した建物であり、床組に木製のメイン梁40や床梁、床パネル29など全てに木材を用いた木造建物である。
また、図1および図2に示すように、構造用鉄骨柱12は、建物各階の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の2側面または3側面に梁受け金物30が溶接あるいはボルトナットなどの締結手段で固定される。梁受け金物30は木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19に取付け、一体に接合させる接合部材である。
梁受け金物30は、図5乃至図9に示すように構成される。梁受け金物30は、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に固定される据付けプレートとしての矩形状鋼製の固定プレート31と、この固定プレート31に楔結合可能に上方から嵌め合される一方、(木製のメイン梁40端部に固定される)ガイド部材35を備えた鋼製のベースプレート32とから主に構成される。固定プレートは、ベースプレート32を柱ジョイントブロック19に取付ける据付プレートを構成しており、ベースプレート32は、ガイド部材35を固定して備える一方、固定プレート31と同様の矩形プレート形状に成形される。固定プレート31とベースプレート32とは、木製のメイン梁40の梁木口の断面積に略等しい矩形形状に成形され、品質管理された工場内で後述するように製作される。
固定プレート31は、図5および図6に示されるように、ベースプレート32側片面に長手方向に延びる縦方向の係合凹部33が形成される。係合凹部33は内部に縦方向のスライド溝を構成している。また、ベースプレート32は固定プレート31側に縦方向の係合凸部34がスライダーとして成形される。係合凸部34は、固定プレート31の係合凹部33に上方から案内されて楔結合可能に嵌め合され、後述するように所定位置までスライドして下降し、楔結合するように設けられる。
また、ベースプレート32は係合凸部34の反対側に図7に示すように複数のガイド部材35が溶接などで精度よく固定される。ガイド部材35は鋼製で帯状あるいは細長い矩形プレート状に構成される。ガイド部材35は、ベースプレート32に上下両側で基部が溶接にて固定され、自由端側は水平方向に延びて終端している。ガイド部材35は、その両側面に複数の凹溝36が長手方向に所要のピッチ間隔をおいて交互に形成される。凹溝36はガイド部材35の片面だけに形成してもよく、凹溝36を設けることによりガイド部材35の側面の表面積を増加させることができ、液状接着剤43との接着面積を増加させている。また、ガイド部材35には細長い矩形プレートで帯状に形成する代わりに矩形プレートを撚って異形形状に構成してもよい。ベースプレート32とガイド部材35とから梁受け金物30の本体部が構成される。
さらに、木造建築物10では、図1に示すように、対向する構造用鉄骨柱12,12間に木製構造梁であるメイン梁40が横架される。木製のメイン梁40は、桧ムク材や大断面の木材の構造用集成材や集合材、または不燃材と木材の複合材等で構成される。構造用集成材は、桧、杉、米松、唐松等の樹種材(天然木材)のひき板を、含水率15%以下まで乾燥させ、複数枚(3枚以上)のひき板をエポキシ樹脂等の接着剤を用いて重ね合せ、接着したものである。木製のメイン梁40は、梁幅(W)×梁高さ(H)が、例えば、大断面の構造用集成材が用いられる。構造用集成材は、幅寸法(W)×高さ寸法(H)が105mm(〜240mm)×240mm(〜600mm)で、W<Hの寸法関係を保って製作される。梁幅(W)×梁高さ(H)が、例えば、120mm×300mm,120mm×380mm,120mm×450mm(あるいは105mm×300mm,105mm×380mm,105mm×450mm)の大断面の木製のメイン梁40が用いられる。メイン梁40の両側に、防火対策として1時間耐火用では、板厚45mmの集成材または板厚60mmの無垢材の耐防火被覆材(図示省略)が接着され、設けられる。
木製のメイン梁40は構造梁としてのハイブリッドラーメン梁に用いられる。木製のメイン梁40に大断面の構造用集成材あるいは複合材を用いると、万一の火災時に集成材あるいは複合材は表面が焦げても、焦げた表面に炭化層ができ、この炭化層が酸素の供給を遮断し、それ以上の燃焼を食い止める役目を果す。木製のメイン梁40は表面が焦げるだけなので、構造材としての強度を保つことができ、建物の崩壊を遅延させ、防ぐことができる。
図1に示される木造3階建ての建物では、例えば建物1階の木製のメイン梁40に120mm×450mm断面の構造用集成材が用いられ、建物2階および建物3階には120mm×390mm,120mm×300mm断面の構造用集成材が用いられる。3階建ての建物では、建物1階のメイン梁40から上層階に向うに従って、一例としてメイン梁40の梁高さ(H)が漸次低くなるように構成される。建物各階のメイン梁40には、例えば大断面の構造用集成材がラーメン梁として用いられる。
メイン梁40に用いられる木製の構造用集成材は、天然のムク材より高い剛性強度を有し、内部は常に乾燥した状態に保たれるため、水分や湿度の影響を受けにくく、反りや歪み、割れの殆ど無い、安定した品質の構造梁が長期に亘り保持される。
天然木材の構造用集成材で構成されたメイン梁40は、図1および図2に示すように、ラーメン梁の構造梁を構成している。木製のメイン梁40の構造梁は、住宅用の一般流通材の最大長さの6000mm以内となるように、例えば梁長さが3600mmあるいは5400mmのラーメン梁が標準使用材として用いられる。
一方、木製のメイン梁40は、その端部に図5に示すように長手方向に延びるスリット溝(ガイド溝)41がプレカットマシン(図示せず)で精度よく加工され、端部上下に設けられる。木製のメイン梁40のスリット溝41はガイド部材35を内部に収容するスペースを有する。ベースプレート32に固定されたガイド部材35は、工場内でメイン梁40のスリット溝に挿入され、収容される。ガイド部材35は所要位置に収容された状態で、図8に示すようにメイン梁40の一側からドリフトピン42をガイド部材35の挿通孔37を通して打ち込み、ガイド部材35をメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内で浮上状態に固定支持される。このようにして木製のメイン梁40は両側端部上下のガイド部材であるスリット溝41にベースプレート32に固定のガイド部材35を挿入して浮上支持させることができ、ベースプレート32はメイン梁40の端部に設けられる。
メイン梁40の端部にベースプレート32が固定された状態で木製のメイン梁40は上向き開口のスリット溝41内にフレキソ樹脂などの液状接着剤43が充填される。接着剤をスリット溝41内に圧入、充填させることにより、接着剤43は浮上状態のガイド部材35の周囲に廻り込んで接着される。接着剤の一部はスリット溝(ガイド溝)41の切り口からメイン梁40の繊維質内に浸透して接着され、接着力が強化される。しかして一方のガイド部材35はスリット溝41内に密に充填された接着剤で強固に接着される一方、この接着剤43によりガイド部材35は、メイン梁40に強固に接着され、一体に接合される。
メイン梁40のスリット溝41内に充填された接着剤43は、所定の乾き時間、例えば一晩寝かせた後にメイン梁40を反転させ、下向き開口のスリット溝41を上向き開口のスリット溝となるようにセットさせる。このセット状態で上向きのスリット溝41内にベースプレート32のガイド部材35が浮上状態に支持されている。スリット溝41内に接着剤43を圧入、充填させることにより、前回と同様にして他方のガイド部材35も接着剤43によりスリット溝41内で接着され、一体に接合される。しかして、ガイド部材35を固定したベースプレート32は、木製のメイン梁40の両端部にガイド部材35により接着剤43のアシストを受けて一体接合され、堅固に固定される。木造建築物10では、必要なメイン梁40にベースプレート32が品質管理された工場内で一体接合されて製作される。また、ベースプレート32を楔結合可能に設ける固定プレート31も品質管理された工場内で構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に溶接にて一体結合され、強固に固定される。
品質管理された工場内で製作された構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合された固定プレート31と、木製のメイン梁40の端部に一体接合されたベースプレート32とは、木造建築物10の建物現場に搬送されて、建物現場で組み立てられ、梁受け金物30が構成される。
建築現場では、建築基礎13に立設された建物1階の構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19側に固定の固定プレート31上に、クレーンで吊設された木製のメイン梁40のベースプレート32が吊り降ろされ、ベースプレート32は固定プレート31上に位置合わせされて対向させる。
その後、木製のメイン梁40に固定のベースプレート32をその係合凸部34の下端部を固定プレート31の係合凹部33の頂部搬入口に臨ませ、位置合わせされた状態でメイン梁40は水平状態を保ってゆっくり吊り降ろされる。メイン梁40の吊り降ろしにより、ベースプレート32の係合凸部34は、固定プレート31の係合凹部33に楔結合可能に嵌め合され、係合凹部33のスライド溝に沿って下降する。係合凸部34の下端が係合凹部33のスライド溝の下端に当接して木製のメイン梁40は下動が停止される。このメイン梁40は下動が停止した状態で楔部材である抜け止め部材39が、係合凹部33と係合凸部34との接合面に形成されたプレート幅方向の抜け止め孔38に挿通されて、梁受け金物30の組み立てが完成する。この梁受け金物30により、ベースプレート32は固定プレート31に一体接合され、木製のメイン梁40の浮き上がりが阻止される。抜け止め部材39の挿通により、構造用鉄骨柱12の(建物1階部分の)梁受け金物30が組み立てられる。この場合、梁受け金物30は、単一の抜け止め部材39を固定プレート31とベースプレート32の合わせ面に形成された抜け止め孔38に挿通させるだけで、簡単かつ容易に組み立てることができる。建物1階部分の周りに設けられる他の梁受け金物30も同様に単一の抜け止め部材39をプレート幅方向の抜け止め孔38に挿通させるだけで、次々に組み立てることができる。この梁受け金物30により木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a)に一体接合され、建物1階部分を構成することができる。
建物1階の木製のメイン梁40を梁受け金物30を用いて構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19に一体係合させた後、梁受け金物30を用いて建物2階の木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12(の柱ジョイントブロック19b)に順次一体接合される。続いて建物3階の木製のメイン梁40を、梁受け金物30を用いて構造用鉄骨柱12を一体接合させていくことにより、3階建ての木造建築物10(の木造軸受け構造)の骨組みが構築される。
この木造建築物10の骨組みを構築後、屋根を設置したり、建物各階の木製のメイン梁40に図示しない床梁を一体接合させて構造用床パネル29(図1および図2参照)を敷設したり、図示しない壁パネルを設けることにより、木造建築物10の3階建て建物を建設することができる。
[梁受け金物の製作]
梁受け金物30は、固定プレート31とベースプレート32と複数(二つ)のガイド部材35とを備える。固定プレート31、ベースプレート32およびガイド部材35は、品質管理された工場内で製作(製造)されるが、固定プレート31の係合凹部33とベースプレート32の係合凸部34とは製作の困難性が異なる。
固定プレート31の係合凹部33は、頂部に搬入口が開口しており、さらにベースプレート32側に面してベースプレート32の係合凸部34をスライド可能に案内するスライド溝構成用の縦方向開口が形成される。係合凹部33およびスライド溝の縦方向開口は、図5および図8に示された頂部(搬入口)から下方に向かって溝幅および開口幅を漸次縮小して先細形状に構成され、固定プレート31の下端部手前(例えば50mm程度手前)」で終端し、閉じられる。しかも係合凹部33溝幅は、溝底部が幅広で、ベースプレート32の側表面側の開口に向かって幅狭となるように構成される。このため、固定プレート31の係合凹部33は製作に困難性を伴う。なお、スライド溝は先細形状ではなく、細長い直方体形状の溝であってもよい。
固定プレート31の係合凹部33は製作の困難性を考慮し、安定した係合凹部33を精度よく製作するために、固定プレート31は図6および図9に示すように矩形状の二枚のプレートエレメント31a、31b(プレート厚さは10mm〜20mmで略等しい)を面接合させて一体構造物に構成される。固定プレート31の一方のプレートエレメント31aは、メイン梁40の梁木口への面積と略等しく、他方のプレートエレメント31bは係合凹部33のスライド溝形成用の開口が形成される。係合凹部33のスライド溝の形成用の開口を形成した他方のプレートエレメント31bは、一方のプレートエレメント31aに面接合させることで(一体構造物の)係合凹部33を備えた固定プレート31が製作される。この固定プレート31は工場にて柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に溶接などで固定させることで製作される。他に、固定プレート31は頂部を除く周側部に外フランジを形成し、この外フランジを溶接やボルトナットで柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定することで製作してもよい。
また、ベースプレート32は、図5〜図8に示すように、木製のメイン梁40の梁木口の面積と等しい矩形形状に構成される。ベースプレート32の固定プレート31側に係合凸部34が形成される。係合凸部34は、厚さ32mm(例えば30mm〜40mm)の矩形ブロック状のベースプレート32を(固定プレート31側を)削り出すことにより構成される。ベースプレート32の係合凸部34を削り出して構成する代わりに厚さ16mm(例えば10mm〜20mm)の2枚のプレートエレメント32a、32bを固定プレート31と同様に面接合させて一体構造物としてもよい。この場合、ベースプレート32の一方のプレートエレメント32aは、メイン梁40の梁木口と等しい面積の矩形状に形成され、他方のプレートエレメント32bは、固定プレート31の係合凹部33に楔結合可能に嵌め合う係合凸部34が形成される。その際、係合凸部34と係合凹部33とは、補形形状を成し、互いに嵌まり合う関係に構成される。この場合、一方のプレートエレメント32aに他方のプレートエレメント32bを面接合させた一体構造物でベースプレート32が製作される。ベースプレート32の係合凸部34は、図5および図8に示すように、プレート幅が幅広の頂部から下方に向かって漸次幅狭となるように、先細形状に構成され、ベースプレート32の下端手前(例えば50mm程度手前)で終端している。また、ベースプレート32の係合凸部34は、ベースエレメント32a側から固定プレート31側に向かって漸次幅広となるように構成される。ベースプレート32の係合凸部34を固定プレート31の係合凹部33が頂部の搬入口から下方にスライドさせて嵌め合わせたとき、係合凸部34は係合凹部33に楔結合可能に嵌め合される。
固定プレート31の係合凹部33とベースプレート32の係合凸部34とを嵌め合せたとき、凹凸嵌め合い部の合わせ面にプレート幅方向(横方向)に延びる抜け止め孔38が構成される。この抜け止め孔38に楔部材の抜け止め部材39が挿通可能に設けられる。
さらにガイド部材35は図5乃至図8に示すように細長い鋼製の矩形プレートで帯状に構成される。ガイド部材35の縦横寸法は、例えば100mm(80mm〜150mm)×300mm(300mm〜600mm)で厚さが6mm(5mm〜10mm)に構成される。ガイド部材35の両側面に幅10mm(8mm〜15mm)、深さ1mm(1mm〜2mm)の凹溝36がガイド部材35の長手方向に直交あるいは交差するように、所要のピッチ間隔をおいて交互に構成される。ガイド部材35の凹溝36は片面にのみ形成してもよい。ガイド部材35の凹溝36は研削等で形成される。複数の凹溝36を設けたガイド部材35はその基部がベースプレート32に固定されたガイド部材35で梁受け金物30の本体部が構成される。ガイド部材35は例えば300mm〜600mmの長手方向長さを有する。
複数(2枚)のガイド部材35が固定されたベースプレート32は木製のメイン梁40は端部上下のガイド溝であるスリット溝41に挿入される。挿入されたスリット溝41に例えば複数(2個)の挿通孔37が形成される。スリット溝41に挿入されたガイド部材35の挿通孔37にドリフトピン42が打たれてメイン梁40のスリット溝41内にガイド部材35が浮上状態で収容される。ガイド部材35を固定したベースプレート32は、木製のメイン梁40上下のスリット溝41内に前述したように、フレキソ樹脂などの液状接着剤43を充填させることで、メイン梁40の端部に堅固に固定される。メイン梁40の他方の端部にも同様にしてベースプレート32が堅固に固定される。木造建築物10では建物に必要数のベースプレート32と固定プレート31は品質管理された工場内で精度よく製作される。
この工場内で構造用鉄骨柱12を構成する鉄骨柱エレメント12a、12b、12cだけでなく、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)および拡開防止板20a、20bも製作される。製作された柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に梁受け金物30の固定ブロック31が建設現場でなく、工場内で溶接や締結手段にて精度よく固定され、この柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に拡開防止板20a、20bも溶接で固定される。
なお一実施形態では、梁受け金物30は柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定の固定プレート31と木製のメイン梁40に固定のベースプレート32の本体部とから主に構成され、固定プレート31と本体部のベースプレート32とは建設現場で楔結合可能に嵌め合せて一体接合されて梁受け金物30が設けられる例を示した。一方、梁受け金物30は球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル)等の鋳物材料でベースプレート32とガイド部材35とを鋳造により一体構造物に構成してもよい。鋳物材料で梁受け金物30を構成した場合には、本体部を構成するベースプレート32と複数のガイド部材35が鋳造技術で一体成型された一体構造物であるので、ガイド部材35をベースプレート32に固定させる溶接は不要となる。この場合には、固定プレート31の柱ジョイントブロック19への取り付けは、溶接ではなくボルトナット等の締結手段による固定となる。
[木造建築物の組立て]
工場で製作された鉄骨柱エレメント12a、12b、12cや固定プレート31を固定した柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)及びベースプレート32を固定した木造構造梁のメイン梁40等の建物の主要構造物は、工場から建設現場に搬送されて現地で組み立てられ、木造建築物10が建設される。
木造建築物10は、鉄骨柱エレメント12a、12b、12cおよび柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)を交互に順次積み上げて溶接により一体接合することにより構造用鉄骨柱12が構成され、通し柱が立設される。通し柱は、四隅と必要に応じて中間部に設けられる。通し柱は構造上主要な場所に設けられ、大きな鉛直荷重を負担している。また構造用鉄骨柱12は、建物基礎13上に複数本(4本)のアンカーボルト16により柱脚金物14および柱脚ベースパック17が締結ナット18で緊結され、鉄骨柱エレメント12aが立設される。構造用鉄骨柱12は対を成す柱ジョイントブロック19間に梁受け金物30を介して木造構造梁のメイン梁40が横架される。メイン梁40は建設現場でクレーンなどで吊設され、位置合わせされて徐々に吊下げられる。この吊下げによりメイン梁40に固定のベースプレート32はその係合凸部34が柱ジョイントブロック19に固定された係合凹部33の頂部開口(搬入口)に臨み、係合凹部33の頂部開口からスライド溝内を案内されて下方にスライドし、所定位置で停止される。
クレーンの吊設ロープを緩めると、メイン梁40は自重によりベースプレート32の係合凸部34が固定プレート31の係合凹部33内を楔結合可能に嵌め合されてスライド下降し、係合凹部33内の底部に係合凸部34が当接し、所定位置で停止される。この停止状態で係合凹部33と係合凸部34は楔結合状態に嵌め合される。嵌合状態で係合凹部33と係合凸部34の嵌め合い部に形成された抜け止め孔38はプレート幅方向(横方向)に直線状に整合され、楔部材(ストッパ)としての抜け止め部材39が挿通可能になる。抜け止め部材39を抜け止め孔38に挿通させることにより、メイン梁40は楔係合されて構造用鉄骨柱12に堅固に固定される。梁受け金物30は木製のメイン梁をハイブリッドラーメン構造に構成している。
梁受け金物30は固定プレート31とガイド部材35を備えたベースプレート32(本体部)とが、接着剤43のアシストを受けて建設現場で組み立てられ構成される。梁受け金物30は抜け止め部材39の挿通により構成され、固定プレート31の係合凹部33とベースプレート32の係合凸部34とが楔結合可能な凹凸嵌合状態で一体接合される。梁受け金物30はベースプレート32の抜けを防止することにより、地震時にも木製のメイン梁40の浮き上がりを確実に防止することができる。構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に梁受け金物30を用いて木製構造物のメイン梁40が一体接合され、木製のメイン梁40はハイブリッドラーメン梁が構成されている。
そして、建物各階のメイン梁40は、構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に梁受け金物30に堅固なハイブリッドラーメン梁を構成している。
建物各階のメイン梁40は、ベースプレート32の係合凸部34が柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の固定プレート31の係合凹部33に楔結合可能に嵌め合された係合凹部33と係合凸部34の嵌め合せ部(接合部)を抜け止め部材39で固定することで各メイン梁40の浮き上がりを確実に防止することができる。木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12に梁受け金物30で一体接合させたハイブリッドラーメン構造は木製のメイン梁を木製の構造柱に梁受け金物で一体接合させた木製ラーメン構造に比べ、当社比で2倍の強度を有し、強靭さを実現することができる。
また、メイン梁40は木製構造材であり、床梁や床パネル29も木材であるので、横架材は全て木材で構成されるため、床組の施工を簡単かつ容易に行うことができる。さらに、梁受け金物30は固定プレート31とガイド部材35を備えたベースプレート32(本体部)とから主に構成されるので、鋼製部材の部品点数が少なく、建設現場での施工が容易である。しかも梁受け金物30の組み立ては、建設現場で単一な抜け止め部材39を係合凹部33と係合凸部34との抜け止め孔38に挿通させるだけで施工することができるので、現場での施工、組み付けを容易行うことができる。その上、図5および図7〜図9の図示例では、抜け止め孔38及び抜け止め部材39は矩形断面を有する例を示したが、矩形断面以外に円形断面としてもよく、断面形状の制約は受けない。
加えて、木造建築物10は、建築後所要年数、例えば築20年以上経過すると世帯数やライフスタイルの変化に伴い、間取りを変えるリフォーム需要が発生する可能性がある。間取りを変えるリフォーム時にも木製構造物のメイン梁40は床梁や床パネルをはじめ、全て木材で床組を構成することができるので、間取り変更を含めたリフォームの床組変更施工を簡単かつ容易、安価に行うことができる。
また、木造建築物10は構造用鉄骨柱12に梁受け金物30を用いて一体接合される木造構造物のメイン梁40はハイブリッドラーメン構造に構成され、木製のメイン梁40に大断面の構造用集成材や集合材が用いられる。このため、住宅用一般流通材の最大長さである6m以内となるように建物1階の構造用鉄骨柱12を配置することができる。最大6m長さの木製のメイン梁40を使用して床組の施工も可能であり、自由度の高い平面計画が可能となる。さらに、ハイブリッドラーメン構造では木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12に簡素な構造の梁受け金物30を用いて一体接合し施工することができるので、図1に示すように建物を支える外壁面をオープン仕様に構成することができる。
[梁受け金物の第一変形例]
図10は木造建築物に用いられる梁受け金物の第一変形例を示すものである。
この梁受け金物30Aは、第一実施形態に示された梁受け金物30にサポートプレート50を設けたものである。梁受け金物30Aの他の構成は、第一実施形態に示された図5〜図9の梁受け金物30と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
第一変形例の梁受け金物30Aは、ベースプレート32の底部にサポートプレート50を備えたものである。サポートプレート50は舌片状に構成されベースプレート32底部からから直交する水平方向に延び、木製構造梁のメイン梁40の端部をサポートしている。サポートプレート50は、メイン梁40の端部をサポートすることでベースプレート32に固定されたガイド部材35がメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に挿入された時、スリット溝(ガイド溝)41内の支持を案内している。ガイド部材35はガイド溝であるスリット溝41内に浮上支持された状態で、メイン梁40の側面からドリフトピン42をガイド部材35の挿通孔37を通して打ち込むことにより、ガイド部材35はメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に浮上状態に安定的に支持される。
ベースプレート32のガイド部材35は、メイン梁40の両端部でスリット溝41内に浮上支持された状態で、第一実施形態に示された梁受け金物30のベースプレート32の場合と同様、フレキソ樹脂などの液状接着剤43を用いてベースプレート32のガイド部材35をメイン梁40のスリット溝41内で一体接合され、堅固に固定させることができる。
木製のメイン梁40端部上下へのベースプレート32の取付けは、品質管理された工場内で行われる。工場内では、ベースプレート32に固定された複数(2枚)のガイド部材35のうち、一方のガイド部材35がメイン梁40上方開口のスリット溝41にフレキソ樹脂などの液状接着剤43を用いて固着された後、所要時間を経てメイン梁40を反転させ、他方のガイド部材35をメイン梁40のスリット溝41内に接着剤43を用いて固着させる。そしてベースプレート32のガイド部材35をメイン梁40の両端部に接着剤43を用いて固着させることにより、ガイド部材35を備えたベースプレート32は木製のメイン梁40端部に一体接合され、堅固に固定される。
一方ベースプレート32は、木造建築物10の建設現場にて固定プレート31に取付けられて梁受け金物30Aが構成される。梁受け金物30Aの一方の固定プレート31は第一実施形態の梁受け金物30に用いられる一方の固定プレート31と構成を同じくし、異ならない。
梁受け金物30Aの固定プレート31は管理された工場内で製作され、この工場内で構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に図1および図2に示すように溶接などで一体結合され固定される。
工場内で柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定された固定プレート31fと木製のメイン梁40に接着剤43を用いて固定されたベースプレート32とは、所要数が製作された後建設現場に搬送され、この建設現場にて建物基礎13に立設された構造用鉄骨柱12の対向する柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の間に木製のメイン梁40がクレーンなどで吊り降ろされる。
木製のメイン梁40は吊り降ろされるとき、メイン梁40の端部に固定されたベースプレート32の係合凸部34が、(柱ジョイントブロック19に固定された)固定プレート31の係合凹部33上に位置合わせされ、係合凸部34は、固定プレート31の係合凹部33の頂部開口から係合凹部33の縦方向のスライド溝内をスライドして下降し、係合凸部34の下端が係合凹部33の底部に接触して停止される。ベースプレート32の係合凸部34が固定プレート31の係合凹部33の底部に停止した状態で、係合凹部33と係合凸部34の合わせ面にプレート幅方向の抜け止め孔38が位置合わせされ、直線状に整合される。係合凹部33と係合凸部とに形成される抜け止め孔38に抜け止め部材39を楔部材として挿設させることにより、梁受け金物30Aが組み立てられ、構成される。この梁受け金物30Aによりメイン梁40の浮き上がりを防止することができる。しかも木製構造物のメイン梁40は、構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体結合させることができ、木製のメイン梁40の浮き上がりが防止される。
梁受け金物30Aは固定プレート31と複数(2枚)のガイド部材35を備えたベースプレート32とから主に構成され、木製のメイン梁40の端部上下へのベースプレート32の固定は、フレキソ樹脂などの液状接着剤43の接着力で一体結合され行われる。その際、ベースプレート32はサポートプレート50に案内されて接触支持され、ガイド部材35はメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に複数(2本)のドリフトピン42を用いて安定的にかつ浮上支持された浮上状態で、フレキソ樹脂などの液状接着剤43が充填され、一体接合され堅固に固定される。
この場合、ベースプレート32の底部にサポートプレート50を設けることにより品質管理された工場内でベースプレート32に固定されたガイド部材35を、木製のメイン梁40のスリット溝41(ガイド溝)内の挿入を安定的に行うことができ、ドリフトピン42の打ち込みによるスリット溝41内での浮上支持を容易に行うことができる。したがって木製のメイン梁40のスリット溝41内にガイド部材35を安定的に浮上支持させ、木製のメイン梁40上下のスリット溝41内への液状接着剤43の圧入、充填を第一実施形態で示された木製のメイン梁40と同様に行うことができ、メイン梁40の端部にベースプレート32が一体接合されて固定される。
第一変形例に示された梁受け金物30Aにおいても、品質管理された工場内で固定プレート31は柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に溶接などで固定され、ガイド部材35を備えたベースプレート32は木製のメイン梁40の端部に接着剤43を用いて一体接合されて固定される。その後は第一実施形態に示された梁受け金物30と同様、建設現場に搬送され、建設現場にてベースプレート32が固定プレート31に組み立てられ一体接合され、梁受け金物30Aが構成される。この梁受け金物30Aにより第一実施形態の梁受け金物30と同様にして、木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合され、木製のメイン梁40の浮き上がりが防止される。
[梁受け金物の第二変形例]
図11は木造建築物に用いられる梁受け金物の第二変形例を示すものである。
この梁受け金物30Bは、第一実施形態に示された梁受け金物30を構成する固定プレート31の係合凹部33とベースプレート32の係合凸部34との楔結合可能な凹凸嵌め合い形状における横(平)断面形状を異にしたものである。第二変形例に示された固定プレート31の係合凹部33bは、縦方向のスライド溝のプレート幅方向(水平方向)の断面形状がT字状突起となるように構成されたものである。第二変形例の固定プレート31の係合凹部33bとベースプレート32の係合凸部34bとの他の構成・形状は、第一実施形態における固定プレート31の係合凹部33およびベースプレート32の係合凸部34と構成・形状を同じくするので、同じ構成には同一符号を付して、重複説明を省略、乃至簡素化する。
第二変形例に示された梁受け金物30Bは、固定プレート31の係合凹部33bの(スライド溝の)水平方向(プレート幅方向)の断面形状がT字溝となるように構成され、ベースプレート32に対向する係合凹部33bの縦方向開口を内フランジで形成し、係合凸部34bのT字状凸部と凹凸嵌合するように構成されたものである。
また、ベースプレート32に構成される係合凸部34bは水平方向(プレート幅方向)の断面形状がT字状突起(凸部)を備えたもので、固定プレート31側先端に外フランジを構成したものである。固定プレート31の係合凹部33bは頂部にプレート幅が大きな搬入口を備える。係合凹部33b頂部の搬入口に続く内部の縦方向のスライド溝は下方に向かって溝幅が漸次縮小し先細形状に構成される。係合凹部33bは固定プレート31の下端部手前(例えば50mm程度手前)で終端し、閉じられる。係合凹部33bは、ベースプレート32側を臨む縦方向の開口は頂部から下方に向かって開口が漸次縮小される。
固定プレート31の係合凹部33bは、製作困難性を伴うので、第一実施形態の固定プレート31と同様、固定プレート31に係合凹部33bを精度よく形成するために矩形状の二枚のプレートエレメントを面接合させて一体に構成される。またベースプレート32は、木製のメイン梁40の梁木口の面積と等しい矩形形状に構成される。ベースプレート32の係合凸部34bはT字状の突起(凸部)を有するように構成されるが、第一実施形態に示されたベースプレート32と同様に2枚のプレートエレメントを面接合されて一体構造物状に構成してもよい。ベースプレート32には、係合凸部34bの反対側に第一実施形態のベースプレート32と同様、複数(2枚)のガイド部材35が片持状に固定される。
しかして、品質管理された工場内で、固定プレート31と複数(2枚)のガイド部材35を備えたベースプレート32とが製作される。この場合、ベースプレート32にサポートプレートは設けられていない。固定プレート31は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に溶接にて固定される。一方ベースプレート32は木製のメイン梁40の端部に固定される。
またベースプレート32には、複数(2枚)のガイド部材35が固定されており、ベースプレート32のガイド部材35はプレカットされたメイン梁40のスリット溝41内に挿入される。スリット溝41に挿入されたガイド部材35は、所定位置でメイン梁の側方から複数(2本)のドリフトピン42が挿通孔37と通して打ち込まれる。ドリフトピン42の打ち込みにより、ガイド部材35はスリット溝41内の所定位置に設けられ、浮上支持される。
ガイド部材35を木製のメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に浮上支持させた状態で、上向きに開口したスリット溝41内にフレキソ樹脂などの液状接着剤43を注入し、スリット溝41内に充填させる。接着剤43を木製のメイン梁40の上向き開口のスリット溝41内に充填させて所要時間経過後にメイン梁40を反転させ、下向き開口のスリット溝41を上向き開口にセットさせる。そして上向き開口のスリット溝41に接着剤43を注入して充填させる。
このようにして、ベースプレート32の上下両側のガイド部材35は木製のメイン梁40上下のスリット溝41に接着剤43のアシストを受けて堅固に接着される。ガイド部材35は木製のメイン梁40の両側端部のスリット溝41に充填された接着剤43により一体接合され、ベースプレート32を固定した木製のメイン梁40が製作される。
品質管理された工場内で、柱ジョイントブロック19に固定された固定プレート31と木製のメイン梁40の両端部に接着剤43により固定されたベースプレート32とは建設現場に搬送される。そして建設現場にて構造用鉄骨柱12の対向する柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)間にクレーン(図示せず)で吊設された木製のメイン梁4が吊り降ろされる。メイン梁40が対を成す柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)間に吊り降ろされ位置合わせされると、木製のメイン梁40に固定のベースプレート32の係合凸部34bが、(柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定された)固定プレート31に案内され、固定プレート31の係合凹部33bの頂部搬入開口に当接してスライド溝内に案内され、スライド溝内を下方に摺動される。木製のメイン梁40に固定されたベースプレート32の係合凸部34bが固定されたベースプレート32の係合凹部33bの底部に当接するまで、クレーンに吊設された状態で下動し、係合凹部33bの底部に当接して停止される。この停止状態で抜け止め部材39を、係合凹部33bと係合凸部34bとの合わせ面に形成された抜け止め孔38に挿入するだけで、建設現場にて梁受け金物30Bが構成される。
梁受け金物30Bは、ベースプレート32の係合凸部34bが固定プレート31の係合凹部33bに停止した状態で木製のメイン梁40は水平状態に横架される。木製のメイン梁40は梁受け金物30Bを介して構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合され、堅固に固定される。
木製のメイン梁40は、構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)間に図1及び図2に示すように横架された状態で梁受け金物30Bにより一体接合される。この接合状態で梁受け金物30Bは固定プレート31の係合凹部33bとベースプレート32の係合凸部34bとの合わせ面に抜け止め孔38がプレート幅方向(横方向)に形成されている。この抜け止め孔38に楔部材としての抜け止め部材39を挿通させることにより、木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12(の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c))に一体接合されて固定され、浮き上がりを確実に防止することができる。
固定プレート31とガイド部材35および接着剤43を備えたベースプレート32とにより、抜け止め部材39を抜け止め孔38に挿設して梁受け金物30Bが構成される。梁受け金物30Bは部品点数が少なく、単一の抜け止め部材39を挿通させるだけで簡単な組合せ構成で製作できる。この係合凹部33bとベースプレート32の係合凸部34bは、凹凸合わせ面の抜け止め孔38に楔部材として単一の抜け止め部材39を挿通させるだけで梁受け金物30Bは楔結合可能に嵌め合されて構成される。
[梁受け金物の第三変形例]
図12は木造建築物に用いられる梁受け金物の第三変形例を示すものである。
第三変形例に示された梁受け金物30Cは、第一実施形態に示された梁受け金物30と、固定プレート31及びベースプレート32に設けられる係合凸部34と係合凹部33との凹凸嵌め合い関係を逆にしたものである。梁受け金物30Cは、固定プレート31に係合凸部34cを形成し、ベースプレート32に係合凹部33cを構成したものである。他の構成は、第一実施形態と構成及び形状を同じくするので、同じ構成には同一符号を付し、重複説明を省略する。
第三変形例の梁受け金物30Cは、固定プレート31に係合凹部ではなく係合凸部34cを形成し、ベースプレート32に係合凸部ではなく係合凹部33cを構成したものである。ベースプレート32に係合凹部33cを構成して固定プレート31の係合凸部34cとの嵌め合せをスムーズに行うために、固定プレート31の係合凸部34cは頂部の平断面凸形状がプレート幅方向に幅狭で、プレート底部に向かって縦方向に漸次幅広となるように拡開して形成される。係合凸部34cは固定プレート31の基部側からその突起先端(ベースプレート32側)に向かって漸次幅広となるように構成される。
固定プレート31の係合凸部34cを覆うように嵌め合されるベースプレート32の係合凹部33cは、スライド溝の平断面溝形状が係合凸部34cの平断面凸形状と補形形状を成すように凹凸嵌合して楔結合可能に嵌め合される。ベースプレート32の係合凹部33cはプレート底部の搬入開口がプレート幅方向に幅広に構成され、係合凹部33cの搬入開口に続くスライド溝は上方に向かって漸次幅狭となるように構成される。係合凹部33cの上端はベースプレート32の頂部近傍手前(例えば50mm程度頂端手前)で終端し、閉じられる。ベースプレート32の係合凹部33cは固定プレート31側に縦方向の開口を有し、この縦方向の開口は係合凹部33cの溝底部から固定プレート31側の開口に向かって、漸次絞られるように幅狭の先細形状に構成される。このため、ベースプレート32の係合凹部33cが固定プレート31の係合凸部34cに案内され、上方からスムーズにスライドして下降し、嵌め合され、楔結合可能に構成される。
第三変形例の梁受け金物30Cは、第一実施形態の梁受け金物30とは係合凹部33cと係合凸部34cの凹凸嵌め合い関係を逆に形成したもので、固定プレート31に係合凸部34cを形成し、ベースプレート32に係合凹部33cを構成したものである。固定プレート31とベースプレート32は係合凸部34cと係合凹部33cとの凹凸嵌め合せ関係がスムーズになるように、係合凸部34cと係合凹部33cはプレート底部側に向かって突起形状及びスライド溝形状の平断面が幅広となるように構成される。また、固定プレート31とベースプレート32は、係合凸部34cと係合凹部33cの製作を容易にするために複数(2枚)のプレートエレメントを面接合させて、第一実施形態の固定プレート31およびベースプレート32と同様、一体構造物に構成される。
しかして、第三変形例に示された梁受け金物30Cは品質管理された工場内で、固定プレート31や(ガイド部材35を備えた)ベースプレート32が製作される。固定プレート31やベースプレート32は、木製のメイン梁40の梁木口の断面積と略等しい矩形形状に構成される。固定プレート31は工場内で、係合凸部34cが一体構造物として製作され、構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に溶接して固定される。
また、ベースプレート32には係合凹部33cが一体構造物として製作される一方、係合凹部33cを備えたベースプレート32の反対側に複数(2枚)のガイド部材35が溶接にて固定される。そしてベースプレート32は、ガイド部材35がメイン梁40端部上下のスリット溝(ガイド溝)41内に挿入して収容され、ドリフトピン42をガイド部材35の挿通孔37内に通して浮上支持される。その後、ガイド部材35がメイン梁40の上向き開口のスリット溝41に浮上支持された状態で、スリット溝41内に液状の接着剤43を注入し、密に充填させる。続いて、所定時間経過後木製のメイン梁40を反転させ、下向き開口のスリット溝41が上向き開口のスリット溝となるようにセットされ、このセット状態で上向き開口のスリット溝内に液状接着剤43を注入し、密に充填させる。このようにして、両側のスリット溝41に充填された接着剤43により、ガイド部材35は木製のメイン梁40(のスリット溝41)に堅固に固定される。このガイド部材35がメイン梁40に固定されることでベースプレート32は木製のメイン梁40の端部に工場内で一体接合され、堅固に固定される。
固定プレート31を固定した柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)およびベースプレート32を固定したメイン梁40は、工場で製作された後建設現場に搬送され、建設現場にて建物基部13上に立設された構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定された固定プレート31の係合凸部34cにクレーンで吊設された木製のメイン梁40が所定位置に吊り降ろされ、メイン梁40に固定のベースプレート32の係合凹部33cが、プレート底部の搬入開口から固定プレート31の係合凸部34cの頂部に案内され、係合凹部33cは固定された係合凸部34cに沿って案内され、下方にスライドして係合凹部33cの頂部凹溝が係合凸部34cの頂部に当接し下動が停止される。ベースプレート32の下降停止により、係合凹部33cは係合凸部34cを覆うように嵌め合される。ベースプレート32の停止位置で係合凸部34cと係合凹部33cの接合面に形成されたプレート幅方向の抜け止め孔38は、位置合わせされて直線状に整合される。この整合状態で係合凸部34cと係合凹部33cの抜け止め孔38に楔部材としての抜け止め部材39を挿設させることで係合凹部33cの係合凸部34cへの組合せが終了し、梁受け金物30Cが構成される。梁受け金物30Cはベースプレート32を固定プレート31に建設現場にて一体接合させることで木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19に一体接合され、固定される。梁受け金物30Cは建設現場で楔結合構造を構成している。
このように建物基礎13上に立設された対を成す構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に木製のメイン梁40が梁受け金物30Cにより一体接合されて堅固に固定され、木製のメイン梁40の浮き上がりは地震時などにも確実に防止することができる。
[梁受け金物の第四変形例]
図13は、木造建築物に用いられる梁受け金物の第四変形例を示すものである。
第四変形例に示された梁受け金物30Dは第二変形例に示された梁受け金物30Bの固定プレート31およびベースプレート32に設けられる係合凸部と係合凹部の凹凸嵌め合い関係を逆にしたものである。梁受け金物30Dは固定プレート31に係合凸部34dを形成し、ベースプレート32に係合凹部33dを構成したものである。他の構成は、第二変形例と構成及び形状を同じくするので、同じ構成には同一符号を付し、重複説明を省略する。
また、第四変形例に示された梁受け金物30Dは、第三変形例に示された梁受け金物30Cと同様、固定プレート31に係合凸部34dを形成し、ベースプレート32に係合凹部33dを構成したものである。ただ、係合凸部34dおよび係合凹部33dの横(平)断面形状は、第三変形例の係合凸部34cおよび係合凹部33cの横(平)断面形状とは異なる。係合凸部34dおよび係合凹部33dの横(平)断面形状は、第二変形例に示された係合凸部34bおよび係合凹部33bの横(平)断面形状と等しく、T字状の突起(凸部)形状及びT字状の凹溝形状に構成される。
固定プレート31の係合凸部34dは、横(平)断面が外フランジを備えたT字状の突起(凸部)形状に形成され、係合凸部34dはその頂部からプレート底部に向かってプレート幅方向が縦方向に漸次拡大するように構成される。一方、ベースプレート32の係合凹部33dは横(平)断面が内フランジを備えたT字状の凹溝により形成される。係合凹部33dは頂部の凹溝がプレート幅方向に小さくなるようにプレート底部に向かって縦方向凹溝が漸次拡大するように構成される。係合凹部33はスライド溝の縦方向開口が下方に向かって幅広となるように構成される。ベースプレート32の係合凹部33は、プレート頂部近くの手前(例えば50mm程度手前)で凹溝が終端し、閉じられる。
固定プレート31の係合凸部34dおよびベースプレート32の係合凹部33dは、第一実施形態および第一変形例から第三変形例に示された固定プレート31やベースプレート32と同様に、品質管理された工場内で製作される。固定プレート31は柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に溶接にて固定される一方、ベースプレート32には係合凹部33dが形成され、係合凹部33dと反対側のベースプレート32に複数(2枚)のガイド部材35が溶接にて固定され、ガイド部材35は木製のメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41に挿入され、ドリフトピン42でスリット溝41に浮上状態に支持される。第三変形例に示されたメイン梁と同様、木製のメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41に支持された各スリット溝41内に液状接着剤43を注入し充填させることにより、(ガイド部材35を備えた)ベースプレート32は木製のメイン梁40のガイド溝であるスリット溝41に接着剤43で一体接合され、堅固に固定される。
このようにして、品質管理された工場内で製作された固定プレート31は(構造用鉄骨柱12の)柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定される一方、木製のメイン梁40端部に接着剤43を用いて一体接合されたベースプレート32は工場から建設現場に搬送される。そして建設現場にて建物基礎13に立設された構造用鉄骨柱12の対向する柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)間の所定位置にクレーンで吊設された木製のメイン梁40が吊り降ろされる。クレーンにてメイン梁40が徐々に吊り降ろされるとき、メイン梁40に固定されたベースプレート32は柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に固定された固定プレート31に対向し、固定プレート31の係合凸部34dにベースプレート32の係合凹部33dの搬入開口が臨み、係合凹部33dは係合凸部34dの頂部から案内され、自重にてスライドして下降し、係合凹部33dの凹溝頂部が係合凸部34dの頂部に当接して停止される。この停止状態で係合凸部34dと係合凹部33dの接合面に形成された抜け止め孔38がプレート幅方向に直線状に整合される。そして抜け止め孔38に楔部材としての単一の抜け止め部材39を挿設することにより、建築現場にて梁受け金物30Dが構成される。梁受け金物30Dは、木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合させることができる。
しかして、木製構造梁のメイン梁40は、建築現場にて構成された梁受け金物30Dにより構造用鉄骨柱12に一体結合され、横架材である木製のメイン梁40を構造用鉄骨柱12に楔結合構造で堅固に設けることができ、メイン梁40の浮き上がりを確実に防止することができる。
なお、第一実施形態から第四変形例に示された梁受け金物30〜30Dは、固定プレート31とベースプレート32とを備え、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に溶接などで固定された固定プレート31にベースプレート32を楔結合可能に建設現場にて一体接合させる例を説明したが、ベースプレート32を柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に建設現場で溶接やボルトナットの締結手段で一体接合させる簡素な梁受け金物を構成してもよい。
簡素な梁受け金物では、固定プレートが不要となり、ベースプレート32に係合凸部や係合凹部を備える必要がない。ベースプレート32は鋼製で矩形プレート形状に形成し、ベースプレート32の側面に溶接にてガイド部材35を固定してもよい。この場合には、ガイド部材35は図5乃至図13に示すガイド部材35と同じように構成され、ガイド部材35を備えたベースプレート32は木製のメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41に図5乃至図13に示されたベースプレート32と同様、品質管理された工場内で、液状の接着剤43を注入、充填させることで一体接合され、固定される。工場内で木製のメイン梁40の端部に接着剤43を用いて一体接合され、固定されたベースプレート32は建設現場に搬送される。そして建設現場にてクレーンを使用し、木製のメイン梁40を(建物基礎上に立設された構造用鉄骨柱12,12間で)対向する柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に位置合わせし、吊設支持した状態で溶接やボルトナットの締結手段を用いて一体接合させ固定させることで、梁受け金物を構成してもよい。この場合、梁受け金物はベースプレート32とベースプレート32に固定のガイド部材35とから接着剤43を用いることで簡素に構成される。また、ベースプレート32はガイド部材35を溶接にて一体接合させ一体構造物とした例を示したが、ベースプレート32とガイド部材35とは、ダグタイト等の鋳造材料で成形した鋳物製品の一体構造物であってもよい。
[梁受け金物の第五変形例]
図14は、木造建築物に用いられる梁受け金物の第五変形例を示すものである。
第五変形例に示された梁受け金物30Eは、図14(A)および(B)に示すように矩形プレート状を成す鋼製のベースプレート32と、ベースプレート32の底部に設けられるサポートプレート50と、ベースプレート32に設けられる複数(例えば4本)のガイド棒51にねじ結合させる締着ナット52とを備える。
ベースプレート32は、木製のメイン梁40端面に形成される梁木口の面積と等しい矩形プレート状鋼板で構成される。ベースプレート32には底部に垂直方向に突出する舌片状のサポートプレート50が設けられる。このサポートプレート50と並行に複数(例えば4本)のガイド棒51が配置される。ガイド棒51は、図14(B)に示すようにベースプレート32の左右上下に例えば2本ずつ対を成して設けられる。ガイド棒51は異形鉄筋等で構成され、軸方向の断面形状を異にする異形棒状に形成される。ガイド棒の基部(端部)には雄ねじが切られ、このねじに締着ナット52がねじ結合される。
一方、木製構造梁を構成するメイン梁40は、品質管理された工場内でプレカットされ、端部に(ガイド棒51にねじ結合された)締着ナット52を操作する凹部スペース44と、ガイド棒51の挿入を案内する挿通孔45(ガイド孔)とが設けられる。ガイド孔としての挿通孔45は木製のメイン梁40の端部から軸方向に延びて終端しており、終端部にガイド棒51の軸側の回転を防止する回り止め部材が設けられる一方、フレキソ樹脂などの液状接着剤43を注入する注入口46が開口している。
またガイド孔である挿通孔45は、異形形状のガイド棒の挿入をスムーズに案内できるように孔径がガイド棒51の棒径より大径に構成される。ガイド棒51を挿通孔45に挿入し、ベースプレート32のサポートプレート50上にメイン梁40をサポートさせた状態で締着ナット52をねじ操作し、締着ナット52をベースプレート32に当接させる。締着ナット52をベースプレート32当接させた状態で凹部スペース44を利用して締着ナット52をベースプレート32に移動接触させ、溶接にて固着させる。各ガイド棒51にねじ結合された締着ナット52をベースプレート32に溶接にて固着させることにより、全ての締着ナット52をベースプレート32に順次固着させる。これにより、各ガイド棒51はベースプレート32に固定される。
各ガイド棒51をベースプレート32に固定させた後、木製のメイン梁40の注入口46などから液状接着剤43を圧入、注入させる。接着剤43の注入により、メイン梁40は各挿通孔45および凹部スペース44内に接着剤43が充填される。接着剤43を各挿通孔45及び凹部スペース44に密に充填させることにより、ベースプレート32はメイン梁40の端部に一体接合され、堅固に固定される。その際、ガイド棒51は異形形状で構成されているので、接着剤43との接触面積が大きく、さらに挿通孔45に充填された接着剤43は挿通孔51から木製メイン梁40の繊維質内に浸透してメイン梁40と一体接合されるので、ベースプレート32はメイン梁40に堅固に固定される。
品質管理された工場内でガイド棒51を備えたベースプレート32は、メイン梁40の端部に接着剤43を用いて一体接合され、ベースプレート32は木製のメイン梁40に固着され、製作される。ベースプレート32を固定したメイン梁40は、工場内で製作された後、建設現場に搬送される。建設現場ではメイン梁40はクレーンで吊設され、建設基礎13に立設された構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)と位置合わせされる。この場合、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)には固定プレートは取り付けられていない。
木製構造梁であるメイン梁40の構造用鉄骨柱12への取付けは、メイン梁40をクレーンで吊設した状態で行われる。木製のメイン梁40をクレーンで吊設した状態で、構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の対向する側面に、(木製のメイン梁40に固定の)ベースプレート32を臨ませて位置させる。そしてベースプレート32を柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)の側面に接触させ、当接させた状態でベースプレート32の周辺を溶接したり、ボルトナットの締結手段を用いて固着させる。このベースプレート32を柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に溶接して固着することにより、木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合させる梁受け金物30Eが構成される。
木製のメイン梁40は、梁受け金物30Eにより構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合される。この場合、梁受け金物30Eはベースプレート32とサポートプレート50と複数のガイド棒51等で構成することができるので、簡素に構成することができる。
また、木製のメイン梁40により構成される凹部スペース44a、44bは、図15に示すように上側と下側とに分けて構成してもよい。凹部スペース44a、44bを上下にセパレートさせて構成すると、接着剤43の使用料を節約できる。図15に示す梁受け金物30Eにおいても、建設現場にて木製のメイン梁40は構造用鉄骨柱12の柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に一体接合され、堅固に固定される。
[第二実施形態]
次に、高層建物に適用される柱と梁の接合構造および木造建築物の第二実施形態について図16を参照して説明する。
図16は、本発明に係る木造建築物の第二実施形態を5階建ての木造建築物に適用した例を示す。
この木造建築物60は構造用柱として、例えば、角筒状の構造用鉄骨柱61が立設される。構造用鉄骨柱61は、敷地内の建物基礎63に矩形プレート状の柱脚金物64が設置される。建物基礎63は、図1および図2に示されるもの同様、異形鉄筋や柱脚鉄筋が配筋された鉄筋コンクリート製で、建物基礎63上に緊結され、立設される。
木造建築物60では、図16に示すように、対向する構造用鉄骨柱61、61間に木製構造梁であるメイン梁70が横架される。メイン梁70は、第一実施形態に示される木製のメイン梁40と同様に構成され、大断面の天然木材の構造用集成材または木材の複合材や集合材で構成される横架材である。構造用集成材は、天然木材のひき板を含水率15%以下まで乾燥され、数枚から10数枚のひき板、例えば10枚のひき板を重ね合わせ、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて接着させたものである。構造用集成材は、多数の角柱状ひき板を束ねて接着剤で大断面の角柱状に接合させたものでもよい。
構造用鉄骨柱61は、建物各階毎に角柱状の鉄骨柱エレメント61a〜61eと柱ジョイントブロック65a〜65eが交互に組み合わせて積み上げられ、立設状態に構成される。柱ジョイントブロック65a〜65eの上下に矩形プレート状で鋼製の拡開防止板66a、66bが一体接合され、設けられる。構造用鉄骨柱61は、鉄骨柱エレメント61a〜61eと、柱ジョイントブロック65a〜65eと、拡開防止板66a、66bとを一体的に積み上げて構成され、構造用通し柱が立設される。鉄骨柱エレメント61a〜61eの柱寸法は、120mm角〜300mm角の矩形断面で、長さが2500mm〜3000mm程度、肉厚が数mm〜10数mmの角筒状鉄骨柱エレメントが用いられる。
柱ジョイントブロック65a〜65eは、柱寸法が120mm角〜300mm角の矩形断面で、高さ寸法は木製のメイン梁70の高さ寸法と等しく筒ブロック状に構成される。
柱ジョイントブロック65a〜65eは、建物各階を構成するメイン梁70に対向して設けられる。各ジョイントブロック65a〜65eの上下に設けられる鋼製の拡開防止板66a、66bは、角筒状構造用鉄骨柱61の建物各階毎に節部を構成し、構造用鉄骨柱61の剛性、強度を向上させている。各ジョイントブロック65a〜65eの2側方、あるいは3側方の各側面に、木製のメイン梁70が梁受け金物68を介して一体接合され、メイン梁70がハイブリッドラーメン構造に設けられる。梁受け金物68は、第一実施形態および第1変形例〜第5変形例に示された梁受け金物30、30A〜30Eが選択的に使用される。
また、構造用鉄骨柱61は、図16に示すように構成され、建物5階の柱ジョイントブロック65e上の拡開防止板66aは鋼製のトッププレートを構成しており、このトッププレート上に図1に示すものと同様、柱脚柱頭金物を介して小柱あるいは束が設けられ、屋根が構成される。
構造用鉄骨柱61は、建物各階の柱ジョイントブロック65a〜65eの2側方又は3側方の側面に、第一実施形態および第1変形例乃至第5変形例に示された梁受け金物30〜30Eと同様、梁受け金物68を介して木製のメイン梁70が一体接合される。メイン梁70は梁受け金物68により構造用鉄骨柱61に一体接合で固定され、強固なハイブリッドラーメン構造に構成される。
メイン梁70は、梁幅(W)と梁高さ(H)が大断面の、例えば、構造用集成材で構成される。構造用集成材の梁幅(W)と梁高さ(H)は、W<Hの寸法関係を保って構成され、梁寸法(W×H)は、105mm(〜180mm)×300mm(〜600mm)の木製構造梁のメイン梁70が選択的に使用される。
図16に示される5階建ての木造建築物60では、例えば建物1階の木製のメイン梁70に、W×H寸法が例えば120mm×600mの大断面の構造用集成材が横架材として用いられ、建物2階〜建物5階には、一例としてそれぞれW×H寸法が120mm×500mm〜550mm、120mm×450mm、120mm×380mmおよび120mm×300mmの大断面の構造用集成材が用いられる。5階の木造建築物60では、建物1階の木製のメイン梁70から上層階に向うにしたがって、メイン梁70の梁高さ(H)が例えば漸次低くなるように構成される。建物各階の木製のメイン梁70には、大断面の構造用集成材が構造梁(ラーメン梁)として用いられる。
また、建物各階のメイン梁70には、図示しない床梁が梁受け金物(不図示)により直交するように一体接合され、配設される。木製のメイン梁70と床梁の上面が面一(平面)に構成され、建物各階の床組の床面が設けられる。建物各階のメイン梁70および床梁上は特開2018−184743号公報に示された構造用床パネル(不図示)や壁パネル、屋根パネルが用いられる。構造用床パネルは、例えば28mmのパネル厚を有し、ピアノ等の重量物に耐える強度を備える。構造用床パネルは柱位置、壁パネルは窓などの開口部、屋根パネルは屋根の取り合いをそれぞれ合わせて全てプレカットして構成される。建物5階(最上階)のメイン梁70および床梁上には、構造用床パネルより肉薄で、例えば、肉厚20mm程度の床パネルが敷設され、天井裏部屋が形成される。
また、木造建築物60は、角筒状の構造用鉄骨柱61に梁受け金物68を介して大断面の木製のメイン梁70を、一体接合させた軸組み構造の建物である。5階建て建物の木造建築物60は、建物基礎63上の構造柱に鋼製の構造用鉄骨柱61を使用するが、メイン梁70の床梁、構造用床パネル、壁パネルおよび屋根パネル等は全て木材を使用し、木材使用率が70%を超える木造建物である。
さらに、木造建築物60の5階建て建物では、建物外壁周りに立設される構造用鉄骨柱61は、少なくとも建物室内側に防耐火被覆材あるいは化粧板がアクリル樹脂等の接着剤で接着され、被覆される。建物内部に立設される構造用鉄骨柱61には、全周面に亘り外側から防耐火被覆材あるいは化粧板が接着剤で接着され、被覆される。
防耐火被覆材は、市販品で構成され、化粧板を兼ねて構造用鉄骨柱61や木製のメイン梁40等に接着剤で接着され、被覆状態で使用される。
ところで、建築基準法では「1時間耐火」が認められた木材は4階建て迄で、「2時間耐火」は14階建て迄の建物に木材を使用することができる。一般の木造建築物(高層建物)における建築基準法上の耐火使用は、建物の適用階に応じて用いられ、図17に示すように適合する耐火時間が定められている。
また、準耐火建築物や一般の木造建築物の柱や梁の燃えしろ深さは、図18に示すように規定されている(S62建告第1902号、改正H16国告第333号)。
集成材や積層材を使用した場合、準耐火建築物の柱や梁の燃えしろは、1時間耐火で45mm、45分耐火で35mmであり、一般の木造建築物の柱や梁の燃えしろは、30分耐火で25mmである。
第二実施形態で示された5階建ての木造建築物60は、第一実施形態に示された木造建築物と同様、少なくとも建物4階の建物基礎63上に各構造用鉄骨柱61が堅固に固定される。木製構造梁である大断面のメイン梁70は、梁受け金物68を用いて構造用鉄骨柱61の柱ジョイントブロック65a〜65eに一体接合され、堅固に固定される。
また、構造用鉄骨柱61の柱ジョイントブロック65a〜65eは、上下に拡開防止板66a、66bが固定され、構造用鉄骨柱61は、建物各階毎と節部ができ、拡開が防止されるので、剛性や強度を向上させることができる。
さらに構造用鉄骨柱61の柱ジョイントブロック65a〜65eと、木製のメイン梁70とは、梁受け金物68を介して一体接合され、強固に固定されたハイブリッドラーメン構造に構成される。この梁受け金物68により、構造用鉄骨柱61と木製のメイン梁70との剪断力を高めることができる。また、梁受け金物68は、接着剤を用いて木製のメイン梁70に一体接合され、固定されるので、梁受け金物68は、木製のメイン梁70の割れを防止できる。木製のメイン梁70を構造用鉄骨柱61に梁受け金物68を用いて一体接合するハイブリッドラーメン構造は、軸組み構造の剛性力と地震後の復元力を高めることができる。加えて、図16に示された5階建ての木造建築物60は、建物基礎63上に角筒状構造用鉄骨柱61が緊結されて堅固に立設され、構造用鉄骨柱61の柱ジョイントブロック65a〜65eに梁受け金物68を用いて木製のメイン梁70が堅固に固定される。したがって、建物基礎63上に緊結された構造用鉄骨柱61や、この構造用鉄骨柱61(の柱ジョイントブロック65a〜65e)に梁受け金物68を用いて一体接合される木製のメイン梁70を備えた木造建築物60は、木製のメイン梁70の軸組み構造を強靭さを備えたハイブリッドラーメン構造でしかもハイブリッド構造にすることができる。
この木造建築物60は、激震にもびくつかない耐震性と耐久性を有し、強靭性を備えた建物を提供することができる。
このように、5階建ての建物を木造建築物60としても、第一実施形態に示された木造建築物と同様に、耐久性、耐震性のある建物を提供することができる。さらに、公共建築物木材利用促進法が2010年に施行されたのに伴い、学校や市庁舎等の建物に木造の公共施設が増えている。一般住宅にも、3階建て建物の木造建築物のみならず、4階建て以上、例えば5階建ての建物の木造建築物のように高層の木造建築の建物が増えている。
[第三実施形態]
次に、木造建物に適用される柱と梁の接合構造および木造建築物の第三実施形態を示すもので、図19は木造建築物の建物の平面計画例の概念図を示すものである。
第三実施形態に用いられる建物の平面計画例は、建物敷地に建てられた木製建築物80の建物の特定階の平面図を示すものである。木製建築物80は建物敷地の四隅内に、複数本例えば9本の角筒状構造用鉄骨柱81が配設されて建物主要部82を構成したものである。建物主要部82の一方の外側辺には第1の付帯部83aが設けられ、別の外側辺に第2の付帯部83bが設けられる。
各構造用鉄骨柱81は、第一実施形態に示される構造用鉄骨柱12と同様、建物基礎上に緊結されて堅固に立設される。対向する構造用鉄骨柱81、81間に、図示を省略した梁受け金物を介して木製構造梁のメイン梁84が一体接合される。梁受け金物は、第一実施形態および第1変形例乃至第5変形例に示された梁受け金物30、30A〜30Eが選択的に用いられる。木製のメイン梁84は、構造用鉄骨柱81(の柱ジョイントブロック85)の2側面、3側面あるいは、4側面に梁受け金物を用いて一体接合され、堅固に固定される。木製のメイン梁84は一般流通材の最大長さである6m以内のスパンとなるように建物1階の構造用鉄骨柱81が配置される。また、木製のメイン梁84は梁受け金物により構造用鉄骨柱81(の柱ジョイントブロック85)に一体結合されたハイリジッドラーメンであり、ハイブリッドラーメン構造に構成される。
また、第1の付帯部83aには、木製構造梁のメイン梁84とともに構造用鉄骨柱ではなく、木製の構造用柱86が用いられる。構造用柱86には、構造用集成材や集合材の木材が用いられる。木製のメイン梁81を木製の構造用柱86に接合させる梁受け金物には、第一実施形態および第1変形例乃至第5変形例に示された梁受け金物30、30A〜30Eが選択的に用いられる。そして、第1の付帯部83aは、構造用柱86とメイン梁84とが共に木製で製作され、コストダウンが図られる。
さらに、第2の付帯部83bは、木製のメイン梁84が構造用鉄骨柱81(の柱ジョイントブロック85)に梁受け金物(図示省略)を用いて片持状に一体接合され、ベランダ等が形成される。第2の付帯部83bを構成する木製のメイン梁81の自由端部にカーテンウォール87を設けることも可能である。
第三実施形態に示される木造建築物80では、建物主要部82の側辺に付帯部83a、83bを設けて、木造部位を増加させ、床面積に対する鉄骨比率を下げ、コストダウンを図ることができる。また、建物主要部82を構成する構造用鉄骨柱81は大スパンに配置したので、広々とした自由度の高い床組の平面計画が可能である。
なお、第1付帯部83aに設けられる通し柱を構成する木製の構造用柱86は、図20に示すように、建物基礎88に緊結された柱脚金物90に構造用柱86の底部が立設される。構造用柱86は底部のスリット溝89や切欠部91が柱脚金物90に立設されたガイドプレート92や周方向のガイド枠93に嵌め合され、多数のドリフトピン94を構造用柱86の側面からガイドプレート92の挿通孔95を通して持ち込むことにより堅固に固定され、構造用柱86の浮上が防止される。
[第三実施形態の第1変形例]
図21は、柱と梁の接合構造および木造建築物の第三実施形態の第1変形例を示す木造建築物の建物の平面計画例の概念図を示すものである。
この変形例に示された木造建築物80Aの建物の平面計画例は、建物主要部100の周りに構成される付帯部101を増加させた例であり、この点が図19に示される建物の平面計画例とは、基本的に相違する。第三実施形態に示される建物の平面計画例と同じ構成には、同一符号を付して詳細な説明を省略ないしは簡素化する。
図21に示される木造建築物80Aでは、建物基礎の中央領域に建物主要部100が配置され、建物主要部100の側辺全周に付帯部101が構成される。図示例では建物主要部100に複数本(例えば6本)の角筒状の構造用鉄骨柱81が矩形状に等間隔を置いて配置される。各構造用鉄骨柱81には第三実施形態に示された構造用鉄骨柱81と同様、建物基礎上に堅固に固定されて立設される。対向する構造用鉄骨柱81、81間に、梁受け金物を介して木製構造梁のメイン梁84が一体接合され、固定される。構造用鉄骨柱81(の柱ジョイントブロック85)の3側面あるいは4側面に木製のメイン梁84が、第三実施形態に示された木製のメイン梁84と同様、梁受け金物を用いて一体接合される。木製のメイン梁84は、梁受け金物により、構造用鉄骨柱81に一体接合され、ハイリジッドラーメンであるハイブリッドラーメン構造に構成される。
建物主要部100周りの全側辺に構成される付帯部101には、木製のメイン梁84とともに木製の構造用柱86が通し柱とに設けられる。構造用柱86には構造用集成材や集合材が用いられる。木製のメイン梁84を木製の構造用柱86に接合させる梁受け金物は、第一実施形態および第1変形例乃至第5変形例に示された梁受け金物30、30A〜30Eが選択的に使用される。付帯部101には、構造用柱86とメイン梁84が用いられ、ともに木材で製作されるので、木造部位をより一層大幅に増やすことができ、床面積に対する鉄鋼比率を下げることができる。
この木造建築物80Aは、建物の平面計画例では横架材は木製のメイン梁84を始め、図示しない床梁等の横架材が全て木材で構成できるので、床組の施工を簡単に行うことができる。また、柱と柱の間が4m〜6mの大スパンに配設でき、建物各階の床面を多様性のある平面計画が可能となる。
さらに、木造建築物80Aは、横架材が全て木材であるため、建物各階の床組の間仕切りや改装の自由度が大きい。木造建築物80Aは、建物各階の床面を自由な仕様で施工することができる。
加えて第三実施形態やその変形例に示される木造建築物は、横架材のメイン梁は木材であるため、建物各階床組の平面施工を簡単かつ容易に行うことができる。したがって、ライフスタイルの変化に応じて間取りを表示するリフォームも簡単に行うことができる。
[他の実施形態]
本発明に係る木造建築物の各実施形態では、3階建ておよび5階建て建物の木造建築物を説明したが、本発明は2階建て以上の木造建築物や6階建て以上高層建物の木造建築物に適用してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態や変形例を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲に限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の要旨を逸脱しない範囲で可能であり、特許請求の範囲に記載された発明との均等の範囲も含まれる。
本発明は上述した課題を解決するために、建物基礎の柱脚金物上に立設される構造用鉄骨柱と、前記構造用鉄骨柱の側部に設けられる梁受け金物と、前記梁受け金物に固定される木製構造梁のメイン梁とを有する柱と梁の接合構造において、前記梁受け金物は、工場側で前記構造用鉄骨柱の側部に固定される固定プレートと、前記メイン梁の端部に設けられ、ガイド部材を固定したベースプレートとを備え、前記ベースプレートに固定のガイド部材は、前記メイン梁に形成された軸方向のガイド溝あるいはガイド孔に収容され、かつ、前記ガイド溝あるいはガイド孔内に充填された接着剤により、前記ベースプレートは前記メイン梁に一体接合され、前記梁受け金物は、建設現場で前記ベースプレートが前記固定プレートに楔結合可能に嵌め合わされて構成され、かつ前記梁受け金物を用いて、前記メイン梁は、前記構造用鉄骨柱に一体に設けられ、前記構造用鉄骨柱とメイン梁とがハイブリッドラーメン構造に構成されたことを特徴とする柱と梁の接合構造を提供することにある。
さらに、本発明は上述した課題を解決するために、建物基礎の少なくとも4箇所に柱脚金物を設置して矩形形状に配置し、前記建物基礎の柱脚金物上に立設される4本以上の角筒状の構造用鉄骨柱と、前記構造用鉄骨柱の建物各階部分の側部に設けられる梁受け金物と、前記構造用鉄骨柱間の対向する前記梁受け金物に固定される木製構造梁のメイン梁とを有する木造建築物において、前記建物各階部分は、前記梁受け金物を介して前記メイン梁を前記構造用鉄骨柱に固定させた矩形平面配置形状の建物主要部が構成され、前記梁受け金物は、工場側で前記構造用鉄骨柱の側部に固定される固定プレートと、前記メイン梁の端部に設けられ、ガイド部材を固定したベースプレートとを備え、前記ベースプレートに固定のガイド部材は、前記メイン梁に形成された軸方向のガイド溝あるいはガイド孔に収容され、かつ前記ガイド溝あるいはガイド孔内に充填された接着剤により、前記ベースプレートは前記メイン梁に一体接合され、前記梁受け金物は、前記メイン梁に固定のベースプレートが、建設現場で前記構造用鉄骨柱に固定の固定プレートに楔結合可能に嵌め合わされて構成され、前記メイン梁は、接着剤使用の前記梁受け金物を用いて前記構造用鉄骨柱に一体接合され、前記構造用鉄骨柱とメイン梁とがハイブリッドラーメン構造に構成されたことを特徴とする木造建築物である。
この工場内で構造用鉄骨柱12を構成する鉄骨柱エレメント12a、12b、12cだけでなく、柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)および拡開防止板20a、20bも製作される。製作された柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に梁受け金物30の固定プレート31が建設現場でなく、工場内で溶接や締結手段にて精度よく固定され、この柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に拡開防止板20a、20bも溶接で固定される。
第一変形例の梁受け金物30Aは、ベースプレート32の底部にサポートプレート50を備えたものである。サポートプレート50は舌片状に構成されベースプレート32底部から直交する水平方向に延び、木製構造梁のメイン梁40の端部をサポートしている。サポートプレート50は、メイン梁40の端部をサポートすることでベースプレート32に固定されたガイド部材35がメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に挿入された時、スリット溝(ガイド溝)41内の支持を案内している。ガイド部材35はガイド溝であるスリット溝41内に浮上支持された状態で、メイン梁40の側面からドリフトピン42をガイド部材35の挿通孔37を通して打ち込むことにより、ガイド部材35はメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41内に浮上状態に安定的に支持される。
簡素な梁受け金物では、固定プレートが不要となり、ベースプレート32に係合凸部や係合凹部を備える必要がない。ベースプレート32は鋼製で矩形プレート形状に形成し、ベースプレート32の側面に溶接にてガイド部材35を固定してもよい。この場合には、ガイド部材35は図5乃至図13に示すガイド部材35と同じように構成され、ガイド部材35を備えたベースプレート32は木製のメイン梁40のスリット溝(ガイド溝)41に図5乃至図13に示されたベースプレート32と同様、品質管理された工場内で、液状の接着剤43を注入、充填させることで一体接合され、固定される。工場内で木製のメイン梁40の端部に接着剤43を用いて一体接合され、固定されたベースプレート32は建設現場に搬送される。そして建設現場にてクレーンを使用し、木製のメイン梁40を(建物基礎上に立設された構造用鉄骨柱12,12間で)対向する柱ジョイントブロック19(19a,19b,19c)に位置合わせし、吊設支持した状態で溶接やボルトナットの締結手段を用いて一体接合させ固定させることで、梁受け金物を構成してもよい。この場合、梁受け金物はベースプレート32とベースプレート32に固定のガイド部材35とから接着剤43を用いることで簡素に構成される。また、ベースプレート32はガイド部材35を溶接にて一体接合させ一体構造物とした例を示したが、ベースプレート32とガイド部材35とは、ダグタイル等の鋳造材料で成形した鋳物製品の一体構造物であってもよい。