JP2006009441A - 木造建築物 - Google Patents
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Abstract
【課題】木材資源を有効に活用できると共に、耐震性および強度性に優れ、現場において簡易かつ短期間で構築でき、低廉でかつ自然派志向にも適う安全な木造建築物を提供する。
【解決手段】本発明の木造建築物1は、複数の長尺状木材2を側面にて面当接させて構成したパネル体3を、長尺状木材2が縦方向に延在するようにパネル体3を隣接配置し、パネル体3のみにて壁本体4を構成したことを特徴とするものである。このため、壁本体のすべての部位が実質的に柱で構成されたものとなり、耐震性および強度性に極めて優れたものとなる
【選択図】図1
【解決手段】本発明の木造建築物1は、複数の長尺状木材2を側面にて面当接させて構成したパネル体3を、長尺状木材2が縦方向に延在するようにパネル体3を隣接配置し、パネル体3のみにて壁本体4を構成したことを特徴とするものである。このため、壁本体のすべての部位が実質的に柱で構成されたものとなり、耐震性および強度性に極めて優れたものとなる
【選択図】図1
Description
本発明は、木材資源を有効に活用し、耐震性および強度性にも優れ、現場において簡易かつ短期間で構築でき、低廉でかつ安全な木造建築物に関するものである。
従来の木造構法としては、日本の伝統的な木造構法である軸組構法(土台、柱、梁、桁、筋違を骨組みとして壁を構成する構法)、木質壁パネルを主とする北米のツーバイフォー構法の他、ログハウスなど丸太を校倉式に積み上げて構成する木造組積構法などがある。
ところで、近年、使い途のない間伐材が山肌に大量放置されており、それらの有効活用が長年の懸案となっている。また、より耐震性の高い建築物が嘱望されており、従来の構法下においても様々な補強手段が講じられている。さらに、現場における工期の長期化が住宅等の高騰を招いていることから工期の短縮化が求められている。さらに、薬害のない自然で安全な家造りを望むニーズも高まっている。
本願発明者は、それら従来の問題点を一挙に解決できる木造建築物を想起し、本発明を完成するに至ったものであり、すなわち、本発明の課題は、木材資源を有効に活用できると共に、耐震性および強度性に優れ、現場において簡易かつ短期間で構築でき、低廉でかつ自然派志向にも適う安全な木造建築物を提供することにある。
本発明の木造建築物は、複数の長尺状木材を側面にて面当接させて構成したパネル体を、長尺状木材が縦方向に延在するようにパネル体同士を隣接配置し、パネル体のみにて壁本体を構成したことを主要な特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、木材資源を有効に活用できると共に、耐震性および強度性に優れ、現場において簡易かつ短期間で構築でき、低廉でかつ自然派志向にも適う安全な木造建築物となる。
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、軸組構法のように土台(横材)の上に柱を立てることがないため、土台の陥没腐敗を招くこともなく、簡素な構造で強度性に優れた木造建築物となる。
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、床本体もパネル体にて構成されるため、現場においてより簡易かつ短期間で構築できると共に、より低廉に木造建築物を提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、接着剤やボルトなどを使用せず、より安全かつ簡易に木造建築物を構築できる。
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、より耐震性または強度性に優れた木造建築物となる。
請求項6に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、短小な長尺状木材も有効活用できると共に、長尺状木材毎に連接部位が区々であるためパネル体の強度性ひいては壁本体の強度性をより高めることができる。
請求項7に記載の発明によれば、上記請求項の効果に加え、仕切り壁も壁本体と同様のパネル体を使用するため、より安価に木造建築物を提供できると共に、より強度性に優れた木造建築物となる。
本発明の木造建築物1は、複数の長尺状木材2を側面にて面当接させて構成したパネル体3を、長尺状木材2が縦方向に延在するようにパネル体3を隣接配置し、パネル体3のみにて壁本体4を構成したことを特徴とするものである。以下、各構成について順次詳述する。
図1は本発明の木造建築物の一実施例の正面図であり、図2は図1に示した木造建築物を構成する木製パネルの拡大斜視図であり、図3は図2に示した木製パネルの作製方法を説明するための斜視図であり、図4は図2に示した木製パネルによる基礎への取付構造および床本体の取付構造を説明するための拡大縦断面図である。
この実施例の木造建築物1は、図1に示すように、複数の長尺状木材(長尺状柱材)2から構成されたパネル体3から壁本体4が構成されている。
長尺状木材としては、間伐材が使用されており、これにより、山肌に放置されている大量の木材資源を有効に活用することができると共に、安価な間伐材を使用することにより、低廉に木造建築物を提供できる。
また、この実施例の長尺状木材としては、角材(9cmの正角であって、樹心をもつ心もち角)が使用されている。ただし、長尺状木材は角材に限定されるものではなく、隣接する長尺状木材の側面間において間隙なく面当接できるものであればよく、例えば、長尺状木材の対向する両側側面に面当接させるための平面部を有し、他の側面等は曲面に形成されたものであってもよい。また、長尺状木材の寸法は9cm角に限定されるものではなく、12cm角などであってもよい。さらに、間伐材を使用することによって、強度性に優れた心もち角が低廉に多用でき最も好適であるが、心もち角に限定されるものでもない。
パネル体3は、図2に示すように、複数の長尺状木材2を側面にて面当接させて構成したパネル体3から構成されている。
具体的には、この実施例のパネル体3は、10本の長尺状木材2を側面同士面当接させて、横90cm、縦3mのパネル体に形成されており、長手方向(縦方向)の寸法が、二階建て住宅の壁本体4を上端から下端まで一枚のパネル体3にて構成できるサイズとなっている。
具体的には、この実施例のパネル体3は、10本の長尺状木材2を側面同士面当接させて、横90cm、縦3mのパネル体に形成されており、長手方向(縦方向)の寸法が、二階建て住宅の壁本体4を上端から下端まで一枚のパネル体3にて構成できるサイズとなっている。
このようなパネル体3は、図3に示すように、長尺状木材2Aの一側面2aに設けられた凸部(蟻ほぞ)5と、隣接配置される長尺状木材2Bの一側面2bに設けられた凹部6とを係合させて構成されている。
凹部6は、凸部5を挿入可能とする第1凹部7と、第1凹部7に連続して設けられ凸部5と噛合して側面2a,2b同士の接合状態を保持する(換言すれば、側面2a,2bの離間を抑止する)第2凹部(蟻みぞ)8とを有しており、パネル体3は、第1凹部7に凸部5を挿入した後、凸部5を第2凹部8内に移動させて噛合(蟻継ぎ)させることにより、長尺状木材2A,2B同士を側面2a,2b間で連結させて構成されている。
より具体的には、第1凹部7は、図3中の矢印が示すように、凸部5を側面側から挿入して収容できるように、凸部5の形態に対応した形態に形成され、凸部が挿入された状態で側面2a,2bが面当接する深さに形成されている。
第2凹部8は、側面の長手方向に沿って第1凹部7に連続して設けられており、凸部5と噛合して側面2a,2b同士の面当接状態を保持する形態(蟻溝)で、かつ第1凹部7と略同一の深さに形成されている。
そして、このような凹部6および凸部5は、一本の長尺状木材の一側面とそれに対向する他側面にそれぞれ形成されており、複数の長尺状木材2を順次側面同士で係合させてパネル体3が構成される。長尺状木材間に、このような係合構造を採用することにより、かなり長い長尺状木材同士でも接合することができ、接着剤やボルトなども使用せず、より簡易かつ安全なパネル体3を形成できる。
なお、凸部の形態はこの実施例のように鳩尾形に限定されるものでなく、第2凹部8と噛合して側面2a,2b同士の面当接状態を保持できる形態であればどのような形態でもよい。また、この実施例では、凸部5は、側面2aの長手方向に沿って上端から下端まで点在して設けられており、凹部6もそれに対応して第1凹部7および第2凹部8を連続的に設けることにより形成されているが、例えば側面の上部と下部付近に部分的に凹部および凸部を設けたものでもよい。さらに、図3では、矢印が長尺状木材2Aを上方に向かってスライドさせることにより接合されるように示されているが、長尺状木材2Aを下方に向かってスライドさせても接合できる。さらに、点在して設けられた凸部5の間隙には、第1凹部7に凸部5を挿入する際に第2凹部8内に挿入可能な幅を有したさね(実)部5aが、凸部5に対して連続的に形成されている。
また、長尺状木材2A,2Bの上端面には、長尺状木材2A,2Bを連結させた状態で連通するスライド抑止用凹部(蟻溝)9が設けられており、このスライド抑止用凹部(蟻溝)9に、図2に示すように、スライド抑止部材10を挿通させることにより、長尺状木材の側面同士が長手方向にスライドすることを抑制でき、パネル体3としての形態を保持するように構成されている。なお、この実施例では、長尺状木材2の下端面にもスライド抑止用凹部(蟻溝)9が設けられており、このスライド抑止用凹部(蟻溝)9にもスライド抑止部材10が挿通されている。
さらに、パネル体3は、図2に示すように、それぞれ異なる任意の位置で連接された長尺状木材2にて構成されており、連接部位には連接用凸部(蟻ほぞ)11と連接用凹部(蟻溝)12が設けられ、それらの係合により、木材が連接されて長尺状木材2が形成されている。これにより、短小な木材も有効活用できると共に、長尺状木材毎に連接部位を区々とすることにより、パネル体の強度性をより高めることができる。
そして、木造建築物1は、上記のように作製されたパネル体3を、図1に示すように、長尺状木材2が縦方向(垂直方向)に延在するようにパネル体3同士を隣接配置し、パネル体3のみにて壁本体(外壁本体)4が構成されている。また、コーナー部では、パネル体3の内壁面側の端部に隣接配置するパネル体3の側面を面当接させて壁本体4が構成されている。なお、図1では、パネル体3とそのパネル体3に隣接配置されるパネル体3との間は想像線で示されており、パネル体3の側面同士が面当接された状態で固定されている。ただし、パネル体3の側面同士にも前述した噛合する凹部および凸部を形成して両者が係合するように構成してもよい。
このように、本発明の木造建築物においては、木材として間伐材を使用すればログハウス型のような従来高価であった自然派志向の住宅等を極めて低廉に提供でき、木材資源の有効活用に資することもできる。また、無垢の木材は元来、縦方向に配されると乾燥し横方向に配されると腐食する性質を有することから、すべての長尺状木材が縦方向に延在するように配置される本発明の木造建築物は、耐久性および強度性に優れたものとなる。さらに、本発明の木造建築物は、壁本体が縦方向に配される長尺状木材にて構成されているため、壁本体のすべての部位が実質的に柱で構成されたものとなり、耐震性および強度性に極めて優れたものとなる。さらに、壁本体はパネル体を接合して構成するものであるため、ツーバイフォー構法のように、予め工場内でパネル化することが可能で、現場において簡易かつ短期間で構築できる。
パネル体3の基礎への固定方法としては、図4に示すように、固定用部材(この実施例では、アングル(断面L字型鋼材))14を介して固定されている。具体的には、パネル体3は、布基礎13の上部に緩衝シート材15を介して立設された後、アングル14にて内壁面側よりボルト17によって堅結され、布基礎13に対してはアンカーボルト17によって固定されている。このように、木造建築物1では、基礎の上に土台(横材)を配しその上に柱を立てることなく、壁本体4を構成するパネル体3を基礎に立設固定するため、土台が陥没したり腐敗することもなく、より簡素な構造で強度性に優れた木造建築物となる。すなわち、軸組構法による住宅等が土台とその上部に載置される柱の接合付近から腐食することから、この木造建築物1にはそのような部位が存在せず強度性に優れたものとなる。
また、木造建築物1は、図4に示すように、パネル体3にて構成された床本体18を有しており、床本体18は、壁本体4に固定用部材(アングル(断面L字型鋼材))14を介して固定されている。より具体的には、壁本体4を構成するパネル体3に対して、床本体18を構成するパネル体3を直交する方向に配し、かつ、壁本体4を構成するパネル体3の内壁面に床本体18を構成するパネル体の端面を面当接させた上で、それらの交差部位の下部にアングル(断面L字型鋼材))14を当接させて、ボルト17にて固定することにより、床本体18が構成されている。このように、本発明の木造建築物1は、床本体18もパネル体3にて構成されるため、現場においてより簡易かつ短期間で構築できると共に、より低廉に木造建築物を提供できる。
さらに、木造建築物1は、図1に示すように、壁本体4の上端から下端までが一枚のパネル体3にて構成されているため、耐震性および強度性に優れた木造建築物となる。特に、複数階(この実施例では2階)の建物であっても、壁本体4の上端から下端までを一枚のパネル体3にて構成することにより、一階部分と二階部分との境界がなく、より耐震性および強度性に優れた木造建築物を構築できる。なお、壁本体4に設けられる窓やドアは、パネル体3を部分的に切り欠き、その部位に取り付けられている。
さらに、木造建築物1は、内部の仕切り壁もパネル体3にて構成され、パネル体3を構成する長尺状木材2が縦方向に延在するように配置されているため、より安価に木造建築物を提供できると共に、より強度性に優れた木造建築物となる。なお、仕切り壁は床本体18上に固定用部材を介して立設固定するため、任意の位置に移動容易であり、比較的容易に間取りを変更できる。
1 木造建築物
2 長尺状木材
3 パネル体
4 壁本体
5 凸部
6 凹部
7 第1凹部
8 第2凹部
9 スライド抑止用凹部
10 スライド抑止用部材
11 連接用凸部
12 連接用凹部
13 布基礎
14 固定用部材
15 緩衝用シート材
16 アンカーボルト
17 ボルト
18 床本体
2 長尺状木材
3 パネル体
4 壁本体
5 凸部
6 凹部
7 第1凹部
8 第2凹部
9 スライド抑止用凹部
10 スライド抑止用部材
11 連接用凸部
12 連接用凹部
13 布基礎
14 固定用部材
15 緩衝用シート材
16 アンカーボルト
17 ボルト
18 床本体
Claims (7)
- 複数の長尺状木材を側面にて面当接させて構成したパネル体を、前記長尺状木材が縦方向に延在するように前記パネル体を隣接配置し、前記パネル体のみにて壁本体を構成したことを特徴とする木造建築物。
- 前記パネル体は、土台を介することなく固定用部材にて基礎に立設されている請求項1に記載の木造建築物。
- 前記木造建築物は、前記パネル体にて構成された床本体を有しており、前記床本体は、前記壁本体に固定用部材を介して固定されている請求項1または2に記載の木造建築物。
- 前記パネル体は、前記長尺状木材の側面に設けられた凸部と、隣接配置される長尺状木材の側面に設けられた凹部とを係合させて構成されており、前記凹部は、前記凸部を挿入可能とする第1凹部と、該第1凹部に連続して設けられ前記凸部と噛合して側面同士の接合状態を保持する第2凹部とを有し、前記パネル体は、前記第1凹部に前記凸部を挿入した後、前記凸部を前記第2凹部内にスライドさせて噛合させることにより、前記長尺状木材同士を側面間で連結させて構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の木造建築物。
- 前記木造建築物は、前記壁本体の上端から下端までが一枚の前記パネル体にて構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の木造建築物。
- 前記パネル体は、それぞれ異なる任意の位置で連接された長尺状木材にて構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の木造建築物。
- 前記木造建築物は、内部に配する仕切り壁が前記パネル体にて構成され、かつ前記パネル体を構成する前記長尺状木材が縦方向に延在するように配置されている請求項1ないし6のいずれかに記載の木造建築物。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009144338A (ja) * | 2007-12-11 | 2009-07-02 | Takahashi Shinkichi Kenchiku Kenkyusho:Kk | 木製小幅厚板を備えた耐火・耐震壁およびその構築方法 |
JP2011518722A (ja) * | 2008-04-30 | 2011-06-30 | フォルプラン メタレス,ソシエダッド アノニマ | 裏張りとこれを支持する構造要素とを接続するシステム |
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2004
- 2004-06-28 JP JP2004189037A patent/JP2006009441A/ja active Pending
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