JP2005247938A - 一液性接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着作業可能時間が充分長く、初期接着力及び貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を提供する。
【解決手段】アミンジオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(a)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)と、アクリルポリオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(b)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有し、前記プレポリマー(A):(B)の配合割合を、重量比で1:0.1〜1:2としたことを特徴とする。

Description

本発明は、初期粘着力及び貯蔵安定性に優れ、さらに接着作業可能時間が長く、建築現場等での作業性に優れた一液性湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物に関し、特に床材の張り付けに好適に使用することが可能な接着剤組成物に関するものである。
従来、建築現場で床材を張る際には、下地に接着剤を塗布して床材を床面に貼り付けているが、その際、下地の一定面積に接着剤を塗布してから床材を張り合わせている。そのため、接着剤の塗布作業中に溶剤の揮発が進み過ぎたり、接着剤と湿気との反応が早過ぎたりすると、接着剤中のポリマーの樹脂化が進みすぎて接着剤と床材とのなじみが悪くなり、接着作業可能時間が短くなるという問題がある。
逆に、いつまでも接着剤中に溶剤が残っていたり、反応の進行が遅いと、床材を張り合せたときの初期粘着力が不十分で、床材をきれいに張ることが出来ないという問題が発生する。
従って、この種の接着剤には、塗布後十分な初期粘着力と、床材を張り合わせるための十分な接着作業可能時間を与えるような適度な粘度上昇と、張り合わせた後はできるだけ早く反応が進んで十分な接着力を発揮するような性質が要求される。
従来の有機溶剤を使用した一液湿気硬化型ウレタン系接着剤では、主として高重合度プレポリマーを使用しており、接着剤を下地に塗布後、溶剤が揮発してゆく過程において接着剤の粘度が上がり、実用上充分な初期粘着力が短時間で得られる。
この場合の初期粘着力発現のシステムは、反応による急激な樹脂化によるものではないので、接着作業可能時間は比較的長くすることができる。有機溶剤型の接着剤で用いられる溶剤としては、高重合度プレポリマーの溶解力を必要とするため、例えば、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどが広く用いられている。
しかし、これら溶剤の使用量は、高い粘度を有する高重合度ポリウレタンを低粘度化する必要があるため、多くなってしまうという問題が生じていた。また、これら高い溶解力を有する溶剤については、シックハウス問題などの環境問題が懸念されるほか、溶剤の引火点及び燃焼点が低いため、接着剤組成物が消防法でいう危険物に分類され、その保管、輸送、取扱いには種々の制約が伴うといった問題も生じていた。
上記問題を解決するため、環境対応型・非危険物型の接着剤も開発されている。このような接着剤としては、一般に低重合度のプレポリマーが使用されており、これにより溶剤が揮発しても粘度は直ぐには上がらず、接着作業可能時間を確保することが可能になるとともに、用いる溶剤も人体への影響が少なく、かつ揮発しにくいものに制限することで環境に配慮している。
上記接着剤のように、低重合度のプレポリマーを使用する場合、初期粘着力が低下するおそれが生じる。そのため、プレポリマーを高反応性(速硬化性)にすることで初期粘着力を確保している。プレポリマーの高反応性化技術としては、湿気硬化触媒を使用する技術や、特許文献1及び2に示すように、ポリオール原料としてアミンポリオールを使用する技術が知られている
特開平9−67422号公報 特開平11−228656号公報
しかしながら、湿気硬化触媒を使用する場合は、プレポリマーの反応性に対する湿気硬化触媒の影響が大きいため、触媒の添加量のわずかなばらつきにより、初期粘着力発現が極めて遅かったり、逆に接着作業時間が極めて短くなったりというように作業性に問題が生じていた。
また、ポリオール原料として硬化速度を速くする(高反応性化する)ために、アミンポリオールを使用する場合には、接着作業可能時間が短くなって作業しにくいと言う問題が生じていた。
さらに、低重合度のプレポリマーを高反応性化した接着剤においては、接着剤を製造してから使用するまでの貯蔵期間中にも徐々にではあるが反応が進み易く、貯蔵安定性に問題が生じていた。
そこで、本発明においては、接着作業可能時間が充分長く、初期接着力及び貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る接着剤組成物は、アミンジオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(a)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)と、アクリルポリオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(b)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有し、プレポリマー(A):(B)の配合割合が、重量比で1:0.1〜1:2であることを特徴とする。
上記構成によれば、アミンジオールを使用したプレポリマー(A)は、プレポリマー(B)に比べて反応性が高いため、接着剤組成物を被塗布面に塗布した場合、塗布直後にプレポリマー(A)の樹脂化が進行して実用上十分な初期粘着力を得ることができるとともに、プレポリマー(B)の樹脂化が緩慢なために系全体の樹脂化が遅れて長い接着作業可能時間を得ることができる。さらに、プレポリマー(A)とプレポリマー(B)との配合割合を所定の範囲内としたため、貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を得ることが可能となる。
高反応性のプレポリマー(A)は、ポリオール成分(a)と、ジイソシアネートとを反応させることによって得ることができる。ポリオール成分(a)は、アミンジオールと、その他一般のポリオールとを混合して得られる。ポリオール成分(a)全体に対するアミンジオールの含有量は1〜30重量%、一般のポリオールの含有量は70〜99重量%であり、好ましくはアミンジオール5〜25重量%、一般のポリオール75〜95重量%である。
アミンジオールの種類については特に制限はなく、例えば、一級モノアミン化合物中の2個のアミン水素に、あるいは二級ジアミン化合物の2個のアミン水素に、アルキレンオキサイドを付加重合させて得ることができる。アミンジオールの分子量としては、400〜5000のものが好ましい。
より具体的には、アミンジオールとして、モノエチルアミンのプロピレンオキサイド付加物、オクチルアミンのプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、N,N’−ジメチルエチレンジアミンのプロピレンオキサイド付加物などのような脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物を挙げることができ、市販品では、住化バイエルウレタン(株)製のポリオール0807(モノエチルアミンのプロピレンオキサイド付加物/分子量2000、水酸基価56)等がある。
一般のポリオールとしては、通常のポリウレタンの合成に使用されるポリオール(上記アミンジオールを除く)であれば特に制限なく使用することができ、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリエーテルポリオールの種類としては特に制限はなく、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などを挙げることができる。ポリエーテルポリオールの分子量としては特に限定はないが、PEGを用いる場合は数平均分子量400〜5000のものが好ましく、PPGを用いる場合は数平均分子量400〜5000のものが好ましく、さらに400〜3000のものがより好ましい。
ポリエステルポリオールの種類としては特に制限はなく、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールといったジオールの1種以上と、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、ダイマー酸等のジカルボン酸の1種以上とを重縮合させることにより得られる縮合ポリエステルポリオールを挙げることができる。
さらに、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等を開環重合して得られるポリラクトンポリオールや、ヒマシ油や脱水ヒマシ油と、エチレングリコールやプロピレングリコールなどの低分子ポリオール、前述のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等とのエステル交換あるいはエステル化することにより得られるヒマシ油系ポリオールなども使用することができる。ポリエステルポリオールの分子量としては特に制限はないが、数平均分子量が500〜6000のものが好ましい。
ポリジエンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。この中でも特に好ましいのは、ポリブタジエンポリオールである。ポリジエンポリオールの分子量としては特に制限はないが、数平均分子量1000〜5000のものが好ましく、具体的な商品としては、例えば、出光石油化学(株)、Poly bd 45HT(分子量2800、水酸基価46.6)等がある。
ジイソシアネートは、有機ジイソシアネートであれば特に制限はなく、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びそれらの混合物を挙げることができる。中でも、特にMDIが好ましい。
プレポリマー(A)におけるポリオール成分(a)とジイソシアネートとの混合比は、NCO/OH当量比でNCO末端プレポリマーになるように1以上であれば特に制限はないが、低粘度にするためには2以上が好ましく、過剰のイソシアネートの残留量を考慮すれば6以下であるのが好ましい。
低反応性のプレポリマー(B)は、ポリオール成分(b)と、ジイソシアネートとを反応させることによって得ることができる。ポリオール成分(b)は、アクリルポリオールと、その他一般のポリオールとを混合して得られる。ポリオール成分(b)全体に対するアクリルポリオールの含有量は1〜30重量%、一般のポリオールの含有量は70〜99重量%であり、好ましくはアクリルポリオール5〜20重量%、一般のポリオール80〜95重量%である。
アクリルポリオールは、アクリル共重合体に水酸基を導入したポリマーである。一般に水酸基導入のための2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸類や、(メタ)アクリル酸エステル類とを種々組合わせて得られる。
アクリルポリオールの分子量としては特に制限はないが、好ましくは2000〜20000で、水酸基価は好ましくは20〜150のものである。具体的な商品としては、例えば、東亞合成(株)製ARUFON UH−2000(分子量11000、水酸基価20)や、UH−2130(分子量5000、水酸基価33)を挙げることができる。
ポリオール成分(b)で使用される一般のポリオールとしては、プレポリマー(A)で用いられる一般のポリオールと同様のものを使用することができる。すなわち、通常のポリウレタンの合成に使用されるポリオール(上記アミンジオールを除く)であれば特に制限なく使用することができ、具体的には、前述のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール及びこれらの混合物が挙げられる。
ジイソシアネートは、前述のプレポリマー(A)で用いられる有機ジイソシアネートと同様のものを使用することができる。すなわち、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びそれらの混合物を挙げることができる。
プレポリマー(B)におけるポリオール成分(b)とジイソシアネートとの混合比は、NCO/OH当量比でNCO末端プレポリマーになるように1以上であれば特に制限はないが、イソシアネートは一般に有害で、種類によっては蒸気圧が高いので、イソシアネートはなるべく残存させないのが望ましい。よって、当量比は1.2〜2であることが望ましい。
本発明では、アミンジオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(a)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)と、アクリルポリオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(b)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有し、プレポリマー(A):(B)の割合が、重量比で1:0.1〜1:2になるように配合したため、実用上十分な初期粘着力を得ることができるとともに、長い接着作業可能時間を得ることができ、さらに貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
本発明に係る接着剤組成物は、以下のようにして調製することができる。
(1)プレポリマーの合成
ポリオール成分を反応容器に仕込み、充分に減圧脱水した後、過剰のジイソシアネートを混合し、通常のウレタン合成条件(例えば80℃×4時間)で反応させる。
(2)接着剤組成物の調製
上記のようにして合成されたプレポリマー(A)とプレポリマー(B)とを配合し、そこへ溶剤、水分の影響のない無機充填剤等の改質剤、可塑剤、接着性付与剤、着色剤、揺変性付与剤、脱水剤、安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の他の配合剤を適宜に配合して均一に混合後、さらに少量の希釈剤などで粘度調整して接着剤組成物を得ることができる。
さらに、性能補助のためにアミン系触媒、および金属系触媒も配合することもできる。例えば、アミン系触媒としては、ビス(モルホリノエチル)エーテル、ビス(2,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(3,5−ジメチルモルホリノエチル)エーテル等を挙げることができ、また、金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレートに代表される有機錫化合物を挙げることができる。
本発明の接着剤組成物は、従来の接着剤組成物とは異なり、高重合度プレポリマーを使用していない。したがって、溶剤あるいは希釈剤としては、特に高い溶解力は必要とされず、その種類については特に制限なく使用することができる。すなわち、厚生労働省が室内濃度指針値を公表しているトルエン、キシレン等の溶剤を使用せずにすむという利点を有する。
さらに、本発明で使用されるプレポリマー(A)及び(B)は、いずれも高重合度タイプではないため、プレポリマー自身の粘度が低く、粘度調整のために多量の溶剤や希釈剤を使用する必要がなく、最小使用量ですむという利点も有する。
以上述べた特長により、本発明に係る接着剤組成物は、可燃性液体量を40%以下にすることができ、さらに引火点40℃以上でかつ燃焼点60℃以上の溶剤を選択することにより消防法上は指定可燃物可燃性液体という非危険物に分類可能となり、安全性が高く、取り扱いが容易な接着剤組成物を得ることが可能となる。
上記条件を満たす溶剤や希釈剤としては、例えば、イソドデカンや、デュポン社製DBE等を挙げることができる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[1.プレポリマー(A)の合成]
表1に示す処方にしたがって、4種類のプレポリマーA1〜A4を合成した。具体的には、アミンジオールとしてモノエチルアミンのプロピレンオキサイド付加物を用い、一般のポリオールとしてPPG、ポリエステルジオールの2種類を用いてこれらを混合してポリオール成分(a)を調製した。
ジイソシアネートとしては、4,4‘−MDIと2,4’−MDIの混合物を使用し、これをポリオール成分(a)に対してNCO/OH当量比で4.0になるように混合し、反応させてプレポリマー(A)を合成した。なお、反応条件としては、前述したように、ポリオール成分を反応容器に仕込み、充分に減圧脱水した後、ジイソシアネートを混合し、80℃×4時間で反応させた。
Figure 2005247938
[2.プレポリマー(B)の合成]
表2に示す処方にしたがって、2種類のプレポリマーB1及びB2を合成した。具体的には、アクリルポリオールとして水酸基を含有するアクリル共重合体である東亜合成(株)製ARUFON UH−2000を使用し、一般のポリオールとしてPPG、ポリエステルジオールの2種類を用いてこれらを混合してポリオール成分(b)を調製した。
ジイソシアネートとしては、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物を使用し、これをポリオール成分(b)に対してNCO/OH当量比で2.0になるように混合し、反応させてプレポリマー(B)を合成した。なお、反応条件としては、前述したように、ポリオール成分を反応容器に仕込み、充分に減圧脱水した後、ジイソシアネートを混合し、80℃×4時間で反応させた。
Figure 2005247938
[3.接着剤組成物の調製]
上記プレポリマーA1〜A4の1種類と、プレポリマーB1、B2の1種類とを種々組み合わせ、表3に示す処方にしたがって、11種類(実施例1〜5及び比較例1〜6)の接着剤組成物を調製した。具体的には、プレポリマーA1〜A4のうちの1種類と、プレポリマーB1、B2のいずれか1種類とを混合した後、無機充填剤、揺変性付与剤、脱水剤、可塑剤、溶剤を加えて混合し、さらに希釈剤を加えて接着剤組成物を調製した。
Figure 2005247938
[4.接着剤組成物の特性試験]
(1)接着剤組成物の粘度
接着剤組成物の粘度をブルックフィールド型回転粘度計(BH型)を用いて測定した。なお、液温は25℃とした。結果を表4に示す。
(2)初期粘着力
調製した接着剤組成物を用いて、ビニル床シートとフレキシブル板とを接着し、5分養生させた後のビニル床シート接着力を測定した。試験条件は以下の通りとした。結果を表4に示す。
・被着体 :ビニル床シート(JIS A5705 NC)−対−フレキシブル板(JIS A5430)
・接着剤塗布量 :くし目こて(JIS A5536)にてフレキシブル板面に約350g/平方m
・オープンタイム:23±2℃、50±10%RHで15分
・圧着 :5kgハンドローラーで圧着
・養生 :23±2℃、50±10%RHで5分養生
・接着力の測定 :90度剥離(剥離速度:200mm/min、フルスケール:4.9N)
(3)接着作業可能時間
フレキシブル板に調製した接着剤組成物をくし目こて(JIS A5536)を用いて塗布し、23±2℃、50±10%RHにおいてオープンタイム5分ごとにホモジニアスビニル床タイルを張り付けて1kgf/16cm2で5秒間圧着し、その後、直ちに剥がして、くし山の転写率が目視で50%以上となる最長の時間を接着作業可能時間とした。他の条件は以下の通りとした。結果を表4に示す。
・被着体 :ホモジニアスビニル床タイル(JIS A 5705)−対−フレキシブル板
(JIS A 5430)
・接着剤塗布量 :くし目こて(JIS A5536)にてフレキシブル板面に約350g/平方m
(4)接着力
調製した接着剤組成物を用いて、JIS A5536に準拠して、ビニル床シート対フレキシブル板の接着力を測定した。結果を表4に示す。
(5)貯蔵安定性
調製した接着剤組成物を密閉容器中で、50℃で14日放置した後、ブルックフィールド型回転粘度計(BH型)を用いて液温25℃における粘度を測定し、4(1)で測定した初期の接着剤粘度を基準として粘度上昇率が50%以下のものは○、50%を超えるものは×として評価した。結果を表4に示す。
[5.評価基準]
上記特性試験で得られた結果を基に接着剤組成物の評価を行なった。なお、各特性試験結果の評価にあたっては、以下の基準にしたがった。
(1)接着剤粘度の適正範囲:10,000〜30,000
(2)初期粘着力:1N/25mm以上
(3)接着作業可能時間:40分以上
(4)接着力:20N以上/25mm
(5)貯蔵安定性:粘度上昇率50%以下
最終的に、上記(1)〜(5)すべての基準をクリアーしたものは○、1つでも基準を満たさなかったものは×として総合評価を行なった。結果を表4に示す。
Figure 2005247938
[6.評価結果]
表4より、実施例1〜5はいずれも塗布作業に問題のない粘度で、初期粘着力が1N/25mm以上で、かつ接着作業可能時間が40分以上と作業性良好である。また、接着力に優れ、貯蔵安定性も良好であり、総合評価はいずれも○になった。一方、比較例1〜6は、各特性試験のうち、少なくとも1項目の評価が×であるため、総合評価も×となっている。
具体的に、比較例1は、使用したプレポリマーA4におけるポリオール成分(a)中のアミンジオールの含有量が50重量%と高すぎるため、初期粘着力は良好だが、接着作業可能時間が短く、さらに貯蔵安定性も低い。
また、比較例6のように、比較例1におけるプレポリマーA4とプレポリマーB2の配合比率を調節することで初期粘着力と接着作業可能時間のバランスをよくできても、貯蔵安定性は低くなっている。
比較例2は、アミンジオールを含有するプレポリマーA1を配合しているが、配合量が少ないため、初期粘着力が基準を満たしていない。比較例3は、低反応性プレポリマーを使用していないため、接着作業可能時間が短くなっている。
比較例4は、使用したプレポリマーA3がアミンジオールを含有していないため、初期粘着力が不足している。比較例5は、低反応性であるプレポリマーB2の比率を上げたため、接着作業可能時間が延びるが、逆に初期粘着が不足している。

Claims (3)

  1. アミンジオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(a)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)と、アクリルポリオールを1〜30重量%含有するポリオール成分(b)と、ジイソシアネートとを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)とを含有し、前記プレポリマー(A):(B)の配合割合が、重量比で1:0.1〜1:2であることを特徴とする一液性接着剤組成物。
  2. 前記プレポリマー(A)におけるポリオール成分(a)とジイソシアネートとの混合比が、NCO/OH当量比で2〜6であることを特徴とする請求項1記載の一液性接着剤組成物。
  3. 前記プレポリマー(B)におけるポリオール成分(b)とジイソシアネートとの混合比が、NCO/OH当量比で1.2〜2であることを特徴とする請求項1又は2記載の一液性接着剤組成物。
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