JP2008133459A - 一液湿気硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水酸基価10〜300mgKOH/gのポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを硬化成分とする一液湿気硬化性組成物であって、ポリオール(A)が、開始剤(a)に対して、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)を共重合して得られるポリエステルエーテルポリオール(A1)を含むことを特徴とする一液湿気硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
このような用途において、原料ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有し、空気中または被接着基材中の水分と反応して硬化する一液湿気硬化型の硬化性組成物が知られている。また、原料ポリオールとして、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールを使用することが知られている。
一方、原料ポリオールとしてアジピン酸系やフタル酸系のポリエステルポリオールを用いた場合にはポリ塩化ビニル製シートやアルミニウム製シートへの接着性は優れるが、アジピン酸系ポリエステルポリオールでは結晶性が高いため、常温で固体になりやすく作業性に問題がある。また、一液湿気硬化型では水分が樹脂内部に浸透しにくいため、湿気硬化性が不充分となりやすい。また、フタル酸系ポリエステルポリオールでは、結晶性はないものの極めて粘度が高く、プレポリマーとした場合にはさらに高粘度となるため、多量の溶剤および可塑剤の併用が必要である点が問題である。
また、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとは、反応性が互いに異なるため、これらを併用する場合には、ポリイソシアネート化合物と二段階で反応させてプレポリマー化するなどの煩雑な工程を経る必要がある。
ポリエステルポリオールを使用したプレポリマーと、ポリエーテルポリオールを使用したプレポリマーとを併用する方法も提案されたが、相溶性不良で分離する問題がある。
特許文献1,2には、ポリエステルポリオールにアルキレンオキシドを付加したポリエステル−ポリエーテルブロックコポリマーを接着剤に使用する方法が提案されている。しかしながら、ポリエステル鎖とポリエーテル鎖とのブロック共重合鎖からなる重合体を使用するため、凝集し易く、充分に低粘度化できない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、粘度が低く、接着性に優れるとともに、硬化物における破断強度および伸びが良好である一液湿気硬化性組成物化性組成物を提供することを目的とする。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)を製造する際に使用する開始剤(a)としては、1分子あたり2〜8個の活性水素原子を有する化合物を用いることが好ましい。例えば、多価アルコール類、ポリアミン類、アルカノールアミン類、フェノール類が挙げられる。
好ましい具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、および1,4−ブタンジオールなどの2価アルコール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、およびグリセリンなどの3価アルコール類;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール類;ソルビトール、およびジペンタエリスリトールなどの6価アルコール類;およびショ糖などの8価アルコール類などの多価アルコール類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびトリレンジアミンなどのポリアミン類;モノエタノールアミン、プロパノールアミン、およびジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;ビスフェノールAなどのフェノール類が挙げられる。
また、水酸基あたりの水酸基価換算分子量が150〜1500(水酸基価37〜374mgKOH/g)の、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカーボネートポリオールなども開始剤(a)として使用できる。該ポリエステルポリオールとしては、多価アルコール類と多価カルボン酸とを縮合反応させて得られるものや多価アルコール類を開始剤として、ラクトンモノマーを開環重合させて得られるものが挙げられる。
開始剤(a)としては多価アルコール、または多価アルコールを開始剤としてアルキレンオキシドを付加した水酸基あたりの水酸基価換算分子量が150〜1500(水酸基価37〜374mgKOH/g)のポリエーテルポリオールが好ましい。このポリエーテルポリオールは、特にポリエステルエーテルポリオール(A1)を製造する際に、触媒(x)として複合金属シアン化物錯体触媒を用いる場合に好ましい。
本発明において、ポリオールの水酸基価換算分子量はJIS K1557に準拠した方法により測定した水酸基価を用い、下記の式を用いて計算した値をいう。
水酸基価換算分子量=(56100/水酸基価)×ポリオールの水酸基数。
開始剤(a)の使用割合は、ポリエステルエーテルポリオール(A1)の合成に用いた全原料の仕込み量の合計に対して、1〜60質量%が好ましく10〜60質量%がより好ましい。開始剤(a)の使用割合が上記範囲の下限値以上であると開始剤の特性が現れ、上記範囲の上限値以下であるとポリエステルエーテルポリオール中のポリカルボン酸無水物の量が多いため、得られるプレポリマーが湿気硬化して得られる硬化物の機械物性、接着性が優れる。
本発明におけるポリカルボン酸無水物(b)としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが挙げられる。特に、芳香族のポリカルボン酸無水物は極めて凝集力や極性が高いので、各種被着体への接着性に大きく寄与するため好ましい。無水フタル酸が特に好ましい。
上記ポリカルボン酸無水物(b)の使用割合は、ポリエステルエーテルポリオール(A1)の合成に用いた全原料の仕込み量の合計に対して、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。ポリカルボン酸無水物(b)の上記使用割合を10質量%以上とすることにより、得られるプレポリマーが湿気硬化して得られる硬化物の機械強度や接着性を向上させることができる。また、50質量%以下とすることにより、得られるポリエステルエーテルポリオール(A1)の粘度を低く抑えることができる。
開始剤(a)に、ポリカルボン酸無水物(b)とともに重合させるアルキレンオキシド(c)としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましい。具体例としては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、およびエチレンオキシドなどが挙げられる。アルキレンオキシドは1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。本発明においては、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの使用が好ましく、プロピレンオキシドのみの使用が特に好ましい。
本発明におけるポリエステルエーテルポリオール(A1)は、上記開始剤(a)に、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)を付加重合させることにより製造できるが、重合反応速度を速める点で、この重合反応に触媒(x)を使用することが好ましい。
該触媒(x)としては、開環付加重合触媒が好適に用いられる。具体例としては水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ触媒;複合金属シアン化物錯体触媒;およびホスファゼン触媒等が挙げられる。
Mw/Mnの値がより小さいポリエステルエーテルポリオール(A1)が得られることから、複合金属シアン化物錯体触媒を使用することが特に好ましい。
複合金属シアン化物錯体としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体に有機配位子が配位したものが好ましい。有機配位子としてはエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類や、tert−ブチルアルコールのようなアルコール類が好ましい。
触媒(x)の使用割合は、生成物であるポリエステルエーテルポリオール(A1)に対して0.0001〜0.1質量%が好ましく0.003〜0.03質量%がより好ましい。触媒(x)の使用割合が上記範囲の下限値以上であると重合が確実に起こり、上記範囲の上限値以下であると残存触媒の悪影響が少ない。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)は、好ましくは触媒(x)の存在下で、開始剤(a)に対して、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)を共重合して得られる。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)は以下の方法で調製できる。まず開始剤(a)、ポリカルボン酸無水物(b)、および触媒(x)を予め反応容器に投入しておき、そこへアルキレンオキシド(c)をゆっくり加えながら反応させる。その際に、アルキレンオキシド(c)より、ポリカルボン酸無水物(b)の方が開環反応が速く、ポリカルボン酸無水物(b)は連続付加反応しないので、ポリカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)が1モルづつ交互に付加した共重合鎖を有する共重合体を得ることができる。
アルキレンオキシド(c)を過剰に添加して、末端にアルキレンオキシド(c)のみをブロックで付加させることにより、得られるポリエステルエーテルポリオール(A1)の酸価を低減することができる。ポリエステルエーテルポリオール(A1)の酸価は2.0mgKOH/g以下が好ましく、1.0mgKOH/g以下がより好ましく、ゼロでもよい。ポリエステルエーテルポリオール(A1)の酸価が上記の上限値以下であると、イソシアネートとの反応性が良く、また得られるプレポリマーが湿気硬化して得られる硬化物の耐加水分解性が優れるため好ましい。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)において、ポリカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とが1モルづつ交互に付加している部分は、両者の比率が一定なので、開始剤(a)の分子量と末端のアルキレンオキシド(c)の付加量で全体の構造が設計される。
またポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを先に混合し、これらの混合物にポリイソシアネート化合物を反応させてプレポリマー化しても時間が経つと分離しやすく相溶性が不十分である。
該ポリエステルエーテルポリオール(A1)の水酸基価換算分子量の調整は、開始剤(a)に対して重合させるポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)のモル数を適宜調整することによって容易に行うことができる。
ここで、上記の「水酸基価換算分子量から開始剤の分子量を除いた残りの分子量を開始剤の官能基数で割った値(M’)」は、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)の共重合によって形成される共重合鎖1つあたりの平均分子量を意味している。
前記値(M’)が3000以下であると、得られるポリエステルエーテルポリオール(A1)の粘度が高くなり過ぎず、前記値(M’)が100以上であると、良好な接着性を発現させることができる。前記値(M’)の調整は、上記水酸基価換算分子量の調整と同様に、開始剤(a)に対して重合させるポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)のモル数を適宜調整することによって容易に行うことができる。
プレポリマーの60℃における粘度は、特に制限されないが、一液湿気硬化性組成物の塗布性の点からは20,000mPa・s以下が好ましく、1,000〜15,000mPa・sの範囲がより好ましい。
本明細書における粘度の値は、E型粘度計(東機産業社製:RE−80Uモデル)により、60℃の条件で測定して得られる値(単位:mPa・s)である。
ポリオール(A)は、上記ポリエステルエーテルポリオール(A1)を含む、水酸基価が10〜300mgKOH/g、すなわち水酸基あたりの水酸基価換算分子量が187〜5610の高分子量ポリオールである。
ポリオール(A)の水酸基価は11〜112mgKOH/gが好ましく、22〜80mgKOH/gが最も好ましい。すなわち、水酸基あたりの水酸基価換算分子量が500〜5000が好ましく、700〜2500が特に好ましい。
ポリオール(A)の全量中におけるポリエステルエーテルポリオール(A1)の含有量は30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。実質的に100質量%がポリエーテルエーテルポリオール(A1)であることが最も好ましい。
ポリオール(A)の全量中における他のポリオール(A2)の含有量は70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下がより好ましく、ゼロでもよい。
本発明において使用しうるポリイソシアネート化合物(B)(単に、ポリイソシアネート(B)ということもある。)は、特に限定されないが、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、メタテトラメチルキシレンジイソシアネートなどのアラルキルポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などの脂環族ポリイソシアネート化合物;ならびに、前記ポリイソシアネート化合物から得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド変性体、およびイソシアヌレート変性体などが挙げられる。
ポリオール(A)との反応性に優れていること、および得られる一液湿気硬化性組成物の粘度が低くなりやすいことから、ポリイソシアネート化合物(B)としては芳香族ジイソシアネートおよびこれらの変性体が好ましい。なかでもジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネート、ならびにこれらの変性体が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるイソシアネート基末端プレポリマーは、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて得られる。
該イソシアネート基末端プレポリマーは、上記ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)を、イソシアネート基の水酸基に対するモル比(イソシアネート基/水酸基)が1.3〜10.0となるように反応させることで得られる。該モル比は、より好ましくは1.8〜7.0である。該モル比が1.3以上未満であると生成したプレポリマーの粘度が高くなりすぎず、作業性、湿気硬化性の点で好ましい。また10.0以下にすることで未反応のポリイソシアネート化合物(B)の残存が少なく、最終的に得られる硬化性組成物の硬化物の機械物性が良好になる。
イソシアネート基末端プレポリマーにおけるイソシアネート基含有量はが0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、1〜12質量%が特に好ましい。該イソシアネート基含有量が0.5質量%以上であると粘度が高くなりすぎず作業性、湿気硬化性の点で好ましい。20質量%以下であると未反応のポリイソシアネート化合物の残存が少なく、最終的に得られる硬化性組成物の硬化物の機械物性が良好になる。
本発明の一液湿気硬化性組成物は、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを、水分との反応により硬化する硬化成分とし、該硬化成分を湿気硬化させるものであり、例えば低分子量ポリオールやポリアミン等の、鎖伸長剤または硬化剤を使用せずに硬化させるものである。
本発明の一液湿気硬化性組成物は、水分の入らない条件下で製造し、密閉容器に入れ保存し、使用時に容器から出し、基材に塗布し、大気中に曝すことにより空気中の水分(湿気)と硬化成分中のイソシアネート基を反応させることで硬化させることができる。
本発明の一液湿気硬化性組成物の製造方法は特に限定されないが、好ましくは前記の必須成分と必要に応じて各種添加剤を加えて、減圧下または窒素雰囲気下で混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分混練して均一に分散させて組成物とするのがよい。
本発明の一液湿気硬化性組成物に必要に応じて添加される添加剤として、例えば以下のものが挙げられる。
(硬化触媒)
硬化触媒として、ウレタン化反応やウレア反応を促進する公知の触媒が使用でき、例えばトリエチルアミン等の3級アミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、2−エチルヘキサン酸錫などの有機酸錫や有機酸鉛等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、コハク酸イソデシル、オレイン酸ブチル、リン酸トリクレジル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、糠油脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の一液湿気硬化性組成物に溶剤を含有させてもよい。特に食品包装フィルム用の接着剤用途では溶剤の使用が好ましい。
使用できる溶剤としては、イソパラフィン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げられる。
本発明の一液湿気硬化性組成物は、特定のポリエステルエーテルポリオール(A1)を用いることにより低粘度化できることから、溶剤を使用したとしても、少量の使用で良好な粘度が得られる。また弱溶剤の使用も可能である。
本発明の一液湿気硬化性組成物には、必要に応じて充填材を配合できる。特に、建築材料用接着剤、コーティング材、シーリング材、弾性舗装材、防水材等の接着用途においては、充填材を配合することにより、立ち面でも垂れにくくなり、塗布量が均一で安定し、接着性が安定化するため好ましい。充填材の具体例としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化バリウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、シリカ類、けいそう土などが挙げられる。充填材の使用量は硬化性組成物(100質量%)中、0〜60質量%が好ましく、0〜50質量%が好ましい。60質量%以下とすることにより、接着剤の塗布作業性が良い。
さらに、必要に応じて、チクソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、消泡剤、難燃剤、接着付与剤などが使用できる。
チクソ性付与剤としては、微粒炭酸カルシウム、エアロジル(日本エアロジル社品)、脂肪族アミド、水添ひまし油などが挙げられる。
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、亜リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
顔料には、無機顔料と有機顔料とがあり、無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、酸化鉛、硫化カドミウム、酸化コバルト、酸化アルミニウムなどを用いることができる。有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
消泡剤としては、ポリシロキサン化合物などが挙げられる。
難燃剤としては、クロロアルキルホスヘート、ジメチル・メチルホスヘート、アンモニウムポリフォスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル、臭素・リン化合物を用いることができる。
接着付与剤としてはテルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂を用いることができる。
被接着基材として、木材のほか、アルミニウム、鉄、銅などの金属材料;ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂材料;コンクリート、アスファルト、石材など広範囲の材料に使用できる。これらの被接着基材のうちで、木材;アルミニウム;ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂が好ましく、特にアルミニウムとの接着性に優れている。
<使用原料>
以下の例で原料として用いたポリオールは、以下通りである。分子量は水酸基価換算分子量である。
・PPG−1000(略称):開始剤としてプロピレングリコールを用い、KOH触媒を用いて製造した水酸基価112mgKOH/g、分子量1000のポリオキシプロピレンジオール。
・PPG−2000(略称):開始剤としてプロピレングリコールを用い、KOH触媒を用いて製造した水酸基価56mgKOH/g、分子量2000のポリオキシプロピレンジオール。
・PBA(略称):水酸基価56mgKOH/g、分子量2000のポリ(ブチレンジオール)アジペートジオール、日本ポリウレタン工業社製、商品名N−4010。
・IP/MPD(略称):水酸基価56mgKOH/g、分子量2000、のポリ(3−メチルペンタンジオール)イソフタレートジオール、クラレ社製、商品名P−2030。
撹拌機および窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、開始剤(a)としてポリエーテルポリオールであるPPG−1000の1000gを投入した。次いで、ポリカルボン酸無水物(b)として無水フタル酸の400g(2.70モル)を上記反応容器内に投入して撹拌した。次いで、触媒(x)として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒の0.2gを投入し、窒素雰囲気下130℃にて、アルキレンオキシド(c)としてプロピレンオキシドの600g(10.3モル)をゆっくり加えながら7時間反応させた。その後、反応容器内圧の低下が止まった事を確認した後、反応容器から生成物を抜き出し、ポリエーテルポリオールであるPPG−1000の末端に無水フタル酸およびプロピレンオキシドが重合したポリエステルエーテルジオール(A1−1)(水酸基価56.3mgKOH/g)を得た。このポリエステルエーテルジオールの1H−NMRの測定結果から、このジオール(A1−1)が無水フタル酸およびプロピレンオキシドの重合鎖を有することが確認された。
本例で得られたポリエステルエーテルジオール(A1−1)の、水酸基あたりの水酸基換算分子量は996、「水酸基価換算分子量から開始剤の分子量を除いた残りの分子量を開始剤の官能基数で割った値(M’)」は496、酸価は0.11であった。
製造例1において、無水フタル酸の使用量を600g(4.05モル)に変更し、プロピレンオキシドの使用量を400g(6.90モル)に変更した。その他は製造例1と同様にして、PPG−1000の末端に無水フタル酸およびプロピレンオキシドが重合したポリエステルエーテルジオール(A1−2)(水酸基価57.6mgKOH/g)を得た。このポリエステルエーテルジオールの1H−NMRの測定結果から、このジオールが無水フタル酸およびプロピレンオキシドの重合鎖を有することが確認された。
本例で得られたポリエステルエーテルジオール(A1−2)の、水酸基あたりの水酸基換算分子量は974、「水酸基価換算分子量から開始剤の分子量を除いた残りの分子量を開始剤の官能基数で割った値(M’)」は474、酸価は0.14であった。
撹拌機および窒素導入管を備えた反応容器内に、製造例1で得たポリエステルエーテルジオール(A1−1)の757gと、ポリイソシアネート化合物(B)として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名ミリオネートMT、イソシアネート基含有量33.6質量%、以下同じ。)の243gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で4時間反応させた。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.56であった。
反応後の内容物の一部を取り出してイソシアネート基(以下、NCOと省略することがある。)含有量を測定し、理論的に計算された含有量以下であることを確認して反応を停止して抜き出し、NCO含有量4.95質量%、60℃での粘度3,300(mPa・s)のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
実施例1において、ポリエステルエーテルジオール(A1−1)を製造例2で得たポリエステルエーテルジオール(A1−2)に変更したほかは、実施例1と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.50であった。
得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は4.87質量%、60℃での粘度は11,000(mPa・s)であった。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
実施例1で得たイソシアネート基末端プレポリマーに添加剤を加えて一液湿気硬化性組成物を製造した。
すなわち、実施例1で得たイソシアネート基末端プレポリマーの430gに、可塑剤としてジイソノニルフタレートの50g、溶剤としてトルエンの70g、充填材として重質炭酸カルシウム(白石工業社製:NS−400以下同じ。)の400gおよび微粒合成炭酸カルシウム(白石工業社製:白艶華CCR以下同じ。)の50gを加えて混練したものを、一液湿気硬化性組成物として使用した。
実施例2で得たイソシアネート基末端プレポリマー430gに、実施例3と同じ添加剤を加えて混練したものを一液湿気硬化性組成物として使用した。
実施例1において、ポリエステルエーテルジオール(A1−1)の使用量を624gに変更し、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を376gに変更した。その他は実施例1と同様にしてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は4.83であった。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は9.92質量%、60℃での粘度1,800(mPa・s)であった。
得られたプレポリマーの430gに、実施例3と同じ添加剤を加えて混練したものを一液湿気硬化性組成物として使用した。
実施例2において、ポリエステルエーテルジオール(A1−2)の使用量を622gに変更し、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を378gに変更した。その他は実施例2と同様にしてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は4.74であった。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は9.90質量%、60℃での粘度6,000(mPa・s)であった。
得られたプレポリマー430gに、実施例3と同じ添加剤を加えて混練したものを一液湿気硬化性組成物として使用した。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)の代わりに、エステル基を持たないポリエーテルポリオールを用いて一液湿気硬化性組成物を調製した。
すなわち、実施例1において、製造例1で得たポリエステルエーテルジオール(A1−1)の代わりに、ポリオキシプロピレンジオール(PPG−2000)を用いた他は、実施例1と同様にしてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.57であった。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は4.96質量%、60℃での粘度850(mPa・s)であった。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)の代わりに、アジピン酸系ポリエステルポリオールを用いて一液湿気硬化性組成物を調製した。
すなわち、実施例1において、製造例1で得たポリエステルエーテルジオール(A1−1)の代わりに、ポリ(ブチレンジオール)アジペートジオール(PBA)を用いた他は、実施例1と同様にしてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.57であった。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は4.90質量%、60℃での粘度10,000(mPa・s)であった。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)の代わりに、フタル酸系ポリエステルポリオールを用いて一液湿気硬化性組成物を調製した。
すなわち、実施例1において、製造例1で得たポリエステルエーテルジオール(A1−1)の代わりに、ポリ(3−メチルペンタンジオール)イソフタレートジオール(IP/MPD)を用いた他は、実施例1と同様にしてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.57であった。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのNCO含有量は4.98質量%、60℃での粘度25,000(mPa・s)であった。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
ポリエステルエーテルポリオール(A1)の代わりに、フタル酸系ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物を用いて一液湿気硬化性組成物を調製した。
すなわち、撹拌機および窒素導入管を備えた反応容器内に、IP/MPDの379gと、PPG−2000の378gを投入して混合し、さらに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの243gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で4時間反応させた。イソシアネート基/水酸基(モル比)は2.57であった。反応後の内容物の一部を取り出してNCO含有量を測定し、理論的に計算された含有量以下であることを確認して反応を停止して抜き出し、NCO含有量4.99質量%、60℃での粘度5,500(mPa・s)のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。これを一液湿気硬化性組成物として使用した。
[硬化物(フィルム)の物性]
上記実施例および比較例で得た一液湿気硬化性組成物を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)上にアプリケーターにて膜厚500μmになるように塗布し、20℃、相対湿度60%の条件で1週間養生し、湿気硬化させた。得られたフィルムをダンベルカッターで所定形状に切断してOPPフィルムからはがして試験片を作成し、以下の物性測定を行った。
伸び100%時の引張弾性率(100%M、単位MPa)、伸び300%時の引張弾性率(300%M、単位:MPa)、引張破断強度(Ts、単位:MPa)および破断伸び(E、単位:%)の各物性を測定した。物性測定条件はJIS−K7311に準拠し、測定機器として引張試験機を用い、ダンベル3号を試験片とし、引張速度200mm/分の条件で行った。
測定結果を表1に示す。
JIS K−6833に準じ、以下の方法で一液湿気硬化性組成物の接着試験を行った。
(試験試料作成)
25mm幅×100mm長×4mm厚の木質合板(以下、ベニヤと略称する。)の一端部25mm×25mmの位置に、一液湿気硬化性組成物を0.2mmの厚みになるようヘラにて塗布した。該塗布部分の上に、25mm幅×100mm長×2mm厚のアルミニウム製板(以下Alと略称する。)の一端部25mm×25mmを、ベニヤの他端部とAlの他端部とが前記塗布部分を挟んで互いに対向するように載せて手で軽く押し付け、さらに挟時治具で挟時固定した。これを23℃、相対湿度50%の条件で1週間養生して硬化させ、試験試料を得た。
(剥離試験)
得られた試験試料について、引張試験機(東洋ボードウィン社製、製品名:テンシロンVTM−III−200)を用いて、引張速度50mm/minの条件で、せん断剥離強度(単位:N/m2)を測定した。その結果を表1に示す。
また剥離後の剥離状態を目視にて観察して評価した。結果を表1に示す。表1において「AF」は界面剥離を示す。また、「AL(数値)」は剥離状態を面積の割合で表したものであり、例えば「AL80は接着部分の全面積のうちの80%がAlと硬化性組成物の界面で剥離し、20%がベニヤと硬化性組成物の界面で剥離したことを示す。表1における該面積の割合の値は、3個の試験試料について同様の剥離試験を行ったときの平均値である。
これに対してポリエーテルポリオールを用いて調製したプレポリマーからなる比較例1は、粘度が低くフィルムの伸びは良好であるが、フィルムの破断強度および接着性に劣る。
ポリエステルポリオールを用いて調製したプレポリマーからなる比較例2,3は、接着性は良好であるものの、硬化物(フィルム)の伸びおよび破断強度が劣る。フィルムの伸びが良くないと、熱収縮率が互いに異なる被着体の貼り合わせに用いたときに剥がれが生じやすい。
ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールの混合物を用いて調製したプレポリマーからなる比較例4の組成物は、放置すると液が分離し、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)上にアプリケーターにて膜厚500μmになるように塗布しても均一なフィルムが得られなかった。このため比較例4ではフィルム物性および接着性の評価は行わなかった。
木材、金属(特にアルミニウム)および樹脂に対する接着性に優れるので、建築材料の接着剤;自動車部品の接着剤;および食品包装フィルム等のラミネートにおける接着剤等に適している。
Claims (5)
- 水酸基価10〜300mgKOH/gのポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを硬化成分とする一液湿気硬化性組成物であって、
前記ポリオール(A)が、開始剤(a)に対して、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)を共重合して得られるポリエステルエーテルポリオール(A1)を含むことを特徴とする一液湿気硬化性組成物。 - 前記開始剤(a)に対して、ポリカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)を共重合させる反応が、複合金属シアン化物錯体触媒(x)の存在下で行われる、請求項1に記載の一液湿気硬化性組成物。
- 前記ポリエステルエーテルポリオール(A1)における前記ポリカルボン酸無水物(b)の含有量が10〜50質量%である、請求項1または2に記載の一液湿気硬化性組成物。
- 前記ポリカルボン酸無水物(b)が、無水フタル酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の一液湿気硬化性組成物。
- 接着用途に用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の一液湿気硬化性組成物。
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