JP5266625B2 - イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法、一液湿気硬化型ウレタン組成物、二液硬化型ウレタン組成物、およびポリウレタンの製造方法 - Google Patents
イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法、一液湿気硬化型ウレタン組成物、二液硬化型ウレタン組成物、およびポリウレタンの製造方法 Download PDFInfo
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Description
ウレタン系材料の原料となるポリオール成分としては、ポリエステルポリオールやポリオキシアルキレンポリオールが一般的に使用されている。しかし、ポリオール成分としてポリエステルポリオールのみを用いて得たポリウレタンは機械的性質や耐油性は良好であるものの、エステル部分が加水分解しやすいため、耐水性が低かった。
一方、ポリオール成分としてポリオキシアルキレンポリオールのみを用いて得たポリウレタンは、特に夏場等の高温の環境下にて吸水による膨れやクラックが発生しやすく、耐水性が低かった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、ポリウレタン製造用のイソシアネート基末端プレポリマーを製造するイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法を提供する。また、耐水性および柔軟性が共に優れたポリウレタンを得ることができる、一液湿気硬化型ウレタン組成物、および二液硬化型ウレタン組成物を提供する。さらには、耐水性および柔軟性が共に優れたポリウレタンを製造するポリウレタンの製造方法を提供する。
[1] ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造する方法であって、
プレポリマー製造用ポリオール成分は、ダイマー酸エステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールを含み、ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBとの質量比率(A:B)が90:10〜30:70であり、前記ポリオキシアルキレンポリオールが、活性水素を1分子中に2〜4個有する脂肪族化合物または水からなる開始剤の存在下でアルキレンオキシドを開環付加重合して得たものであり、
該プレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基当量が200〜5000であることを特徴とするイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。
[2] ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させる際に、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cとプレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基Dのモル比率(C:D)を100:60〜100:30にする[1]に記載のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。
[3] [1]または[2]に記載の製造方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを含有する、一液湿気硬化型ウレタン組成物。
[4] 接着剤またはシーリング材用途に使用する、[3]に記載の一液湿気硬化型ウレタン組成物。
[5] [1]または[2]に記載の製造方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを、空気中の水分により硬化させるポリウレタンの製造方法。
[6] イソシアネート化合物成分と硬化用ポリオール成分とを含み、接着剤またはシーリング材用途に使用する、二液硬化型ウレタン組成物であって、
イソシアネート化合物成分は、ポリイソシアネート成分、および/または、ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させて得たイソシアネート基末端プレポリマーを含み、
硬化用ポリオール成分および/またはプレポリマー製造用ポリオール成分は、ダイマー酸エステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールを含み、ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBとの質量比率(A:B)が90:10〜30:70であり、前記ポリオキシアルキレンポリオールが、活性水素を1分子中に2〜4個有する脂肪族化合物または水からなる開始剤の存在下でアルキレンオキシドを開環付加重合して得たものであり、
硬化用ポリオール成分およびプレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基当量が各々200〜5000であることを特徴とする二液硬化型ウレタン組成物。
[7] イソシアネート化合物成分のイソシアネート基Eと硬化用ポリオール成分の水酸基Fとのモル比率(E:F)を100:80〜100:200にする[6]に記載の二液硬化型ウレタン組成物。
本発明の一液湿気硬化型ウレタン組成物および二液硬化型ウレタン組成物は、耐水性および柔軟性が共に優れたポリウレタンを生成できる。
本発明の一液湿気硬化型ウレタン組成物および二液硬化型ウレタン組成物は、シーリング材および接着剤の用途に適する。
本発明のポリウレタンの製造方法により得られるポリウレタンは耐水性および柔軟性が共に優れ、その結果、防水性に優れる。また、熱水に対する耐性(耐熱水性)も優れる。
本発明のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法について説明する。
本発明のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法は、ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造する方法である。
ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと記載する。)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ピュアーMDIと記載する。)、ピュアーMDIとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとの混合物(以下、ポリメリックMDIと記載する。)、液状ピュアーMDI変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。上記ポリイソシアネートは、各々を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネートの中でも、最終的に得られるポリウレタンの機械強度が優れることから、TDI、ピュアーMDI、ポリメリックMDI、液状ピュアーMDI変性物が好ましい。
プレポリマー製造用ポリオール成分は、ダイマー酸エステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールを含むものである。
ダイマー酸エステルポリオールとは、ダイマー酸を主成分とするジカルボン酸と多価アルコールとが重縮合されたものであり、分子の両末端にヒドロキシル基を有するエステルポリオールである。
ダイマー酸の主成分は炭素数36個のジカルボン酸であるが、炭素数54個のトリカルボン酸を約20質量%以下の範囲で含んでも構わない。また、ダイマー酸は、不飽和結合の一部を水素化して内部オレフィン結合を減らしたものであってもよい。
ダイマー酸は、ユニケマ・インターナショナル社より商品名PRIPOL−1008、PRIPOL−1009、PRIPOL−1017等が市販されている。
ただし、全ジカルボン酸中の、ダイマー酸以外のジカルボン酸の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、ダイマー酸以外のジカルボン酸を全く含まないことがより好ましい。
ダイマー酸エステルポリオールの水酸基当量は200〜5000であることが好ましく、300〜2000であることがより好ましく、500〜1000であることが特に好ましい。ダイマー酸エステルポリオールの水酸基当量が200以上であれば、最終的に得られるポリウレタンの柔軟性・耐水性がより優れる。また、ダイマー酸エステルポリオールの水酸基当量が5000以下であれば、最終的に得られるポリウレタンの引張強度がより高くなり、凝集力不足による接着強度の低下をより抑えることができる。
本発明において、水酸基当量とは、ポリオールにおける水酸基一個あたりの平均の分子量のことである。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。これらのアルキレンオキシドは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましいアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド単独またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用である。
開始剤としては、例えば、活性水素を1分子中に2〜4個有する化合物が使用される。
活性水素を1分子中に2〜4個有する化合物としては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族化合物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリレンジアミン等のアミノ化合物等が挙げられる。これらの中でも、本発明では、水、または、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族化合物を選択する。
ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基当量は200〜5000であることが好ましく、250〜3000であることがより好ましく、1000〜3000であることが特に好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基当量が200以上であれば、最終的に得られるポリウレタンの柔軟性がより優れ、5000以下であれば、引張強度がより高くなり、凝集力不足による接着強度の低下をより抑えることができる。
他のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ただし、ポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリカーボネートポリオールを用いる場合、得られるポリウレタンの硬度が高くなり、さらにポリエステルポリオールを用いる場合、耐水性も低下することから、それらの割合はポリオール全体の30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
プレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の60以下とすれば、イソシアネート基末端プレポリマーの初期粘度ならびに経時による粘度上昇を抑えることができる。また、該プレポリマー製造用ポリオールを一液湿気硬化型ウレタン組成物または二液硬化型ウレタン組成物に用いた場合には塗工性に優れ、被塗物への濡れ性が優れ、作業性・接着性に優れる。
一方、プレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の30以上であれば、該プレポリマー製造用ポリオールを一液湿気硬化型ウレタン組成物に用いた場合には、水分との過度の反応による発泡と、これに伴う被着体との密着性の低下を抑えることができ、優れた接着性を得ることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態は、上述したイソシアネート基末端プレポリマーを含む一液湿気硬化型ウレタン組成物である。
該一液湿気硬化型ウレタン組成物は、例えば、水分の入らない条件下でイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、さらに必要に応じて各種添加剤を配合することにより得られる。
イソシアネート基と反応しない溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジオクチルやフタル酸ジイソノニル等の酸エステル類、イソパラフィン、ミネラルスピリット等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。
本発明における第2の実施形態は、イソシアネート化合物成分と硬化用ポリオール成分とからなる二液硬化型ウレタン組成物である。
本実施形態におけるポリイソシアネート成分は、上記イソシアネート基末端プレポリマーを製造する際に使用したポリイソシアネート成分と同様のものである。
ダイマー酸エステルポリオールAが30質量%以上であれば、耐水性により優れ、耐熱性・耐湿熱性が優れるポリウレタンを得ることができる。また、ダイマー酸ポリエステルポリオールが90質量%以下であれば、最終的に得られるポリウレタンの柔軟性がより高くなり、伸びが向上するため被着体への追従性が優れる。
また、イソシアネート化合物成分として、イソシアネート基末端プレポリマーを使用する場合には、プレポリマー製造用ポリオールと硬化用ポリオール成分の両方をあわせたものが、上記ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBの混合物とみなされればよい。
したがって、たとえば、プレポリマー製造用ポリオールにダイマー酸エステルポリオールAが含まれない場合でも、硬化剤用ポリオールにダイマー酸エステルポリオールAが含まれ、組成物全体の中で、ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBの割合が上記の範囲内にあればよい。
他のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ただし、ポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリカーボネートポリオールを用いる場合、得られるポリウレタンの硬度が高くなり、さらにポリエステルポリオールを用いる場合、耐水性も低下することから、それらの割合はポリオール全体の30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
硬化用ポリオール成分の水酸基のモル比率Fがイソシアネート化合物成分のイソシアネート基Eを100とした際の200以下であると、過剰の水酸基による耐水性の低下を抑える傾向にある。硬化用ポリオール成分の水酸基のモル比率Fがイソシアネート基Eを100とした際の80以上であると、得られるポリウレタンの伸びが優れる傾向にある。
硬化触媒としては、ウレタン化反応や尿素化反応を促進する公知の触媒が使用でき、例えば、トリエチルアミン等の三級アミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、2−エチルヘキサン錫等の有機酸錫、有機酸鉛等が挙げられる。
二液硬化型ウレタン組成物を硬化させる際の温度は、室温〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。硬化時の温度が室温未満であると、硬化しにくくなり、100℃を超えると、硬化の制御が困難になる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン;亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。
顔料としては、無機顔料と有機顔料とが挙げられ、無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等を用いることができる。有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
難燃剤としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスフェート、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル、臭素・リン化合物を用いることができる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。また、エポキシシラン(例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)等のシランカップリング剤を用いることができる。
以下の例で用いた原料は下記の通りである。
[ポリイソシアネート成分]
ピュアーMDI:日本ポリウレタン社製商品名ミリオネートMT、NCO含有量;33.6質量%、分子量250.3
ポリメリックMDI:日本ポリウレタン社製商品名MR−200、NCO含有量;31質量%
[ポリオール成分]
ダイマー酸エステルポリオール:ダイマー酸とジプロピレングリコールとから得られるダイマー酸エステルポリオール(平均水酸基数3.3、水酸基当量750)。
ポリオキシアルキレンポリオール1(以下、PPG1と記載する。):開始剤としてグリセリンを、触媒として水酸化カリウムを用い、プロピレンオキシドを付加重合して得た平均水酸基数3、水酸基当量2170のポリオキシプロピレントリオール。
ポリオキシアルキレンポリオール2(以下、PPG2と記載する。):開始剤としてグリセリンを、触媒として水酸化カリウムを用い、プロピレンオキシドを付加重合して得た平均水酸基数3、水酸基当量1000のポリオキシプロピレントリオール。
[添加剤]
硬化触媒:ジブチル錫ジラウレート(純正化学製)
可塑剤:DINP(花王製商品名ビニサイザー90)
無機充填剤:膠質炭酸カルシウム(白石工業製商品名白艶化CCR)、重質炭酸カルシウム(白石工業製商品名NS−400)
接着性付与剤:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製商品名KBM−403)
[例1]
ダイマー酸エステルポリオールの30部とPPG2の70部にピュアーMDIを、プレポリマー製造用ポリオールの水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の50になるように(すなわち、イソシアネートインデックスが200になるように)配合した。次いで、充分に撹拌して混合した後、真空ポンプにて脱気、40℃に温度調節して、イソシアネート基末端プレポリマーを製造した。
次いで、このイソシアネート基末端プレポリマーを、後述の方法で湿気硬化させてポリウレタンを調製し、そのポリウレタンの吸水率、表面硬度、引張物性、耐湿熱性を測定した。
ダイマー酸エステルポリオールの量を40部に、PPG2の量を60部に変更したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
ダイマー酸エステルポリオールの量を50部に、PPG2の量を50部に変更したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
ダイマー酸エステルポリオールの30部とPPG2の70部にピュアーMDIを、プレポリマー製造用ポリオールの水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の43.5になるように(すなわち、イソシアネートインデックスが230になるように)配合したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
ダイマー酸エステルポリオールの100部にピュアーMDIを、ダイマー酸エステルポリオールの水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の50になるように(すなわち、イソシアネートインデックスが200になるように)配合したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
PPG1の100部にピュアーMDIを、PPG1の水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の50になるように(すなわち、イソシアネートインデックスが200になるように)配合したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
PPG2の100部にピュアーMDIを、PPG2の水酸基Dのモル比率が、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cを100とした際の50になるように(すなわち、イソシアネートインデックスが200になるように)配合したこと以外は例1と同様にして、ポリウレタンを得た。
(吸水率)
例1〜7で得られたイソシアネート基末端プレポリマーをポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して、厚さ2mmの未硬化の塗膜を形成させた。そして、その未硬化の塗膜を温度20℃、相対湿度60%の環境下に一週間放置し、空気中の水分によって塗膜を硬化させてポリウレタン塗膜を得た。これらの塗膜を50mm×50mm×厚み2mmのサイズに切断し、吸水率測定用の試験片とした。
試験片のサンプルの大きさを50mm×50mm×厚み2mmにした以外はJIS K7209(1984年版)に従って、吸水率を測定した。
具体的には、ポリウレタンからなる50mm×50mm×厚み2mmの試験片の全体を水温23℃または80℃の水中に浸漬させ、1日経過後の質量、7日経過後の質量を測定し、以下の式より吸水率を求めた。
吸水率(質量%)={(浸漬後の質量(g)−浸漬前の質量(g))/浸漬前の質量(g)}×100(%)
例1〜7で得られたイソシアネート基末端プレポリマーを厚さ2mmの型に流しこみ、温度20℃、相対湿度60%の環境下に一週間放置し、空気中の水分によって硬化させた。このサンプルを3枚積み重ねて、JIS K7311(1995年版)に従い、タイプAのデュロメータを用いて、硬さ試験をおこない、表面硬度(ショアA)を測定した
例1〜7で得られたイソシアネート基末端プレポリマーをポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して、厚み500μmの未硬化の塗膜を形成させた。そして、その未硬化の塗膜を温度20℃、相対湿度60%の環境下に一週間放置し、空気中の水分によって塗膜を硬化させてポリウレタン塗膜を得た。
得られたポリウレタン塗膜を、JIS K7311(1995年版)に従って、引張試験をおこない、伸び100%時の引張弾性率(M100)、伸び300%時の引張弾性率(M300)、引張強度、破断伸びを測定した。
得られたポリウレタン塗膜を、さらに温度75℃、相対湿度95%の環境下で一週間放置した後、引張物性をJIS K7311(1995年版)に従って測定した。そして、その物性値から、温度75℃、相対湿度95%の環境下に放置する前の物性値を100とした際の保持率(%)を求めた。保持率が100%に近い程、耐湿熱性に優れる。耐湿熱性は耐水性の指標となる。
これに対し、プレポリマー製造用ポリオールとしてダイマー酸エステルポリオールのみを用いてイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、これを硬化させた例5では、得られたポリウレタンの柔軟性が低かった。
また、プレポリマー製造用ポリオールとしてポリオキシアルキレンポリオールのみを用いてイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、これを硬化させた例6,7では、得られたポリウレタンの耐水性が低かった。
[例8]
120mlのポリプロピレン製容器にて、ダイマー酸エステルポリオールの16.4gとPPG1の4.1gとを充分に混合した後、DINPの14.6gを添加した。これらに、炭酸カルシウムの48.1gと重炭酸カルシウムの16.8gとを添加し、遊星式撹拌・脱泡装置(クラボウ製KK−100)により15分間混合してポリオール組成物を得た。次いで、そのポリオール組成物を25℃に冷却した。
また、ポリメリックMDI80質量部とエポキシシラン20質量部を混合して、イソシアネート成分とした。
次いで、ポリオール組成物とイソシアネート成分とを、イソシアネートインデックスが100となるように配合し、前記攪拌・脱泡装置により2分間混合して、二液硬化型ウレタン組成物を得た。
この二液硬化型ウレタン組成物をポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚みが500μmになるように塗布し、温度20℃、相対湿度60%の環境下で、一週間硬化させて、ポリウレタンの塗膜を得た。そして、例1〜7と同様にして、表面硬度および引張物性を測定した。それらの結果を表2に示す。
(接着性)
まず、図1に示すように、5mm×50mm×50mmの2枚のガラス板10,10の間に、12mm×19mm×50mmの2枚のポリテトラフルオロエチレン製スペーサ20,20を介在させて、12mm×12mm×50mmの空隙30を形成させると共に、これらをポリテトラフルオロエチレンシート40上に立設させた。次いで、その空隙30の内部に前記未硬化の二液硬化型ウレタン組成物を充填した後、温度23℃±2℃、相対湿度60%±5%の環境下で7日間、その後、温度50℃±2℃の環境下で7日間放置して、硬化させた。その後、スペーサ20,20を取り除いて、図2に示すような、2枚のガラス板10,10がポリウレタン50を介して接合されたH型試験体1を得た。
このH型試験体1を用い、ガラス板10,10が互いに離間するように引張速度50mm/分で引張り、ポリウレタン50が凝集破壊した際の、あるいは、ポリウレタン50がガラス板10から界面剥離した際の強度を測定した。この強度が高い程、接着性に優れることを示す。
上記H型試験体を、温度80℃の温水中に14日間浸漬した後、JIS A1439(1997年版)に従い、上記接着性評価と同様にして、ポリウレタンが破断した際の、あるいは、ポリウレタンがガラス板から剥離した際の強度を測定した。この強度が高い程、耐温水性に優れる。耐温水性は耐水性の促進試験であり、耐温水性が高い程、耐水性に優れることを示す。
硬化用ポリオール成分として、ダイマー酸エステルポリオールの16.4gおよびPPG1の4.1gの代わりに、ダイマー酸エステルポリオールの20.5gのみを用いたこと以外は例8と同様にして、二液硬化型ウレタン組成物を得た。
そして、例8と同様にして、表面硬度、引張物性、接着性、耐温水性を評価した。それらの結果を表2に示す。
硬化用ポリオール成分として、ダイマー酸エステルポリオールの16.4gおよびPPG1の4.1gとの代わりに、PPG1の20.5gのみを用いたこと以外は例8と同様にして、二液硬化型ウレタン組成物を得た。
そして、例8と同様にして、表面硬度、引張物性、接着性、耐温水性を評価した。それらの結果を表2に示す。
これに対し、硬化用ポリオールとしてダイマー酸エステルポリオールのみを用いた例9では、得られたポリウレタンの柔軟性が低かった。
また、プレポリマー製造用ポリオールとしてポリオキシアルキレンポリオールのみを用いた例10では、耐温水性の評価にて、ポリウレタンがガラス板から容易に剥離し、耐水性が低かった。
10 ガラス板
20 スペーサ
30 空隙
40 ポリテトラフルオロエチレンシート
50 ポリウレタン
Claims (7)
- ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造する方法であって、
プレポリマー製造用ポリオール成分は、ダイマー酸エステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールを含み、ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBとの質量比率(A:B)が90:10〜30:70であり、前記ポリオキシアルキレンポリオールが、活性水素を1分子中に2〜4個有する脂肪族化合物または水からなる開始剤の存在下でアルキレンオキシドを開環付加重合して得たものであり、
該プレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基当量が200〜5000であることを特徴とするイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。 - ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させる際に、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基Cとプレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基Dのモル比率(C:D)を100:60〜100:30にする請求項1に記載のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを含有する、一液湿気硬化型ウレタン組成物。
- 接着剤またはシーリング材用途に使用する、請求項3に記載の一液湿気硬化型ウレタン組成物。
- 請求項1または2に記載の製造方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを、空気中の水分により硬化させるポリウレタンの製造方法。
- イソシアネート化合物成分と硬化用ポリオール成分とを含み、接着剤またはシーリング材用途に使用する、二液硬化型ウレタン組成物であって、
イソシアネート化合物成分は、ポリイソシアネート成分、および/または、ポリイソシアネート成分とプレポリマー製造用ポリオール成分とを反応させて得たイソシアネート基末端プレポリマーを含み、
硬化用ポリオール成分および/またはプレポリマー製造用ポリオール成分は、ダイマー酸エステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールを含み、ダイマー酸エステルポリオールAとポリオキシアルキレンポリオールBとの質量比率(A:B)が90:10〜30:70であり、前記ポリオキシアルキレンポリオールが、活性水素を1分子中に2〜4個有する脂肪族化合物または水からなる開始剤の存在下でアルキレンオキシドを開環付加重合して得たものであり、
硬化用ポリオール成分およびプレポリマー製造用ポリオール成分の水酸基当量が各々200〜5000であることを特徴とする二液硬化型ウレタン組成物。 - イソシアネート化合物成分のイソシアネート基Eと硬化用ポリオール成分の水酸基Fとのモル比率(E:F)を100:80〜100:200にする請求項6に記載の二液硬化型ウレタン組成物。
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