JP2005247764A - 水素化反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型(コンパクト)化・軽量化でき、不飽和有機物を水素化する水素化反応を連続的に行なうことによる反応性の低下を回避し、水素化反応を迅速に進行させて有機ハイドライドの連続生成を可能とする。
【解決手段】 触媒12を備えた反応手段10に、噴射装置11からナフタレンを供給すると共に水素ガス供給装置20から、触媒12上の水素化されたデカリンが少なくとも飛散するように水素ガスを触媒12上に圧出して供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素化反応装置に係り、特に電気自動車や水素エンジン車等の車両や船舶等に搭載可能で、搭載された燃料電池や水素エンジン等の水素ガス供給用燃料として好適な有機ハイドライドを生成する水素化反応装置に関する。
従来の電気自動車は、車両の駆動力を得るための電源としての燃料電池、及びこの燃料電池を用いて発電を行なうための燃料である水素又は水素を生成するための原燃料を搭載しており、水素エンジンを搭載する水素エンジン車の場合もその燃料源については同様である。また、将来的には水素エンジン等の各種内燃機関のほか、燃料電池をはじめとする種々の水素使用装置における水素の利用が増加するものと推定される。
ところが、水素の供給方法については未だ技術的に確立された方法はなく、車両に水素又は水素を生成するための原燃料を搭載しなければ充分な水素を内燃機関や燃料電池等に供給し得ないのが現況である。すなわち、水素を搭載する場合は、水素ガスを圧縮して高圧もしくは液状にし充填したボンベ(高圧タンクや液体水素タンクなど)、又は水素吸蔵合金や水素吸着材料として搭載し、原燃料を搭載する場合は、原燃料であるメタノールやガソリン等の炭化水素及び原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する水素生成装置の搭載が必要となる。
しかしながら、高圧充填して搭載しようとすると高圧タンクは大きいわりに壁厚が厚く内容積を大きくできないため水素充填量が少なく、液体水素として搭載しようとすると気化ロスがあるほか、液化に多大なエネルギーを要するため総合的なエネルギー効率の点で望ましくない。また、水素吸蔵合金や水素吸着材料では電気自動車等に必要とされる水素貯蔵密度が不充分で、水素の吸蔵/吸着等の制御も困難である。さらに、水素の高圧化や液状化、吸蔵には設備を別途整備する必要もある。
一方、原燃料を搭載した電気自動車等は、水素自体を搭載する場合に比して1回の燃料補給で走行可能な距離が長いという利点がある。そして、原燃料として炭化水素系の燃料は、水素ガスに比べ輸送等の取扱いが容易であるという利点を有しており、近年、有機ハイドライドを燃料とする技術が注目されている。例えば、有機ハイドライドの1つであるデカリン(デカヒドロナフタレン)は、常温では殆ど蒸気圧がゼロ(沸点が200℃近傍)で取扱い易いことから、原燃料としての使用の可能性が期待されている。
デカリンの脱水素化方法としては、デカリンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、テルニウム、ニッケル、及び白金の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、有機リン化合物のロジウム錯体の存在下、又は有機リン化合物とロジウム化合物との存在下に、デカリンに光照射することによりデカリンから水素を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、デカリンから脱水素すると以下のようにナフタレンが生成されるが、逆反応となるナフタレンの水素化によりデカリンの再生が可能である。
1018(デカリン) ⇔ C108(ナフタレン)+5H2(水素)
上記のようなデカリンの脱水素反応を利用し、水素ガスを生成して燃料電池などの水素使用装置に水素供給する水素ガス生成装置として開示されたものがある(例えば、特許文献3参照)。これは、デカリン等の脱水素化及び脱水素後の水素化を利用したものであるが、特に水素化反応を連続的に触媒上で行なった場合には、触媒表面に被水素化物である脱水素後の有機物や水素化して生成された有機ハイドライドが液膜状に付着して、水素化反応の反応速度が低下する場合がある。
したがって、電気自動車などの車両等に搭載して車両内で使用済燃料を再生(水素化)して有機ハイドライドを生成しようとするには時間がかかわりすぎ、水素化反応効率を充分に確保し、原燃料として有機ハイドライドを使用するシステムを実用化するまでには至っていない。
また、車両等に搭載する場合には設置スペース上の制約もあり、搭載寸法や重量等の観点から、小型(コンパクト)化、軽量化することが要求される。
特公平3−9091号公報 特公平5−18761号公報 特開2002−255503公報
上記のように、有機ハイドライドから水素を得る技術は知られているが、有機ハイドライドを水素生成用の原燃料として利用する場合に、連続して大量の反応を行なう等、車載等した時に要求されるあらゆる反応条件下で、不飽和有機物を水素化し有機ハイドライドに再生する水素化反応を常に高速かつ効率よく進行させることか可能な技術は確立されていないのが現状といえる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、小型(コンパクト)化・軽量化が可能で、不飽和有機物を水素化する水素化反応を連続的に行なうことによる反応性の低下を伴なうことがなく、水素化反応が迅速に行なわれ有機ハイドライドを連続生成することができる水素化反応装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の水素化反応装置は、触媒(以下、「反応触媒)ともいう)及び該触媒を加熱する加熱器を備え、供給された水素ガス及び不飽和有機物を加熱された前記触媒上で水素化反応させて水素化有機物を生成する反応手段と、前記触媒上の少なくとも前記水素化有機物が飛散するように水素ガスを該触媒上に供給する供給手段と、を含んで構成したものである。
本明細書中において、不飽和有機物は、該不飽和有機物が水添された水素化有機物から水素を発生する脱水素反応により生成された脱水素生成物であり、また、水素を発生する水素化有機物は、水素生成用の原燃料として好適な有機ハイドライドであり、主として炭化水素系燃料が用いられる。
本発明に係る不飽和有機物には、例えば、ベンゼン、トルエン、ジメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン等の単環式化合物、ナフタレン、メチルナフタレン等の二環式化合物、アントラセン等の三環式化合物、等が含まれる。中でも、ベンゼン、トルエン、又はこれらを主成分とする組成物が好ましく、より好ましくはベンゼン又はこれを主成分とする組成物である。
例えば、不飽和有機物としてナフタレン、又はベンゼンを水素化反応させた場合は、水素化有機物であるデカリン(及び/又はテトラリン)、又はシクロヘキサンが各々生成される。
また、本発明に係る水素化有機物には炭化水素系燃料が好適に挙げられ、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の二環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環式化合物等の脂環式炭化水素などが含まれる。
例えば上記のように、水素化されたデカリン(及び/又はテトラリン)、又はシクロヘキサンは、後述するように、水素生成しようとする場合の水素生成用の原燃料(すなわち有機ハイドライド)として脱水素反応に利用できる。原燃料としてこれら水素化有機物を脱水素反応に利用する場合、特にデカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンを含む燃料が好ましく、より好ましくはデカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料である。デカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料を用いたときには、水素ガスと共に再び被水素化物となるナフタレンを生成する。
本発明では、不飽和有機物を水素化する際に供給する水素ガスを、不飽和有機物を水素化反応させる反応触媒上に該反応触媒上の少なくとも水素化された水素化有機物を飛散させるように、例えば反応触媒の反応面(触媒面)にガス圧をかけて圧出するように供給することで、特に反応温度が比較的低い(反応温度200℃未満の)水素化反応時に触媒面を覆うように(例えば液膜状に)存在する液体(水素化生成された水素化有機物や水素化反応時に触媒上に残存した液状の不飽和有機物など)をパージ(purge)して触媒を表出させるので、供給された不飽和有機物及び水素ガスの触媒面との接触阻害が回避され、不飽和有機物と水素ガスとの反応触媒上での水素化反応を速やかに進行させることが可能となる。さらに、連続的に水素化反応を行なう場合もまた、生成された水素化有機物は直ちに連続供給される水素ガスによって反応触媒上から取り除かれ、供給された不飽和有機物及び水素ガスと反応触媒との接触を確保することができる。その結果、不飽和有機物の水素化反応性が高められ、迅速かつ効率よく、また連続的に有機ハイドライドを生成することが可能である。
本発明において、「水素化有機物が飛散するように」水素ガスを触媒上に供給する場合、水素化反応性が液体が存在しない触媒上での反応性とほぼ同等程度に保持可能な程度に供給できればよく、例えば水素ガスの触媒表面でのガス圧が10MPa〜100MPa程度である範囲で供給するのが望ましい。
供給手段は、水素ガスと液体状の不飽和有機物とを混合して供給するように構成するのが効果的である。水素ガスの供給と同時に液体状の不飽和有機物を(例えば微液滴状にして)供給し、混合状態で反応触媒と接触させるようにするので、水素化反応を活発化して反応性を飛躍的に促進させることができる。
この場合、供給手段は、水素ガス及び液体状の不飽和有機物のいずれか一方を噴出するノズル部を有する内筒と、該内筒の周縁を覆って内筒との間に他方を収容すると共に、前記ノズル部先端との間に前記他方を放出する間隙を設ける外筒とを備え、水素ガス及び液体状の不飽和有機物を混合して供給するように構成されるとより効果的である。このように構成することで、水素ガスと不飽和有機物との混合が良好に行なわれ均一な混合状態で触媒上へ供給可能となるので、触媒上で生ずる水素化反応を活発に進行させて迅速な不飽和有機物の再生を行なうことができる。
特に、水素ガスを(高圧で)噴出するノズル部を有する内筒と、該内筒の周縁を覆って内筒との間に液体状の不飽和有機物を収容すると共に、前記ノズル部先端との間に前記不飽和有機物を放出する間隙を設ける外筒とを備えた供給手段が望ましい。これにより、水素ガスを少なくとも水素化有機物が飛散するように供給すると共に不飽和有機物が微液滴状に供給され、水素ガスと微液滴状の不飽和有機物とを均一に混合させた状態で触媒と接触させることができる。
上記の反応手段は、反応手段に水素化有機物が供給されるように構成することができ、反応手段に水素化有機物が供給されたときには、供給された水素化有機物を加熱された反応触媒上で脱水素反応させるように構成することができる。つまり、この場合の触媒(反応触媒)は、水素化触媒として機能する以外に脱水素触媒としての機能をも兼備するものである。
水素化反応を行なう反応手段にさらに水素化有機物を供給するようにし、脱水素反応が可能なように構成することで、例えば車両内で不飽和有機物に水添して水素貯蔵を行なう水素化反応と水素貯蔵された水素化有機物から水素を発生させる脱水素反応との両方を単一装置で行なうことができるので、装置全体のコンパクト化、軽量化を実現することができる。例えば水素化有機物である炭化水素系燃料が加熱触媒上に供給されると、炭化水素系燃料が脱水素して水素ガスが生成される。このとき生成された水素ガスは、不飽和有機物である脱水素生成物を含む混合ガス(水素リッチガス;未反応の炭化水素系燃料を含んでいてもよい)として発生し、この混合ガスから水素ガスを高純度に分離して燃料電池等の水素使用装置に利用可能である。
本発明の水素化反応装置を構成する反応手段は、被燃焼材が供給される中空内部の内壁に酸化触媒を有し、かつ外壁に水素化反応(及び場合により脱水素反応)させる上記の触媒(反応触媒)を有する単一若しくは複数の中空体を備え、酸化触媒で被燃焼材を燃焼させたときの燃焼熱で中空体内部から反応触媒を加熱するように構成することができる。外壁面に反応触媒を有する単一の、好ましくは複数の中空体を配設して反応手段を構成することで、反応触媒の反応に寄与する表面積が拡がると共に、備えられた中空体の内部が被燃焼材を燃焼させる燃焼室に構成され、その燃焼熱で反応触媒が加熱されるので、コンパクトな構造に構成しつつ反応効率を高めることができる。
上記のように、例えば車両内において水素化反応と脱水素反応との両方を行なう場合は、装置のコンパクト化の観点から、特に水素化有機物を貯留する第1貯留部と不飽和有機物を貯留する第2貯留部とで構成された単一の貯留手段を更に設けた構成が望ましい。
この場合、水素化反応に用いる不飽和有機物はこれを貯留した第2貯留部から反応手段に向けて供給され、供給された不飽和有機物を水素化した水素化有機物は同一の貯留手段の第1貯留部に戻して貯留することができ、脱水素反応させるときには該貯留手段の第1貯留部に貯留された水素化有機物が反応手段に向けて供給され、脱水素反応により生成された不飽和有機物は再び同一の貯留手段の第2貯留部に回収することができる。このように、貯留手段を単一の貯留タンク等の単一構造に構成することにより、装置全体の更なるコンパクト化が可能となる。
本発明は、上記のような不飽和有機物(脱水素生成物)/水素化有機物(有機ハイドライド)間の水素の着脱反応サイクルを利用するものであり、これにより車載時等においても、永続的に燃料電池等の水素使用装置への水素の供給が可能となる。
本発明によれば、小型(コンパクト)化・軽量化が可能で、不飽和有機物を水素化する水素化反応を連続的に行なうことによる反応性の低下を伴なうことがなく、水素化反応が迅速に行なわれ有機ハイドライドを連続生成することができる水素化反応装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の水素化反応装置の実施形態を説明する。なお、下記の実施形態において、脱水素有機物としてナフタレンを用い、水素化有機物(原燃料)をナフタレンの水素化物であるデカリンを主成分とする燃料(以下、単に「デカリン」という。)とした場合を中心に説明する。但し、本発明においてはこれら実施形態に制限されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の水素化反応装置の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。本実施形態は、水素ガスを燃料とする燃料電池が搭載された電気自動車に本発明の第1実施形態の水素化反応装置を搭載し、ナフタレンの水素化反応とナフタレンの水素化物であるデカリンの脱水素反応とを同一タンクで行なうと共に、移動可能な隔壁を内部に備えた単一の分離貯留タンクを用いてナフタレン及びデカリンをともに貯留するようにしたものである。
また、本実施形態は既述のように、燃料電池供給用の水素ガスの生成に伴ない生成されたナフタレンを水素と反応させてデカリンに再生する水素化反応と、水素化されたデカリンを高温触媒を用いて脱水素反応させて水素ガスを生成する脱水素反応との水素の着脱反応サイクルを利用し、水素ガス分子を吸着貯蔵するのではなく、有機ハイドライド(デカリン)の形で化学結合により原燃料中に貯蔵するようにしたものである。
図1に示すように、本実施形態は、触媒及び該触媒を加熱する加熱器を備え、水素ガス及びナフタレンが供給されたときは水素化反応させ、デカリンが供給されたときはデカリンを脱水素反応させる反応タンク10と、反応タンクに取り付けられ、反応タンク内の触媒の触媒面に存在する液状物(即ち、水素化反応時に生成された液状デカリン等や、未反応あるいは脱水素生成されて残存する液状ナフタレン等)が飛散するように水素ガスを圧出する水素ガス供給装置20と、反応タンクで給排されるデカリン及びナフタレンを分離して貯留する分離貯留タンク30と、ナフタレンを水素化反応させて生成されたデカリンを冷却すると共に、デカリンの脱水素反応により生じた水素リッチガスから水素ガスを分離する分離タンク40とを備えている。なお、上記の分離貯留タンクに貯留されるナフタレンは、デカリンを脱水素反応させて生成された水素リッチガスから水素ガスを分離し冷却した後の、ナフタレンを主に含有する溶液(以下、「ナフタレン混合物」という。)として貯留される。
反応タンク10は、水素化反応時にはナフタレン混合物を、脱水素反応時にはデカリンを霧状に噴射するための噴射装置11を壁面(上部)に備えており、この噴射装置11が備えられた近隣にはさらに水素ガス供給装置20が併設され、水素化反応時にナフタレン混合物を噴射装置11から供給するときに更に、高圧水素ガスを圧出して供給できるようになっている。噴射装置11は、供給配管21の一端と接続されており、水素ガス供給装置20は外部に設置された水素スタンドと繋がる配管25の一端と接続されている。
反応タンク10の噴射装置11及び水素ガス供給装置20が備えられている側と反対側(底部)には、触媒12及び触媒12を加熱するための燃焼室(加熱器)13で構成され、触媒12表面で発熱と吸熱とを同時に起こさせる触媒反応器が設けられている。燃焼室13は、貯留されているデカリンを供給するための供給装置14と、空気供給用の供給装置15と、燃焼後に生じた燃焼廃棄物(ガス)を排出する排出管16と点火装置(不図示)とが備えられ、燃焼室13に供給されたデカリンの燃焼熱で触媒12を加熱できるようになっている。
この場合、触媒反応器を構成する触媒12は、高伝熱性基板(不図示)の一方の側がナフタレンの水素化反応及び水素ガス生成のための脱水素反応を行なう水素化兼脱水素用触媒として、他方の側がデカリンを酸化して燃焼反応を行なう遷移金属酸化物触媒(酸化触媒)として作用するように構成されており、反応タンク10の噴射装置11及び水素ガス供給装置20による供給側に前記水素化兼脱水素用触媒が、該側と逆側の燃焼室13側に前記遷移金属酸化物触媒が位置するように配置されている。
供給装置14からデカリンを供給し、デカリンを遷移金属酸化物触媒により完全酸化させることによって水素化兼脱水素用触媒の加熱に必要な反応熱を供給することができる。また、触媒12の水素化兼脱水素用触媒の側には、触媒の温度を検知するための温度センサ(不図示)が設けられている。この燃焼室に代えてヒータ等を用いることも可能であるが、ヒータ等を用いた場合に比し更に省電力に構成できる点で有用である。
触媒12の水素化兼脱水素用触媒は、高伝熱性基板に触媒金属微粒子が担持されてなるものである。この触媒金属としては、Pt、Pt−Ir、Pt−Re、Pt−W等の貴金属系あるいはニッケル系の金属微粒子や、これら金属微粒子及び活性炭繊維の混合物が挙げられ、また、触媒として該触媒金属微粒子を用いた炭素担持Pt触媒、炭素担持Pt−Ir複合金属触媒、炭素担持Pt−Re複合金属触媒、または炭素担持Pt−W複合金属触媒などを使用することができる。また、多孔性炭素担体に上記金属微粒子が担持されたものも使用できる。また、遷移金属酸化物触媒は、高伝熱性基板に遷移金属酸化物が担持されてなるものである。
また、反応タンク10の側部には排出管26の一端が接続されており、ナフタレンの水素化反応時には水素化生成されたデカリンを、デカリンの脱水素反応時には脱水素生成された水素リッチガスを挿通して分離タンク40に排出するようになっている。
分離貯留タンク30は、壁面の法線方向が略水平となるように配置され、その法線方向に移動可能なナフタレン非透過性の隔壁31を備えて構成され、この隔壁31によりタンク内部が二つの室に区画されている。区画された一方(図面の隔壁31の左室)には、デカリン32を貯留するデカリン貯留部(第1貯留部)が、他方(図面の隔壁31の右室)にはナフタレン混合物33を貯留するナフタレン貯留部(第2貯留部)が設けられている。
デカリン貯留部の壁面には、水素生成(脱水素反応)に用いるデカリン(De1)を反応タンク10に供給するバルブV1及びポンプP1を備えた燃料供給管22の一端と、触媒加熱(燃焼)用のデカリン(De2)を燃焼室13に供給するポンプP4を備えた供給配管34の一端と、反応タンク10で生成された水素リッチガス中のナフタレン混合物を溶解させるためのデカリン(De3)を分離タンク40に供給するポンプP3を備えた供給配管24の一端とが接続されている。
燃料供給管22の他端は、供給配管21を介して噴射装置11と接続されており、また、供給配管34の他端は供給装置14と接続されており、脱水素反応に必要なデカリン、及び燃焼反応用のデカリンを反応タンク10に供給できるようになっている。このデカリン貯留部には更に、逆止弁を備えた戻し配管37の一端が接続され、水素化されたデカリンの貯留が可能であると共に、デカリン充填用のバルブV3を備えた供給管35が設けられている。
また、ナフタレン貯留部の壁面には、水素化反応に用いるナフタレン混合物を反応タンク10に供給するためのバルブV2及びポンプP2を備えた供給配管23の一端が接続されており、この供給配管23の他端は供給配管21を介して噴射装置11と接続され、水素化反応時に必要なナフタレンを供給できるようになっている。また更に、逆止弁を備えた戻し配管38の一端が接続されており、脱水素反応時に生成された水素リッチガスから水素ガス分離した後のナフタレン混合物を挿通して貯留可能なようになっている。このナフタレン貯留部には、更にナフタレン混合物排出用のバルブV4を備えた排出管36が設けられている。
隔壁31は、デカリン貯留部とナフタレン貯留部との容積を相互に変化させ得るように、その壁面の法線方向と略平行方向(図面の左右方向)に移動可能に構成されている。ナフタレン混合物がなくデカリンが満タンであるときには、隔壁31は移動可能な最右部に位置して最大量のデカリンがデカリン貯留部に貯留され、水素ガスの生成、すなわちナフタレン混合物の生成量の増大にしたがって隔壁31は徐々に左方に自動的に移動し、デカリン貯留部の容積が縮小されナフタレン貯留部の容積が拡大する。これにより、単一タンクを有効に利用でき、装置の更なるコンパクト化や、狭い設置スペースへの設置性、装置の軽量化を達成することができる。
隔壁31は、ナフタレン貯留部からデカリン貯留部へのナフタレンの移動を抑え、かつデカリン及びナフタレンに対し安定なものであれば、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、物質非透過性のもの、ナフタレン透過性の低いもの、ナフタレンを除いては透過性のもの等を用いることができる。また、変形し難い板状のものでも伸縮可能な軟性、弾性を有するものでもよい。一つの複室貯留タンク内に複数の隔壁を設けることもできる。
具体的な例として、仕切り板やナフタレン濃度の低い側から圧がかかったときに開弁し、ナフタレンを高濃度に含む側から圧がかかったときに閉弁される多数の逆止弁が格子状もしくはランダムに配列された逆止弁膜などが挙げられる。
上記において、燃料供給管22、供給配管34、及び供給配管24に供給される量の割合(%;De1量/De2量/De3量)は、例えば80/10/10とすればよい。
分離タンク40は、排出管26の他端と接続されており、反応タンク10から排出され排出管26を介して導入された気相デカリン又は水素リッチガスを外部から空冷、水冷等して冷却可能に構成されると共に、タンク壁面には分離貯留タンク30の左室(デカリン貯留部)と繋がる供給配管24の他端と接続された供給装置41が取付けられており、反応タンク10で水素化反応させた時には導入された気相デカリンを液相状態に冷却し、脱水素反応させた時には導入された水素リッチガスを冷却して水素ガスを分離すると共に、水素ガス分離後のナフタレン混合物に供給装置41からデカリンを供給して希釈、溶解するように構成されている。
さらに、分離タンク40には燃料電池50と繋がる水素供給管43の一端が接続されており、水素リッチガスから分離された水素ガスは水素供給管43を挿通して燃料電池50に供給されるようになっている。
また、分離タンク40の供給装置41のデカリン供給方向(タンク底部に向かう方向)には、液相状態に冷却されたデカリン又はナフタレン混合物を排出する排出管42の一端が接続されており、排出管42の他端は切替バルブV5を介して戻し配管37及び38の各他端と接続されている。戻し配管37、38の一端は、それぞれ分離貯留タンクの左室(デカリン貯留部)、右室(ナフタレン貯留部)と接続されており、水素化反応時は分離タンク40はデカリン貯留部と連通し、脱水素反応時には切替バルブV5を切替えて分離タンク40がナフタレン貯留部と連通するようになっている。
また更に、供給装置41及び供給配管24の一部には、燃料電池(FC)50からの電力供給を受けて加熱するヒータ44が近設されており、導入されたナフタレン混合物が固まったり排出性が悪くなる等の場合に、必要に応じて分離タンク内に供給されるデカリンの温度を昇温できるようになっている。
上記のポンプP1〜P4、バルブV1〜V4及び切替バルブV5、噴射装置11、水素ガス供給装置20、供給装置41、ヒータ44、並びに不図示の温度センサ等は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100によって動作タイミングが制御されるようになっている。なお、温度センサは触媒表面の温度を測定できるように設けられている。制御部100は、反応タンクでの水素化反応及び脱水素反応を切替えると共に反応が効率よく行なわれるように制御するほか、燃料電池50に接続される負荷の大きさに応じて水素要求量等を調節することにより出力制御する燃料電池の通常の発電運転制御を担うものである。
本実施形態では、車両を停止してイグニッションスイッチがオフされると、燃料電池の通常の発電運転制御を停止した後に自動的に、あるいはスタートスイッチを装備するときはスイッチオンとされたときに、反応タンク10において水素化反応を開始する。図2は、反応タンク10における水素化反応制御ルーチンを示すものである。
本ルーチンが実行されると、ステップ100において分離貯留タンクのナフタレン貯留部のナフタレン貯留量(Nf量)が所定量P以上であるか否か、すなわち水素化反応を開始するか否かが判断される。ナフタレン貯留量が所定値以上であるか否かの判断は、隔壁31の位置、あるいは分離貯留タンクに別途設けたセンサ等により検知して判断することが可能である。
ステップ100において、ナフタレン貯留量(Nf量)が所定量P以上であると判断された場合は、停止中に原燃料であるデカリン量を確保する必要があるため、例えば車両内のランプ等で警告するようにし、水素ガスの供給準備が整ったこと(例えば水素スタンドへの配管25の接続等)を条件に、次のステップ120においてバルブV2を開け(バルブV1は発電運転停止時に閉状態となっている)、ポンプP2の駆動によりナフタレン混合物を供給すると共に、ステップ140で外部の水素スタンドから水素ガスを高圧で圧出供給し、水素化反応を開始する。
水素化反応が開始されたときには、分離貯留タンク30の右室に貯留されたナフタレン混合物33が供給配管23を挿通して反応タンク10に供給されると共に、外部の水素スタンドと配管25を介して連通する水素ガス供給装置20から高圧水素ガスを触媒上に、図3−(a)に示すように触媒上の少なくとも一部、特に触媒金属55を含む領域を覆って存在する液膜(液相状態のナフタレンや水素化して生成されたデカリン等)56を、図3−(b)のように水素ガスでパージし飛散するように、パルス状に圧出して供給される。
このとき、水素化反応が迅速に進行するように、反応タンク10の触媒表面は、触媒反応器に供給配管34から供給されたデカリンの燃焼(酸化)熱により100℃以上200℃未満の温度域に熱制御される。触媒表面の温度域を200℃未満にすると水素化反応が優先的に進行し、200℃以上では後述する脱水素反応が優先的に進行するからである。
反応タンク10で水素化生成された気相状態のデカリンは、排出管26を通じて分離タンク40に導入されて冷却され、液相状態に凝縮された後、排出管42及び戻し配管37を挿通して分離貯留タンク30の左室(デカリン貯留部)に貯留される。水素化反応が繰り返されるに伴なって自動的に隔壁31はデカリン貯留部の容積が拡大する方向に移動し、右室(ナフタレン貯留部)のナフタレン混合物は消費されて減少し、左室には水素生成用の原燃料となるデカリンの貯留量が増加する。
次にステップ160において、水素化反応を停止するか否かが判断され、停止すると判断された場合は、そのまま本ルーチンを終了し、停止しないと判断された場合は上記のように水素化反応を継続し、その後再び水素化反応を停止するか否かが判断され、停止すると判断されたときに終了する。ここで、停止するか否かの判断は隔壁31の位置、あるいは分離貯留タンクに別途設けたセンサ等により検知して判断することが可能である。
なお、ステップ100において、ナフタレン貯留量(Nf量)が所定量P未満であると判断された場合は、デカリン貯留タンク貯留量は満タンに近いため、水素化反応を開始せずにそのまま本ルーチンを終了する。
一方、車両停止後にイグニッションスイッチをオンし、燃料電池の通常発電運転を開始した場合には、バルブV2を閉じてバルブV1を開け、ポンプP1の駆動によりデカリンを供給して反応タンク10において脱水素反応を開始する。
脱水素反応が開始されたときには、分離貯留タンク30の左室に貯留されたデカリン32が供給配管22を挿通して反応タンク10に供給され、水素リッチガス(蒸発した残存デカリンを含んでもよい。)が脱水素生成される。このとき、脱水素反応が迅速に進行するように、反応タンク10の触媒12の表面は、触媒反応器に供給されたデカリンの燃焼(酸化)熱によって所定温度に加熱される。
このとき、触媒20の表面の所定温度としては、200〜500℃、好ましくは200〜350℃、更に好ましくは280℃に制御される。この理由は、所定温度が200℃未満であると、既述のように水素化反応が優先的に進行し、目的とする脱水素反応が良好に、すなわち十分な燃料電池出力が得られるように行なわれず、500℃を越えるとカーボンデポジットが生じるなど実用的でないからである。
脱水素生成された水素リッチガスは、排出管26を通じて分離タンク40に導入されて冷却され、液相状態に凝縮されると共に、液相は供給装置41から噴出された加熱デカリンと接触して溶解され、水素ガスと分離される。分離された高純度の水素ガスは、水素供給管43を挿通して燃料電池(FC)50に供給される。冷却されて水素ガス分離後に残った液相、すなわちナフタレン混合物は、デカリンと混合された状態で排出管42及び戻し配管38を通じて分離貯留タンク30の右室(ナフタレン貯留部)に貯留される。隔壁31は、脱水素反応させて継続的に水素生成するに伴なって自動的にデカリン貯留部の容積が縮小する方向に移動し、左室(デカリン貯留部)のデカリンは消費されて減少し、右室には脱水素生成されたナフタレン混合物の貯留量が増加する。
以上のように、燃料電池の通常の発電運転後の場合には触媒上に原燃料であるデカリンや脱水素生成されたナフタレンが液相状態で残っていたり、水素化反応温度が比較的低いことから連続的に水素化反応を行なう場合等に水素化生成されたデカリンが一時的に液相状態で触媒上に残存する等の触媒被膜状態を解消し、水素化反応を活発に行なわせて水素化有機物であるデカリンの再生を迅速に行なうことができる。
本実施形態では、デカリン/ナフタレン間の水素の着脱反応サイクルを中心に説明したが、上記した他の不飽和有機物/水素化有機物間における水素の着脱反応サイクルによる場合も同様である。
また、分離タンク40と燃料電池50との間には、燃料電池の水素要求量を超える余剰水素ガスを貯蔵する水素ガス貯蔵タンクを設けることもできる。この水素ガス貯蔵タンクに貯蔵された水素ガスは、燃料電池の発電運転開始時や他の水素使用装置への供給用などとして利用することができる。
(第2実施形態)
本発明の水素化反応装置の第2実施形態を図4〜図5及び図1を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の反応タンクを、被燃焼材を燃焼する中空内部の内壁に酸化触媒を有しかつ外壁に水素化兼脱水素触媒を有する複数の中空体を設けて構成し、分離貯留タンクと連通する排出配管37の一端を切替バルブV5と接続せずに反応タンクの集積部に接続して構成したものである。
なお、不飽和有機物及び原燃料(水素化有機物)は第1実施形態で使用した不飽和有機物及び燃料を用いることができ、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、反応タンク60には、内部中空に構成された平板型の中空体で構成された触媒反応器61が各触媒反応器の平板面が互いに略平行になるように複数並べて配置されている。この触媒反応器の一部を拡大した概略断面を図5に示す。
触媒反応器61の各々は、図5に示すように、中空体62と、中空体62の中空部65の内壁に遷移金属酸化物を担持してなる酸化触媒63と、中空体62の外壁に遷移金属酸化物を担持してなる水素化兼脱水素触媒64とで構成され、発熱と吸熱とを同時に起こさせることが可能なようになっている。遷移金属酸化物及び遷移金属酸化物については既述した通りである。
触媒反応器61は、中空体62の中空部65を燃焼室として有し、この燃焼室には、その一方の側に分離貯留タンクのデカリン貯留部と繋がる供給配管34の他端が接続されており、中空部65内に被燃焼材としてデカリンの供給が可能なように連通されている。また、供給配管34が接続されていな他方の側には、燃焼後に生じた燃焼廃棄物(ガス)を排出する排出管16が接続されている。
反応タンク60は、水素化反応時にはナフタレン混合物を、脱水素反応時にはデカリンを霧状に噴射するための噴射装置11を壁面に備えており、この噴射装置11が備えられた近隣にはさらに水素ガス供給装置20が併設され、水素化反応時にナフタレン混合物を噴射装置11から供給するときに更に、高圧水素ガスを圧出して供給できるようになっている。水素化反応時に供給されたナフタレン混合物は、圧出される水素ガスに押されるようにして触媒上をつたって重力方向に降下して移動し、水素化反応は液溜りを生じて反応が滞ることなく迅速に進行する。
反応タンク60の噴射装置11及び水素ガス供給装置20が備えられている側の触媒反応器61を介して反対側(底部)には、触媒反応器から落下した液相状態のデカリンを集積して一時的に貯留する集積部67が設けられており、この集積部67はデカリンを外部から空冷、水冷等して冷却可能に構成されると共に、集積された液相デカリンを排出するための戻し配管37の一端が接続され、分離貯留タンクのデカリン貯留部(左室)に移送して貯留可能なようになっている。
反応タンク60の底部に設けられた集積部67には、貯留された液状物を検出するための液面センサ66が取付けられており、液面センサ66で貯留量を検知し、液面センサ66の信号を受けて水素化反応でのデカリン生成量や生成速度を検知しながら、水素化反応時における水素ガス供給装置20及び噴射装置11による供給を適宜制御可能なようになっている。
また、反応タンク上部側の壁面には、分離タンク40と連通する排出管26の一端が接続されており、デカリンを脱水素反応させた時に脱水素生成された水素リッチガスを分離タンク40に排出できるようになっている。
上記のように本実施形態では、水素化生成されたデカリンは反応タンク内を降下した後に直接分離貯留タンク30へ送られ、脱水素反応時は分離タンクを経由して分離されたナフタレン混合物を分離貯留タンク30へ移送する。
上記の液面センサ66、並びにポンプP1〜P4、バルブV1〜V4、噴射装置11、水素ガス供給装置20、供給装置41、ヒータ44及び不図示の温度センサ等は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100によって動作タイミングが制御されるようになっている。制御部100は、第1実施形態と同様に、反応タンクでの水素化反応及び脱水素反応を切替えると共に反応が効率よく行なわれるように制御するほか、燃料電池50に接続される負荷の大きさに応じて水素要求量等を調節することにより出力制御する燃料電池の通常の発電運転制御を担うものである。
本実施形態では、燃料電池を通常発電運転させた後、車両を停止してイグニッションスイッチがオフされると、燃料電池の通常の発電運転制御を停止した後に自動的に、あるいはスタートスイッチを装備するときはスイッチオンとされたときに、通常発電運転時に制御部100に蓄積されたデカリン使用量のデータ(あるいは分離貯留タンク内のナフタレン混合物の増加量)に基づいて、反応タンク10で水素化反応を開始する。図6は、反応タンク10における水素化反応制御ルーチンを示すものである。
図6に示す水素化反応制御ルーチンが実行されると、停止中に原燃料であるデカリン量を確保するために、ステップ200において水素化反応を開始するか否かが判断され、水素化反応を開始すると判断した場合は、水素化する準備が整っているため、ステップ220に移行し、水素化反応を開始しないと判断した場合はそのまま本ルーチンを終了する。
次のステップ220では、バルブV2を開け(バルブV1は発電運転停止時に閉状態となっている)、ポンプP2の駆動によりナフタレン混合物を供給すると共に、ステップ240で外部の水素スタンドから水素ガスを高圧で圧出供給し、水素化反応を開始する。水素化反応が開始されると、分離貯留タンク30の右室に貯留されたナフタレン混合物33が供給配管23を挿通して反応タンク60に供給されると共に、外部の水素スタンドと配管25を介して連通する水素ガス供給装置20から高圧水素ガスがパルス状に圧出供給される。ナフタレン混合物は液相状態で供給されると、圧出された水素ガスに押されるようにして触媒表面をつたって重力方向に降下し、降下しながら水素化反応される。ここでの触媒の表面温度は既述の通りである。
このとき生成されたデカリンは、触媒の表面温度がデカリンの沸点より低いため、液相状態で触媒表面をつたって重力方向に降下し、反応タンク60の集積部67に落下して一時的に貯留された後、液面センサ66が検知するタイミングで排出配管37を挿通して分離貯留タンク30へ送られ、デカリン貯留部(左室)に貯留される。
次のステップ260において、液面センサで検出した検出量に基づき、水素化反応で生成(再生)されたデカリン量(Dc量)が、停止前の通常発電運転で使用したデカリン使用量(使用Dc量)、つまりデカリンから脱水素生成されたナフタレン混合物の量(Nf増加量)以上であるか否かが判断され、生成されたDc量が使用Dc量(又はNf増加量)以上であると判断された場合には、原燃料であるデカリン貯留量は確保されており、そのまま本ルーチンを終了する。
また、ステップ260で水素化生成されたDc量が使用Dc量(又はNf増加量)未満であると判断された場合には、ステップ280に移行する。ステップ280において、例えばイグニッションスイッチがオンされる等、水素化反応の停止要求があるか否かが判断され、停止要求がないと判断されたときには水素化反応を継続し、停止要求があると判断されたときには本ルーチンを終了する。
一方、車両停止後にイグニッションスイッチをオンし、燃料電池の通常発電運転を開始した場合には、バルブV2を閉じてバルブV1を開け、ポンプP1の駆動によりデカリンが反応タンク60に供給され、脱水素反応を開始する。脱水素反応が開始されると、分離貯留タンク30の左室に貯留されたデカリン32が供給配管22を挿通し供給配管21を介して反応タンク60に供給され、水素リッチガス(蒸発した残存デカリンを含んでもよい。)が脱水素生成される。ここで、触媒は既述の所定温度まで加熱される。
脱水素生成された水素リッチガスは、第1実施形態と同様にして、排出管26を通じて分離タンク40に導入されて冷却され、液相状態に凝縮されると共に、供給装置41から噴出された加熱デカリンと接触して溶解され、水素ガスと分離される。分離された高純度の水素ガスは、水素供給管43を挿通して燃料電池(FC)50に供給される。冷却されて水素ガス分離後に残った液相、すなわちナフタレンを主に含むナフタレン混合物は、デカリンと混合された状態で分離貯留タンク30の右室(ナフタレン貯留部)に貯留される。隔壁31は、脱水素反応させて継続的に水素生成するに伴なって自動的に、デカリン貯留部の容積が縮小する方向に移動する。
(第3実施形態)
本発明の水素化反応装置の第3実施形態を図7〜図9及び図1を参照して説明する。本実施形態は、第2実施形態の水素ガス供給装置20及び噴射装置11を気液混合噴射装置に代え、液相状態のナフタレンと水素ガスとを混合状態にして触媒上に供給するようにしたものである。なお、不飽和有機物及び原燃料(水素化有機物)は第2実施形態で使用した不飽和有機物及び原燃料を用いることができ、第2実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
反応タンク60には、図7に示すように、水素ガスと液体状のナフタレン混合物とを混合して供給する気液混合噴射装置70が設けられており、水素化反応時には高圧水素ガス及び液体状のナフタレン混合物を混合して供給し、脱水素反応時には液体状のデカリンを霧状に噴射することができるようになっている。
気液混合噴射装置70は、図8に示すように、水素化反応時に高圧水素ガスを圧出して供給するノズル部を有する内筒71と、内筒71の周縁を覆って内筒との間に水素化反応時はナフタレン混合物を、脱水素反応時はデカリンを収容すると共に、ノズル部先端との間にナフタレン混合物又はデカリンを放出する間隙73を形成する外筒72とを備えて構成されており、水素化反応時には高圧水素ガスを圧出させながらこのガスにナフタレン混合物を接触させ、いわゆる霧吹きの原理でナフタレン混合物を微液滴状に放出し、水素ガスと微液滴のナフタレン混合物とを混合して供給でき、脱水素反応時にはナフタレン混合物に代えてデカリンを霧状に噴射することができるようになっている。
内筒71は、外部の水素スタンドと繋がる配管25の一端と接続されており、水素スタンドからの高圧水素ガスを反応タンク内の触媒上に、該触媒上の少なくとも一部に液膜(液体状のナフタレンや水素化して生成されたデカリン等)が重力方向に向かって飛散されるようにパルス状に圧出供給する。
外筒72は、内筒71の外壁との間に収容部を形成し、この収容部には分離貯留タンクと連通する燃料供給管22及び供給配管23と繋がる供給配管21が接続されており、内筒71のノズル先端部に近設した間隙73から液体状のナフタレン混合物、あるいはデカリンを射出する。
上記の構成にすることで、図9に示すようにこれまで複数の噴射装置を用いて液体とガスとが別個に供給される構成に比べ、ナフタレン混合物を微液滴状にし水素ガスと均一に混ざり合った状態で触媒と接触させることができるので、反応性を飛躍的に向上させることができる。しかも、水素ガスを触媒上をパージ、すなわち液膜を取除くように圧出し、そのパージ効果により触媒表面が表出され、触媒との接触効率が高まる結果、反応性が滞ることがなく、水素化反応を迅速に進行させることが可能である。
なお、上記の実施形態において、分離タンク内で分離された水素ガスを加圧または高圧状態にしたり、燃料電池(FC)50方向への圧力を低圧(例えば負圧)にすることによって水素排出効率を向上させることもできる。
上記実施形態では、水素化反応及び脱水素反応させる触媒の加熱を、デカリンを燃焼させたときの燃焼熱を利用して行なう態様を例示したが、これは例えばヒータ等により触媒を加熱する態様と対比して装置全体の総合的なエネルギー効率の点で有利である。
また、上記の各実施形態においては、水素化する不飽和有機物としてナフタレンを用い、水素生成用である水素化有機物をデカリン(ナフタレンの水素化物)とした例を中心に説明したが、既述のナフタレン/デカリン以外の不飽和有機物/水素化有機物を用いた場合においても同様である。また、水素使用装置として特に車載の燃料電池を例に説明したが、本発明は燃料電池以外の水素エンジンや他の水素使用装置に適用することもできる。
本発明の第1実施形態に係る水素化反応装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態での水素化反応時における水素化反応制御ルーチンを簡略して示す流れ図である。 (a)は触媒金属が液膜で被覆された状態を説明するための図であり、(b)は触媒上の液膜を水素ガスでパージして取除いているところを説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る反応タンクを示す概略断面図である。 第2実施形態に係る反応タンクを構成する触媒反応器の構成を拡大して示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態での水素化反応時における水素化反応制御ルーチンを簡略して示す流れ図である。 本発明の第3実施形態に係る反応タンクを示す概略断面図である。 第3実施形態に係る反応タンクの気液混合噴射装置を示す概略断面図である。 液体状のナフタレン混合物と水素ガスとを別々の噴射装置から噴出する従来の態様を説明するための概念図である。
符号の説明
10,60…反応タンク
12…触媒
13,65…燃焼室(加熱器)
20…水素ガス供給装置
30…分離貯留タンク
62…中空体
63…酸化触媒
64…水素化兼脱水素触媒
70…気液混合噴射装置
71…内筒
72…外筒
73…デカリンを放出する間隙

Claims (6)

  1. 触媒及び該触媒を加熱する加熱器を備え、供給された水素ガス及び不飽和有機物を加熱された前記触媒上で水素化反応させて水素化有機物を生成する反応手段と、
    前記触媒上の少なくとも前記水素化有機物が飛散するように水素ガスを該触媒上に供給する供給手段と、
    を含む水素化反応装置。
  2. 前記供給手段は、水素ガスと液体状の前記不飽和有機物とを混合して供給する請求項1に記載の水素化反応装置。
  3. 前記供給手段は、水素ガス及び液体状の不飽和有機物のいずれか一方を噴出するノズル部を有する内筒と、該内筒の周縁を覆って内筒との間に他方を収容すると共に、前記ノズル部先端との間に前記他方を放出する間隙を設ける外筒とを備え、水素ガス及び液体状の不飽和有機物を混合して供給するようにした請求項1又は2に記載の水素化反応装置。
  4. 前記反応手段に水素化有機物が供給されるように構成され、
    前記反応手段は、水素化有機物が供給されたときには該水素化有機物を加熱された前記触媒上で脱水素反応させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素化反応装置。
  5. 前記反応手段は、被燃焼材が供給される中空内部の内壁に酸化触媒を有しかつ外壁に前記触媒を有する単一若しくは複数の中空体を備え、前記酸化触媒で被燃焼材を燃焼させたときの燃焼熱で前記中空体内部から前記触媒を加熱するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素化反応装置。
  6. 前記水素化有機物を貯留する第1貯留部と前記不飽和有機物を貯留する第2貯留部とで構成された貯留手段を更に備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素化反応装置。
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