JP5654371B2 - 水素ガス生成装置及び水素ガス生成方法 - Google Patents
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Description
これは、給排される水素化芳香族化合物やその脱水素生成物の流量、貯留される水素含有ガスの圧力をモニターして最適な脱水素反応が運転状況に依らず選択されるように制御することで好適に行なえる。
本発明の目的達成の観点からは、触媒中(好ましくは各触媒を構成する多孔性高表面積担体)のミクロ細孔を液相の水素化芳香族化合物で充填しつつそこに液膜吸着した水素化芳香族化合物が沸点よりも充分に高い温度で触媒層の背後から加熱され、沸騰・蒸発する一方、液相のままの表面拡散により触媒金属粒子上に到達し水素分子を生成させると同時に、触媒層の厚み方向における温度勾配のもたらす激しい発泡で生成物吸着種の触媒活性サイトからの不可逆的離脱を促し、空いたサイトの表面密度を高く保持する。その結果、水素化芳香族化合物の脱水素反応を沸点で化学平衡の制約を受けず、かつ速やかに進行させる「過熱液膜状態」を定常的に実現させなければならない。
すなわち、「水素生成量×1/3」モル相当の不飽和芳香族化合物(例えばトルエン)を、脱水素生成した混合ガスから分離除去し、この不飽和芳香族化合物と同モル量の水素化芳香族化合物(例えばメチルシクロヘキサン)を第1の脱水素反応器に供給することにより、外部への水素供給量は常に水素要求量(水素需要)に合致する。例えば、熱供給が継続している状況下で水素生成を停止したいときには、水素化芳香族化合物(例えばメチルシクロヘキサン)の供給を止める(流量を0(ゼロ)にする)と共に、不飽和芳香族化合物(例えばトルエン)の排出を止めることで、水素貯留手段に蓄えられる水素含有ガスの量を制御することができる。また、水素生成速度を抑制したいときには、分離器から第2の脱水素反応器に還流する供給液量を増やし、不飽和芳香族化合物(例えばトルエン)の含有率の高い留分を還流させるようにすればよい。
また、同様の理由から、第2の脱水素反応器における高転化複合金属触媒は、Re、Ni、Pd、Ir、Mn及びRuから選ばれる少なくとも一種とPtとを含む複合金属粒子が、炭素材料を含む担体に担持されている場合が好ましい。
炭素材料を含む担体中でも、特にミクロ細孔(1〜3nm径)に富む多孔性高表面積活性炭繊維でつくられた繊布もしくはフェルトであることが好ましい。
本発明の水素ガス生成装置の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。本実施形態の水素ガス生成装置は、高活性複合金属触媒として炭素繊維担持Pt−W修飾Ni-Ruバイメタリック触媒(以下、「炭素繊維担持Pt−W系触媒」と称する。)を、高転化複合金属触媒として炭素繊維担持Pt−Re修飾Ni-Ruバイメタリック触媒(以下、「炭素繊維担持Pt−Re系触媒」と称する。)をそれぞれ用いた2基の脱水素反応器を搭載し、各触媒の加熱を図示しない固体酸化物型燃料電池(以下、「SOFC」と略記する。)の廃熱を利用して行なうように構成したものである。
高活性反応器10及び高転化反応器20中の触媒は、化学反応機能の呼称としての触媒に加えて、空間的広がりを持つ物質体としての触媒を念頭に特に「触媒層」ということがある。
図7に示されるように、過熱液膜状態にある炭素担持Pt触媒が210℃加熱でデカリンをナフタレンと水素にする反応の初速度は27.8mmol/hであり、その初速度は、Ir、W、又はReをPtに複合させることによって2.0倍ないし3.4倍にまで向上し、それに伴なって水素生成量を飛躍的向上させることができる。これは、デカリン以外のメチルシクロヘキサン等を用いた場合も同様である。
尚、水素生成速度の向上は空時収率の増大をもたらすが、この空時収率の増大は、必要とする触媒量の軽減が図れ、装置をよりコンパクトにする効果、あるいは、処理すべき水素化芳香族化合物の供給流量(LHSV)の増大が図れ、装置をより高性能のものにする効果、が期待される。
尚、反応基質の供給流量(時間当たりの液相空間速度、Liquid Hourly Space Velocity;LHSV)は、触媒の単位容積(m3)に対する時間当たりの液相基質供給容積(m3)を表し、触媒の空時収率が高まるほど大きくなる。
空時収率は大きいほど、装置のコンパクト性もしくは基質処理の性能面から好ましいが、装置の利用目的、コスト、供給される排熱の温度と熱流量などに基づいて設定される。供給基質の液相時間当たり空間速度は、同じ装置なら大きいほど好ましいが、一般には、目的とする水素生成の量的規模と時間特性に基づいて設定される。
ここで、触媒の空時収率は、流通法反応器において生成する水素の、触媒容積(m3)当りの標準状態換算流量(Nm3/h)として求められる。
例えば多孔性高表面積活性炭顆粒担体を用い共含浸により調製したNi−Ru複合触媒では、メチルシクロヘキサン、デカリン、ジシクロヘキシルのような飽和炭化水素に対する脱水素活性をみる限りPt触媒に劣る傾向がみられるが、テトラリンやシクロヘキシルベンゼンのような一部に芳香環を残す程度の水素化芳香族化合物に対してはその差は小さく、芳香環配位吸着種のイプソ位炭素ベータ位のC−H結合開裂であれば充分に高い活性を持つことが分かっている。そこで、飽和炭化水素C−H結合のα位開裂を受け持つPt金属種でNi−Ru複合触媒を修飾するため、上記のNi−Ru複合触媒に対して更にジメチルシクロオクタジエニル白金(II)錯体で複合処理を行なったところ、図8に示すように、得られたPt/Ni−Ru触媒のメチルシクロヘキサン脱水素活性は、Pt成分単独あるいはNi−Ru複合成分単独に比べ、はるかに大きな値を与えた。即ち、
水素化芳香族化合物の脱水素反応には、多孔性高表面積炭素単体にPtと他の金属との複合金属を担持した触媒が好ましい。
具体的には、高活性な脱水素反応が期待できる点で、PtとW、Ni、Pd、Ir、Mn及びRuから選ばれる少なくとも1種との2種類の金属が複合化されたバイメタリック触媒が好ましい。
担体の細孔径としては、1.5nm以上3nm以下の範囲であることが好ましく、またBET比表面積については1000m2/g以上であることが好ましい。なお、BET法は、固体粒子の表面に液体窒素温度で分圧を変えつつ窒素ガスを吸着させ、その吸着量から比表面積を求める方法であり、具体的にはJIS K 8830に準拠した方法で測定される。
担体の好ましい例としては、多孔性高表面積活性炭担体(例えば、関西熱化学(株)製のMaxsorb(商品名)、KOH賦活、BET比表面積:3100m2/g、細孔径:2.0nm、顆粒径:7μm、嵩密度:3.3ml/g)、多孔性高表面積活性炭繊維織布(クラレケミカル(株)製、ACC、PAN延伸炭化、BET比表面積:1834m2/g、細孔径:1.5nm(スリット状)、嵩密度:3.3ml/g)等を挙げることができる。このような多孔性高表面積活性炭担体、多孔性高表面積活性炭繊維織布は、本発明における過熱液膜状態を形成してこれを保持し、脱水素反応が良好に行なえる点で特に好ましい。
また、上記の燃料電池や加熱器のほか、エンジン排熱回収利用が可能な移動体(例えば、乗用車、貨物自動車、軽自動車、ディーゼル機関車、船舶等)の排熱を適用してもよい。この場合、ガソリン、軽油、重油等のエネルギー利用効率を向上させることができる。また、火力発電(自家発電用エンジン、業務用ガスタービン、石炭火力スラグ溶融助燃用添加供給水素等による発電)の排熱を適用してもよく、この場合には天然ガス、灯油、重油、燃料炭等のエネルギー利用効率を向上させることができる。
また、酸化物還元(製鉄用酸化鉄予備還元、CCS分離CO2の還元再資源化等)あるいは電気化学的利用(追焚つきPEFC、SOFC)に適用してもよい。この場合、化学物質としての水素の利用可能性を拡げることができる。
この点に関して、複合触媒の例として炭素担持Pt−Reを用いて反応温度を変化させたときの水素生成量及び転化率を図9に示す。ここでは、脱水素用の燃料としてデカリンを用いた場合を例に示す。
図9に示されるように、回分法反応器を用い、280℃加熱で炭素担持Pt−Re複合触媒によるデカリン脱水素反応を行なうと、2時間後には全て(100%)のデカリンがナフタレンと水素に転化することが確かめられた。本実施形態の高転化反応器20のような流通法反応器では、100%の単流転化率を達成することは極めて難しいが、炭素担持Pt−Re触媒が、繰り返し還流されながら組成変化していく液相混合物に接することで、ナフタレン中に極めて少量のデカリンが溶存する状態になっても脱水素能を示すことがわかる。つまり、本実施形態の高転化反応器20に備えられた触媒は、高活性反応器10で脱水素反応に寄与せずに残った燃料の脱水素反応に寄与するものであり、該触媒が果たすべき役割により装置全体での転化率が効果的に高められる。これは、デカリン以外のメチルシクロヘキサン等を用いた場合も同様である。
担体の好ましい例としては、多孔性高表面積活性炭担体(例えば、関西熱化学(株)製のMaxsorb)、多孔性高表面積活性炭繊維織布(クラレケミカル(株)製、ACC、PAN延伸炭化)等を挙げることができる。このような多孔性高表面積活性炭担体、多孔性高表面積活性炭繊維織布は、過熱液膜状態を形成して保持できる点で特に好ましい。
過熱液膜状態とは、触媒が供給されるメチルシクロヘキサン等の沸点を越える温度で加熱された過熱状態にあり、該触媒が液相のメチルシクロヘキサン等が供給されることによって表面が僅かに湿潤して沸騰する液膜を有する状態をいう。具体的には、高活性複合金属触媒又は高転化複合金属触媒の質量に対する、水素化芳香族化合物を含む液相量の比率(液相量/触媒量[質量比])が1〜4である状態であることが好ましい。このように、メチルシクロヘキサンの沸点を越える温度で加熱された過熱状態で液膜状態が形成されていることで、触媒に大きな温度勾配(温度差)が形成され、その結果、炭素担体表面に生じた気泡には、未反応基質のみならず触媒粒子表面から水素と芳香族化合物の脱離が気相成分として加わり、気泡は成長し、離脱し、同時に空いた触媒活性サイトが脱水素反応に使われることとなる一方、気相に出た水素が再び沸騰している液相に戻って水素化逆反応に寄与することはないので、外部熱源温度と流入熱量に対して最も適切な基質供給速度が選択されたとき、水素ガス生成量は最大になる。
本実施形態では、高活性複合金属触媒の質量に対する液相量の比率(液相量/触媒量[質量比])は1.2となっており、また高転化複合金属触媒の質量に対する液相量の比率(液相量/触媒量[質量比])は1.2となっている。
また、水素生成性を向上させる観点からは、触媒層温度が高いほど有利となるが、反応速度の増大と同時に蒸発速度の増大があるうえ、核沸騰から膜沸騰への移行、突沸の可能性も生じることから、1気圧下では、触媒温度が300℃未満(好ましくは下限が250℃)であって水素化芳香族化合物の沸点より150℃〜200℃高い温度である場合がより好ましい。この点、本実施形態では、触媒層温度は280℃になっている。なお、メチルシクロヘキサンの沸点は101℃である。
このように、過熱液膜状態の観点から、上記した担体及び触媒金属の選択に加え、触媒への燃料供給量及び触媒温度が重要である。
多孔性高表面積活性炭繊維織布(クラレケミカル(株)製、ACC、PAN延伸炭化、BET比表面積1834m2/g、細孔径1.5nm(スリット状)、嵩密度3.3ml/g)にK2PtCl4含浸・NaBH4還元法で調製した白金粒子担持(5wt%)触媒シート3.8g(10cm×20cm角形)を流通法底部に敷き、メチルシクロヘキサンを0.3〜3.5ml/minで液相供給、気相成分を外部凝縮して組成分析したところ、触媒相温度250℃〜300℃の領域であれば、平衡値と大差なく40%を超える単流反応転化率が求められる。
また、図3に示すように、触媒層に定常的に供給される基質量が多すぎると、触媒温度を充分に高められない領域が生じ、蒸発だけで出てしまう基質が増し、単流転化率及び水素生成速度はともに低下する一方、基質量が少なすぎると、触媒との接触機会が増すために単流転化率は向上するものの、水素生成量は低くなる。上記と同じ触媒及び反応器を使って外部熱源温度(触媒層温度)を285℃(255℃)と330℃(300℃)としたときの単流反応転化率及び水素生成速度のメチルシクロヘキサン(基質)供給速度依存性を調べると、図3(A)のように基質供給流量を抑えれば80%を超える転化率が得られるものの、図3(B)に示される通り、水素生成速度は空時収率表現で80Nm3-H2/m3-cat・h未満に止まり、基質供給速度が30〜40mmol/minのとき、空時収率はその値を大きく上回ることがわかる。しかしながら、転化率は小さいので、本実施形態のように、高活性反応器で未反応のまま蒸発した基質を生成トルエンとの液相混合物として後述するような高転化反応器に還流し、そこで再び水素生成反応を進行させ、その後に分離器で純トルエンを抜き出すことによって、単通転化率100%を達成するシステムが構成されることになる。
以上から、高活性複合金属触媒及び高転化複合金属触媒層の温度は、255℃〜450℃の範囲が適しており、中でも255℃〜300℃の範囲が好ましく、更には270℃〜300℃の範囲が好ましい。
また、上記の燃料電池や加熱器のほか、エンジン排熱回収利用が可能な移動体(例えば、乗用車、貨物自動車、軽自動車、ディーゼル機関車、船舶等)の排熱を適用してもよい。この場合、ガソリン、軽油、重油等のエネルギー利用効率を向上させることができる。また、火力発電(自家発電用エンジン、業務用ガスタービン、石炭火力スラグ溶融助燃用添加供給水素等による発電)の排熱を適用してもよく、この場合には天然ガス、灯油、重油、燃料炭等のエネルギー利用効率を向上させることができる。
また、酸化物還元(製鉄用酸化鉄予備還元、CCS分離CO2の還元再資源化等)あるいは電気化学的利用(追焚つきPEFC、SOFC)に適用してもよい。この場合、化学物質としての水素の利用可能性を拡げることができる。
以下、本実施形態の制御装置50による制御ルーチンについて、図4〜6を参照し、水素ガスの脱水素生成・供給及び貯留を、外部からの水素要求量に応じて、高活性処理及び高転化処理の双方を行なう処理ルーチンと高転化処理を主に行なう処理ルーチンとに切り替えて行なう制御ルーチンを中心に説明する。図4は、外部からの水素要求に応じて水素生成・供給等を行なうメインルーチンを示すものであり、図5は外部からの水素要求量が所定値を超える場合に行なう高活性・高転化処理ルーチンを示し、図6は外部からの水素要求量が所定値以下である場合に行なう高転化処理ルーチンを示す。
ステップ106において、加熱器15、25のいずれかの温度が所定の温度領域に未だ到達していないと判定されたときには、温度未達の触媒の温度が所定の温度領域まで到達するまで繰り返し判定される。
ステップ120で高活性・高転化処理ルーチンが実行されると、ステップ122において、バルブV1〜V4の全てが開状態とされ、メチルシクロヘキサンの高活性反応器10への供給量を増大しながら、水素排出配管41を通じて水素ガスを外部に供給する。このとき、脱水素反応で生成された水素含有ガスはガス供給配管31を通じて分離器40に送られ、分離器40で水素含有ガスから分離された水素ガスは外部の水素使用装置(ここではSOFC)に供給される。水素ガスは、メチルシクロヘキサン(水素化芳香族化合物)の3倍量が排出(外部供給)され、この水素ガスの排出と共にトルエン排出管43を介してトルエンも排出される。
一方、ステップ134において、水素要求が停止されたときには、ステップ135において、水素貯留タンク30の圧力センサP1の検出値pが所定値P以上を維持しているか否かが判定され、検出値p≧Pが維持されていない状態にあると判定されたときには、水素貯留量が少なく水素要求された際に水素量が不足するおそれがあるため、ステップ137でバルブV3及びV4を閉じ、バルブV1及びV2を開いた状態にして脱水素反応を継続し、検出値pが所定値Pに達するまで繰り返す。逆に、ステップ135で検出値p≧Pが維持されていると判定されたときには、充分な水素貯留量が確保された状態にあるので、ステップ136において、バルブV1〜V4の全てを閉状態とし、その後、本ルーチンを終了する。
本実施形態では、水素貯留タンク30の圧力センサの検出値pに基づいて判定する場合を示したが、圧力(ガス圧)のみで判定するほか、圧力センサと水素濃度センサを水素貯留タンク30に取り付けて、ガス圧と水素濃度を検出してガス圧及び水素濃度の積等を求め、該値が所定の閾値以上であるか否かにより判定するようにしてもよい。
ステップ140で高転化処理ルーチンが実行されると、ステップ142において、バルブV1を閉じ、バルブV3,V4を開いた後、ステップ144において、流量計M1、M2、M3の検出値が取り込まれる。流量計M1、M2、M3により、メチルシクロヘキサンの供給量、水素ガスの排出量、及びトルエン(液相)の排出量が取り込まれると、ステップ146において、流量計M1、M2、M3における開度が調整される。具体的には、水素要求量に見合う量が確保されるようにM2の開度が調整され、高転化処理ルーチンではメチルシクロヘキサン(水素化芳香族化合物)の高活性反応器10への供給及びトルエン(不飽和芳香族化合物)の混合ガスからの分離除去は行なわれないことから、M1及びM3における開度は0に調整される。
一方、ステップ150において、水素要求が停止されたときには、ステップ152において、水素貯留タンク30の圧力センサP1の検出値pが取り込まれ、次のステップ154で水素貯留タンク30の圧力センサP1の検出値pが所定値P以上を維持しているか否かが判定される。ステップ154において、検出値p≧Pが維持されていない状態にあると判定されたときには、水素貯留量が少なく水素要求された際に水素量が不足するおそれがあるため、ステップ158でバルブV3及びV4を閉じ、バルブV1及びV2を開いた状態にして脱水素反応を継続し、検出値pが所定値Pに達するまで繰り返す。逆に、ステップ154で検出値p≧Pが維持されていると判定されたときには、充分な水素貯留量が確保された状態にあるので、ステップ156において、バルブV1〜V4の全てを閉状態とし、その後、本ルーチンを終了する。
本発明の水素ガス生成装置の第2実施形態を図11を参照して説明する。本実施形態は、高活性反応器及び高転化反応器の双方に、気相のメチルシクロヘキサンを液化させる冷却用部材として冷却用板を触媒上方に配置し、各反応室ごとに気相中の未反応のメチルシクロヘキサンを冷却用板で液化して各触媒に戻し、再び脱水素反応させるようにしたものである。
また、高活性反応器及び高転化反応器は、それぞれ1基ずつ配設した場合を説明したが、各々について複数基設けられていてもよく、また各反応器ごとに水素貯留タンクが配設された態様であってもよい。
11,21・・・反応室
13・・・高活性複合金属触媒
15,25・・・加熱器
19,29・・・冷却用部材
20・・・高転化反応器
23・・・高転化複合金属触媒
30・・・水素貯留タンク
40・・・分離器
50・・・制御装置
P1・・・圧力センサ
V1〜V4・・・バルブ
M1〜M3・・・流量計
Claims (12)
- 水素化芳香族化合物を250℃〜300℃の温度領域で脱水素反応させたときの水素の空時収率が80Nm3-H2/m3-cat・h以上の高活性複合金属触媒を備え、供給された液相の水素化芳香族化合物を前記高活性複合金属触媒の過熱液膜状態下、脱水素反応させて水素含有ガスを生成する第1の脱水素反応器と、
Re、Ni、Pd、Ir、Mn及びRuから選ばれる少なくとも一種とPtとを含む複合金属粒子が担持された高転化複合金属触媒を備え、供給された水素化芳香族化合物及びその脱水素生成物を含む液相混合物を前記高転化複合金属触媒の過熱液膜状態下、脱水素反応させて水素含有ガスを生成する第2の脱水素反応器と、
前記第1の脱水素反応器及び前記第2の脱水素反応器で生成された水素含有ガスが給排されると共に、供給された水素含有ガスの状態で水素を一時的に貯留する水素貯留手段と、
前記水素貯留手段から供給された前記水素含有ガスから、(1)水素ガスと(2)未反応の前記水素化芳香族化合物及び不飽和芳香族化合物を含む液相混合物と(3)液相の不飽和芳香族化合物とを分離すると共に、分離された前記液相混合物を前記第2の脱水素反応器に供給する分離手段と、
を備えた水素ガス生成装置。 - 前記水素貯留手段は、水素含有ガスが貯留されるガス貯留室のガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方を検出する検出手段を備えると共に、更に、
前記検出手段で検出されたガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方が所定の圧力及び水素濃度の範囲に維持されるように、前記第1の脱水素反応器に供給される前記水素化芳香族化合物の流量、及び前記水素貯留手段から排出される前記水素含有ガスの流量の少なくとも一方を制御する制御手段を備えた請求項1に記載の水素ガス生成装置。 - 前記第1の脱水素反応器に供給される前記水素化芳香族化合物の流量を検出する第1の流量検出手段と、
前記分離手段から排出される前記(1)水素ガスの流量を検出する第2の流量検出手段、及び前記分離手段から排出される前記(3)液相の不飽和芳香族化合物の流量を検出する第3の流量検出手段の少なくとも一方と、
を更に備え、前記制御手段は、検出された前記水素化芳香族化合物の流量、並びに検出された前記(1)水素ガス及び(3)液相の不飽和芳香族化合物の少なくとも一方の流量に基づいて、前記制御を行なう請求項2に記載の水素ガス生成装置。 - 前記第1の脱水素反応器及び前記第2の脱水素反応器は、前記高活性複合金属触媒又は前記高転化複合金属触媒の質量に対する、前記水素化芳香族化合物を含む液相量の比率(液相量/触媒量[質量比])が1〜4である前記過熱液膜状態で脱水素反応させる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水素ガス生成装置。
- 前記高活性複合金属触媒は、炭素材料を含む担体、及び、該担体に担持され、W、Ni、Pd、Ir、Mn、及びRuから選ばれる少なくとも一つとPtとを含む複合金属粒子を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水素ガス生成装置。
- 前記高転化複合金属触媒は、前記複合金属粒子が炭素材料を含む担体に担持されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水素ガス生成装置。
- 前記高活性複合金属触媒及び前記高転化複合金属触媒の少なくとも一方は、活性炭繊維を担体として複合金属粒子が担持されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水素ガス生成装置。
- 水素生成停止要求があった場合に、前記検出手段により検出されたガス貯留室のガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方が、所定の圧力範囲及び水素濃度範囲を満足するか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記ガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方が所定の圧力範囲及び水素濃度範囲を満足しないときには、前記第1の脱水素反応器への液相の水素化芳香族化合物の供給、及び前記水素貯留手段からの水素含有ガスの排出の少なくとも一方を開始する請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載の水素ガス生成装置。 - 水素化芳香族化合物を250℃〜300℃の温度領域で脱水素反応させたときの水素の空時収率が80Nm3-H2/m3-cat・h以上の高活性複合金属触媒に、液相の水素化芳香族化合物を供給し、前記高活性複合金属触媒の過熱液膜状態下、脱水素反応させて水素含有ガスを生成する第1の脱水素工程と、
Re、Ni、Pd、Ir、Mn及びRuから選ばれる少なくとも一種とPtとを含む複合金属粒子が担持された高転化複合金属触媒に、水素化芳香族化合物及びその脱水素生成物を含む液相混合物を供給し、前記高転化複合金属触媒の過熱液膜状態下、脱水素反応させて水素含有ガスを生成する第2の脱水素工程と、
前記第1の脱水素工程及び前記第2の脱水素工程で生成された水素含有ガスが給排されると共に、水素含有ガスが供給されたときには、水素含有ガスの状態で水素を一時的に貯留する水素貯留工程と、
前記水素貯留工程で貯留された前記水素含有ガスから、(1)水素ガスと(2)未反応の前記水素化芳香族化合物及び不飽和芳香族化合物を含む液相混合物と(3)液相の不飽和芳香族化合物とを分離する分離工程と、
を有し、前記第2の脱水素工程は、前記分離工程で分離された前記液相混合物を高転化複合金属触媒で脱水素反応させる水素ガス生成方法。 - 前記水素貯留工程は、水素含有ガスが貯留されるガス貯留室のガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方を検出する検出工程を含むと共に、更に、
前記検出工程で検出されたガス圧或いはガス圧と水素濃度との両方が所定の圧力及び水素濃度の範囲に維持されるように、前記第1の脱水素工程で高活性複合金属触媒に供給される前記水素化芳香族化合物の流量、及び前記水素貯留工程で貯留された前記水素含有ガスを排出する流量の少なくとも一方を制御する制御工程を備えた請求項9に記載の水素ガス生成方法。 - 前記制御工程は、前記第1の脱水素工程で供給される前記水素化芳香族化合物の流量、並びに前記分離工程で排出される前記(1)水素ガス及び(3)液相の不飽和芳香族化合物の少なくとも一方の流量を検出し、検出された値に基づいて前記制御を行なう請求項10に記載の水素ガス生成方法。
- 前記第1の脱水素工程及び前記第2の脱水素工程は、前記高活性複合金属触媒又は前記高転化複合金属触媒の質量に対する、前記水素化芳香族化合物を含む液相量の比率(液相量/触媒量[質量比])が1〜4である前記過熱液膜状態で脱水素反応させる請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の水素ガス生成方法。
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