JP2004223505A - 脱水素触媒及びその製造方法 - Google Patents

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高弘 林
Masahiko Sugiyama
雅彦 杉山
Hiroshi Suzuki
鈴木  寛
Hidekazu Yamanakajima
秀和 山中嶋
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Abstract

【課題】基材から剥離しにくく、水素生成効率の高い脱水素触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基材11cに溶接された脱水素触媒11は、Ni多孔質体11aと、Ni多孔質体11aの孔中に担持された触媒11bと、を備えて構成され、炭化水素系燃料、特にデカリンまたはテトラリンの脱水素反応に好適に用いることができる。また、脱水素触媒11は、水素使用装置に水素ガスを供給する水素ガス生成装置の反応手段に好適に用いることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素系燃料の脱水反応に用いられる脱水素触媒に係り、特に、電気自動車や水素エンジン車等の車両に搭載可能で、且つ車両に搭載された燃料電池や水素エンジンに水素ガスを供給することができる水素ガス生成装置に好適に用いることのできる脱水素触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気自動車は、車両の駆動力を得るための電源としての燃料電池、及びこの燃料電池を用いて発電を行なうための燃料である水素又は水素を生成するための原燃料を搭載している。また、水素エンジンを搭載した水素エンジン車も同様に燃料源として水素、又は水素を生成するための原燃料を搭載している。
【0003】
水素を搭載する電気自動車や水素エンジン車では、水素ガスを圧縮して高圧に若しくは液状にして充填したボンベ、又は水素を吸蔵する水素吸蔵合金や水素吸着材料により水素を搭載している。一方、原燃料を搭載する電気自動車では、原燃料としてのメタノール又はガソリン等の炭化水素と、この原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する水素生成装置とを搭載している。
【0004】
しかしながら、車両に水素を搭載する場合、高圧タンクに圧縮した状態で搭載すると、高圧タンクは大きいわりに壁厚が厚く内容積を大きくできないために水素充填量が少ない。液体水素として搭載する場合は、気化ロスがあるほか、液化に多大なエネルギーを要するため総合的なエネルギー効率の点で望ましくない。また、水素吸蔵合金や水素吸着材料では、電気自動車や水素エンジン車に必要とされる水素貯蔵密度が不充分であり、さらに水素の吸蔵や吸着等を制御するのが非常に困難である。また更に、水素を高圧化、液化したり、吸蔵するのに設備を別途整備する必要もある。
【0005】
一方、原燃料を搭載する電気自動車や水素エンジン車は、水素を搭載する水素エンジン車に比較して、1回の燃料補給で走行可能な距離が長いという利点を有しており、炭化水素系の原燃料は水素ガスに比較して輸送等の取り扱いが容易であるという利点も有している。また、水素は燃焼しても空中の酸素と結合して水となるだけで公害の心配がない。更に、水素を燃焼させた場合、単位量あたりガソリンの数倍の熱を放出するため、その熱量を利用することが可能である。
【0006】
炭化水素系燃料の1つであるデカリン(デカヒドロナフタレン)は、常温では殆ど蒸気圧がゼロ(沸点が200℃近傍)で取り扱いし易いことから、原燃料としての使用の可能性が期待されている。
【0007】
デカリンの脱水素化方法としては、デカリンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、ニッケル、及び白金の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、有機リン化合物のロジウム錯体の存在下、又は有機リン化合物とロジウム化合物との存在下に、デカリンに光照射することによりデカリンから水素を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
さらに、脱水素触媒としてPt,Pd,Ru、Rh,Ir,Ni,Co,Re,V,W及びMoの中から選ばれる少なくとも1種を用いた燃料電池用水素燃料供給システムも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特公平3−9091号公報
【特許文献2】
特公平5−18761号公報
【特許文献3】
特開平2001−110437号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に燃料電池や水素エンジンに供給する水素ガスは、供給する水素ガス中の水素濃度が高いことが要求され、前記従来の脱水素化による水素生成方法を電気自動車の燃料電池や水素エンジン等の水素使用装置に適用しようとすると、反応転化率が低く、脱水素化によって生じた脱水素生成物や未反応の炭化水素系燃料が混在するために、単位時間当たりの水素生成量が少ないことから水素使用装置の効率が悪いという問題があった。
【0011】
また、上述の脱水素触媒の担体には通常活性炭系の担体が用いられているが、このような触媒をバインダーなしで基材に担持固定させるのは非常に困難である。しかし、バインダーを用いて脱水素触媒を基材に固定しても、使用していくにしたがって基材から脱水素触媒が剥離してしまうといった問題があった。この問題は、脱水素触媒を縦に設置した場合に顕著に発生する。係る問題は、自動車の走行時における振動や、基材と活性炭等の担体との熱膨張率の差や、連続してデカリンを噴霧することによって触媒の一次粒子間に空孔や亀裂が生じるなどのコンパクトにできない原因で起こると推測され、このため、使用時間にともなって水素生成装置の水素生成能が低下してしまっていた。さらに、脱水素触媒を基材に固定する際にバインダーを用いると、バインダーの分だけ触媒の担持量が減少し、その分水素生成能が低下してしまうといった問題もある。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑み成されたもので、基材から剥離しにくく、水素生成効率の高い脱水素触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、炭化系水素燃料の脱水素反応に用いられる本発明の第1の脱水素触媒は、遷移金属系多孔質体と、前記遷移金属系多孔質体の孔中に担持された触媒と、を備えて構成される。
【0014】
本発明の第1の脱水素触媒は、遷移金属系多孔質体の孔中に触媒を担持することで、基材に設置した場合に、遷移金属系多孔質体が熱応力緩和層となり、基材と担体との熱膨張率に差がある場合でも、使用に伴って基材から触媒が剥離するのを防止することができる。さらに、遷移金属系多孔質体自身の脱水素触媒能によって水素ガスの生成効率を向上させることができる。本発明の脱水素触媒は、遷移金属多孔質体を基材に溶接又はネジ等によって機械的に固定することができるため、担持固定に関しバインダーを用いる必要がない。このため、基材との担持固定にバインダーを用いた場合に比して、同じかさ密度で比較すると、バインダーの分だけ触媒の担持量を増加させることができる。
【0015】
本明細書中において、炭化水素系燃料は、脱水素反応により水素を発生し得る化合物を含む燃料であり、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素等を含む燃料が含まれる。脂環式炭化水素には、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の二環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環式化合物、等が含まれる。脂肪族炭化水素等には、2−プロパノ−ル、メタノール、エタノール等が含まれる。特に、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンを含む燃料が好ましく、デカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料がより好ましい。
【0016】
前記炭化水素系燃料から生成される脱水素生成物は、炭化水素系燃料を脱水素反応して水素を放出した後の反応生成物であり、例えば、デカリン、又はシクロヘキサンの場合には、水素と共に主として生成される、ナフタレン(若しくはテトラリン)、又はベンゼンが各々相当する。
【0017】
前記炭化水素系燃料を脱水素反応させると、水素ガスと共に、水素の放出により不飽和結合を持つ脱水素生成物が反応生成物として生成される。例えば、デカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料を用いた場合には、デカリンの脱水素反応により、水素ガスと共に脱水素生成物としてナフタレンが生成される。逆に、該脱水素生成物であるナフタレンを水素添加により水素化反応させたときには、ナフタレンの水素化物であるデカリン及び/又はテトラリンを再生することができる。
【0018】
また、本発明の脱水素触媒は、遷移金属系多孔質体としては、Ni系、Pt系,Pd系,Ru系、Rh系,Ir系,Fe系,Co系,Re系,V系,W系及びMo系の多孔質体を用いることができるが、Ni系多孔質体を用いて構成することが好ましい。遷移金属系多孔質体としてNi系多孔質体を用いると、Ni系金属の脱水素触媒能によって、本発明の脱水素触媒の水素生成効率をさらに向上させることができる。前記Ni系多孔質体としては、発泡Ni、Ni−Ru、Ni−W等を用いることができ、空隙率及び脱水素触媒能の観点から特に発泡Niが好ましい。
【0019】
また、遷移金属系多孔質の孔中に担持される触媒としては、活性炭(活性炭繊維)等の炭素にPtを担持させたPt/C系触媒が好適である。
【0020】
さらに、上記触媒としては、貴金属担持活性炭繊維を粉砕した粉砕繊維触媒を用いることが好ましい。粉砕された繊維状の触媒は、遷移金属多孔質体の骨格中に担持される際に非常に絡まりやすいため、遷移金属系多孔質体による触媒の担持率を大幅に向上させることができる。また、粉砕遷移触媒は、触媒の剥離を大幅に抑制することができるため、衝撃等によっても触媒が剥離しにくい。これらによって、高い水素生成効果を長期に渡って発揮することができる。上記粉砕繊維触媒は、好ましくは長さ0.01mm〜10mm程度、さらに好ましくは長さ0.01mm〜1mm程度に粉砕するのが好ましい。上記粉砕の方法としては、公知の粉砕方法を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定して使用することができ、例えば、遊星ボールミルで行うことができる
【0021】
また、熱応力緩和層としての機能と触媒を担持する機能との両立を図り、且つ、水素ガス生成効率をさらに向上させるといった観点から、前記遷移金属系多孔質体の厚み、特に基材に設置した際の厚みとしては1mm〜20mm程度が好ましく、1mm〜10mm程度がさらに好ましい。同様の観点から、遷移金属系多孔質体の空隙率は50〜98%が好ましく、80〜98%がさらに好ましい。
【0022】
さらに、前記遷移金属系多孔質体と前記触媒との質量比(多孔質体:触媒)としては、4:1〜1:1が好ましく、2:1〜1:1がさらに好ましい。前記質量比が1:4〜1:1の範囲外になると、触媒の担持率が低下して水素生成効率が低下したり、触媒の担持率が高すぎて前記遷移金属系多孔質体が十分に触媒を担持できない場合がある。
【0023】
また、本発明の第2の脱水素触媒は、炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒であって、第1の遷移金属系多孔質層と、少なくとも1層の貴金属担持活性炭繊維層と、第2の遷移金属系多孔質層と、をこの順で積層して構成される。尚、第1の遷移金属系多孔質体と第2の遷移金属系多孔質体とは同一素材を用いることができ、上述の遷移金属系多孔質体と同様のものを用いることができる。
【0024】
本発明の第2の脱水素触媒は、遷移金属系多孔質体を主としてなる遷移金属系多孔質層に少なくとも1層の貴金属担持活性炭繊維を主としてなる貴金属担持活性炭繊維層が挟まれている構成であるため、高密度に形成することができ、貴金属活性炭繊維が遷移金属系多孔質体から剥離しにくい。また、触媒の剥離を大幅に抑制することができ、衝撃等によっても触媒が剥離しにくい。これらによって、高い水素生成効果を長期に渡って発揮することができる。
【0025】
さらに、基材に設置した場合に、遷移金属系多孔質体が熱応力緩和層となり、基材と担体との熱膨張率に差がある場合でも、使用に伴って基材から脱水素触媒が剥離するのを防止することができる。さらに、遷移金属系多孔質体自身の脱水素触媒能によって水素ガスの生成効率を向上させることができる。また、遷移金属多孔質体を基材に溶接又はネジ等によって機械的に固定することができるため、担持固定に関しバインダーを用いる必要がない。このため、基材との担持固定にバインダーを用いた場合に比して、同じかさ密度で比較すると、バインダーの分だけ触媒の担持量を増加させることができる。
【0026】
本発明の第1の製造方法は、炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒の製造方法であって、貴金属担持活性炭繊維を粉砕した粉砕繊維触媒を液体中に投入しスラリーを調製する工程と、前記スラリーを遷移金属系多孔質体に塗布する工程と、不活性雰囲気下で前記スラリーが塗布された遷移金属系多孔質体を焼成する工程と、を含んでなる。
【0027】
本発明の第1の製造方法によれば、貴金属担持活性炭繊維を粉砕して短い繊維状にした粉砕繊維触媒を懸濁したスラリーを遷移金属系多孔質体に塗布することで、遷移金属系多孔質体の骨格中に粉砕繊維触媒を含浸させることができる。その後、遷移金属系多孔質体を焼成することによって、粉砕繊維触媒を遷移金属系多孔質体の骨格中に担持した脱水素触媒を製造することができる。
【0028】
また、本発明の第2の製造方法は、炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒の製造方法であって、第1の遷移金属系多孔質体と、単数若しくは複数の貴金属担持活性炭繊維と、第2の遷移金属系多孔質体と、を積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を不活性雰囲気下で圧縮しながら焼成する工程と、を含んでなる。
【0029】
本発明の第2の製造方法によれば、貴金属担持活性炭繊維を遷移金属系多孔質体によって両面からプレスし、焼成することで、第1の遷移金属系多孔質層と、少なくとも1層の貴金属担持活性炭繊維層と、第2の遷移金属系多孔質層と、をこの順で積層してなる脱水素触媒を製造することができる。
【0030】
本発明の脱水素触媒は、水素ガス生成装置の反応手段に備えられる触媒として好適に用いることができる。本発明の脱水素触媒を用いた水素ガス生成装置の好ましい態様としては、本発明の脱水素触媒(以下、単に「脱水素触媒」と称する場合がある。)が内部に設けられた中空体と、該中空体の内部に配置され、前記脱水素触媒に炭化水素系燃料を供給する供給孔を有する供給装置とを備え、供給された炭化水素系燃料を前記脱水素触媒で脱水素反応させる脱水素反応器を備えた反応手段と、前記炭化水素系燃料の脱水素反応によって生じた水素ガスを分離する分離手段と、を備えた水素ガス生成装置を挙げることができる。
【0031】
前記水素ガス生成装置では、反応手段を構成する個々の脱水素反応器内において、供給装置から噴射等により供給された炭化水素系燃料が中空体の内部(例えば内壁)に設けられた脱水素触媒に供給されると、熱せられた状態の脱水素触媒上において脱水素を起こして水素ガスと脱水素生成物とを発生した後、分離手段で高純度の水素ガスとして分離される。分離された水素ガスは燃料電池や水素エンジン等の水素使用装置に供給される。
【0032】
脱水素反応器を構成する中空体は、断面が円形、楕円形、矩形、方形など任意の形状で構成することができ、例えば、開口する少なくとも一端を閉塞したり、あるいは開口端の一方若しくは両方、あるいは全ての端面が閉塞された筒状又は箱状の容器を用いることができる。特に円筒体や直方体が好ましい。また、例えば、一体成形構造のモノリス担体や、金属担体、多孔性炭素担体、セラミックス担体等の担体などで構成でき、内表面積の大きい形状のものでもよい。
【0033】
このような中空体に触媒を設けることによって、従来の平面上に触媒を担持させる場合と比し、小型にでき且つ単位体積における表面積を大きく確保することができる。その結果、小型化と同時に水素生成量、生成水素ガス中の水素密度をも効果的に向上させることができる。すなわち、内表面積を大きくとれ且つ反応効率が向上することから、装置全体における単位体積当りの水素生成効率が高められ、水素生成量(生成速度)をより向上させることができる。しかも、車載には不向きであった反応容器体積をも縮小することができる。
【0034】
前記中空体は、脱水素触媒を直接担持する担持体として機能させることもできるが、中空体の内壁に直接触媒金属を担持させるのではなく、予め触媒金属を所望の担体に担持した脱水素触媒を該担体と共に中空体の内壁に沿って設けるようにしてもよい。但し、脱水素触媒と担持体との密着性が高いほど熱伝導性が良く好ましい。
【0035】
脱水素触媒は、中空体がその外側から加熱され該中空体を通じて触媒金属に直接伝達されることによって加熱される。したがって、中空体としては、金属物質などの熱伝導性に優れた材質で構成されるのが有効である。
【0036】
中空体の内部に配置される供給装置は、表面(例えば長尺の管形状の表面)に脱水素触媒に対して炭化水素系燃料を供給する供給孔を有して構成され、供給孔が設けられた該表面が中空体の内壁に対して略平行となるように配置される。例えば、長尺の管形状の供給装置を円筒体(中空体)に配置して用いる場合、その長手方向が中空体内壁に対して略平行に配置される。供給装置は、中空体内部の脱水素触媒全体に均一に供給可能な長さ、大きさとするのが望ましく、単一の中空体内に複数の供給装置を設けることもできる。
【0037】
供給装置の断面形状は、円形、楕円形、矩形、方形など任意の形状に構成できる。供給装置としては、例えば、管形状のインジェクタ(吹き付け器)などが好適であり、供給装置制御用のドライバを接続して個々の脱水素反応器ごとに噴射量を適宜コントロールすることができる。
【0038】
炭化水素系燃料は、脱水素触媒全体に均一に供給すると共に、脱水素触媒の上に均一に液膜状態となるように供給されるのが望ましく、供給孔は脱水素触媒の上全体に液膜状態を効率よく形成し得る態様で設けられる。例えば、管状の供給装置の場合、管中心から放射状に噴射可能なように管の任意位置に供給孔を設けることができる。また、供給孔の個数、孔径は、脱水素触媒の表面積や供給装置から脱水素触媒までの距離などに応じて適宜決定することができる。炭化水素系燃料を脱水素触媒上に液膜状態となるように供給すると、反応転化率が高められ、脱水素反応による水素ガスを効率良く生成することができる。
【0039】
反応手段は、例えば反応タンク(容器)として構成でき、脱水素反応器の形状や配置等に応じて、円柱状、角柱状、球状等の任意の中空形状にすることができる。
【0040】
反応手段は、複数の脱水素反応器を実装することが、装置における単位体積当りの水素生成効率を高める点で効果的である。この場合、例えば反応手段を構成するタンク(容器)内に複数の脱水素反応器を互いに略平行に(例えば束状に)固定配置することによって実装することができる。
【0041】
また、反応手段には、脱水素触媒を、脱水素反応器を構成する中空体の外側から加熱する加熱媒体を設けることができる。加熱媒体は、中空体を加熱できればいずれの形態でもよいが、液状物が特に好ましい。液状物である加熱媒体としては、沸点400℃以上のものが適当であり、特にシリコーンオイル等が好ましい。前記のように、複数の脱水素反応器を設けた場合には、複数の脱水素反応器の間隙に加熱媒体を介在させることによって、単一の媒体により複数の脱水素反応器の全てを同時に且つ均一に加熱することができる。
【0042】
特に液状の加熱媒体を用いて各脱水素反応器内部の触媒を加熱する場合、液状の加熱媒体が複数の脱水素反応器の間隙を循環する加熱循環系と、冷却水を循環させて前記加熱循環系の加熱媒体の温度を調節する冷却水循環系とを更に設けることができる。これにより、触媒温度が所定温度より低いときには加熱媒体を昇温し、逆に高いときには風冷された冷却水を循環させて降温して加熱媒体の温度を調節し、所望の温度範囲に制御しながら触媒を加熱することができる。このとき、脱水素触媒の加熱に利用される熱は、水素エンジンなどの水素使用装置自体の発熱で得た熱量を熱伝達して利用することができる。そのため、別途脱水素触媒を加熱するための手段が不要であり、システム全体の熱効率及びエネルギー資源のトータル効率を高めることができる。
【0043】
水素ガスを分離する分離手段は、炭化水素系燃料の脱水素反応で生じた水素ガスと脱水素生成物との混合気体から水素ガスを分離するものである。例えば、炭化水素系燃料など脱水素生成物を溶解し得る有機物に得られた混合気体を導入したり、パラジウムやその合金で構成された水素透過精製薄膜からなる水素分離膜、脱水素生成物を吸着する活性炭を冷却して水素ガスを透過する膜を用いて分離することができる。
【0044】
また、分離手段として、炭化水素系燃料を貯留し、且つ貯留された炭化水素系燃料中に、前記炭化水素系燃料の脱水素反応によって生じた水素ガス及び脱水素生成物が供給されると共に、前記水素ガスを排出する排出口を備えた貯留分離タンクを用いることができる。
【0045】
この貯留分離タンクは、炭化水素系燃料と脱水素生成物とを共に貯留でき、且つ発生する水素ガスをも分離排出できるので、従来のように、水素生成用の燃料を貯留するタンクと反応生成された脱水素生成物を貯留するタンクとの両方を必要とせず、またこれらタンクと別に水素ガスを分離する分離手段を併設する必要もなく、単一のタンクに統括することができる。これにより、更なる小型、軽量化を図ることができる。すなわち、貯留分離タンクには炭化水素系燃料が貯留され、そこから外部に供給され脱水素反応を経た後、再び該貯留分離タンクの炭化水素系燃料中に生成された水素ガス及び脱水素生成物が供給されると、脱水素生成物は炭化水素系燃料中への供給過程で冷却、溶解されながら貯留分離タンクの底部(下方)に沈降、貯留され、水素ガスは燃料に溶解されずに(場合により、水素ガス分離手段を介在させて)排出口から高純度に排出される。この水素ガスは水素使用装置に利用される。
【0046】
更に別の分離手段として、前記の貯留分離タンクを設ける代わりに、炭化水素系燃料を貯留する炭化水素系燃料貯留部と、炭化水素系燃料の脱水素反応により生じ、且つ水素ガスが除去された脱水素生成物を貯留する生成物貯留部とを含む複室貯留タンクを更に設けることもできる。前記の貯留分離タンクを用いた場合と同様に、単一のタンクに統括することができ、車両などの限られた場所でも設置が可能となり、軽量化も図れる。また、水素ガスが除去された脱水素生成物が貯留されるので、水素ガスを排出する排出口を設ける必要がない。
【0047】
本発明における水素ガス生成装置には、触媒及び触媒を加熱する加熱器を備えると共に、脱水素生成物及び水素ガスが供給され、脱水素生成物を加熱された触媒上で水素化反応させる再生タンクを更に設けてもよい。再生タンク内で、脱水素生成物を水素添加によって水素化反応させて再生したときには、脱水素生成物の水素化物である炭化水素に再生される。
【0048】
本明細書における再生には、例えば、ナフタレン又はベンゼンからそれぞれデカリン又はシクロヘキサンを再生することのほか、二環式若しくは三環式の化合物の場合には、水素化が未完の化合物を再生することも含む。すなわち、例えばナフタレンを再生する場合、デカリンを再生することのほか、テトラリンを再生すること、デカリンと共にテトラリンを再生することをも含む。
【0049】
前記水素ガス生成装置は、炭化水素系燃料から水素を生成する反応を迅速且つ高効率に行なわせて水素密度の高い水素ガスを良好に水素使用装置(例えば燃料電池、水素エンジン)に供給することが可能であり、装置全体の小型化、軽量化が図れると共に、炭化水素系燃料/脱水素生成物の循環系により、クリーンでエネルギー資源の利用効率の高いシステムを構築することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の脱水素触媒について説明する。なお、下記の実施形態において、炭化水素系燃料として、デカリンを主成分とする燃料(以下、単に「デカリン」という。)を用いた場合を中心に説明する。但し、本発明においてはこれら実施形態に制限されるものではない。
【0051】
(第1の実施形態)
本発明の脱水素触媒について図1を参照して説明する。図1は、本発明の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。図1において本発明の脱水素触媒11は、発泡NiからなるNi多孔質体11aの孔中にPt/C系の触媒11bが担持されて構成されている。さらに、脱水素触媒11は、基材11cに溶接されて担持固定されている。
【0052】
Ni多孔質体11aは、発泡Niによって構成され複数の孔を有する多孔質体であり、その孔中に触媒11bを担持している。Ni多孔質体11aはそれ自体も脱水素触媒としての機能を有する。Ni多孔質体11aの空隙率は50〜98%程度である。また、Ni多孔質体11aの厚さは、基材との熱応力緩和効果を十分に発揮させるため1mm〜20mm程度が好ましい。なお、前記発泡Niとしては、例えば、住友電工(株)製の「セルメット」等を好適に用いることができる。
【0053】
触媒11bは活性炭繊維に触媒金属であるPtを担持させて構成されている。Ni多孔質体11aと触媒11bとの担持量(質量比:多孔質体/触媒)としては、4/1〜1/1程度が好ましい。
【0054】
脱水素触媒反応のための脱水素触媒11の加熱温度としては、炭化水素の沸点以上である200〜500℃が好ましく、更に好ましくは200〜350℃の間の温度、特に好ましくは280℃程度である。この理由は、所定温度を200℃未満にすると目的とする脱水素反応が高い反応速度、換言すれば充分な燃料電池出力で得られず、350℃を越えるとカーボンデポジット等が生じる可能性を持ち、500℃を越えると実用的でないからである。また、反応圧力としては、0.1〜10気圧が好ましく、1〜5気圧が更に好ましい。
【0055】
Ni多孔質体11aに触媒11bを担持させた本発明の脱水素触媒の製造方法について説明する。まず、粉末状の触媒11bに水等を添加し、スラリー状にする。次いで、あらかじめ基材に溶接された発泡Niにスラリー状の触媒11bを塗りこみ、例えば、120℃・6時間で乾燥させる。この際、乾燥条件としては、乾燥温度は100〜150℃程度であり、乾燥時間は3〜24時間程度である。
【0056】
乾燥させた後、スラリー状の触媒11bを塗りこんだ発泡Niに加圧処理を加え、さらに窒素下中で、例えば、400℃・1時間で焼成し、本発明の脱水素触媒11を作製することができる。前記加圧条件としては、5〜100kg/cmである。また、前記焼成条件としては、焼成温度が350〜450℃程度、好ましくは350〜400℃程度であり、焼成時間は30分〜3時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。このような方法によって触媒11bがNi多孔質体11aの孔に絡まり、担持固定される。その他、触媒11bをNi多孔質体11aに担持させる方法としては、スラリー状にした触媒11bをNi多孔質体11aに吸引して固定させてもよい。
【0057】
本発明においては、Pt等の触媒金属を活性炭等の担体に担持せず金属微粒子のように単独で用いてもよいが、表面積の大きな担体に担持させて用いるのが好ましい。担体としては、活性炭の他に、シリカ、アルミナ、ゼオライト、カーボンナノチューブ、チタニア(TiO)、モレキュラシーブカーボン、ジルコニア(ZrO)、メソ細孔シリカ多孔質材料(FSM−16、MCM−41など)等が挙げられる。この場合担体に対するPtの担持率としては、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましい。
【0058】
また、触媒としては、前記で説明したPt/C系触媒の他、炭素担持Pt−Ir固溶型複合金属触媒、炭素担持Pt−Re固溶型複合金属触媒、炭素担持Pt−W固溶型複合金属触媒、又はニッケル系金属を使用した触媒等を使用することができる。
【0059】
尚、本実施形態においては、遷移金属系多孔質体として発泡Niを用い、さらに触媒としてPt/C系触媒を用いた場合を例に説明したが、遷移金属系多孔質体及び触媒としてこれ以外を用いた場合においても同様の構成とすることができる。
【0060】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の脱水素触媒を用いた水素ガス生成装置について図2を参照して説明する。本実施形態は、水素ガスを燃料とする水素エンジンが搭載された自動車に本発明の脱水素触媒を有した水素ガス生成装置を搭載し、デカリンを高温触媒の存在下で反応させると、ナフタレンと水素ガスとが生成されるデカリン/ナフタレン反応を利用して、水素ガス分子を吸着貯蔵するのではなく、化学結合で原燃料中に貯蔵するものである。
【0061】
本実施形態は、複数の脱水素反応器を実装し、各脱水素反応器がその間隙を循環するシリコーンオイルによって加熱されるように構成され、水素ガスの分離後に単一の複室貯留タンクを用いてデカリン及び生成ナフタレンを共に貯留するようにしたものである。
【0062】
図2に示すように、本実施形態は、内壁に脱水素触媒が設けられた円筒体及び該円筒体の内部に配置された供給孔を有するインジェクタ(供給装置)を備え、供給されたデカリンを加熱された脱水素触媒において脱水素反応させるn個の脱水素反応器5a〜5a、並びに脱水素触媒を筒状体の外側から加熱する加熱媒体7を備えた反応手段1と、デカリンの脱水素反応によって生じた水素ガスを分離する分離手段3とを備えている。
【0063】
反応手段1は、円柱状の反応タンク4内にn個の脱水素反応器5a〜5a(総じて5aと記すことがある。)を備え、反応タンク4内の空隙部に加熱媒体として液状のシリコーンオイル7を充填して構成されている。以下、反応手段について、回転羽が設けられた構成の反応手段を示す図3を参照して説明する。
【0064】
n個の脱水素反応器5a、5a、…5aは、図3に示すように、反応タンク4の内壁に沿って互いに略平行となるように並べられて束状に配置されている。各々の脱水素反応器の上部端面には、脱水素反応後の水素ガス含有の混合ガス(水素リッチガス;蒸発して残存する残存デカリンを含んでもよい)を排出するためのバルブ(Va〜Va)を備えた排出管9の一端が接続され、水素リッチガスを挿通する配管27とそれぞれ連通されている。また、下部端面には、未反応デカリンを排出するためのバルブ(Vb〜Vb)を備えた排出管8の一端が接続され、ポンプP6(図2参照)を備えた戻し配管28とそれぞれ連通されている。なお、戻し配管28は、反応タンク4内において複数の排出管8が繋がるように管幅(内容積)が拡くなっている。
【0065】
シリコーンオイル7は、反応タンク4と2点で接続して加熱循環系を構成する、オイル循環ポンプP1を備えた配管33内を挿通して循環し、配管途中にある水素エンジン42の廃熱によって加熱されるようになっている。すなわち、図2に示すように、加熱媒体が液状のときには、液状のシリコーンオイル(加熱媒体)7が複数の脱水素反応器の間隙を循環する。
【0066】
加熱されたシリコーンオイル7は、脱水素反応器の間隙に介在すると共に徐々に循環されることによって各脱水素反応器と熱交換し、円筒体を通じて熱伝達された熱で脱水素反応器内部の脱水素触媒を加熱する。また、反応タンク4の底面側には、回転羽13が設けられており、反応タンク内のシリコーンオイル7の循環を促してタンク内温度を均一に保持できるようになっている。
【0067】
また、加熱循環系の配管33には、図2に示すように、冷却水を循環させてシリコーンオイル7の液温を調節する冷却水循環系として循環冷却器43が設けられており、反応タンク4には温度センサ10が設けられている。これにより、シリコーンオイル7の温度が所定温度を超えるときには、風冷した冷却水を循環させることによってオイル温度を冷却し、所定の温度に達しているときには循環を停止するように制御され、シリコーンオイルの液温を調節し、所望の温度範囲に制御しながら脱水素触媒を加熱することができる。
【0068】
複数の脱水素反応器は、図4に示すように、所定の間隙を有してシリコーンオイル7が介在し得るように配置されており、介在するシリコーンオイルが順次循環されて均一に加熱できるようになっている。図4は、図3のA−A’線断面図である。反応タンク内に配置する脱水素反応器の数やその間隙は、所望の脱水素反応が行い得る範囲で水素ガスの必要生成量などに応じて適宜選択することができる。
【0069】
脱水素反応器5a(5a〜5a)は、図5に示すように、内壁の曲面に脱水素触媒11が担持された円筒体12と、管状のインジェクタ(供給装置)6とを備えている。円筒体12は、両端が開口する断面円形の金属中空体であり、開口端の両方には閉塞部材17、18が取付けられている。閉塞部材17、18には、それぞれ水素リッチガスを排出するための排出管9、貯留された未反応デカリンを排出するための排出管8が設けられている。
【0070】
脱水素触媒11は、図5に示すように、円筒体12の内壁の曲面全面に備えられている。脱水素触媒11は、図5に示すようにNi多孔質体11aが円筒体12の壁面に溶接されることによって担持固定されている。
【0071】
また、インジェクタ6は、図5及び図6に示すように、断面円形の管状に構成され、管には脱水素触媒11にデカリンを放射状に噴射できるように供給孔が複数設けられている。図6は、図5の反応手段1をB−B’線で切り取ったときの概略断面図である。インジェクタ6は、円筒体12に溶接されNi多孔質体11aとこれに担持された触媒11bとからなる脱水素触媒11で取り囲まれた内側に配置されており、複数の供給孔からデカリンを放射状に噴射して、脱水素触媒11の全体に均一に供給可能なように構成されている。このとき、各チューブにおける脱水素触媒11の表面において、デカリンの液膜が形成されるのが望ましい。
【0072】
インジェクタ6からデカリンを供給する場合には、上述の通り加熱された脱水素触媒11の表面が僅かに湿潤した状態、すなわち液膜状態が形成されることが好ましい。僅かに湿潤した液膜状態では、過熱(デカリンの沸点を越える温度での加熱)・液膜状態での脱水素反応のとき水素ガス生成量は最大になる。これは、デカリンの蒸発速度が、基質液量(デカリンの液量)が少ない程小さくなり、蒸発速度が小さく且つ高温の状態で脱水素反応させることにより転化率が向上するからである。すなわち、蒸発速度は液量・伝熱面積・加熱源と沸点との温度差の各々に比例するので、液体デカリンの量が少なければ蒸発速度が小さくなる。液体デカリンは、加熱触媒上(例えば、200〜350℃)でも液膜状態で存在するので、触媒活性サイトは液相からのデカリンの速やかな吸着により充分に高い被覆度で常時補填される。すなわち、触媒表面上で液膜状態で脱水素反応させることにより、触媒表面上で気体で反応させるよりも優れた反応性が得られる。
【0073】
複数の脱水素反応器は、上部端面に接続された排出管9を介して、バルブ3及び逆止弁を備えた配管27によって分離タンク3と連通されており、また、下部端面に接続された排出管8を介して、ポンプ6及び逆止弁を備えた戻し配管28によって複室貯留タンク2(生成物貯留部)と連通されている。
【0074】
複室貯留タンク2は、隔壁面が略水平となるようにナフタレン非透過性の移動可能な隔壁23を備えて構成され、隔壁23により内部が二つの室に区画されている。区画された一方(図面の隔壁23の下室)には、デカリン22を貯留するデカリン貯留部(炭化水素系燃料貯留部)が、他方(図面の隔壁23の上室)にはナフタレン混合物21を貯留する混合物貯留部(生成物貯留部)が設けられている。
【0075】
デカリン貯留部の底面側には、デカリン22を供給するためのポンプP2を備えた供給配管26の一端と、デカリン22を分離タンクに供給するためのポンプP7を備えた供給配管29の一端とが接続されている。更に壁面には、バルブを備えた燃料供給管16が設けられている。また、混合物貯留部には、戻し配管28の一端が接続されると共に、供給配管30の一端が接続されて分離タンク3と連通されており、更に壁面にはバルブを備えた排出管15が設けられている。
【0076】
隔壁23は、その壁面の法線方向と略平行(図面の上下方向C)に移動可能に構成されている。ナフタレン混合物がなくデカリンが満タンであるときには、隔壁23は最上部に位置して最大量のデカリンがデカリン貯留部に貯留され、水素ガスの生成、すなわちナフタレン混合物の生成量の増大にしたがって隔壁23は徐々に下方に自動的に移動し、デカリン貯留部の容積が縮小され混合物貯留部の容積が拡大する。これにより、単一のタンクを有効に利用でき、装置の更なる小型化、狭い設置場所への設置や装置全体の軽量化を達成することができる。
【0077】
隔壁23は、混合物貯留部からデカリン貯留部へのナフタレンの移動を抑え、且つデカリンに対して安定なものであれば、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、物質非透過性のもの、ナフタレン透過性の低いもの、ナフタレンを除いては透過性のもの等を用いることができる。また、変形し難い板状のものでも伸縮可能な軟性、弾性を有するものでもよい。一つの複室貯留タンク内に複数の隔壁を設けることもできる。
【0078】
具体的な例として、仕切り板や、ナフタレン濃度が低い側から圧がかかったときに開弁し、ナフタレンを高濃度に含む側から圧がかかったときに閉弁される多数の逆止弁が格子状又はランダムに配列された逆止弁膜などが挙げられる。
【0079】
複室貯留タンク2は、反応手段1と連通する供給配管26や分離タンク3と連通する供給配管29、30、その他戻し配管28等にそれぞれ図示しない連結器(ジョイント)を設け、連結器において着脱可能に構成することができる。例えば、簡易にはめ込み、取り外しができる交換タンク(カートリッジタンク)の形態に構成できる。
【0080】
複室貯留タンク2を着脱可能に構成することにより、デカリンから所定量の水素ガスを生成後、複室貯留タンク自体を交換あるいは一旦取外してナフタレン混合物を再生することにより、貯留されたナフタレン混合物を回収、除去でき、車載するなど特定場所に定置しない場合でも簡易且つ継続的な水素の供給が可能となる。
【0081】
また、複室貯留タンク2を着脱可能に構成せず、あるいは着脱可能に構成すると共に、複室貯留タンクの混合物貯留部(図中の上室)のみを着脱可能に構成してもよい。この場合、混合物貯留部は複室貯留タンクに収納可能なカートリッジ式に構成することもでき、また混合物貯留部が複室貯留タンクの一部を構成するように構成することもできる。例えば、隔壁23の上室をはめ込み、取り外しが可能な態様、例えば交換タンク(カートリッジタンク)として構成することができる。この場合も、混合物貯留部(交換タンク)を空のもの(交換タンク)に取り替えることにより継続的な水素生成が可能となる。
【0082】
分離タンク3には、その上部において複室貯留タンク2のデカリン貯留部(下室)に連通する供給配管29の他端で接続された供給装置24が設けられ、壁面に接続された配管27を介して、反応手段1から送られた水素リッチガスにデカリンを噴霧等して供給できるように構成されている。また、分離タンク3の底部側には、ポンプP5を備えた供給配管30の他端が接続され、デカリンに溶解されて底部に貯留されたナフタレン混合物を複室貯留タンクの混合物貯留部に供給できるようになっている。
【0083】
分離タンク3の上部壁面には、分離された水素ガスを挿通するためのポンプP4とバルブV2とを備えた配管31の一端が接続され、水素ガスの貯留、供給が可能な水素ガス貯蔵タンク(バッファータンク)40と連通されている。また、分離タンク3の壁面には、タンク中の水素圧を検出するための水素圧センサ25が設けられている。分離タンク3内の水素ガスを加圧又は高圧状態にしたり、水素ガス貯蔵タンク40への圧力を低圧(例えば負圧)にすることで水素排出効率を向上させることができる。
【0084】
水素ガス貯蔵タンク40は、バルブV1を備えた供給配管32によって水素エンジン42と連通され、水素ガスを供給できるようになっている。そして、供給配管32には、水素エンジンに供給する水素量を制御するための水素流量制御器41が設けられ、水素エンジンの運転状態に応じて適宜コントロールできるように構成されている。エンジン始動時には、脱水素反応器内の触媒温度が低く水素ガスを生成できないことから、水素ガス貯蔵タンク40に貯留された水素が供給される。
【0085】
図7に示すように、前記のデカリン供給装置24、水素流量制御器41、制御用ドライバD〜D、ポンプP1〜P7、バルブV1〜V2、バルブVa〜Va及びVb〜Vb、循環冷却器43、水素圧センサ25、並びに温度センサ10の各々は、マイクロコンピュータ等で構成された制御回路50に接続されている。
【0086】
以下、本実施の形態の制御装置による制御ルーチンについて説明する。図8は、イグニッション(IG)スイッチオンで実行されるメインルーチンを示すものであり、IGスイッチがオンされると、まず水素流量制御器41がオンされて水素エンジンが始動し、ステップ102においてオイル循環ポンプP1が駆動し、加熱循環系のシリコーンオイル7が循環する。続いて、ステップ104において反応手段1の反応タンク4中の脱水素触媒の加熱温度(オイル温度)Tを取り込み、ステップ106においてオイル温度Tが予め定められた所定温度T以下か否かを判断し、オイル温度Tが所定温度T以下の場合には、ステップ108において循環冷却器43をオフし、オイル温度Tが所定温度Tを超えている場合にはステップ110において循環冷却器43をオンする。これにより、反応タンク4内のシリコーンオイル温度、すなわち各脱水素反応器内部の脱水素触媒が所定温度になるように制御される。
【0087】
次のステップ112では、複数の脱水素反応器5a…5aの各々において、制御用のドライバD〜Dにより各インジェクタからの供給量を予め定めた所定量(脱水素触媒の表面で液膜が得られる直前の量)から徐々に増加させながらデカリンを供給し、生成した水素リッチガスをバルブ(Va〜Va)開いて分離タンク3に送ると共に、次のステップ114において水素圧センサ25で検出された水素圧の値に基づいて水素圧が増加しているか否か、すなわち水素ガス発生量が増加しているか否かを判断する。水素圧が増加している場合にはステップ112に戻って、デカリン供給量を徐々に増加することを繰り返す。これにより、乾燥した脱水素触媒上にデカリンが徐々に供給され、これら表面が徐々に湿潤していき、デカリンが液膜状態で供給されるので、水素発生量が最大値に近づく。
【0088】
一方、ステップ114において水素圧が低下していると判断されたときは、デカリン供給量が液膜状態より過剰に供給された場合であるので、ステップ116において、低下の程度に応じて全部あるいは一部の制御用のドライバD〜Dを制御して個々のインジェクタからのデカリン供給量を徐々に減少させながら供給する。これにより、再び水素発生量が最大値に近づく。ステップ118では、水素圧が低下したか否かを判断し、水素圧が未だ低下しない場合にはステップ116に戻ってデカリン供給量を徐々に減少することを繰り返し、水素圧が低下する場合には、デカリン供給量が液膜状態より少なすぎる状態であるので、ステップ112に戻ってデカリン供給量を徐々に増加して供給することを繰り返す。
【0089】
これにより、デカリンが触媒金属及び脱水素触媒金属微粒子の表面において常に液膜状態で保持され、水素圧、すなわち水素ガス発生量が最大になるようにデカリンが供給される。水素圧センサは、複数の脱水素反応器の各々に取付けておくこともでき、その場合には、各脱水素反応器内の水素圧に基づいて各々の触媒金属及び脱水素触媒金属微粒子の表面でデカリンが常に液膜状態で保持されるように供給量を制御し、脱水素反応器ごとにデカリン供給とバルブ(Va〜Va)の開閉を繰り返すことによって行なえる。
【0090】
本発明において、デカリンを供給し分離手段を介して水素ガスを生成する場合、前記のメインルーチンに基づきながら、各脱水素反応器においてデカリンを一回供給するごとに生成した水素リッチガスをバルブ(Va〜Va)から排出することを繰り返し行なうことで水素生成することができる。
【0091】
本実施形態では、IGスイッチがオンされると水素流量制御器41によって水素ガス貯蔵タンク40から水素エンジン42に水素が供給され水素エンジンが始動する。そして、オイル循環ポンプP1が駆動して反応手段1の反応タンク4内のシリコーンオイル温度が所定の触媒加熱温度にまで達すると、複室貯留タンク2からデカリン22が供給配管26を挿通して反応手段1の脱水素反応器5a、5a、…5aに供給される。各脱水素反応器で発生した水素リッチガス(蒸発した残存デカリンを含んでもよい。)は生成ナフタレンと共に排出管9を介して配管27によって分離タンク3に送られる。このとき、循環冷却器43によって脱水素触媒の温度は所定温度に制御されている。
【0092】
分離タンク3に供給された水素リッチガスは、供給装置24から噴出されるデカリンと接触し、冷却されると共にガス中のナフタレン及び残存デカリンは供給されたデカリンに溶解されて水素ガスと分離される。分離された高純度の水素ガスは、配管31を挿通して水素ガス貯蔵タンク40に供給、貯蔵される。供給、貯蔵された水素ガスは、水素流量制御器41により制御されながら水素ガス貯蔵タンクから水素エンジン等の水素使用装置42に供給される。分離タンクで溶解されたナフタレンは、デカリンと混合したナフタレン混合物として複室貯留タンク2の上室(混合物貯留部)に貯留される。
【0093】
このとき、隔壁23はナフタレン混合物の量が増えるにしたがって上室の容積が拡大する方向(図中の下方)に移動する。そして、ナフタレン混合物が所定量に達すると、バルブ開閉して排出管15からナフタレン混合物が排出、回収され、これに伴い隔壁23は下室の容積が拡大する方向(図中の上方)に移動し、燃料供給管16からデカリンが供給される。このサイクルを繰り返すことにより、高純度の水素ガスを継続的に水素使用装置42に供給することができる。なお、水素ガス貯蔵タンク40に貯蔵された水素ガスは、水素使用装置42に供給するほか、後述の再生タンクにおけるナフタレンの水素化反応に利用することもできる。
【0094】
車両を停止させてイグニッション(IG)スイッチをオフすると、図9の割り込みルーチンが起動され、ステップ130においてポンプP7の駆動を停止し供給装置24を停止させてデカリン供給を停止することにより水素ガスの生成を停止させると共に、ステップ132において水素エンジンへの水素供給を制御する水素流量制御器41を停止する。また、オイル循環ポンプP1と循環冷却器とを作動させたまま各脱水素反応器を冷却した後、ステップ134においてオイル循環ポンプP1を停止し、次のステップ136において、各脱水素反応器の底部に冷却され貯留された未反応デカリンはバルブを開くと共にポンプP6を駆動して排出管8と繋がる戻し配管28を介して複室貯留タンク2に戻される。なお、循環冷却器43は、反応タンク4内のシリコーンオイルが所定温度以下となったときに停止される。このとき、デカリン供給を停止した後も少量の水素ガスが発生するので、ステップ138において、発生した水素ガスを分離タンク3を経由して水素ガス貯蔵タンク40に貯蔵する。
【0095】
また、デカリンとテトラリンとの混合燃料を用いることにより、デカリンの脱水素反応の前にテトラリンが脱水素反応するので、速やかに水素ガスを発生させることができる。ここで、貯留分離タンク内あるいは貯留分離タンクとは別のタンク内に、デカリンと分離してテトラリンを貯留し、このテトラリンを加熱された触媒上でデカリンの脱水素反応前に脱水素反応させることにより、速やかに多量の水素ガスを発生させることができ、より迅速に水素生成を行なうことができる。
【0096】
(第3の実施形態)
本発明の脱水素触媒を用いたガス水素生成装置の別の態様について図10を参照して説明する。本実施形態は、第2の実施形態の複室貯留タンク及び分離タンクを単一の貯留分離タンクに代え、単一タンクにデカリン及び生成ナフタレンを共に貯留するようにし、且つ水素ガスをも分離可能としたものである。また、貯留分離タンクには更に再生タンクを接続し、ナフタレンを再生可能なように構成してある。なお、燃料は第2の実施形態で使用した燃料を用いることができ、第2の実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0097】
図10に示すように、本実施形態は、デカリン22を貯留し、且つ貯留されたデカリンにデカリンの脱水素反応により生成された水素ガス及びナフタレンが供給されると共に、排出口から水素ガスを排出する貯留分離タンク60と、再生タンク71とを備えている。
【0098】
貯留分離タンク60は、内部に密閉してデカリン22を貯留可能に構成され、貯留分離タンク60の上部壁面には、デカリン22を供給するためのバルブを備えた燃料供給管16と、未反応デカリンを回収する戻し配管28とが設けられており、また、水素ガス貯蔵タンク40に水素を挿通するためのポンプP4とバルブV2とを備えた配管31の一端が接続されて排出口が形成されている。デカリン22は、貯留分離タンク60の上方に空隙を有する範囲で燃料供給管16から供給できるようになっており、反応手段1で生成された水素ガスは、配管31を介して水素ガス貯蔵タンク40に供給、貯留された後、供給配管32を挿通して水素エンジン42に供給できるようになっている(図2参照)。また、貯留分離タンク60の上部壁面には水素圧を検出する水素圧センサ25が取り付けられており、底部には貯留されたナフタレン62を排出するためのバルブを備えた排出管15が設けられている。
【0099】
貯留分離タンク60の底面側の側壁には、反応手段1と繋がる配管27がデカリン22中にその他端が位置するように設けられ、反応手段の各脱水素反応器と連通されている。液中となる配管27の他端からは、反応手段1で生成された水素ガス及び気相ナフタレンの混合ガス(水素リッチガス;蒸発して残存する残存デカリンを含んでもよい)を液中において供給可能なようになっている。
【0100】
貯留分離タンク60の内部には、デカリン22の液面と略水平に分離膜61が備えられ、浮上する水素ガス63を透過し、ナフタレン62のデカリン内での拡散を抑えて分離膜61の下方に貯留することができる。
【0101】
分離膜は、ナフタレン(脱水素生成物)がデカリン(炭化水素系燃料)中に拡がるのを抑制し、水素生成のために供給されるデカリン中におけるナフタレン含有率を低く抑えることができる。水素生成のために供給されるデカリン等の炭化水素系燃料にナフタレン等の脱水素生成物が含まれると、相対的に脱水素反応に寄与し水素を放出する炭化水素系燃料含有比が低下して水素生成効率が低下してしまうが、分離膜を設けることによって単一のタンク内で脱水素生成物と分けつつ炭化水素系燃料を貯留できるため、区画された一方の側に脱水素生成物を貯留すると同時に他方の側において脱水素生成物含量の少ない炭化水素系燃料の供給が可能となる。分離膜は、少なくとも、ナフタレンを高濃度に含む側から他方の側へのナフタレンの濃度分布の拡がりを抑え得る程度に仕切ることができる。
【0102】
略水平に設けられた分離膜は、タンク内部を上下に区画し、水素ガスとナフタレンとのデカリンに対する溶解性、比重の違いを利用して、水素ガスを高純度に排出すると同時に、タンク下方においてナフタレンを貯留する。すなわち、貯留分離タンク60の内部において、略水平に配置された分離膜61は、ナフタレン含量の少ないデカリンの上層部からナフタレン含量の多い下層部に移る濃度分布とも略平行に位置し、分離膜61の下方で供給される水素ガスは分離膜の膜面を一様に通過できる。このとき、液中の配管27の出口周辺でナフタレン量が不均一になると局部的に粘度上昇等を来すことがあるため、水素ガスの液中での移動速度を損なわないようにすることが望ましい。
【0103】
分離膜61は、その膜面の法線方向(図10中の矢印方向D)と略平行に移動可能に構成されている。分離膜の移動は、貯留分離タンク内部の区画された領域の容積を可逆的に変えることができることが望ましく、生成ナフタレン量に合わせて任意に変えることができる。
【0104】
貯留分離タンク60における分離膜61の位置関係としては、生成されたナフタレンの量が少ないときにはナフタレン貯留側の容積を小さくして満タンとなるデカリンを貯留し、水素ガスの生成に伴って徐々にデカリンが減少し、逆にナフタレンの量が増大したときには、その生成量に応じてナフタレンを貯留する側の容積を大きくすることで多量のナフタレンを貯留することができる。すなわち、デカリンが満タンであるときには分離膜61はタンク最下部に位置し、ナフタレン量の増大に応じて分離膜は自動的に上方に移動し、ナフタレン供給側の容積が拡大される。このように、デカリンとナフタレンの物理的な相対量に応じた分離膜の移動により、タンクの有効利用が図れ、狭い設置場所への設置や装置全体の軽量化を達成することができる。
【0105】
分離膜は、水素ガスを透過できると共に、デカリン中でのナフタレンの拡散を抑制し、且つデカリンに対して安定なものであれば、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、水素透過性で且つ水素ガス以外は物質非透過性(若しくはナフタレン低透過性)のもの、ナフタレンを除いては透過性のものが使用できる。また、分離膜は、変形し難い板状のものでも伸縮可能な軟性、弾性を有するものでもよい。一つの貯留分離タンク内に複数の分離膜を設けることもできる。
【0106】
具体的な例として、メッシュ状のフィルタ膜や、ナフタレンを高濃度に含む側から水素ガスが透過するときに開弁され、且つ逆側から圧がかかった場合に閉弁される多数の逆止弁が格子状又はランダムに配列された逆止弁膜などが挙げられ、材質は樹脂材、金属材、シリコーン材、ゴム材など適宜選択できる。
【0107】
分離膜61の膜面の上方には、ナフタレン含有比の低いデカリン22を、デカリンの脱水素反応を行なう反応手段1(脱水素反応器5a)に供給するための供給配管26の他端が取り付けられ、個々の脱水素反応器と連通されている。この他端を分離膜61の膜面近傍から上方に配置することにより、ナフタレン含量比の低いデカリンを供給することができ、水素生成効率を高めることができる。
【0108】
貯留分離タンクには、反応手段1と連通する供給配管26、27や戻し配管28、水素ガス貯蔵タンク40と連通する配管31、その他後述の再生タンクと連通する配管などにそれぞれ図示しない連結器(ジョイント)を備えて、連結器において着脱可能に構成することができる。例えば、簡易にはめ込み、取り外しができる交換タンク(カートリッジタンク)の形態に構成できる。
【0109】
貯留分離タンク60を着脱可能に構成することにより、デカリンから所定量の水素ガスを生成後、貯留分離タンク自体を交換あるいは一旦取外してナフタレンを再生することにより、貯留された生成ナフタレンを回収、除去でき、車載するなど特定場所に定置しない場合でも簡易且つ継続的な水素の供給が可能となる。
【0110】
また、第2の実施形態と同様に、貯留分離タンク60を着脱可能に構成せず、あるいは着脱可能に構成すると共に、貯留分離タンク60のナフタレンが高濃度に貯留された分離膜61の下方の部分のみを着脱可能に構成してもよい。この場合、ナフタレンが貯留された部分は、貯留分離タンクに収納可能なカートリッジ式に構成することもでき、また、この部分が貯留分離タンクの一部を構成するように設けることもできる。ナフタレンを高濃度に含む部分(交換タンク)を、デカリンで満たされたもの(交換タンク)に取り替えることにより水素生成を継続的に行なうことが可能となる。
【0111】
再生タンク71は、ナフタレンと水素ガスとを加熱触媒を用いて水素化反応させてデカリン及び/又はテトラリンを生成させるものであり、貯留分離タンク60と接続して車両内に搭載することができる。
【0112】
再生タンク71は、バルブV3及びポンプP8を備えた供給配管77を介して貯留分離タンク60の底面側で、またバルブV4及びポンプP9を備えた供給配管76を介して貯留分離タンク60の上面側で、それぞれ連通されている。これにより、貯留分離タンク60内のナフタレンは供給配管77を挿通して再生タンクに供給できるようになっており、生成されたデカリン及びテトラリンは供給配管76を介して貯留分離タンク60に供給される。
【0113】
再生タンク71の底面側には、触媒74及び触媒74を加熱するヒータ75で構成され、且つ発熱及び吸熱を起こさせる触媒反応器が設けられている。触媒74の水素化反応を行なう側は、多孔性炭素担体に触媒金属微粒子を担持して構成されている。触媒としては、前記で説明した炭素担持Pt触媒、炭素担持Pt−Ir固溶型複合金属触媒、炭素担持Pt−Re固溶型複合金属触媒、炭素担持Pt−W固溶型複合金属触媒、又はニッケル系金属を使用した触媒等を使用することができる。触媒74の近傍には、触媒表面の温度を検出する温度センサ73が取付けられている。
【0114】
また、再生タンク71には、ガソリンスタンド等の車両外部に設けられた水素ボンベや水の電気分解装置等の設備から水素ガスを供給するための水素ガス供給管72が取り付けられている。水の電気分解により生成した水素ガスなどを供給するようにすれば、クリーンなシステムを構築することができる。
【0115】
本実施形態では、貯留分離タンク60に燃料供給管16を介してデカリン22が供給されると、デカリン22は供給配管26を挿通して反応手段1に送られる。個々の脱水素反応器の乾燥した触媒上にデカリンが徐々に供給され、触媒表面が徐々に湿潤してデカリンが液膜状態で供給されると、水素圧、すなわち水素発生量が最大値に近づく。
【0116】
生成されたナフタレンを含む水素リッチガスは、ポンプP3により逆止弁を介して配管27を挿通して貯留分離タンク60のデカリン22中に供給される。貯留分離タンク60では、水素ガス63はデカリン22中を浮上する一方、気相で存在していたナフタレン及び残存デカリンはデカリン22中へ供給される過程で冷却され、残存デカリンは凝縮して液化し、ナフタレンは凝析して沈降する。これにより、水素ガスはナフタレン及び残存デカリンと分離され、タンク上部の空隙において高純度に分離される。分離された水素ガスは水素ガス貯蔵タンクに供給される。このとき、貯留分離タンク60内の水素ガスを加圧又は高圧状態にしたり、水素ガス貯蔵タンクへの圧力を低圧(例えば負圧)にすることで水素排出効率を向上させることができる。
【0117】
なお、生成ナフタレンからのデカリンの再生は航空燃料として公知の安定した技術を使用することができる。これにより、安全で環境に優しく、高純度の水素ガスを発生することができる。
【0118】
一方、車両を停止させる場合には、第2の実施形態の場合と同様にして、水素ガスの生成を停止すると共に、各脱水素反応器の底部に冷却され貯留された未反応デカリンをポンプP6を駆動させて排出管8と繋がる戻し配管28を介して貯留分離タンク60に戻し、さらにデカリン供給を停止した後に発生した少量の水素ガスを貯留分離タンク60を経由して水素ガス貯蔵タンク40に貯蔵する。このとき、循環冷却器43は、反応タンク4内のシリコーンオイルが所定温度以下となったときに停止される。
【0119】
また、再生タンク71では、ヒータ75のオン/オフにより、触媒74の温度が所定温度になるように制御される。この所定温度は、150〜200℃の間の温度、好ましくは150℃近傍の温度を採用することができる。バルブV3を開いてポンプP8を駆動し、供給配管77を介してナフタレンと未反応デカリンとの混合液を再生タンク71に供給する。また、これと同時に、ガソリンスタンド等に設けられている水素ボンベ又は水の電気分解装置から得られる水素ガスを再生タンクに供給し、所定温度に制御された触媒74上でナフタレン水素化反応を行ってデカリンを再生し、バルブV4を開いてポンプP9を駆動し、供給配管76を挿通して再生デカリンを貯留分離タンク60に回収する。このとき、再生タンク71内の水素ガスは、加圧又は高圧にするのが好ましい。
【0120】
なお、簡易且つ速やかにナフタレンの水素化を行う場合には、水素ガスを加圧せずに、触媒温度を前記より低温にしてテトラリンを生成させ、それを貯留分離タンクに供給するようにしてもよい。
【0121】
前記では、再生タンク71を車両に搭載する例について説明したが、再生タンクをガソリンスタンド等に設置し、ガソリンスタンド等で水を電気分解して得られる水素を供給してデカリンを再生するようにしてもよい。
【0122】
上述した実施形態では、水素生成用の燃料としてデカリンを用いた例を中心に説明したが、既述のデカリン以外の炭化水素系燃料を用いた場合においても同様である。また、水素使用装置についても、特に車載の水素エンジンを例に説明したが、本発明は水素エンジン以外の車載燃料電池などの水素使用装置に適用することもできる。
【0123】
また、前記実施形態では、加熱媒体を加熱する熱源として水素エンジン等の水素使用装置の廃熱を利用する例を説明したが、デカリン等の有機ハイドライドやナフタレン等の脱水素生成物などの有機物を空気と混合して燃焼させたときの燃焼熱や取り出した水素の燃焼熱を熱源として構成することもできる。
【0124】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態の脱水素触媒について図11を参照して説明する。図11は、本発明の第4の実施形態の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。図11において本発明の脱水素触媒80は、発泡NiからなるNi多孔質体80aの孔中にPt/C系の粉砕繊維触媒80bが担持されて構成されている。さらに、脱水素触媒80は、基材80cに溶接されて担持固定されている。また、本実施形態における脱水素触媒80は、実施例2〜3における脱水素触媒11に転用が可能である。
【0125】
Ni多孔質体80aは、発泡Niによって構成され複数の孔を有する多孔質体であり、その孔中に粉砕繊維触媒80bを担持している。Ni多孔質体80aはそれ自体も脱水素触媒としての機能を有する。Ni多孔質体80aの空隙率は50〜98%程度である。また、Ni多孔質体80aの厚さは、基材との熱応力緩和効果を十分に発揮させるため1mm〜20mm程度が好ましい。なお、前記発泡Niとしては同様のものを用いることができる。
【0126】
粉砕繊維触媒80bは活性炭繊維に触媒金属であるPtを担持させたものを遊星ボールミル等によって約0.01〜10mm程度に粉砕したものである。本実施形態の脱水素触媒80は、粉砕された繊維状の触媒を用いることで、繊維状でなく及び/又は粉砕されていない非粉砕繊維触媒を用いた場合に比して触媒担持率を大幅に向上させることができる。担体である活性炭繊維に対するPtの担持率としては、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましい。
【0127】
非粉砕繊維触媒を用いた場合と粉砕繊維触媒を用いた場合との触媒担時量について図12を用いて説明する。図12は、粉砕繊維触媒と非粉砕繊維触媒との触媒担持量を示すグラフである。図12における触媒担持量とは、粉砕繊維触媒若しくは非粉砕繊維触媒をNi多孔質体に各々6.5gずつ担持した脱水素触媒を30cmの高さから落下させ、これを2回繰り返した後にNi多孔質体に残った触媒量である。図12に示す通り、非粉砕繊維触媒を担持した脱水素触媒の触媒担持量は2gであるのに対し、粉砕繊維触媒を担持した脱水素触媒の触媒担持量は6gであることから、粉砕繊維触媒を担持した脱水素触媒は触媒担持効果が特に優れているのがわかる。
【0128】
また、Ni多孔質体80aと粉砕繊維触媒80bとの担持量(質量比:多孔質体/触媒)としては、4/1〜1/1程度が好ましい。また、脱水素触媒反応のための脱水素触媒80の加熱温度及び反応圧力は第1の実施形態における条件と同様である。
【0129】
Ni多孔質体80aに粉砕繊維触媒80bを担持させた本実施形態の脱水素触媒の製造方法について説明する。まず、貴金属であるPtを担持した活性炭繊維を湿式の遊星ボールミルによって粉砕し、粉砕触媒繊維80bとする。この際、粉砕時間としては特に限定はないが、約30分程度が好ましい。次いで、粉砕繊維触媒80bに水等の液体を添加し、スラリー状にする。次いで、あらかじめ基材に溶接された発泡Niにスラリー状の粉砕繊維触媒80bを塗りこみ、例えば、120℃・6時間で乾燥させる。この際、乾燥条件としては、乾燥温度は100〜150℃程度であり、乾燥時間は3〜24時間程度である。
【0130】
乾燥させた後、スラリー状の粉砕繊維触媒80bを塗りこんだ発泡Niに加圧処理を加え、さらに不活性雰囲気下(窒素下)中で、例えば、400℃・1時間で焼成し、本発明の脱水素触媒80を作製することができる。前記加圧条件としては、5〜100kg/cm程度が好ましく、20〜80kg/cm程度がさらに好ましい。。また、前記焼成条件としては、焼成温度が350〜450℃程度、好ましくは350〜400℃程度であり、焼成時間は30分〜3時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。このような方法によって粉砕繊維触媒80bがNi多孔質体80aの孔に絡まり、担持固定される。その他、粉砕繊維触媒80bをNi多孔質体80aに担持させる方法としては、スラリー状にした粉砕繊維触媒80bをNi多孔質体80aに吸引して固定させてもよい。
【0131】
また、活性炭繊維に担持される貴金属としては、前記で説明したPtの他、Pt−Ir固溶型複合金属、Pt−Re固溶型複合金属、担持Pt−W固溶型複合金属、等を用いることができる。
【0132】
尚、本実施形態においては、遷移金属系多孔質体として発泡Niを用い、さらに触媒としてPt/C系触媒を用いた場合を例に説明したが、遷移金属系多孔質体及び粉砕繊維触媒としてこれ以外を用いた場合においても同様の構成とすることができる。
【0133】
(第5の実施形態)
本発明の脱水素触媒について図13を参照して説明する。図13は、第5の実施形態の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。図13において本発明の脱水素触媒90は、Ni多孔質体からなるNi多孔質層90aと、Ptを担持した活性炭繊維触媒からなる活性炭繊維層90b〜90b(以下、これらを総じて活性炭繊維層90bという場合がある。)と、Ni多孔質層90aとがこの順に積層された構成となっており、基材90cにNi多孔質層90aが溶接されている。また、本実施形態における脱水素触媒90は、実施例2〜3における脱水素触媒11に転用が可能である。
【0134】
本実施形態の脱水素触媒90は、Ni多孔質体90a及びNi多孔質層90a(以下、これらを総じてNi多孔質層90aという場合がある。)によって5層からなる活性炭繊維層90bを挟んだ構成とすることによって、触媒である活性炭繊維層を高い担持率で担持することができる。また、本実施形態の脱水素触媒90は、それ自体が応力緩和層の役割を果たすため、基材から剥離しにくく、反応器等に設置した場合に水素生成効果を長期に渡って好適に維持することができる。
【0135】
層状である脱水素触媒90の厚さは、基材との熱応力緩和効果を十分に発揮させるため1mm〜20mm程度が好ましく、1mm〜10mm程度がさらに好ましい。また、Ni多孔質層90aの厚さは、十分に活性炭繊維層90bを担持するために、0.1mm〜5mm程度が好ましく、0.1mm〜1mm程度がさらに好ましい。同様に、Ni多孔質層90aの厚さは、十分に活性炭繊維層を担持するため、また、基材との密着性を高める為、0.1mm〜5mm程度が好ましく、0.1mm〜1mm程度がさらに好ましい。なお、前記発泡Niとしては、上述のものを好適に使用することができる。
【0136】
活性炭繊維層90bは、Ptを活性炭繊維に担持させたPt/C系の触媒であり、脱水素触媒としての機能を有する。担体である活性炭繊維に対するPtの担持率としては、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましい。活性炭繊維層90bは、1層又は2層以上で構成することができる。活性炭繊維層90bの全体の厚さとしては、水素生成能を十分に発揮させる観点から、0.1mm〜10mm程度が好ましく、0.1mm〜5mm程度がさらに好ましい。また、脱水素触媒反応のための脱水素触媒90の加熱温度及び反応圧力は第1の実施形態における条件と同様である。
【0137】
本実施形態の脱水素触媒90の製造方法について図14を用いて説明する。図14(a)に示すように、まず、複数枚のPtを担持した活性炭繊維91bが、2枚のNi多孔質体91aで挟まれるように積み重ね、積層体とする。次いで、不活性雰囲気中下(窒素下)で、図14(a)に示すように積層体を両面から加圧し、同時に、例えば、400℃・1時間で焼成することで、図13に示すような本発明の脱水素触媒90を作製することができる。前記加圧条件としては、5〜100kg/cm程度が好ましく、20〜80kg/cm程度がさらに好ましい。また、加圧時間としては、0.5〜24時間程度が好ましく、0.5〜1時間程度が更に好ましい。前記焼成条件としては、焼成温度が350〜450℃程度、好ましくは350〜400℃程度であり、焼成時間は30分〜3時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。このような方法によって発泡Ni体91aの骨格中に活性炭繊維91を、その形状を維持させたまま、高密度及び高担持させることができる。
【0138】
また、活性炭繊維91bに界面活性剤を含浸させておくことで、脱水素触媒90の表面の細孔構造が圧縮によって閉塞することを防止することができる。さらに、活性炭繊維91bは必ずしもシート状のものに限られるものではなく、Ptを担持した活性炭繊維を粉砕したもの用いて、Ni多孔質体91a及び/又は活性炭繊維91bで挟んだ積層体としてもよい。
【0139】
また、触媒としては、前記で説明したPt/C系触媒の他、繊維状の炭素担持Pt−Ir固溶型複合金属触媒、繊維状の炭素担持Pt−Re固溶型複合金属触媒、繊維状の炭素担持Pt−W固溶型複合金属触媒を使用することができる。
【0140】
尚、本実施形態においては、遷移金属系多孔質体として発泡Niを用い、さらに触媒としてPt/C系触媒を用いた場合を例に説明したが、遷移金属系多孔質体及び触媒としてこれ以外を用いた場合においても同様の構成とすることができる。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、基材から剥離しにくく、水素生成効率の高い脱水素触媒及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】反応手段の概略構成例を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3のA−A’線断面図である。
【図5】反応手段を構成する脱水素反応器の一例を拡大して示す斜視図である。
【図6】図5のB−B’線断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の制御回路を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のメインルーチンを示す流れ図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のイグニッションスイッチオフで割り込まれる割り込みルーチンを示す流れ図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の一部を示す概略構成図である。
【図11】本発明の第4の実施形態の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。
【図12】粉砕繊維触媒と非粉砕触媒との触媒担持量を示すグラフである。
【図13】本発明の第5の実施形態の脱水素触媒を説明するための概略断面図である。
【図14】第5の実施形態の脱水素触媒の製造過程を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1…反応手段
2…複室貯留タンク
3…分離タンク
5a(5a、5a…5a)…脱水素反応器
6…インジェクタ(供給装置)
7…シリコーンオイル(加熱媒体)
11,80,90…脱水素触媒
11a,80a,91a…Ni多孔質体
11b…触媒
11c,80c,90c…基材
12…中空体
40…水素ガス貯蔵タンク
42…水素エンジン(水素使用装置)
60…貯留分離タンク
71…再生タンク
80b…粉砕繊維触媒
90a…Ni多孔質層
90b(90b〜90b)…活性炭繊維層
91b…活性炭繊維

Claims (11)

  1. 炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒であって、遷移金属系多孔質体と、前記遷移金属系多孔質体の孔中に担持された触媒と、を備えた脱水素触媒。
  2. 前記遷移金属系多孔質体が、Ni系多孔質体である請求項1に記載の脱水素触媒。
  3. 前記遷移金属系多孔質体が、発泡Niである請求項1に記載の脱水素触媒。
  4. 前記触媒が、Pt/C系触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の脱水素触媒。
  5. 前記触媒が貴金属担持活性炭繊維を粉砕した粉砕繊維触媒である請求項1〜4のいずれかに記載の脱水素触媒。
  6. 前記遷移金属系多孔質体の厚みが、1mm〜20mmである請求項1〜5のいずれかに記載の脱水素触媒。
  7. 前記遷移金属系多孔質体の空隙率が、50〜98%である請求項1〜6のいずれかに記載の脱水素触媒。
  8. 前記遷移金属系多孔質体と前記触媒との質量比が、4:1〜1:1である請求項1〜7のいずれかに記載の脱水素触媒。
  9. 炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒であって、第1の遷移金属系多孔質層と、少なくとも1層の貴金属担持活性炭繊維層と、第2の遷移金属系多孔質層と、をこの順で積層してなる脱水素触媒。
  10. 炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒の製造方法であって、
    貴金属担持活性炭繊維を粉砕した粉砕繊維触媒を液体中に投入しスラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを遷移金属系多孔質体に塗布する工程と、
    不活性雰囲気下で前記スラリーが塗布された遷移金属系多孔質体を焼成する工程と、
    を含んだ脱水素触媒の製造方法。
  11. 炭化水素系燃料の脱水素反応に用いられる脱水素触媒の製造方法であって、
    第1の遷移金属系多孔質体と、単数若しくは複数の貴金属担持活性炭繊維と、第2の遷移金属系多孔質体と、を積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体を不活性雰囲気下で圧縮しながら焼成する工程と、
    を含んだ脱水素触媒の製造方法。
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