JP2005306687A - 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム - Google Patents

水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2005306687A
JP2005306687A JP2004128355A JP2004128355A JP2005306687A JP 2005306687 A JP2005306687 A JP 2005306687A JP 2004128355 A JP2004128355 A JP 2004128355A JP 2004128355 A JP2004128355 A JP 2004128355A JP 2005306687 A JP2005306687 A JP 2005306687A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
hydrogen gas
hydrogen
fuel
fuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004128355A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Hayashi
高弘 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004128355A priority Critical patent/JP2005306687A/ja
Publication of JP2005306687A publication Critical patent/JP2005306687A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

【課題】 少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスから高純度な水素ガスを生成することができる水素ガス分離装置、並びに、これを用いた水素ガス生成装置及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 少なくとも水素ガス、トルエン及び未反応メチルシクロヘキサンを含む混合ガスを供給するガス供給管31と、前記ガス供給管31から前記混合ガスが供給され、且つ、前記混合ガスに含まれる前記トルエン及び未反応メチルシクロヘキサンを溶解するアルキルアルカノールアミド水溶液を収液し、且つ、前記アルキルアルカノールアミド水溶液中を通過した前記水素ガスを排出するガス排出口27を備えた水素ガス分離装置20を、含む水素ガス生成装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高純度の水素ガスを生成することができる水素ガス分離装置、並びに、これを用いた水素ガス生成装置及び燃料電池システムに関し、特に、電気自動車や水素エンジン車等の車両に搭載可能で、かつ車両に搭載された燃料電池や水素エンジン等に水素ガスを供給することができる水素ガス分離装置、並びに、これを用いた水素ガス生成装置及び燃料電池システムに関する。
従来の燃料電池電気自動車は、車両の駆動力を得るための電源としての燃料電池、及びこの燃料電池を用いて発電を行なうための燃料である水素又は水素を生成するための原燃料を搭載しており、水素エンジンを搭載した水素エンジン車も同様に燃料源として水素、又は水素を生成するための原燃料を搭載している。また、近年ガソリンを主燃料とするエンジンにおいても、ガソリンと空気とを混合した混合ガスを燃焼させてエンジンを発動させる際に、さらに水素を添加する技術の実用化が検討されている。
このように、自動車用燃料としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、水素エンジンなどの内燃機関、及び電気自動車などに搭載される燃料電池など内燃機関以外の水素使用装置において水素の利用が増加するものと推定される。
ところが、水素の供給方法に関する技術は未だ確立されていないのが現状であり、内燃機関や燃料電池等に水素を供給しようとする場合には、車両に水素又は水素を生成するための原燃料を搭載する必要がある。すなわち、水素を搭載する場合には、水素ガスを圧縮して高圧に若しくは液状にして充填したボンベ(高圧タンクや液体水素タンクなど)、又は水素を吸蔵する水素吸蔵合金や水素吸着材料によって搭載し、原燃料を搭載する場合には、原燃料としてのメタノール又はガソリン等の炭化水素とこの原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する水素ガス生成装置とが搭載される。
しかしながら、車両に水素を搭載する場合、高圧タンクに圧縮した状態で搭載すると、高圧タンクはタンク体積に対しての壁厚が厚く内容積が制限されているために水素充填量が少ないとう問題点がある。また、水素を液体水素として搭載する場合は、気化ロスがあるほか、液化に多大なエネルギーを要するため総合的なエネルギー効率の点で望ましくない。また、水素吸蔵合金や水素吸着材料では、電気自動車や水素エンジン車に必要とされる水素貯蔵密度が不充分であり、また水素の吸蔵や吸着等を制御するのが非常に困難である。更に、水素を高圧化、液化したり、吸蔵するために設備を別途整備する必要もある。
これに対し、有機ハイドライド等の原燃料を搭載する電気自動車や水素エンジン車等は、車両に水素自体を搭載する場合に比して、1回の燃料補給で走行可能距離が長いという利点を有している。また、炭化水素系の原燃料は水素ガスに比較して輸送等の取り扱いが容易であるという利点も有している。更に、水素は燃焼しても空気中の酸素と結合して水となるだけで公害の心配がない。
炭化水素系燃料の脱水素化方法としては、デカリンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、テルニウム、ニッケル、及び白金の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、有機リン化合物のロジウム錯体の存在下、又は有機リン化合物とロジウム化合物との存在下で、デカリンに光を照射することによってデカリンから水素を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。デカリンの脱水素/水素化反応は以下のように行なわれる。
1018(デカリン) ⇔ C108(ナフタレン)+5H2(水素)
上記のようなデカリンの脱水素反応を利用して水素ガスを生成し、燃料電池などの水素使用装置に水素供給する水素ガス生成装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、従来の水素ガス生成装置は、連続して長時間作動させておくと、徐々に出力が低下するといった問題がある。通常、従来の水素ガス生成装置には、炭化水素系燃料の脱水素反応によって生成した水素ガスや、脱水素ガス生成物及び未反応の炭化水素系燃料等の有機物を含む混合ガスから前記脱水素ガス生成物等の不純物(有機物)を除去して高純度な水素ガスを生成するための分離手段が設けられている。従来の分離手段は、水素ガスを含む混合ガスを冷却することにより、混合ガスに含まれる脱水素ガス生成物及び未反応の炭化水素系燃料等の有機物を液化又は析出等させて除去し、水素ガスの純度を高めていた。
しかしながら、混合ガスから脱水素ガス生成物及び未反応の炭化水素系燃料等の有機物を完全に除去することは困難である。このため、分離手段による分離後であっても燃料電池に供給される水素ガスには脱水素ガス生成物等の有機物が未だ残存しており、このような有機物を含む水素ガスを燃料電池に供給すると、徐々に有機物が燃料電池の電極を被覆して劣化させてしまう。このように、電極が被覆劣化してしまうと、燃料電池の発電性能を低下させる要因となることから、水素ガスの更なる高純度化が急務となっている。
特公平3−9091号公報 特公平5−18761号公報 特開2002−255503公報
以上のように、特に燃料電池や水素エンジン等をはじめとする水素使用装置に水素ガスを供給しようとする場合、供給される水素ガス中の水素濃度が高いことが重要である。即ち、脱水素ガス生成物や未反応炭化水素系燃料等の有機物の含有量の高い水素ガスを水素使用装置に供給しても、上述の電極の被覆劣化に加えて、水素分圧が低いことから高性能が得られ難かったり、反応に要するエネルギー消費量が多くなってしまう。このため、系全体のエネルギー利用効率の低下するなど、現実に車載する際に問題となることがあった。
本発明は、上記に課題を解決すべく、炭化水素系燃料の脱水素ガス生成物や未反応炭化水素系燃料等の有機物と水素ガスとを含む混合ガスから高純度な水素ガスを生成することができる水素ガス分離装置、並びに、これを用いた水素ガス生成装置及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の本発明である本発明の水素ガス分離装置は、少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段から前記混合ガスが供給され、且つ、前記混合ガスに含まれる前記有機物を溶解する非イオン性界面活性剤水溶液を収液した収液タンクと、前記非イオン性界面活性剤水溶液中を通過した前記水素ガスを排出するガス排出手段と、を備えて構成される。
本発明の水素ガス分離装置によれば、前記非イオン性界面活性剤水溶液中に前記混合ガスを通過させることで、混合ガス中の有機物を前記イオン性界面活性剤水溶液中に溶解させることができる。これにより、混合ガスから有機物を分離して、混合ガス中の有機物含有量を低減させることができ、結果として、高純度の水素ガスを生成することができる。
尚、本明細書中において、有機物とは、炭化水素系燃料、及び、炭化水素系燃料の脱水素反応によって生じた脱水素ガス生成物を意味し、これらは通常ガス状になっている。前記脱水素ガス生成物とは、炭化水素系燃料を脱水素化して水素を放出した後の反応生成物であり、例えば、炭化水素系燃料が、デカリン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン又は2−プロパノールの場合には、ナフタレン、トルエン、ベンゼン又はアセトンが各々相当する。すなわち、炭化水素系燃料を脱水素反応させると、水素ガスと共に、不飽和結合を持つ脱水素ガス生成物が反応生成物として生成される。
また、上記炭化水素系燃料とは、水素を発生し得る炭化水素系化合物を含む燃料であり、脂環式炭化水素、環式、非環式の脂肪族炭化水素を単一成分又は混合成分として含む燃料が含まれる。脂環式炭化水素には、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単環性脂環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、メチルテトラリン等の二環性脂環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環性脂環式化合物、等が含まれる。非環式脂肪族炭化水素には、CHからなるアルカン類に加え、2−プロパノ−ル、メタノール、エタノール等のアルコール類も含まれる。上記炭化水素系燃料としては、デカリン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリン、2−プロパノ−ルが好ましく、デカリン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、2−プロパノ−ルが特に好ましい。
上記の炭化水素系燃料から水素が発生する脱水素反応において、炭化水素系燃料から生成される脱水素ガス生成物は、これに水素供給して水素化する水素化反応において水素付加された炭化水素系燃料に再生することもできる。例えばデカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料を用いた場合、燃料中のデカリンを脱水素反応させたときには、水素ガスと共に脱水素ガス生成物としてナフタレンが生成され、逆に生成されたナフタレンを水素添加により水素化反応させたときには、ナフタレンの水素化物であるデカリン及び/又はテトラリンが再生され、再利用することができる。同様に、メチルシクロヘキサンからなる燃料又はメチルシクロヘキサンを主成分とする燃料を用いた場合、燃料中のメチルシクロヘキサンを脱水素反応させたときには、水素ガスと共に脱水素ガス生成物としてトルエンが生成され、逆に生成されたトルエンを水素添加により水素化反応させたときには、トルエンの水素化物であるメチルシクロヘキサンが再生される。
また、前記非イオン性界面活性剤水溶液としては、例えば、アルキルアルカノールアミド、ノニルフェニルエトキシレート、オクチルフェニルポリオキシエチレンエーテル等を溶解した水溶液が挙げられる。特に、前記アルキルアルカノールアミド水溶液は前記有機物を溶解しやすいことから、本発明の水素ガス分離装置における収液タンクに収液する非イオン性界面活性剤水溶液として有用である。
また、前記非イオン性界面活性剤水溶液に含まれる非イオン性界面活性剤の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。特に、上記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.1〜10質量%の範囲内にあると、前記混合ガスに含まれる有機物に対する溶解性を向上させることができる。
また、前記収液タンク内に前記混合ガスの通過を妨げる障壁を設けてもよい。これにより、前記混合ガスがタンク内を対流するように構成することができる。混合ガスがタンク内を対流するように構成すると、混合ガスと溶媒とが接触している時間が増える為、混合ガス中の有機物が非イオン性界面活性剤水溶液中に溶解しやすく、水素ガスの分離能を向上させることができる。
前記障壁は板状であってもよく、網目構造を有するものであってもよい。前記障壁が板状である場合には、混合ガスの流通路を確保するために、例えば、収液タンクの上壁と底壁とに流通方向に向かって交互に設置したり、両側壁に交互に設置すればよい。この場合、混合ガスが非イオン性界面活性剤水溶液と接触する時間を多くするために、混合ガスがタンク内をジクザグに流通するように障壁を設置するのがよい。
また、前記障壁としてフィルター等の網目構造を有する障壁を設置する場合、網目構造の網目を混合ガスの流通経路とすることができる。複数の網目構造の障壁を設ける場合には、網目の大きさの異なるものを用いてもよい。
更に、本発明の水素ガス分離装置は、収液タンク内に攪拌手段を設けて、前記混合ガスをタンク内で対流させるように構成することができる。前記攪拌手段によって非イオン性界面活性剤水溶液を攪拌すると、混合ガスと非イオン性界面活性剤水溶液とが接触している時間が増える為、混合ガス中の有機物が非イオン性界面活性剤水溶液中に溶解しやすく、水素ガスの分離能を向上させることができる。前記攪拌手段としては、回転羽等を用いることができる。
本発明の水素ガス分離装置は、前記炭化水素系燃料を加熱された前記触媒上で脱水素反応させて水素ガスを生成する反応タンクを備えた水素ガス生成装置に好適に用いることができる。
第2の本発明である本発明の水素ガス生成装置は、上述の本発明の水素ガス分離装置と、前記炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段、触媒、及び、前記触媒を加熱する加熱手段を有し、前記燃料供給手段から供給された前記炭化水素系燃料を加熱された前記触媒上で脱水素反応させて少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを生成する反応タンクと、を設け、前記反応タンクにおいて生成された前記混合ガスを前記水素ガス分離装置に供給し、前記混合ガスから水素ガスを分離するように構成することができる。
本発明の水素ガス生成装置によれば、上述の本発明の水素ガス分離装置によって、反応タンクにおいて生成した混合ガスから有機物を高確率で分離することができ、高純度な水素ガスを燃料電池等に供給することができる。
本発明の水素ガス生成装置は、燃料電池等をはじめとする水素使用装置、あるいはエンジン等の内燃機関(吸気系や排気系、燃焼室等)に水素を供給する場合に、高圧タンクや液体水素タンクなどの搭載や、水素吸蔵合金等による吸着・吸蔵、メタノールやガソリン等燃料の改質によることなく水素の供給が行なえ、特にエネルギー利用の高効率化と装置全体の小型・軽量化が図れると共にクリーンなシステムを構築することができる。
第3の本発明である、本発明の燃料電池システムは、前記炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段、触媒、及び、前記触媒を加熱する加熱手段を有し、前記燃料供給手段から供給された前記炭化水素系燃料を加熱された前記触媒上で脱水素反応させて少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを生成する反応タンクと、前記反応タンクにおいて生成された前記混合ガスから水素リッチガスを分離する分離手段を有した分離タンクと、を備えた水素ガス生成装置と、前記水素リッチガスを供給するガス供給手段、前記ガス供給手段から前記水素リッチガスが供給され且つ前記水素リッチガスに含まれる前記有機物を溶解する溶媒を収液した収液タンク、及び、前記溶媒中を通過した前記水素ガスを排出するガス排出手段を備え、前記水素リッチガスから前記水素ガスを精製する水素ガス精製装置と、前記水素ガス精製装置よって精製された前記水素ガスが供給される燃料電池と、を含んで構成することができる。
本発明の燃料電池システムによれば、水素ガス生成装置に備えられた反応タンクで生成され、分離タンクにおいて有機物含有量が低減された水素リッチガスを前記水素ガス精製装置に供給し、水素ガス精製装置に収液された溶媒中を通過させることで、水素リッチガスに含まれる微量な有機物を溶媒中に溶解させることができる。これにより、水素リッチガスから微量な有機物を分離して、水素リッチガス中の有機物含有量を低減させることができ、結果として、高純度の水素ガスを燃料電池に供給することができる。
前記水素ガス精製装置に収液される溶媒としては、水素リッチガスに含まれる有機物を溶解可能な溶媒であれば特に限定されず、上述の非イオン性界面活性剤溶液や、デカリン、メチルシクロヘキサン等の有機溶媒を用いることができる。
前記溶媒としては、非イオン性界面活性剤水溶液が有用である。前記溶媒として非イオン性界面活性剤水溶液を用いる場合には、上述の本発明の水素ガス分離装置を、前記水素ガス精製装置として好適に用いることができる。
また、前記溶媒としてはデカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、メチルテトラリン等の二環性脂環式炭化水素も好ましい。該二環性脂環式炭化水素としては、飽和蒸気圧濃度500ppm以下の二環性脂環式炭化水素が好ましく、200ppm以下の二環性脂環式炭化水素が更に好ましく、100ppm以下の二環性脂環式炭化水素が特に好ましい。該二環性脂環式炭化水素の飽和蒸気圧濃度が500ppm以下であると、水素リッチガスに含まれる有機物をより高確率で溶解することができ、水素ガスの純度を向上させることができる。該二環性脂環式炭化水素の飽和上記圧濃度の下限は特に限定はなく、0に近いほど好ましく、具体的には、0.01ppm以上である。
ここで、上記「飽和蒸気圧濃度」は、0℃・大気圧の条件下において測定した値である。前記飽和蒸気圧濃度は、一般的に、トラッパーから放出された気体をガスクロマトグラフィーで分析することによって得ることができる。
また、上述の水素ガス生成装置には、単一又は複数の貯留手段を設けることができる。本発明においては、炭化水素系燃料を貯留する燃料貯留部と脱水素ガス生成物を貯留する脱水素物貯留部とで構成された単一の貯留手段を設けることが、特に望ましい。このように、貯留手段を単一の貯留タンク等の単一構造に構成することにより装置全体をよりコンパクトにすることができる。
この場合、脱水素反応に用いられる炭化水素系燃料はこれを貯留した貯留手段から反応タンクに向けて供給され、供給された炭化水素系燃料を脱水素化した脱水素ガス生成物を同一の貯留手段(脱水素物貯留部)に戻して貯留することができる。脱水素物貯留部に貯留された脱水素ガス生成物は、反応タンクの触媒加熱用燃料として用いることができる。
また、脱水素ガス生成物を水素化反応させて炭化水素系燃料に再生することも可能であり、この際には貯留手段に貯留されている脱水素ガス生成物が反応タンクに向けて供給され、水素化反応により再生された炭化水素系燃料は再び同一の貯留手段の炭化水素系燃料が貯留されている領域(燃料貯留部)に戻すように構成することもできる。
また、貯留手段、具体的には炭化水素系燃料を貯留する燃料貯留部と脱水素ガス生成物を貯留する脱水素物貯留部は、伸縮性樹脂材料で構成されたものが望ましい。本発明の水素ガス生成装置は、系内に貯留された炭化水素系燃料を脱水素反応/水素化反応の反応サイクルにより循環利用することができ、多量に水素ガス生成したときには炭化水素系燃料の貯留量は減少し脱水素ガス生成物が多量に貯留され、逆に多量に脱水素ガス生成物を水素化したときには脱水素ガス生成物の貯留量は減少し炭化水素系燃料が多量に貯留されるので、伸縮可能に構成して減少する側は小さく縮めておくことで限られた空間を有効利用でき、より小型化を図ることができる。
伸縮性樹脂材料は、例えばポリアミド、ポリエチレン、ナイロン等の公知の樹脂材料を用いて伸縮させて形状可変に構成された袋状等の容器(例えば、樹脂製バッグ)などを用いて好適に構成することができる。
また、前記水素ガス生成装置の反応タンクに備えられる加熱手段は、脱水素反応後の脱水素ガス生成物等の有機物を燃焼させたときの燃焼熱を利用する態様が効果的である。これにより、電気ヒータ等のエネルギー消費の大きい部材を不要にし、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。
本発明の燃料電池システムに含まれる水素ガス生成装置に備えられた分離タンクが有する分離手段は、混合ガスに含まれる有機物を分離できるものであれば特に限定されない。前記分離手段としては、混合ガスを冷却して有機物を析出させる冷却手段等が挙げられる。また、上述の本発明の水素ガス分離装置を、前記分離タンクとして好適に用いることもできる。
また、前記分離タンクとしては、例えば、少なくとも水素ガスと脱水素ガス生成物とを含む混合ガスを冷却し、前記混合ガスから前記脱水素ガス生成物を分離する冷却手段と、吸着材を備え、前記冷却手段によって冷却された前記混合ガスに残存する前記脱水素ガス生成物を前記吸着材に吸着させて分離させる吸着手段と、を備えた水素ガス分離タンクを用いることができる。
本発明によれば、少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスから高純度な水素ガスを生成することができる水素ガス分離装置及びこれを用いた水素ガス生成装置を提供することができる。
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、燃料電池を用いた電気自動車に搭載用の水素ガスを燃料とする燃料電池と、非イオン性界面活性剤水溶液としてアルキルアルカノールアミド水溶液を収液する本発明の水素ガス分離装置(分離タンク)を備えた水素ガス生成装置と、を含む燃料電池システムに関するものである。また、本発明の水素ガス生成装置は、メチルシクロヘキサンの脱水素反応により生成した水素ガス及びトルエン並びに未反応メチルシクロヘキサンを含む混合ガス(以下、単に「混合ガス」と称する。)を、本発明の水素ガス分離装置(分離タンク)を通じて分解し、高純度の水素ガスを生成するものである。
本実施の形態は、メチルシクロヘキサンを高温触媒の存在下で反応させ、水素ガスとトルエンとを生成させるメチルシクロヘキサン/トルエン反応(脱水素反応)を利用したものであり、水素分子を吸着貯蔵するのではなく、化学結合により原燃料中に貯蔵するようにしたものである。即ち、本実施の形態は、メチルシクロヘキサンを炭化水素系燃料として用い、メチルシクロヘキサンの脱水素反応により水素ガスを生成するシステムに関する。
以下、本発明の水素ガス生成装置の第1の実施の形態について図1を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における水素ガス生成装置を示す概略図である。図1において本発明の水素ガス生成装置は、反応タンク10と、水素ガス分離装置20と、貯留タンク30と、から構成される。本実施の形態における水素ガス生成装置は、貯留タンク30に貯留されたメチルシクロヘキサンを反応タンク10において脱水素化して水素ガスとトルエンとを生成し、水素ガス分離装置20において、これらと未反応のメチルシクロヘキサンとを含む混合ガスからトルエンや未反応メチルシクロヘキサン等の有機物を分離し、高純度の水素ガスを燃料電池40に供給できるように構成されている。
反応タンク10は、触媒11、触媒11を加熱するための燃焼室(加熱器)12、及び触媒11に原燃料であるメチルシクロヘキサンを供給する噴射装置13を備えている。
触媒11は、高伝熱性基板の一方の側(メチルシクロヘキサンが供給される側)に水素ガス生成のための脱水素反応触媒が担持され、他方の側にトルエンを酸化して燃焼反応を行なう遷移金属酸化物触媒が担持された構成を有している。
燃焼室12は、被燃焼成分であるメチルシクロヘキサンを供給するための供給装置14と、空気供給用の供給装置15と、燃焼後に生じた燃焼廃棄物(ガス)を排気する排気口16と、図示を省略する点火装置と、で構成されている。供給装置14は、配管17の一端と接続され、配管17を介して貯留タンク30と連通されており、貯留タンク30からメチルシクロヘキサンを燃焼室12内に供給できるようになっている。燃焼室12内に被燃焼成分として供給されたメチルシクロヘキサンは、供給装置15から供給される空気と混合されて遷移金属酸化物触媒作用により燃焼室12内で燃焼し、その燃焼熱を利用して触媒11が加熱される。脱水素反応は吸熱反応であることから、脱水素反応時には反応に必要な反応熱が触媒11に供給されるように構成されている。
触媒11は、高伝熱性基板に脱水素触媒を担持させた構成を有する。該脱水素触媒としては、Pt、Pd、Rh、Ru等の貴金属や、Ni、Co、Fe、W等の卑金属を単一あるいは複合させたものをカーボンやアルミナ等の高比表面積担体に高分散で担持したものを用いることができる。
反応タンク10の上壁には、噴射装置13が取り付けられている。噴射装置13は供給管18の一端と接続されており、供給管18を介して貯留タンク30と連通している。噴射装置13は、供給管18を介して供給されるメチルシクロヘキサンを霧状にして触媒11上に噴射又は添加等できるように構成されている。
反応タンク10の側壁には、メチルシクロヘキサンの脱水素化反応によって生成された水素ガス及びトルエンと、未反応のメチルシクロヘキサンと、を含む混合ガスを排出するための排出口19が設けられており、反応タンク10内で生成した混合ガスを水素ガス分離装置20に供給できるようになっている。
図1に示すように、水素ガス分離装置20は、ガス供給管31を介して反応タンク10と連通されており、ガス供給管31を介して反応タンク10で生成した混合ガスが供給されるようになっている。水素ガス分離装置20には、トルエン及び未反応シクロヘキサン等の有機物を溶解可能な溶媒としてアルキルアルカノールアミド水溶液22が収液されており、供給された混合ガス23が液中を通過できるようになっている。また、水素ガス分離装置20のタンク内部には障壁21a〜21fが設けられており、混合ガス23の流通路を形成している。更に水素ガス分離装置20の底面側には、逆止弁24を備え且つ反応タンク10に設けられた排出口19の一端に接続されたガス供給管31の他端が接続されており、水素ガス分離装置20の底面側から混合ガス23をアルキルアルカノールアミド水溶液22中に放出できるようになっている。
前記アルキルアルカノールアミド水溶液22は、非イオン性界面活性であるアルキルアルカノールアミドを水に溶解して調製したものである。該アルキルアルカノールアミド水溶液22中に含まれるアルキルアルカノールアミドの含有量は、10質量%以下である。この際、溶解効率の向上を図る観点から、アルキルアルカノールアミド水溶液22の液温は、1〜80℃程度に保つことが好ましく、20〜80℃程度に保つことが更に好ましい。
混合ガス23が水素ガス分離装置20に収液されたアルキルアルカノールアミド水溶液22中に供給されると、混合ガス23中の未反応シクロヘキサン及びトルエン等の有機物のみがアルキルアルカノールアミド水溶液22に溶解するため、有機物とアルキルアルカノールアミド水溶液に不溶な水素ガスとを分離することができる。
図2を用いて、アルキルアルカノールアミド水溶液22が有機物であるトルエンを溶解する作用について説明する。図2は、非イオン性界面活性剤水溶液の溶解作用を説明するための概略図である。図2(a)に示すように、トルエン分子25がアルキルアルカノールアミド水溶液(非イオン性界面活性剤水溶液)26中に放出されると非イオン性界面活性剤26が、図2(b)に示すようにトルエン分子の周りに付着し、界面活性効果によりトルエンを水に溶解できるようになる。これに対し、水素ガスはアルキルアルカノールアミド水溶液中に不溶であるため、混合ガス中の有機物を混合ガスから分離することが可能となり、結果として高純度の水素ガスを生成することができる。
アルキルアルカノールアミド水溶液22としては、例えば、市販品のアミノーン(花王(株)製)等を好適に用いることができる。
図1に示すように、障壁21a〜21fは、長手方向が略水平になるように水素ガス分離装置20内の側壁に設置される。障壁21a〜21fは、混合ガス23の流通経路を確保して、混合ガス23中の有機物とアルキルアルカノールアミド水溶液22との接触時間を多くするために、混合ガス23の流通方向に向かって(図面下方から上方に向かって)交互になるように左右の側壁に設置されている。このように障壁21a〜21fを交互に設置して混合ガスがジグザグに流通するようにすることで、限られたスペース内で効率良く混合ガス23とアルキルアルカノールアミド水溶液22との接触時間を確保できるため水素ガス分離装置20の水素分離能を高めることができる。尚、障壁21a〜21fの個数、大きさ等は水素ガス分離装置20のサイズに併せて適宜選定することができる。
水素ガス分離装置20に収液されるアルキルアルカノールアミド水溶液22中の有機物濃度が上昇した場合は、図示を省略する液排出口により排出し、新しいアルキルアルカノールアミド水溶液を供給できるように構成することができる。また、アルキルアルカノールアミド水溶液22用貯留タンクを別途設けてもよい。この場合、水素ガス生成装置の起動中、アルキルアルカノールアミド水溶液22を、水素ガス分離装置20及びアルキルアルカノールアミド水溶液22用貯留タンク間をポンプを用いて常に若しくは一定間隔で循環させたり、水素ガス分離装置20内の有機物濃度をモニターして、かかる有機物濃度の上昇に伴ってポンプをコントロールしてアルキルアルカノールアミド水溶液を循環させるように制御してもよい。
更に水素ガス分離装置20の上壁には、アルキルアルカノールアミド水溶液22中を流通してきた混合ガス(即ち、有機物が除去された水素ガス)を排出するガス排出口27が設けられている。また、ガス排出口27には、燃料電池40のアノード側と一端で接続する水素供給管28の他端が接続されており、ガス排出口27から排出された水素ガスを燃料電池40に供給できるように構成されている。
図1に示すように、貯留タンク30にはメチルシクロヘキサンが貯留されており、外部からメチルシクロヘキサンを供給するための図示を省略する供給口が設けられている。また、貯留タンク30は供給管18の他端及び配管17の他端が接続されている。
本実施形態において、イグニッションスイッチがオンされると、燃焼室12に貯留タンク30において貯留されたメチルシクロヘキサンが配管17を介して供給装置14から供給されると共に、供給装置15から空気が供給されて燃焼室12内で燃焼され、反応に必要とされる所望の温度まで触媒11が加熱される。
触媒11が脱水素反応に要する所望の温度に達した後、貯留タンク30内のメチルシクロヘキサンが、供給管18を介して噴射装置13から触媒11上に霧状に噴射され、脱水素反応に共される。
触媒11の表面温度は、脱水素反応時には200〜500℃に制御され、また後述する水素化時には200℃未満に制御されるのが好ましい。この理由は、表面温度を200℃未満にすると水素化反応が優先的に進行し、200℃以上になると脱水素反応が優先的に進行し、また、500℃を越えるとカーボンデポジットが生じるなど実用的でないからである。
加熱された触媒11上にメチルシクロヘキサンが供給されると、水素ガスとトルエンとを生成し、こられらと未反応メチルシクロヘキサンとを含む混合ガス23がガス供給管31を挿通して水素ガス分離装置20に供給される。
水素ガス分離装置20に供給された混合ガスは、アルキルアルカノールアミド水溶液22中に供給され、該水溶液中を流通する際、混合ガスに含まれる有機物がアルキルアルカノールアミド水溶液22に溶解されて水素ガスと分離される。アルキルアルカノールアミド水溶液22に不溶な水素ガスはさらに、微量に混在する有機物と分離されながらアルキルアルカノールアミド水溶液中を浮上し、ガス排出口27から排出され、水素供給管28を通じて燃料電池40に供給される。
燃料電池40は、水素ガスが供給されるアノードと酸化剤(空気)が供給されるカソードとを備えた固体高分子型燃料電池であり、水素ガス分離装置20から水素ガスが供給されることによって発電する。
更に、本実施の形態においては、図示を省略する余剰水素ガスを貯蔵するための予備タンクを設け、水素ガス分離装置20において分離された水素ガスを予備タンクに貯蔵するように構成してもよい。通常、車両を停止させて水素使用装置での発電を停止した場合など、噴射装置13からのメチルシクロヘキサンの供給を停止すると共に、供給装置14からのトルエン及び空気の供給を停止して脱水素反応を停止させる。この際、噴射装置13からの供給を停止した後も少量の水素ガスが分離、排出されるので、発生した水素ガスを上述の予備タンクを設けて貯蔵するようにしてもよい。
尚、上記のように予備タンクに貯蔵された水素ガスは、燃料電池の始動や後述のトルエンの水素化反応、他の水素使用装置に利用することができる。
本実施の形態によれば、メチルシクロヘキサンの脱水素反応によって発生した水素ガス及びトルエンと、未反応のメチルシクロヘキサンとを含む混合ガスを本発明の水素ガス分離装置に供給することで、混合ガスからトルエン及びシクロヘキサン等の有機物を除去することができ、高純度の水素ガスを生成することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の水素ガス生成装置の第2の実施の形態を図3を参照して説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る分離タンクを示す概略図である。本実施形態は、第1の実施の形態における分離タンクに転用可能な分離タンクを用いた態様であり、分離タンク以外の部材については第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。尚、燃料は第1の実施の形態で使用した燃料を用いることができる。
図3において水素ガス分離装置50には、第1の実施の形態と同様に、非イオン性界面活性剤としてアルキルアルカノールアミド水溶液が収液されており、タンク内部には攪拌機51a〜51dが設けられている。水素ガス分離装置50の底面側には、反応タンク10と接続されたガス供給管31の他端が接続されており、反応タンク10によって生成された水素ガス及びトルエンと併せて未反応シクロヘキサンを含む混合ガス23が供給されるように構成されている。反応タンク10から供給された混合ガス23は、水素ガス分離装置50の内部に収液されたアルキルアルカノールアミド水溶液22中を、攪拌機51a〜51dの各々によって攪拌されながら流通する。この際、混合ガス23に含まれる有機物が、アルキルアルカノールアミド水溶液22に溶解し、アルキルアルカノールアミド水溶液22に不溶な水素ガスと分離される。
攪拌機51a〜51dは、アルキルアルカノールアミド水溶液22の液流により回転するような構造であってもよいし、別途攪拌機51a〜51b用の駆動システムを設けて、電力等により回転するような構造としてもよい。本実施の形態においては、攪拌機51a〜51dとして、回転羽を有するプロペラを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、公知の攪拌機を適宜選定して用いることができる。尚、攪拌機51a〜51dの個数、大きさ等は水素ガス分離装置50のサイズに併せて適宜選定することができる。
水素ガス分離装置50の上壁には、アルキルアルカノールアミド水溶液22中を流通してきた混合ガス(即ち、有機物が除去された水素ガス)を排出するガス排出口52が設けられている。また、ガス排出口52には、図1における燃料電池40のアノード側と一端で接続する水素供給管28の他端が接続されており、ガス排出口52から排出された水素ガスを燃料電池40に供給できるように構成されている。
(第3の実施の形態)
本発明の水素ガス生成装置の第3の実施の形態を図4を参照して説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態に係る分離タンクを示す概略図である。本実施形態は、第1の実施の形態における分離タンクと転用可能な分離タンクを用いた態様であり、分離タンク以外の部材については第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。尚、燃料は第1の実施の形態で使用した燃料を用いることができる。
図4において水素ガス分離装置60には、第1の実施の形態と同様に、有機物溶解可能な非イオン性界面活性剤としてアルキルアルカノールアミド水溶液が収液されており、タンク内部にはフィルター61a〜61hが設けられている。水素ガス分離装置60の底面側には、反応タンク10と接続されたガス供給管31の他端が接続されており、反応タンク10によって生成された水素ガス及びトルエンと併せて未反応シクロヘキサンを含む混合ガスが供給されるように構成されている。反応タンク10から供給された混合ガス23は、水素ガス分離装置60の内部に収液されたアルキルアルカノールアミド水溶液22中をフィルター61a〜61hの各々によって対流を生じさせられながら通過する際に、有機物がアルキルアルカノールアミド水溶液中に溶解し、アルキルアルカノールアミド水溶液に不溶な水素ガスと分離される。
水素ガス分離装置60の内部に設けられたフィルター61a〜61hは、長手方向が略水平になるようにタンク内に設置される。反応タンク10から供給された混合ガスは、フィルター61a〜61hを通過する際にフィルター61a〜61hの網目によって小さな気泡とされる。また、フィルター61a〜61hによって混合ガスの移動が阻害されるため、水素ガス分離装置60内での残留時間が増加する。このように水素ガス分離装置60にフィルター61a〜61hを設置することで、混合ガス中のトルエンや残存メチルシクロヘキサン等の有機物の溶解効率を高めることができ、水素ガス分離装置60の水素分離能を高めることができる。
また、フィルター61a〜61hの網目の粗さは、フィルター61a〜61hの全てが同じであってもよいが、水素ガス分離装置60の底面側から上面側(デカリンの液流方向)に向かって網目の粗さが細かくなるように設置するのが好ましい。尚、フィルター61a〜61hの個数、大きさ等は水素ガス分離装置60のサイズに併せて適宜選定することができる。
水素ガス分離装置60の上壁には、アルキルアルカノールアミド水溶液22中を流通してきた混合ガス(即ち、有機物が除去された水素ガス)を排出するガス排出口62が設けられている。また、ガス排出口62には、図1における燃料電池40のアノード側と一端で接続する水素供給管28の他端が接続されており、ガス排出口62から排出された水素ガスを燃料電池40に供給できるように構成されている。
上述した第1〜3の実施の形態では、水素ガス生成用の燃料としてメチルシクロヘキサンを用いた例を中心に説明したが、既述のメチルシクロヘキサン以外の炭化水素系燃料を用いた場合においても同様である。また、水素使用装置について、特に車載の燃料電池及び水素エンジンを例に説明したが、本発明は燃料電池や水素エンジン以外の、ガソリンエンジン等の内燃機関や他の水素使用装置に適用することもできる。
さらに、上述の実施形態では、縦置き型の分離タンクについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、横置き型の分離タンクであってもよい。また、分離タンクの構造も上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、混合ガスの流通時間を確保するために、分離タンクをジグザグ状の管で構成してもよい。
(第4の実施の形態)
本実施の形態においては、水素ガス生成装置と、水素ガス精製装置と、燃料電池と、を含んでなる燃料電池システムについて説明する。水素ガス生成装置によって生成された水素ガスには、微量ではあるが未反応の炭化水素系燃料や脱水素ガス生成物が含まれている。本実施の形態における燃料電池システムは、水素ガス生成装置において生成された水素ガスを、更に水素ガス精製装置によって精製し、高度に精製された水素ガスを燃料電池に供給するシステムである。以下、水素ガス生成装置によって生成され水素ガス精製装置によって精製される前の水素ガスを「水素リッチガス」と称する。また、本実施の形態は、シクロヘキサンを炭化水素系燃料として用い、シクロヘキサンの脱水素反応により水素ガスを生成するシステムに関する。
以下、図5〜6を用いて本実施の形態における燃料電池システムについて説明する。但し、第1の実施の形態と同様の構成を示す部材については同様の番号を付し、その説明を省略する。図5は、本発明の第4の実施の形態における燃料電池システムを示す概略図である。図5に示すように本発明の燃料電池システムは、水素ガス生成装置100と、水素ガス精製装置110と、燃料電池40とから構成されている。また、本実施の形態は、二つの伸縮性樹脂バッグを内装した単一の貯留タンク70を用いてシクロヘキサン及び生成ベンゼンをともに貯留するようにしたものである。
図5において水素ガス生成装置100は、貯留タンク70と、反応タンク10と、分離タンク80と、から構成されており、貯留タンク70に貯留されたシクロヘキサンが反応タンク10において脱水素化され、水素ガスとベンゼンとを生成し、分離タンク80においてこれらと未反応のシクロヘキサンとを含む混合ガスからベンゼンや未反応シクロヘキサンを分離し、水素ガス濃度の高い水素リッチガスを水素ガス精製装置110に供給できるように構成されている。
反応タンク10は、触媒11、触媒11を加熱するための燃焼室(加熱器)12、及び触媒11に原燃料であるシクロヘキサンを供給する噴射装置13を備えている。尚、反応タンク10の各部材については第1の実施の形態と同様の構成を有するためその説明を省略する。
燃焼室12は、被燃焼成分であるベンゼンを供給するための供給装置14と、空気供給用の供給装置15と、燃焼後に生じた燃焼廃棄物(ガス)を排気する排気口16と、図示を省略する点火装置と、で構成されている。供給装置14は、配管17の一端と接続され、配管17を介して貯留タンク70のベンゼン貯留部71と連通されており、貯留タンク70から被燃焼成分であるベンゼン(シクロヘキサンと共にでもよい)を燃焼室12内に供給できるようになっている。燃焼室12内に被燃焼成分として供給されたベンゼンは、供給装置15から供給される空気と混合されて遷移金属酸化物触媒により燃焼室12内で燃焼され、その燃焼熱を利用して触媒11は加熱される。脱水素反応は吸熱反応であり、脱水素反応時には反応に必要な反応熱が触媒11に供給される。
反応タンク10の上壁には、噴射装置13が取り付けられている。噴射装置13は供給管18の一端と接続されており、供給管18を介して貯留タンク70から供給されるシクロヘキサンを霧状にして触媒11上に噴射又は添加等できるように構成されている。
反応タンク10の側壁には、シクロヘキサンの脱水素化反応によって生成された水素ガスとベンゼンとの混合ガスを排出するための排出口19が設けられており、ガス供給管33を介して、反応タンク10内で生成した混合ガスを分離タンク80に供給できるようになっている。
図5において分離タンク80は、冷却室81と、吸着室82と、分離膜83とから構成されており、それぞれにおいて混合ガス中に残存する有機物を混合ガスから分離できるようになっている。
図6を用いて分離タンク80について詳細に説明する。図6は、本発明の第4の実施の形態に係る分離タンクを示す概略図である。分離タンク80は、ガス供給管33を介して反応タンク10と連通されており、反応タンク10で生成した混合ガスが供給口91より冷却室81に供給されるようになっている。
冷却室81には、複数の球状の金属粒子84が密に充填されており、供給された混合ガスが球状の金属粒子84間を通過して吸着室82に供給されるように構成されている。金属粒子84は、冷却室81内を蛇行するように配置された冷却管85によって冷却されており、その表面と接触した混合ガスを冷却する。金属粒子84によって混合ガスが冷却されると、該混合ガス中のベンゼンや未反応のシクロヘキサンが液化して、混合ガスからこれらを分離させることができる。また金属粒子84としては、直径が数ミクロンから数センチの粒子を用いるのが好ましく、発泡Ni等も使用することができる。
金属粒子84を冷却する冷却管85は、その両端でラジエター86と接続されており、管内に冷却水を循環させることで金属粒子84を冷却する。また、冷却管85は、冷却室81内の充填された複数の金属粒子84をまんべんなく冷却できるように、配置されることが好ましい。
冷却室81において混合ガスより分離された液状のベンゼン等は、冷却室81の流下方向に設置された回収部87に一時貯留され、回収部87の底側に接続された回収管88を介して貯留タンク70のベンゼン貯留部71に送液される。
冷却室81の吸着室82と接する側の壁には複数の孔が設けられており、金属粒子84間を通過しベンゼン等の有機物がある程度除去された混合ガスが拡散して吸着室82に供給されるようになっている。
吸着室82の内部には、多孔質構造を有する吸着材89が備えられており、冷却室81で除去しきれなかったベンゼン等の有機残存物を吸着材89でトラップし、混合ガスに含まれるベンゼン等有機物の含有量を低減させることができる。吸着材89としては、活性炭、ゼオライト、シリカ多孔体(FSM)など炭化水素の吸着能が高い公知の吸着材を適宜選定して用いることができる。また、吸着材89としては、ペレット状やハニカム状の構造を有するものも用いることができる。
吸着室82には、吸着材89の近傍にヒーター92が備えられており、吸着材89を加熱できるように構成されている。吸着室82は、吸着材89にベンゼン等が吸着して飽和状態になった時には、ヒーター92にて吸着材89を加熱し、ベンゼン等をガス化して、図示を省略する供給口から供給されたパージエアーにより吸着室82内のベンゼン等を室外に排出し、再び吸着材89の吸着能を再発現させることができる。
吸着材89の複数の孔を通過し、残存したデカリン等がトラップされた混合ガスは、さらに、分離タンク80の排出口93が設けられた側に備えられた分離膜83を通過して水素ガス精製装置110に供給される。
分離膜83は、微細な細孔を有する材料で構成されており、吸着室82を通過してきた混合ガスに含まれる微量なベンゼン等の有機物を、水素と有機物との分子径の違いによるフルイ効果を利用して、水素ガスのみを分離することができる。また、分離膜83としては、高分子膜や多孔質材料等、水素ガスとベンゼン等の有機物とを分離できるものであれば特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で公知のものを適宜選定して用いることができる。
分離タンク80においてベンゼン等の有機物が分離された高純度の水素リッチガスは、排出口93より排出され、水素ガス精製装置110に供給される。
図5に示すように水素ガス精製装置110は、ガス供給管94を介して水素ガス生成装置100と連通されており、水素ガス生成装置100で生成した水素リッチガスが供給されるようになっている。水素ガス精製装置110には、トルエン及び未反応シクロヘキサン等の有機物を溶解可能な溶媒としてアルキルアルカノールアミド水溶液114が収液されており、供給された水素リッチガスが液中を通過できるようになっている。また、水素ガス精製装置110のタンク内部には障壁112a〜112fが設けられており、水素リッチガス116の流通路を形成している。更に水素ガス精製装置110の底面側には、逆止弁111を備え且つ水素ガス生成装置100に設けられた排出口93の一端に接続されたガス供給管94の他端が接続されており、水素ガス精製装置110の底面側から水素リッチガスをアルキルアルカノールアミド水溶液114中に放出できるようになっている。尚、水素ガス精製装置110としては、上述の第1の実施の形態における水素ガス分離装置20と同様の構成ものを用いることができる。
前記アルキルアルカノールアミド水溶液114は、上述の第1の実施の形態で説明したものを用いることができる。
水素リッチガス116が水素ガス精製装置110に収液されたアルキルアルカノールアミド水溶液114中に供給されると、未反応シクロヘキサン及びトルエン等の有機物のみをアルキルアルカノールアミド水溶液114に溶解することができ、水素リッチガス116中に微量に残存する有機物を除去し、高純度な水素ガスを精製することができる。
図5に示すように水素ガス精製装置110の内壁には、障壁112a〜112fが、長手方向が略水平になるように設置されている。障壁112a〜112fは、水素リッチガス116の流通経路を確保して、水素リッチガス116中の有機物とアルキルアルカノールアミド水溶液114との接触時間を多くするために、水素リッチガス116の流通方向に向かって(図面下方から上方に向かって)交互になるように左右の側壁に設置されている。このように障壁112a〜112fを交互に設置して混合ガスがジグザグに流通するようにすることで、限られたスペース内で効率良く水素リッチガス116とアルキルアルカノールアミド水溶液22との接触時間を確保できるため水素ガス精製装置110の水素分離能を高めることができる。尚、障壁112a〜112fの個数、大きさ等は水素ガス精製装置110のサイズに併せて適宜選定することができる。
水素ガス精製装置110に収液されるアルキルアルカノールアミド水溶液114中の有機物濃度が上昇した場合は、図示を省略する液排出口により排出し、新しいアルキルアルカノールアミド水溶液を供給できるように構成することができる。また、アルキルアルカノールアミド水溶液114用貯留タンクを別途設けてもよい。この場合、水素ガス生成装置の起動中、アルキルアルカノールアミド水溶液を、ポンプによって水素ガス精製装置110及びアルキルアルカノールアミド水溶液114用貯留タンク間を常に若しくは一定間隔で循環させたり、水素ガス精製装置110内の有機物濃度をモニターして、かかる有機物濃度の上昇に伴ってポンプをコントロールしてアルキルアルカノールアミド水溶液を循環させるように制御してもよい。
更に水素ガス精製装置110の上壁には、アルキルアルカノールアミド水溶液114中を流通してきた水素リッチガス(即ち、精製された水素ガス)を排出するガス排出口117が設けられている。また、ガス排出口117には、燃料電池40のアノード側と一端で接続する水素供給管118の他端が接続されており、ガス排出口117から排出された水素ガスを燃料電池40に供給できるように構成されている。
図5に示すように、貯留タンク70には、シクロヘキサンを貯留するシクロヘキサン貯留部72とベンゼンを貯留するベンゼン貯留部71とが設けられており、それぞれシクロヘキサン又はベンゼンが貯留される。また、シクロヘキサン貯留部72は供給管18の他端と、ベンゼン貯留部71は回収管88の他端と各々接続されており、シクロヘキサン及びベンゼンの供給・回収が可能なようになっている。
このシクロヘキサン貯留部72及びベンゼン貯留部71は、いずれもポリアミド、ポリエチレン、ナイロン等を材質とした伸縮可能な袋状の部材であり、それぞれに貯留されるシクロヘキサンとベンゼンとの量によってその容積が変動する。即ち、生成されたベンゼンの量が少ないときにはシクロヘキサン貯留部72の容積が大きい状態であり、シクロヘキサンを多く貯留することができる。シクロヘキサンの使用により水素ガスが生成されるに伴なってシクロヘキサン貯留部72内の貯留量が減少すると、シクロヘキサン貯留部72の容積が徐々に縮小する。これに伴い、ベンゼン量の増大に従って、ベンゼン貯留部71の容積が大きくなり、その生成量に応じたベンゼンが貯留される。すなわち、シクロヘキサンとベンゼンとの物理的な相対量に対応させることで、限られた空間を有効利用することができ、車両などの狭い領域への設置や装置全体の軽量化を実現することができる。
また、ベンゼン貯留部71には、配管17の他端が接続されている。なお、配管17はシクロヘキサン貯留部72と接続することもでき、例えばベンゼン貯留量が少ない場合など被燃焼成分としての供給量が確保できない場合には貯留されたシクロヘキサンを被燃焼成分とすることができる。
本実施形態において、イグニッションスイッチがオンされると、燃焼室12に貯留タンク70において貯留されたベンゼンが配管17を介して供給装置14から供給されると共に、供給装置15から空気が供給されて燃焼室12内で燃焼され、反応に必要とされる所望の温度まで触媒11が加熱される。
触媒11が脱水素反応に要する所望温度に達した後、シクロヘキサン貯留部72内のシクロヘキサンが、供給管18を介して噴射装置13から触媒11上に霧状に噴射され、脱水素反応に共される。
触媒11の表面温度は、脱水素反応時には200〜500℃に制御され、また後述する水素化時には200℃未満に制御されるのが好ましい。この理由は、表面温度を200℃未満にすると水素化反応が優先的に進行し、200℃以上になると脱水素反応が優先的に進行し、また、500℃を越えるとカーボンデポジットが生じるなど実用的でないからである。
加熱された触媒11上にシクロヘキサンが上記のように供給されると少なくとも水素ガスとベンゼンとを含む混合ガスが生成され、ガス供給管33を挿通して分離タンク80に供給される。
分離タンク80に供給された混合ガスは、まず冷却室81において冷却され、ベンゼン等の有機物が分離される。次いで、冷却室81の金属粒子84間を通過し、ベンゼン等が除去された混合ガスは、壁面に設けられた複数の孔を通じて吸着室82に供給される。吸着室82において混合ガスは、吸着室82に備えられた吸着材89の多孔質構造内を流通する。その際、混合ガスに残存していたベンゼン等の有機物が吸着材89に吸着される。
吸着室82を通過した混合ガスは、更に分離膜83を通過し排出口93から水素ガス精製装置110に供給される。また、冷却室81で分離された液状のベンゼンは、回収部87にて回収され、回収管88を通じて貯留タンク70のベンゼン貯留部71に貯留される。
水素ガス精製装置110に供給された水素リッチガスは、アルキルアルカノールアミド水溶液114中に供給され、該水溶液中を流通する際、水素リッチガスに微量に含まれる有機物がアルキルアルカノールアミド水溶液114に溶解されて水素ガスと分離される。アルキルアルカノールアミド水溶液114に不溶な水素ガスは、極微量に混在する有機物と分離されながらアルキルアルカノールアミド水溶液中を浮上し、ガス排出口117から排出され、水素供給管118を通じて燃料電池40に供給される。
燃料電池40は、水素ガスが供給されるアノードと酸化剤(空気)が供給されるカソードとを備えた固体高分子型燃料電池であり、水素ガス精製装置110から水素ガスが供給されることによって発電する。
また、本実施の形態においては、反応タンク70に、図示を省略する水素供給管を設け、水素スタンドなどの装置外部に定置された水素供給源と接続して加圧された水素ガス(加圧水素)の供給が可能なように構成することができる。
この場合、さらに、ベンゼン貯留部71に貯留されたベンゼンを反応タンク70に供給できるように構成することで、上記水素供給管から供給される水素ガスと共に触媒11上で反応させ、シクロヘキサンを再生させることができる。再生されたシクロヘキサンは、反応タンク10の流下方向側に回収部を設けて回収し、貯留タンク70のシクロヘキサン貯留部72に貯留できるように構成すればよい。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態における燃料電池システムについて説明する。本実施の形態における燃料電池システムは、上述の第4の実施の形態における水素ガス精製装置に転用可能な、水素ガス精製装置を用いた態様であり、水素ガス精製装置以外の部材については、同様の番号を付しその説明を省略する。
図7を参照しながら本実施の形態の燃料電池システムについて説明する。図7は、本発明の第5の実施の形態における燃料電池システムを示す概略図である。本実施の形態の燃料電池システムは、上述の第2の実施の形態における水素ガス分離装置50と同様の構造を有し、有機物を溶解可能な溶媒として飽和蒸気圧濃度100ppmのデカリン(以下、単に「デカリン」と称する。)を収液した水素ガス精製装置120を含んでいる。
図7に示すように、水素ガス精製装置120は、ガス供給管31を介して水素ガス生成装置100と連通されており、水素ガス生成装置100で生成した水素リッチガスが供給されるようになっている。水素ガス精製装置120には、及び未反応メチルシクロヘキサン等の有機物を溶解可能な溶媒としてデカリン124が収液されており、供給された水素リッチガスが液中を通過できるようになっている。また、水素ガス精製装置120のタンク内部には攪拌機121a〜121dが設けられている。更に水素ガス精製装置120の底面側には、逆止弁94を備え且つ水素ガス生成装置100に設けられた排出口93の一端に接続されたガス供給管94の他端が接続されており、水素ガス精製装置120の底面側から水素リッチガス126をデカリン124中に放出できるようになっている。
前記デカリン124は、その飽和蒸気圧濃度が100ppm程度が用いられる。このように飽和蒸気圧濃度が100ppm以下の二環性脂環式炭化水素中に、トルエン等有機物を供給すると、有機物が溶媒にトラップされ蒸発しにくくなるため、デカリン124中に水素リッチガス126を流通させることで、水素リッチガスから有機物を除去することができる。この際、溶解効率の向上を図る観点から、デカリン124の液温は、−20〜25℃程度に保つことが好ましく、−20〜10℃程度に保つことが更に好ましい。
水素ガス生成装置100から供給された水素リッチガス126は、水素ガス精製装置120の内部に収液されたデカリン124中を、攪拌機121a〜121dの各々によって攪拌されながら流通する。この際、水素リッチガス126に含まれる有機物が、デカリン124中に溶解し、デカリン124に不溶な水素ガスと分離される。
水素ガス精製装置120の内部に設けられた攪拌機121a〜121dは、長手方向が略水平になるようにタンク内に設置される。このように攪拌機121a〜121dを設置し攪拌することで、混合ガス中のトルエンや残存メチルシクロヘキサン等の有機物の溶解効率を高めることができ、水素ガス分離装置50の水素分離能を高めることができる。
また、水素ガス精製装置120に収液されるデカリン124中の有機物濃度が上昇した場合は、図示を省略する液排出口により排出し、新しいデカリンを供給できるように構成することができる。また、デカリン124用貯留タンクを別途設けてもよい。この場合、水素ガス生成装置の起動中、デカリン24を、ポンプによって水素ガス精製装置120及びデカリン124用貯留タンク間を常に若しくは一定間隔で循環させたり、水素ガス精製装置120内の有機物濃度をモニターして、かかる有機物濃度の上昇に伴ってポンプをコントロールしてデカリンを循環させるように制御してもよい。更には、前記炭化水素系燃料としてデカリンを用いる場合には、貯留タンクと水素ガス精製装置120とを連結し、ポンプにおいて、貯留タンク及び水素精製装置間を循環させるように構成することもできる。
本実施の形態によれば、水素ガス生成装置によって生成した水素リッチガスを、更に飽和蒸気圧濃度500ppm以下の二環性脂環式炭化水素であるデカリンを収液した水素ガス精製装置によって精製し、より高純度(残存メチルシクロヘキサンやトルエンの含有量が極めて小さい)な水素ガスを燃料電池に供給することができる。
尚、本発明においては、上述の各実施の形態で用いられた炭化水素系燃料以外の炭化水素系燃料を用いた場合においても同様に本発明の効果を奏することができる。また、水素使用装置について、特に車載の燃料電池及び水素エンジンを例に説明したが、本発明は燃料電池や水素エンジン以外の、ガソリンエンジン等の内燃機関や他の水素使用装置に適用することもできる。
図1は本発明の第1の実施の形態における水素ガス生成装置を示す概略図である。 非イオン性界面活性剤水溶液の溶解作用を説明するための概略図である。 本発明の第2の実施の形態に係る水素ガス分離装置を示す概略図である。 本発明の第3の実施の形態に係る水素ガス分離装置を示す概略図である。 本発明の第4の実施の形態における燃料電池システムを示す概略図である。 本発明の第4の実施の形態に係る分離タンクを示す概略図である。 本発明の第5の実施の形態における燃料電池システムを示す概略図である。
符号の説明
10 反応タンク
11 触媒
12 燃焼室
13 噴射装置
20,50,60 水素ガス分離装置
22,114 アルキルアルカノールアミド水溶液
23 混合ガス
25 トルエン
26 非イオン性界面活性剤
27,52,62 ガス排出口
28 水素供給管
30,70 貯留タンク
31 ガス供給管
40 燃料電池
80 分離タンク
94 ガス供給管
100 水素ガス生成装置
110,120 水素ガス精製装置
116 水素リッチガス
117 ガス排出口
118 水素供給管
124 デカリン
126 水素リッチガス

Claims (11)

  1. 少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを供給するガス供給手段と、
    前記ガス供給手段から前記混合ガスが供給され、且つ、前記混合ガスに含まれる前記有機物を溶解する非イオン性界面活性剤水溶液を収液した収液タンクと、
    前記非イオン性界面活性剤水溶液中を通過した前記水素ガスを排出するガス排出手段と、
    を備えた水素ガス分離装置。
  2. 前記非イオン性界面活性剤水溶液が、アルキルアルカノールアミド水溶液である請求項1に記載の水素ガス分離装置。
  3. 前記非イオン性界面活性剤水溶液に含まれる前記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.1〜10質量%である請求項1又は2に記載の水素ガス分離装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素ガス分離装置と、
    炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段、触媒、及び、前記触媒を加熱する加熱手段を有し、前記燃料供給手段から供給された前記炭化水素系燃料を加熱された前記触媒上で脱水素反応させて少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを生成する反応タンクと、を備え、
    前記反応タンクにおいて生成された前記混合ガスを前記水素ガス分離装置に供給し、前記混合ガスから水素ガスを分離するようにした水素ガス生成装置。
  5. 炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段、触媒、及び、前記触媒を加熱する加熱手段を有し、前記燃料供給手段から供給された前記炭化水素系燃料を加熱された前記触媒上で脱水素反応させて少なくとも水素ガスと有機物とを含む混合ガスを生成する反応タンクと、前記反応タンクにおいて生成された前記混合ガスから水素リッチガスを分離する分離手段を有した分離タンクと、を備えた水素ガス生成装置と、
    前記水素リッチガスを供給するガス供給手段、前記ガス供給手段から前記水素リッチガスが供給され且つ前記水素リッチガスに含まれる前記有機物を溶解する溶媒を収液した収液タンク、及び、前記溶媒中を通過した前記水素ガスを排出するガス排出手段を備え、前記水素リッチガスから前記水素ガスを精製する水素ガス精製装置と、
    前記水素ガス精製装置よって精製された前記水素ガスが供給される燃料電池と、
    を含む燃料電池システム。
  6. 前記溶媒が、非イオン性界面活性剤水溶液である請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記非イオン性界面活性剤水溶液がアルキルアルカノールアミド水溶液である請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記非イオン性界面活性剤に含まれる前記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.1〜10質量%である請求項6又は7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記溶媒が、飽和蒸気圧濃度500ppm以下の二環性脂環式炭化水素である請求項5に記載の燃料電池システム。
  10. 前記二環性脂環式炭化水素が、デカリンである請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記炭化水素系燃料が、デカリン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、及び、2−プロパノールから選ばれる少なくとも1種である請求項5〜10のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
JP2004128355A 2004-04-23 2004-04-23 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム Withdrawn JP2005306687A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004128355A JP2005306687A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004128355A JP2005306687A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005306687A true JP2005306687A (ja) 2005-11-04

Family

ID=35435863

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004128355A Withdrawn JP2005306687A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005306687A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8053130B2 (en) 2006-05-15 2011-11-08 Samsung Sdi Co., Ltd. Fuel cell system
KR101391815B1 (ko) * 2012-06-25 2014-05-12 한국과학기술연구원 수소 발생 장치 및 이를 이용한 수소 제조 방법
JP2015098422A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置
JP2015098421A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置
JP2018012643A (ja) * 2017-10-30 2018-01-25 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置
KR20180010604A (ko) * 2016-07-21 2018-01-31 대우조선해양 주식회사 금속 연료를 이용하는 수소 발생 실험을 위한 반응기
KR101824768B1 (ko) 2015-05-14 2018-02-01 대우조선해양 주식회사 메틸렌사이클로헥산을 사용한 잠수함 연료전지의 연료 공급 시스템 및 이를 사용한 잠수함 연료전지의 연료 공급 방법

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8053130B2 (en) 2006-05-15 2011-11-08 Samsung Sdi Co., Ltd. Fuel cell system
KR101391815B1 (ko) * 2012-06-25 2014-05-12 한국과학기술연구원 수소 발생 장치 및 이를 이용한 수소 제조 방법
JP2015098422A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置
JP2015098421A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置
KR101824768B1 (ko) 2015-05-14 2018-02-01 대우조선해양 주식회사 메틸렌사이클로헥산을 사용한 잠수함 연료전지의 연료 공급 시스템 및 이를 사용한 잠수함 연료전지의 연료 공급 방법
KR20180010604A (ko) * 2016-07-21 2018-01-31 대우조선해양 주식회사 금속 연료를 이용하는 수소 발생 실험을 위한 반응기
KR102614405B1 (ko) 2016-07-21 2023-12-14 한화오션 주식회사 금속 연료를 이용하는 수소 발생 실험을 위한 반응기
JP2018012643A (ja) * 2017-10-30 2018-01-25 エイディシーテクノロジー株式会社 水素供給装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2005038228A1 (ja) 水素利用内燃機関
JP4831875B2 (ja) 水素ガス生成装置
JP2005239479A (ja) 水素ガス分離装置及び水素ガス生成装置
JP2005306687A (ja) 水素ガス分離装置、水素ガス生成装置、及び、燃料電池システム
JP5297251B2 (ja) 水素供給方法及び水素供給装置
JPWO2006019061A1 (ja) 水素内燃エンジン自動車の走行方法
JP2005247764A (ja) 水素化反応装置
JP2004189585A (ja) 水素ガス生成装置
JP4033101B2 (ja) ハイドライドタービン
JP2003343360A (ja) 水素エンジンシステム
JP2004026582A (ja) 水素ガス生成装置
JP2004231468A (ja) 水素ガス生成装置
JP2004223505A (ja) 脱水素触媒及びその製造方法
JP2003260360A (ja) 脱水素触媒および水素ガス生成装置
JP4519300B2 (ja) ボイルオフガス処理装置
JP2004307300A (ja) 貯留タンク及び水素ガス生成装置
JP2004002090A (ja) 水素ガス生成装置
JP2004315305A (ja) 水素ガス生成装置
JP2004168631A (ja) 水素ガス生成装置
JP4662534B2 (ja) 水素ガス生成装置
JP2011007047A (ja) 水素製造装置を備えた内燃機関および内燃機関システム
JP2004231449A (ja) 水素ガス分離タンク
JP2004051391A (ja) 水素ガス生成装置
JP2003277004A (ja) 貯留分離タンク及び水素ガス生成装置
JP2004175629A (ja) 水素ガス生成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060807

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20061220