JP2005247598A - 精密プレス成形用プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

精密プレス成形用プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガラスの熱間成形により高い生産性のもとに高品質の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法を提供する。
【解決手段】 溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、所定重量の光学ガラスからなるプリフォームを製造する方法であって、(1)エッチング処理により除去される表面層の厚さが0.5μm以上である、(2)プリフォームが液相温度における粘度10dPa・s以下のガラスからなる、(3)プリフォームが屈折率1.75以上でアッベ数50以下の光学ガラスからなる、(4)エッチング処理の前にアニール処理を行う、(5)所定重量の光学ガラスからなる複数のプリフォームを作製する、精密プレス成形用プリフォームの製造方法である。
【選択図】 なし


Description

本発明は、精密プレス成形用プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ガラスの熱間成形により高い生産性のもとに高品質の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに前記方法によって作製したプリフォームを精密プレス成形することにより、高い生産性のもとに高品質の光学素子を製造する方法に関するものである。
光学ガラス製レンズの需要はデジタルカメラ、携帯電話などの普及に伴ない急激な勢いで高まっている。この需要に応えるため、ガラス製光学素子を高い生産性のもとに製造可能な精密プレス成形技術に注目が集まっている。
精密プレス成形法は、プレス成形によって、高精度な加工が施されたプレス成形型の成形面をガラスに転写して光学機能面を形成する方法であって、例えば研磨加工では莫大な手間とコストがかかる非球面レンズなどを生産性よく量産することができる。このような精密プレス成形は、表面が滑らかで内部、表面ともに欠陥のないプリフォームを必要とする。
精密プレス成形ではプレス成形品の研削、研磨は例えばレンズの心取り加工など最小限に限られるか、あるいは研削、研磨加工を行わない。また、プリフォームの重量に大幅な過不足があると、プレス成形品の精度が低下したり、プレス成形時にはみ出したガラスがプレス成形型の間に進入するなどの問題が発生するおそれがある。そのため、プリフォームの重量精度は製造しようとする光学素子毎に精密に決められている。
ところで、プリフォームの製法としては溶融ガラスを鋳型に鋳込み、冷却してガラスブロックやガラス板を作り、これを切断、研削した後、研磨して滑らかな表面に仕上げる方法(冷間加工という。)や、パイプから溶融ガラスを流出してプリフォーム1個分の重量の溶融ガラス塊を作り、このガラス塊が冷却する過程でプリフォームに成形する方法(熱間成形という。)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、冷間加工は多くの工程を経てプリフォームを作るため、手間、時間、コストがかかるという問題があるとともに、研磨の際に破損しやすいガラスへの適用にも問題がある。特にプリフォームの重量を目的の重量に正確に合わせるためには、より多くの手間、時間、コストがかかる。
そこで、生産性をより向上するための方法、ならびに重量精度の高いプリフォームを生産する方法として上記熱間成形法が注目されている。
熱間成形法は優れた製法ではあるが、溶融ガラスからプリフォーム1個分に相当する溶融ガラス塊を分離してガラス塊を直接成形してプリフォームにするため、内部品質は勿論、プリフォームの表面状態や重量精度の高いガラス塊を作らなければならない。
熱間成形時にガラスの流出温度を下げすぎるとガラスが結晶化してしまい、失透してプリフォームとしては使用できなくなる。このような失透を防止するため、ガラスの流出温度は失透が生じない、液相温度よりも十分高い温度域にしなければならない。失透を防止するためにガラスの流出温度を上昇させると、ガラスの粘度が低下して成形時に気泡を取り込みやすくなったり、揮発しやすい成分(易揮発成分)がガラス表面から揮発して表面近傍の組成が僅かに変化するため、その変化が屈折率の局所的変化(ムラ)として現われる。この屈折率のムラが表面脈理として観察される。また粘度が低下することにより、ガラスが流出パイプの外周に濡れ上がりやすくなる。濡れ上がったガラスからは易揮発成分が揮発して変質するが、このガラスが流出するガラス表面に取り込まれるとプリフォームの表面層に屈折率のムラが生じ、表面脈理が発生する。
いずれにしてもプリフォームの失透による歩留まり低下を解消しようとすると、表面近傍の部分に脈理や気泡などが発生して歩留まりを低下させるという問題が生じる。
したがって、これらの問題を同時に解決することは、これまで難しいのが実状であった。
特許第2746567号公報
本発明は、このような事情のもとで、ガラスの熱間成形により高い生産性のもとに高品質の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに前記方法によって作製したプリフォームを精密プレス成形することにより、高い生産性のもとに高品質の光学素子を製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、表面層を除去すること、およびその際特定の条件を選択することにより、高品質の精密プレス成形用プリフォームを生産性よく製造することができ、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記表面層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法(以下、製造方法1と称す。)、
(2)溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記ガラスの液相温度における粘度が10dPa・s以下であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法(以下、製造方法2と称す。)、
(3)溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記ガラスが屈折率(nd)1.75以上で、アッベ数(νd)50以下の光学ガラスであることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法(以下、製造方法3と称す。)、
(4)溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
溶融ガラスをガラス塊に成形してアニール処理したのち、前記ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法(以下、製造方法4と称す。)、
(5)溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
溶融ガラスをガラス塊に成形する工程を繰り返して一定重量のガラス塊を複数作製し、前記複数のガラス塊を一定の条件でエッチング処理して、各ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを複数作製することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法(以下、製造方法5と称す。)、
(6)ガラス塊全体をエッチング液に浸漬してエッチング処理する上記(1)ないし(5)項のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォームの製造方法、
(7)溶融ガラスを、表面が曲率の異なる曲面により構成されるガラス塊または球状のガラス塊に成形する上記(1)ないし(6)項のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォームの製造方法、
(8)上記(1)ないし(7)項のいずれか1項に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを、精密プレス成形する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法、
(9)プレス成形型にプリフォームを導入し、前記成形型とプリフォームを共に加熱して精密プレス成形する上記(8)項に記載の光学素子の製造方法、及び
(10)予熱されたプレス成形型に、別途に加熱したプリフォームを導入して精密プレス成形する上記(8)項に記載の光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明の精密プレス成形用プリフォームの製造方法によれば、ガラスの熱間成形により高い生産性のもとに高品質の精密プレス成形用プリフォームを製造することができる。
特に熱間成形によりガラス表面から深層に及ぶ範囲に存在する脈理などの欠陥を除去することができるので、確実に高品質なプリフォームを製造することができる。
さらに、熱間成形によって高品質の精密プレス成形用プリフォームを確実に成形することが難しかった、液相温度における粘度が10dPa・s以下であるガラス、あるいは熱間成形時に失透し易かったり、液相温度が高くなることにより流出粘度が低くなる屈折率(nd)が1.75以上かつアッベ数(νd)が50以下のガラスでも熱間成形により研磨加工などの機械加工を施さなくても、高品質のプリフォームを確実に製造することができる。
また、アニール処理により残留応力を低減したガラスの表面近傍の欠陥層を除去するため、深層まで上記欠陥層を除去してもガラスが破損することがない。
さらに、熱間成形の重量精度の高いガラス塊を多量に製造できるという特徴と、一定のエッチング条件のもとでは除去されるガラスの重量が等しくなるというエッチング処理の特徴を組合せることによって、重量精度の高く、高品質なプリフォームを容易に多量に製造することもできる。
表面欠陥層の除去は研磨などの機械加工で行うことも考えられるが、研磨加工は平面か球面の場合に限られる。そのため、球以外で精密プレス成形用プリフォームの形状として利用価値の高い曲率が異なる曲面によって表面が構成されるガラス塊の表面脈理層を除去することは難しい。これに対し、本発明によれば、上記形状のガラス塊を成形してもエッチング処理により均等に表面層を除去することができるので、上記形状のプリフォームも高い生産性のもとに製造することもできる。また、球状のガラス塊については、ガラス塊が球対称なのでエッチングにより除去される深さが全表面においてより均一になる。したがって、エッチング処理により容易に球状プリフォームを作製することができる。
さらに、前記ガラス塊をエッチング液に浸漬してエッチング処理することにより、比較的容易な方法でガラス塊の全表面を均一に所定の深さまで除去することができる。
また本発明の光学素子の製造方法によれば、高品質な光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。
まず、本発明の精密プレス成形用プリフォーム(以下、単にプリフォームと呼ぶことがある。)の製造方法について説明する。
[プリフォームの製造方法]
本発明のプリフォームの製造方法は、溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、所定重量の光学的に均質な光学ガラスからなるプリフォームを製造する方法であって、以下に示すプリフォームの製造方法1〜5の5つの態様がある。
第1の態様(プリフォームの製造方法1)は、エッチング処理により除去する表面層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とするものである。
第2の態様(プリフォームの製造方法2)は、プリフォームが液相温度における粘度10dPa・s以下であるガラスからなることを特徴とするものである。
第3の態様(プリフォームの製造方法3)は、プリフォームが屈折率(nd)1.75以上で、アッベ数(νd)50以下の光学ガラスからなることを特徴とするものである。
第4の態様(プリフォームの製造方法4)は、溶融ガラスからガラス塊を成形してアニール処理し、前記ガラス塊の表面層をエッチング処理により除去して光学的に均質な光学ガラスからなるプリフォームを作製することを特徴とするものである。
第5の態様(プリフォームの製造方法5)は、溶融ガラスをガラス塊に成形する工程を繰り返して一定重量のガラス塊を複数作製し、前記複数のガラス塊を一定の条件でエッチング処理して、各ガラス塊の表面層を除去することにより、所定重量の光学的に均質な光学ガラスからなるプリフォームを複数作製することを特徴とするものである。
上記5つの態様は、任意に組み合わせることもできる。以下、5つの態様に共通する点について説明する。
まずガラス塊を成形するために、十分清澄、均質化された溶融ガラスを用意し、その溶融ガラスを一定流量でパイプから流出する。そして、流出する溶融ガラスから所定重量の溶融ガラス塊を分離する。分離方法としては、パイプから溶融ガラスを滴下して、所定重量のガラス滴として分離する方法(滴下法という。)、パイプから流出する溶融ガラス流の先端部を支持体で支持し、前記ガラス流のパイプ側と先端部の間にくびれを作る。それから上記支持体を急速に降下し、くびれから先端側の溶融ガラス塊を分離する方法(降下切断法という。)、パイプから流出する溶融ガラス流を切断刃で切断し、所定重量の溶融ガラス塊を分離する方法(機械切断法という。)などがある。パイプより単位時間あたりのガラス流出量を一定に保つことにより、分離の間隔を一定にすれば等重量の溶融ガラス塊を得ることができる。
滴下法ならびに降下切断法は、機械切断法と異なり、シアマークと呼ばれる切断痕ができない。本発明は、熱間成形したガラス塊の全表面をエッチング処理して除去するため、シアマークがエッチング処理により除去される深さよりも浅い部分に限定されるならば、機械切断法でもエッチング処理によってシアマークのないプリフォームを作ることはできる。しかし、シアマークが脈理や気泡が存在する表面欠陥層よりも深層に及ぶ場合もあるので、溶融ガラス塊の分離は滴下法または降下切断法により行うことが好ましい。
滴下法は5〜600mgの範囲のガラス塊を、目的重量を基準とした重量公差が±1%以内になるように成形する方法として適したものであり、降下切断法は200mg〜100gの範囲のガラス塊を、目的重量を基準とした重量公差が±2%以内(好ましくは±1%以内)になるように成形する方法として適したものである。
いずれの方法も重量精度が高いガラス塊を冷間加工法と比べて容易に作製することができる。プリフォームの製造方法5は熱間成形法が有する上記長所と一定の条件では一定量の表面層が除去されるというエッチング処理の長所を活かし、高い重量精度で作製したガラス塊から重量精度を損なうことなく所望重量のプリフォームを容易に製造することができる。
プリフォームの製造方法5においてガラス塊全体をエッチング液に浸漬することが好ましい。この方法は、エッチング液の濃度と温度、浸漬時間を一定にすることにより、容易にエッチング処理の条件を一定にすることができる。さらに上記好ましい方法において、多数のガラス塊を同時にエッチング液に浸漬し、所定の時間が経過した後に同時にガラス塊をエッチング液から出すことにより、エッチング処理の条件を一層容易に一定にすることができる。
したがって、プリフォームの製造方法5によれば、エッチング処理によって得られるプリフォームの重量精度はガラス塊の重量精度と同等にすることができる。
次に、分離した溶融ガラス塊をガラス塊成形型で受ける、あるいは一時的に溶融ガラス塊支持体で支持した後にガラス塊成形型に移して所定形状のガラス塊に成形する。ガラス塊成形型上では、ガラスに風圧を加えて浮上させながら成形する方法(浮上成形法という。)が望ましい。
例えば、底部に上記風圧を加えるためのガス(浮上ガスという。)を噴出する口を設けた凹部を備えたガラス塊成形型を用い、上記凹部に溶融ガラス塊を供給し、凹部内でガラスを上下動させて回転させることにより球状のガラス塊を成形することもできるし、ガスを噴出する口を多数設けた凹部あるいは凹部を多孔質体で構成し、凹部内面全体から浮上ガスを噴出してガラスを浮上し、凹部の形状に沿った形状にガラス塊を成形することもできる。
ガラス塊はガラス塊成形型上で成形された後、ガラス転移温度または前記温度よりも低い温度にまで冷却した後に型から取り出される。
このようにして得たガラス塊の表面を光学顕微鏡で拡大観察すると、ガラス塊全面にわたって脈理が認められる。前記ガラス塊の全表面をエッチング処理により所定の深さまで除去したガラス塊には、上記脈理が認められない。したがって、この脈理は表面近傍に局在する表面脈理であることがわかる。ガラス塊表面の変質層、例えばヤケなどは、表面から深さ0.1μm以下の部分に限られるが、表面脈理は光学顕微鏡を用いた目視により認識可能な深さにまで達しているため、ガラス塊表面から少なくとも0.5μm以上の深さまでエッチング処理することが望まれる。
本発明でエッチング処理により除去するのはガラス表面の脈理と呼ばれる屈折率の異なるガラス層である。脈理の中でもガラス表面付近に存在する表面脈理は、ガラスの溶融成形時にガラスの成分の中で蒸気圧の高いフッ素、ホウ素などが減少し元ガラスと屈折率に差ができたガラス融液が生じたことによる。表面脈理は通常、筋状のものが観察される。このことから脈理の原因となる変質ガラスは元ガラスの表面近傍に筋状に分布していることがわかる。このときこの変質ガラス層の深さが0.5μm以下であれば可視光の回折限界から、このガラスをレンズにした場合に得られる像にはなんら影響を与えない。すなわちレンズとして問題になるのは深さ0.5μm以上の変質ガラス層に限られる。そのためエッチング量も少なくとも0.5μm以上でなければ脈理を完全に除くことはできない。エッチング処理におけるより好ましい深さは1μm以上、さらに好ましい深さは10μm以上、より一層好ましい深さは20μm以上、特に好ましい深さは50μm以上である。エッチング処理はガラス全体が脈理が認められない光学的に均質なものとなるまで、そして所望重量のガラス塊が得られる深さまで行う。エッチング処理の深さの上限に特に限定はないが、光学的に均質なガラスまでも除去する必要はないので、最大5mmまでの深さを目安にすればよい。あるいは、プリフォーム重量/ガラス塊重量の比率によってエッチング処理の深さの上限を管理してもよい。その場合、プリフォーム重量/ガラス塊重量の比率は80%以上とすることが望ましく、85%以上とすることがより望ましい。このように、エッチング処理によってガラス塊の重量はわずかに減少するため、所定重量のプリフォームが得られるよう、上記重量減少分を目的重量に加えた重量のガラス塊を成形することが好ましい。
エッチング処理後のガラス塊は滑らかな表面を有し、光学的にも均質であるため、エッチング処理後のガラス塊を精密プレス成形用プリフォームとして使用することができる。なお、熱間成形したガラス塊をアニール処理しないでエッチング処理すると、残留応力によってガラスにひび割れが発生することがある。そのため、エッチング処理前にガラス塊をアニール処理し、ガラス内部の残留応力を低減または除去しておくことが望ましい。アニール処理はガラス塊を徐冷点付近の温度に保持して行えばよい。燐酸塩ガラスは熱膨張係数が大きく、ガラス塊成形の過程で応力が残留しやすい。そのため、上記アニール処理はエッチング処理時のひび割れ防止に効果的である。
表面脈理層などの表面欠陥層はエッチング処理により除去するが、ガラスの有効利用や生産性向上の面から、表面欠陥層が存在する深さを可能な限り浅くしたり、脈理を低減することが望まれる。表面欠陥層の深さを低減するためには、流出パイプの外周に沿いかつガラスの流出方向(鉛直下方)にガスを流して、流出パイプ外周へのガラスの濡れ上がりを低減したり、雰囲気中の水蒸気が高温のガラス表面と反応するのを低減するため、乾燥雰囲気中で溶融ガラスを流出することが好ましい。
パイプ外周に沿ってガスを流す方法は、滴下法で得られる溶融ガラス滴の重量をより小さくする上でも効果がある。滴下法ではガラスに働く重力とパイプ先端にガラスが留まろうとする表面張力のバランスが崩れて重力が大きくなったときに滴下がおきる。上記のようにパイプ外周に沿って一定流量のガスを定常的に流すことにより、ガラスに加わる下向きの力が大きくなるため、ガスを流さない場合よりもより重量の小さいガラス滴を滴下することができる。なお、ガスはパイプ全周にわたり、パイプ先端付近で層流になるように流すことが好ましい。
ガラス塊表面のエッチング処理は、ガラス塊全表面を一様に除去するため、プリフォームの形状はガラス塊の相似形状になる。したがって、ガラス塊をプリフォームの相似形状に成形することにより、所望形状のプリフォームを容易に得ることもできる。
精密プレス成形によって作製される光学素子としては、レンズなどの回転対称軸を一つ備える形状のものが圧倒的に多い。したがって、プリフォームの形状としても、球状、回転対称軸を一つ備える形状(例えば、回転楕円体や、球を一定の軸方向に延ばした形状やつぶした形状など)が望まれている。このような形状のプリフォームを作製するには、目的とするプリフォーム形状に相似する形状のガラス塊を成形しエッチング処理すればよい。
特に回転対称軸を一つ備える形状など、曲率が異なる曲面によって表面が構成されるガラス塊、これは全表面が曲面によって構成されるガラス塊の中から球状ガラス塊を除いたものであるが、このような形状のガラス塊の全表面を一様な深さにまで機械研磨することは難しい。しかし、本発明によれば、所望形状のガラス塊を熱間成形し、そのガラス塊をエッチング処理することにより容易に上記形状でしかも光学的に均一(一様)なガラスからなるプリフォームを作製することができる。
このような回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものがある。また、前記断面におけるガラス塊の輪郭線上の任意の点(プリフォームの輪郭線上の任意の点でもよい。)と回転対称軸上にあるガラス塊の重心(プリフォームの重心でもよい。)を結ぶ線と、前記輪郭線上の点において郭線に接する接線とのなす角の一方の角の角度をθとしたとき、前記点が回転対称軸上から出発して輪郭線上を移動するときに、θが90°から単調増加し、続いて単調減少した後、単調増加して輪郭線が回転対称軸と交わる他方の点において90°になる形状が好ましい。
一方、球状ガラス塊の球対称性に注目すると、エッチング処理により除去される深さが対称性のために全表面において均一になり、球状ガラス塊をエッチング処理すれば容易に球状プリフォームを作製できるというメリットがある。
次に成形対象のガラスについて説明する。
プリフォームの製法1、4、5についてはガラスの制限は特にないが、前記製法の適用が好ましいガラスは、プリフォームの製法2におけるガラス(ガラス1という。)、あるいはプリフォームの製法3におけるガラス(ガラス2という。)と共通する。よってここではガラス1とガラス2について説明する。
(ガラス1)
ガラス1は、液相温度における粘度が10dPa・s以下のガラスである。ガラス塊を成形する際にガラスの流出温度(流出時の溶融ガラスの温度)を失透防止のため液相温度よりも十分高くしなければならない。そのため、ガラスの流出粘性(流出時の溶融ガラスの粘度)は10dPa・sよりもさらに低粘性になり、先に説明した理由により表面脈理が発生したり、表面近傍に微小な気泡が取り込まれるなど表面欠陥ができやすい。このようなガラスを使用してガラス塊を熱間成形しても、エッチング処理により上記表面欠陥層を除去できるので、確実に高品質なプリフォームを製造することができる。本発明の適用がより効果的なガラスとしては、液相温度における粘度が6dPa・s以下のガラスであり、さらに効果的なガラスとしては、液相温度における粘度が5dPa・s以下のガラスであり、より一層効果的なガラスとしては、液相温度における粘度が4dPa・s以下のガラスである。
(ガラス2)
ガラス2は、屈折率(nd)が1.75以上かつアッベ数(νd)が50以下の光学ガラスである。上記光学恒数を有し、精密プレス成形性を向上するために低温軟化性が付与されたガラスは、高屈折率付与成分(例えば、Nb、TiO、WO、La、Gd、Y、Yb、Taなど)を多く含む。そのため、旧来の安定したガラスに比べると、高温状態におけるガラス安定性が低下する傾向があり、ガラス1と同様、液相温度における粘度が低下する傾向が生じる。そのため、ガラス1と同様の問題が生じやすいが、本発明の製造方法によればガラス2を使用しても高品質なプリフォームを確実に製造することができる。
以下、ガラス1、ガラス2に共通する点について説明する。前記ガラスに相当するガラス組成として代表的なものは、P、NbおよびLiOを含むガラス(ガラスAという。)、BおよびLaを含むガラス(ガラスBという。)である。
、NbおよびLiOを含むガラスはアッベ数(νd)が35以下の領域(主として、高屈折率高分散領域)をカバーし、BおよびLaを含むガラスはアッベ数(νd)が30以上の領域(主として、高屈折率低分散領域)をカバーする。
(ガラスAについて)
、NbおよびLiOを含むガラスは、ガラス網目構造形成成分としてPを含み、高屈折率高分散付与成分としてNbを含む。また低温軟化性付与成分としてLiOを含み、上記光学特性と低温軟化性を実現している。
ガラスAにおいて、Pは、上記のようにガラスの網目構造の形成物であり、ガラスに製造可能な安定性を持たせるための必須成分である。しかし、Pの含有量が45モル%を超えると、ガラスの転移温度や屈伏点が上昇し、耐候性も悪化する傾向がある。また15モル%未満では、ガラスの失透傾向が強くなりガラスが不安定となるので、Pの含有量を15〜45モル%の範囲とすることが好ましく、17〜40モル%の範囲とするのがより好ましい。以下、各成分の含有量は特記しない限りモル%にて表示するものとする。
Nbは、上記のように高屈折率・高分散などの特性を持たせるために欠かせない成分である。しかし、その導入量が35%を超えると、ガラス転移温度や屈伏点が高くなり、安定性も悪化、高温溶解性も悪くなり、精密プレス時に発泡や着色しやすくなるという傾向がある。これに対し、その導入量が3%以下となると、ガラスの耐久性が悪化し、所要の高屈折率を得にくくなるため、その導入量を3〜35%の範囲にするのが好ましく、5〜30%の範囲にするのがより好ましい。
LiOは、上記のようにガラス転移温度を下げるのに最も効果的成分であり、他のアルカリに比べ、屈折率を低下させにくく、耐久性を悪化させない。しかし、その導入量が2%未満では転移温度の低下が難しく、35%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪化し、耐久性も悪くなるため、LiOの導入量を2〜35%の範囲にするのが好ましい。より好ましくは5〜30%の範囲である。
以下はガラスAに任意に導入することができる成分であるが、任意成分であるTiOは、高屈折率高分散性を付与し、失透安定性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が20%を超えると、ガラスの失透安定性や透過率が急激に悪化し、屈伏点や液相温度も急上昇し、精密プレス成形時にガラスが着色しやすくなる。したがって、その導入量を0〜20%にするのが好ましく、0〜15%にするのがより好ましい。
WOは、高屈折率高分散特性と低温軟化性を付与する上で効果的な成分である。WOはアルカリ金属酸化物と同様にガラス転移温度や屈伏点を下げる働きや、屈折率を上げる働きをする。そして、ガラスとプレス成形型との濡れ性を抑制する効果があるため、精密プレス成形の際にガラスの離型性が非常に良くなるという効果を奏する。しかし、WOの過剰導入、例えば40%を超えて導入すると、ガラスが着色しやすくなる一方、ガラスの高温粘性も低くなるので、熱間成形が難しくなる。したがって、その含有量を0〜40%とすることが好ましく、0〜35%の範囲とすることがより好ましい。
Biは、高屈折率高分散性を付与する成分であり、ガラスの生成領域を大幅に拡大し、安定化させる効果のある成分であり、また、ガラスの耐候性を高める成分である。したがって、Biを導入することにより、Pの含有量の少ないガラスでもガラス化を可能にする。また、Biを導入することにより、溶融状態のガラスを白金製プレート上に置いたときの濡れ角を大きくすることができる。上記濡れ角の増加により、流出パイプの外周にガラスが濡れ上がりにくくなる。そのため、プリフォームの表面脈理の低減にも効果がある。また濡れ上がりを低減することにより、ガラス塊の重量精度をより向上させることもできる。しかし、その導入量が20%を超えると、ガラスは逆に失透しやすくなると同時に着色しやすくなる恐れがあるため、Biの含有量は0〜20%とすることが好ましく、0〜15%とすることがより好ましい。なお、Bi導入により上記効果を得るには、上記範囲内において、Biの量を0.2%以上とするのが好ましく、0.5%以上とするのがより好ましい。
は、ガラスの溶融性の向上やガラスの均質化に有効な成分であると同時に、少量の導入でガラス内部にあるOHの結合性を変え、精密プレス成形時におけるガラスの発泡を抑制する効果が得られる。しかし、Bを30%より多く導入すると、ガラスの耐候性が悪化したり、ガラスが不安定になるため、その導入量を0〜30%の範囲にすることが好ましい。より好ましい範囲は0〜25%の範囲である。
BaOは、高屈折率を付与し、失透安定性を向上させ、液相温度を低下させる効果のある成分である。WOを導入する場合、特に多量のWOを導入する場合、BaOの導入でガラスの着色を抑え、失透安定性を高める効果が大きく、P含有量の少ない場合、ガラスの耐候性を高める効果もある。しかし、BaOの導入量が25%を超えると、ガラスが不安定となるばかりでなく、転移温度も屈伏点も高くなるので、BaOの導入量を0〜25%にするのが好ましく、0〜20%にするのがより好ましい。
ZnOはガラスの屈折率や分散を高めるために導入し得る成分で、少量のZnOの導入でガラス転移温度や屈伏点、液相温度を低下させる効果もある。しかし、過剰に導入すると、ガラスの失透安定性が著しく悪化し、液相温度も逆に高くなる恐れがある。したがって、ZnO導入量を0〜25%にすることが好ましく、0〜20%の範囲がより好ましく、0〜15%の範囲がさらに好ましい。
MgO、CaO、SrOはガラスの安定性や耐候性を調整するために導入された成分であるが、あまりにも多く導入すると、ガラスが非常に不安定となるので、導入量をそれぞれ0〜20%にするのが好ましく、0〜15%がより好ましい。
NaO、KOは、いずれもガラスの耐失透性を向上させるとともに、ガラス転移温度、屈伏点、液相温度を低下させ、ガラスの溶融性を改善するために導入し得る成分である。しかし、NaOとKOのいずれかが30%より多いと、あるいはLiO、NaO及びKOの合計量が45%よりも多いと、ガラスの安定性が悪くなるばかりでなく、ガラスの耐候性や耐久性が悪くなる恐れがあるため、NaOとKOの導入量をそれぞれ0〜30%にするのが好ましく、LiO、NaO及びKOの合計量を0〜45%にするのが好ましい。より好ましくは、NaOを0〜20%、KOを0〜25%であり、NaOを0〜5重量%にするのがさらに好ましい。
Al、SiO、La、Gd、Yb、ZrO、Taは、ガラスの安定性や光学恒数を調整するときに導入し得る成分である。しかし、これらの成分のすべてはガラス転移温度を高めるので、精密プレス成形性を低下させる恐れがある。したがって、その導入量を、Al、SiOについてはそれぞれ15%未満、La、Gd、Yb、ZrO、Taについてはそれぞれ0〜10%に抑えることが望ましく、Al、SiOについてはそれぞれ0〜12%、La、Gd、Yb、ZrO、Taについてはそれぞれ0〜8%にするのがより好ましい。
Sbはガラスの清澄剤として有効であるが、1%超えて添加すると、精密プレス成形時にガラスが発泡しやすくなるので、その導入量は0〜1%とするのがよい。さらに、TeO、CsOなどのその他の成分も本発明の目的を損なわない程度であれば合計で5%までの導入可能である。
ただし、TeOは毒性があるため、環境影響上から使用しないことが望ましく、同様にPbO、As、CdO、TlOや放射性物質、Cr、Hgなどの化合物も使用しないことが望ましい。また、AgOも特別、必要もないので導入しないことが好ましい。
このように低粘性かつ易揮発成分であるLiOを必須成分として、Bを任意成分として含むガラスAを用いて熱間成形しても、本発明によれば高品質なプリフォームを作製することができる。
なお、ガラスAの原料しては、PについてはHPO、メタリン酸塩、五酸化二燐など、BについてはHBO、Bなどを用い、他の成分については炭酸塩、硝酸塩、酸化物などを適宜に用いることが可能である。これらの原料を所定の割合に秤取し、混合して調合原料とし、これを1000〜1400℃に加熱した溶解炉に投入し、溶解、清澄、攪拌し、均質化した得られた溶融ガラスを使用することができる。
(ガラスBについて)
−La系ガラスにおいて、Bはガラスの網目構造形成のための必須成分である。特にLa、さらにGdなどの高屈折率成分を多く導入する場合、ガラスの形成のために主な網目構造形成として必要であるが、60%を超えて導入すると、ガラスの屈折率が低下し、高屈折ガラスを得るという目的に適さなくなるのに対し、15%未満では失透に対して十分な安定性を得られず、また溶融性が低下するため、その導入量を15〜60%にするのが好ましい。より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは20〜45%の範囲である。
SiOは任意成分ではあるが、Bと同様、ガラス網目構造形成成分となる。LaやGdを多量に含有するガラスに対して、主成分Bと置換して少量添加すると、ガラスの液相温度を低下させ、高温粘性を上昇させ、さらにガラスの安定性を大きく向上させるが、40%を超えて多く導入すると、ガラスの屈折率が下がることに加え、ガラス転移温度が高くなり精密プレス成形が困難になるため、その導入量を0〜40%とするのがよい。より好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0〜10%の範囲である。
Laは、ガラスの失透に対する安定性を低下させずに、また分散を大きくすることなく、屈折率を高くし、化学的耐久性を向上させる必須成分である。しかし、5%未満では十分の効果が得られないのに対し、22%を超えると失透に対する安定性が著しく悪化するため、その導入量を5〜22%の範囲にすることが好ましい。より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは7〜18%の範囲である。
GdはLaと同様、ガラスの失透に対する安定性や分散大きくすることなく、屈折率を高め、化学耐久性を向上させる働きをする。特にLaとGd2O3を共存させることによりガラスの安定性をより向上させることができる。そのため、ガラスBとしては、Gdを含むものが好ましい。しかし、その導入量が20%を超えると、失透に対する安定性が悪化し、ガラス転移温度が上昇して精密プレス成形性が低下するので、その導入量を0〜20%にすることが好ましい。より好ましくは1〜18%、さらに好ましくは2〜16%の範囲である。
ZnOはガラスの溶融温度や液相温度及び転移温度を低下させ、屈折率の調整にも有用な成分である。上記の期待された効果を得るには2%以上導入することが好ましい。しかし、45%を超えて導入すると、分散も大きくなり、失透に対する安定性も悪化し、化学的耐久性も低下するので、その導入量を0〜45%の範囲にすることが好ましく、1〜45%の範囲がより好ましく、1〜32%の範囲にするのがさらに好ましく、1〜20%の範囲がより一層好ましい。
LiOは他のアルカリ金属酸化物成分に比べ、大幅な屈折率の低下及び化学的耐久性の低下を伴わずにガラス転移温度を大幅に低下させる成分である。特に少量の導入でも大きな効果が得られ、ガラスの熱的な物性(ガラス転移温度や屈伏点など)を調整するための有効な成分である。しかし15%より多くのLi2Oを導入すると、ガラスの失透に対する安定性が急激に低下し、液相温度も上昇するので、その導入量を0〜15%とするのが好ましく、0.5〜15%の範囲にするのがより好ましく、1〜12%がさらに好ましく、2〜12%の範囲が一層好ましい。
NaO、KO、はガラスの転移温度を低めるために導入される成分ではあるが、これらの成分はいずれもガラスの屈折率を低下させるため、その導入量はそれぞれ0〜10%とするのがよい。より好ましくは0〜8%である。
ZrOは高屈折率・低分散の成分として使われる。少量のZrO2を導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果がある。しかし、15%を超えて導入すると、液相温度が急激に上昇し、失透に対する安定性も悪化するので、その導入量を0〜15%にするのがよい。より好ましくは0〜10%の範囲、さらに好ましくは1〜10%の範囲である。
Taは高屈折率・低分散を付与する成分として使われる。少量のTaを導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果がある。しかし、15%を超えて導入すると、液相温度が急激に上昇し、分散も大きくなるため、その導入量を0〜15%とするのがよい。より好ましくは0〜10%の範囲、さらに好ましくは1〜8%の範囲である。
WOは、ガラスの安定性、溶融性を改善し、屈折率を向上させるために適宜導入される成分であるが、その導入量が15%を超えると、分散が大きくなり、必要な低分散特性が得られなくなるため、その導入量を0〜15%とするのがよい。より好ましくは、0%超かつ15%以下、さらに好ましくは1〜15%の範囲、より一層好ましくは1〜12%の範囲である。
Nbはガラスの安定性や屈折率を改善するために適宜導入される成分であるが、その導入量が10%を超えると、分散が大きくなり、必要な低分散特性が得られなくなるため、その導入量を0〜10%以下にするのがよい。より好ましくは0〜8%、さらに好ましくは0〜5%の範囲である。
MgO、CaO、SrOはガラスの液相温度および転移温度を低めるために導入される成分で、特にNbを導入したガラスにはその効果が大きいが、これらの成分はガラスの安定性や光学特性を悪化させる恐れがあるので、その導入量をそれぞれ0〜15%とするのがよい。より好ましくは0〜12%の範囲、さらに好ましくは0〜10%の範囲である。
BaOは高屈折率・低分散を付与する成分として使用され、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、15%より多く導入するとガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、転移温度や屈伏点温度を上昇させるため、その導入量を0〜15%とするのがよい。より好ましくは0〜10%の範囲である。
、Ybも高屈折率・低分散付与成分として使用され、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、15%より多く導入するとガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、転移温度や屈伏点温度を上昇させるため、その導入量をそれぞれ0〜15%にするのがよい。より好ましくはそれぞれ0〜10%の範囲である。YやYbもLaと共存することによって、ガラス安定性を向上させる働きを増長させる。
TiOも屈折率を高める成分であるが過剰導入により、ガラス安定性が低下し、ガラスが着色するので0〜20%導入することが好ましい。
Biは屈折率を高め、ガラス安定性を向上する働きをするが、過剰導入によりガラスが着色するので0〜10%の導入が好ましい。
Sbは脱泡剤として用いられるが、1%以下で十分な効果が得られる。また、Sbの含有量が多くなると、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面がダメージを受けるおそれが生じる。したがって、その導入量を0〜1%の範囲とするのがよい。
、SiO、La、Gd、ZnO、LiO、ZrO、Taの各成分を含むガラスにおいて、高屈折率・低分散(nd>1.75かつνd>25)の高機能性を保つためにはLa+Gdの合計量を12%以上にするのが好ましく、12〜35%とするのがさらに好ましい。
また、ガラス中におけるランタノイド酸化物、Ln(Ln=La、Gd、Yb、Y、Sc)のモル%表示による合計含有量に対するLaのモル%表示による含有量の割合(分率)である、La/Lnを0.3〜1の範囲にすることが好ましく、0.4〜0.9の範囲にするのがより好ましい。その理由は以下のとおりである。
精密プレス成形用ガラスとしては、精密プレス成形の適性すなわち低ガラス転移温度を付与するものの、ガラスを不安定にする成分であるLiO等を添加する必要がある。高屈折率低分散性に必須なランタノイド酸化物の添加量を増大させるとガラス形成が難しくなる。しかしながら、ランタノイド酸化物におけるLaの配分(上記分率)を0.3〜1となるようにすることにより、ランタノイド系酸化物の添加量を増大させながら安定なガラスを得ることが可能となり、安定度を低下させるLiO等の成分を添加したガラスに対しても、安定にガラス形成を行うことが可能となる。また、この比率を保つことにより、液相温度の低下と高温粘性の向上に大きく寄与する。La/ΣLnを上記範囲にすると、Lnの合計量が同じでも、前記比率が大きいガラスと比較して、はるかに安定なガラスを得ることが可能になった。さらに、La、Gd、Yb、Y、Scの合計含有量(ΣLn)を12〜35%とすることが上記理由により好ましい。
ガラスBには、GeOを導入することもできる。GeOは、SiOと同様に、ガラスを安定化させ、SiOよりも高屈折率を与える成分であり、高屈折率を達成させる場合に適宜導入される。しかし、高価であり、分散を大きくするため、その導入量を0〜8%とするのがよい。好ましくは0〜1%であり、導入しないことがより好ましい。
PbOは還元されやすい成分のため、精密プレス成形時の還元により析出し成形品の表面の曇りになってしまう。また、環境上好ましくない物質でもあることから、PbOをガラス中から排除することが望ましい。
Luは他の成分に比べて使用頻度が少ない。また、希少価値の高い物質でもあることから光学ガラス原料としては高額であり、コスト面からは使用したくない成分である。また敢えて導入する必要もないので、Luを導入しないことが望ましい。
カドミウム、クロム、水銀などの環境上問題となる元素、トリウムなどの放射性元素、ヒ素などの有毒な元素を含まないことが望ましい。
なお、ガラスBには物性調整のために、合計量で5%以下のTiO、Al、Gaなどを導入してもよい。
以下、ガラスBとして好ましいものを幾つか例示する。このようなガラスとしては、B、La、Gdが共存するもの、B、La、ZnOが共存するもの、B、La、Gd、ZnOが共存するもの、B、La、Gd、ZnO、LiOが共存するもの、B、SiO、La、Gd、ZnO、LiO、ZrO、Taが共存するもの、
ガラス成分としてB 15〜60%、SiO 0〜40%、La 5〜22%、Gd 0〜20%、ZnO 0〜45%、 LiO 0〜15%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、ZrO 0〜15%、Ta 0〜15%、WO 0〜15%、Nb 0〜10%、MgO 0〜15%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、Y 0〜15%、Yb 0〜15%、TiO 0〜20%、Bi 0〜10%を含むガラス、
さらに前記いずれかのガラスであって、B、SiO、ZnO、LiO、La、Gd、ZrO、Ta、WO、Y、Ybの合計含有量が95%以上のものがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましく、100%であることが一層好ましい。
およびLaを含むガラスは、アッベ数(νd)が30〜50の範囲の特性を実現するガラスとして好ましいが、アッベ数(νd)が30〜40かつ屈折率(nd)が1.84超の範囲(第1の範囲という。)および第2の範囲はアッベ数(νd)が40〜50かつ屈折率(nd)が下記(1)式で表わされる範囲(第2の範囲という。)の特性を実現するものが望ましい。
nd>2.16−0.008×νd … (1)
第1の範囲は屈折率(nd)が極めて高い範囲であり、ガラス2の中でも液相粘性が低い。高屈折率ガラスは、一定の屈折率(nd)に対してアッベ数(νd)が小さいほうが比較的安定性を向上させやすいが、アッベ数(νd)が大きくなると安定したガラスを得るのが難しくなる。そのため、第2の範囲も第1の範囲同様、ガラスBの中でも液相粘性が低くなる。
本発明においては、さらに、熱間成形の際に揮発しやすい弗素を含むガラスも用いることができる。このようなガラスとしては、弗燐酸塩ガラス、弗素含有ケイ酸塩ガラス、弗素含有ホウケイ酸塩ガラス、弗素含有ホウ酸塩ガラスなどを例示することができる。なかでも、弗燐酸塩ガラスはアッベ数(νd)が65以上の低分散ガラス製プリフォーム用の材料として非常に重要なガラスである。また、銅イオンを含有させることにより、近赤外線吸収特性を付与し、半導体撮像素子の色補正用フィルター材料としても有用なガラスである。
このように重要なガラスでありながら、弗素の揮発や流出時のパイプ外周へのガラスの濡れ上がりにより、高品質なプリフォームを高い歩留まりで熱間成形できないという問題が、弗素含有ガラス製、特に弗燐酸塩ガラス製プリフォームの熱間成形実現を阻んできた。しかし、本発明により、表面脈理などをエッチング処理で除去することにより、弗素含有ガラス製、特に弗燐酸塩ガラス製プリフォームの熱間成形による量産の道が開かれることになった。
弗燐酸塩ガラスはガラス転移温度が比較的低く、精密プレス成形に適している。精密プレス成形性ならびに熱間成形性の面、ならびにアッベ数(νd)が65以上の低分散特性の付与という観点から好ましい弗燐酸塩ガラスは、カチオン成分としてAl、Ca、Srを、アニオン成分としてF、Oを必須成分として含むものであり、特に好ましい弗燐酸塩ガラス(以下、ガラスCという。)は、Al(PO 0〜20%、Ba(PO 0〜30%、Mg(PO 0〜30%、Ca(PO 0〜30%、Sr(PO 0〜30%、Zn(PO 0〜30%、NaPO 0〜15%、AlF 2〜45%、ZrF 0〜10%、YF 0〜15%、YbF 0〜15%、GdF 0〜15%、BiF 0〜15%、LaF 0〜10%、MgF 0〜20%、CaF 2〜45%、SrF 2〜45%、ZnF 0〜20、BaF 0〜30%、LiF 0〜10%、NaF 0〜15%、KF 0〜15%、LiO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%を含むものである。
上記組成範囲について詳細に説明する。
Al(POはガラスの網目構造を構成する成分であり、ガラスの耐候性を高める最も重要な成分であるが、その含有量が20%を超えると、ガラスの熱安定性が低下し、液相温度も光学特性(分散が高くなる)も大幅に悪化する恐れがあるので、その導入量を20%以下に制限することが好ましい。より好ましくは0.5〜15%の範囲である。
Ba(PO、Mg(PO、Ca(PO、Sr(POはAl(POと同様、ガラスの網目構造を構成する成分であると同時に、ガラスの耐候性を向上させる重要な成分である。その含有量が30%を超えて導入すると、ガラスの分散が高くなるのに加え、Pの増加により耐候性も悪化する。従って、それぞれの導入量は30%以下にすることが好ましい。Ba(PO、Mg(PO、Ca(PO、Sr(POの各成分ともより好ましい含有量は0〜25%の範囲である。なお、所望の光学恒数を得るためには、前記成分の合計量(Mg(PO+Ca(PO+Sr(PO+Ba(PO)を35%以下にすることが好ましく、32%以下とすることがより好ましい。
Zn(POはガラスの安定性を向上させる成分として重要であるが、30%を超えて導入すると、ガラスの分散が高くなり、耐久性が悪化する。そのため30%以下の導入量が望ましい。NaPOはガラスの安定性を向上させ、光学特性を向上させる成分であるが、15%を超えて導入すると耐久性が低下する。そのため導入量を15%以下とすることが望ましい。
AlFはガラスの安定性を向上し、かつ低分散化にする成分であるが、その含有量が45%よりも多いとガラスの安定性が著しく低下し、溶解性も悪くなる。一方、2%未満では目標とする光学特性が得られないので、その導入量を2〜45%の範囲にするのが好ましく、4〜40%の範囲にするのがより好ましい。
ZrFはガラスの網目構造を構成する成分であり、安定性を向上させ、耐久性も向上させる成分であるが、10%を超えて導入すると、必要な光学特性が得られないだけでなく、過剰な導入は安定性も低下させるため、導入量は10%以下とすることが望ましい。
YF、YbF、GdF、BiF、LaFは少量の添加により耐失透性改善の効果が高いが、YF、YbF、GdF、LaFの量がそれぞれ15%、15%、15%、15%、10%を超えると、ガラスが逆に不安定となり、失透しやすくなるので、その導入量をそれぞれ0〜15%、0〜15%、0〜15%、0〜15%、0〜10%に抑えることが望ましい。より好ましくはYFの含有量は0〜12%、YbFの含有量は0〜12%、GdFの含有量は0〜10%、BiFの含有量は0〜10%、LaFの含有量は0〜7%であり、さらに好ましいGdFの含有量は0〜8%である。
MgFはガラスを低分散化させる成分であるが、20%超えて導入すると、ガラスが不安定になるため、20%以下とすることが望ましい。
CaF、SrFは耐失透性を維持しつつ、低分散化するために必要な成分である。特にCaFがAlFとの組み合わせでガラス構造を強化する役割を果たし、ガラスの安定化には欠かせない成分である。CaF、SrFそれぞれの導入量が2%未満ではガラスの安定性向上の観点から十分な量とは言えず、また所望の光学恒数を得ることが困難になる。また、CaF、SrFとも45%を超えて多く導入すると、ガラスを不安定化にする恐れがあるので、CaF、SrFの導入量はともに2〜45%の範囲にとすることが好ましく、CaFを5〜40%、SrFを3〜35%の範囲とすることがより好ましい。
ZnFはガラスの安定化と耐久性の上昇に効果があるが20%を超えて導入すると安定性が低下するために導入量は20%以下とすることが望ましい。
BaFは耐久性の向上と低分散化に効果あるが30%を超えて導入すると安定性が低下するため導入量は30%以下とすることが望ましい。
LiF、NaF、KFは少量の添加によりガラスの耐失透性や分散性を良化する効果があるが、過剰導入により、ガラスの安定性が急速に悪化し、耐久性も悪くなるので、LiF、NaF、KFの導入量はそれぞれ0〜10%、0〜15%、0〜15%にするのが好ましい。より好ましいLiF、NaF、KFの導入量はそれぞれ0〜5%、0〜10%、0〜10%である。
LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、は本発明の必須成分ではないが、少量の導入によりガラスの安定性、耐候性、耐久性を改善する効果があるが、過剰導入によりガラスの溶融性を悪化させたり、分散性を悪くしたりする恐れがあるので、各導入量をLiO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%とする。より好ましくはLiO 0〜4%、NaO 0〜4%、KO 0〜4%、MgO 0〜4%、CaO 0〜4%、SrO 0〜4%、BaO 0〜4%、ZnO 0〜4%である。
上記成分に加え、脱泡や光学恒数を調整するなどの目的で少量のCl、Brなどの化合物を導入することも可能である。しかし、環境への影響を考慮すると、鉛化合物やヒ素化合物は導入しないことが望ましい。
また、銅含有の弗燐酸塩ガラスも本発明に使用するガラスとして好ましい。弗燐酸塩ガラスをベースに酸化銅を導入することにより、近赤外線吸収特性を付与することができる。上記銅含有弗燐酸塩ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して近赤外線吸収特性を有する光学素子を作ることもできる。ベースとなるガラスとしては上記ガラスAを例示することができる。このような光学素子は、CCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正用フィルターとして使用することもできる。例えば、薄板状に成形して上記フィルターにしたり、回折格子を成形することによりオプティカルローパスフィルターにしたり、レンズに成形することにより色補正フィルターとレンズ機能を兼備した光学素子にしたり、レンズ表面に回折格子機能を付与したオプティカルローパスフィルター機能とレンズ機能と色補正フィルター機能を兼ね備えた光学素子にすることもできる。
ガラスCはガラスとして安定しており、そのガラス融液を40×70×15mmのカーボン製の金型に流し、ガラス転移温度まで放冷してから、ガラス転移温度で1時間アニール処理した後、室温までさらに放冷しても、顕微鏡で観察できる結晶は析出しない。
ガラスCからなるガラス塊を成形する場合、800〜1100℃の温度で溶融、清澄した後、大気中、乾燥雰囲気中、あるいはアルゴンなどの希ガスや窒素ガスなどの不活性ガスに酸素ガスを混合した雰囲気(この場合、酸素の割合は0.1〜50体積%であることが好ましい。)で白金合金製の流出パイプを通じてガラスを流出して、上記浮上成形法によりガラス塊を作製する。
上記組成のガラスを使用することにより、屈折率(nd)が1.42〜1.6、アッベ数(νd)が65以上、好ましくは65〜97の範囲の光学恒数を有する光学ガラスからなるプリフォームを作製することができる。また、上記ガラスにおいて、精密プレス成形性をより向上させる上から、屈伏点(Ts)が500℃以下のガラスを使用することがより好ましい。
さらに弗燐酸塩ガラスなど弗素含有ガラスには、磨耗度が大きいガラスが多い。磨耗度Fは、日本光学硝子工業会規格JOGIS10−1994「光学ガラスの磨耗度の測定方法」において定義されている量である。磨耗度Fが大きいガラスほど、機械研磨によって平滑な表面を得ることが困難であったり、研磨加工中に割れるなどして研磨に適していない。しかし、本発明によれば機械研磨することなく光学的に均質であり、全表面が滑らかなプリフォームを作ることができる。本発明の適用がより好ましいガラスは磨耗度Fが200以上のガラス、さらに好ましいガラスは磨耗度Fが300以上のガラスである。好ましい磨耗度Fの上限は特にないが、600以下を目安にすればよい。
さらに、温度60℃、相対湿度90%の条件下に350時間放置した後のヘイズ値が8%以下の高い耐候性を有するガラスを使用することが好ましい。耐候性の高いガラスを使用することにより、上記製法にて作製したプリフォームの表面を長期にわたり良好に保つことができるほか、前記ガラスで作製した光学素子の耐候性も向上することができる。なお、ヘイズ値は、日本光学硝子工業会規格JOGIS07−1975「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(表面法)」において定義されている量である。
次にガラス塊のエッチング処理について説明する。ガラス塊のエッチング処理は、エッチングガスを用いたドライエッチング処理でもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチング処理でもよいが、ガラス塊の全表面を均等に除去する上からエッチング液にガラス塊を浸漬、好ましくはガラス塊全体を浸漬して行うことが好ましい。
機械研磨に対するエッチング処理の優位性の一つは、エッチング処理条件を一定にすればエッチング処理の深さ(エッチングにより除去される深さ)を一定にできる点にある。この優性性と熱間成形の優位性を組合せることにより、溶融ガラスから高品質かつ重量精度の高いプリフォームを生産性よく作ることができる。例えば、流出する溶融ガラスから溶融ガラス塊を分離し、ガラス塊を成形する工程を繰り返して一定重量のガラス塊を複数作製する。そして、前記複数のガラス塊を一定条件のもとにエッチング処理して一定重量のプリフォームを作製する。一定のエッチング条件で一定量のガラスが除去されるから、容易に一定重量のプリフォームを多量に作製することができる。この方法は、ガラス塊をエッチング液に浸漬する時間を一定にする、あるいは複数個のガラス塊を一括してエッチング液に浸漬し、所定時間経過後、一括してエッチング液から取り出すことで容易に行うことができる。
エッチング液としては、酸溶液またはアルカリ溶液を使用することができる。前記酸溶液としては、HNO、HCl、HSO、HF、HSiFなどの溶液、あるいはHNO、HCl、HSO、HF、HSiFの中から選ばれる2種以上の酸を混合した混合溶液を例示することができる。前記アルカリ溶液としては、NaOH、KOH、NaCOなどの溶液、あるいはNaOH、KOH、NaCOの中から選ばれる2種以上のアルカリを混合したアルカリ溶液を例示することができる。上記酸溶液あるいはアルカリ溶液にキレート剤、界面活性剤等の助剤を混合してもよい。エッチング液にキレート剤を添加することで、エッチング処理時にガラスの溶解により生成する金属イオンを取り込ませエッチング処理をより均一に行なうことができる。
アルカリ土類金属酸化物を含むガラス(例えば、ガラス1、ガラス2)では、HSO溶液でエッチング処理すると、エッチング液とガラスの反応によりガラス塊表面に難溶性の塩(BaSOなどの硫化塩)が生成する。このような塩がガラス塊表面に堆積するとエッチング処理の進行が妨げられるため、エッチング液を攪拌することが望ましい。
一方、上記ガラスがアルカリ土類金属酸化物、例えばBaOを含む場合でも、HCl溶液でエッチングするとアルカリ土類金属の塩化物は水溶性なのでエッチング液に溶解し、エッチングの進行を妨げにくい。このような観点からは、酸溶液としてHCl溶液がより好ましく、次いでHNO溶液が好ましい。一方、難溶性の塩が生成することを利用することもできる。難溶性の塩は液中で沈殿するためエッチング液が飽和してエッチング速度が低下しにくい。また沈殿物も除去すれば繰り返し繰り返しエッチング液として使用することもできる。
またアルカリ土類金属を含む弗燐酸塩ガラス、例えばガラスCのようなガラスは、HSO溶液でエッチングすると、エッチング液とガラスの反応によりガラス塊表面に難溶性の塩(BaSOなどの硫化塩)が生成する。このような塩がガラス塊表面に堆積するとエッチングの進行が妨げられるため、エッチング液を攪拌することが望ましい。
一方、アルカリ土類金属を含む弗燐酸塩ガラス、例えばガラスCのようなガラスでもHCl溶液でエッチングするとアルカリ土類金属の塩化物は水溶性なのでエッチング液に溶解し、エッチングの進行を妨げにくい。このような観点からは、酸溶液としてHCl溶液がより好ましく、次いでHNO溶液が好ましい。
一方、難溶性の塩が生成することを利用することもできる。難溶性の塩は液中で沈殿するためエッチング液が飽和してエッチング速度が低下しにくい。また沈殿物も除去すれば繰り返し繰り返しエッチング液として使用することもできる。
HCl溶液やHNO溶液でエッチング速度が増加することと、HSO溶液でエッチング速度が減少することを利用し、HClとHSOの混合溶液、HNOとHSOの混合溶液、HCl、HNO、HSOの混合溶液など、エッチング速度が異なる溶液を混合してエッチング速度を調整することもできる。
このようにして作製したプリフォームを洗浄した後に、必要に応じて離型膜などの薄膜を表面に形成してもよい。離型膜としては炭素含有膜、自己組織化膜などを例示することができる。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、上記製造方法により作製した精密プレス成形用プリフォームを加熱、精密プレス成形することを特徴とするものである。
精密プレス成形はモールドオプティクス成形法とも呼ばれ、既に当該発明の属する技術分野においてはよく知られたものである。光学素子の光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面と呼ぶ。例えばレンズを例にとると非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する。精密プレス成形法はプレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形で光学機能面を形成する方法である。つまり光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。
本発明によれば、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、回折格子、回折格子付のレンズ、レンズアレイ、プリズムなどの各種光学素子、用途としてはデジタルカメラやフィルム内蔵カメラの撮像光学系を構成するレンズ、カメラ付携帯電話搭載の撮像レンズ、CDやDVDをはじめとする光記録式媒体のデータ読取および/またはデータ書込み用に使用する光線を導光するためのレンズなど各種光学素子を作製することができる。
なお、これら光学素子には必要に応じて、反射防止膜、全反射膜、部分反射膜、分光特性を有する膜などの光学薄膜を設けることもできる。
精密プレス成形法に使用するプレス成形型としては公知のもの、例えば炭化珪素、超硬材料などの型材の成形面に離型膜を設けたものを例示できるが、炭化珪素製のプレス成形型が好ましい。離型膜としては炭素含有膜、貴金属合金膜などを使用することができるが、耐久性、コストの面などから炭素含有膜が好ましい。
精密プレス成形法では、プレス成形型の成形面を良好な状態に保つため成形時の雰囲気を非酸化性ガスにすることが望ましい。非酸化性ガスとしては窒素、窒素と水素の混合ガスなどが好ましい。
プレス圧力は適宜調整すればよいが、5〜15MPa程度の範囲を目安にすることができる。また、プレス時間も適宜調整すればよいが、10〜300秒の範囲を目安にすることができる。
次に本発明の光学素子の製造方法に特に好適な精密プレス成形法について説明する。
(精密プレス成形法1)
この方法は、プレス成形型に前記プリフォームを導入し、前記成形型とプリフォームを共に加熱し、精密プレス成形するというものである(精密プレス成形法1とういう)。
精密プレス成形法1において、プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。
また前記ガラスが1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好ましくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。
上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
(精密プレス成形法2)
この方法は、前記プリフォームを加熱した後に、プレス成形型に導入し、精密プレス成形する、すなわち、プレス成形型とプリフォームを別々に予熱し、予熱したプリフォームをプレス成形型に導入して精密プレス成形するというものである(精密プレス成形法2という)。
この方法によれば、前記プリフォームをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
なおプレス成形型の予熱温度をプリフォームの予熱温度よりも低く設定することが好ましい。このようにプレス成形型の予熱温度を低くすることにより、前記型の消耗を低減することができる。
また、プリフォーム加熱をプレス成形型内で行う必要がないので、使用するプレス成形型の数を少なくすることもできる。
精密プレス成形法2において、前記プリフォームを構成するガラスが10dPa・s以下、より好ましくは10〜10dPa・sの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。
また、前記プリフォームを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜10dPa・s、より好ましくは105.5dPa・s以上10dPa・s未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時又はプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なおプレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温させるが、前記ガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。また、レンズを成形した場合には、心取り加工を行ってもよい。また、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
このようにして、ガラス1やガラス2からなる高品質な光学素子を高い生産性のもとに作製することができる。
次に、本発明を、実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例
(1)表1〜表4にプリフォームを作るためのガラス材料の組成及びその特性として屈折率(nd)、アッべ数(νd)、転移温度(Tg)、屈伏点 (Ts)、及び液相温度(L.T.)を示す。上記ガラスの特性は各成分の原料として各々相当する酸化物、フッ化物、水酸化物、炭酸塩、及び硝酸塩を使用し、ガラス化した後に表1〜表4に示す組成となるように秤量し、十分混合した後、白金坩堝に投入して電気炉で1050〜1200℃の温度範囲で溶融、清澄、攪拌して均質化し、適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ後、ガラス転移温度まで冷却してから直ちにアニール炉に入れ、室温まで徐冷したものを試料にして測定したものである。
得られた光学ガラスについて、屈折率(nd)、アッべ数(νd)、転移温度(Tg)、屈伏点温度(Ts)、液相温度(L.T.)及び液相温度における粘度(液相粘性)を、以下のようにして測定した。これらの結果を表1〜表4に示す。
(a)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/hにして得られた光学ガラスについて測定した。
(b)転移温度(Tg)及び屈伏点温度(Ts)
理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分にして測定した。
(c)液相温度(L.T.)
400〜1150℃の温度勾配のついた失透試験炉に1時間保持し、倍率80倍の顕微鏡により結晶の有り無しを観察し、液相温度を測定した。
(d)液相粘性
“JIS Z 8803−1991「液体の粘度−測定方法」8.単一円筒形回転粘度計による粘度測定”に基づき、回転円筒法によってガラスの液相温度における粘性を測定した。
Figure 2005247598
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(2)表5〜表8に使用したガラスの組成を前記の方法で測定した光学恒数(屈折率nd、アッべ数νd)、転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)とともに表5〜表8に示す。温度履歴によって光学恒数がごく僅かだけ変化するが、組成、光学恒数(屈折率nd、アッべ数νd)、転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)は、プリフォーム、光学素子においても同じと考えてよい。
なお、表5中の実験No.25および26のガラスについては磨耗度(F)を以下のようにして測定した値を示す。表5〜表9の実験No.27〜44のガラスも実験No.25および26のガラスとほぼ同等の値と推測される。
(e)磨耗度(F
測定面積が9cmの試料を、水平に毎分60回転する鋳鉄製平面皿の中心より80mmの定位置に保持し、平均粒径20μmのアルミナ砥粒10gに水20mlを添加したラップ液を5分間一様に供給し、9.80Nの荷重をかけてラッピングする。ラッピング前後の試料質量を秤量して磨耗重量mを求める。同様にして日本光学硝子工業会で指定された標準試料(BSC7)の磨耗質量mを測定し、次式により磨耗度(F)を算出する。
=[(m/d)/(m/d)]×100
(なお、dは試料の比重、dは標準試料(BSC7)の比重である)
上記ガラスを作るには、各成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物など、例えば、Al(PO、Ba(PO、AlF、YF、MgF、CaF、SrF、BaF、NaFなどを用いて表5〜表8に示した所定の割合に250〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを白金るつぼに入れ、1200〜1450℃に保持した電気炉中において、攪拌しながら大気中、乾燥雰囲気、あるいはアルゴンなどの希ガスや窒素など不活性ガスと呼ばれるガスに0.1〜50体積%の酸素ガスを混合した雰囲気中で2〜4時間、加熱、溶融を行った。溶融後、溶融ガラスを40×70×15mmのカーボン製の金型に流し込み、ガラス転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス転移温度付近で約1時間アニール処理した後、炉内で室温まで放冷した。得られたガラス中には、顕微鏡で観察できる結晶は析出していなかった。
Figure 2005247598
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(3)表9に示す組成と物性を有する光学ガラスを、前記(1)と同様にして製造した。
Figure 2005247598
(4)次に表1〜表9に示したガラスが得られる溶融ガラスを上記溶融条件にて多量に作り、一定の流量で白金合金製の流出パイプから流出した。
溶融ガラスの流出は、大気中、乾燥雰囲気中、あるいは酸素ガスを0.1〜50体積%含む不活性ガス(窒素またはアルゴン、または窒素とアルゴンの混合ガス)雰囲気中で行った。
流出する溶融ガラスから所定重量の溶融ガラス塊を滴下法により分離してガスを噴出するガラス塊成形型で受け、ガラスを浮上しながら上下動させて球状のガラス塊に成形した。一定の時間間隔で滴下する溶融ガラス滴を次々とガラス塊成形型で受けて浮上成形することにより、一定重量のガラス塊を次々と成形する。ガラス塊が変形しない温度にまで冷却した後に型から取り出す。このようにして表1〜表9に示す各ガラスからなる球状ガラス塊を複数個作製した。
また、溶融ガラス塊を降下切断法により分離し、多孔質により形成された凹部を有するガラス塊成形型で受け、多孔質の微細な孔からガスを噴出することにより、表1〜表9に示す各ガラスからなるガラス塊を成形した。この方法でも分離の時間間隔を一定にして、上記工程を繰り返し行うことにより、一定重量のガラス塊を複数個作製した。なお、この方法で成形したガラス塊の形状は、1つの回転対称軸を備え、長径と短径を有するとともに、表面が曲面からなる形状であり、本発明における表面が曲率の異なる曲面によって構成される形状であり、扁平球に近似した形状に相当する。
このようにして成形したいずれのガラス塊とも、室温までに冷却した後、アニ−ル炉に入れてガラス転移温度よりも10℃程度低い温度で一時間アニール処理し、30℃/時の速度で室温まで降温して歪みを低減した。なお、上記いずれの方法で成形したガラス塊も高い重量精度を有している。なお、得られたガラス塊の重量公差は、目的重量を基準にして±1%以内であった。
これらガラス塊の表面を光学顕微鏡で拡大観察すると微細な表面脈理が全表面にわたって観察された(図1参照)。
(5)次に、濃度30重量%の硝酸水溶液、濃度35重量%の塩酸、濃度2重量%のHSiF水溶液の3種類のエッチング液を用意し、室温で各エッチング液にガラス塊全体を浸漬して、全表面を0.1mm(100μm)程度の深さまでエッチング処理して表面層を除去するとともに、所望重量のガラス塊とした。エッチング処理後、ガラス塊を洗浄、乾燥し、表面を光学顕微鏡で拡大観察したところ、表面脈理は認められなかった。さらにガラス塊内部を観察したところ、内部にも脈理は認められなかった(図1参照)。このようにして光学的に均質な脈理のないガラス塊が得られたので、このガラス塊を精密プレス成形用プリフォームとした。なお、エッチング処理後のプリフォームの重量公差は、目的とするプリフォームの重量を基準にして±1%以内であった。このような作業を繰り返し、エッチング液の種類、濃度、温度、浸漬時間、ガラスの組成とエッチングの深さの関係を得る。
次に等重量の複数個のガラス塊を同時に上記各種エッチング液に没するように浸漬し、上記エッチング条件と同じ条件で全ガラス塊の全表面を深さ0.1mmのところまで除去し、エッチング処理前のガラス塊の形状に近似したプリフォームを作製する。このようにして作製されたプリフォームすべては光学的に均質であり、表面脈理も内部の脈理も認められず、表面の失透もなかった。そして、各プリフォームとも所望の重量であり、重量精度の高い複数個のプリフォームを同時に生産することができた。なお、エッチング処理後の各プリフォームの重量公差は、目的とするプリフォームの重量を基準にして±1%以内であった。プリフォームの全表面には精密プレス成形時の離型性を高めるための離型膜を設けてもよい。このような離型膜としては炭素膜や自己組織化膜などを例示することができる。
(6)このようにして得られたプリフォームを加熱し、図2に示すプレス装置を用い、精密プレス成形(非球面精密プレス)することにより非球面レンズを得た。精密プレス成形の詳細は次にとおりである。上記プリフォーム4を、非球面形状を有するSiC製の下型2及び上型1の間に静置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形金型内部の温度をガラスの屈伏点+20〜60℃となる温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押してプレス成形型内のプリフォーム4を精密プレス成形した。成形圧力8MPa、成形時間30秒とし、プレス後、成形圧力を減少させて成形された光学ガラス製の非球面レンズを下型2及び上型1と接触させたままの状態でガラス転移温度−30℃の温度までに徐冷し、次いで室温まで急冷した。その後、非球面レンズをプレス成形型から取り出し、形状の測定および外観検査を行った。得られた非球面レンズは、きわめて精度の高いレンズであった。なお、符号3は案内型、9は支持棒、10は支持台、14は熱伝対である。
このレンズの表面を光学顕微鏡で拡大観察したところ、使用したプリフォーム同様、表面脈理も内部の脈理も認められず、高品質なレンズであることが確かめられた。
プレス成形型に予熱された上記プリフォームを導入し、精密プレス成形する方法でも高品質、高精度な光学ガラスからなる非球面レンズを成形することができた。
なお、プリフォームの形状、寸法は作製しようとする精密プレス成形品の形状等により適宜、決めればよい。
上記実施例では非球面レンズを成形したが、最終製品の形状に合わせたプレス成形型を用いつことにより、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、平凸レンズ、両凸レンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの各種非球面レンズあるいは各種球面レンズ、あるいはプリズム、ポリゴンミラー、回折格子などの光学素子を作製することもできる。
なお、得られた各光学素子の光学機能面には必要に応じて反射防止膜あるいは高反射膜などの光学多層膜を形成することもできる。
本発明の精密プレス成形用プリフォームの製造方法によると、ガラスの熱間成形により、高い生産性のもとに高品質の精密プレス成形用プリフォームを製造することができる。また、前記方法で作製したプリフォームを精密プレス成形することにより、高い生産性のもとに高品質の光学素子を製造することができる。
ガラス塊のエッチング処理前およびエッチング処理後の1例の光学顕微鏡写真図である。 実施例で使用した精密プレス成形装置の1例の概略断面図である。
符号の説明
1 上型
2 下型
3 案内型(胴型)
4 プリフォーム
9 支持棒
10 支持台
11 石英管
12 ヒーター
13 押し棒
14 熱伝対

Claims (10)

  1. 溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
    溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記表面層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  2. 溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
    溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記ガラスの液相温度における粘度が10dPa・s以下であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  3. 溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
    溶融ガラスをガラス塊に成形し、該ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製すること、および前記ガラスが屈折率(nd)1.75以上で、アッベ数(νd)50以下の光学ガラスであることを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  4. 溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
    溶融ガラスをガラス塊に成形してアニール処理したのち、前記ガラス塊をエッチング処理して、ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを作製することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  5. 溶融ガラスから所定重量の精密プレス成形用プリフォームを製造する方法において、
    溶融ガラスをガラス塊に成形する工程を繰り返して一定重量のガラス塊を複数作製し、前記複数のガラス塊を一定の条件でエッチング処理して、各ガラス塊の表面層を除去することにより、前記重量の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームを複数作製することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  6. ガラス塊全体をエッチング液に浸漬してエッチング処理する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  7. 溶融ガラスを、表面が曲率の異なる曲面により構成されるガラス塊または球状のガラス塊に成形する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを、精密プレス成形する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  9. プレス成形型にプリフォームを導入し、前記成形型とプリフォームを共に加熱して精密プレス成形する請求項8に記載の光学素子の製造方法。
  10. 予熱されたプレス成形型に、別途に加熱したプリフォームを導入して精密プレス成形する請求項8に記載の光学素子の製造方法。
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