JP4458897B2 - 熔融ガラス流出ノズル、およびガラス成形体、プレス成形用プリフォーム、光学素子それぞれの製造方法 - Google Patents

熔融ガラス流出ノズル、およびガラス成形体、プレス成形用プリフォーム、光学素子それぞれの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熔融ガラスを流出する熔融ガラス流出ノズル、ならびに前記ノズルを使用して熔融ガラスを流出し、ガラス成形体またはプレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに前記ガラス成形体またはプレス成形用プリフォームから光学素子を製造する方法に関する。
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及に伴い、撮像光学系を構成する非球面レンズなどのガラス製光学素子の需要が高まっている。また、DVD機器やパソコンの普及に伴い、光記録式の情報記録媒体にデータを読み書きするための光線を導光する小型のガラス製レンズに対する需要も高まっている。
このようなガラス製の光学素子を高い生産性のもとに高精度に作製する方法にガラスの精密プレス成形法(モールドオプティクス成形法とも言う。)がある。
精密プレス成形法では、所定の形状、重量を有し、表面が平滑で内部品質の高いプリフォームと呼ばれるガラス予備成形体を作製する。そしてプリフォームを加熱して精密プレス成形して光学素子を成形する。
光学素子の生産をガラス素材の作製にまで遡って見ると、生産性を向上するためにはプリフォームの生産性を高めることも必要である。ところでプリフォームを高い生産性のもとに作製する方法には、特許文献1に開示されているような熱間プリフォーム成形法と呼ばれる方法がある。熱間プリフォーム成形法とは、流出ノズルから流出する熔融ガラスから所定分量のガラスを分離してガラス塊を形成し、該ガラス塊を成形してプリフォームを得る方法である。この方法では、泡を含まず、均質な熔融ガラスを作り、流出ノズルと呼ばれる耐熱性のノズルからから一定の流速で流出し、流出する熔融ガラス流から所定重量の熔融ガラス塊を分離し、この熔融ガラス塊が冷却する過程でプリフォームに成形する。
熱間プリフォーム成形法は、ガラスブロックを切断したり、研磨する必要がないため、工程を簡素化でき、また一定の条件で熔融ガラス塊の分離を行えば、一定の重量のプリフォームを多量に作ることもできる。また機械加工する必要がないので、スラッジなどのガラス廃棄物も出さずに済むという特徴を有している。
特公平7−51446号公報
このように熱間プリフォーム成形法は優れた方法ではあるが、熔融ガラスを流出ノズルから流出する際、熔融ガラスがノズル先端の外周に濡れ上がるという問題が発生することがある。濡れ上がったガラスは、時間の経過とともに新たに流出したガラスに取り込まれる。前述のように、精密プレス成形用プリフォームを成形するには、所定重量の熔融ガラス塊を分離しなければならないが、ガラスの濡れ上がりや、濡れ上がったガラスが流出するガラスに取り込まれると、分離するガラス塊の重量変動が生じてしまう。
また濡れ上がったガラスは、流出してすぐに成形されるガラスよりも長時間、高温状態の雰囲気に晒されている。そのため、ガラス中の揮発しやすい成分が揮発して変質したガラスになってしまい、流出したガラスに取り込まれるとプリフォームの品質を悪化させてしまう。
このような品質の悪化は、プリフォームの製造だけに限らず、熔融ガラスを流出して鋳型に鋳込んで光学ガラスからなるガラス板やブロックを成形して、これら成形体を使って光学素子を作る場合にも問題になる。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、濡れ上がりを生じずに熔融ガラスを流出することができる熔融ガラス流出ノズル、前記ノズルを使用して熔融ガラスから高品質なガラス成形体を高い生産性のもとに作製するガラス成形体の製造方法、および前記ノズルを使用して熔融ガラスから高品質なプレス成形用プリフォームを高い生産性のもとに作製するプレス成形用プリフォームの製造方法、ならびに前記いずれかの製造方法によって作製したガラス素材を用いて高品質なガラス製の光学素子を高い生産性のもとに製造する方法を提供することを目的とする。
上記本発明の目的を達成するための手段は、以下の通りである。
[請求項]熔融ガラスを蓄える容器に接続された白金または白金合金製のパイプに取り付けられた、円柱の中心に穴を有する構造の熔融ガラス流出ノズルの流出口から熔融ガラスを流出させ、流出したガラスが冷却する過程で所定の形状に成形するガラス成形体の製造方法において、
前記ノズルが、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる熔融ガラス流出ノズルであることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
[請求項]前記ガラスが弗素含有ガラスである、請求項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項3]前記非酸化物セラミックが、炭化珪素および/または窒化珪素である、請求項1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項4]前記流出口近傍の外周面が、少なくとも流出口から高さ1cmまでの外周面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項5]前記熔融ガラスを流出するノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向にガスを流すことを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項]熔融ガラスを蓄える容器に接続された白金または白金合金製のパイプに取り付けられた、円柱の中心に穴を有する構造の熔融ガラス流出ノズルの流出口から流出する熔融ガラスから所定分量のガラスを分離してガラス塊を形成し、該ガラス塊を成形してプリフォームを得る工程を含むプレス成形用プリフォームの製造方法において、
前記ノズルが、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる熔融ガラス流出ノズルであることを特徴とするプレス成形用プリフォームの製造方法。
[請求項]前記ガラスが弗素含有ガラスである、請求項6に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
[請求項8]前記非酸化物セラミックが、炭化珪素および/または窒化珪素である、請求項6または7に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
[請求項9]前記流出口近傍の外周面が、少なくとも流出口から高さ1cmまでの外周面である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
[請求項10]前記熔融ガラスを流出するノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向にガスを流すことを更に含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
[請求項11]ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形する工程を含むガラス製の光学素子の製造方法において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体を加工して前記ガラス素材を作製するか、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法により作製したプレス成形用プリフォームをガラス素材として使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
本発明の熔融ガラス流出ノズルによれば、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素または珪素によって形成されていることにより、熔融ガラスの濡れ上がりを防止することができる。
また、本発明のガラス成形体の製造方法によれば、熔融ガラスを上記ノズルから流出して成形するので、前記濡れ上がりを防止することができ、高品質なガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。
また、本発明のプレス成形用プリフォームの製造方法によれば、熔融ガラスを上記ノズルから流出して成形するので、前記濡れ上がりを防止することができ、高品質なプリフォームを高い生産性のもとに製造することができる。
さらに本発明の光学素子の製造方法によれば、上記いずれかの方法によってガラス素材を作って、プレス成形することにより、高品質なガラス製の光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
[熔融ガラス流出ノズル]
本発明の熔融ガラス流出ノズルは、熔融ガラスを流出口より流出する熔融ガラス流出ノズルであって、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする熔融ガラス流出ノズル(以下、ノズル1ともいう。)である。前記非酸化物セラミックとしては、具体的には、炭化珪素および窒化珪素を用いることができる。
従来の熔融ガラス流出ノズルでは、熔融ガラスを流出ノズルから流出する際、熔融ガラスがノズル先端の外周に濡れ上がるという問題があった。特に、従来使用されていた白金合金製ノズルは、ガラスとの濡れ性が非常に高く、濡れ上がりが顕著であった。また、ノズル外周に金をコートした熔融ガラス流出ノズルも知られているが、このノズルでも、十分な濡れ上がり防止効果を得ることは困難であった。
それに対して、本発明の熔融ガラス流出ノズルは、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなることにより、十分満足できる濡れ上がり防止効果を得ることができる。
本発明の溶出ガラス流出ノズルの外周面を構成する材料(以下、外周面構成材料という。)は、前述のように、非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種である。前記非酸化物セラミックは、炭化珪素および/または窒化珪素であることができる。なお、外周面構成材料として、上記材料の二種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記外周面構成材料は、長時間のガラス流出に十分耐えられる耐熱性を有していることが好ましい。中でも、外周面構成材料として最も好ましいものは炭化珪素であり、次いで炭素が好ましい。以下、より安定した濡れ上がり防止効果を得る上で留意すべき点について、外周面構成材料毎に説明する。
炭化珪素、窒化珪素、珪素など珪素を含む非酸化物は、大気などの酸素を含む雰囲気中で表面が酸化され、SiO2被膜が生じるものと推察される。しかし、このような被膜が生じても、熔融ガラスと接触することによりSiO2被膜が破壊されて外周面構成材料の表面が現われるため、酸素含有雰囲気中でも、濡れ上がりを生じることなく、ガラスを流出することができると、発明者は推察している。SiO2被膜の破壊効果の大小は、ガラスによっても異なるが、弗素を含有するガラス、例えば弗燐酸塩ガラスの場合、被膜破壊効果が大きい。弗素含有ガラスは各種ガラスの中でも濡れ上がりが大きく、しかも、易揮発成分である弗素を含むため、揮発による変質や雰囲気中の水分との反応による変質が生じやすい。このような濡れ上がりにより品質が低下しやすいガラスを使用したときに大きな被膜破壊効果が得られるということは好都合である。したがって、外周面構成材料に炭化珪素、窒化珪素、珪素などの珪素を含む非酸化物を用いたノズルは、弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスを流出する際に使用する流出ノズルとして好ましい。
炭化珪素、窒化珪素、珪素など珪素を含む非酸化物以外の外周面構成材料としては、炭素を用いることができる。炭素も濡れ上がり防止効果を有するため、各種ガラスの成形に好適であり、中でも濡れ上がりによる品質低下の懸念が大きい弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスへの適用に好適である。但し、炭素は優れた濡れ上がり防止効果を有するが、酸化性雰囲気中で酸化される。そのため、外周面構成材料として炭素を使用する場合には、少なくとも外周面構成材料で構成された部分が非酸化性雰囲気で満たされた環境下で、ノズルを使用することが好ましい。非酸化性雰囲気としては、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気、またはアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気を例示することができる。
珪素を含む非酸化物や炭素以外の非酸化物を外周面構成材料に使用したノズルも、酸化を防止するという観点から、炭素同様、非酸化性雰囲気で満たされた環境下で使用することが望ましい。
前記材料によって構成する部分は、少なくとも流出口近傍の外周面である。この部分は、流出口を含み、熔融ガラスが濡れ上がるおそれがある部分であり、少なくともこの部分を前記材料によって構成することにより、熔融ガラスの濡れ上がりを防止することができる。具体的には、非酸化物セラミックによって構成する部分は、少なくとも、流出口から高さ1cmまでの外周面であることができる。
本発明の熔融ガラス流出ノズルは、少なくとも、流出口近傍の外周面が前記材料によって構成されていればよく、ノズル全体が前記材料によって形成されていてもよい。また、ノズル全体を白金や白金合金等のノズル材料として公知の材料によって形成し、少なくとも流出口近傍の外周面を前記材料によってコーティングしてもよい。
ノズル外周面に外周面構成材料をコートする場合、その厚さは、10nm以上にすることが好ましく、100nm以上にすることが更に好ましい。ただし、膜厚が厚くなりすぎるとコートに大きな熱応力がかかり破壊するおそれがあるため、膜厚を3mm以下にすることが好ましい。
前記ノズルは、熔融ガラスを蓄える容器に接続する白金または白金合金製のパイプに熔接などの手段やネジどめなどの手段によって取りつけて使用することができる。
また、熔融ガラスの流路であるノズル内周面を非酸化物セラミック、具体的には、炭化珪素、炭素、窒化珪素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種により形成してもよい。以下、内周面を形成する材料を内周面構成材料と呼ぶことにする。
内周面が前記内周面構成材料で構成された熔融ガラス流出ノズル(以下、ノズル2ともいう。)は、外周面構成材料を外周面に有するか否かによらず、次のような効果を得ることができる。
流出時の粘度が低いガラスを流出する場合、流出温度を下げて成形に適した温度でガラスを流出する。このような性質に加え、失透しやすい性質をもつガラスでは、液相温度よりもわずかに高い温度で流出して成形を行う。しかし、流出温度が何らかの原因により変動して液相温度以下に下がるとガラスが流出する前に失透し流動性が低下して詰まってしまうことがある。ノズル部分はガラス流路を構成する中では最も温度が低い部分なのでガラスの詰まりはノズル内で起きることが多い。そこで、非酸化物セラミックがガラスに対して濡れにくいという性質を活かし、ノズル内周面を非酸化物セラミックで構成することにより、流動性が低下したガラスでもノズル内で詰まるというトラブルを減らすことができる。液相温度における粘度が低く失透しやすいガラスとしては、屈折率(nd)が1.8以上(特に1.85以上あるいはアッベ数(νd)が30以下)のガラス、B23および希土類酸化物含有ガラス(特に屈折率(nd)が1.85以上)、SiO2およびTiO2含有ガラス(特に屈折率(nd)が1.8以上かつアッベ数(νd)が30以下)などがある。内周面が前記内周面構成材料で構成された熔融ガラス流出ノズルは、前述の各種ガラスの流出に好適であり、失透が起きる度にノズル内に詰まったガラスを取り除く手間が省ける。そのため、このノズルを使用して、後述するガラス成形体を製造すれば、生産性を向上することができる。
ノズル2は、例えば白金合金製のノズルの内周面に上記内周面構成材料をコートして作ることができる。なお、ノズル2はノズル1の特徴を備えていてもよいし、ノズル2の特徴のみを備えていてもよい。例えば、ノズル1の内周面に、前記内周面構成材料をコートしてもよいし、外周面構成材料と内周面構成材料を同一の材料として、その材料でノズル全体を構成してもよい。
ノズル1の全体が外周面構成材料から構成される場合、そのようなノズルは、例えば、セラミックス製の円柱の中心に穴を開けることにより製造することができる。内径が小さすぎて穴を開けることが困難な場合には、円柱を縦に切り分け中心に溝を作製したものを張り合わせて、全体が外周面構成材料から構成されるノズル1を製造することができる。この場合、合わせ面からのガラスの漏れは、外周面構成材料がガラスに濡れにくい材料であることから防止できる。
また、ノズルの外周面に前記外周面構成材料をコートしてノズル1を作製する場合、溶射やスパッタ成膜によってコーティングを作製することができる。ノズルの向きを変えて何回か成膜を繰り返すことにより、外周全面にコーティングを設けることができる。
また、ノズルの内周面に前記内周面構成材料をコートしてノズル2を作製する場合、ノズルの開放部から膜成分の分子が入り込めるようにノズル部品の保持方向を向けることにより、内周面にコーティングを設けることができる。また、前述の部品を2つに分割する方法によっても、ノズル2を容易に作製することができる。
[ガラス成形体の製造方法]
本発明のガラス成形体の製造方法は、熔融ガラスを流出ノズルから流出させ、流出したガラスが冷却する過程で所定の形状に成形するガラス成形体の製造方法であって、前記ノズルが前述のノズル1であることを特徴とする。
本発明のガラス成形体の製造方法を実施するための工程について説明する。
まず清澄、均質化された熔融ガラスを作製する。熔融ガラスは、例えば白金合金製の容器内で加熱、蓄積されており、その容器に接続された、例えば白金または白金合金製のパイプを通ってノズル1へと導かれる。パイプおよびノズル1を所定の温度に加熱することにより、ノズルから単位時間に流出する熔融ガラスの量(引上げ量という。)を一定に保つことができる。
ノズルの下方に、例えばカーボン製の鋳型を配置し、ノズル1から流出したガラスを前記鋳型に連続して流し込む。鋳型としては、底部が平面であり、一方の側面が開口している鋳型を用いることができる。鋳込まれたガラスは鋳型内に均等に広がり、鋳型の一対の平行な側面によって幅が規制された一定の厚みのガラス板として、鋳型の開口部から一定の速度で水平方向に引き出される。このようにして成形されたガラス板を、アニール炉内でアニールし、所定の寸法に切断することにより、光学ガラスからなる板状ガラス(Eバー)を得ることができる。このように製造された板状ガラスを、一定の寸法を有する複数個の直方体(カットピースという。)に切り分けた上で、表面に研削、あるいは研削および研磨を施すことにより、プレス成形用プリフォームに仕上げることができる。
また、鋳型の形状を変えて、円柱状、角柱状のガラス成形体を作製することもできる。
本発明のガラス成形体の製造方法では、熔融ガラス流出ノズルとして、前記ノズル1を用いることにより、ノズル外周への熔融ガラスの濡れ上がりを防止することができる。これにより、濡れ上がったガラスが変質し、変質したガラスが鋳型内に流れ込んでガラスの品質を低下することを防止することができる。なお、本発明のガラス成形体の製造方法において、前記ノズル2を用いてもよい。ノズル2を用いることにより、ノズルの詰まりを防止して、生産性を更に向上することができる。
[プレス成形用プリフォームの製造方法]
本発明のプレス成形用プリフォームの製造方法は、流出ノズルから流出する熔融ガラスから所定分量のガラスを分離してガラス塊を形成し、該ガラス塊を成形してプリフォームを得る工程を含むプレス成形用プリフォームの製造方法であって、前記ノズルが、前述のノズル1であることを特徴とする。ここで、熔融ガラス流出ノズルとして、ノズル1を使用することにより、ノズル外周への熔融ガラスの濡れ上がりが防止されるので、高品質なプリフォームを高い生産性のもとに製造することができる。
なお、「プレス成形用プリフォーム」とは、加熱、軟化してプレス成形に供するためのガラス成形体であり、プレス成形品の重量に応じた所要重量のガラスからなる。形状はプレス成形に適するよう成形されており、球状、偏平球状、回転楕円体などを例示することができる。好ましい形状としては、回転対称軸を一つ備え、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものを挙げることができる。また、図1に示すように、前記断面におけるプリフォームの輪郭線上の点と回転対称軸上にあるプリフォームの重心Gを結ぶ線と、前記輪郭線上の点において輪郭線に接する接線とのなす角の一方の角の角度をθとしたとき、前記点が、回転対称軸上の点aから出発して輪郭線上を移動するときに、θが90°から単調増加し、続いて単調減少した後、単調増加して輪郭線が回転対称軸と交わる他方の点bにおいて90°になる形状が更に好ましい。前記回転対称軸を含む任意の断面において、角度θが上記のようになることが望ましい。
以下、精密プレス成形用プリフォームの製造方法を例にして、本発明のプレス成形用プリフォームの製造方法を詳細に説明する。「精密プレス成形」とは、前述の通り、モールドオプティクス成形法とも呼ばれ、プレス成形によって光学機能面の形状を形成する方法である。詳細については後述する。
精密プレス成形用プリフォームを製造するためには、まず清澄、均質化された熔融ガラスを作製する。熔融ガラスは、例えば白金合金製の容器内で加熱、蓄積されており、その容器に接続された、例えば白金あるいは白金合金製のパイプを通ってノズル1へと導かれる。パイプおよびノズル1を所定の温度に加熱することにより、ノズル1から単位時間に流出する熔融ガラスの量(引上げ量)を一定に保つことができる。
次いで、流出する熔融ガラスから所望重量の熔融ガラス塊を分離する。分離方法としては、パイプから熔融ガラスを滴下して、所望重量のガラス滴として分離する方法(滴下法という。)、パイプから流出する熔融ガラス流の先端部を支持体で支持し、前記ガラス流のパイプ側と先端部の間にくびれを作った後、上記支持体を急速に降下させ、くびれから先端側の熔融ガラス塊を分離する方法(降下切断法という。)、パイプから流出する熔融ガラス流を切断刃で切断し、所望重量のガラスを分離する方法(機械切断法という。)などがある。単位時間当たりのパイプからのガラス流出量を一定に保つことにより、分離の間隔を一定にすれば、等重量のガラス塊を得ることができる。なお、機械切断法を用いると、シアマークと呼ばれる切断痕が形成されるが、滴下法および降下切断法によれば、シアマークができないため、平滑な表面のガラス塊を成形することができる。
ノズル外周へのガラスの濡れ上がりをより一層低減する上で、ノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向(鉛直下方)にガスを流すことが好ましい。
ノズル外周に沿ってガスを流す方法は、滴下法で得られる熔融ガラス滴の重量をより小さくする上でも効果がある。滴下法ではガラスに働く重力とノズル先端にガラスが留まろうとする表面張力のバランスが崩れて重力が大きくなったときに滴下がおきる。上記のようにノズル外周に沿って一定流量のガスを定常的に流すことにより、ガラスに加わる下向きの力が大きくなるため、ガスを流さない場合よりもより重量の小さいガラス滴を滴下することができる。なお、ガスはノズル全周にわたり、ノズル先端付近で層流になるように流すことが好ましい。前述のように、本発明のノズルは非酸化性雰囲気において用いられることが好ましい。そのため、ノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向に流すガスは、非酸化性ガスであることが好ましい。また、弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスの場合、後述するように、成形雰囲気は乾燥雰囲気であることが好ましい。その場合、ノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向に流すガスは、乾燥ガスであることが好ましい。
次に分離した熔融ガラス塊を成形型で受けるか、または一時的に支持体で支持した後に成形型に移して成形し、所定形状のガラス塊を得ることができる。成形方法としては、成形型上で、ガラスに風圧を加えて浮上させながら成形する方法(浮上成形法という。)を用いることが好ましい。
例えば、底部に上記風圧を加えるためのガス(浮上ガスという。)を噴出する口を設けた凹部を備えた成形型を用い、上記凹部に熔融ガラス塊を供給し、凹部内でガラス塊を上下動させて回転させることにより、球状のガラス塊を形成することもできる。また、ガスを噴出する口を多数設けた凹部あるいは凹部を多孔質体で構成し、凹部内面全体から浮上ガスを噴出してガラスを浮上し、凹部の形状に沿った形状にガラス塊を形成することもできる。
ガラス塊は、成形型上で成形された後、ガラス転移温度または前記温度よりも低い温度にまで冷却した後に型から取り出すことにより、変形することなく取り出すことができる。
[ガラス塊表面層のエッチングによる除去]
前述のようにノズル1の使用により、ガラスの濡れ上がりを防止し、高品質なガラス塊を得ることができるが、弗素を比較的多く含むガラスなど揮発が著しいガラスの場合、熱間成形されたガラス塊の表面を光学顕微鏡で拡大観察すると、ガラス塊全面にわたって脈理が認められる場合がある。このようなガラス塊の全表面をエッチングにより所定の深さまで除去したガラス塊には、このような脈理は認められない。これにより、この脈理は表面近傍に局在する表面脈理であることがわかる。ガラス塊表面の変質層、例えばヤケなどは、表面から深さ0.1μm以下の部分に限られるが、表面脈理は光学顕微鏡を用いた目視により認識可能な深さにまで達しているため、ガラス塊表面から少なくとも0.5μm以上の深さまでエッチングすることが望まれる。より好ましい深さは1μm以上、さらに好ましい深さは10μm以上、より一層好ましい深さは20μm以上、特に好ましい深さは50μm以上である。エッチングは、ガラス全体に脈理が認められない光学的に均質な所望重量のガラス塊が得られる深さまで行うことが好ましい。エッチングの深さの上限に特に限定はないが、光学的に均質なガラスまでも除去する必要はないので、最大5mmまでの深さを目安にすればよい。あるいは、プリフォーム重量/ガラス塊重量の比率によってエッチングの深さの上限を管理してもよい。その場合、プリフォーム重量/ガラス塊重量の比率は80%以上とすることが好ましく、85%以上とすることがより好ましい。このように、エッチングによってガラス塊の重量はわずかに減少するため、所望重量のプリフォームが得られるよう、上記重量減少分を目的重量に加えた重量のガラス塊を成形することが好ましい。
エッチング後のガラス塊は滑らかな表面を有し、光学的にも均質であるため、表面脈理層があるガラス塊でも、エッチングすれば精密プレス成形用プリフォームとして使用することができる。なお、熱間成形したガラス塊をアニールしないでエッチングすると、残留応力によってガラスにひび割れが発生することがある。そのため、エッチング前にガラス塊をアニールし、ガラス内部の残留応力を低減または除去しておくことが望ましい。アニールはガラス塊を徐冷点付近の温度に保持して行えばよい。弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスは熱膨張係数が大きく、ガラス塊成形の過程で応力が残留しやすい。そのため、上記アニールはエッチング時のひび割れ発生防止に効果的である。
表面脈理層などの表面欠陥層はエッチングにより除去することができるが、ガラスの有効利用や生産性向上の面から、表面欠陥層が存在する深さを可能な限り浅くしたり、脈理を低減することが望まれる。
ガラス塊表面をエッチングすることにより、ガラス塊全表面が一様に除去されるため、得られるプリフォームの形状は、ガラス塊の相似形状になる。
一方、精密プレス成形によって作製される光学素子としては、レンズなどの回転対称軸を一つ備える形状のものが圧倒的に多い。したがって、プリフォームの形状としても、球状、回転対称軸を一つ備える形状(例えば、回転楕円体や、球を一定の軸方向に延ばした形状やつぶした形状など)が望まれている。このような形状のプリフォームを作製するには、目的とするプリフォーム形状に相似する形状のガラス塊を成形しエッチングすればよい。
特に回転対称軸を一つ備える形状など、曲率が異なる曲面によって表面が構成されるガラス塊(これは全表面が曲面によって構成されるガラス塊の中から球状ガラス塊を除いたものである)の全表面を一様な深さにまで機械研磨することは難しい。そこで、前述のように、所望形状のガラス塊を熱間成形し、そのガラス塊をエッチングすることにより、前述の形状を有し、しかも光学的に均一(一様)なガラスからなるプリフォームを作製することができる。
このような回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものが挙げられる。具体的には、先に説明した図1に示すプリフォーム形状の相似形状を挙げることができる。
一方、球状ガラス塊の球対称性に注目すると、エッチングにより除去される深さが対称性のために全表面において均一になり、球状ガラス塊をエッチングすれば容易に球状プリフォームを作製できるというメリットがある。
ガラス塊のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングでもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチングでもよい。ガラス塊の全表面を均等に除去する上から、エッチング液にガラス塊を浸漬、好ましくはガラス塊全体を浸漬して行うことが好ましい。
機械研磨に対するエッチングの優位性の一つは、エッチング条件を一定にすればエッチングの深さ(エッチングにより除去される深さ)を一定にできる点にある。この優性性と熱間成形の優位性を組合せることにより、熔融ガラスから高品質かつ重量精度の高いプリフォームを生産性よく作ることができる。例えば、流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、ガラス塊を形成する工程を繰り返して一定重量のガラス塊を複数作製する。そして、前記複数のガラス塊を一定条件のもとにエッチングして一定重量のプリフォームを作製する。一定のエッチング条件で一定量のガラスが除去されるから、容易に一定重量のプリフォームを多量に作製することができる。この方法は、ガラス塊をエッチング液に浸漬する時間を一定にする、あるいは複数個のガラス塊を一括してエッチング液に浸漬し、所定時間経過後、一括してエッチング液から取り出すことで容易に行うことができる。
エッチング液としては、酸溶液またはアルカリ溶液を使用することができる。前記酸溶液としては、HNO3、HCl、H2SO4、HF、H2SiF6などの溶液、またはHNO3、HCl、H2SO4、HF、H2SiF6の中から選ばれる2種以上の酸を混合した混合溶液を例示することができる。前記アルカリ溶液としては、NaOH、KOH、Na2CO3などの溶液、またはNaOH、KOH、Na2CO3の中から選ばれる2種以上のアルカリを混合したアルカリ溶液を例示することができる。上記酸溶液またはアルカリ溶液にキレート剤、界面活性剤等の助剤を混合してもよい。エッチング液にキレート剤を添加することで、エッチング時にガラスの溶解により生成する金属イオンを取り込ませエッチングをより均一に行なうことができる。
アルカリ土類金属を含む弗燐酸塩ガラス、例えば、後述するガラスAのようなガラスは、H2SO4溶液でエッチングすると、エッチング液とガラスの反応によりガラス塊表面に難溶性の塩(BaSO4などの硫化塩)が生成する。このような塩がガラス塊表面に堆積するとエッチングの進行が妨げられるため、エッチング液を攪拌することが望ましい。
一方、アルカリ土類金属を含む弗燐酸塩ガラス、例えば後述するガラスAのようなガラスでも、HCl溶液でエッチングすれば、アルカリ土類金属の塩化物は水溶性なのでエッチング液に溶解し、エッチングの進行を妨げにくい。このような観点からは、酸溶液としてHCl溶液を用いることが好ましく、次いでHNO3溶液を用いることが好ましい。
一方、難溶性の塩が生成することを利用することもできる。難溶性の塩は液中で沈殿するためエッチング液が飽和してエッチング速度が低下しにくい。また沈殿物も除去すれば繰り返しエッチング液として使用することもできる。
HCl溶液やHNO3溶液を使用することによりエッチング速度が増加すること、および、H2SO4溶液を使用することによりエッチング速度が減少することを利用し、HClとH2SO4の混合溶液、HNO3とH2SO4の混合溶液、HCl、HNO3、H2SO4の混合溶液など、エッチング速度が異なる溶液を混合して、エッチング速度を調整することもできる。
このようにして作製したプリフォームを洗浄した後に、必要に応じて離型膜などの薄膜を表面に形成してもよい。離型膜としては炭素含有膜、自己組織化膜などを例示することができる。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形する工程を含むガラス製の光学素子の製造方法であって、前記方法により作製したガラス成形体を加工して前記ガラス素材を作製するか、または前記方法により作製したプレス成形用プリフォームをガラス素材として使用することを特徴とする。
前述のように、本発明のガラス成形体の製造方法によれば、高品質なガラス成形体を高い生産性のもとに作製することができるため、この方法により得られたガラス成形体を用いることにより、ガラス素材、更には光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。
また、前述のように、本発明のプレス成形用プリフォームの製造方法によれば、高品質なプリフォームを高い生産性のもとに作製できるため、この方法により得られたプレス成形用プリフォームを用いることにより、光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。
本発明のガラス成形体の製造方法により作製したガラス成形体を加工して前記ガラス素材を作製する場合、ガラス成形体の加工は、公知の方法で行うことができる。例えば、板状ガラスに成形したガラス成形体を、一定の寸法を有する複数個の直方体(カットピース)に切り分けた上で、表面に研削、あるいは研削および研磨を施すことにより得られたプレス成形用プリフォームを、前記ガラス素材として使用することができる。
本発明の光学素子の製造方法の一形態として、ガラス製のプリフォームを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法において、前記製造方法により作製した精密プレス成形用プリフォームを加熱して、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法がある。以下、上記一形態を例にして、本発明を詳細に説明する。
精密プレス成形は、前述のように、モールドオプティクス成形法とも呼ばれ、既に当該発明の属する技術分野においてはよく知られたものである。光学素子の光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面と呼ぶ。例えばレンズを例にとると非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する。精密プレス成形法は、プレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形で光学機能面を形成する方法である。つまり光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。
精密プレス成形法に使用するプレス成形型としては、公知のもの、例えば炭化珪素、超硬材料などの型材の成形面に離型膜を設けたものを用いることができる。中でも、炭化珪素製のプレス成形型を用いることが好ましい。離型膜としては、炭素含有膜、貴金属合金膜などを使用することができ、耐久性、コストの面などから、炭素含有膜を用いることが好ましい。
精密プレス成形法では、プレス成形型の成形面を良好な状態に保つため、成形時の雰囲気を非酸化性ガス雰囲気にすることが望ましい。非酸化性ガスとしては、窒素、窒素と水素の混合ガスなどを用いることが好ましい。
次に本発明の光学素子の製造方法に特に好適な精密プレス成形法について説明する。
(精密プレス成形法1)
この方法は、プレス成形型に前記プリフォームを導入し、前記成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するというものである(以下、精密プレス成形法1とういう)。
精密プレス成形法1において、プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが106〜1012dPaSの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。
また前記ガラスが1012dPaS以上、より好ましくは1014dPaS以上、さらに好ましくは1016dPaS以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。
上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
(精密プレス成形法2)
この方法は、 前記プリフォームを加熱した後に、プレス成形型に導入し、精密プレス成形する、すなわち、プレス成形型とプリフォームを別々に予熱し、予熱したプリフォームをプレス成形型に導入して精密プレス成形するというものである(以下、精密プレス成形法2という)。
この方法によれば、前記プリフォームをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
なおプレス成形型の予熱温度をプリフォームの予熱温度よりも低く設定することが好ましい。このようにプレス成形型の予熱温度を低くすることにより、前記型の消耗を低減することができる。
また、この方法によれば、プリフォーム加熱をプレス成形型内で行う必要がないので、使用するプレス成形型の数を少なくすることもできる。
精密プレス成形法2において、前記プリフォームを構成するガラスが109dPaS以下、より好ましくは109dPaSの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。
また、前記プリフォームを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜109dPaS、より好ましくは105.5dPaS以上109dPaS未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時又はプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なおプレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温させるが、前記ガラスが109〜1012dPaSの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPaS以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。また、レンズを成形した場合には、心取り加工を行ってもよい。
このようにして、本発明によれば、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、回折格子、回折格子付のレンズ、レンズアレイ、プリズムなどの各種光学素子、用途としてはデジタルカメラやフィルム内蔵カメラの撮像光学系を構成するレンズ、カメラ付携帯電話搭載の撮像レンズ、CDやDVDをはじめとする光記録式媒体のデータ読取および/またはデータ書込み用に使用する光線を導光するためのレンズなどの各種光学素子を作製することができる。また、銅含有ガラス製のプリフォームを使用すれば、半導体撮像素子の色補正機能を有する光学素子を作製することもできる。
なお、これら光学素子には必要に応じて、反射防止膜、全反射膜、部分反射膜、分光特性を有する膜などの光学薄膜を設けることもできる。
次に、本発明において使用されるガラスについて説明する。
本発明において使用されるガラスは、揮発による変質や雰囲気中の水分との反応による変質が生じやすく、濡れ上がりにより品質が低下しやすいガラスである、弗素、硼酸、アルカリ金属酸化物等を含むガラスであることが好ましい。
弗素含有ガラスとしては、弗燐酸塩ガラス、弗素含有ケイ酸塩ガラス、弗素含有ホウケイ酸塩ガラス、弗素含有ホウ酸塩ガラスなど、硼酸含有ガラスとしては硼酸ランタン含有ガラスなど、アルカリ金属酸化物含有ガラスとしてはLi2O含有燐酸塩ガラス(易揮発成分を含む上にノズル外周に濡れ上がりやすい。例えば、P25、Nb25およびLi2Oを含有するガラス。)などを例示することができる。
なかでも、弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスは、アッベ数(νd)が65以上の低分散ガラス製プリフォーム用の材料として非常に重要なガラスである。また、銅イオンを含有させることにより、近赤外線吸収特性を付与し、半導体撮像素子の色補正用フィルター材料としても有用なガラスである。
弗燐酸塩ガラスは、ガラス転移温度が比較的低く、精密プレス成形に適している。精密プレス成形性ならびに熱間成形性の面、ならびにアッベ数(νd)が65以上の低分散特性の付与という観点から好ましい弗燐酸塩ガラスは、カチオン成分としてAl、Ca、Srを、アニオン成分としてF、Oを必須成分として含むものである。特に好ましい弗燐酸塩ガラス(以下、ガラスAという。)は、モル%表示で、Al(PO33 0〜20%、Ba(PO32 0〜30%、Mg(PO32 0〜30%、Ca(PO32 0〜30%、Sr(PO32 0〜30%、Zn(PO32 0〜30%、NaPO3 0〜15%、AlF3 2〜45%、ZrF4 0〜10%、YF3 0〜15%、YbF3 0〜15%、GdF3 0〜15%、BiF3 0〜15%、LaF3 0〜10%、MgF2 0〜20%、CaF2 2〜45%、SrF2 2〜45%、BaF2 0〜30%、ZnF2 0〜20%、LiF 0〜10%、NaF 0〜15%、KF 0〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%を含むものである。
上記組成範囲について詳細に説明する。なお、各成分の含有量は特記しない限り、モル%表示とする。
Al(PO33は、ガラスの網目構造を構成する成分であり、ガラスの耐候性を高める最も重要な成分であるが、その含有量が20%以下であれば、ガラスの熱安定性が高く、液相温度も光学特性(分散が高くなる)も好ましいため、その導入量は20%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5〜15%の範囲である。
Ba(PO32、Mg(PO32、Ca(PO32、Sr(PO32は、Al(PO33と同様、ガラスの網目構造を構成する成分であると同時に、ガラスの耐候性を向上させる重要な成分である。その含有量が30%を超えて導入すると、ガラスの分散が高くなるのに加え、P25の増加により耐候性も悪化する傾向がある。従って、それぞれの導入量は30%以下にすることが好ましい。Ba(PO32、Mg(PO32、Ca(PO32、Sr(PO32の各成分ともより好ましい含有量は0〜25%の範囲である。なお、所望の光学恒数を得るためには、前記成分の合計量(Mg(PO32+Ca(PO32+Sr(PO32+Ba(PO32)を35%以下にすることが好ましく、32%以下とすることがより好ましい。
Zn(PO32はガラスの安定性を向上させる成分として重要である。30%を超えて導入するとガラスの分散が高くなり耐久性が悪化する傾向がある。そのため30%以下の導入量が望ましい。
NaPO3はガラスの安定性を向上させ、光学特性を向上させる成分である。高い耐久性を得るためには、その導入量は15%以下とすることが望ましい。
AlF3はガラスの安定性を向上し、かつ低分散化にする成分である。その導入量は、2〜45%の範囲にすることが好ましく、4〜40%の範囲にすることがより好ましい。AlF3の含有量が45%以下であれば、ガラスの安定性および溶解性が高く、2%以上であれば、所望の光学特性を得ることができる。
ZrF4はガラスの網目構造を構成する成分であり、安定性を向上させ耐久性も向上させる成分である。但し、所望の光学特性および安定性を得るためには、その導入量は10%以下とすることが望ましい。
YF3、YbF3、GdF3、BiF3、LaF3は、少量の添加により、耐失透性改善の高い効果を得ることができる。但し、YF3、YbF3、GdF3、LaF3の量がそれぞれ15%、15%、15%、15%、10%を超えると、ガラスが逆に不安定となり、失透しやすくなるので、その導入量は、それぞれ0〜15%、0〜15%、0〜15%、0〜15%、0〜10%に抑えることが望ましい。より好ましくは、YF3の含有量は0〜12%、YbF3の含有量は0〜12%、GdF3の含有量は0〜10%、BiF3の含有量は0〜10%、LaF3の含有量は0〜7%であり、さらに好ましくは、GdF3の含有量は0〜8%である。
MgF2は、ガラスの低分散化させる成分である。但し、20%超えて導入するとガラスが不安定化する場合があるため、その含有量は20%以下とすることが望ましい。
CaF2、SrF2は、耐失透性を維持しつつ、低分散化するために重要な成分である。特にCaF2はAlF3との組み合わせでガラス構造を強化する役割を果たし、ガラスの安定化には欠かせない成分である。CaF2、SrF2それぞれの導入量が2%以上であれば、十分なガラス安定性を得ることができるとともに、所望の光学恒数を得ることができる。また、CaF2、SrF2とも45%以下であれば、ガラスの安定性を維持することができる。よって、CaF2、SrF2の導入量はともに2〜45%の範囲にとすることが好ましく、CaF2を5〜40%、SrF2を3〜35%の範囲で導入することがより好ましい。
BaF2は、ガラスの安定化と耐久性の上昇に効果がある。ガラスの安定性を維持するためには、その導入量は30%以下とすることが望ましい。
ZnF2は、耐久性の向上と低分散化に効果ある。ガラス安定性を維持するためには、その導入量は20%以下とすることが望ましい。
LiF、NaF、KFは、少量の添加によりガラスの耐失透性や分散性を良化する効果がある。但し、過剰導入により、ガラスの安定性が急速に悪化し、耐久性も悪くなる傾向がある。LiF、NaF、KFの導入量はそれぞれ0〜10%、0〜15%、0〜15%にすることが好ましい。より好ましいLiF、NaF、KFの導入量は、それぞれ0〜5%、0〜10%、0〜10%である。
Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOは、ガラスAの必須成分ではないが、少量の導入によりガラスの安定性、耐候性、耐久性を改善する効果がある。但し、過剰導入によりガラスの溶融性を悪化させたり、分散性を悪くしたりする恐れがあるので、各導入量を、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%とすることが好ましい。より好ましくは、Li2O 0〜4%、Na2O 0〜4%、K2O 0〜4%、MgO 0〜4%、CaO 0〜4%、SrO 0〜4%、BaO 0〜4%、ZnO 0〜4%である。
上記成分に加え、脱泡や光学恒数を調整するなどの目的で、少量のCl、Brなどの化合物を導入することも可能である。しかし、環境への影響を考慮すると、鉛化合物やヒ素化合物は導入しないことが望ましい。
また、銅含有の弗燐酸塩ガラスも、本発明に使用するガラスとして好ましい。弗燐酸塩ガラスをベースに酸化銅を導入することにより、近赤外線吸収特性を付与することができる。上記銅含有弗燐酸塩ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して近赤外線吸収特性を有する光学素子を作ることもできる。ベースとなるガラスとしては、前記ガラスAを例示することができる。このような光学素子は、CCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正用フィルターとして使用することもできる。例えば、薄板状に成形して上記フィルターにしたり、回折格子を成形することによりオプティカルローパスフィルターにしたり、レンズに成形することにより色補正フィルターとレンズ機能を兼備した光学素子にしたり、レンズ表面に回折格子機能を付与したオプティカルローパスフィルター機能とレンズ機能と色補正フィルター機能を兼ね備えた光学素子にすることもできる。
ガラスAはガラスとして安定しており、そのガラス融液を40×70×15mmのカーボン製の金型に流し、ガラス転移温度まで放冷してから、ガラス転移温度で1時間アニールした後、室温までさらに放冷しても、顕微鏡で観察できる結晶は析出しない。
上記弗素含有ガラスとしては、温度60℃、相対湿度90%の条件下に350時間放置した後のヘイズ値が8%以下の高い耐候性を有するガラスを使用することが好ましい。耐候性の高いガラスを使用することにより、本発明の製造方法によって作製したプリフォームの表面を長期にわたり良好に保つことができるほか、前記ガラスで作製した光学素子の耐候性も向上することができる。なお、ヘイズ値は、日本光学硝子工業会規格JOGIS07−1975「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(表面法)」において定義されている量である。
ガラスAからなるガラス塊を成形する場合、800〜1100℃の温度で熔融、清澄した後、大気中、乾燥雰囲気中、あるいはアルゴンなどの希ガスや窒素ガスなどの不活性ガスに酸素ガスを混合した雰囲気(この場合、酸素の割合は0.1〜50体積%であることが好ましい。)で、例えば白金合金製の流出パイプを通じてガラスを流出して、前述の浮上成形法によりプリフォームを作製することができる。
前記組成のガラスを使用することにより、屈折率(nd)が1.42〜1.6、アッベ数(νd)が65以上、好ましくは65〜97の範囲の光学恒数を有する光学ガラスからなるプリフォームを作製することができる。また、前記ガラスにおいて、精密プレス成形性をより向上させる上から、屈伏点(Ts)が500℃以下のガラスを使用することがより好ましい。
前記ノズル1の使用により、ガラスの濡れ上がりは低減されるが、先に述べたように、流出した高温状態のガラス表面からの揮発によってガラス塊に表面脈理層が生じることがある。表面脈理層はガラス塊の表面から一定の深さよりも浅い層に局在しているので、前述のエッチングや研磨加工により除去することができる。
ガラスの中でも磨耗度が大きいものほど、機械研磨によって平滑な表面を得ることが困難であったり、研磨加工中に割れるなどして研磨に適していない。磨耗度FAは、日本光学硝子工業会規格JOGIS10−1994「光学ガラスの磨耗度の測定方法」において定義されている量である。研磨加工ではなく、エッチングによって表面層を除去することが好ましいガラスは、磨耗度FAが150以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上のものである。好ましい磨耗度FAの上限は特にないが、600以下を目安にすればよい。このように磨耗度が大きいガラスとしては上記弗素含有ガラス、特に上記弗燐酸塩ガラスを例示することができる。
弗素含有ガラス、特に弗燐酸塩ガラスの場合の成形雰囲気について説明する。
水分を含む雰囲気に流出直後の高温の弗素含有ガラスが晒されると、水分とガラス中の弗素が結合し、ガラスから揮発しやすくなる。前述のように揮発は表面脈理の原因になるため、成形雰囲気を乾燥ガス雰囲気にすることが好ましい。
ここで使用する乾燥ガスは、例えば、水分含有量が400ppm以下、又は露点が−30℃以下のガスであることが好ましい。乾燥ガス雰囲気を構成する乾燥ガスの水分含有量は、好ましくは380ppm以下である。乾燥ガスの水分含有量の下限には特に制限はなく、理想的には0ppmであるが、実際上安定して入手できる乾燥ガスの水分含有量は、100ppm以上のものである。また、乾燥ガス雰囲気を構成する乾燥ガスの露点は、好ましくは−30℃以下である。乾燥ガスの露点の下限には特に制限はないが、実際上安定して入手できるガスの露点の下限は、−80℃程度である。
上記水分含有量または露点を有する乾燥ガスは、例えば、液体ガスを沸騰させて得られるガスであることができる。液体ガスとしては、例えば、液体窒素、液体酸素を挙げることができる。また、乾燥ガスとして高圧ガスを使用する事もできる。例えば、市販の高圧ヘリウムガス、高圧アルゴンガスを使用する場合は、露点が−60℃のグレードや、超高純度グレード(露点が−80℃)のものを使用すればよく、これらの高圧ガスからのガスを乾燥ガスとして利用することもできる。但し、高圧ガスは容器の保存状況によっては、露点が上昇することが有るので、十分に管理された高圧ガス容器からのガスを使用することが好ましい。また、水分含有量または露点が上記範囲に入らないガスであっても、合成ゼオライト等の乾燥剤を充填したカラムを通過させて、水分含有量または露点が所定の値になったガスを乾燥ガスとして使用することができる。
乾燥ガスとしては、不活性ガス、炭酸ガス、水素ガスなどを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等を例示できる。
前述の浮上成形法によって弗素含有ガラスを成形する場合、浮上ガスとして上記乾燥ガスを使用することが好ましい。弗素含有ガラスの場合、弗素ガスの取扱いに注意すれば成形雰囲気を弗素ガスとするか、弗素ガスを混合したガスにして、弗素の揮発を低減することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[濡れ性の比較]
炭化珪素と白金について、表1に示すガラス(1)との濡れ性を比較した。
表1に示すガラス(1)20gと白金板、炭化珪素板をグラッシーカーボン製坩堝に入れ、窒素雰囲気下で900℃で1時間保持し、ガラスと白金板、炭化珪素板との接触面を観察した。図2(a)に坩堝内の写真を示し、図2(b)にガラスとの接触面の模式図を示す。図2(a)に示すように、白金板との接触面では、ガラスが濡れ上がりガラス面が盛り上がっている様子が確認された。一方、炭化珪素板との接触面では、ガラスは濡れないため、逆にくぼんでいることが確認された。
[プリフォームおよび光学素子の製造]
表1に使用したガラスの組成を光学恒数(屈折率nd、アッべ数νd)、転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)とともに表1に示す。温度履歴によって光学恒数がごく僅かだけ変化するが、組成、光学恒数(屈折率nd、アッべ数νd)、転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)は、プリフォーム、光学素子においても同じと考えてよい。
上記ガラスを作るには、各成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物など、例えば、Al(PO33、Ba(PO32、AlF3、YF3、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2などを用いて、表1に示した所定の割合に250〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチとし、これを白金るつぼに入れ、1200〜1450℃に保持した電気炉中において、攪拌しながら大気中、乾燥雰囲気、あるいはアルゴンなどの希ガスや窒素など不活性ガスと呼ばれるガスに0.1〜50体積%の酸素ガスを混合した雰囲気中で2〜4時間、加熱、熔融を行った。熔融後、熔融ガラスを40×70×15mmのカーボン製の金型に流し込み、ガラス転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス転移温度付近で約1時間アニールした後、炉内で室温まで放冷した。得られたガラス中には、顕微鏡で観察できる結晶は析出していなかった。
表1に示されたガラスの屈折率(nd)、アッべ数(νd)、転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)、ガラスの磨耗度(FA)は以下のようにして測定した。
(1)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
ガラス転移温度と屈伏点の間の温度で保持したガラスを、降温速度−30℃/時で降温して得られたガラスについて測定した。
(2)転移温度(Tg)及び屈伏点(Ts)
理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分として測定した。
(3)ガラスの磨耗度(FA
「日本光学硝子工業会規格JOGIS10−1994 光学ガラスの磨耗度の測定方法」により、ガラスの磨耗度(FA)を測定した。単位は無次元であり、磨耗度(FA)が大きいほど磨耗しやすいガラスであることを意味する。
白金合金製のノズル外周面にスパッタ成膜を2回繰り返すことにより、ノズル全面に成膜し、ノズル外周面全面に炭化珪素(SiC)をコートしたノズルを作製した。
次に表1に示したガラスが得られる熔融ガラスを熔融温度800〜1100℃にて多量に熔融し、清澄、均質化して一定の流量で、前述の方法で外周面全面に炭化珪素(SiC)をコートした白金合金製のノズルから流出した。熔融ガラスの流出ならびにガラスの成形は、乾燥した不活性ガス(窒素またはアルゴン、または窒素とアルゴンの混合ガス)雰囲気中で行った。
流出する熔融ガラスから所定重量の熔融ガラス塊を滴下法により分離してガスを噴出するガラス塊成形型で受け、底部に風圧を加えるためのガス(浮上ガス)を噴出する口を設けた凹部を備えた成形型においてガラスを浮上させながら上下動させて球状のガラス塊に成形した。ここで浮上ガスは乾燥した不活性ガス(窒素またはアルゴン、または窒素とアルゴンの混合ガス)を使用した。一定の時間間隔で滴下する熔融ガラス滴を次々とガラス塊成形型で受けて浮上成形することにより、一定重量のガラス塊を次々と成形した。ガラス塊が変形しない温度にまで冷却した後に型から取り出した。このようにして表1に示す各ガラスからなる球状ガラス塊を複数個作製した。
また、熔融ガラス塊を降下切断法により分離し、多孔質により形成された凹部を有するガラス塊成形型で受け、多孔質の微細な孔からガスを噴出することにより、表1に示す各ガラスからなるガラス塊を成形した。ここで浮上ガスは乾燥した不活性ガス(窒素またはアルゴン、または窒素とアルゴンの混合ガス)を使用した。
なお、ガラスの成形雰囲気に関しては0.1〜50体積%の酸素が含まれる不活性ガスでもよいが、酸素分圧が低いほうがよい。
この方法でも分離の時間間隔を一定にして、上記工程を繰り返し行うことにより、一定重量のガラス塊を複数個作製した。なお、この方法で成形したガラス塊の形状は、1つの回転対称軸を備え、長径と短径を有するとともに、表面が曲面からなる形状であり、本発明における表面が曲率の異なる曲面によって構成される形状であり、扁平球に近似した形状に相当する。
このようにして成形したいずれのガラス塊とも、室温までに冷却した後、アニ−ル炉に入れてガラス転移温度よりも10℃程度低い温度で一時間アニールし、30℃/時の速度で室温まで降温して歪みを低減した。上記の方法により得られたガラス塊はすべて、高い重量精度を有していた。
得られたガラス塊を観察したところ、表面脈理層が生じているものもあったが、室温で濃度35%の塩酸からなるエッチング液にガラス塊全体を浸漬して、全表面を0.1mm(100μm)程度の深さまでエッチングして表面層を除去することにより、所望重量のプリフォームとした。エッチング後、プリフォームを洗浄、乾燥し、表面を光学顕微鏡で拡大観察したところ、表面にも内部にも脈理は認められなかった。このようにして光学的に均質な脈理のない精密プレス成形用プリフォームを得た。なお、エッチング液としては、濃度30%の硝酸水溶液、濃度2%のH2SiF6水溶液の3種類のエッチング液などを使用することもできる。
これに対して炭化珪素を外周面にコートしていないノズルを使用して同様の成形を行ったところ、ノズル外周へのガラス濡れ上がりが生じて、プリフォーム表面から深層部に及ぶ脈理が発生した。このように、炭化珪素のコートの有無により顕著な差が生じた。
以上の例は、ノズル外周面に炭化珪素をコートした場合であるが、窒化珪素コート、珪素コートや炭素コートを施したノズルを使用しても濡れ上がり防止効果を得ることができる。また、弗素含有ガラス以外のガラスでも濡れ上がり防止効果を得ることができる。
このようにして作製した高品質なプリフォームは所望の重量を有し、精密プレス成形用ガラス素材として好適である。なお、プリフォームの全表面には精密プレス成形時の離型性を高めるための離型膜を設けてもよい。このような離型膜としては炭素膜や自己組織化膜などを例示することができる。
次にプリフォームを加熱し、図3に示すプレス装置を用い、精密プレス成形(非球面精密プレス)することにより非球面レンズを得た。精密プレス成形の詳細は次にとおりである。上記プリフォームを、非球面形状を有する炭化珪素製の下型2及び上型1の間に静置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形金型内部の温度をガラスの屈伏点+20〜60℃となる温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押してプレス成形型内のプリフォームを精密プレス成形した。成形圧力8MPa、成形時間30秒とし、プレス後、成形圧力を減少させて成形された弗燐酸塩ガラス製の非球面レンズを下型2及び上型1と接触させたままの状態でガラス転移温度−30℃の温度までに徐冷し、次いで室温まで急冷した。その後、非球面レンズをプレス成形型から取り出し、形状の測定および外観検査を行った。得られた非球面レンズは、きわめて精度の高いレンズであった。
このレンズの表面を光学顕微鏡で拡大観察したところ、使用したプリフォーム同様、表面脈理も内部の脈理も認められず、高品質なレンズであることが確かめられた。
また、プレス成形型に予熱された上記プリフォームを導入し、精密プレス成形する方法でも高品質、高精度な弗燐酸塩ガラスからなる非球面レンズを成形することができた。
なお、プリフォームの形状、寸法は作製しようとする精密プレス成形品の形状等により適宜、決めればよい。
上記実施例では、非球面レンズを成形したが、最終製品の形状に合わせたプレス成形型を用いることにより、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、平凸レンズ、両凸レンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの各種非球面レンズあるいは各種球面レンズ、あるいはプリズム、ポリゴンミラー、回折格子などの光学素子を作製することもできる。
また、銅含有弗燐酸塩ガラスを用いてプリフォームを同様に作製し、上記方法と同様に精密プレス成形することにより、近赤外線吸収ガラスからなる各種光学素子を作製することもできる。このような光学素子は半導体撮像素子の色補正用フィルターとして使用することができる。得られた各光学素子の光学機能面には必要に応じて反射防止膜あるいは高反射膜などの光学多層膜を形成することもできる。
以上では、弗燐酸塩ガラスを例に説明したが、他のガラス、例えば、P25、Nb25およびLi2Oを含有するガラス、B23およびLa23を含有するガラスなど各種ガラスでも良好な結果を得ることができた。
なお、全体を炭化珪素やカーボンで作ったノズルを使用しても、濡れ上がりを防止して、高品質なプリフォームを作製することができ、そのプリフォームを精密プレス成形して光学素子を作製することができた。
(参考例)
全体を炭化珪素やカーボンで作ったノズルを使用して、屈折率(nd)が1.88、アッベ数(νd)が41のB23およびLa23を含むガラス、または屈折率(nd)が1.85、アッベ数(νd)が24のSiO2およびTiO2を含むガラスを連続して流出してガラス成形体を作製した。その際、ノズル温度の低下による失透によるものと思われる事態が発生したが、ノズル内でガラスが詰まることなく失透物を排出することができたので、ノズル温度を適正な範囲に戻して直ちに安定した操業を続けることができた。これは、このノズルが、前述のノズル2の構成を有するためと考えられる。
これに対し、内周面にコートしていない白金合金製のノズルを使用して同様の流出、成形したところ、ノズル内にガラスが詰まってしまい、その取り出し復旧までの間、設備を長時間停止しなければならなかった。
本発明の熔融ガラス流出ノズル、熔融ガラス流出時のガラスの濡れ上がりを防止することができるため、濡れ上がりにより品質が低下しやすいガラスである、弗素、硼酸、アルカリ金属酸化物等を含むガラスを流出してガラス成形体やプリフォームを製造する際に好適に用いることができる。本発明の方法により得られたガラス成形体やプリフォームによれば、高品質な光学素子を高い生産性で製造することができる。
本発明の製造方法によって得られるプリフォームの形状の一例を示す概略図である。 炭化珪素と白金とのガラスの濡れ性の比較の結果を示す。 精密プレス装置の断面説明図である。

Claims (11)

  1. 熔融ガラスを蓄える容器に接続された白金または白金合金製のパイプに取り付けられた、円柱の中心に穴を有する構造の熔融ガラス流出ノズルの流出口から熔融ガラスを流出させ、流出したガラスが冷却する過程で所定の形状に成形するガラス成形体の製造方法において、
    前記ノズルが、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる熔融ガラス流出ノズルであることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 前記ガラスが弗素含有ガラスである、請求項に記載のガラス成形体の製造方法。
  3. 前記非酸化物セラミックが、炭化珪素および/または窒化珪素である、請求項1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
  4. 前記流出口近傍の外周面が、少なくとも流出口から高さ1cmまでの外周面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  5. 前記熔融ガラスを流出するノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向にガスを流すことを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  6. 熔融ガラスを蓄える容器に接続された白金または白金合金製のパイプに取り付けられた、円柱の中心に穴を有する構造の熔融ガラス流出ノズルの流出口から流出する熔融ガラスから所定分量のガラスを分離してガラス塊を形成し、該ガラス塊を成形してプリフォームを得る工程を含むプレス成形用プリフォームの製造方法において、
    前記ノズルが、少なくとも流出口近傍の外周面が非酸化物セラミック、炭素および珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる熔融ガラス流出ノズルであることを特徴とするプレス成形用プリフォームの製造方法。
  7. 前記ガラスが弗素含有ガラスである、請求項6に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
  8. 前記非酸化物セラミックが、炭化珪素および/または窒化珪素である、請求項6または7に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
  9. 前記流出口近傍の外周面が、少なくとも流出口から高さ1cmまでの外周面である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
  10. 前記熔融ガラスを流出するノズルの外周に沿いかつガラスの流出方向にガスを流すことを更に含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
  11. ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形する工程を含むガラス製の光学素子の製造方法において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体を加工して前記ガラス素材を作製するか、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法により作製したプレス成形用プリフォームをガラス素材として使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
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