JP2005239618A - 粉末透析製剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 造粒工程と乾燥工程との間に、付着力を低下させる工程を行うことにより、乾燥装置に移す際に大きな塊が形成されず、解砕工程が不要となり、乾燥機のランニングコストの削減も可能となり、この結果、微粉末が少なく、含量均一性もよい造粒物が得られた。
【選択図】 なし。
Description
しかし、この濃厚液「A剤」は、通常約5〜15Lの濃厚液がポリエチレン容器に充填されており、その大きさおよび重量から、輸送コスト、病院での保管スペースおよび使用後の廃棄方法等が問題となっている。
そこで、これらの問題を解決するための手段としてA剤の粉末化が考えられるようになり(例えば、特公昭57−88116号公報など)、既に製品化もされている。
これまで、粉末製剤の造粒は、各原料成分(粉末)を、混合し、場合によりバインダー液を添加して造粒し、乾燥し、整粒して、製品とすることが広く一般的に行われている。そして、各成分を造粒する造粒装置と、造粒物を乾燥する乾燥装置とは、別の装置を用いて製造することが多く行われているが、造粒後に乾燥装置へ造粒物を移す際に造粒物は湿潤状態であるため大きな塊となってしまい、解砕工程が必要となったり、しかも解砕によって微粉末が多くなるという欠点があり、また、この大きな塊を乾燥させる際には、造粒物の凝集を防ぐため、風量を多くする必要があり、またこの風量を多くした乾燥により微粉末が多くなるという欠点があった。
このように微粉末が多い固形透析用剤では、製剤を溶解装置に投入する際に粉塵が発生したり、pH調整剤として使用されている酢酸臭がかなり強くなり、これらは医療現場での作業環境を悪化させる原因になっている。
この付着力を下げる工程は混合装置を利用することが好ましいが、混合装置としては高速撹拌造粒機、V型混合機などの容器回転形混合機、リボンブレンダーやパドルミキサー、リボコーン、ナウタミキサ等が上げられる。
Na+ 130〜145 mEq/L
K+ 0〜4 mEq/L
Ca++ 0〜4 mEq/L
Mg++ 0〜2 mEq/L
Cl− 55〜135 mEq/L
HCO3− 20〜45 mEq/L
酢酸イオン 0〜20 mEq/L
クエン酸イオン 0〜10 mEq/L
ブドウ糖 0〜2.0 g/L
(一定量の水に溶解されたとき、固形透析用剤がNa+ 90〜140ミリモル K+ 0〜4ミリモル Ca++ 0.5〜2.2ミリモル Mg++ 0.2〜1.0ミリモル Cl− 90〜140ミリモル CH3COO− 6〜15ミリモル ブドウ糖 4〜12ミリモル であることが好ましい。
また、炭酸水素ナトリウムがNa+ 15〜40ミリモル HCO3− 15〜40ミリモルであることが好ましい。)
この出願発明では、塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを水および/またはエタノールに溶解して、バインダー液として用いることもできる。この際、原料総重量の約0.2〜20%程度、より好ましくは約0.2〜10%程度、さらに好ましくは約0.2〜5%程度の水および/またはエタノールに溶解するのがよい。これは、バインダーの水分量を約0.2%以下とした場合には、各粒子の付着凝集作用が小さく、造粒が進み難いためであり、一方、バインダーの水分量を20%以上とした場合、造粒装置内で粉末が湿潤し、飴状になり、造粒が困難となるためである。なお、この原料総重量とは、透析用剤の構成成分である電解質成分、pH調整剤のうち、造粒に供する成分を全て合わせた重量のことである。
(粒状物は、平均粒度が標準篩で12〜100メッシュであることが好ましい。)
さらに、分包する場合には、例えば中仕切によって複数室に分離された袋に、塩化ナトリウム抜きの造粒物と塩化ナトリウムを入れることにより、開封する際にも一度に開封することができ、入れ忘れや入れ間違いも防止でき、操作性も良い製剤を提供することができる。
造粒後にブドウ糖を付着させる際には、ブドウ糖に熱がかからないような方法、好ましくは20〜60℃、とくに好ましくは30〜50℃で混合すると、ブドウ糖分解物である5−ヒドロキシメチルフルフラール類(5−HMF)等の生成が抑えられる。
以下、この出願発明を実施例により具体的に説明する。
造粒直後の試料と、付着力を低下させた後の試料について安息角の測定を行った。その結果、造粒直後の試料では安息角が50〜55°と高く、付着性もあったが、付着力を低下させた後では安息角が40°と低くなっており、付着性もなく流動性が向上していた。
また、造粒直後の試料1kgを流動層乾燥機(・・・型,(株)長門電機工作所)で乾燥を試みたところ、付着性が強く、流動層を形成することができなかったため乾燥が不可能であった。同様に、付着力を低下させた後の試料1kgを乾燥したところ、良好な流動層を形成することができ、乾燥が可能であった。乾燥した造粒物に酢酸16gをV型混合機に混合し、粉末透析剤を得た。
また、この出願発明は、腎不全患者の血液透析療法に使用する透析製剤、特に電解質成分、pH調整剤およびブドウ糖からなる固形透析用剤およびその製造方法に関するものであっり、ブドウ糖が均一に分散されている固形透析用剤を提供することができる。
Claims (15)
- 電解質成分、pH調整剤および/またはブドウ糖からなる透析用固体電解質を造粒した後に付着力を低下させ、さらに乾燥することを特徴とする固形透析用剤の製造方法。
- 電解質成分、pH調整剤を造粒し、付着力を低下させ、さらに乾燥後ブドウ糖を付着させたことを特徴とする請求項1に記載の固形透析用剤の製造方法。
- バインダー液を添加して造粒することを特徴とする請求項1または2に記載の固形透析用剤の製造方法。
- バインダー液が塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムの全部または一部を水および/またはエタノールに溶解したものであることを特徴とする請求項3に記載の固形透析用剤の製造方法。
- バインダー液が、原料総重量の約0.2〜20%の水および/またはエタノールに、塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを溶解したものであることを特徴とする請求項3または4に記載の固形透析用剤の製造方法。
- バインダー液が、原料総重量の約0.2〜5%の水および/またはエタノールに、塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを溶解したものであることを特徴とする請求項3または4に記載の固形透析用剤の製造方法。
- バインダー液がpH調整剤の全部または一部を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の固形透析用剤の製造方法。
- pH調整剤の全部または一部を、電解質または必要に応じてpH調整剤を含む電解質の造粒物に含浸させ、付着力を低下させた後に乾燥させ、ついでブドウ糖を付着させることを特徴とする請求項1に記載の固形透析用剤の製造方法。
- 各成分が約1.5mm以下の粒子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の固形透析用剤の製造方法。
- 付着力の低下を、造粒後にさらに撹拌する工程、あるいは、温度を上げて撹拌する工程により行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の固形透析用剤の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の製造方法により製造されていることを特徴とする固形透析用剤。
- 塩化ナトリウム以外の電解質成分、pH調整剤からなる透析用固体電解質の造粒物の表面にブドウ糖が付着している固形透析用剤に、約1.5mm以下の塩化ナトリウムが混合されていることを特徴とする固形透析用剤。
- 電解質に塩化ナトリウムが含まれていないことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固形透析用剤の製造方法。
- 塩化ナトリウム以外の電解質成分、pH調整剤からなる透析用固体電解質の造粒物の表面に、ブドウ糖が付着している固形透析用剤と、約1.5mm以下の塩化ナトリウムとからなることを特徴とする固形透析用剤。
- 請求項11または14の固形透析用剤と、炭酸水素ナトリウムとからなることを特徴とする透析用製剤。
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