JP2005238579A - タイヤ加硫用ブラダー - Google Patents

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恵一 中寺
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Abstract

【課題】ブラダーのゲージをタイヤのゲージに対応させて変化させ(ブラダーゲージをタイヤゲージと逆のゲージ分布として変化させ)、タイヤのゲージの厚い部分と薄い部分との加硫状態の調整を図ることにより、タイヤの加硫状態の均一化及び加硫時間の短縮化を図ることを企図したタイヤ加硫用ブラダーを提供する。
【解決手段】タイヤ2の軸方向X最大幅A相当部分のサイドウォール部10に対応するブラダーゲージをGsとし、タイヤ2のトレッド部12のタイヤ軸方向X中央部に対応するブラダーゲージをGcとし、タイヤ2のトレッド部12のタイヤ軸方X向端部側に対応するブラダーゲージをGtとすると、Gs>Gc>Gtとし、且つ1.1≦Gc/Gt≦3.0とし、且つ1.1≦Gs/Gc≦3.0とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤを加硫成型する際に使用されるタイヤ加硫用ブラダーに関するものである。
従来、タイヤを加硫成型するには、例えば、タイヤ成形型を開いた状態で、該タイヤ成形型内に未加硫タイヤ(生タイヤ)を、該タイヤの軸心を上下方向に一致させた状態でセットし、タイヤの内側に配置したブラダー内に蒸気等の加熱加圧媒体を充填して、該ブラダーをインフレートして未加硫タイヤをシェーピングし、その後、タイヤ成形型を閉じ、ブラダー内に充填される加熱加圧媒体によってタイヤを内側から加熱すると共に蒸気等の加熱媒体で加熱されたタイヤ成形型によってタイヤを外側から加熱し、且つブラダーの内圧を高めて該ブラダーによってタイヤを内側から押圧してタイヤを加硫成型する。
また、タイヤの加硫成型に使用されるブラダーにあっては、ゲージ(肉厚)を薄くすると加硫時間は早くなるが寿命が短くなり、ゲージを厚くすると寿命は長くなるが加硫時間が延びるので、タイヤに接触する部分のブラダーのゲージは略4mmで均一に形成され、この厚さを基本として設計されている。
また、ブラダーのゲージを部位によって変えたものが、特開平5−131454号公報(特許文献1)又は特開2001−30258号公報(特許文献2)で開示されている。
特開平5−131454号公報 特開2001−30258号公報
一般に、タイヤゲージの薄い部分は温度上昇が速いので加硫がよく進み、タイヤゲージの厚い部分は温度上昇が低いので加硫が進みにくい。
そして、当然タイヤに未加硫部分(アンダーキュアー部分)ができてはいけないので、タイヤゲージの厚い部分(加硫されにくい部分)の加硫反応が完結するように加硫時間をコントロールしており、通常、タイヤのトレッド端部側のゲージが一番厚いので該部分が律速となることが多いが、そうすると、逆にタイヤゲージの薄い部分(加硫されやすい部分)が加硫過多(オーバーキュアー)気味となるという問題が発生し、通常のタイヤの場合は、サイドウォール部のゲージが薄いのでここがオーバーキュアー気味となる。
したがって、ブラダーのゲージが均一であると、タイヤの加硫状態の不均一が生じると共に、加硫時間をタイヤゲージの一番厚い部分の加硫完結時間にあわせるので加硫時間も長くなるという問題がある。
特許文献1に開示されたブラダーにあっては、ブラダーゲージを、タイヤ成形型の上型対応部分を厚く、下型対応部分を薄くしたものであって、軸方向両側のサイドウォール部対応部分からトレッド部対応部分に亘ってタイヤゲージに対応させてブラダーゲージを変化させるという技術思想は開示されていなく、タイヤの加硫状態の不均一が生じると共に加硫時間も長くなるという問題がある。
特許文献2に開示されたブラダーにあっては、タイヤのサイドウォール部に対応するブラダーゲージが、タイヤのトレッド部に対応するブラダーゲージよりも薄肉に形成されていて、サイドウォール部がオーバーキュアー気味になるので、タイヤの加硫状態の不均一が生じると共に加硫時間も長くなるという問題がある。
また、特許文献2のブラダーにあっては、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部(トレッド部の薄肉部分)に対応するブラダーゲージが、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側(トレッド部の厚肉部分)に対応するブラダーゲージよりも大きくなるように形成されていて、タイヤのトレッド部対応部分に関しては、一応、タイヤゲージの薄肉部分対応部分のブラダーゲージがタイヤゲージの厚肉部分対応部分のブラダーゲージよりも大きくなるように形成されてはいるものの、タイヤのゲージに対応させてブラダーゲージを変化させるという技術思想は開示されていなく、また、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージと、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージとの比についても何等開示されておらず、この比を適正な数値にしないと、加硫状態の均一化と加硫時間の短縮化は図れない。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、ブラダーのゲージをタイヤのゲージに対応させて変化させ(ブラダーゲージをタイヤゲージと逆のゲージ分布として変化させ)、タイヤのゲージの厚い部分と薄い部分との加硫状態の調整を図ることにより、タイヤの加硫状態の均一化及び加硫時間の短縮化を図ることを企図したタイヤ加硫用ブラダーを提供することを目的とする。
本発明が前記目的を達成するために講じた技術的手段は、タイヤを加硫成型する際に、タイヤの内側に配置され且つ内部に加硫媒体を充填させることにより該タイヤを内側から押圧するタイヤ加硫用ブラダーであって、
タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージをGcとし、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージをGtとすると、Gc>Gtであり、且つ1.1≦Gc/Gt≦3.0であることを特徴とする。
前記Gc/Gtは、1.1〜3.0としており、下限を1.1としているが、該下限は好ましくは1.3であるのがよく、より好ましくは1.5であるのがよい。
また、このGc/Gtの上限は3.0としているが、該上限は好ましくは2.5であるのがよく、より好ましくは2.0であるのがよい。
また、他の技術的手段は、タイヤを加硫する際に、タイヤの内側に配置され且つ内部に加硫媒体を充填させることにより該タイヤを内側から押圧するタイヤ加硫用ブラダーであって、
タイヤの軸方向最大幅相当部分のサイドウォール部に対応するブラダーゲージをGsとし、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージをGcとすると、Gs>Gcであることを特徴とする。
また、前記Gs/Gcは、1.1〜3.0であるのがよい。
このGs/Gcは下限を1.1としているが、該下限は好ましくは1.3であるのがよく、より好ましくは1.5であるのがよい。
また、このGs/Gcの上限は3.0としているが、該上限は好ましくは2.5であるのがよく、より好ましくは2.0であるのがよい。
また、タイヤの軸方向最大幅相当部分のサイドウォール部に対応するブラダーゲージGsと、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージGcと、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージGtとの関係が、Gs>Gc>Gtであるのがよい。
本発明によれば、ブラダーゲージをタイヤのゲージに対応させて変化させてやることにより、タイヤの加硫状態の均一化が図れると共に加硫時間の短縮化が図れる。
また、タイヤの加硫状態の均一化が図れ、オーバーキュアーが起こらなければ、加硫温度を上げてやることも可能であるので、加硫時間のいっそうの短縮が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2において、1はタイヤ2を加硫成型するタイヤ加硫成型装置である。
このタイヤ加硫成型装置1は、タイヤ加硫成形型3と、ブラダー4と、該ブラダー4を保持するブラダー保持機構5とを備えている。
なお、タイヤ加硫成型装置1の他の所要機構・部品等は図示を省略している。
タイヤ2は、その軸心Xが上下方向に一致した状態でタイヤ加硫成形型3内で加硫成型され、該タイヤ加硫成形型3は、タイヤ2の軸心Xを中心とする環状に形成されている。
タイヤ加硫成形型3は、上型6と、この上型6の下方に配置された下型7と、上型6及び下型7の外周側に配置されたトレッドモールド8とを備えている。
上型6は、タイヤ2の上側のサイドウォール部10を加硫成型する上サイドモールド13と、タイヤ2の上側のビード部11を加硫成型する上ビードリング14とを有し、上下方向に移動自在とされている。
下型7は、タイヤ2の下側のサイドウォール部10を加硫成型する下サイドモールド15と、タイヤ2の下側のビード部11を加硫成型する下ビードリング16とを有する。
トレッドモールド8は、タイヤ2のトレッド部12及びショルダー部17を加硫成型するものであり、周方向で複数のセグメントに分割されており、このトレッドモールド8を構成する各セグメントは径方向移動自在なセクターシューに取り付けられており、該セクターシューは、該セクターシューの外周側に配置されたアウターリングの上下移動によって径方向に移動自在とされており、これによって、トレッドモールド8が径方向に拡縮自在とされている。
ブラダー4は、ゴムによって中空状に形成され、タイヤ加硫成形型3の内側に配置されており、上下各中心側に開口を有し、その開口縁周囲部分がブラダー保持機構5に保持される被保持部18,19とされている。
ブラダー保持機構5は、ブラダー4の上下の被保持部18,19を保持する上下のホルダ21,22を有する。
上ホルダ21は、上被保持部18の上方側に位置するアッパーリング23と、上被保持部18の下方側に位置するロアーリング24とを備え、これらアッパーリング23とロアーリング24とで上被保持部18を挟持している。
また、アッパーリング23の上方側の中心側(軸心X側)には、リングホルダ25が配置され、このリングホルダ25は、下ホルダ22の下方側からブラダー4内に挿入状とされた昇降シリンダのピストンロッド27の先端側(上端側)に固定具26によって取付固定されており、これによってアッパーリング23とロアーリング24とが相互に連結されている。
また、この上ホルダ21は、上型6の内周側に位置しており、タイヤ加硫成形型3を閉じたときに、アッパーリング23の外周側に上ビードリング14の内周側の嵌合部30が上方側から嵌合するように構成されている。
下ホルダ22は、下被保持部19の下方側に位置する下クランプリング28と、下被保持部19の上方側に位置する上クランプリング29とを備え、これら上下のクランプリング28,29で下被保持部19を挟持すると共に、上下のクランプリング28,29は固定具によって相互に連結されている。
なお、下クランプリング28はタイヤ加硫成型装置1のベース側に固定される。
前記ブラダー4内は気密状とされ、下ホルダ22等を介して内部に蒸気等の加硫媒体(加熱加圧媒体)をブラダー4内に供給可能とされている。
前記タイヤ加硫成型装置1にあっては、図2に示すように、タイヤ加硫成形型3を開いた状態、すなわち、上型6を上方移動させ、トレッドモールド8の各セグメントを径方向外方に移動させた状態で、該タイヤ加硫成形型3内に、生タイヤを、該生タイヤの内側にブラダー4が位置するようにセットし、その後、ブラダー4内に加硫媒体を所定圧で供給・充填してブラダー4をインフレートさせて該ブラダー4でタイヤ2を内側から押圧し、生タイヤをシェーピングする。
その後、図1に示すように、タイヤ加硫成形型3を閉じて、タイヤ2を内外から加熱すると共にブラダー4の内圧を高めて該ブラダー4によってタイヤ2を内側から押圧することでタイヤ2が加硫成形される。
本実施の形態におけるブラダー4にあっては、タイヤ2の軸方向X最大幅A相当部分のサイドウォール部10に対応するブラダーゲージをGsとし、タイヤ2の赤道にあたるトレッド部12のタイヤ軸方向X中央部に対応するブラダーゲージをGcとし、タイヤ2のトレッド部12のタイヤ軸方X向端部側に対応する(タイヤ2のトレッド面とカーカスとの間に設けられるベルトのうちの、タイヤ径方向最内方に配置されているベルトのタイヤ軸方向X端部(エッジ部)に対応する位置の)ブラダーゲージをGtとすると、Gs>Gc>Gtとされている。
これは、タイヤ2のゲージが、タイヤ軸方向X最大幅A相当部分のサイドウォール部10よりもトレッド部12のタイヤ軸方向X中央部が厚く、このトレッド部12のタイヤ軸方向X中央部よりも該トレッド部12のタイヤ軸方向X端部側が厚いことから、前記ブラダーゲージGs、Gc、Gtをこのタイヤゲージと逆のゲージ分布とすることにより、タイヤゲージの厚い部分の加硫速度を速めると共にタイヤゲージの薄い部分の加硫速度を遅くして加硫速度の調整を図り、それによって、タイヤ2の加硫状態の均一化及び加硫時間の短縮化が図れるように考慮したものである。
また、ブラダーゲージGcとGtとの比Gc/Gtは、1.1〜3.0とされるのがよく、該Gc/Gtの下限は好ましくは1.3であるのがよく、より好ましくは1.5であるのがよい。また、このGc/Gtの上限は好ましくは2.5であるのがよく、より好ましくは2.0であるのがよい。
また、ブラダーゲージGsとGcとの比Gs/Gcも、1.1〜3.0とされるのがよく、該Gs/Gcの下限は好ましくは1.3であるのがよく、より好ましくは1.5であるのがよい。また、このGs/Gcの上限は好ましくは2.5であるのがよく、より好ましくは2.0であるのがよい。
また、タイヤの加硫状態の均一化が図れて、オーバーキュアーが起こらなければ、加硫温度を上げてやることも可能であるので、加硫時間のいっそうの短縮が可能となる。
さらに、ブラダーゲージをサイドウォール部10対応部分からビード部11対応部分にかけて厚くすることにより、ブラダー4自体の耐久性もあげることができる。
以下の表1に、実施例(1〜8)に係るブラダー4と、ゲージを均一にした従来例に係るブラダーと、比較例(1〜3)に係るブラダーとのテスト結果を示す。
テストは、195/65R15 91Hの夏タイヤを加硫成型することにより実施した。
Figure 2005238579
表1中、ブラダーゲージGc、Gt、Gsの数値は、ブラダーの周方向4箇所の仕上がり平均値を示す。
加硫時間とは、従来例品を基準として加硫不足が起こらない最短の時間であり、従来例の加硫時間を100としたときの指数である(指数小が良好)。
時間短縮はオーバーキュアーを発生させない加硫温度のUPによる短縮効果も含む。
なお、テストで加硫成型した加硫後のタイヤは、配合分析をして加硫不足・加硫過多がないかどうか物性確認をした。
耐久性は、ブラダーパンクまでの使用回数で評価しており、従来例を100としたときの指数で表している(指数大が良好)。また、この耐久性評価は、5個のブラダーのパンクまでの使用回数の平均回数で評価している。
タイヤ加硫成形型を閉じた状態のタイヤ加硫成型装置の断面図である。 タイヤ加硫成形型を開いた状態のタイヤ加硫成型装置の断面図である。
符号の説明
2 タイヤ
10 サイドウォール部
12 トレッド部
A タイヤの軸方向最大幅
Gs タイヤの軸方向最大幅相当部分のサイドウォール部に対応するブラダーゲージ
Gc タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージ
Gt タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージ
X タイヤ軸方向

Claims (4)

  1. タイヤを加硫成型する際に、タイヤの内側に配置され且つ内部に加硫媒体を充填させることにより該タイヤを内側から押圧するタイヤ加硫用ブラダーであって、
    タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージをGcとし、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージをGtとすると、Gc>Gtであり、且つ1.1≦Gc/Gt≦3.0であることを特徴とするタイヤ加硫用ブラダー。
  2. タイヤを加硫する際に、タイヤの内側に配置され且つ内部に加硫媒体を充填させることにより該タイヤを内側から押圧するタイヤ加硫用ブラダーであって、
    タイヤの軸方向最大幅相当部分のサイドウォール部に対応するブラダーゲージをGsとし、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージをGcとすると、Gs>Gcであることを特徴とするタイヤ加硫用ブラダー。
  3. 1.1≦Gs/Gc≦3.0であることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  4. タイヤの軸方向最大幅相当部分のサイドウォール部に対応するブラダーゲージGsと、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向中央部に対応するブラダーゲージGcと、タイヤのトレッド部のタイヤ軸方向端部側に対応するブラダーゲージGtとの関係が、Gs>Gc>Gtであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017056609A (ja) * 2015-09-16 2017-03-23 株式会社ブリヂストン タイヤ加硫用ブラダーおよび空気入りタイヤの製造方法

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