JP2005232610A - 複合スラブ糸およびその製造方法および織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然感に富む色彩効果を発現可能な複合スラブ糸およびその製造方法およびかかる複合スラブ糸を含む織編物を提供する。
【解決手段】少なくとも染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを用いて、これら糸条Aおよび糸条Bの供給速度を各々独立かつランダムに変化させながら圧空乱流ノズルで混繊処理することにより、下記(a)〜(d)の構造部を糸長方向に沿ってランダムに有し、スラブ構造部(a)〜(c)の合計個数が1〜90個/mであり、かつスラブ構造部(a)〜(c)の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.05〜10倍の範囲内である複合スラブ糸を得る。
(a)糸条Aが芯部に、糸条Bがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(b)糸条Bが芯部に、糸条Aがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(c)糸条Aと糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部。
(d)糸条Aと糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部。
【選択図】図2

Description

本発明は、自然感に富む色彩効果を発現可能な複合スラブ糸およびその製造方法およびかかる複合スラブ糸を含む織編物に関するものである。
従来、マルチフィラメント糸条を用いたスラブ糸としては、供給量を異にする2種の糸条を仮撚加工して得られる複合スラブ糸がよく知られている。しかるに、かかる仮撚加工により得られた複合スラブ糸は通常糸条全体に撚りを有するため、かかる複合スラブ糸を用いて得られた織編物では、風合いが硬くまた色彩も単調で自然感に欠けるという問題があった。
一方、仮撚加工を用いない方法として、2種のマルチフィラメント糸条にフィード差をもうけて圧空乱流処理する方法や、2種のマルチフィラメント糸条の一方を変速ローラーで供給量をランダムに変化させながら圧空乱流処理する方法(例えば、特許文献1参照)も知られている。しかしながら、これらの方法により得られた複合スラブ糸のスラブ構造部は一方のマルチフィラメント糸条でのみ形成されるため、かかる複合スラブ糸を用いて得られた織編物では、風合いが硬くなることはないものの、やはり色彩が単調であり自然感の点で十分とはいえなかった。
特開平5−156538号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、自然感に富む色彩効果を発現可能な複合スラブ糸およびその製造方法およびかかる複合スラブ糸を含む織編物を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、互いに染色性を異にする2種のマルチフィラメント糸条AおよびBを用いて、各々糸条の供給速度を独立かつランダムに変化させながら圧空乱流ノズルで混繊処理することにより、糸条Aが芯部に位置し糸条Bが鞘部に位置するスラブ構造部(a)、糸条Bが芯部に位置し糸条Aが鞘部に位置するスラブ構造部(b)、糸条Aと糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部(c)、および糸条Aと糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部(d)を有する複合スラブ糸が得られ、かかる複合スラブ糸によれば自然感に富む色彩効果が発現されることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを含む複合糸であって、下記(a)〜(d)の構造部を糸長方向に沿ってランダムに有し、スラブ構造部(a)〜(c)の合計個数が1〜90個/mであり、かつスラブ構造部(a)〜(c)の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.05〜10倍の範囲内であることを特徴とする複合スラブ糸。」が提供される。
(a)マルチフィラメント糸条Aが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Bがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(b)マルチフィラメント糸条Bが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Aがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(c)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部。
(d)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部。
その際、スラブ構造部(a)〜(c)においてスラブの形状がループ状であるとさらに自然な奥深い色彩を得ることができ好ましい。また、マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bのうち、どちらか一方がカチオン染料可染性ポリエステルから形成され、他方がカチオン染料不染性ポリエステルから形成されることが好ましい。
前記の複合スラブ糸は、少なくとも互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを用いて、これらマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bの供給速度を各々独立かつランダムに変化させながら圧空乱流ノズルで混繊処理することにより製造することができる。その際、圧空乱流ノズルがタスランノズルであることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の複合スラブ糸を含む織編物が提供される。
本発明によれば、何色もの落ち葉が重なり合って全体に落ち着いた調和のある自然感に富む色彩効果を発現可能な複合スラブ糸およびその製造方法およびかかる複合スラブ糸を含む織編物が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の複合スラブ糸には、互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bが含まれる。ここで、「互いに染色性を異にする」とは、同一の染料を用いて染色した場合、一方のみが染色されるか一方のほうが濃く染まるという意味である。
かかるマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを形成する繊維としては特に限定されず、日本化学繊維協会発行の「繊維ハンドブック」2001年版、306頁に記載された合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維などから任意に選定することができる。例えば、カチオン染料不染性の通常のポリエステルとカチオン染料可染性ポリエステルとの組合せ、通常のポリエステルと共重合ポリエステルとの組合せ、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートなどように異種ポリエステル同士の組合せ、艶消し剤を多量に含んだポリエステルと艶消し剤を含まないか微量含んだポリエステルの組合せ、ポリエステルとナイロンとの組合せ、ポリエステルとレーヨンとの組合せ、ポリエステルとアセテートとの組合せなどが例示される。なかでも、カチオン染料不染性の通常のポリエステルとカチオン染料可染性ポリエステルとの組合せが特に好ましく、かかる組合せを採用して複合スラブ糸を得た後、分散染料とカチオン染料で染め分け染色すると、より自然な奥深い色彩を得ることができる。これらの糸条は1種のポリマーからなる単独糸条であってもよいし、2種以上のポリマーからなる複合繊維(コンジュゲート)糸条であってもよい。さらには、紡糸混繊糸条のように複数種類の単糸で構成されるマルチフィラメント糸条であってもよい。
なお、前記カチオン染料可染性ポリエステルとしては、テレフタル酸などのジカルボン酸成分中に、その全モル量の1.0〜5.0モルのナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したカチオン染料可染性ポリエステルが好適に例示される。また、共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエステルの主構成モノマーがエチレングリコール及びテレフタル酸であり、この主構成モノマーに共重合する第三成分が、イソフタール酸、アジピン酸、ポリエチレングリコールから選ばれた少なくとも1種からなる共重合ポリエステルが好適に例示される。
繊維形態としては長繊維(マルチフィラメント)である必要がある。短繊維では、本発明の主目的である自然感に富む色彩効果が得られず好ましくない。かかる繊維の断面形状は特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状が採用できる。マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bにおいて繊維の断面形状を異ならせてもよい。さらには、マルチフィラメント糸条Aおよび/またはマルチフィラメント糸条Bは通常の仮撚捲縮加工が施されていてもよい。例えば、マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bにおいて、一方にのみ仮撚捲縮加工が施されていてもよいし両糸条に仮撚捲縮加工が施されていてもよい。
前記のマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bにおいて、マルチフィラメント糸条を構成するフィラメント数としては、4本以上(好ましくは、20〜200本)である必要がある。該フィラメント数が4本未満では、本発明の主目的である自然感に富む色彩効果が得られず好ましくない。マルチフィラメント糸条の総繊度、単糸繊度については特に限定されないが、風合いや生産性の点で総繊度30〜800dtex、単糸繊度0.1〜10dtexの範囲が好ましい。
本発明の複合スラブ糸には、互いに染色性を異にする前記マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bが含まれる。その際、マルチフィラメント糸条Aおよび/またはマルチフィラメント糸条Bは複数糸条であってもよいし、さらには他糸条が含まれていてもさしつかえない。
次に、本発明の複合スラブ糸は、下記(a)〜(d)の構造部を糸長方向に沿ってランダムに有する。
(a)マルチフィラメント糸条Aが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Bがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(b)マルチフィラメント糸条Bが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Aがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
(c)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部。
(d)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部。
ここで、(a)〜(c)のスラブ構造部において、図2の(1)〜(3)に模式的に示すようにスラブを形成する単糸がループ状になっていると、単糸間の空隙が大きいためスラブの内層部にも十分な光が通り、外部と内部とで光が干渉しあうことにより見る角度で色彩が変化し、より自然な奥深い色彩を得ることができ好ましい。なお、かかるループ状のスラブは後記の製造方法で容易に得ることができる。
また、フラット構造部(d)とは、マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが引き揃え状態にあるか、または多少両者が混繊されているか、または両者が適度に絡みあい分離し難い状態にある構造部である。
本発明の複合スラブ糸において、(a)〜(c)のスラブ構造部と(d)のフラット構造部以外に、ネップ構造部(長さ5mm以下で硬くなっている個所)が混在していてもさしつかえない。ネップ構造部の数が多いとネップが目立ち自然感が損なわれるおそれがあるが、ネップが自然な色彩効果を損なわない程度に分散しておれば特に問題ないし、逆にネップを併用してさらに高級感を打ち出してもよい。
前記(a)〜(c)のスラブ構造部の合計個数としては1〜90個/m(好ましくは5〜70個/m)であることが肝要である。該合計個数が0個/mすなわちスラブ構造部がない場合、フラット構造部のみとなるため単調な色彩となり自然感に劣り好ましくない。逆に、該合計個数が90個/mよりも多いとスラブが目立ち高級感に欠けるばかりかスラブ構造部とフラット構造部とのバランスがくずれ、スラブ構造部の色彩効果が目立ちすぎて落ち着いた自然感に富んだ色彩が得られず好ましくない。スラブ構造部の合計個数が1〜90個/mの範囲内であれば、スラブばかりが目立つこともないので高級感を維持でき自然な色彩効果が得られる。
なお、前記スラブ構造部の合計個数の測定は、複合スラブ糸を10m採取して目視でその中のスラブ構造部(a)、(b)、(c)全てを数えて1メートル当たりの個数(個/m)に換算する。
前記スラブ構造部の太さとしては、スラブ構造部(a)〜(c)の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.05〜10倍(好ましくは1.2〜5.0倍)の範囲内であることが肝要である。該平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.05倍よりも小さいとスラブ構造部とフラット構造部との形態差が小さく、スラブ構造部とフラット構造部との色彩効果の差が現れにくく好ましくない。逆に、該平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の10倍より大きいとスラブ構造部とフラット構造部との形態差が大きすぎてスラブが目立ち、高級感が損なわれるだけでなくスラブ構造部の色彩が目立ちすぎ自然な色彩効果が得られず好ましくない。スラブ構造部(a)〜(c)の長さは特に限定されないが、(a)〜(c)各々10〜100mm程度であることが好ましい。また、フラット構造部(d)の長さとしては10〜300mm程度であることが好ましい。
ここで、繊度は下記の方法で測定する。まず、複合スラブ糸から5m採集し、そのなかの(a)、(b)、(c)全てのスラブ構造部の長さを、スケールを用いてmm単位で測長し、全測長を記録した後、測長した個々のスラブ構造部を切り取り、切り取ったスラブ構造部を集めて全質量を0.000gの単位で測定し、全測長と全質量とから通常の方法によりスラブ構造部の平均見かけ繊度を算出しスラブ構造部の平均見かけ繊度(dtex)とする。一方、複合スラブ糸全体繊度は、通常の検尺機を用いて一定長を採取した後、質量を測定し通常の方法で繊度(dtex)を算出する。
次に、本発明の複合スラブ糸の製造方法について図1に示す装置を用いて説明する。
まず、互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条A(1)およびマルチフィラメント糸条B(2)を準備し、各々の糸条を可変速ローラー3および4に給糸する。その際、マルチフィラメント糸条A(1)および/またはマルチフィラメント糸条B(2)を複数本使用したり、さらに他糸条を同時に給糸してもさしつかえない。
前記可変速ローラー3および4は、インバーターの周波数を短時間に変化させることで速度を変則的に変化させることのできる可変速モーターのシャフトに取り付けられており、マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bの供給速度を各々独立かつランダムに変化させることができる。その際、可変速ローラー3および4の速度は0.01〜2.0秒時間ごとにランダムに変化させることが好ましい。
次いで、両糸条を圧空乱流ノズル5で混繊処理した後、引取りローラー6で引取ることにより本発明の複合スラブ糸を製造することができる。かかる圧空乱流ノズルとしては、公知のタスランノズルやインターレースノズルを使用することができる。なかでも、タスランノズルのように、エアーをノズルの一方から吸い込み他方に吐き出すタイプのものが、前記のループ状のスラブが形成されやすく好ましい。インターレースノズルでは、ループが形成されにくくスラブの太さが小さくなるので目的に応じて適宜選定すればよい。
ここで、マルチフィラメント糸条Aの供給速度が瞬間的に速く、一方マルチフィラメント糸条Bの供給速度が瞬間的に遅く、かつ引取りローラー6の引取り速度が可変速ローラー3および4より遅い場合に、マルチフィラメント糸条Aが鞘部(外層部)に位置しマルチフィラメント糸条Bが芯部(内層部)に位置するスラブ構造部(b)が形成される。また、マルチフィラメント糸条Bの供給速度が瞬間的に速く、一方マルチフィラメント糸条Aの供給速度が瞬間的に遅く、かつ引取りローラー6の引取り速度が可変速ローラー3および4より遅い場合に、マルチフィラメント糸条Bが鞘部に位置しマルチフィラメント糸条Aが芯部に位置するスラブ構造部(a)が形成される。さらに、可変速ローラー3と4の送り速度が瞬間的にほぼ同じであって、かつ引取りローラー6の引取り速度よりも遅い場合に、マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部(c)が形成される。一方、可変速ローラー3、4の送り速度と引取りローラー6の引取り速度がほぼ同じである場合には、スラブを形成するだけの糸条たるみの発生が困難であるため、瞬間的な速度変化に応じて、マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混繊されることなく平行状態にあるか、少し混繊されているか、スラブを形成することなく十分に混繊されているフラット構造部(d)が形成される。その際、圧空乱流ノズル5において、糸条の供給量が多く糸条の張力が下がれば、混繊程度が増しスラブが形成され、逆に糸条の供給量が減り糸条の張力が上がると、混繊程度が減少しフラット構造部が多くなる。このように時間的に速度変化する可変速ローラー3および4と、引取りローラー6との間に圧空乱流ノズル5を設置することによりスラブ構造部(a)〜(c)とフラット構造部(d)が形成される。
前記引取りローラー6で引取られた複合スラブ糸はそのまま巻取り機9で巻き取ってもよいが、必要に応じて、引き続いて引取りローラー6と第2引取りローラー7との間で加熱体8により糸条を熱セットすることにより糸条全体を熱収縮させるかスラブ構造部の飛び出しループを熱収縮させ小さくしてもよいし、熱延伸により糸条全体を引き伸ばしフラット構造部を増やしてもよい。
かくして得られた複合スラブ糸は必要に応じて加工糸や撚糸糸条となし、単独でまたは他糸条(ポリエステル繊維、ナイロン繊維、天然繊維など)と交編織させて、公知の繊維集合体である織編物とされる。織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織、またはこれらの変化組織などが好ましく用いられる。編物では、スムースなどの丸編物、緯編物、経編物などいずれでも使用できる。これらの織編物は1種、好ましくは2種以上の染料を用いて染色加工される。さらには、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
本発明の複合スラブ糸において、例えばマルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bのうち一方がカチオン染料不染性の通常のポリエステル(以下普通ポリエステルという。)からなり、他方がカチオン染料可染性ポリエステル(以下カチオン可染ポリエステルという。)からなる場合には、かかる複合スラブ糸または該複合スラブ糸を含む織編物を、分散染料とカチオン染料で染め分け染色すると下記のような作用効果が発現される。すなわち、普通ポリエステル糸条が主に鞘部に位置し、一方カチオン可染ポリエステル糸条が主に芯部に位置するスラブ構造部では、普通ポリエステル糸条が分散染料で染められ、カチオン可染ポリエステル糸条が分散染料とカチオン染料で染められるため鞘部と芯部との色彩が異なる。その際、スラブを形成する単糸がループ状になっていると、単糸間の空隙が大きいためスラブの芯部にも十分な光が通り、外部と内部とで光が干渉しあうことにより見る角度で色彩が変化し、より自然な奥深い色彩を得ることができる。同じように、普通ポリエステル糸条が主に芯部に位置し、一方カチオン可染ポリエステル糸条が主に鞘部に位置するスラブ構造部では、前記とは異なる色彩効果が発現される。また、両糸条が混ざり合いながらスラブを形成しているスラブ構造部では前記のスラブ構造部とは全く異なる複雑な色彩効果が得られる。一方、フラット構造部では、混繊状態の多少に応じて種々の色彩効果が発現される。
以上のように、本発明の複合スラブ糸において、スラブ構造部は均一的なものでなく長さ太さも異なるため、スラブ構造部やフラット構造部の混繊状態により、見かけの色彩が多種多様で、従来得られなかった自然感に富む色彩を得ることができる。かかる色彩効果は片染めでも得られるが、複数の染料を用いて染色した場合、一層優れた効果が得られ好ましい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)スラブ構造部の合計個数
スラブ構造部の合計個数の測定は、複合スラブ糸を10m採取して目視のその中のスラブ構造部(a)、(b)、(c)全てを数えて1メートル当たりの個数(個/m)に換算する。
(2)繊度
まず複合スラブ糸から5m採集し、そのなかの(a)、(b)、(c)全てのスラブ構造部の長さを、スケールを用いてmm単位で測長し、全測長を記録した後、測長した個々のスラブ構造部を切り取り、切り取ったスラブ構造部を集めて全質量を0.000gの単位で測定し、全測長と全質量とから通常の方法によりスラブ構造部の平均見かけ繊度を算出しスラブ構造部の平均見かけ繊度(dtex)とする。一方、複合スラブ糸全体繊度は、通常の検尺機を用いて一定長を採取した後、質量を測定し、通常の方法(n数5)で繊度(dtex)を算出する。
[実施例1]
マルチフィラメント糸条Aとして、通常の方法で紡糸・延伸された通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸条SD180dtex/72filを準備し、一方マルチフィラメント糸条Bとして、通常の方法で紡糸・延伸され5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(カチオン可染ポリエステル)マルチフィラメント糸条SD180dtex/48filを準備した。
次いで、両糸条を図1に示す製造装置(ただし、第2引取りローラー7と加熱体8はないもの。)に供して複合スラブ糸を得た。
その際、可変速ローラー3および4の速度はともに195〜240m/分、可変速ローラー3および4の速度はともに0.01秒から1.0秒時間毎に各々独立かつランダムに変化させた。また、引取りローラー6の速度は200m/分、巻取り機9の巻取り速度は197m/分とし、圧空乱流ノズルとしてはタスランノズルを使用し、圧空乱流圧力を0.8MPaとした。
得られた複合スラブ糸において、マルチフィラメント糸条Aが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Bがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部(a)、マルチフィラメント糸条Bが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Aがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部(b)、マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部(c)、マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部(d)が形成されていた。また、該複合スラブ糸の全体繊度は393dtexであり、該複合スラブ糸のスラブ構造部の平均見かけ繊度は474dtexであった(スラブ構造部の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.2倍)。該複合スラブ糸において、スラブ構造部(a)〜(c)の長さは各々12〜45mmの範囲であり、その合計個数は17個/mであった。また、フラット構造部(d)の長さは10〜80mmの範囲であった。
該複合スラブ糸に300T/mの撚りを施した後、該複合スラブ糸を経緯に全量用いて通常の平組織にて生機(織物)を製織した。次いで、温度98℃の温水中にて時間30分間のリラックス処理を行った後、風乾し、引き続いて通常のピンテンターで乾燥機温度180℃にて40秒処理し、引き続き通常の液流式高温染色機を用いて温度130℃にて、ベージュ色の分散染料、こげ茶色のカチオン可染染料、各々5%OWFにて30分間染色処理した。さらに風乾し、通常のピンテンター乾燥機で、温度160℃にて時間40秒間セツトして製品とした。得られた製品は高級感のある自然感に富む色彩を有する織物であった。
[比較例1]
実施例1において、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸条SD180dtex/72filをローラー3に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(カチオン可染ポリエステル)マルチフィラメント糸条SD180dtex/48filを可変速ローラー4に給糸し、ローラー3の速度は200m/分で固定し、一方可変速ローラー4の速度は198〜240m/分で0.05秒から1.0秒時間毎にランダムに変化させた。これ以外は実施例1と同様にして複合スラブ糸を得た。
得られた複合スラブ糸には、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸条が芯部に位置しカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条が鞘部に位置するスラブ構造部(a)と、両糸条が引き揃えられたフラット構造部(d)が形成されていた。該複合スラブ糸の全体繊度は352dtexであり、該複合スラブ糸のスラブ構造部の平均見かけ繊度は405dtexであった(スラブ構造部の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.15倍)。該複合スラブ糸において、スラブ構造部(a)の長さは13〜40mmの範囲であり、その合計個数は14個/mであった。また、フラット構造部(d)の長さは15〜90mmの範囲であった。
かかる複合スラブ糸に実施例1と同様に撚りを施した後、同様に染色加工仕上げを施し製品を得た。得られた製品において、スラブ構造部が同一色に染まり均一性が強いもので高級感に劣り自然感に欠ける色彩を呈する織物であった。
本発明によれば、何色もの落ち葉が重なり合って全体に落ち着いた調和のある自然感に富む色彩効果を発現可能な複合スラブ糸およびその製造方法およびかかる複合スラブ糸を含む織編物が提供され、その工業的価値は極めて大である。
本発明の複合スラブ糸を製造する際に使用することのできる装置の概略図である。 本発明の複合スラブ糸において、ループ状に形成されたスラブ構造部(a)〜(c)とフラット構造部(d)を模式的に示す模式図である。
符号の説明
1 マルチフィラメント糸条A
2 マルチフィラメント糸条B
3,4 可変速ローラー
5 圧空乱流ノズル
6 引取りローラ
7 第2引取りローラ
8 加熱板
9 巻取り機
10 複合スラブ糸
11 マルチフィラメント糸条B
12 マルチフィラメント糸条A
13 スラブ構造部(a)
14 スラブ構造部(b)
15 スラブ構造部(c)
16,17 フラット構造部(d)

Claims (6)

  1. 互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを含む複合糸であって、下記(a)〜(d)の構造部を糸長方向に沿ってランダムに有し、スラブ構造部(a)〜(c)の合計個数が1〜90個/mであり、かつスラブ構造部(a)〜(c)の平均見かけ繊度が複合糸全体繊度の1.05〜10倍の範囲内であることを特徴とする複合スラブ糸。
    (a)マルチフィラメント糸条Aが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Bがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
    (b)マルチフィラメント糸条Bが芯部に位置し、一方マルチフィラメント糸条Aがスラブを形成しながら鞘部に位置するスラブ構造部。
    (c)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが混ざりあいながらスラブを形成するスラブ構造部。
    (d)マルチフィラメント糸条Aとマルチフィラメント糸条Bとが引き揃えられたフラット構造部。
  2. スラブ構造部(a)〜(c)においてスラブの形状がループ状である請求項1に記載の複合スラブ糸。
  3. マルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bのうち、どちらか一方がカチオン染料可染性ポリエステルから形成され、他方がカチオン染料不染性ポリエステルから形成される請求項1または請求項2に記載の複合スラブ糸。
  4. 少なくとも互いに染色性を異にするマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bを用いて、これらマルチフィラメント糸条Aおよびマルチフィラメント糸条Bの
    供給速度を各々独立かつランダムに変化させながら圧空乱流ノズルで混繊処理する請求項1に記載の複合スラブ糸の製造方法。
  5. 圧空乱流ノズルがタスランノズルである請求項4に記載の複合スラブ糸の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合スラブ糸を含んでなる織編物。
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