JP2005232444A - セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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Abstract

【課題】光学異方性が大きく、かつ透湿性が小さいセルロース体フイルムを用いて、優れた性能の偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体を得る。
【解決手段】セルロース体と式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含有するセルロース体組成物又はセルロース体フイルム[式(1)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]。
【化1】
Figure 2005232444

【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロース体組成物およびセルロース体フイルムに関し、詳しくは、良好な透湿性を示し光学異方性を大きくするセルロース体フイルム用改質剤、該改質剤を含有することを特徴とするセルロース体組成物およびセルロース体フイルムに関する。本発明はさらに、該セルロース体フイルムを用いた偏光板保護膜、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料に関する。
従来、セルロースアシレートフイルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フイルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフイルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フイルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フイルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板には偏光子の少なくとも片側に偏光子の保護フイルムが貼合によって形成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フイルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光子の保護フイルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフイルム、なかでもトリアセチルセルロースフイルムが用いられている。この偏光子の保護フイルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。
一方で、セルロースアシレートフイルムは、一般的に他の透明支持体、例えばポリエチレンテレフタレートフイルムに比べて高温、高湿下での透湿性が著しく悪化するため、可塑剤と呼ばれる化合物がしばしば添加される。セルロースアシレートに添加される可塑剤としてはリン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステルなどが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、実際には可塑剤がセルロースアシレートフイルムと相溶せずに、フイルムが白濁したり、フイルムの光学異方性(例えば、厚み方向のレターデーション値Rth)を制御できないなどの問題があり、その選択は容易ではない。
セルロースアシレートフイルムを光学材料に用いる場合、使用用途によってはフイルムの光学異方性を大きくすることが好ましい。上述の可塑剤と呼ばれる化合物の中にはセルロースアシレートフイルムの光学的異方性を大きくする効果を有するものが知られており、例えば芳香族リン酸トリエステル類が知られているが、その性能は十分でなく、また、このような可塑剤は高温、高湿下での透湿性が悪化するといった弊害があるため、光学異方性が大きくかつ高温、高湿下での透湿性の低いセルロースアシレートフイルムおよびその改質剤の開発が切望されている。
特開平9−95557号公報
本発明の第1の目的は、光学異方性の大きいセルロース体フイルムを提供することである。
本発明の第2の目的は、光学異方性が大きく、かつ透湿性が小さいセルロース体フイルムを提供することである。
本発明の第3の目的は、光学異方性が大きく、透湿性が小さいセルロース体フイルムを用いて作製した偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体を提供することにある。
本発明の目的は、下記手段により達成された。
(1) セルロース体と下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とするセルロース体組成物。
Figure 2005232444
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。R1、R2およびR3のうち2つ以上の基は、互いに結合して環を形成してもよい。]
(2)上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロース体フイルム。
(3)上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする上記(2)記載のセルロース体フイルム。
Figure 2005232444
[式中、R4およびR5はそれぞれアリール基を表し、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。R4およびR5は、縮合環を形成してもよい。]
(4)セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする上記(2)または(3)に記載のセルロース体フイルム。
(5)セルロースアシレートと、セルロースアシレートの1乃至30質量%の量の上記一般式(1)および一般式(2)で表される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
(6)セルロースアシレートのアシル置換度が2.60乃至3.00である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(7)セルロースアシレートのアシル置換度が2.80乃至2.95である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(8)セルロースアシレートのアセチル基で置換されている置換度が2.60乃至3.00である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(9)セルロースアシレートの炭素原子数が3乃至22のアシル基で置換されている置換度が0.00乃至0.80である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(10)セルロースアシレートが、アセチル基と炭素原子数が3〜22のアシル基とで置換されており、炭素原子数が3乃至22のアシル基の30%以上が6位水酸基の置換基として存在している上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(11)セルロースアシレートの6位のアシル置換度が0.80乃至1.00である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(12)セルロースアシレートの6位のアシル置換度が0.85乃至1.00である上記(5)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(13)上記一般式(1)および一般式(2)で表されることを特徴とするセルロース体フイルム用改質剤。
(14)上記(2)〜(12)のいずれかに記載のセルロース体フイルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
(15)上記(2)〜(12)のいずれかに記載のセルロース体フイルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
(16)上記(2)〜(12)のいずれかに記載のセルロース体フイルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
上記一般式(1)および一般式(2)で表される化合物を添加したセルロース体フイルムは透湿性が小さく、非常に光学異方性が大きいという優れた効果を有する。そのため、該セルロース体フイルムは偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料にも使用が可能である。
本発明では、下記一般式(1)で表される少なくとも1つの化合物を、セルロース体用改質剤として使用する。
Figure 2005232444
本発明の一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。上記一般式(1)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、アリール基がより好ましい。R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、それぞれ独立に水素原子またはアリール基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1乃至25のものが好ましく、6乃至25のものがさらに好ましく、6乃至20のものが最も好ましい。アリール基は炭素原子数が6乃至36のものが好ましく、10乃至36のものがより好ましい。また、R1、R2およびR3は、それぞれ2つ以上の基が互いに結合して環を形成してもよい。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基およびアリール基である。
上記一般式(1)として好ましくは下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2005232444
上記一般式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立にアリール基を表す。アリール基は炭素原子数が6乃至36のものが好ましく、10乃至36のものがより好ましい。また、R4およびR5は縮合環を形成してもよい。
上記のアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびハロゲン原子が挙げられ、特に好ましくはアルキル基およびアリール基である。
また、本発明のセルロース体改質剤の添加量は、セルロース体に対して2乃至30質量%であることが好ましく、2乃至25質量%であることがさらに好ましく、2乃至20質量%であることが最も好ましい。
次に、一般式(1)および一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005232444
Figure 2005232444
本発明の化合物はいずれも既知の方法により製造することができる。
すなわち、一般式(1)および一般式(2)の化合物は、縮合剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いたカルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、あるいはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得られる。例えばA−8については、4−フェニル−安息香酸クロリドとアニリンとの置換反応によって得ることができる。
また、市販品を利用することもでき、例えば、A−1については東京化成の市販品を用いることができる。
次に、本発明に用いられるセルロース体に関して詳細に説明する。本発明に用いられるセルロース体はセルロースを原料とする化合物であれば何でもよい。好ましくはセルロースアシレートである。本発明で用いられるセルロースアシレートは本発明の効果を発現する限りにおいて特に限定されず、異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いても良い。好ましいセルロースアシレートとしては以下のものを挙げることができる。すなわち、セルロースアシレートが、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するセルロースアシレートである。
(I) 2.6≦SA+SB≦3.0
(II) 2.0≦SA≦3.0
(III) 0≦SB≦0.8
ここで、式中SA及びSBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
β−1,4グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。本発明に用いられるセルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。本明細書において、アシル置換度とは、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合を意味し、全アシル置換度とはこれらの合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位および6位のそれぞれの水酸基が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位および6位のすべてが100%エステル化した場合、全アシル置換度は最大の3となる。
本発明では、水酸基のSAとSBの置換度の総和は、より好ましくは2.7〜2.96であり、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、SBの置換度は0〜0.80であり、特には0〜0.60である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。
また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が0.8以上、より好ましくは0.85、特に好ましくは0.90であるセルロースアシレートフイルムもあげることができる。
これらのセルロースアシレートフイルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい具体例としては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso‐ブタノイル、t‐ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、フイルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%)を意味する。フイルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538に詳細に記載されている。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100重量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロース体フイルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができる。それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフイルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。
さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
次に、本発明に用いられるセルロース体を溶解する有機溶媒について説明する。
まず、セルロース体の溶液を作製するに際して好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について説明する。本発明においては、セルロース体が溶解し、流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、用いる非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例としては、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
以上のセルロース体に用いられる非塩素系有機溶媒については、前述のいろいろな観点から選定されるが、好ましくは互いに異なる3種類以上の混合溶媒である。
第1の溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるいは或いはそれらの混合液であり、好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル又はこれらの混合物である。
第2の溶媒は、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれる少なくとも一種あるいはそれらの混合液であり、好ましくは、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルあるいはこれらの混合液である。
なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。
第3の溶媒は、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、好ましくは炭素数1〜8のアルコールである。
第3の溶媒であるアルコールの水酸基以外の部分は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。
第3の溶媒としての炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。
なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。
以上の本発明で用いることのできる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。本発明の好ましい非塩素系有機溶媒の組み合わせを以下に挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール (55/20/10/5/5/5、質量部)
などをあげることができる。
更に下記の方法でセルロースアシレート溶液を用いることもできる。
本技術に用いるドープには、上記本技術の非塩素系有機溶媒以外に、ジクロロメタンを本技術の全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
また、本発明のセルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、場合により主溶媒として塩素系有機溶媒も用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。
併用される非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
以上のセルロースアシレートに用いられる主溶媒である塩素系有機溶媒と併用される非塩素系有機溶媒については、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサン、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステル、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれる。なお好ましい併用される非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができる。本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組み合わせとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (70/10/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
本発明のセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解しているセルロースアシレート溶液である。これらの濃度にセルロースアシレートを実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
次に、本発明ではセルロースアシレート溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜5質量%にした希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分子量が15万〜1500万であることが好ましい。さらに好ましくは、会合分子量が18万〜900万である。この会合分子量は静的光散乱法で求めることができる。その際に同時に求められる慣性自乗半径は10〜200nmになるように溶解することが好ましい。さらに好ましい慣性自乗半径は20〜200nmである。更にまた、第2ビリアル係数が−2×10-4〜4×10-4となるように溶解することが好ましく、より好ましくは第2ビリアル係数が−2×10-4〜2×10-4である。ここで、本発明での会合分子量、さらに慣性自乗半径および第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは下記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。測定は装置の都合上希薄領域で測定したが、これらの測定値は本発明の高濃度域でのドープの挙動を反映するものである。
まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の溶液を調製した。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃、10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施した。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのテフロン製フィルターで濾過した。そして、ろ過した溶液の静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定した。得られたデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
次に本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号公報、特開昭61−106628号公報、特開昭58−127737号公報、特開平9−95544号公報、特開平10−95854号公報、特開平10−45950号公報、特開2000−53784号公報、特開平11−322946号公報、特開平11−322947号公報、特開平2−276830号公報、特開2000−273239号公報、特開平11−71463号公報、特開平04−259511号公報、特開2000−273184号公報、特開平11−323017号公報、特開平11−302388号公報などにセルロースアシレート溶液の調製法、が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率がある範囲であることが好ましい。溶液の粘度および動的貯蔵弾性率は、次の方法により測定することができる。試料溶液1mLをレオメーター(TA Instruments社製、商品名:CLS 500)に直径 4cm/2°のSteel Cone(TA Instrumennts社製)を用いて測定する。測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで 40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度 n*(Pa・s)および−5℃の貯蔵弾性率 G'(Pa)を求める。尚、試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始する。
本発明では、40℃での粘度が1〜400Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が500Pa以上が好ましく、より好ましくは40℃での粘度が10〜200Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が100〜100万が好ましい。さらには低温での動的貯蔵弾性率が大きいほど好ましく、例えば流延支持体が−5℃の場合は動的貯蔵弾性率が−5℃で1万〜100万Paであることが好ましく、支持体が−50℃の場合は−50℃での動的貯蔵弾性率が1万〜500万Paが好ましい。
次に、セルロース体溶液を用いたフイルムの製造方法について述べる。本発明のセルロース体フイルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフイルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明において、セルロース体フィルムの膜厚としては、偏光板に用いる場合には、10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmが最も好ましい。また、感光材料の支持体として用いる場合には、80〜300μmが好ましく、90〜250μmがより好ましく、100〜200μmが最も好ましい。
ここで、本発明においては流延部の空間温度は特に限定されないが、−50〜50℃であることが好ましい。更には−30〜40℃であることが好ましく、特には−20〜30℃であることが好ましい。特に低温での空間温度により流延されたセルロースアシレート溶液は、支持体の上で瞬時に冷却されゲル強度アップすることでその有機溶媒を含んだフイルムを保持することができる。これにより、セルロースアシレートから有機溶媒を蒸発させることなく、支持体から短時間で剥ぎ取りことが可能となり、高速流延が達成できるものである。なお、空間を冷却する手段としては通常の空気でもよいし窒素やアルゴン、ヘリウムなどでもよく特に限定されない。またその場合の湿度は0〜70%RHが好ましく、さらには0〜50%RHが好ましい。また、本発明ではセルロースアシレート溶液を流延する流延部の支持体の温度が−50〜+130℃であり、好ましくは−30〜+25℃であり、更には−20〜+15℃である。流延部を本発明の温度に保つためには、流延部に冷却した気体を導入して達成してもよく、あるいは冷却装置を流延部に配置して空間を冷却してもよい。この時、水が付着しないように注意することが重要であり、乾燥した気体を利用するなどの方法で実施できる。
本発明においてその各層の内容と流延については、特に以下の構成が好ましい。すなわち、セルロースアシレート溶液が25℃において、少なくとも一種の液体又は固体の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の液体又は固体の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の固体でその平均粒径が5〜3000nmである微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の剥離剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の劣化防止剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の光学異方性コントロール剤をセルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有していること、及び/又は少なくとも一種の赤外吸収剤をセルロースアシレートに対して0.1〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、を特徴とするセルロースアシレート溶液およびそれから作製されるセルロースアシレートフイルムが好ましい。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延しても良い。共流延は、例えば、特開昭56−162617号公報、特開2002−316387号公報に記載された態様で行うことができる。共流延により本発明のセルロースアシレートフイルムを製造する場合の層の数は、好ましくは2〜5層、より好ましくは2〜4層、特に好ましくは2〜3層である。
2層以上からなる流延工程を有する場合は、作製されるセルロースアシレート溶液及びセルロースアシレートフイルムにおいて、各層の塩素系溶媒の組成が同一であるか異なる組成のどちらか一方であること、各層の添加剤が一種類であるかあるいは2種類以上の混合物のどちらか一方であること、各層への添加剤の添加位置が同一層であるか異なる層のどちらか一方であること、添加剤の溶液中の濃度が各層とも同一濃度であるかあるいは異なる濃度のどちらか一方であること、、各層の会合体分子量が同一であるかあるいは異なる会合体分子量のどちらか一方であること、各層の溶液の温度が同一であるか異なる温度のどちらか一方であること、また各層の塗布量が同一か異なる塗布量のどちらか一方であること、各層の粘度が同一であるか異なる粘度のどちらか一方であること、各層の乾燥後の膜厚が同一であるか異なる厚さのどちらか一方であること、さらに各層に存在する素材が同一状態あるいは分布であるか異なる状態あるいは分布であること、各層の物性が同一であるかあるいは異なる物性のどちらか一方であること、各層の物性が均一であるか異なる物性の分布のどちらか一方であること、を特徴とするセルロースアシレート溶液及びその溶液から作製されるセルロースアシレートフイルムであることも好ましい。
ここで、物性とは発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の6頁〜7頁に詳細に記載されている物性を含むものであり、例えばヘイズ、透過率、分光特性、レターゼーションRe、同Rth、分子配向軸、軸ズレ、引裂強度、耐折強度、引張強度、巻き内外Rt差、キシミ、動摩擦、アルカリ加水分解、カール値、含水率、残留溶剤量、熱収縮率、高湿寸度評価、透湿度、ベースの平面性、寸法安定性、熱収縮開始温度、弾性率、及び輝点異物の測定などであり、さらにはベースの評価に用いられるインピーダンス、面状も含まれるものである。また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて11頁に詳細に記載されているセルロースアシレートのイエローインデックス、透明度、熱物性(Tg、結晶化熱)なども挙げることが出来る。
なお、本発明のセルロースアシレートフイルムは、光学性能を調節する目的で流延時および乾燥後に任意の方向に延伸してもよい。
セルロースアシレートフイルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.1Pa〜2.7kPa)の低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。更にまた、大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。
プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフイルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することで行う。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。
フイルムと乳剤層との接着を達成するために、表面活性化処理をしたのち、直接セルロースアシレートフイルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法と、一旦何がしかの表面処理をした後、あるいは表面処理なしで、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。また本発明のセルロースアシレートフイルムの機能性層についても各種の機能層が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートフイルムの透湿度としては、200〜2000g/(m2・日)であることが好ましく、400〜2000g/(m2・日)であることがさらに好ましく、400〜1800g/(m2・日)であることが最も好ましい。
本発明における透湿度とは塩化カルシウムを入れたカップを、各々のフイルム試料を用いて蓋をし、かつ密閉したものを、60℃及び95%RHの条件で、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿性に基づくセルローストリアセテートフイルムの透湿度を評価した値である。
以下にセルロースアシレートフイルムの光学性能に関して説明する。
本発明のセルロースアシレートフイルムの光学性能である面内レターデーション(Re)、レターデーション(以下Rth)とは、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて測定したものである。
具体的には、Reは波長632.8nmで測定した面内の縦横の屈折率差にフイルム膜厚を乗じた値として、下記式に従って求めることができる。
Re=(nx−ny)×d
[式中、nxは、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり;nyは、遅相軸に直交する方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さ(単位:nm)である。]
セルロースエステルフイルムの面内レターデーション(Re)としては、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが最も好ましい。
フイルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)は、具体的には、波長632.8nmで測定した厚さ方向の複屈折率にフイルム膜厚を乗じた値として、下記式に従って求めることができる。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり;nyは、遅相軸に直交する方向の屈折率であり;nzは、厚さ方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さ(単位:nm)である。]
セルロースエステルフイルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)としては、100nm〜300nmであることが好ましく、120nm〜300nmであることがより好ましく、150nm〜300nmであることが最も好ましい。
本発明で作製されたセルロース体フイルムの用途についてまず簡単に述べる。本発明の光学フイルムは特に偏光板保護フイルム用として有用である。偏光板保護フイルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフイルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフイルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号の各公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フイルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フイルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフイルムを、反対面にセパレートフイルムを貼合して構成される。プロテクトフイルム及びセパレートフイルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフイルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフイルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フイルムを適用した偏光板保護フイルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フイルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フイルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
本発明のセルロース体フイルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明のセルロース体フイルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロース体フイルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。本発明のセルロース体フイルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。本発明のセルロース体フイルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。本発明のセルロース体フイルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。本発明のセルロース体フイルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。
本発明のセルロース体フイルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公報WO98/48320号パンフレット、特許第3022477号明細書に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公報WO00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明のセルロース体フイルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
以上述べてきたこれらの詳細なセルロース体フイルムの用途は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて45頁〜59頁に詳細に記載されている。
さらに本発明のセルロースアシレートフイルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、写真工学の基礎((社)日本写真学会編、コロナ社)第276〜291頁に記載の参考文献に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフイルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
次に、本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されることはない。
<実施例1>セルロース体フイルム及びセルロース体フイルム用改質剤
(1−1)セルロースアシレート溶液の作製
攪拌羽根を有する5Lのガラス容器に、下記の溶媒混合溶液によく攪拌・分散しつつ、下記記述のセルローストリアセテート粉体A(フレーク)を徐々に添加し、全体が2kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチル、アセトン及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。まず、セルローストリアセテートの粉末は、分散タンクに紛体を投入し窒素ガスを封入して、ディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して30分間分散した。分散の開始温度は30℃であった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.2質量%以下であることを確認した。セルロースアシレート溶液の組成は以下の通りである。
セルローストリアセテートA(SA+SBが2.78、SAが2.78、SBが0で、粘度平均重合度303、含水率が1質量%以下のセルロースアシレートフレーク。また、セルロースアシレートの6位の置換度が0.90のものを用いた。)(15質量部) 、酢酸メチル(87.0質量部)、アセトン(8.0質量部)、エタノール(5.0質量部)、TPP/BDP(8.0質量部)を用い、表1の試料1を作成した。次に試料1のTPP/BDPを12.0質量部にした以外は、試料1と同じ組成である試料2を作成した。さらに、試料1のTPP/BDPの替わりに表1に記載の改質剤を、表1に記載の添加量加えた試料3〜15を作成した。
(1−2)セルローストリアセテートフイルム溶液
得られた不均一なゲル状溶液をスクリューポンプで送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液はステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌し均一溶液とした後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
(1−3)セルローストリアセテートフイルムの作製
ろ過済みの50℃のセルローストリアセテート溶液を、流延ギーサーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の温度は5℃であり、流延スピードは3m/分でその塗布幅は30cmとした。室温で1分放置し、その後に乾燥のために55℃の乾燥風を送風した。5分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ取り、しかる後に133℃で27分乾燥して、膜厚60μmのセルローストリアセテートフイルムを得た。
(1−4)セルロースアセテートフイルムの透湿度の測定
得られたセルローストリアセテートフイルムの透湿度は、塩化カルシウムを入れたカップを、各々のフイルム試料を用いて蓋をし、かつ密閉したものを、60℃及び95%RHの条件で、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿性に基づくセルローストリアセテートフイルムの透湿度を算出した。
(1−5)セルロースアセテートフイルムのRthの測定
エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmで測定した面内の縦横の屈折率差にフイルム膜厚を乗じた値として、下記式に従って求めた。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率
ny:遅相軸に直交する方向の屈折率
nz:厚さ方向の屈折率であり
d :フイルムの厚さ(単位:nm)
Figure 2005232444
Figure 2005232444
表1より、本発明の化合物を添加することにより汎用に使用されているTPP/BDPや類似骨格を有するC−1、C−2およびC−3よりも、透湿度が小さく、光学的異方性の大きい(Rthが大きい)セルロースアセテートフイルムが作製できることがわかる。特に本発明の改質剤を添加することにより光学異方性に関してはTPP/BDPに対して飛躍的に大きくすることができる。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で下記の組成物を用いてセルロースアシレートフイルムを作製した。この場合も実施例1と同様に良好な結果が得られた。
セルローストリアセテート(酢化度60.9%)(100質量部)
メチレンクロライド(300質量部)
メタノール(45質量部)
実施例1記載の試料1〜15(11.7質量部)
<実施例3>偏光板保護膜
実施例1の試料1〜15に関して、特開平11−316378号公報の実施例1に記載の方法により、試料201〜205を作製して評価した。本発明のセルロース体フイルムにより得られた楕円偏光板の光学特性は優れたものであった。また、経時での耐久性も比較試料2と比較して特に問題なかった。
<実施例4>液晶表示装置
実施例1の試料1〜15に関して、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置の評価したところ、いずれの場合においても良好な性能が得られた。
<実施例5>ハロゲン化銀写真感光材料
実施例1の試料1〜15に関して、その膜厚を120nmにする以外は実施例1と同様にして試料401〜405を作製した。得られたフイルムの一方に特開平4−73736号公報の実施例1記載の第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作成した。更に、得られたバック層を付与したフイルムベースの反対面に、特開平11−38568号公報の実施例1に記載の試料105を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。得られたハロゲン化銀写真感光材料は優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。

Claims (8)

  1. セルロース体と下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とするセルロース体組成物。
    Figure 2005232444
    [式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。R1、R2およびR3のうち2つ以上の基は、互いに結合して環を形成してもよい。]
  2. 請求項1記載の一般式(1)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロース体フイルム。
  3. 一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項2記載のセルロース体フイルム。
    Figure 2005232444
    [式中、R4およびR5はそれぞれアリール基を表し、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。R4およびR5は、縮合環を形成してもよい。]
  4. セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項2または請求項3記載のセルロース体フイルム。
  5. 請求項1記載の一般式(1)で表されるセルロース体フイルム用改質剤。
  6. 請求項2〜4のいずれかに記載のセルロース体フイルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
  7. 請求項2〜4のいずれかに記載のセルロース体フイルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項2〜4のいずれかに記載のセルロース体フイルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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