JP2005220436A - 陽極酸化アルミナ膜を具備する構造体およびその製造方法並びにその利用 - Google Patents

陽極酸化アルミナ膜を具備する構造体およびその製造方法並びにその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 陽極酸化アルミナ膜を利用する磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上するために、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御する。
【解決手段】 本発明の構造体は、少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホール33が前記基板31まで貫通し、前記基板がナノホール33の底部に露出しており、前記ナノホール33の底部に露出している前記基板31の表面は、酸化膜37が除去された、基板の清浄表面である。
【選択図】図8

Description

本発明は、陽極酸化アルミナ膜を具備する構造体およびその製造方法並びにその利用に関するものである。
アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化することにより形成される、陽極酸化アルミナ膜は、膜面に垂直なナノオーダーのサイズを有するナノホールが規則的に配列した構造を有する。このナノホールに半導体、磁性体、有機物等種々の物質を埋め込むことにより、規則的な配列を有する柱状のナノ構造体の作製が可能となることから、陽極酸化アルミナ膜の様々な分野での応用が試みられている。特に、かかるポーラスアルミナ膜のナノホール中に磁性体や半導体を埋め込み、垂直磁気記録媒体や発光素子等の機能素子として利用しようという試みが活発になされている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
例えば、磁気デイスクなどの磁気記録媒体においては、記録密度の高密度化に対応する垂直磁気記録方式が採用されようとしている。将来の垂直磁気記録媒体の面記録密度は1.5×1011ビット/cm(1テラ(1×1012)ビット/平方インチ)に達することが予想されており、それに対応可能な磁区のサイズは25nm程度以下である。垂直磁気記録媒体としては、強磁性体の連続薄膜が有力候補であるが、連続薄膜では磁区サイズを均一に数十ナノメートル程度にそろえることが困難である。これを実現するには、個々の磁区がそれぞれ分離した磁性ナノ構造体となったものが最も制御性が高い。そのために、陽極酸化アルミナ膜を用いて強磁性ナノ粒子やナノ細線を同一平面上に二次元配列した磁気記録媒体の形成が盛んに検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−175621公報(平成14年(2002)6月21日公開) Journal of Applied Physics, vol.73, 1993年,p.5391 Applied Physics Letters, vol.83, 2003年,p.3347
しかしながら、陽極酸化アルミナ膜を利用する従来の磁気記録媒体や発光素子等の性能は未だ十分であるとはいえない。例えば、磁気記録媒体における最大の課題は垂直磁気異方性を持たせることが困難な点であり、より具体的には基板に対して垂直な磁場下での保磁力を大きくすることが困難な点である。また、陽極酸化アルミナ膜に形成されるナノホール配列を鋳型として強磁性体を埋め込み、これにより形成される強磁性微細構造体を磁気記録媒体に用いた場合には、ナノホール密度(ナノホールの面密度)が高々3×1010個/cm(200ギガ(2×1011)個/平方インチ)程度以下であるという問題があったため、それ以上の磁気記録密度の向上は困難である。このような問題点を解決し、磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上するには、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御することや、ナノホールの面密度を向上することや、磁性体の保磁力を大きくするためにナノホールの形状を制御することが必要である。
ナノホールの内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御するためには、単結晶基板から結晶方位情報を得て直接に磁性体や半導体を単結晶成長させることが望ましい。前記特許文献1では、磁性体が充填された陽極酸化アルミナ膜を有する磁気記録媒体において、充填された磁性体が均一で結晶配向性を有する垂直磁気記録媒体を提供するために、陽極酸化アルミナ膜と、基板との間に、下地電極層を配置することが提案されている。しかし、陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しているような構造体を提供することができれば、かかる下地電極層を配置しなくても、結晶性の基板から直接に種々の磁性体や半導体のナノ構造体を成長させることができる。
しかしナノホールの配列を維持したまま、基板の清浄表面をナノホール底部に露出させることは非常に困難である。図19(a)に示すように、基板101上に形成された例えばアルミニウム膜を、酸性電解液中で陽極酸化すると、規則的な細孔102を有する陽極酸化アルミナ膜103が成長し、一方でアルミニウム膜104が薄くなっていく。図19(b)は陽極酸化が進んで、陽極酸化アルミナ膜103が基板101に達した状態を示している。図19(b)に示すように、ナノホール102底部には、底部バリア層と呼ばれるアモルファスのアルミナ層105が残っている。かかる底部バリア層105を除去する方法としては、通常リン酸とクロム酸との混合溶液等によるエッチングが用いられる。
しかし、エッチングにより底部バリア層を除去し、ナノホールを基板まで貫通させても、下地の基板表面が酸化されて数nmの酸化膜が残存する。この酸化膜の存在は、磁性体や半導体が基板から結晶方位情報を得て配向性を有するように結晶成長することを妨げるため大きな問題となる。またこの酸化膜を除去するためにフッ化水素酸によるエッチングを行うと、ナノホールの間のアルミナ隔壁もエッチングされ、ナノホール配列が崩れてしまう。
したがって、ナノホールの配列を維持したままで、基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させることが強く望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、ナノホールの配列を維持したままで、基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させることにより、高結晶性を有するナノロッド配列構造を形成するための、陽極酸化アルミナ膜を具備する構造体を提供することである。さらにかかる構造体の内部に磁性体や半導体を充填した高性能な磁気記録媒体や発光素子等の機能性素子を提供することである。
また、本発明の他の課題は、陽極酸化アルミナ膜に形成されるナノホールの面密度を約3×1010個/cm(2×1012個/平方インチ)以上とすることにより、ナノホール配列を鋳型として強磁性体を埋め込み、これにより形成される強磁性ナノ構造体を磁気記録媒体に用いる場合において、磁気記録密度が向上した、高性能な磁気記録媒体を提供することである。また、ナノ磁性構造体の形状及び構造を制御することにより、ナノホール配列を鋳型として強磁性体を埋め込み、これにより形成される強磁性ナノ構造体を磁気記録媒体に用いる場合において、磁性体の保磁力が向上した、高性能な磁気記録媒体を提供することである。
本発明にかかる構造体は、上記課題を解決するために、少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しており、前記ナノホールの底部に露出している前記基板の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面であることを特徴としている。
本発明にかかる構造体では、上記陽極酸化アルミナ膜は、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下である真空中で、600℃以上、1200℃以下の温度で、熱処理されていることが好ましい。
また、前記陽極酸化アルミナ膜は、水素分圧が133Pa以下であって、且つ、酸素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下であって、且つ、酸素分圧が133Pa以下である真空中で、600℃以上、1200℃以下の温度で、熱処理されていることがより好ましい。
また、前記陽極酸化アルミナ膜は、熱処理により、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液中における腐食速度が、熱処理前の42%以下であるように改変されていることが好ましい。
また、前記陽極酸化アルミナ膜は、30℃における、1.16wt%フッ化水素酸中の腐食速度が、120nm/分以下であることが好ましい。
本発明にかかる構造体では、上記陽極酸化アルミナ膜は、赤外分光スペクトルにおいて、波数1400〜1600cm−1での吸収帯が欠失しているものであることが好ましい。
また、前記陽極酸化アルミナ膜は、赤外分光スペクトルにおいて、波数1100から1200cm−1での吸収帯が欠失しているものであってもよい。
本発明にかかる構造体では、前記基板は、単結晶基板であることが好ましい。また、前記基板は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体を含むことがより好ましい。
本発明にかかる構造体では、前記ナノホールに半導体または金属が埋め込まれていることが好ましい。また、前記半導体または金属は、ナノホールの底部で前記基板に直接接しており、基板から配向性を有するように結晶成長していることがより好ましい。
また、前記半導体は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体であることが好ましい。また、本発明にかかる半導体素子は、前記構造体を含むことを特徴としている。
また、前記金属は、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、及びNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。また、本発明にかかる磁気記録媒体は、前記構造体を含むことを特徴としている。
本発明にかかる構造体の製造方法は、上記課題を解決するために、少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しており、前記ナノホールの底部に露出している前記基板の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面であることを特徴とする構造体の製造方法であって、基板上に形成されたアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を、前記ナノホールが前記基板に到達するまで陽極酸化し陽極酸化アルミナ膜に転換する陽極酸化工程と、得られた陽極酸化アルミナ膜のナノホール底部に存在する底部バリア層を、エッチングにより除去する底部バリア層除去工程と、底部バリア層が除去された陽極酸化アルミナ膜を600℃以上、1200℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、熱処理後にエッチングにより、前記ナノホール底部に存在する基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させる基板酸化膜除去工程とを含むことを特徴としている。
本発明にかかる構造体の製造方法では、前記熱処理工程は、酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である真空中で行われることが好ましい。
また、本発明にかかる構造体の製造方法は、さらに、前記陽極酸化工程の前に、基板上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を形成するアルミニウム膜形成工程を含んでいてもよい。
また、本発明にかかる構造体の製造方法は、さらに、前記ナノホールに半導体または金属を埋め込む、充填物質埋め込み工程を含んでいてもよい。
本発明にかかる磁気記録媒体は、上記課題を解決するために、陽極化成アルミナ膜(陽極酸化アルミナ膜)を母材として、この母材に強磁性ナノ構造体が同一平面上に面密度1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上の密度で埋め込まれた構造であることを特徴としている。
本発明にかかる磁気記録媒体では、前記強磁性ナノ構造体は、(高さ/直径)のアスペクト比の平均値が2以上の微細な柱状構造であることが好ましい。
本発明にかかる磁気記録媒体の製造方法は、前記陽極化成アルミナ膜の形成処理において、処理剤として希釈シュウ酸もしくは希釈硫酸、またさらにはそれらの混合液を主成分とする溶液を用い、陽極酸化電圧が一定電圧で7V以下の工程を用いることを特徴としている。
本発明にかかる構造体は、以上のように、前記ナノホールの底部に露出している前記基板の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面である構成を備えているので、基板として単結晶基板を用いた場合に、ナノホール内で、当該単結晶基板から直接種々の磁性体や半導体のナノ構造体を成長させることができる。それゆえ、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御することが可能となり、磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明にかかる構造体の製造方法は、以上のように、底部バリア層が除去された陽極酸化アルミナ膜を600℃以上、1200℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、熱処理後にエッチングにより、前記ナノホール底部に存在する基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させる基板酸化膜除去工程とを含む構成を備えているので、陽極酸化アルミナ膜の耐食性が向上し、陽極酸化アルミナ膜は腐食されないが基板の酸化膜は腐食される選択的エッチングが可能となる。それゆえ、ナノホールの配列を維持したまま、基板の清浄表面をナノホール底部に露出させることが可能となる。
また、本発明にかかる磁気記録媒体は、以上のように、上記母材に強磁性ナノ構造体が同一平面上に面密度1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上の密度で埋め込まれた構成を備えているので、基板上に形成した陽極化成アルミナ薄膜を母材として埋め込み形成した強磁性ナノ構造体を用いて、記録密度1.5×1011ビット/cm(1テラビット/平方インチ)以上かつ高保磁力の磁気記録媒体の形成が実現可能である。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)本発明の構造体
本発明にかかる構造体を、図1に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる構造体の一例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面図である。なお、図1中、スケールバーは、100nmを示す。図1に示す本発明の一例である構造体は、基板1と、当該基板1上に陽極酸化アルミナ膜2とを具備する構造体であって、当該陽極酸化アルミナ膜2に形成されているナノホール3が前記基板1まで貫通し、前記基板1がナノホール3の底部に露出しており、前記ナノホール3の底部に露出している前記基板1の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面となっている。
以下に、本発明の構造体について、(1−1)陽極酸化アルミナ膜、(1−2)基板、(1−3)他の物質が埋め込まれた構造体、(1−4)構造体の利用の順に説明する。
(1−1)陽極酸化アルミナ膜
上記陽極酸化アルミナ膜2は、基板1上に形成されたアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を、酸性電解液中で陽極酸化することにより得られる膜であればよい。かかる陽極酸化アルミナ膜2は、アルミニウムと酸素とを主成分として含むが、陽極酸化アルミナ膜としての機能を妨げない限り、他の元素を含んでいてもよい。陽極酸化アルミナ膜2には、多数の円柱状のナノホール3が、基板1表面に対し略垂直に形成されている。また、多数のナノホール3は規則的に形成されており、各ナノホールは略等間隔で互いに平行に配列している。
本発明にかかる構造体では、上記ナノホール3は、前記基板まで貫通し、前記基板1がナノホール3の底部に露出し、前記ナノホール3の底部に露出している前記基板1の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面となっている。すなわち、本発明の構造体では、ナノホール底部には、陽極酸化によりナノホール底部に残る底部バリア層も、下地の基板表面が酸化されて残存する数nmの酸化膜も除去されて、基板の清浄面が露出している。
上記の構成によれば、前記ナノホール3の底部に基板の清浄表面が露出しているため、基板として単結晶基板を用いた場合に、ナノホール内で、当該単結晶基板から直接種々の磁性体や半導体のナノ構造体を成長させることができる。それゆえ、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御することが可能となり、磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上することが可能となるという効果を奏する。
このように、ナノホール3の配列を維持したまま、基板1の清浄表面をナノホール3底部に露出させることは非常に困難である。上述したように、例えばエッチングにより底部バリア層を除去し、ナノホール3を基板1まで貫通させても、下地の基板表面が酸化されて数nmの酸化膜が残存する。この酸化膜の存在は、ナノホール3に埋め込んだ磁性体や半導体が、基板から結晶方位情報を得て配向性を有するように結晶成長することを妨げるため大きな問題となる。またこの酸化膜を除去するためにフッ化水素酸によるエッチングを行うと、ナノホール3の間のアルミナ隔壁もエッチングされ、ナノホール配列が崩れてしまう。本発明にかかる構造体では、かかる問題点を解決するために、陽極酸化アルミナ膜2が熱処理により改変されている。これにより、陽極酸化アルミナ膜2の耐食性が向上し、陽極酸化アルミナ膜2は腐食されないが基板1の酸化膜は腐食される選択的エッチングが可能となる。それゆえ、ナノホール3の配列を維持したまま、基板1の清浄表面をナノホール底部に露出させることが可能となる。
ここで、上記熱処理は、600℃以上の温度で行なえばよいが、700℃以上の温度で行なうことがより好ましく、800℃以上の温度で行なうことがさらに好ましく、900℃以上の温度で行なうことが特に好ましい。600℃以上の温度で、熱処理することにより、陽極酸化アルミナ膜の耐食性が向上するため、ナノホールの配列の維持を容易とすることができる。また、温度が高いほど陽極酸化アルミナ膜の耐食性を向上させることができるが、上記熱処理は、1200℃以下の温度で行なうことが好ましく、1000℃以下の温度で行なうことがより好ましい。かかる温度より低い温度で熱処理を行なうことにより熱による基板の変形等を回避することができる。
また、上記熱処理は、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下である真空中で行なわれることが好ましい。あるいは上記熱処理は、水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気中、または真空中で行なわれることが好ましい。これにより、陽極酸化アルミナ膜の還元を防止することができる。すなわち、これにより、陽極酸化アルミナ膜と基板との境界部分で還元によりアルミニウムが析出することを防止することができる。
さらに、上記熱処理は、酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である真空中で行なわれることが好ましい。あるいは上記熱処理は、酸素濃度が1%以下であって、且つ、水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気中、または真空中で行なわれることが好ましい。これにより、陽極酸化アルミナ膜の還元や、基板の酸化による酸化膜の増加を防止することができる。すなわち、酸素分圧をかかる範囲とすることにより、基板の酸化膜がより厚くなることを防止することができる。また、水素分圧をかかる範囲とすることにより、陽極酸化アルミナ膜と基板との境界部分で還元によりアルミニウムが析出することを防ぐことができる。
また、上記不活性ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)等を挙げることができる。
上述したように、本発明にかかる構造体では、陽極酸化アルミナ膜2は、熱処理により、耐食性が向上するように改変されている。ここで、上記陽極酸化アルミナ膜は、熱処理により、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液中における腐食速度が、熱処理前の42%以下であるように改変されていることが好ましく、27%以下であるように改変されていることがより好ましい。腐食速度が上記のように改変されることにより、ナノホール3の配列を維持したまま、基板1の清浄表面をナノホール底部に露出させることが可能となる。
ここで、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液とは、特に限定されるものではないが、フッ化水素酸(フッ化水素溶液)、フッ化アンモニウム溶液、水酸化カリウム溶液、硝酸、硫酸、またはこれらの混合溶液等を挙げることができる。
図2は熱処理した上記陽極酸化アルミナ膜を30℃において、1.16wt%フッ化水素酸中でエッチングしたときの、腐食速度の熱処理温度依存性を示すグラフである。ここで腐食速度とは、単位時間あたりに腐食により削られた陽極酸化アルミナ膜の厚みをいう。腐食速度は、陽極酸化アルミナ膜を30℃において、1.16wt%フッ化水素酸に浸漬し、浸漬前後のナノホール3の半径の差を浸漬時間で除することにより求められる。上述したように、陽極酸化アルミナ膜2の耐食性が向上し、基板1の酸化膜の選択的エッチングが可能になるには600℃以上で熱処理することが好ましい。図2に示されるように、600℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は120nm/分、700℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は50nm/分、800℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は10nm/分である。
このことから、上記陽極酸化アルミナ膜2は、30℃における、1.16wt%フッ化水素酸中の腐食速度が、120nm/分以下であることが好ましく、50nm/分であることがより好ましく、10nm/分であることがさらに好ましい。上記陽極酸化アルミナ膜の腐食速度がかかる範囲内にあることにより、上記ナノホール3の腐食を防止し、上記基板の酸化膜のエッチングを選択的に行なうことが可能となる。
また、シュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜2は、そのフーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IRスペクトル)において、波数1400〜1600cm−1での吸収帯が欠失している。図7は、シュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す図である。図7中(a)は、陽極酸化アルミナ膜を900℃で熱処理した本発明にかかる構造体の一例(詳細は後述する実施例1参照)におけるFT−IRスペクトルを示し、図7中(b)は、陽極酸化アルミナ膜を500℃で熱処理した構造体の一例におけるFT−IRスペクトルを示し、図7中(c)は、陽極酸化アルミナ膜を熱処理しない構造体の一例におけるFT−IRスペクトルを示す。図7に示すように、本発明の構造体では陽極酸化アルミナ膜は波数1400〜1600cm−1に顕著な吸収帯が認められない。これに対して、陽極酸化アルミナ膜を500℃で処理した構造体や熱処理しない構造体では1580cm−1と1480cm−1に吸収帯が認められる。
このように、上記陽極酸化アルミナ膜2は、シュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成される陽極酸化アルミナ膜である場合、赤外分光スペクトルにおいて、波数1400〜1600cm−1での吸収帯が欠失していることが好ましい。
上記陽極酸化アルミナ膜2は、赤外分光スペクトルにおいて、熱処理を行なっていない場合や500℃以下で熱処理を行った場合と比較して、波数1580cm−1近傍と1480cm−1近傍での吸収帯が欠失している。波数1580cm−1近傍と1480cm−1近傍での吸収帯は、カルボキシル基によるものであると考えられる。このことから、この近傍での吸収帯の欠失は陽極酸化アルミナ膜に残留している陽極酸化で用いられたシュウ酸が熱処理により除去されたためであると考えられる。このように、本発明の構造体の陽極酸化アルミナ膜2では、熱処理により、陽極酸化に用いられた酸性電解液の成分が除去されていることが好ましい。
また、リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜2は、そのFT−IRスペクトルにおいて、波数1100〜1200cm−1での吸収帯が欠失している。図18は、リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す図である。図18中(a)は、陽極酸化アルミナ膜を900℃で熱処理した本発明にかかる構造体の一例(詳細は後述する実施例1参照)におけるFT−IRスペクトルを示し、図18中(b)は、陽極酸化アルミナ膜を熱処理しない構造体の一例におけるFT−IRスペクトルを示す。図18に示すように、本発明の構造体では陽極酸化アルミナ膜は波数1100〜1200cm−1に顕著な吸収帯が認められない。これに対して、比較例では1150cm−1近傍に吸収帯が認められる。
このように、上記陽極酸化アルミナ膜2は、リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成される陽極酸化アルミナ膜である場合、赤外分光スペクトルにおいて、波数1100〜1200cm−1での吸収帯が欠失していることが好ましい。
上記陽極酸化アルミナ膜2は、赤外分光スペクトルにおいて、熱処理を行なっていない場合と比較して、波数1150cm−1近傍での吸収帯が欠失している。
なお、図1は、本発明の構造体の一例を示すものであり、本発明の構造体はこれに限定されるものではない。例えば、ナノホール3は円柱状に限られるものではなく、柱状であれば断面の形状は特に限定されるものではない。ナノホール3の断面の形状は、例えば、三角形、四角形、六角形等であってもよい。また、図1では、ナノホール3は、三角格子上に配列しているが、ナノホールの配置はこれに限定されるものではない。ナノホールの配置は、例えば、規則的な突起配列を有する器具を用いて、陽極酸化前の膜にくぼみを形成し、かかるくぼみをナノホール形成の開始点とすること等により制御することができる。
また、ナノホールの直径は、通常、数nm〜数百nm程度であるが、2nm〜50nmであることがより好ましい。これにより、高密度磁気記録が可能となる。また、各ナノホール間の間隔は、各ナノホールの中心間の間隔は、数nmから数百nm程度であるが、5nmから100nmであることがより好ましい。これにより、例えば、記録密度の高密度化に対応する垂直磁気記録媒体を提供することが可能となる。なお、ナノホールの直径やナノホール間の間隔は、陽極酸化の条件を変化させることにより制御可能である。
また、ナノホールの深さ、すなわち陽極酸化アルミナ膜の膜厚は、例えば10nm〜10μmであればよいが、特に限定されるものではなく、使用用途により適宜選択することができる。なお、ナノホールの深さは、陽極酸化するアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜の膜厚であるので、これらの膜の形成時に所望の膜厚とすればよい。
(1−2)基板
上記基板1は、特に限定されるものではないが、単結晶基板であることが好ましい。これにより、前記ナノホール3の底部に単結晶基板の清浄表面が露出しているため、ナノホール内で、当該単結晶基板から直接種々の磁性体や半導体のナノ構造体を成長させることができる。それゆえ、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御することが可能となり、磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上することが可能となるという効果を奏する。
上記基板1は、特に限定されるものではなく、例えば、ニッケル、銅、金等の金属、半導体、グラファイト等を挙げることができるが、中でも上記基板は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体を含んでいることが好ましい。したがって、上記基板は上記半導体のうちの1つを含んでいてもよいし、複数の半導体の組み合わせで含んでいてもよい。また、上記基板は、上記半導体以外に他の材料を含んでいてもよい。複数の半導体または/および上記他の材料を含む場合には、これらは積層されていてもよい。また、上記基板の厚さは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択すればよい。
ここで、上記II−VI族化合物半導体は、Zn、Hg、Cd、MgおよびBeから成る群より選ばれる少なくとも一種のII族元素と、O、S、SeおよびTeからなる群より選ばれる少なくとも一種のVI族元素とからなる化合物半導体であれば特に限定されるものではない。したがって、2種類の元素を含むものであってもよいし、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。
上記II−VI族化合物半導体としては、具体的には、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdS、CdSe、CdTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe等を挙げることができる。もちろん、上記II−VI族化合物半導体は、これに限定されるものではなく、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。また、上記基板には、II−VI族化合物半導体が複数種類含まれていてもよい。
また、上記III−V族化合物半導体は、B、Al、GaおよびInから成る群より選ばれる少なくとも一種のIII族元素と、N、P、AsおよびSbからなる群より選ばれる少なくとも一種のV族元素とからなる化合物半導体であれば特に限定されるものではない。したがって、2種類の元素を含むものであってもよいし、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。
上記III−V族化合物半導体としては、具体的には、例えば、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等を挙げることができる。もちろん、上記III−V族化合物半導体は、これに限定されるものではなく、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。また、上記基板には、III−V族化合物半導体が複数種類含まれていてもよい。
上記IV族元素としては、SiおよびGeからなる群より選ばれる少なくとも一種のIV族元素であれば特に限定されるものではない。
基板に以上のような半導体を用いることにより、陽極酸化時にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜へ基板から電流を供給することができる。また、上記半導体を用いれば大きな単結晶を比較的容易に得ることができ、その単結晶基板上では高結晶性、高配向性を有する物質の成長が可能になる。
(1−3)他の物質が埋め込まれた構造体
本発明の構造体は、少なくとも、基板と、陽極酸化アルミナ膜とを具備していればよいが、当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールに、さらに他の物質が埋め込まれているものも本発明の構造体に含まれる。ここで、他の物質とは、特に限定されるものではなく、金属、半導体、有機物、半金属、セラミックス等であればよいが、中でも上記他の物質は半導体または金属であることがより好ましい。
上記の構成によれば、規則的な配列を有する柱状のナノ構造体の作製が可能となる。それゆえ、特に、前記ナノホール中に磁性体や半導体を埋め込む場合、垂直磁気記録媒体や発光素子等の機能素子として利用することが可能となる。
ナノホールに埋め込まれている上記他の物質は、単一の物質であってもよいし、複数の物質であってもよい。また、上記他の物質が複数の物質である場合には、当該複数の物質は、ナノホールに均質に埋め込まれていてもよいし、ナノホール内で積層構造を有する形で埋め込まれていてもよい。
上記他の物質が上記ナノホールに埋め込まれた本発明の構造体では、上記他の物質はナノホール底部に露出している基板の清浄表面上に埋め込まれている。そのため、上記他の物質はナノホールの底部で上記基板に直接接している。これにより、基板として単結晶基板を用いる場合、上記他の物質を、基板からの結晶方位情報に基づいて結晶成長させることが可能となる。
また、上記他の物質は、上記のように、基板から配向性を有するように結晶成長していることが好ましい。ここで上記他の物質は基板から配向性を有するように結晶成長していればよいが、結晶性が高いことが好ましく、単結晶成長していることがより好ましい。これにより、結晶配向性を有するナノ構造体を得ることができる。それゆえ、かかるナノ構造体を用いる磁気記録媒体や、発光素子等の機能素子の性能を向上させることが可能となる。すなわち、磁気記録媒体では、例えば垂直磁気異方性を向上させることができ、また、発光素子では、例えば、発光出力を向上させることができる。
また、埋め込んだ物質を基板結晶上にヘテロエピタキシャル成長させるためには、基板と埋め込む物質の結晶構造が同じであることが好ましく、さらに格子不整合が10%以下であることが好ましい。かかる基板と埋め込む物質との組み合わせとしては、例えば、AlGaAs/GaAs、GaInAs/InP、GaInPAs/InP、GaInAsSb/GaSb、GaInAsSb/InAs等を挙げることができる。なお、これらの組み合わせにおいては、どちらが基板であってもよいし、どちらが埋め込まれていてもよい。
また、金属を埋め込む場合も不整合度は小さいことが好ましい。かかる例としては、例えば、基板表面が(111)結晶面となっているシリコン基板にコバルトを埋め込む場合を挙げることができる。例えば、単結晶基板がシリコン基板で(111)結晶面が表面となっているものであり、また強磁性体が単体Coである場合に、六方晶コバルトはc軸が磁化容易軸であり、c軸が基板に対して垂直な場合の基板面にはa軸からなる六角形状の結晶面が存在することとなる。シリコン(111)表面は格子間隔0.384nm(3.84オングストローム)の六角格子状となっており、六方晶コバルトのa軸からなる六角形状の結晶面が格子整合良く配位しやすくなっている。ここで、a軸からなる六角形状の結晶面の格子間隔は0.2507nm(2.507オングストローム)であるが、その3倍は0.752nm(7.52オングストローム)であり、シリコン(111)表面の格子間隔の2倍である0.786nm(7.86オングストローム)との格子間隔の不整合度2.1%程度と小さい。したがって、六方晶Coのc軸はシリコン(111)面に対して垂直になりやすい。
また、埋め込む物質の結晶構造が異なる場合や格子不整合が10%を超える場合においても、バッファ層や超格子層を用いたり、基板面を指数面からわずかに傾けることなどによりエピタキシャル成長が可能である。かかる基板と埋め込む物質との組み合わせとしては、例えば、SiGe/Si、GaAs/Ge、GaInN/GaN、ZnSSe/ZnSe、GaAs/Si、GaN/SiInAs等を挙げることができる。なお、これらの組み合わせにおいても、どちらが基板であってもよいし、どちらが埋め込まれていてもよい。
上記他の物質は、半導体または金属であることが好ましい。かかる半導体としては特に限定されるものではないが、例えば、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体であることが好ましい。したがって、ナノホールに埋め込まれる半導体は、上記半導体のうちの1つであってもよいし、複数の半導体の組み合わせであってもよい。例えば、バンドギャップの大きく異なる二種類の半導体薄膜をそれぞれ膜厚数nm〜数十nm程度として交互に積層した構造では、縦方向に量子井戸が形成されて電子が井戸内に閉じ込められ
、量子サイズ効果が実現する。ナノホールに埋め込み形成した細線では、さらに横方向にも電子を閉じ込められることができるので、顕著な量子サイズ効果が実現できる。それにより、波長を任意に設計可能な高輝度な半導体レーザーを形成できる。例えば、基板として〔011〕方向に2〜4度傾いたSi(111)基板を用い、その上にGaAsを単結晶成長させ、さらにAlAsとGaAsの積層構造を形成した場合にはその効果は著しい。このように、上記ナノホールに半導体が埋め込まれた構造体である半導体素子は、発光素子等の機能素子として用いることができる。特にII−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体等は、赤外から紫外の波長帯において発光する機能素子として利用可能である。
上記II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体については、上記(1−2)基板のところで説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
また、上記金属も特に限定されるものではないが、磁性体であることが好ましい。上記金属は、例えば、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、及びNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。したがって、上記金属は、これらのうちの1種の金属を含むものであってもよいし、これらのうちの複数の金属を含むものであってもよい。また、上記金属は、これらの金属に加えて他の金属を含むものであってもよい。このように、ナノホールに金属を埋め込むことにより得られる構造体は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体として用いることができる。
なお、上記他の物質がナノホールに埋め込まれた構造体は、上記他の物質がナノホール全体にわたって埋め込まれている構造体であってもよいし、上記他の物質がナノホールの途中まで埋め込まれている構造体であってもよい。
なお、本発明の構造体は、前記基板と、ナノホールに半導体または金属が埋め込まれた陽極酸化アルミナ膜とに加えてさらに他の膜または層を具備していてもよい。かかる他の膜または層としては、特に限定されるものではないが、例えば、電極、透明電極、絶縁膜、ミラー等を挙げることができる。
(1−4)構造体の利用
本発明にかかる基板と陽極酸化アルミナ膜とからなる構造体は、当該構造体に形成されているナノホールに他の物質を埋め込み、同一平面上に規則的に二次元配列したナノ構造体を得るための、ナノホールアルミナテンプレートとして利用することができる。
特に、本発明の構造体は、ナノホールの底部に、基板の清浄表面が露出しているので、基板として単結晶基板を用いる場合には、ナノホールに所望の物質を埋め込み、基板から配向性を有するように結晶成長させることができる。それゆえ、結晶配向性を有するナノ構造体を得ることができ、非常に有用である。
また、上記ナノホールに例えば半導体が埋め込まれたものも本発明にかかる構造体に含まれ、かかる構造体である半導体素子は、発光素子等の機能素子として利用することができる。
特に、本発明では、ナノホールの底部に基板の清浄表面が露出しているので、基板として単結晶基板を用いる場合には、ナノホールに半導体を埋め込み、基板から配向性を有するように結晶成長させることができる。それゆえ、結晶配向性を有する半導体素子を得ることができ、非常に有用である。したがって本発明には、かかる半導体素子も含まれる。本発明にかかる半導体素子は、上記ナノホールに埋め込まれている半導体が、当該ナノホールの底部で直接基板と接している半導体素子であれば、特に限定されるものではない。かかる半導体素子としては、例えば、面発光素子、PN接合面発光素子、フォトダイオード、レーザー発光素子等を挙げることができる。
本発明にかかる半導体素子の一例である、面発光素子の一例を図3に、PN接合面発光素子およびフォトダイオードの一例を図4に、レーザー発光素子の一例を図5に示す。
図3に示すように、本発明にかかる面発光素子は、基板5上のアルミナ膜6に形成されているナノホール中に半導体11が埋め込まれている。この基板側にさらに、基板5に近い方から順に絶縁体10、電極7が備えられ、アルミナ膜6側にさらに、アルミナ膜6に近い方から順に透明絶縁体9、透明電極8が備えられている。ここで半導体11は、ナノホールの底部に露出している基板5と直接接している。基板5が単結晶基板である場合、半導体11を、基板5の結晶方位情報に基づき結晶成長させることが可能となり、結晶配向性を有する面発光素子を提供することが可能となる。
また、本発明の面発光素子としては、例えば、図3に示すような構成のものを挙げることができるが、本発明の面発光素子は、これに限定されるものではなく、これに種々の変更を加えたものであってもよい。
ここで、基板5と半導体11は特に限定されるものではないが、例えば、基板5と半導体11の好ましい組み合わせとして、基板5がSiであり、半導体11がInP、CdTe、GaN、GeまたはZnOである組み合わせ;基板5がGaAsであり、半導体11がInP、InAs、MnTe、ZnSe、ZnO、MnAs、GaAs、GaN、CdTe、またはInSeである組み合わせ、基板5がGaN、半導体11がZnOである組み合わせ等を挙げることができる。
また、図4に示すように、本発明にかかるPN接合面発光素子およびフォトダイオードは、基板12上のアルミナ膜13に形成されているナノホール中にp型もしくはn型の半導体16およびn型もしくはp型の半導体15が埋め込まれている。ここで、ナノホールの基板12側にはp型もしくはn型の半導体16が埋め込まれ、さらにその上にn型もしくはp型の半導体15が埋め込まれている。また、このアルミナ膜13側にさらに、透明電極14が備えられている。ここで半導体16は、ナノホールの底部に露出している基板12と直接接している。基板12が単結晶基板である場合、半導体16を、基板12の結晶方位情報に基づき結晶成長させることが可能となり、結晶配向性を有するPN接合面発光素子およびフォトダイオードを提供することが可能となる。
また、本発明のPN接合面発光素子およびフォトダイオードとしては、例えば、図4に示すような構成のものを挙げることができるが、本発明のPN接合面発光素子およびフォトダイオードはこれに限定されるものではなく、これに種々の変更を加えたものであってもよい。
また、図5に示すように、本発明にかかるレーザー発光素子は、基板17上のアルミナ膜18に形成されているナノホール中にn型またはp型半導体21およびp型またはn型半導体20が埋め込まれている。ここで、ナノホールの基板17側にはn型またはp型半導体21が埋め込まれ、さらにその上にp型またはn型半導体20が埋め込まれている。このアルミナ膜18側にさらに、電極19が備えられている。また、アルミナ膜18の端部にはミラー22が備えられている。ここで半導体21は、ナノホールの底部に露出している基板17と直接接している。基板17が単結晶基板である場合、半導体21を、基板17の結晶方位情報に基づき結晶成長させることが可能となり、結晶配向性を有するレーザー発光素子を提供することが可能となる。
ここで、基板17と半導体21は特に限定されるものではないが、例えば、基板17と半導体21の好ましい組み合わせとして、基板17がSiであり、半導体21がInP、CdTe、GaN、GeまたはZnOである組み合わせ;基板17がGaAsであり、半導体21がInP、InAs、MnTe、ZnSe、ZnO、MnAs、GaAs、GaN、CdTe、またはInSeである組み合わせ、基板17がGaN、半導体21がZnOである組み合わせ等を挙げることができる。
また、本発明のレーザー発光素子としては、例えば、図5に示すような構成のものを挙げることができるが、本発明の面発光素子は、これに限定されるものではなく、これに種々の変更を加えたものであってもよい。
また、上記ナノホールに例えば金属等の磁性体が埋め込まれたものも本発明にかかる構造体に含まれ、かかる構造体は、磁気記録媒体として利用することができる。
特に、本発明では、ナノホールの底部に基板の清浄表面が露出しているので、基板として単結晶基板を用いる場合には、ナノホールに磁性体を埋め込み、基板から配向性を有するように結晶成長させることができる。それゆえ、磁気異方性を有する磁気記録媒体を得ることができ、非常に有用である。したがって本発明には、かかる磁気記録媒体も含まれる。本発明にかかる磁気記録媒体は、上記ナノホールに埋め込まれている磁性体が、当該ナノホールの底部で直接基板と接している磁気記録媒体であれば、特に限定されるものではない。
本発明にかかる磁気記録媒体の一例を図6に示す。図6に示すように、本発明にかかる磁気記録媒体は、垂直磁気記録媒体であり、基板23上のアルミナ膜24に形成されているナノホール中に磁性体25が埋め込まれている。ここで磁性体25は、ナノホールの底部に露出している基板23と直接接している。基板23が単結晶基板である場合、磁性体25を、基板23の結晶方位情報に基づき結晶成長させることが可能となり、磁気異方性を有する垂直磁気記録媒体を提供することが可能となる。
また、本発明の磁気記録媒体としては、例えば、図6に示すような構成のものを挙げることができるが、本発明の磁気記録媒体は、これに限定されるものではなく、これに種々の変更を加えたものであってもよい。
ここで、基板23と磁性体25は特に限定されるものではないが、例えば、基板23と磁性体25の好ましい組み合わせとして、基板23がSiであり、磁性体25がCo、Fe、Ni、FePt、またはCoPtである組み合わせ;基板23がCu(001)であり、磁性体25がFePtである組み合わせ等を挙げることができる。
(2)構造体の製造方法
本発明にかかる構造体の製造方法は、少なくとも、基板上に形成されたアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を、前記ナノホールが前記基板に到達するまで陽極酸化し陽極酸化アルミナ膜に転換する陽極酸化工程と、得られた陽極酸化アルミナ膜のナノホール底部に存在する底部バリア層を、エッチングにより除去する底部バリア層除去工程と、底部バリア層が除去された陽極酸化アルミナ膜を600℃以上、1200℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、熱処理後にエッチングにより、前記ナノホール底部に存在する基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させる基板酸化膜除去工程とを含んでいる。
これにより、少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しており、前記ナノホールの底部に露出している前記基の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面である構造体を製造することができる。
また、本発明の構造体の製造方法は、さらに前記陽極酸化工程の前に、基板上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を形成するアルミニウム膜形成工程を含んでいてもよい。また、本発明の構造体の製造方法は、さらに、前記ナノホールに半導体または金属を埋め込む、充填物質埋め込み工程を含んでいてもよい。
以下、本発明にかかる構造体の製造方法について図8に基づき、(2−1)アルミニウム膜形成工程、(2−2)陽極酸化工程、(2−3)底部バリア層除去工程、(2−4)熱処理工程、(2−5)基板酸化膜除去工程、(2−6)充填物埋め込み工程の順に説明する。図8は本発明の構造体の製造方法を示す概念図である。
(2−1)アルミニウム膜形成工程
基板上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を形成し、図8(i)に示す積層体を得る。図8(i)中、31は基板、32はアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を示す。
アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜32の製膜方法は特に限定されるものではなく、CVD、スパッタ、真空蒸着、圧着貼り合わせ、分子線蒸着等の従来公知の方法を用いることができる。
ここで、アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜32は、規則的な配列のナノホールが形成されている陽極酸化アルミナ膜が得られるものであれば、アルミニウム以外の物質を含んでいてもよい。アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜32は、アルミニウムを60%以上含んでいることが好ましく、90%以上含んでいることがより好ましく、95%以上含んでいることがさらに好ましい。また、上記合金膜にアルミニウムとともに含まれる金属も特に限定されるものではなく、種々の合金を好適に用いることができる。
(2−2)陽極酸化工程
陽極酸化工程では、上記アルミニウム膜形成工程で得られた積層体(図8(i)参照)において、上記合金膜32に対して陽極酸化処理を施し、図8(ii)に示すように、ナノホール33が基板31に到達するまで陽極酸化アルミナ膜に転換する。この状態では、ナノホール33間にアルミナ隔壁35が存在する構成となっているが、底部バリア層36が存在している。この工程により、アルミニウム膜をアルミニウム陽極酸化膜(ポーラスアルミナ膜)に転換する。
ここで、陽極酸化の方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を従来公知の条件で好適に用いることができる。なお、陽極酸化に用いられる、酸性電解質液としては、例えば、シュウ酸、硫酸、リン酸、クロム酸、マロン酸、ホウ酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、スルホサリチル酸、ピロリン酸等を用いることができる。
陽極酸化工程は1段階のみでもよいが、後述する実施例に示すように2段階で行ってもよい。2段階で陽極化成工程を行うことで、陽極化成処理で形成されるナノホール配列の規則性を向上させることができる。
なお、3μm以上のAl膜を陽極酸化することにより、より規則性の高い配列でナノホールを形成することができる。また、薄いアルミナ膜厚を制御するためには、3μm以上のAlを90%以上含有する膜を2段階以上に陽極酸化を分けて行う方法が有効である。
陽極酸化処理の停止は特に限定されるものではなく、適切なタイミングで停止すればよいが、例えば、後述する実施例に示すように、陽極酸化を一定電圧で電流をモニターすることにより、電流値が変化した時点で停止する手法を挙げることができる。例えば、図14では、電流値がスパイク状に変化した時点で陽極酸化を停止している。
(2−3)底部バリア層除去工程
底部バリア層除去工程は、陽極酸化工程の後に選択的エッチングにより、底部バリア層であるアルミナ膜を除去する工程である。具体的には、図8(iii)に示すように、陽極酸化アルミナ膜34において、底部バリア層36(図8(ii)参照)を選択的に除去する。なお、この状態では、ナノホール33の底部に酸化膜37が残存している。
底部バリア層除去工程の具体的な方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を従来公知の条件で好適に用いることができる。例えば、後述する実施例では、リン酸とクロム酸との混合溶液を用いて選択的にエッチングしている。このときのエッチング条件等については特に限定されるものではない。
(2−4)熱処理工程
熱処理工程は、底部バリア層除去工程後のアルミナ・テンプレートに対して、不活性ガス雰囲気中でアニール処理を行う工程である。言い換えれば、熱処理を行うことにより、ポーラスアルミナ膜を緻密化する。アニール処理の温度は、その下限が600℃以上であればよく、800℃以上であるとより好ましい。また、その上限は1200℃以下であればよく、1000℃以下であるとより好ましい。アニール処理すなわち熱処理工程を行うことにより、陽極酸化アルミナ膜を熱処理により改変して耐食性を向上させることができる。また、この熱処理によってポーラスアルミナ膜におけるAl対Oの元素組成比は1:1.2〜1:1.5の範囲内に制御することができる。それゆえ、この熱処理工程を実施することで、ポーラスアルミナ膜のAlとOとの元素組成比を制御することも可能となる。
また、アニール処理時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、酸素分圧が133Pa(1Torr)以下であり、かつ水素分圧が133Pa(1Torr)以下である条件が好ましい。あるいは、酸素濃度が1%以下であり、かつ水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気が好ましい。熱処理工程のその他の条件は特に限定されるものではなく、公知の条件を種々選択して用いればよい。
(2−5)基板酸化膜除去工程
基板酸化膜除去工程は、熱処理工程の後に、図8(iii)に示す底部の酸化膜37を除去する工程である。言い換えれば、基板上に作製した、ホール底部に直接基板を有する陽極化成アルミナ膜を溶液中でクリーニングすることにより、ホール底部の基板の清浄表面を得ることになる。上記熱処理工程により、陽極酸化アルミナ膜(アルミナ隔壁35)の耐食性が向上するので、アルミナ隔壁35は腐食されないが酸化膜37は腐食される選択的エッチングが可能となる。その結果、図8(iv)に示すように、酸化膜37を除去し、ナノホール33の配列を維持したまま、基板の清浄表面をナノホール底部に露出させることが可能となる。
基板酸化膜除去工程で行われる選択的エッチングの条件は特に限定されるものではなく、公知のエッチング液を公知の条件で用いることができる。エッチング液としては、具体的には、フッ化水素(HF)水溶液、フッ化アンモニウム(NHF)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液等、基板の酸化膜に対してエッチング効果のある溶液を適宜用いることができる。また、クリーニング効果を高めるために、超音波発生装置当を用いて溶液に対流を与えてもよい。
なお、通常、上記クリーニングに用いる溶液は基板の汚染部位のエッチングだけでなく、陽極化成で作製したアモルファスのアルミナ膜もエッチングしてしまう。そこで、上記熱処理工程により、アルミナを結晶化させることで、クリーニング溶液に対する耐性を高める。
(2−6)充填物埋め込み工程
充填物埋め込み工程は、基板酸化膜除去工程後のアルミナ・テンプレートに充填物を埋め込む工程である。図8(iv)に示すように、ナノホール33の底部は基板31の清浄表面が露出した状態になるため、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を良好に制御することが可能となる。
充填物埋め込み工程の具体的な方法は特に限定されるものではなく、埋め込む対象となる物質の種類に応じて適切な方法を適宜選択すればよい。例えば、スパッタ法、CVD法、蒸着法、メッキ法、滴下法等により物質の埋め込み、基板から直接結晶を成長させればよい。後述する実施例では、硫酸コバルト浴にて、交流電圧15V、液温40℃にて電気めっきにより、コバルトをナノホール内部に堆積している。
(2−7)その他の工程
本発明では、上記各工程以外の工程が実施されてもよい。具体的には、例えば、ナノホールのワイドニングを行うワイドニング工程、陽極酸化アルミナ膜の表面を化学物理研磨する研磨工程等を挙げることができる。ワイドニング工程では、ナノホールの径を拡大させナノホールの形状を整えるような方法であればどのような方法でも用いることができる。一般的には、リン酸水溶液やKOH水溶液等による処理をあげることができる。
(3)本発明の利用
本発明は、ナノホールを有する構造体の製造や当該構造体を利用する各種加工品や機器などの応用分野に好適に利用することができる。より具体的な応用分野としては特に電子素子技術分野を挙げることができる。
本発明によれば、高結晶性を有するナノロッド配列を形成することができるだけでなく、基板と埋め込み物質の組み合わせを変えることで、様々な機能を有するナノロッド配列構造体の形成が可能となる。そのため、このような本発明の構造体を含む半導体素子や、磁気記録媒体、あるいはその製造方法も本発明には含まれる。
上記半導体素子としては、具体的には、例えば、面発光素子、PN接合面発光素子、フォトダイオード、レーザー発光素子等を挙げることができる。また、磁気記録媒体としては、ハードディスクドライブに用いられる磁気デイスク等の高密度磁気記録媒体や、光磁気記録媒体等を挙げることができる。
このように、本発明によれば、半導体基板上のポーラスアルミナ膜が緻密化し、フッ化水素酸によるエッチング処理において殆どエッチングされなくなった。従って、ナノホール配列構造を維持したままで、シリコン表面のシリコン酸化膜の除去が可能となった。その結果、様々な磁性体や半導体などのナノ物質のシリコン上での単結晶成長が可能となった。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図9および図10に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態では陽極化成アルミナ膜に形成されるナノホール配列の面密度を1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上とし、これに埋め込み形成される強磁性ナノ構造体の面密度も1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上としている。
そのために陽極化成処理において、処理剤として希釈シュウ酸もしくは希釈硫酸、またさらにはそれらの混合液を主成分とする溶液を用い、陽極酸化電圧を一定電圧で7V以下とする工程を用いることが好ましい。
本発明者は、陽極酸化電圧とナノホール密度との関係に関して詳細な検討を最近行った。希釈硫酸を用いた低電圧でのアルミニウム陽極酸化における、ナノホール密度の電圧依存性を図9に示す。図9より、ナノホール密度が1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上となるのは、陽極酸化電圧が7V程度以下の場合であることが明らかである。また、この電圧値は希釈シュウ酸、及び希釈した硫酸とシュウ酸の混合溶液を用いてもほぼ同様である。すなわち、7V以下のアルミニウム陽極酸化を行ってナノホール二次元配列を形成し、その後電解めっき等により強磁性体を埋め込み形成すれば、強磁性ナノ構造体の面密度を1.5×1011個/cm(1×1012個/平方インチ)以上にすることが可能である。
また、陽極化成アルミナ膜に埋め込み形成される強磁性ナノ構造体の(高さ/直径)のアスペクト比の平均値を2.0以上とすることにより、保磁力を大きくすることが可能である。図10に多結晶コバルトナノ磁性体の保磁力のアスペクト比依存性を示す。保磁力はアスペクト比が1.5を越すと増加し、3.0以降はほぼ一定値となる。アスペクト比が2以上においては、ほぼ7.96×10A/m(1kOe(キロエルステッド))以上の値を示した。各々のナノ磁性結晶がランダムな方向を持つ多結晶磁性体では磁気異方性が殆どないが形状による磁気異方性がアスペクト比2以上で支配的となるのである。
以下、実施例及び図2及び図11ないし図17に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
〔実施例1〕
<本発明にかかる構造体の製造>
基板の表面が(111)結晶面である高濃度p型シリコン基板上にアルミニウムを5μmスパッタ法により堆積した。その後、0.3Mシュウ酸中、液温5℃にて、定電圧40Vを用いてナノホールが単結晶基板上に到達するまで陽極酸化を行った。図13は、得られた陽極酸化アルミナ膜を示す平面図である。図13中円形の暗い部分がナノホールである。
陽極酸化には図12のような装置を用い陽極酸化を行った。この装置は電極間を平行に保つ機構を有しており、陰極51と陽極52とがなす角を5度以下になるよう電極を設置した。また陰極51、陽極52共にテフロン(登録商標)製のカバーで覆い溶液中にのみ露出させた。陽極52は基板53側から電極をとり、陰極51は溶液の攪拌効率を上げるためメッシュ状のPt電極を用いている。酸性電解質液54の攪拌にはマグネティックスターラー55を用いた。またコンピューターは電源56と通信可能であり、制御可能である。この装置の陽極52に高濃度p型シリコン基板上にアルミニウム57を堆積したものを設置し、2段階で陽極酸化処理を行った。
ここでは、アルミニウム膜の陽極酸化レートをあらかじめ調べておき、残り膜厚が500nmになる時点で陽極酸化を停止した。次に60℃に加熱したリン酸6wt%とクロム酸1.8wt%の混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択エッチングした。残ったアルミニウム膜の陽極酸化を一定電圧で電流をモニターしながら行った。図14は、2段階目の陽極酸化における電流密度の時間依存性を示すグラフである。図14に矢印で示したように、電流値がスパイク状に変化した時点で陽極酸化を停止した。この時点で陽極酸化を停止した結果、図15(b)に示すように、底部バリア層が変形した陽極酸化アルミナ膜が得られた。リン酸3wt%の水溶液を用いて15分間エッチングを行なうことにより、ナノホール径を広げるとともに、図15(c)に示すように、底部バリア層が完全に除去された。なお、図15は、本実施例において得られた陽極酸化アルミナ膜の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。また、図15(a)は、陽極酸化アルミナ膜に形成されたナノホールの底部に残存する底部バリア層を示す図である。図15(b)は、底部バリア層が変形している様子を示す図である。また図15(c)は、底部バリア層が除去された様子を示す図である。
しかし、リン酸水溶液を用いたエッチングの後、ナノホールの底部のシリコン表面に数nmの酸化膜が残った。これにより、ナノホールに充填する物質の、単結晶成長が妨げられる。また、この酸化膜をフッ化水素酸を用いて除去することを試みたところ、酸化膜のみならず陽極酸化アルミナ膜も腐食された。
次に、アルゴン雰囲気中、600℃で3時間熱処理を行った。まず熱処理装置から空気を排気し装置内の圧力を2.7×10−4Pa(2×10−6Torr)とした後、装置内にアルゴンを導入して装置内の圧力を6.7×10−1Pa(5×10−3Torr)とし、この圧力下で熱処理を行なった。熱処理後、1.16wt%フッ化水素酸を用いて、30℃で、30分、エッチングを行った。これにより、陽極酸化アルミナ膜は腐食されず、基板の酸化膜のみが除去されたことを、透過電子顕微鏡写真により確認した。
得られた陽極酸化アルミナ膜に形成されたナノホールに、電着によりコバルトを埋め込んだ。電着は、硫酸コバルト浴にて、交流電圧15V、DCパルス(on/off時間:2/198msec)で行った。ナノホールの配列を維持したままで、基板の酸化膜が除去され、コバルトがシリコン基板上に結晶成長していることが、SEMによる観察で確認された。また、X線回折測定の結果から、コバルトは高配向結晶成長していることが確認された。同様の結果は、熱処理温度が700℃および800℃の時も得られた。
<本発明にかかる熱処理温度900℃による構造体の製造>
実施例1と同様にして、陽極酸化を行い、底部バリア層を除去した。次に、実施例1と同様にしてアルゴン雰囲気中、600℃で3時間熱処理を行った。熱処理後、1.16wt%フッ化水素酸を用いて、30℃でエッチングを行った。エッチングを2分行って得られた本発明の構造体と、エッチングを15分行なって得られた本発明の構造体に、実施例1と同様にしてコバルトを埋め込み、SEMによる観察を行った。
図17に本実施例において得られた、コバルトが埋め込まれた構造体の断面のSEMによる観察結果を示す。図17(a)は、1.16wt%フッ化水素酸を用いて2分エッチングを行ったときに得られた構造体の断面のSEM観察の結果を、図17(b)は、15分エッチングを行ったときに得られた構造体の断面のSEM観察の結果を示す。図17(b)に示すように、15分エッチングを行ったときは、コバルトがシリコン上に均一に結晶成長していることがわかった。これに対して、図17(a)に示すように、エッチングを2分で停止したときは、コバルトは均一に充填されていない。これは、エッチング時間が短いために基板の酸化膜が完全に除去されていないためであると考えられる。
<陽極酸化アルミナ膜の腐食速度の測定>
Ar雰囲気下、種々の温度で熱処理を行った陽極酸化アルミナ膜および熱処理を行なわなかった陽極酸化アルミナ膜の腐食速度を測定した。腐食速度の測定は、一定時間に腐食により削られた陽極酸化アルミナ膜の厚みを測定することにより行なった。削られた陽極酸化アルミナ膜の厚みは、陽極酸化アルミナ膜を30℃において、1.16wt%フッ化水素酸中に浸漬し、SEMにより、ナノホールの浸漬前後の半径の差として求めた。この差を浸漬時間で除した値を腐食速度として求めた。
図16は、削られた陽極酸化アルミナ膜の厚みの時間依存性を示すグラフである。図中縦軸は、削られた陽極酸化アルミナ膜の厚み(nm)を、横軸に時間(s)を示す。また、●は700℃で、▲は800℃で、■は900℃で熱処理された陽極酸化アルミナ膜における結果を示す。なお、熱処理温度600℃における結果は、このグラフでは示していないが、後述する図2で示す。図16に示されるように、熱処理温度の上昇にともない、30℃、1.16wt%フッ化水素酸中で、陽極酸化アルミナ膜は腐食されにくくなることがわかる。
また、図2は熱処理した上記陽極酸化アルミナ膜を30℃において、1.16wt%フッ化水素酸中でエッチングしたときの、腐食速度の熱処理温度依存性を示すグラフである。図2に示されるように、図16では示されなかったが、600℃で熱処理した場合も500℃で熱処理したとき(グラフより外挿)と比較して腐食速度は42%も減少している。熱処理しなかった場合は腐食速度が速すぎて、正確には測定することができなかったが、600℃で熱処理した場合、熱処理をしなかったときと比較すると、腐食速度は25%以下になると推測される。図2に示されるように、600℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は120nm/分、700℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は50nm/分、800℃で熱処理した陽極酸化アルミナ膜の腐食速度は10nm/分であった。
<赤外吸収スペクトルの測定>
熱処理を行った陽極酸化アルミナ膜および熱処理を行なわなかった陽極酸化アルミナ膜のフーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IRスペクトル)測定を行った。なお、測定はシュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された陽極酸化アルミナ膜と、リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された陽極酸化アルミナ膜とについて行なった。図7に、シュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す。図7中(a)は、アルゴン雰囲気中900℃で熱処理した時の結果を、(b)はアルゴン雰囲気中500℃で熱処理した時の結果を、(c)は熱処理を行なわなかったときの結果を示す。図7に示すように、熱処理温度が900℃のときは、陽極酸化アルミナ膜は波数1400〜1600cm−1に顕著な吸収帯が認められなかった。これに対して、熱処理温度が500℃のとき、および熱処理を行なわなかったときは1580cm−1と1480cm−1に吸収帯が認められた。
また、図18に、リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す。図18中(a)は、アルゴン雰囲気中900℃で熱処理した時の結果を、(b)は熱処理を行なわなかったときの結果を示す。図18に示すように、熱処理温度が900℃のときは、陽極酸化アルミナ膜は波数1100〜1200cm−1に顕著な吸収帯が認められなかった。これに対して、熱処理を行なわなかったときは1150cm−1に吸収帯が認められた。
〔比較例1〕
熱処理雰囲気を変化させた以外は、〔実施例1〕〔実施例2〕と同様にして、陽極酸化を行い、得られた陽極酸化アルミナ膜を熱処理した。水素存在下(約500Pa)で熱処理を行った結果、陽極酸化アルミナ膜と基板との境界部分で還元によりアルミニウムが析出した。また、空気中(酸素存在下)で熱処理を行った結果、基板の酸化膜がより厚くなった。
〔実施例2〕
以下、図11に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<図11に示される磁気記録媒体の製造>
図11により本発明の実施例を説明する。基板41上に純アルミニウム膜42をスパッタ法により5μm堆積した後、シュウ酸0.2モル溶液中、液温2℃にて定電圧5Vで陽極化成処理を1時間行った。その後リン酸とクロム酸の混合溶液(70℃)に浸漬して陽極化成アルミナ膜をいったん選択的に除去し、再びシュウ酸0.2モル溶液中、液温2℃にて定電圧5Vで陽極化成処理を10分間行い、陽極化成アルミナ膜cを形成した。このように二段階で陽極化成処理を行ったのは、陽極化成処理で形成されるナノホール配列の規則性を向上するためである。この陽極化成処理によって、隣合うナノホール間隔は約20nmとなり、その密度は約2.2×1011個/cm(1.5×1012個/平方インチ)になった。また平均ホール直径は11nmである。次に、リン酸0.3モル溶液に浸漬することによりアルミナ膜をエッチングして、ナノホール直径を15nmに拡大し、そして硫酸コバルト浴にて交流電圧15V、液温40℃にて電解めっきによりコバルトをナノホール内部に堆積した。その後、表面を化学物理研磨して、高さ75nm、直径15nm、アスペクト比5のコバルト・ナノ構造体44の二次元配列を形成した。このように形成したコバルト・ナノ構造体は多結晶体であり、六方晶構造が支配的ではあるものの、基板に対して平行な格子面は(10−10)、(10−11)、(11−20)などが混在していた。このコバルト・ナノ構造体の二次元配列の保磁力は2.0×10A/m(2.5kOe)であり、磁気記録媒体としての応用に適する。
本発明の構造体を用いれば、ナノホール底部に露出している基板の清浄表面上に磁性体や半導体が埋め込まれるため、基板からの結晶方位情報に基づく結晶配向性を有するナノ構造体の作製が可能となる。それゆえ、かかるナノ構造体を用いる磁気記録媒体や、発光素子等の機能素子の性能を向上させることが可能となるので、本発明は、磁気記録媒体や発光素子等の半導体素子に用いることができる。それゆえ、本発明は、磁気記録媒体や発光素子等の半導体素子の製造工業において利用可能であるのみならず、さらにはこれらを組み込んだ各種製品を製造する電子機器製造工業等においても利用可能であり、しかも非常に有用であると考えられる。
本発明にかかる構造体の一例を示す模式図である。 熱処理した陽極酸化アルミナ膜を30℃において、1.16wt%フッ化水素酸中でエッチングしたときの、腐食速度の熱処理温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかる半導体素子の一例である、面発光素子の一例を示す模式図である。 本発明にかかる半導体素子の一例である、PN接合面発光素子およびフォトダイオードの一例を示す模式図である。 本発明にかかる半導体素子の一例である、レーザー発光素子の一例を示す模式図である。 本発明にかかる磁気記録媒体の一例を示す模式図である。 シュウ酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す図である。 本発明の構造体の製造方法を示す概念図である。 陽極化成アルミナ膜のナノホール密度の陽極化成電圧依存性を示す図である。 陽極化成アルミナ膜に埋め込み形成した多結晶コバルト・ナノ構造体の保磁力のアスペクト比依存性を示す図である。 本発明にかかる磁気記録媒体の一例を示す模式図である。 陽極酸化の装置を示す概略図である。 実施例において製造された陽極酸化アルミナ膜を示す平面図である。 実施例において、2段階目の陽極酸化における電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例において得られた陽極酸化アルミナ膜の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。 熱処理後のフッ化水素酸によるエッチングにおいて、削られた陽極酸化アルミナ膜の厚みの時間依存性を示すグラフである。 実施例において得られた、コバルトが埋め込まれた構造体の断面のSEMによる観察結果を示す図である。 リン酸を含む溶液中で陽極酸化されることにより形成された、上記陽極酸化アルミナ膜のFT−IRスペクトル測定の結果を示す図である。 従来技術を示す図であり、基板上のアルミニウム膜が陽極酸化されて陽極酸化アルミナ膜に転換される様子を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極酸化アルミナ膜
3 ナノホール
5 基板
6 陽極酸化アルミナ膜
7 電極
8 透明電極
9 透明絶縁膜
10 絶縁体
11 半導体
12 基板
13 陽極酸化アルミナ膜
14 透明電極
15 n型もしくはp型の半導体
16 p型もしくはn型の半導体
17 基板
18 陽極酸化アルミナ膜
19 電極
20 p型またはn型半導体
21 n型またはp型半導体
22 ミラー
23 基板
24 陽極酸化アルミナ膜
25 磁性体
31 基板
32 アルミニウム膜またはアルミニウムを主として含む合金膜
33 ナノホール
34 陽極酸化アルミナ膜
35 アルミナ隔壁
36 底部バリア層
37 酸化膜
41 基板
42 アルミニウム膜
43 陽極酸化アルミナ膜
44 強磁性ナノ構造体
51 陰極
52 陽極
53 基板
54 酸性電解液
55 マグネティックスターラー
56 電源
57 アルミニウム膜
101 基板
102 ナノホール
103 陽極酸化アルミナ膜
104 アルミニウム膜
105 底部バリア層

Claims (22)

  1. 少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、
    当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しており、
    前記ナノホールの底部に露出している前記基板の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面であることを特徴とする構造体。
  2. 前記陽極酸化アルミナ膜は、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下である真空中で、600℃以上、1200℃以下の温度で、熱処理されていることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
  3. 前記陽極酸化アルミナ膜は、水素分圧が133Pa以下であって、且つ、酸素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下であって、且つ、酸素分圧が133Pa以下である真空中で、600℃以上、1200℃以下の温度で、熱処理されていることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
  4. 前記陽極酸化アルミナ膜は、熱処理により、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液中における腐食速度が、熱処理前の42%以下であるように改変されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体。
  5. 前記陽極酸化アルミナ膜は、30℃における、1.16wt%フッ化水素酸中の腐食速度が、120nm/分以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体。
  6. 前記陽極酸化アルミナ膜は、赤外分光スペクトルにおいて、波数1400〜1600cm−1での吸収帯が欠失していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体。
  7. 前記陽極酸化アルミナ膜は、赤外分光スペクトルにおいて、波数1100から1200cm−1での吸収帯が欠失していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体。
  8. 前記基板は、単結晶基板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の構造体。
  9. 前記基板は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の構造体。
  10. 前記ナノホールに半導体または金属が埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の構造体。
  11. 前記半導体または金属は、ナノホールの底部で前記基板に直接接しており、基板から、配向性を有するように結晶成長していることを特徴とする請求項10に記載の構造体。
  12. 前記半導体は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体であることを特徴とする請求項10または11に記載の構造体。
  13. 前記金属は、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、及びNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の構造体。
  14. 請求項12に記載の構造体を含むことを特徴とする半導体素子。
  15. 請求項13に記載の構造体を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  16. 少なくとも、基板と、当該基板上に陽極酸化アルミナ膜とを具備する構造体であって、
    当該陽極酸化アルミナ膜に形成されているナノホールが前記基板まで貫通し、前記基板がナノホールの底部に露出しており、
    前記ナノホールの底部に露出している前記基板の表面は、酸化膜が除去された、基板の清浄表面であることを特徴とする構造体の製造方法であって、
    基板上に形成されたアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を、前記ナノホールが前記基板に到達するまで陽極酸化し陽極酸化アルミナ膜に転換する陽極酸化工程と、
    得られた陽極酸化アルミナ膜のナノホール底部に存在する底部バリア層を、エッチングにより除去する底部バリア層除去工程と、
    底部バリア層が除去された陽極酸化アルミナ膜を600℃以上、1200℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、
    熱処理後にエッチングにより、前記ナノホール底部に存在する基板の酸化膜を除去し、ナノホール底部に基板の清浄表面を露出させる基板酸化膜除去工程と
    を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
  17. 前記熱処理工程は、酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である真空中で行われることを特徴とする請求項16に記載の構造体の製造方法。
  18. さらに、前記陽極酸化工程の前に、基板上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を形成するアルミニウム膜形成工程を含むことを特徴とする請求項16または17に記載の構造体の製造方法。
  19. さらに、前記ナノホールに半導体または金属を埋め込む、充填物質埋め込み工程を含むことを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  20. 陽極化成アルミナ膜(陽極酸化アルミナ膜)を母材として、この母材に強磁性ナノ構造体が同一平面上に面密度約1.5×1011個/cm以上の密度で埋め込まれた構造であることを特徴とする磁気記録媒体。
  21. 請求項20に記載の強磁性ナノ構造体は、(高さ/直径)のアスペクト比の平均値が2以上の微細な柱状構造であることを特徴とする磁気記録媒体。
  22. 前記陽極化成アルミナ膜の形成処理において、処理剤として希釈シュウ酸もしくは希釈硫酸、またさらにはそれらの混合液を主成分とする溶液を用い、陽極酸化電圧が一定電圧で7V以下の工程を用いることを特徴とする請求項20または21に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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