JP2005220337A - 粘着シート、表面光沢装飾シート、及びインクジェット印刷用メディア - Google Patents

粘着シート、表面光沢装飾シート、及びインクジェット印刷用メディア Download PDF

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Shuichi Watanabe
修一 渡邊
Shuji Ichimura
周二 市村
Takayuki Nakajima
孝之 中島
Yoji Tominaga
洋二 富永
Nobuo Yamamura
信雄 山村
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GEN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Gen Maintenance Technology Inc GMT
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Abstract

【課題】被着体表面に耐摩耗性、防汚性、滑り防止性、光沢感を付与し、汚れや傷つきが発生しても、研磨処理によって容易に光沢感を再現することができる粘着シート、及び装飾や広告、表示に使用される表面光沢装飾シートを提供する。
【解決手段】1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層の片面に、直接または支持基材を介して、厚さが1〜500μmの粘着層が配置された層構成を有する粘着シート、該光硬化ハードコート層と印刷層または装飾シートを備えた表面光沢装飾シート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、床面や壁面などの被着体の表面を保護するための粘着シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、建造物、乗り物、家具、成形品、電機製品等の床面、壁面、天井、窓ガラス、外板、筐体、表示面等の構造材;看板、案内板等のサイン材;などの表面に貼付し、汚染、傷付き等から被着体を保護するための粘着シートに関する。
また、本発明は、表面硬度が高く、表面光沢性、耐傷性、耐汚染性、装飾性に優れた表面光沢装飾シートに関する。さらに、本発明は、インクジェット印刷用メディアに関する。
本発明の粘着シート、表面光沢装飾シート、及びインクジェット印刷用メディアは、光触媒機能を付与することが可能であり、それによって、表面についた汚染物質を分解したり、VOC他の臭気や有害物を吸着、分解することができる。本発明の粘着シート及び表面光沢装飾シートは、印刷層、ホログラムシート(三次元効果のある装飾シート)、レンチキュラーシート、インクジェット受像層などを配置することにより、文字、情報、模様、絵、写真などの図案や色による装飾、広告、各種表示を行うことができる。
本発明の粘着シートは、被着体に対する長期保護機能を有し、所望により、光触媒機能、装飾・広告機能を付与することができるため、床面・壁面貼付用の粘着シートとして好適である。
本発明の表面光沢装飾シートは、机、テーブル、家具などの各種物品の上に載置したり、壁面に立てかけたりして、装飾、広告、各種表示などの目的に使用するのに好適である。本発明のインクジェット印刷用メディアは、所望の文字や情報、絵などをインクジェット印刷することが可能である。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の販売店舗;ファーストフード店、中華料理店、焼肉店等の飲食店舗;理容院、美容院等のサービス業の店舗;病院、老人ケア施設、学校、官公庁、文化センター、ホール等の公共施設;列車やバス、トラックなどの乗り物の車内や荷台等は、それらの床面や壁面等が油、ガム、たばこの吸殻、パーマ液等で汚れ易い。また、これらの床面や壁面等は、靴、傘、台車、荷物等により傷付けられ易い。そのため、清掃やワックスがけを頻繁に行う必要があり、かなりの労力と費用がかかっていた。
そこで、従来、高い硬度と耐摩耗性を有する高分子フィルムと該高分子フィルムを固定するための固定手段とから構成される床用被覆材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、基材上に、1分子当りの平均官能基数が3以下の光重合性オリゴマーを用いて作成した光硬化ウレタン系コート層を配した防汚床材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの床用被覆材は、床面や壁面等に貼付しておくことにより、汚れたり、傷が付いたりした時に貼り替えればよく、清掃やワックスがけに比べれば、労力と費用の負担を少なくすることができる。しかし、これらの床用被覆材は、いずれも比較的短期間で傷が付き易く、表面の光沢が低下して質感が低下したり、ポリッシング等の磨きを行っても表面の光沢感が再現されにくいといった問題を抱えている。
高分子フィルムを表面層に有する床用被覆材は、一般に、汚染され易く、傷が付き易い。光硬化ウレタン系コート層を表面層に有する床用被覆材は、防汚性がある程度改善されているものの十分ではなく、しかも一旦汚染されると汚染物の分解性がないため、床面や壁面等の外観を保持するには頻繁に貼り替える必要がある。また、これらの床用被覆材は、いずれも単に防汚、防傷の保護機能を持つだけであって、高度な装飾、広告機能を付与することが困難である。
特許第2954944号公報 特公平7−56115号公報
本発明の課題は、建造物、乗り物、サイン材などの各種被着体の床面や壁面等に容易に貼付することができ、被着体の表面に耐摩耗性、防汚性、滑り防止性、光沢感を付与し、長期間の使用に伴ってその表面に汚れや傷つきが発生しても、研磨処理によって汚れや傷を容易に除去して光沢感を再現することができる粘着シートを提供することにある。
また、本発明の課題は、被着体に対する前記の如き長期保護機能に加えて、所望により、光触媒機能を付与して、表面についた汚染物質を分解したり、VOC他の臭気や有害物を吸着、分解することができる粘着シートを提供することにある。
さらに、本発明の課題は、被着体に対する前記の如き長期保護機能に加えて、所望により、印刷層、ホログラムシート、レンチキュラーシート、インクジェット受像層などを中間層として配置することにより、文字、情報、模様、絵、写真等の図案や色による装飾、広告を行うことができる粘着シートを提供することにある。
本発明の他の課題は、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性、装飾性などに優れ、広告や各種表示を行うことができる表面光沢装飾シートを提供することにある。
また、本発明の他の課題は、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性などに優れ、インクジェット印刷により所望の文字や情報、模様などが印刷が可能なインクジェット印刷用メディアを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤を支持基材や粘着層等の上に塗布し、紫外線硬化することにより形成された光硬化ハードコート層であって、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層の片面に、直接または支持基材を介して、厚さが1〜1000μmの粘着層を配置することにより、屈曲性があって床面や壁面等に対する貼付作業性が良好で、被着体に対する長期保護機能を有する粘着シートが得られることを見出した。
この粘着シートの中間層として、印刷層、図案を立体的に見せる効果を持つ三次元効果がある装飾シート(ホログラムシート)、レンチキュラーシートを配置することにより、装飾機能をも付与することができる。この粘着シートの中間層として、インクジェット印刷が可能なインクジェット受像層を配置することにより、オンデマンド印刷が可能な粘着シートを得ることができる。
ホログラムシートやレンチキュラーシートなどの装飾シートを配置する場合、支持基材とともに、あるいは支持基材に代えて、ヒートシール性合成樹脂層を配置すると、層間接着性(剥離強度)に優れた粘着シートを得ることができる。
前記の層構成を有する粘着シートにおいて、粘着層を省略することにより、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性、装飾性などに優れた表面光沢装飾シートを得ることができる。
内外面に光硬化ハードコート層を配置し、中間層として、ホログラムシートやレンチキュラーシート、印刷層を有する支持基材などを配置することにより、同様の表面光沢装飾シートを得ることができる。
インクジェット受像層を有する粘着シートにおいて、粘着層を省略することにより、インクジェット印刷用メディアを得ることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、下記1〜9の相互に関連した一連の発明が提供される。
(1)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A1)。
(2)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの第一粘着層(AD1)が配置された粘着シート(A1)が、該第一粘着層(AD1)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされ、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの第二粘着層(AD2)が配置された層構成を有する粘着シート(A2)。
(3)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着され、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A3)。
(4)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)と、基材レス粘着シート及び両面粘着シートから選ばれる粘着シート(ADS)との組み合わせからなる粘着シート(A4)。
(5)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、少なくとも片面に印刷層(PL)を有する支持基材(SU)が配置された層構成を有する表面光沢装飾シート(B1)。
(6)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された粘着シート(A1)が、粘着層(AD)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされた層構成を有する表面光沢装飾シート(B2)。
(7)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性合成樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着された層構成を有する表面光沢装飾シート(B3)。
(8)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シート2枚により、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)面で、該熱融着シートより表面積が小さいホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)が挟み込まれ、各熱融着性シートの周辺部において、装飾シート(TF)の周縁部を噛み込みながら、あるいは噛み込むことなく、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)によって互いに熱融着された層構成を有する表面光沢シート(B4)。
(9)1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)。
本発明によれば、建造物、乗り物、サイン材などの各種被着体の床面や壁面等に容易に貼付することができ、被着体の表面に耐摩耗性、防汚性、滑り防止性、光沢感を付与し、長期間の使用に伴ってその表面に汚れや傷つきが発生しても、研磨処理によって汚れや傷を容易に除去して光沢感を再現することができる粘着シートが提供される。
また、本発明によれば、被着体に対する前記の如き長期保護機能に加えて、所望により、光触媒機能を付与して、表面についた汚染物質を分解したり、VOC他の臭気や有害物を吸着、分解することができる粘着シートが提供される。さらに、本発明によれば、被着体に対する前記の如き長期保護機能に加えて、所望により、印刷層、ホログラムシート、レンチキュラーシートまたはインクジェット受像層を中間層として配置することにより、文字、情報、模様、絵、写真等の図案や色による装飾、広告を行うことができる粘着シートが提供される。
本発明の粘着シートは、被着体に対する長期保護機能、光触媒機能、装飾・広告機能を有する床面・壁面等への貼付用の粘着シートとして好適であり、貼付作業性に優れると共に、比較的安価に提供することができる。
また、本発明によれば、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性、装飾性などに優れ、広告や各種表示を行うことができる表面光沢装飾シートが提供される。さらに、本発明によれば、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性などに優れ、インクジェット印刷により所望の文字や情報、模様などが印刷が可能なインクジェット印刷用メディアが提供される。
1.光硬化ハードコート層
本発明では、1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤を用いて、支持基材や粘着層などの上に、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層を形成する。
本発明で使用する光硬化型塗布剤は、一般に紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)と呼ばれているものを包含する。光硬化型塗布剤は、光重合性オリゴマー(「光重合性プレポリマー」ともいう)と光重合開始剤(単に「光開始剤」ともいう)とを必須成分として含有するものである。光硬化型塗布剤は、その粘度を調整したり、硬化物(ハードコート層)に柔軟性を付与したり、被着体への密着性を向上させるなどの目的で、光重合性モノマーを適宜含有させることができる。さらに、光硬化型塗布剤には、光触媒を添加して、光触媒機能を付与することができる。
光重合性オリゴマーまたは光重合性モノマーにおいて、官能基とは、光重合反応における官能基を意味しており、具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基のようなビニル基>C=C<を意味している。アクリロイル基のようなビニル基は、光照射によりラジカル重合反応性を示す。
オリゴマーとは、一般に、構造単位の繰り返し数(重合度)が2から20程度の重合体を意味している。光重合性オリゴマーは、官能基としてアクリロイル基のようなビニル基を2個以上持っており、紫外線照射によりラジカル重合反応を起こし、重合物となる。光重合性モノマーが存在する場合には、光重合性オリゴマーは、光重合性モノマーとラジカル重合反応を起こして重合物となる。このような重合物は、架橋しているため光硬化物ともいう。
1分子当りの平均官能基数は、光重合性オリゴマー1分子中に含まれる官能基数の平均値をいう。複数種類の光重合性オリゴマーを併用する場合には、平均官能基数は、各光重合性オリゴマーの平均分子量を用いて算出する。例えば、光重合性オリゴマーが2種類である場合には、各光重合性オリゴマーの平均分子量をMa及びMbとし、その使用重量をWa及びWbとし、1分子当たりの平均官能基数をNa及びNbとすると、1分子当たりの平均官能基数Nは、式N={(Wa/Ma)・Na+(Wb/Mb)・Nb}/{(Wa/Ma)+(Wb/Mb)}により算出することができる。光硬化型塗布剤が光重合性モノマーを含有する場合には、光重合性モノマーの平均官能基数は、光重合性オリゴマーの平均官能基数には含まれない。
光重合性オリゴマーは、1分子当たりの平均官能基数が4以上である。このような光重合性オリゴマーを使用することにより、耐摩耗性と光沢性に優れ、長期間の使用によっても汚れや傷つきが少なく、汚れや傷つきが生じた場合でも、通常の研磨処理によって表面の汚れや傷を除去して光沢感を再現することができる光硬化ハードコート層を形成することができる。1分子当たりの平均官能基数が4未満では、光沢劣化を引き起こし易くなる。光重合性オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数は、好ましくは5以上、より好ましくは6以上である。その上限は、20程度であるが、多くの場合、9または10程度で十分な効果を発揮することができる。
光重合性オリゴマーの官能基としては、アクリロイル基、ビニル基、メタクリロイル基、アリル基が代表的なものである。これらの中でも、アクリロイル基が好ましい。
光重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー、アルキドアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、メラミンアクリレートオリゴマー、ポリブタジエンアクリレートオリゴマー、ポリオールアクリレートオリゴマー、シリコンアクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、及び不飽和アクリル樹脂、不飽和メタクリル樹脂を挙げることができる。これらの光重合性オリゴマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの光重合性オリゴマーの中でも、合成時に平均官能基数を大きくすることが容易で、硬化性に優れ、強靭な塗膜(コート層)を形成することができ、さらには、耐傷付き性、防汚性、屈曲性を高度にバランスさせ易い点で、ウレタンアクリレートオリゴマー(「ポリウレタンアクリレート」ともいう)が特に好ましい。
光硬化型塗布剤は、1分子当りの平均官能基数が4以上である光重合性オリゴマーと光重合開始剤を必須成分として含有するものである。光硬化型塗布剤は、必要に応じて、光重合性モノマー、界面活性剤、光触媒、有機溶媒、水分等を含有することができる。光硬化型塗布剤は、例えば、無溶剤型、溶液型、エマルジョン型、ディスパージョン型のいずれでもよい。また、光硬化型塗布剤は、熱重合開始剤を含有させることにより、光硬化と熱硬化のハイブリット型とすることができる。本発明で使用する光硬化型塗布剤は、無溶剤型または少量の溶剤を用いた溶液型であることが好ましい。
光重合開始剤は、光を照射したときに光重合性オリゴマーや光重合性モノマーのラジカル重合反応を開始し、同時に架橋による硬化反応を開始させる。光重合開始剤には、開裂型、水素引き抜き型、イオン反応型がある。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、ビスアシルフォスフォンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフインオキサイド、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、パラ−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、パラ−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、4,4′−ジクロルベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、ベンザルアセトン、ビアセチル、α,α−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、2−エチルアンスラキノン、n−ブチルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキサイド、イソブチルチオキサントン、4−N,N′−ジメチルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、フェニルグリオキシル酸メチル、オルト−ベンゾイル安息香酸メチル、パラ−ジメチルアミノ安息香酸メチル、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、カンファーキノン、3−ケトクマリン、アンスラキノン、α−ナフチル、アセナフセン、p,p′−ジメトキシベンジル、p,p′−ジクロロベンジル、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホフィンオキサイド、α−クロルアンスラキノン、2−t−ブチルアンスラキノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は、光重合性オリゴマー及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部の割合で用いられる。
本発明で使用する光硬化型塗布剤には、光重合性モノマーを含有させることができる。光重合性モノマーは、反応性希釈剤ともいわれ、一般に光重合性オリゴマーの低粘度化のために添加するが、支持基材、粘着層、印刷層、アンカーコート層等との密着性や柔軟性など塗膜性能の向上にも寄与する。
光重合性モノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。単官能モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシルメチルアクリレート、2−ヒドロキシルメチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、カルビトールアクリレート、イソボルニルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルトルエンが挙げられる。
2官能モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリストールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、N,N,N′,N′−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチルジアミンのアクリル酸エステルが挙げられる。
上記の如きアクリル系モノマーの他、アリル系モノマーとして、例えば、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルアジペートが挙げられる。
これらの光重合性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。光重合性モノマーは、光重合性オリゴマー100重量部に対して、通常0〜400重量部、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部の割合で使用される。光重合性モノマーの使用割合が過大であると、光硬化ハードコート層の耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの物性が低下するおそれがある。
本発明で使用する光硬化型塗布剤が無溶剤型または少量の溶剤を用いた溶液型である場合、1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマー50〜99重量%、光重合性モノマー0〜49重量%、及び光重合開始剤1〜10重量%を含有するものであることが好ましい。
光硬化型塗布剤が光触媒を含有する場合には、光触媒は、光重合性オリゴマー及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部の割合で使用することが望ましい。
本発明の光硬化ハードコート層は、光硬化型塗布剤を支持基材や粘着層などの上に塗布し、紫外線照射により光重合と架橋反応を行わせて光硬化することにより、塗膜として得ることができる。アンダーコート層を設けた支持基材を用いることもできる。光硬化ハードコート層の厚さは、1〜500μmである。光硬化ハードコート層の厚さは、支持基材がある場合には1〜500μmであるが、支持基材がない場合には4〜500μmであることが好ましく、いずれの場合も5〜300μmであることがより好ましい。光硬化ハードコート層の厚さは、多くの場合、5〜100μm、さらには10〜50μm程度で十分な効果を発揮することができる。
光硬化ハードコート層の厚さが薄すぎると、酸素障害によって光硬化が阻害される傾向が強くなり、硬化時に酸素を遮断したり、熱重合開始剤を添加する必要が生じる。また、光硬化ハードコート層の厚さが薄すぎると、十分に高い光沢性を付与することが困難となり、さらに、摩耗により光硬化ハードコート層が消失してしまうまでの期間が短く、長期保護機能を付与することができなくなるだけでなく、ポリッシングにより光沢感を復元することが困難となる。光硬化ハードコート層の厚さが薄すぎると、支持基材がない場合には、該光硬化ハードコート層自体のコシが弱く、貼付作業性が悪くなる。
他方、光硬化ハードコート層の厚さが厚すぎると、該光硬化ハードコート層を有する粘着シートの屈曲性が低下し、床面や壁面等に対する貼付作業性が低下することに加えて、光硬化ハードコート層に割れが生じ易くなる。また、光硬化ハードコート層の厚さを厚くしすぎると、材料コストが高くなり、製品として現実性がなくなる。
本発明の光硬化ハードコート層の硬さは、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さで表わすと、D40/30〜D60/30の範囲内にあることが必要である。このタイプDデュロメータ硬さとは、JIS K6253のタイプDデュロメータ硬さの測定法に準拠し、6mm厚の光硬化ハードコート層について測定した値である。測定法の詳細は、実施例に示す。
タイプDデュロメータ硬さの値の先頭部分のDは、タイプDのデュロメータを用いて測定した硬さであることを表わしている。Dに続く先の数値は、タイプDデュロメータ硬さを表わす。後の数値(/の後に示される数値)は、タイプDのデュロメータの押針が光硬化ハードコート層の表面に密着してから硬さを測定するまでの時間を秒単位で表わしたものである。例えば、「D60/30」は、タイプDのデュロメータの押針が光硬化ハードコート層の表面に密着してから硬さを測定するまでの時間が30秒で、タイプDのデュロメータを用いて測定した硬さが60であることを意味する。
光硬化ハードコート層のタイプDデュロメータ硬さが低すぎると、比較的短期で傷がつき易くなり、また、表面の光沢が低下して質感が低下し易くなる。光硬化ハードコート層のタイプDデュロメータ硬さが高すぎると、屈曲性(「柔軟性」または「可撓性」ともいう)や滑り防止性が不足し、粘着シートを曲げたときに割れが発生し易くなったり、床面に貼付した粘着シート上を歩いた時に滑り易くなる。したがって、光硬化ハードコート層のタイプDデュロメータ硬さが高すぎると、粘着シートの貼付作業性が低下し、貼付後には、使用時の安全性が悪くなる。
2.粘着層
本発明の粘着シートの粘着層を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などを挙げることができる。本発明の粘着シートを貼付する床や壁などの被着体が可塑剤を含んだ塩化ビニル樹脂製であることが多いことを考慮すると、可塑剤の移行による粘着特性への影響が少ないゴム系粘着剤を用いることが好ましい。
ゴム系粘着剤としては、天然ゴム系粘着剤、スチレンブタジエン系粘着剤(水素添加物も含む)、スチレンイソプレン系粘着剤(水素添加物も含む)、ブチルゴム系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤等を挙げることができる。これらの中でも、極性の低いブチルゴム系粘着剤及びポリイソブチレン系粘着剤を用いることがより好ましい。
粘着層の厚さは、1〜1000μm、好ましくは2〜500μm、より好ましくは3〜300μmである。粘着層の厚さが薄すぎると、被着体に対する粘着力が不足する。粘着層の厚さが厚すぎると、粘着シートの側面から粘着剤が染み出して、端部にゴミが付着し易くなる。また、粘着層を厚くし過ぎると、材料コストが高くなる。
3.支持基材
本発明の粘着シートには、支持基材を配置することができる。支持基材としては、一般に高分子フィルムまたはシートが用いられる。このような支持基材の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系樹脂;ポリスチレン、スチレンとジエン系炭化水素の共重合体(水素添加物も含む)などのスチレン系樹脂;などを挙げることができる。
これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上をブレンドして用いることができる。支持基材は、単層であっても、2種以上の高分子フィルムを積層した多層であってもよい。これらの中でも、粘着シートのコシ、耐熱性などのバランスの点から、支持基材としては、ポリエステル樹脂フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。また、本発明の粘着シートや表面光沢装飾シートなどを屋外で使用したり、日当たりの良い場所で使用したりするなど、耐候性が要求される用途に適用するの場合は、支持基材として、耐候性フィルム若しくは耐候性処方がなされたフィルムが好ましい。耐候性フィルムの具体例としては、アクリル系樹脂フィルムが挙げられる。
支持基材の厚さは、通常4〜300μm、好ましくは10〜250μm、より好ましくは20〜230μmである。支持基材の厚さが薄すぎると、光硬化ハードコート層の支持体としての強度が不足し、厚すぎると、柔軟性や透明性が低下する。
4.ヒートシール性合成樹脂層
本発明で使用するヒートシール性合成樹脂層としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、アイオノマー樹脂などのヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂フィルム(シートを含む)が挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンなどが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)などが挙げられる。
ヒートシール性合成樹脂層(HS)は、190℃で測定したメルトフローレートが通常0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜15g/10分、より好ましくは1〜10g/10分のヒートシール性合成樹脂から形成された合成樹脂層であることが望ましい。メルトフローレートが小さすぎると、熱融着時(ヒートシール接着時)の加熱温度、加圧力、加熱圧着時間を高くする必要があり、製造工程のコストが高くなったり、他の層を劣化または変質させるおそれが生じる。メルトフローレートが大きすぎると、熱融着時の加熱によりヒートシール性合成樹脂層が簡単に溶融するため、加熱圧着条件のコントロールが難しくなることに加えて、耐熱性が低下する。
ヒートシール性合成樹脂層は、支持基材としても使用することができる。すなわち、支持基材として使用するポリオレフィン系樹脂層をヒートシール性合成樹脂層として熱融着に使用することができる。支持基材とは別に、独立した層としてヒートシール性合成樹脂層を配置してもよい。
ヒートシール性合成樹脂層の厚さは、通常3〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜250μmである。ヒートシール性合成樹脂層の厚さが薄すぎると、ヒートシール強度が不十分となり、厚すぎると、柔軟性や透明性が低下する。
5.アンカーコート層
本発明の粘着シートには、必要に応じて、少なくとも1つの層間に、アンカーコート層を更に配置することができる。具体的には、粘着層と支持基材間、支持基材と光硬化ハードコート層間、粘着層と光硬化ハードコート層間の何れにもアンカーコート層を配置することができる。通常は、支持基材と粘着層との間にアンカーコート層を配置することが好ましい。
アンカーコート層を形成するのに用いるアンカーコート剤としては、例えば、変性オレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリアミド系、マレイン酸系、酢酸ビニル系、ポリビニルブチラール系、天然ゴム系、合成ゴム系などのアンカーコート剤を挙げることができる。これらのアンカーコート剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上をブレンドして用いることができる。アンカーコート剤には、必要に応じて、充填剤、タッキファイヤー等を添加することができる。アンカーコート層の厚さは、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μm程度である。
6.セパレーター
本発明の粘着シートには、その粘着層の露出した表面を保護するために、セパレーターをラミネートすることができる。セパレーターとしては、例えば、剥離処理した各種フィルム、ポリラミ紙、紙等を使用することができる。セパレーターには、粘着シートの貼付時に混入し易い気泡を除去するために、粘着層表面に凹凸をつける目的で凹凸をつけてもよい。セパレーターは、粘着シートの使用時に剥離される。
7.印刷層
本発明の粘着シートには、少なくとも1つの層間に、印刷層を更に配置することができる。この印刷層により、被着体への貼付状態で粘着シートに装飾や広告機能を付与することができる。具体的には、粘着層と支持基材間、支持基材と光硬化型ハードコート間、粘着層と光硬化型ハードコート間、粘着層とアンカーコート層間、支持基材とアンカーコート層間、光硬化型ハードコートとアンカーコート層間のいずれかに、文字、情報、模様、絵、写真等の図案、単一色などの印刷層を配置することができる。
印刷層は、多くの場合、支持基材の片面に設けることが好ましく、支持基材の光硬化ハードコート層とは反対面に設けることがより好ましい。支持基材の表面に印刷層を設けるには、支持基材を構成する高分子フィルムまたはシートの表面にインクを用いて印刷すればよい。印刷層の印刷部分の乾燥厚みは、通常0.5〜3μm程度である。
印刷層を形成するのに用いる印刷インクとしては、被印刷体への密着性を考慮して適宜選択することができる。印刷インクとしては、例えば、変性オレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリアミド系、マレイン酸系、酢酸ビニル系、ポリビニルブチラール系、天然ゴム系、合成ゴム系を挙げることができる。これらの印刷インクは、それぞれ単独で、あるいは2種以上をブレンドして用いることができる。また、印刷インクには、顔料、染料、その他の充填剤、タッキファイヤー等を添加することができる。
8.装飾シート
本発明の粘着シートには、装飾機能や広告機能を付与するために、中間層として、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シートを配置することができる。
ホログラムシート(「ホログラムフィルム」ともいう)は、図案を立体的に見せる効果を持つ三次元効果がある装飾シートである。図案を立体的に見せる三次元効果があるホログラムシートとしては、透明シートの表面に所定のピッチで凹凸模様が形成されており、反対面には、該凹凸模様と相似形状の模様が印刷されているものが代表的なものである。
例えば、特開平11−189000号公報には、透明シートの一面に、所定のピッチで繰り返された第1の模様を有する第1のパターン部を設け、他面には、第1の模様と相似形状の第2の模様を有する第2のパターン部を設けた装飾シートが開示されている。このような装飾シートの中でも、表面を特殊凹凸形態とし、裏面に特殊印刷した図案を浮かび上がらせることにより、文字、情報、模様、絵、写真等の図案を立体的に見せる効果を持つホログラムシートを好ましく用いることができる。
レンチキュラーシートは、一般に、断面がカマボコ状の凸部を多数平行に並べた形状の平面レンズと、その下方に配置された画像とで構成され、画像が変化して見えたり、立体的に見えたりする装飾シートである。画像は、複数枚の画像を細かいスリット状に裁断して交互に並べたものである。例えば、同じ被写体を位置が異なる3台のカメラで撮影し、得られた3枚の画像を細かいスリット状に裁断して、平面レンズの凸部と平行に交互に並べる。画像の枚数は、3〜6枚程度が好ましい。
レンチキュラーシートを構成する平面レンズの凸部と凸部との間は凹部となるため、凹凸模様が形成されていると言うことができる。平面レンズの他面は、一般に平坦面である。本発明では、レンチキュラーシートとして、平面レンズと画像とで構成されたものだけではなく、平面レンズのみを使用することもできる。平面レンズは、透明シートの加工により形成することができる。
ホログラムシートやレンチキュラーシートなどの装飾シートに用いられる透明シートは、特に限定されず、各種素材からなるものを用いることができる。透明シートを形成する素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン−1共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのアクリレート樹脂またはメタクリレート樹脂;ポリスチレン、スチレンとジエン系炭化水素の共重合体(水素添加物も含む)などのスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;などを挙げることができる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上をブレンドして用いることができる。透明シートは、単層でも多層でもよい。透明シートは、環境面からノンハロゲン素材を用いるのが好ましい。透明シートの厚さは、通常10μm〜5mmであるが、立体的に見せる三次元効果を高くする点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上にすることが望ましい。
9.光触媒機能の付与
本発明の粘着シートには、表面付着物質の分解、臭気や有害物の吸着及び分解などのために、光触媒機能を付与することができる。粘着シートに光触媒機能を付与する方法としては、光硬化ハードコート層内に光触媒を含有させる方法、及び光硬化ハードコート層の上に最外層として光触媒層を配置する方法を採用することが好ましい。本発明の表面光沢装飾シートやインクジェット印刷用メディアにも、同様に光触媒機能を付与することができる。
光硬化ハードコート層内に光触媒を含有させる場合には、光重合性オリゴマー及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部の割合で光触媒を含有させる。光触媒の配合割合が過小であると、表面付着物質の分解性、臭気や有害物の吸着性及び分解性が十分ではなくなる。光触媒の配合割合が過大であると、表面光沢性が低下する。また、光硬化型塗布液中に光触媒を多量に添加すると、塗膜の光硬化時に光触媒が光を遮断して硬化阻害が起こることがある。また、光触媒が光活性能を発揮するには、光触媒が直接表面に出ている必要があるため、ポリッシング等により光硬化ハードコート層によって被覆された光触媒を露出させてから使用することが好ましい。
光硬化ハードコート層上(最外層または最表面層)に光触媒層を配置する場合には、その厚さを0.1〜10μmとすることが好ましい。これにより、光硬化ハードコート層内に光触媒を添加した場合に必要な光触媒の光硬化ハードコート被覆部分の除去作業を行わなくても、光活性能を発揮させることができる。光触媒層の厚さが薄すぎると、摩耗により光触媒層が消失してしまうまでの期間が短く、長期安定な光触媒活性機能が得られない。光触媒層の厚さが厚すぎると、粘着シートの屈曲性が不足し、貼付作業時などに粘着シートを曲げたときに光触媒層の割れが発生し易くなる。また、材料コストが高くなり、製品としての現実性がない。
本発明の粘着シートに使用する光触媒としては、例えば、チタン、スズ、タングステン、亜鉛、ニオブ、タンタル、ジルコニウム等の金属の酸化物、アルコキシド、アシレート、キレート等を挙げることができる。光触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。光触媒は、光活性の点からは粒径の小さいものの方が好ましく、1次粒径が30nm以下、2次凝集段階でも粒径が100nm以下のものがより好ましい。
10.粘着シート
本発明の粘着シートは、各層を形成する構成部材を溶展塗工、印刷、熱溶融押出、UV硬化、UV硬化と熱硬化の組み合わせ、加熱圧着など、公知の方法の組み合わせにより製造することができる。
(1)粘着シート(A1)
本発明の粘着シートの層構成としては、第一に、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A1)が挙げられる。
粘着シート(A1)には、コシや耐熱性などのバランスを取るために、支持基材を配置することができる。さらに、粘着シート(A1)には、層間密着性を向上させるために、必要に応じて、少なくとも1つの層間にアンカーコート層を配置することができる。
粘着シート(A1)には、必要に応じて、少なくとも1つの層間に印刷層を配置することができる。すなわち、本発明の粘着シートに装飾や広告の機能を持たせる方法としては、各層間に印刷層を配置する方法がある。具体例としては、光硬化ハードコート層の片面に、印刷層を設けた支持基材を介して、粘着層を配置した層構成を有する粘着シートが挙げられる。
粘着シート(A1)には、粘着層の露出した表面をセパレーターにより保護することができる。粘着シート(A1)には、光硬化ハードコート層の上に、最外層として光触媒層を配置することができる。光硬化ハードコート層の中に光触媒を含有させてもよい。以上の点については、他の粘着シートや表面光沢装飾シートなどについても、同様に当てはまる。
本発明の粘着シート(A1)の典型的な層構成について、図面を参照しながら説明する。図1〜5は、光硬化ハードコート層と粘着層とを有し、必要に応じて、支持基材や光触媒層などの他の層を有する粘着シート(A1)の層構成を示す断面図である。
すなわち、粘着シート(A1)としては、例えば、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/粘着層3/セパレーター4」の層構成を有する粘着シート(図1)、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/アンカーコート層5/粘着層3/セパレーター4」の層構成を有する粘着シート(図2)、「光硬化ハードコート層1/粘着層3/セパレーター4」の層構成を有する粘着シート(図3)、「光触媒層6/光硬化ハードコート層1/支持基材2/アンカーコート層5/粘着層3/セパレーター4」の層構成を有する粘着シート(図4)、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/印刷層7/粘着層3/セパレーター4」の層構成を有する粘着シート(図5)などが挙げられる。
(2)粘着シート(A2)
本発明の粘着シートに装飾や広告などの機能を持たせる方法として、印刷層を配置する方法以外に、中間層としてホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シートを配置する方法がある。
その具体例としては、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの第一粘着層(AD1)が配置された粘着シート(A1)が、該第一粘着層(AD1)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされ、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの第二粘着層(AD2)が配置された層構成を有する粘着シート(A2)が挙げられる。
第一粘着層(AD1)としては、5×10〜1×10Paの40℃で測定した貯蔵粘弾性G’を有するものであることが好ましい。第一粘着層(AD1)の貯蔵弾性率が低すぎると、ホログラムシートやレンチキュラーシートの凹凸模様と貼り合わされた場合に、凹凸模様部に粘着剤が入り込み、三次元効果(立体効果)などの装飾機能が阻害されることがある。第一粘着層(AD1)の貯蔵弾性率が大きすぎると、被着面との密着性が悪くなることがある。
装飾シートの凹凸模様が第一粘着層(AD1)によって全面的に被覆されないようにする方法として、第一粘着層(AD1)を光硬化ハードコート層(HC)または支持基材(SU)の上に部分的に形成させるか、あるいは第一粘着層(AD1)と装飾シートとの間に第一粘着層(AD1)の表面を部分的に被覆するカバーフィルムもしくは非粘着層を配置する方法を採用することが好ましい。
中間層にホログラムシートやレンチキュラーシートなどの装飾性シートを配置した粘着シート(A2)において、装飾シートの凹凸模様面と貼り合わせる粘着シート(A1)の第一粘着層(AD1)を部分的に配置して、装飾シートの三次元効果等を発揮する意匠部分に第一粘着層(AD1)が接しないようにすることができる。
具体的には、例えば、50cm四方の装飾シートについて、四端部から1cm幅の部分には凹凸模様(意匠部分)を付与せず、中央部48cm四方にのみ凹凸模様を付与したものに対し、粘着層(AD1)が凹凸模様を付与していない周辺部とのみ接触し、凹凸模様のある中央部48cm四方には接触しないように、粘着シート(A1)を第一粘着層(AD1)によって部分的に貼り合わせることができる。このように、粘着シート(A1)の粘着層(AD1)を装飾シートの凹凸模様に接触させなければ、凹凸模様の部分に粘着層(AD1)が入り込みむことがなく、三次元効果等の装飾機能を阻害することもない。
上記のように、装飾シートの周辺部に凹凸模様がない部分を付与して、粘着層の貼り合わせ部としなくても、全面に凹凸模様を付与した装飾シートの周辺部のみで粘着層と貼り合わせてもよい。また、粘着層を装飾シートの周辺部に対応する箇所のみに部分的に設ける方法以外に、例えば、細長い粘着層を縦または横もしくは縦横に配置して、装飾シートを区画するように貼り合わせてもよい。
本発明の粘着シートに三次元効果等の装飾機能を付与する場合において、装飾シートの凹凸模様面と貼り合わせる粘着シート(A1)の第一粘着層(AD1)面に、部分的にカバーフィルムまたは非粘着層を配置することができる。この方法を採用する場合には、装飾シートの凹凸模様に相当する粘着層の表面に、カバーフィルムや非粘着層を配置する。通常は、装飾シートの端部のみに粘着層が接触するように、カバーフィルムや非粘着層により粘着層を被覆する。
カバーフィルムを形成する素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン−1共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート樹脂;ポリスチレン、スチレンとジエン系炭化水素の共重合体(水素添加物も含む)などのスチレン系樹脂;などを挙げることができる。カバーフィルムは、単層でも多層でもよい。カバーフィルムは、装飾シートの三次元効果等を明瞭に見るために、可視光の光線透過率が60%以上であるものが好ましい。
非粘着層についても、装飾シートの三次元効果を明瞭に見るためには、可視光の光線透過率が60%以上であるものが好ましい。非粘着層の組成は、粘着層(A1)との密着性、不侵食性、貯蔵弾性率G’等の性能を満たす範囲で適宜選択することができる。非粘着層としては、本発明で用いる光硬化ハードコート層やアンカーコート層に用いた材料をそのまま用いることもできる。これらを構成する塗布液を粘着層の必要箇所にコートすることにより、非粘着層を部分的に形成することができる。
粘着シート(A2)にも、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、印刷層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シートを配置した粘着シート(A2)の具体例としては、図6に示すように、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/粘着層3」の層構成を有する粘着シート(A1)と、「装飾シート8/粘着層9/セパレーター10」の層構成を有する装飾粘着シートとの組み合わせからなる粘着シートが挙げられる。
粘着シート(A2)の他の具体例としては、図7に示すように、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/アンカーコート層5/粘着層3」の層構成を有する粘着シート(A1)と、「装飾シート8/粘着層9/セパレーター10」の層構成を有する装飾粘着シートとの組み合わせからなる粘着シートが挙げられる。
粘着シート(A1)及び装飾粘着シートは、予め貼り合わせて一体の粘着シートとして床面や壁面等の被着体に貼付してもよく、あるいは装飾粘着シートを被着体に貼付してから、その上に粘着シート(A1)を貼り合せてもよい。また、図示していないが、粘着シート(A2)には、粘着層を部分的に形成したり、粘着層の上に、部分的にカバーフィルムや非粘着層を設けることができる。
(3)粘着シート(A3)
前記の粘着シート(A2)では、粘着層を用いて装飾シートを光硬化ハードコート層と一体化しているが、層間密着性(剥離強度)が不足する場合には、ヒートシール性合成樹脂層を用いて、装飾シートを光硬化ハードコート層と一体化することができる。
具体的には、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着され、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A3)が挙げられる。
粘着シート(A3)にも、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、印刷層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シートを配置した粘着シート(A3)の具体例としては、図8に示すように、「光硬化ハードコート層1/アンカーコート層5/ヒートシール性合成樹脂層11」の層構成を有する熱融着性シートと、「装飾シート8/粘着層9/セパレーター10」の層構成を有する装飾粘着シートとの組み合わせからなる粘着シートが挙げられる。
熱融着性シート及び装飾粘着シートは、予め貼り合わせて一体の粘着シートとして床面や壁面等の被着体に貼付してもよく、あるいは装飾粘着シートを被着体に貼付してから、その上に熱融着性シートを熱融着させてもよい。施工現場での作業の容易さの観点からは、多くの場合、熱融着性シート及び装飾粘着シートは、予め貼り合わせて一体の粘着シートとしておくことが好ましい。
ヒートシール性合成樹脂層との熱融着によって、装飾シートの凹凸模様に該樹脂が入り込んで、三次元効果(立体効果)などの装飾機能が阻害されるのを防ぐために、装飾シートの凹凸模様がヒートシール性合成樹脂層によって全面的に熱融着されないようにすることができる。
具体的には、ヒートシール性合成樹脂層(HS)を光硬化ハードコート層(HC)または支持基材(SU)の上に部分的に配置するか、あるいはヒートシール性合成樹脂層(HS)を装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された面と部分的に熱融着させる方法が挙げられる。これらの方法の中でも、ヒートシール性合成樹脂層を装飾シートの凹凸模様が形成された面と部分的に熱融着させる方法が好ましい。例えば、熱融着時に、装飾シートの周辺部にヒートシール性合成樹脂層を熱融着させる。装飾シートの凹凸模様が形成された大部分の箇所には、熱融着されていないヒートシール性合成樹脂層が密着して配置されることになる。
(4)粘着シート(A4)
本発明の粘着シートは、装飾または広告機能を付与するために、光硬化ハードコート層、支持基材またはアンカーコート層の上に、インクジェット受像層を設けることにより、所望の模様を有するインクジェット印刷を行うことができる。インクジェット受像層は、後述する水分吸収層上に形成してもよい。
具体的には、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)と、基材レス粘着シート及び両面粘着シートから選ばれる粘着シート(ADS)との組み合わせからなる粘着シート(A4)が挙げられる。
このインクジェット印刷用メディア(IM)は、基材レス粘着シート(心材のない両面粘着シート)または両面粘着シート(心材を有する両面粘着シート)と組み合わせて使用する。インクジェット印刷用メディアを用いて、そのインクジェット受像層にインクジェット方式で所望の模様の印刷を行い、次いで、その印刷面を基材レス粘着シートまたは両面粘着シートの粘着剤層と貼り合わせる。基材レス粘着シートまたは両面粘着シートを先に床面や壁面などの被着体に貼付してから、その粘着層上に印刷を行ったインクジェット印刷用メディアを貼り付けてもよい。
インクジェット印刷用メディアにおけるインクジェット受像層の厚さは、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲である。インクジェット受像層の厚さが薄すぎると、インクの乾燥性や定着性が悪くなる傾向がある。インクジェット受像層の厚さが厚すぎると、光線透過性が悪くなり、光硬化ハードコート層面側から観察したとき、白ボケてインクジェット印刷した内容が明瞭に見えなくなる可能性がある。
インクジェット受像層としては、吸水性ポリマー及び無機または有機の粒子を含有し、その厚み方向に、支持基材または光硬化ハードコート層に近づくほど粒子濃度が低く、離れるほど粒子濃度が高くなる連続傾斜構造となり、表面に凹凸があることが好ましい。
吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリメチルセルロース、ポリウレタン、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等を主体とする樹脂組成物が挙げられる。
無機または有機粒子としては、例えば、酸化アルミナ粒子、シリカ粒子、コロイダルシリカ、チタニア粒子、亜鉛華粒子等の金属酸化物粒子;親水性アクリル粒子、親水性セルロース系化合物粒子;が挙げられる。これらの粒子は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。インクの乾燥性、定着性、光線透過性の観点からは、吸水性ポリマー100重量部に対し、平均粒子径が0.01〜10μmの無機または有機粒子を0.1〜10重量部の割合で含有させることが好ましい。
インクジェット印刷用メディアには、例えば、インクジェット受像層と支持基材間、インクジェット受像層と光硬化ハードコート層間、インクジェット受像層とアンカーコート層間などに、インク中の水分を吸収できる水分吸収層を配置することが好ましい。水分吸収層は、吸水性ポリマーを主体とするものである。
吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリメチルセルロース、ポリウレタン、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等を主体とする樹脂組成物が挙げられる。水分吸収層の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは、3〜50μmである。水分吸収層の厚さが薄すぎると、インク中の水分を吸収する能力が不足し、インクの乾燥性や定着性が悪くなる傾向がある。水分吸収層の厚さが厚すぎると、材料コストが高くなり、製品としての現実性がない。
インクジェット印刷用メディアと組み合わせて使用する両面粘着シートは、支持基材(心材)として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン−1共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート樹脂;ポリスチレン、スチレンとジエン系炭化水素の共重合体(水素添加物も含む)などのスチレン系樹脂;などから形成されたフィルムまたはシートを用いることができる。これらの樹脂のブレンド物を用いて支持基材を形成してもよい。また、支持基材は、単層でも多層でもよい。また、支持基材として、不織布、紙、ポリラミ紙等を用いてもよい。
両面粘着シートを形成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤を挙げることができる。
インクジェット印刷用メディアと貼り合わせない側の面については、可塑剤を含んだ塩化ビニル樹脂が被着体となる床や壁の材質として多いことを想定すると、可塑剤の移行による影響の少ないゴム系粘着剤を用いることが好ましい。ゴム系粘着剤としては、天然ゴム系粘着剤、スチレンブタジエン系粘着剤(水素添加物も含む)、スチレンイソプレン系粘着剤(水素添加物も含む)、ブチルゴム系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤等を挙げることができる。これらの中でも、極性の低いブチルゴム系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤を用いることがより好ましい。
両面粘着シートのセパレーターとしては、剥離処理した各種フィルム、ポリラミ紙、紙等を使用することができる。セパレーターには、貼付時に混入し易い気泡を除去するために、粘着層表面に凹凸をつける目的で凹凸をつけてもよい。
粘着層の厚さとしては、インクジェット印刷用メディアと貼り合わせる側の面が3μm以上、貼り合わせない側の面が1μm以上で、両面合わせて1000μm以下、さらには500μm以下であることが好ましい。インクジェット印刷用メディアと貼り合わせる側の面の粘着層の厚さが薄すぎると、インクジェット印刷用メディアとの接着性が不足する可能性がある。インクジェット印刷用メディアと貼り合わせない側の面の粘着層が薄すぎると、被着体に対する粘着力が不足する。両面合わせた粘着剤層の厚さが厚すぎると、粘着シートの側面から粘着層が染み出し、端部にゴミが付着し易くなり、また、材料コストが高くなり、製品として現実性がない。
インクジェット印刷用メディアと組み合わせる基材レス粘着シート(心材のない両面粘着シート)を形成する粘着剤としては、前記と同様の粘着剤を用いることができるが、可塑剤を含んだ塩化ビニル樹脂が被着体となる床や壁の材質として多いことを想定すると、可塑剤の移行による影響の少ないゴム系粘着剤を用いることが好ましい。ゴム系粘着剤としては、前記と同様のものを挙げることができる。
セパレーターとしては、剥離処理した各種フィルム、ポリラミ紙、紙等を使用することができ、貼付時に混入し易い気泡を除去するために、粘着層表面に凹凸をつける目的で凹凸をつけてもよい。基材レス粘着シートの粘着層の厚さは、通常1〜1000μm、好ましくは3〜500μmである。粘着層の厚さが薄すぎると、インクジェット印刷用メディアとの接着性が不足する可能性がある。粘着層の厚さが厚すぎると、粘着シートの側面から粘着層が染み出し、端部にゴミが付着し易くなり、また、材料コストが高くなり、製品としての現実性がない。
インクジェット印刷用メディアには、各層間の何れにもアンカーコート層を設けることができる。また、所望により、各層間に印刷層を設けてもよい。アンカーコート層や印刷層については、前記したものを用いることができる。アンカーコート剤を用いる場合には、支持基材と光硬化ハードコート層間、インクジェット受像層と支持基材間、インクジェット受像層と水分吸収層間などに配して使用することができる。多くの場合、支持基材と水分吸収層間にアンカーコート層を配置することが好ましい。アンカーコート層の組成は、光硬化ハードコート層、支持基材、インクジェット受像層、水分吸収層の組合せにより、適宜選択することができる。
インクジェット受像層を形成したインクジェット印刷用メディアと、基材レス粘着シートとの組み合わせからなる粘着シートとしては、図9に示すように、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/アンカーコート層5/水分吸収層12/インクジェット受像層13」の層構成を有するインクジェット印刷用メディアと、「セパレーター14/粘着層15/セパレーター16」の層構成を有する基材レス粘着シートとの組み合わせを挙げることができる。
インクジェット受像層を形成したインクジェット印刷用メディアと、両面粘着シートとの組み合わせからなる粘着シートとしては、図10に示すように、「光硬化ハードコート層1/支持基材2/アンカーコート層5/水分吸収層12/インクジェット受像層13」の層構成を有するインクジェット印刷用メディアと、「セパレーター14/粘着層15/支持基材17/粘着層18/セパレーター16」の層構成を有する両面粘着シートとの組み合わせを挙げることができる。
(5)その他の成分
本発明の粘着シートは、光硬化ハードコート層、支持基材、粘着層、アンカーコート層、印刷層、三次元効果がある装飾シート、非粘着コート層、インクジェット受像層、水分吸収層、セパレーターなどを前記の如く組み合わせたものであるが、これら各層に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、例えば、オイル、パラフィンワックス、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等の軟化剤;酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の顔料;タルク、炭酸カルシウム等の充填剤;ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の滑剤;ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機系中空粒子;アクリル系微小球、高分子量ポリオレフィン系パウダー等の高分子微小球;シリコーン系剥離性付与剤、長鎖アルキル系剥離性付与剤等の剥離性付与剤;ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ラクトン系、リン系等の紫外線吸収剤や紫外線安定剤;酸化防止剤、加工安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤等を挙げることができる。これらの添加剤は、必要に応じて、適宜適量を添加することができる。
11.表面光沢装飾シート
本発明によれば、前記した各種粘着シートの層構成を利用して、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性、装飾性などに優れ、広告や各種表示を行うことができる表面光沢装飾シートを提供することができる。
本発明の表面光沢装飾シートは、光硬化ハードコート層を有するため、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性などに優れている。また、本発明の表面光沢装飾シートは、印刷層や、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シートを中間層として配置したものであるため、装飾、広告、各種表示などの機能を有するものである。
本発明の表面光沢装飾シートは、被着体に貼付して使用するのではなく、机、テーブル、家具などの各種物品の上に載置したり、壁面に立てかけたりして、装飾、広告、各種表示などの目的に使用するのに好適である。以下、本発明の表面光沢装飾シートの具体的な層構成について説明する。
(1)表面光沢装飾シート(B1)
本発明の表面光沢装飾シートとして、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、少なくとも片面に印刷層(PL)を有する支持基材(SU)が配置された層構成を有する表面光沢装飾シート(B1)が挙げられる。
表面光沢装飾シート(B1)には、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。表面光沢装飾シート(B1)の具体例としては、図11に示すように、「光硬化ハードコート層101/支持基材102/印刷層107」の層構成を有する表面光沢装飾シートを挙げることができる。印刷層107は、支持基材102の片面に印刷することにより形成されている。
印刷層と光硬化ハードコート層との間の密着性が十分であれば、「光硬化ハードコート層101/印刷層107/支持基材102」の層構成とすることもできる。各層間の密着性を向上させるために、アンカーコート層を設けてもよい。
(2)表面光沢装飾シート(B2)
本発明の表面光沢装飾シートとして、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された粘着シート(A1)が、粘着層(AD)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされた層構成を有する表面光沢装飾シート(B2)を挙げることができる。
表面光沢装飾シート(B2)には、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、印刷層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。表面光沢装飾シート(B2)の具体例としては、図12に示すように、「光硬化ハードコート層101/粘着層103/装飾シート108」の層構成を有する表面光沢装飾シートを挙げることができる。
表面光沢装飾シート(B2)の他の具体例としては、図13に示すように、「光硬化ハードコート層101/支持基材102/粘着層103/装飾シート108」の層構成を有する表面光沢装飾シートを挙げることができる。
ホログラムシートやレンチキュラーシートの凹凸模様に粘着剤が入り込み、三次元効果(立体効果)などの装飾機能が阻害されないようにするために、粘着層として、5×10〜1×10Paの40℃で測定した貯蔵粘弾性G’を有するものを使用することが好ましい。また、装飾シートの凹凸模様が粘着層によって全面的に被覆されないようにするために、粘着層を光硬化ハードコート層または支持基材の上に部分的に形成させるか、あるいは粘着層と装飾シートとの間に粘着層の表面を部分的に被覆するカバーフィルムもしくは非粘着層を配置する方法を採用することが好ましい。
(3)表面光沢装飾シート(B3)
本発明の表面光沢装飾シートとして、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性合成樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着された層構成を有する表面光沢装飾シート(B3)が挙げられる。
表面光沢装飾シート(B3)には、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、印刷層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。表面光沢装飾シート(B3)の具体例としては、図14に示すように、「光硬化ハードコート層101/アンカーコート層105/ヒートシール性合成樹脂層111/装飾シート108」の層構成を有する表面光沢装飾シートを挙げることができる。
装飾シートの凹凸模様がヒートシール性合成樹脂層により全面的に熱融着されないように、ヒートシール性合成樹脂層を光硬化ハードコート層または支持基材の上に部分的に配置するか、あるいはヒートシール性合成樹脂層を装飾シートの凹凸模様が形成された面と部分的に熱融着することが好ましい。
表面光沢装飾シート(B3)は、粘着剤層に代えて、ヒートシール性合成樹脂層を用いて熱融着しているため、層間密着性に優れ、耐熱性も良好であり、粘着剤の端部からの染み出しもない。
(4)表面光沢装飾シート(B4)
本発明の表面光沢装飾シートとして、1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シート2枚により、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)面で、該熱融着シートより表面積が小さいホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)が挟み込まれ、各熱融着性シートの周辺部において、装飾シート(TF)の周縁部を噛み込みながら、あるいは噛み込むことなく、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)によって互いに熱融着された層構成を有する表面光沢シート(B4)が挙げられる。各熱融着性シートには、必要に応じて、支持基材、アンカーコート層、印刷層、セパレーター、光触媒層などを配置することができる。
表面光沢装飾シート(B4)の具体例としては、図15の(a)(正面図)及び(b)(断面図)に示すように、2枚の熱融着性シート151,152により、該熱融着性シートより一回り表面積が小さな装飾シート(TF)153が挟み込まれ、熱融着性シートの周辺部において、該装飾シートの周縁部を噛み込むことなく、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)によって互いに熱融着された層構成を有する表面光沢シート(B4)が挙げられる。熱融着部154は、2枚の熱融着性シート151,152の周辺部であって、装飾シート(TF)の周縁部を噛み込まない状態で熱融着されていることを示す。熱融着部154の内側端部は、装飾シート(TF)の周縁部に近接していることが好ましい。
表面光沢装飾シート(B4)の熱融着部の他の具体例としては、図16の(a)(正面図)及び(b)(断面図)に示すように、2枚の熱融着性シート161,162により、該熱融着性シートより一回り表面積が小さな装飾シート(TF)163が挟み込まれ、熱融着性シートの周辺部において、該装飾シートの周縁部を噛み込みながら、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)によって互いに熱融着された層構成を有する表面光沢シート(B4)が挙げられる。熱融着部164は、2枚の熱融着性シート161,162の周辺部であって、装飾シート(TF)の周縁部を噛み込んだ状態で熱融着されていることを示す。熱融着部164の内側端部は、噛み込んだ装飾シート(TF)の周縁部に近接していることが好ましい。
熱融着させるに際し、2枚の熱融着性シート間、及び/または各熱融着性シートと装飾シートとの間の空気を排出して、各シートを密着させるようにして重ね合わせた後、熱融着させることが好ましい。
12.インクジェット印刷用メディア
本発明では、前記の粘着シート(A4)におけるインクジェット印刷用メディアを装飾、広告、各種表示などの用途に使用することができる。すなわち、本発明のインクジェット印刷用メディアは、光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)である。その具体的な層構成や材質などは、粘着シート(A4)と同じである。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した成分及び材料は、次のとおりである。
(1)支持基材:
SU−1
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製、商品名「コスモシャシンA4100#50」、厚さ50μm)。このフィルムのタイプDデュロメータ硬さは、D37/30であった。ただし、タイプDデュロメータ硬さ測定用の厚さ6mmの試料は、厚さ50μmのフィルムを重ねて作成した。JIS K6253には、測定用試料の作成に際し、重ねるのは3枚までとの規定があるが、この規定外で準拠して測定した。
SU−2
両面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製、商品名「クリスパーK2323」、厚さ75μm)。このフィルムのタイプDデュロメータ硬さは、D38/30であった。ただし、タイプDデュロメータ硬さ測定用の厚さ6mmの試料は、厚さ75μmのフィルムを重ねて作成した。
HS−1
エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(タツノ化学製、商品名「ミデア」、厚さ200μm)。このエチレン酢酸ビニル共重合体フィルムは、支持基材兼ヒートシール性合成樹脂層として使用する。
(2)光硬化ハードコート層:
HC−1
5官能ウレタンアクリレートオリゴマーと酢酸ブチルとの混合物(大日本インキ化学工業製、商品名「UNIDIC 17−806」、5官能ウレタンアクリレートオリゴマー/酢酸ブチル=80重量%/20重量%)70重量%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート1.6HX−A」)15重量%、2−エチルヘキシルアクリレート(日本触媒製)12重量%、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「ダロキュア1173」)3重量%を含有する光硬化型塗布剤(H)を塗布し、高圧水銀ランプ(入力80W/cm、照度250mW/cm)で3秒間光照射して硬化することにより、光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。
このハードコート層のタイプDデュロメータ硬さは、D48/30であった。タイプDデュロメータ硬さ測定用の厚さ6mmの試料は、支持基材SU−2上に硬化後の厚さが30μmとなるように塗布剤を塗布し、紫外線硬化を行ってハードコート層を形成した後、さらに、該ハードコート層の上に硬化後の厚さが30μmとなるように塗布剤を塗布し、紫外線硬化を行ってハードコート層を形成する操作を繰り返し行うことにより作成した。
HC−2
9官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−9125」)68重量%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート1.6HX−A」)25重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「ダロキュア1173」)4重量%、及び酸化チタン(アルドリッチケミカルカンパニー製)3重量%を含有する光硬化型塗布剤(H)を塗布し、高圧水銀ランプ(入力80W/cm、照度250mW/cm)で3秒間光照射して硬化することにより、光硬化ハードコート層(HC−2)を形成した。このハードコート層のタイプDデュロメータ硬さは、D44/30であった。タイプDデュロメータ硬さ測定用の厚さ6mmの試料は、前記と同様の方法により作成した。
HC−3
2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業製、商品名「UNIDIC V−4221」)70重量%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート1.6HX−A」)15重量%、2−エチルヘキシルアクリレート(日本触媒製)12重量%、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「ダロキュア1173」)3重量%を含有する光硬化型塗布剤(H)を塗布し、高圧水銀ランプ(入力80W/cm、照度250mW/cm)で3秒間光照射して硬化することにより、光硬化型ハードコート層(HC−3)を形成した。このハードコート層のタイプDデュロメータ硬さは、D20/30未満であった。タイプDデュロメータ硬さ測定用の厚さ6mmの試料は、前記と同様の方法により作成した。
(3)粘着層:
AD−1
ポリイソブチレン(エクソンケミカル製、商品名「ビスタネックスMML100」)70重量%、及びポリイソブチレン(エクソンケミカル製、商品名「ビスタネックスLMMS」)30重量%を含有するブレンド物を溶展塗工して形成して、粘着層(AD−1)を形成した。
AD−2
ポリイソブチレン(エクソンケミカル製、商品名「ビスタネックスMML140」)20重量%、及びポリブテン(日本石油化学製、商品名「日石ポリブテンHV300」)80重量%を含有するブレンド物を溶展塗工して、粘着層(AD−2)を形成した。この粘着層(AD−2)の40℃での貯蔵弾性率G’は、1.51×10Paであった。
AD−3
ポリイソブチレン(エクソンケミカル製、商品名「ビスタネックスMML100」)63重量%、ポリイソブチレン(エクソンケミカル製、商品名「ビスタネックスLMMS」)27重量%、及び酸化チタン(石原産業製、商品名「タイペークCR−90」)10重量%を含有するブレンド物を溶展塗工して、粘着層(AD−3)を形成した。
AD−4
2−エチルヘキシルアクリレート95重量%とアクリル酸5重量%とを共重合して得られたアクリル系粘着剤を溶展塗工して、粘着層(AD−4)を形成した。
(4)アンカーコート層:
AC−1
酸変性オレフィン系プライマー液(三井化学製、商品名「ユニストールP−401」)を、乾燥後の塗膜の厚さが1μmになるよう塗布して、アンカーコート層(AC−1)を形成した。
(5)印刷層:
PL−1
ポリウレタン系インキ(昭和インク工業製、商品名「NS6400白」)を用いて、2cm角の市松模様を乾燥後の塗布厚が1μmになるよう印刷した後、その上に、ポリウレタン系インキ(昭和インク工業製、商品名「NS6400紫」)を乾燥後の塗布厚が1μmになるよう全面ベタ印刷して、印刷層(PL−1)を形成した。
(6)三次元効果がある装飾シート:
TF−1
オレフィン系基材装飾シート(明和グラビア製、商品名「ペディオンP0120」、3Dタイプ、厚さ400μm)。
(7)カバーフィルム:
CF−1
ポリエチレンテレフタレートフィルム(二村化学工業製、商品名「FE2001#50」)。
(8)非粘着層:
NA−1
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業製、商品名「UNIDIC V−4260」)70重量%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート1.6HX−A」)15重量%、2−エチルヘキシルアクリレート(日本触媒製)12重量%、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「ダロキュア1173」)3重量%を含有する光硬化型塗布剤を硬化後の厚さが50μmになるように塗布し、高圧水銀ランプ(入力80W/cm、照度250mW/cm)で3秒間光照射して硬化することにより、非粘着層(NA−1)を形成した。
(9)インクジェット受像層
IJ−1
水溶性セルロースエーテル(信越化学工業製、商品名「メトローズ60SH−10000」)5重量%、γ型酸化アルミニウム微粒子(日本アエロジル製、商品名「アエロジルAl・C」)0.25重量%、及びイオン交換水94.75重量%を含有する塗布剤を乾燥後の塗布厚が3μmになるよう溶展塗工して、インクジェット受像層(IJ−1)を形成した。
(10)水分吸収層:
WA−1
ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名「クラレポバール PVA217」)20重量%、及びイオン交換水80重量%を含有する塗布剤を乾燥後の塗布厚が20μmになるよう溶展塗工して、水分吸収層(WA−1)を形成した。
(11)光触媒層:
LC−1
酸化チタン水分散液(昭和電工製、商品名「ナノチタニアNTB−200」)を乾燥後の塗布厚が0.5μmになるよう溶展塗工して、光触媒層(LC−1)を形成した。
(12)セパレーター:
SP−1
片面シリコーン剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東セロ製、商品名「SP−PET#75」、厚さ75μm)。
SP−2
片面シリコーン剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製、商品名「クリスパーK7223」、厚さ75μm)。
[実施例1]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。この支持基材(SU−1)の反対面に、酸変性オレフィン系プライマー液をグラビア印刷方式により塗布してアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ20μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、粘着シートの屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。貼付後、経時での外観性状の確認を行った。具体的には、貼付してから6ヶ月経過後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、粘着シートの表面研磨を行ったところ、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、長期間にわたって良好な外観を保持することができ、かつ、被着体に対して長期保護機能を有することが確認された。結果を表1に示す。
[実施例2]
セパレーター(SP−1)の片面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、その上に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ50μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。このようにして、「光硬化ハードコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着テープを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、屈曲性及び貼付作業性は良好であった。貼付してから6ヶ月経過後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、粘着シートの表面研磨を行ったところ、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、長期間にわたって良好な外観を保持することができ、かつ、被着物に対して長期保護機能を有することが確認された。結果を表1に示す。
[実施例3]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−2)を形成した。次いで、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、光硬化ハードコート層の表面研磨を行った。
次に、支持基材(SU−1)の反対面に、グラビア印刷方式でアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ20μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光触媒を含有する光硬化ハードコート層(表面研磨処理)/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、屈曲性及び貼付作業性は良好であった。貼付してから6ヶ月経過後に、表面を観察したところ、表面の汚れは少なく、長期間にわたって良好な外観を保持していた。また、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行うことにより、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、光触媒機能と長期保護機能とを備えたものであることが確認された。結果を表1に示す。
[実施例4]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−2)を形成し、さらにその上に、グラビア印刷方式により光触媒層(LC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ20μmの粘着層(AD−1)を形成した。粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光触媒層/光触媒を含有する光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、屈曲性及び貼付作業性は良好であった。貼付してから6ヶ月経過後に、表面を観察したところ、表面の汚れは少なく、長期間にわたって良好な外観を保持していた。また、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行うことにより、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、光触媒機能と長期保護機能とを備えたものであることが確認された。結果を表1に示す。
[実施例5]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式により印刷層(P−1)を形成して、表面光沢装飾シートを作製した。
この表面光沢装飾シートの上に、グラビア印刷方式により厚さ3μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/印刷層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、屈曲性及び貼付作業性は良好であった。貼付した粘着シートの表面から観察したところ、印刷による装飾効果を確認することができた。また、貼付してから6ヶ月経過後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行うことにより、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、長期保護機能と装飾機能を備えたものであることが確認された。結果を表1に示す。
[比較例1]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ0.5μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、グラビア印刷方式により厚さ0.5μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、粘着層により床面に貼付したところ、光硬化ハードコート層が十分に硬化しておらず、貼付時に手や貼付スキージに未硬化の塗布剤が付着した。貼付後の外観性状も、粘着シート表面に手やスキージの跡がついて良くなかった。また、この粘着シートは、被着体に対する接着性も悪く、評価を中止した。結果を表1に示す。
[比較例2]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をコンマダイレクト塗工方式により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ700μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ700μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付したところ、シートの屈曲性が悪く、貼付時にシートを曲げると一部に割れが発生した。割れが発生しないように曲げないで床面に貼付した粘着シートについて、6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行うことにより、光硬化ハードコート層表面の汚れ及び傷を除去することができ、光沢感を再現することができた。したがって、この粘着シートは、長期保護機能を備えているものの、貼付作業性に劣ることが確認された。結果を表1に示す。
[比較例3]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−3)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ60μmの粘着層(AD−1)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。この粘着シートは、貼付作業性に問題はなかったものの、1ヶ月後には表面にかなり傷が入っていた。また、6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行ったが、光硬化ハードコート層表面の汚れ、傷を除去することができず、光沢感も再現させることができなかった。したがって、この粘着シートは、被着体に対する長期保護機能に劣るものであった。結果を表1に示す。
[比較例4]
支持基材(SU−1)の片面に、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ20μmの粘着層(AD−1)を形成した。粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「支持基材/アンカーコート層/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シートを作成した。
該粘着シートからセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。この粘着シートは、貼付作業性に問題はなかったものの、1ヶ月後には表面にかなり傷が入っていた。また、6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行ったが、表面の汚れ、傷を除去することができず、光沢感も再現させることができなかった。したがって、この粘着シートは、被着体に対する長期保護機能に劣るものであった。結果を表1に示す。
Figure 2005220337
表1の結果から明らかなように、本発明の粘着シート(実施例1〜5)は、屈曲性が良好で、貼付時に割れを生じることなく円滑に貼付作業を行うことができる。また、本発明の粘着シート(実施例1〜5)は、床面などの被着体に対する長期保護機能に優れており、表面研磨により表面の汚れや傷を除去し、かつ、光沢を再現することができる。
本発明の粘着シートは、光硬化ハードコート層に光触媒を含有させたり、最外層に光触媒層を配置することにより(実施例3〜4)、光触媒機能を付与することができ、それによって、長期保護機能を更に向上させることができる。本発明の粘着シートは、印刷層を配置することにより(実施例5)、装飾、広告、各種表示などの機能を付与することができる。
これに対して、比較例1の粘着シートのように、光硬化ハードコート層の厚さが1μmを下回ったり、粘着層の厚さが1μmを下回ったりする場合には、酸素障害により光硬化が阻害されてハードコート層が十分に硬化せず、長期保護機能を付与することができなくなったり、被着体に対する粘着力が不足したりする。
比較例2の粘着シートのように、光硬化ハードコート層の厚さが500μmを超える場合には、粘着シートの屈曲性が悪くなる。また、材料コストが高くなり、製品化が困難となることから、現実的ではない。
比較例3の粘着シートのように、光重合性オリゴマーの1分子当りの平均官能基数が4未満であり、光硬化ハードコート層表面のタイプDデュロメータ硬さがD40/30を下回る場合には、比較的短期で傷が付き易かったり、表面の光沢が低下して質感が低下する。また、この粘着シートは、研磨処理を行っても、表面の汚れや傷を除去することができず、光沢感も再現せず、長期保護機能に劣るものである。
比較例4の粘着シートのように、最表面が高分子フィルムとなり、光硬化ハードコート層がない場合には、比較的短期で傷が付き易かったり、表面の光沢が低下して質感が低下する。また、この粘着シートは、研磨処理を行っても、表面の汚れや傷を除去することができず、光沢感も再現せず、長期保護機能に劣るものである。
[実施例6]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ50μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、コンマダイレクト溶展塗工方式により、厚さ40μmの粘着層(AD−2)を形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シート(A)を作成した。
他方、ホログラムシート(三次元効果がある装飾シート)(TF−1)の凹凸模様が形成されていない面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートして、装飾粘着シート(B)を作成した。この装飾粘着シート(B)の装飾シート(TF−1)側(すなわち、凹凸模様が形成されている面)に、上記粘着シート(A)をセパレーター(SP−1)剥離後に粘着剤層面で貼り合わせた。このようにして、最外層に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元効果がある装飾シートを配した粘着シート(C)を作成した。この粘着シート(C)は、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/三次元効果がある装飾シート/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シート(C)からセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。粘着シート(C)は、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、この粘着シート(C)は、三次元効果のある装飾を有することが確認された。貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シート(C)の表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有しており、三次元効果のある装飾機能をもつことも再確認できた。結果を表2に示す。
[実施例7]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ50μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、スクリーン印刷方式により厚さ60μmの粘着層(AD−2)を部分的に形成した。この粘着層の上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/部分的粘着層/セパレーター」の層構成を有する粘着シート(A)を作成した。
他方、三次元効果がある装飾シート(TF−1)の凹凸模様が形成されていない面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートして、装飾粘着シート(B)を作成した。この装飾粘着シート(B)の装飾シート(TF−1)側(すなわち、凹凸模様が形成されている面)に、上記粘着シート(A)をセパレーター(SP−1)剥離後に粘着層面で貼り合わせた。
より具体的には、上記粘着シート(A)は、50cm四方サイズであり、部分的粘着層(AD−2)を四端部から内側に1cmの幅で形成し、中央部48cm四方の範囲には形成しなかった。また、上記装飾シート(B)は、50cm四方サイズであり、四端部から内側に1cmの範囲には凹凸模様や意匠を付与せず、中央部48cm四方の範囲にのみ凹凸模様や意匠を付与した。該装飾シート(B)の凹凸模様や意匠を付与していない部分と、該粘着シート(A)の粘着層部分を揃えて貼り合わせた。
このようにして、最外層に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元効果がある装飾シートを配した粘着シート(C)を作成した。この粘着シート(C)は、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/部分的粘着層/三次元効果がある装飾シート/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シート(C)からセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。粘着シート(C)は、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、この粘着シート(C)は、三次元効果のある装飾を有することが確認された。貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シート(C)の表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有しており、三次元効果のある装飾機能をもつことも再確認できた。結果を表2に示す。
[実施例8]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ50μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、コンマダイレクト溶展塗工方式により、厚さ60μmの粘着層(AD−2)を形成した。この粘着層の上に、部分的にカバーフィルム(CF−1)をラミネートし、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/部分的カバーフィルム/セパレーター」の層構成を有する粘着シート(A)を作成した。
他方、三次元効果がある装飾シート(TF−1)の凹凸模様が形成されていない面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートして、装飾粘着シート(B)を作成した。この装飾粘着シート(B)の装飾シート(TF−1)側(すなわち、凹凸模様が形成されている面)に、上記粘着シート(A)をセパレーター(SP−1)剥離後に貼り合わせた。
より具体的には、上記粘着シート(A)は、50cm四方サイズであり、部分的カバーフィルム(CF−1)を四端部から内側に1cmの幅を除く、中央部48cm四方の範囲にラミネートした。また、上記装飾シート(B)は、50cm四方サイズであり、四端部から内側に1cmの範囲には凹凸模様や意匠を付与せず、中央部48cm四方の範囲にのみ凹凸模様や意匠を付与した。該装飾シート(B)の凹凸模様や意匠を付与していない部分と、該粘着シート(A)のカバーフィルムがラミネートされていない部分を揃えて貼り合わせた。
このようにして、最外層に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元効果がある装飾シートを配した粘着シート(C)を作成した。この粘着シート(C)は、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/部分的カバーフィルム/三次元効果がある装飾シート/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シート(C)からセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。粘着シート(C)は、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、この粘着シート(C)は、三次元効果のある装飾を有することが確認された。貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シート(C)の表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有しており、三次元効果のある装飾機能をもつことも再確認できた。結果を表2に示す。
[実施例9]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ50μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、コンマダイレクト溶展塗工方式により、厚さ60μmの粘着層(AD−2)を形成した。この粘着層の上に、グラビア印刷方式と紫外線硬化方式により非粘着コート層(B−1)を部分的に形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/部分的非粘着コート層/セパレーター」の層構成を有する粘着シート(A)を作成した。
他方、三次元効果がある装飾シート(TF−1)の凹凸模様が形成されていない面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートして、装飾粘着シート(B)を作成した。この装飾粘着シート(B)の装飾シート(TF−1)側(すなわち、凹凸模様が形成されている面)に、上記粘着シート(A)をセパレーター(SP−1)剥離後に貼り合わせた。
より具体的には、上記粘着シート(A)は、50cm四方サイズであり、部分的非粘着コート層(B−1)を四端部から内側に1cmの幅を除く、中央部48cm四方の範囲に形成した。また、上記装飾シート(B)は、50cm四方サイズであり、四端部から内側に1cmの範囲には凹凸模様や意匠を付与せず、中央部48cm四方の範囲にのみ凹凸模様や意匠を付与した。該装飾シート(B)の凹凸模様や意匠を付与していない部分と、該粘着シート(A)の非粘着コート層が形成されていない部分を揃えて貼り合わせた。
このようにして、最外層に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元効果がある装飾シートを配した粘着シート(C)を作成した。この粘着シート(C)は、「光硬化ハードコート層/支持基材/粘着層/部分的非粘着コート層/三次元効果がある装飾シート/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シート(C)からセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。粘着シート(C)は、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、この粘着シート(C)は、三次元効果のある装飾を有することが確認された。貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シート(C)の表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有しており、三次元効果のある装飾機能をもつことも再確認できた。結果を表2に示す。
[実施例10]
支持基材兼ヒートシール性合成樹脂層(HS−1)の片面に、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、さらにその上に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。このようにして、「光硬化ハードコート層/アンカーコート層/支持基材」の層構成を有するヒートシール接着タイプの接着シート(A)を作成した。
他方、三次元効果がある装飾シート(TF−1)の凹凸模様が形成されていない面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ40μmの粘着層(AD−1)を形成し、さらにその上に、セパレーター(SP−1)をラミネートして、装飾粘着シート(B)を作成した。この装飾粘着シート(B)の装飾シート(TF−1)側(すなわち、凹凸模様が形成されている面)に、上記接着シート(A)の支持基材(SU−3)側と貼り合わせた。
より具体的には、上記接着シート(A)及び装飾粘着シート(B)は、50cm四方サイズであり、両シート(A及びB)を四端部を揃えて、シート間の空気を排出して密着するように重ね合わせた後、四端部から内側に0.5cmの範囲を、周囲を密封するように加熱温度270℃、加熱時間3秒の条件でヒートシールして貼り合せた。
このようにして、最外層に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元効果がある装飾シートを配した粘着シート(C)を作成した。この粘着シート(C)は、「光硬化ハードコート層/アンカーコート層/支持基材/三次元効果がある装飾シート/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シート(C)からセパレーターを剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。粘着シート(C)は、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、この粘着シート(C)は、三次元効果のある装飾を有することが確認された。貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シート(C)の表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有しており、三次元効果のある装飾機能をもつことも再確認できた。結果を表2に示す。
Figure 2005220337
表2の結果から明らかなように、最外層(最表面)に光硬化ハードコート層を配し、中間層に三次元装飾効果を有する装飾シートを配した本発明の粘着シート(実施例6〜10)は、被着体に対する長期保護機能及び三次元装飾効果を有することが分かる。この粘着シートは、光硬化ハードコート層を有する粘着シートと、三次元効果がある装飾シートを有する粘着シートを別々に作成し、床面や壁面などの被着体に、先ず、三次元効果がある装飾シートを有する粘着シートを貼付し、その上に(すなわち、装飾シートの凹凸模様を有する面上に)、光硬化ハードコート層を有する粘着シートを貼付してもよい。
[実施例11]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、その上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により水分吸収層(WA−1)を配置し、さらにその上に、グラビア印刷方式によりインクジェット受像層(IJ−1)を形成した。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/水分吸収層/インクジェット受像層」の層構成を有するインクジェット印刷メディアを作成した。
他方、セパレーター(SP−1)の片面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ50μmの粘着層(AD−3)50μmを形成し、その上に、セパレーター(SP−2)をラミネートして、「セパレーター/粘着層/セパレーター」の層構成を有する基材レス粘着シートを作成した。
上記インクジェット印刷メディアのインクジェット受像層の表面に、水性顔料インクジェットプリンターにより印刷を行った後、印刷面と基材レス粘着剤をセパレーター(SP−2)剥離後に貼り合わせて、粘着シートを作成した。この粘着シートは、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/水分吸収層/インクジェット受像層/印刷層/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シートからセパレーター(SP−1)を剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。この粘着シートは、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有していることが確認できた。この粘着シートは、インクジェット印刷方式によりオンデマンド印刷可能な装飾機能を有するものであった。結果を表3に示す。
[実施例12]
支持基材(SU−1)の片面に、光硬化型塗布剤(H)をグラビア印刷により塗布し、高圧水銀ランプで光照射して紫外線硬化することにより、厚さ10μmの光硬化ハードコート層(HC−1)を形成した。支持基材(SU−1)の反対面には、グラビア印刷方式によりアンカーコート層(AC−1)を形成し、その上に、コンマダイレクト溶展塗工方式により水分吸収層(I−1)を配置し、さらにその上に、グラビア印刷方式によりインクジェット受像層(W−1)を形成した。このようにして、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/水分吸収層/インクジェット受像層」の層構成を有するインクジェット印刷メディアを作成した。
他方、支持基材(SU−2)の片面に、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ30μmの粘着層(AD−4)を形成し、その上にセパレーター(SP−2)をラミネートした。支持基材(SU−2)の反対面には、コンマダイレクト溶展塗工方式により厚さ30μmの粘着層(AD−1)を形成し、その上にセパレーター(SP−1)をラミネートした。このようにして、「セパレーター/粘着層/支持基材/粘着層/セパレーター」の層構成を有する両面粘着シートを作成した。
上記インクジェット印刷メディアのインクジェット受像層の表面に、水性顔料インクジェットプリンターにより印刷を行った後、印刷面と両面粘着シートをセパレーター(SP−2)剥離後に貼り合わせて、粘着シートを作成した。この粘着シートは、「光硬化ハードコート層/支持基材/アンカーコート層/水分吸収層/インクジェット受像層/印刷層/粘着層/支持基材/粘着層/セパレーター」の層構成を有するものである。
この粘着シートからセパレーター(SP−1)を剥離して、その粘着層により床面に貼付し、経時での外観性状の確認を行った。この粘着シートは、屈曲性が良好であり、貼付作業性に問題はなかった。また、貼付から6ヶ月後に、床用研磨剤(玄技術研究所製、商品名「ウイナップバッファーB」)100gをフロアパッド(住友スリーエム製、商品名「スコッチブライト51ラインホワイトスーパーポリッシュパッド」)につけて、該粘着シートの表面研磨を行ったところ、表面の汚れや傷を除去することができ、光沢感が再現して良好な装飾外観を保っており、長期保護機能を有していることが確認できた。この粘着シートは、インクジェット印刷方式によりオンデマンド印刷可能な装飾機能を有するものであった。結果を表3に示す。
Figure 2005220337
表3の結果から明らかなように、最外層(最表面)に光硬化ハードコート層を配し、中間層にインクジェット受像層を配した本発明の粘着シート(実施例11及び12)は、被着体に対する長期保護機能、装飾効果を有することが分かる。この粘着シートは、光硬化ハードコート層とインクジェット受像層とを有するインクジェット印刷メディアと、基材レス粘着シートまたは両面粘着シートとの組み合わせとすることにより、オンデマンド印刷が可能である。
本発明の粘着シートは、床面や壁面などの被着体に貼付して、被着体を長期保護することに加えて、光触媒機能、装飾・広告機能などを付与することができるので、床面や壁面等への貼付用の粘着シートとして好適である。
本発明の表面光沢装飾シートは、耐摩耗性、防汚性、表面光沢性、装飾性などに優れ、広告や各種表示などの用途に利用することができる。本発明のインクジェット印刷用メディアは、インクジェット印刷により所望の文字や情報、模様などを印刷して、装飾、広告、各種表示などの用途に利用することができる。
本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 装飾シートを配置した本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 装飾シートを配置した本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 装飾シートを配置した本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 インクジェット受像層を配置した本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 インクジェット受像層を配置した本発明の粘着シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。図15の(a)は、正面図であり、(b)は、断面図である。 本発明の表面光沢装飾シートの層構成の一例を示す断面図である。図16の(a)は、正面図であり、(b)は、断面図である。
符号の説明
1:光硬化ハードコート層、2:支持基材、3:粘着層、
4:セパレーター、5:アンカーコート層、6:光触媒層、
7:印刷層、8:装飾シート、9:粘着層、
10:セパレーター、11:ヒートシール性合成樹脂層、
12:水分吸収層、13:インクジェット受像層、
14:セパレーター、15:粘着層、16:セパレーター、
17:支持基材、18:粘着層、
101:光硬化ハードコート層、102:支持基材、
103:粘着層、105:アンカーコート層、
107:印刷層、108:装飾シート、
111:ヒートシール性合成樹脂層、
151,152:熱融着性シート、153:装飾シート、154:熱融着部、
161,162:熱融着性シート、163:装飾シート、164:熱融着部。

Claims (15)

  1. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A1)。
  2. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの第一粘着層(AD1)が配置された粘着シート(A1)が、該第一粘着層(AD1)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされ、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの第二粘着層(AD2)が配置された層構成を有する粘着シート(A2)。
  3. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着され、かつ、装飾シート(TF)の凹凸模様が形成されていない側の面には、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された層構成を有する粘着シート(A3)。
  4. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)と、基材レス粘着シート及び両面粘着シートから選ばれる粘着シート(ADS)との組み合わせからなる粘着シート(A4)。
  5. 光硬化ハードコート層(HC)の表面に、最外層として、光触媒層(LC)が更に配置されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 光硬化ハードコート層(HC)が、光触媒を更に含有する光硬化型塗布剤から形成されたものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 少なくとも1つの層間に、必要に応じて、アンカーコート層(AC)が更に配置されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 少なくとも1つの層間に、必要に応じて、印刷層(PL)が更に配置されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粘着シート。
  9. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、少なくとも片面に印刷層(PL)を有する支持基材(SU)が配置された層構成を有する表面光沢装飾シート(B1)。
  10. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ1〜1000μmの粘着層(AD)が配置された粘着シート(A1)が、粘着層(AD)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と貼り合わされた層構成を有する表面光沢装飾シート(B2)。
  11. 装飾シート(TF)の凹凸模様が粘着層(AD)によって全面的に被覆されないように、粘着層(AD)が光硬化ハードコート層(HC)または支持基材(SU)の上に部分的に形成されているか、あるいは粘着層(AD)と装飾シート(TF)との間に粘着層(AD)の表面を部分的に被覆するカバーフィルムまたは非粘着層が更に配置されている請求項10記載の表面光沢装飾シート(B2)。
  12. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シートが、ヒートシール性合成樹脂層(HS)の表面で、ホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された側の面と熱融着された層構成を有する表面光沢装飾シート(B3)。
  13. 装飾シート(TF)の凹凸模様がヒートシール性合成樹脂層(HS)により全面的に熱融着されないように、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が光硬化ハードコート層(HC)または支持基材(SU)の上に部分的に配置されているか、あるいはヒートシール性合成樹脂層(HS)が装飾シート(TF)の凹凸模様が形成された面と部分的に熱融着されている請求項12記載の表面光沢装飾シート(B3)。
  14. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、ヒートシール性合成樹脂層(HS)が配置された熱融着性シート2枚により、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)面で、該熱融着シートより表面積が小さいホログラムシート及びレンチキュラーシートから選ばれる装飾シート(TF)が挟み込まれ、各熱融着性シートの周辺部において、装飾シート(TF)の周縁部を噛み込みながら、あるいは噛み込むことなく、各ヒートシール性合成樹脂層(HS)によって互いに熱融着された層構成を有する表面光沢シート(B4)。
  15. 1分子当りの平均官能基数が4以上の光重合性オリゴマーと光重合開始剤とを含有する光硬化型塗布剤から形成された、厚さが1〜500μmで、JIS K6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さがD40/30〜D60/30の光硬化ハードコート層(HC)の片面に、直接または支持基材(SU)を介して、厚さ0.1〜50μmのインクジェット受像層(IJ)を形成したインクジェット印刷用メディア(IM)。
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