JP2014186051A - 電子写真用画像記録媒体及び画像付きレンチキュラー媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真用画像記録媒体から剥離基材を剥離した画像付き媒体を粘着する画像付与対象物(被粘着体)の再利用を実現する、電子写真用画像記録媒体の提供。
【解決手段】画像受像層と、支持体と、粘着層と、剥離基材と、がこの順に積層されており、前記剥離基材を剥離したとき、前記粘着層が支持体側に残存する電子写真用画像記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用画像記録媒体及び画像付きレンチキュラー媒体に関する。
特許文献1には、光透過性の基材と、その基材の裏面に固定的に配置され、印刷インクまたはトナーを受容する印刷受容層と、前記印刷受容層が受容した前記印刷インクまたはトナーからなる印刷部位、とを備える印刷済み媒体と、前記印刷部位を覆う様に、前記印刷済み媒体に固定された接着フィルムとを備え、前記接着フィルムを介して被着体に接着され、前記印刷部位が前記基材の表面から視認される印刷表示シートにおいて、前記接着フィルムは、前記被着体と接着する側に配置された剥離性接着層を有し、それにより前記被着体と剥離可能に接着可能であることを特徴とする、印刷表示シートが開示されている。
特許文献2には、画像受像層と、支持体と、基材と、をこの順に有し、前記支持体と前記基材とが剥離可能であることを特徴とする電子写真用画像記録媒体が開示されている。
特許文献3には、半円筒状または円弧状の細長い凸部を複数配列してなるレンチキュラーレンズを構成するレンチキュラーレンズ媒体であって、その体積抵抗値率が1×10〜1×1014Ω・cmであり且つ表面抵抗率が1×10〜1×1015Ω/□であり、 前記レンチキュラーレンズ媒体は、グラフト共重合体からなる親水性ポリマー(a)3〜100重量部、熱可塑性樹脂(b)0〜97重量部であって(a)との合計量100重量部、及びアニオン系界面活性剤(c)0.1〜5重量部からなる組成物よりなることを特徴とするレンチキュラーレンズ媒体が開示されている。
特開2002−169470号公報 特開2010−128061号公報 特許4562100号公報
本発明は、電子写真用画像記録媒体から剥離基材を剥離した画像付き媒体を粘着する画像付与対象物(被粘着体)の再利用を実現する、電子写真用画像記録媒体の提供を目的とする。
請求項1に係る発明は、
画像受像層と、支持体と、粘着層と、剥離基材と、がこの順に積層されており、前記剥離基材を剥離したとき、前記粘着層が支持体側に残存する電子写真用画像記録媒体である。
請求項2に係る発明は、
前記画像受像層の表面抵抗値が1.0×10Ω/□以上3.2×1013Ω/□以下である請求項1に記載の電子写真用画像記録媒体である。
請求項3に係る発明は、
前記支持体が白色である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用画像記録媒体である。
請求項4に係る発明は、
前記支持体が透明である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用画像記録媒体である。
請求項5に係る発明は、
前記粘着層がシリコーン系粘着剤を含む粘着層である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真用画像記録媒体である。
請求項6に係る発明は、
複数の凸部が配列されたレンチキュラーレンズが一方の面に設けられたレンチキュラー媒体と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載され、画像受像層に画像が記録された、電子写真用画像記録媒体から基材を剥離した画像付き媒体と、
を積層した画像付きレンチキュラー媒体である。
請求項1に係る発明によれば、電子写真用画像記録媒体から基材を剥離した媒体を粘着する画像付与対象物の再利用を実現する電子写真用画像記録媒体が得られる。
請求項2に係る発明によれば、画像受像層の表面抵抗値が1.0×10Ω/□以上3.2×1013Ω/□以下の範囲外である場合に比べて、電子写真方式により画像を形成した場合に優れた画像の形成を実現する電子写真用画像記録媒体が得られる。
請求項3に係る発明によれば、白色以外の色の支持体を適用した場合に比べ、画像受像層に形成された画像を画像受像層側から視認したときに画像が鮮明に見える電子写真用画像記録媒体が得られる。
請求項4に係る発明によれば、非透過性の支持体を適用した場合に比べ、形成された画像の画像付与対象物側からの視認を実現する電子写真用画像記録媒体が得られる。
請求項5に係る発明によれば、粘着層がアクリル系粘着剤を含む粘着層である場合に比べ、環境が変動した場合であっても、剥離基材を剥離したときに粘着層が支持体側に残存する電子写真用画像記録媒体が得られる。
請求項6に係る発明によれば、レンチキュラー媒体の再利用を実現する画像付きレンチキュラー媒体が得られる。
本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体のから剥離基材を剥離した例を示す断面図である。 本実施形態に係るレンチキュラー媒体の一例を示す概略斜視図である。
以下、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体について説明する。
[電子写真用画像記録媒体]
以下に、電子写真用画像記録媒体の構成例を、図面により詳細に説明する。但し、電子写真用画像記録媒体の構成は以下に図示する構成に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体100の一例を示す断面図である。 図2は、電子写真用画像記録媒体100から剥離基材110を剥離した状態の媒体を示す断面図である。
図1に示す電子写真用画像記録媒体100は、剥離基材110と、粘着層120と、支持体130と、画像受像層140と、から構成される。
本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体100は、剥離基材110を剥離したとき、粘着層120が支持体130側に残存する(図2参照)。
ICカード媒体やレンチキュラー媒体といった媒体(以下、「画像付与対象物」と総称する場合がある)に画像を形成し、画像記録体を作製する方法としては、例えば、画像受像層を有する記録媒体の画像受像層に画像を形成した後、該画像受像層と画像付与対象物の表面とが接するようにして、画像受像層を有する記録媒体と画像付与対象物とを貼り付けて作製する方法が挙げられる。
ところが、これらの方法により作製された画像記録体は、上記画像付与対象物上に画像形成材料(例えば、静電荷像現像用トナー)が付着することとなる。
そのため、上記画像付与対象物は、再利用する場合には画像形成材料を除去するため表層を削り取る必要があり、再利用が困難な傾向にあると考えられる。
そこで、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体100は、上記構成とすることにより、画像受像層140に画像を形成して剥離基材110を剥離すると、画像が付与された画像受像層140(以下、画像が付与された画像受像層140を「画像付き画像受像層140」と称する場合がある)と、支持体130と、粘着層120と、がこの順に積層された画像付き媒体200となる。
つまり、上記画像付き媒体200は、画像が形成された面の裏面に、最表面層として粘着層120を有するので、画像付与対象物(不図示)に該画像付き媒体200の粘着層120を貼り合せることで画像記録体となる。
このため、上記画像記録体は、画像付き画像受像層140と、支持体130と、粘着層120と、画像付与対象物と、がこの順に積層されたものであり、画像記録体中の画像付与対象物の表面が画像受像層140上に形成された画像に接しないこととなる。
その結果、画像付与対象物は、上記画像記録体の部材として用いられたとしても、画像記録体から画像付き媒体200を剥離後に画像形成材料を除去するため表層を削り取る工程を実施せずに、作製前の状態を保持した画像付与対象物として回収され得ると考えられる。
また、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体100の粘着層120は、剥離基材110を剥離したときに支持体130側に残存し、繰り返し粘着層120として使用される層であり、上記画像記録体から画像付き媒体200を剥離したときも粘着層120が支持体130側に残存し、画像付与対象物側に粘着層120が残存しないと考えられる。
その結果、画像付与対象物は、上記画像記録体の部材として用いられたとしても、画像記録体から画像付き媒体200を剥離することで作製前の状態を保持した画像付与対象物として回収され得ると考えられる。
以上より、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体100は、電子写真用画像記録媒体100から剥離基材110を剥離した画像付き媒体200を粘着する、画像付与対象物の再利用を実現する。
なお、「粘着層が支持体側に残存する」とは、具体的には、粘着層が支持体側に層状を維持しつつ残存していることを示す。
なお、従来の画像記録体の作製方法としては、上記のような画像受像層を有する記録媒体を適用する方法の他、画像付与対象物に画像を直接形成して作製する方法が挙げられるが、画像付与対象物上に形成された画像(例えばトナー画像)を該画像付与対象物上に熱定着する定着工程、転写工程において、熱や圧力の印加が必要なため、画像付与対象物が波打ち、変形やそりが発生し易い傾向にあるが、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体を用いて画像記録体を作製する場合は上記方法のように熱や圧力が画像付与対象物に掛からないため、波打ち、変形及びそりの発生が抑制されると考えられる。
以下、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体の構成等について詳細に説明する。なお、以下の説明は符号を省略して行う。
(画像受像層)
画像受像層は、熱可塑性樹脂を含むものであれば、特に制限はなく、熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマー類;等のうちの1種又は2種以上を重合させて得られる単独重合体又は共重合体が例示される。
これらの中では、特にスチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が望ましく用いられる。
さらに、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂が、画像形成材料用として用いられるものであることから望ましく、これと同系統の樹脂を画像受像層に含ませることにより、画像受像層表面への画像形成材料の定着性を適性に制御し得る。
なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などを用いてもよい。また、これらのポリエステル樹脂は単独もしくは2種以上混合して用いてもよい。
上記ポリエステルは、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造される。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類;水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物;その他の2価アルコール、ビスフェノールA等の2価フェノール等が挙げられる。
前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸(イソフタル酸、テレフタル酸)、その他の2価カルボン酸、又は、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性酸誘導体などがあげられる。これらの2価のヒドロキシ化合物及びカルボン酸に加えて、得られる熱可塑性樹脂をテトラヒドロキシフラン不溶物が生じない程度に非線形化するために、3価以上の多価ヒドロキシル化合物や3価以上の多塩基性カルボン酸を加えてもよい。
これらの中で特に望ましいのは、2価のカルボン酸としてフタル酸を用い多価ヒドロキシ化合物として、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを用い、定められた組成比で重縮合させた線状飽和ポリエステル樹脂である。上記組成比としては、テレフタル酸とイソフタル酸とをモル比で1:1程度、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとをモル比で7:3乃至1:9の範囲とし、2価のカルボン酸と多価ヒドロキシ化合物とを1:1で混合して重合させたものが望ましい。
さらに画像受像層を構成する樹脂は、その被膜強度を上げるために、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂を含んだ構成がされていてもよい。
また、画像受像層は、定着部材への低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型剤を含有していてもよい。
具体的には、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスや低分子量ポリエチレンワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サゾールワックスなどの合成ワックスなどが挙げられ、これらは単独使用に限らず混合して複数使用される。
また、離型性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はシリコーン樹脂と各種樹脂との変性体である変性シリコーン樹脂(例えば、ポリエステル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂等が挙げられる)、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂を添加してもとい。
さらに、より低付着性とするため、離型剤として反応性シラン化合物と変性シリコーンオイルとを混入させてもよい。
これらのワックスや離型性樹脂は、粒子状態などで共存させてもよいが、望ましく熱可塑性樹脂中に添加し、樹脂中に分散、相溶した状態で、熱可塑性樹脂中に取り込んだ状態で利用することが望ましい。
また、画像受像層にはさらにフィラーを用いることが望ましい。
用いられるフィラーは限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体又は共重合体が例示される。
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましく、これら熱可塑性樹脂をフィラーとして使用する場合は、これら樹脂を溶解しない溶媒で塗工することにより、光沢制御層を構成するフィラーとして用いられる。望ましくは、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、先に記載した熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを粒子化したものがより望ましく用いられる。
またフィラーが、無機粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。
また、フィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが望ましが、画像受像層膜厚を考慮すると、画像受像層膜厚の1.2倍以上が望まし。
画像受像層中におけるフィラーと結着剤(樹脂成分)との質量比(フィラー:結着剤)は、0.01:100乃至15:100の範囲であることが好ましく、0.5:100乃至5:100の範囲であることがより望まし。
フィラーとしては、上記以外の無機粒子(例えば、SiO、Al、タルクまたはカオリン)及びビーズ状プラスチックパウダー(例えば、架橋型PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン)を併用してもよい。
(支持体)
次に、支持体について説明する。
支持体としては、プラスチックフィルムが望ましく用いられる。
プラスチックフィルムは、従来レンチキュラー媒体材料として用いられてきたポリ塩化ビニルが、可燃物廃棄時の燃焼によるダイオキシン発生させるものとして環境によいものではないことが認識され、使用されなくなってきたことに対応される。
本実施形態においては、塩素を含まない支持体の使用を考慮し、さらなる材料として、ポリスチレン系樹脂フィルム、ABS樹脂フィルム、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂フィルム、またPETフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているフィルム等も望ましく用いられる。
プラスチックフィルムとして具体的には、OHPフィルムとして使用される光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどがあるが、その中でも特に、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく用いられる。
支持体の製造方法は特に限定されないが、共押出し法、貼り合わせ法等、公知の方法が利用される。
なお、一般的に作製する際には、共押出しされた後、縦延伸工程に入り、周速が異なる2本又は多数本ロール間で延伸し、目的のフィルム厚みに調整して巻き取られる。2軸延伸の場合は、上記工程を通ったフィルムをそのままテンターに導入し、幅方向に2.5倍以上5倍以下に延伸する。このときの望ましい延伸温度は100℃以上200℃以下の範囲である。
このようにして得られた2軸延伸フィルムは、必要に応じて熱処理が施される。熱処理はテンター内で行うのが望ましく、特に縦横方向に緩和しながら熱処理すると、熱収縮率の低いフィルムが得られる。支持体としては2軸延伸フィルムが特に望ましい。
この支持体の一方は、離型性処理を施していることがさらに望ましい。
これら離型性処理としては、一般的に離型性の材料を表面処理することが行われる。離型性材料としては特に制限されないが、シリコン系材料が望ましい。これらシリコン系は少なくともシラン系組成物を含む縮合物樹脂、または、これらとコロイダルシリカ分散液との混合組成物である。また、さらに有機樹脂を含んでいることが望ましい。
上記シラン系組成物としては、具体的には有機珪素化合物であり、シラン化合物、フッ素含有シラン化合物及びイソシアネートシラン化合物などがあり、これらが縮合反応し、樹脂組成物になる。
シラン化合物としては、Si(OCH、CHSi(OCH、HSi(OCH、(CHSi(OCH、CHSiH(OCH、CSi(OCH、Si(OC、CHSi(OC、(CHSi(OC、HSi(OC、CSi(OC、(CHCHCHSi(OCH、CH(CH11Si(OC、CH(CH15Si(OC、CH(CH17Si(OC等のアルコキシシラン類;(CHSiNHSi(CH等のシラザン類;((CH)SiNH)CO、tert−C(CHSiCl等の特殊シリル化剤類;シランカップリング剤;及びHSCSi(OCH等のシラン化合物;並びにこれらの加水分解物及び部分縮合物等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;等が例示される。
フッ素含有シラン化合物類としては、例えば、CF(CHSi(OCH、C13Si(OCH、C15CONH(CHSi(OC、C17Si(OCH、C17SiCH(OCH、C17Si(ON=C(CH)(C))、C19Si(OCH、C19Si(NCO)、(NCO)SiC12Si(NCO)、C19Si(C)(OCH、(CHO)SiC16Si(OCH、(CHO)(CH)SiC18Si(CH)(OCH等のフッ素含有シラン化合物、及びこれらの加水分解物又はその部分縮合物等のシラン化合物が例示される。
イソシアネートシラン化合物類としては、(CHSiNCO、(CHSi(NCO)、CHSi(NCO)、ビニルシリルトリイソシアネート、CSi(NCO)、Si(NCO)、COSi(NCO)、C17Si(NCO)、C1837Si(NCO)、(NCO)SiC(NCO)等が例示される。
シラン系組成物の縮合物樹脂としては、例えば、熱硬化性(縮合型、付加型)及び光硬化性のシリコーン樹脂等の硬化性シリコーン樹脂が挙げられるが、具体例を挙げると、以下のようになる。
熱硬化性シリコーン樹脂のうち、縮合型の硬化性シリコーン樹脂としては、末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン等のポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ触媒等の有機酸金属塩やアミン類等の存在下で加熱縮合して合成した硬化性シリコーン樹脂や、水酸基、アルコキシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹脂、さらに、3官能性以上のクロロシラン又はこれらと1,2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解したシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
なお、縮合型は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類され、そのいずれも好適に使用される。
熱硬化性シリコーン樹脂のうち、付加型の硬化性シリコーン樹脂としては、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンの様なポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
なお、上記付加型は、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、及び無溶剤型に分類され、そのいずれも好適に使用される。
上記縮合型、付加型の硬化で得られる熱硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、純シリコーン樹脂、シリコーンアルキド樹脂、シリコーンエポキシ樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、シリコーンフェノール樹脂、シリコーンウレタン樹脂、シリコーンメラミン樹脂等が好適に挙げられる。
光硬化性のシリコーン樹脂としては、光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。また、ケイ素原子と結合した水酸基又はアルコキシ基等を有する低分子量ポリシロキサンと、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン又はメラミン樹脂等とを光硬化反応させて得られる変性シリコーン樹脂が望ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体は、支持体が白色であることにより、形成された画像を粘着層側から視認した場合に人物の肌色が鮮明に見える電子写真用画像記録媒体となると考えられる。
また、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体は、支持体が透明であることにより、形成された画像の粘着層側からの視認を実現すると考えられる。
なお、本実施形態において「透明であること」とは、光透過率が、60%以上(画像形成部位の存在しない部分で測定した値)であればよい。
また、本実施形態における「光透過率」は、分光光度計または、光度計の機能も備えるカラーメーターを使用し、550nmの光を用いて測定された全光線透過率を意味する。
(粘着層)
粘着層は、剥離基材を剥離したとき、支持体側に残存する層である。
粘着層を支持体側に残存させる方法としては、種々の方法が挙げられ、例えば、(1)支持体の粘着層に接する面に表面処理等を実施して粘着層との粘着性を高める方法、(2)粘着層の剥離基材に接する面を低粘着性にし、粘着層の支持体に接する面を他方の面を高粘着性にする方法、(3)剥離基材の粘着層に接する面に表面処理等を実施して粘着層との粘着性を低くする方法、(4)支持体に直接粘着層を塗工する方法 等が挙げられる。
(1)〜(4)の方法は、単独で実施してもよく、複数組み合わせて実施してもよい。
上記(1)の方法において、支持体に実施する表面処理等として具体的には、例えば、以下の処理が挙げられる。
オゾンなどの強酸化剤を吹きかけ表面に水酸基やカルボキシル基を作り、粘着層樹脂との接着性を高める方法、各種カップリング剤で処理する方法などがある。
上記(2)の方法において、粘着層の片面を低粘着性にし、他方の面を高粘着性にする方法としては、例えば、粘着層を、シリコーン系やフッ素系粘着剤を使い、剥離基材に接する面にはアクリル系の粘着剤を使う層とする方法、剥離基材に接する面の粘着層に非粘着性の添加剤を添加する層とする方法が挙げられる。
なお、このような粘着層として、具体的には、後述する、弾性小球を含有する剥離される粘着層と、弾性小球を含まない高粘着層とを備えている、3M社製の両面接着フィルム、品番:Y−9415PCを用いる方法が挙げられる。
上記(3)の方法において、剥離基材に実施する表面処理等の方法として具体的には、例えば、シリコーン系硬化樹脂やフッ素系硬化樹脂を被覆する方法、前述の粘着層に非粘着性の添加剤を添加する方法が挙げられる。
また、例えば、剥離基材の粘着層に接する面に離型層を設ける方法が挙げられる。
離型層として具体的には、例えば、上述した離型剤を含有する層が挙げられる。
上記(1)〜(4)の中でも、(2)粘着層の剥離基材に接する面を低粘着性にし、粘着層の支持体に接する面を他方の面を高粘着性にする方法により、粘着層を支持体側に残存させる方法が望ましい。
粘着層は、例えば、後述する粘着剤を含有する層であり、剥離性を有していることがよい。剥離性を有する粘着層とするためには、例えば、後述する剥離性付与成分を含有させてもよい。
なお、粘着層は、含有する粘着剤と剥離性付与成分とを目的に合わせて調整することにより、剥離強度を後述する範囲に制御することが容易となる。
−粘着剤−
粘着剤は、例えば、常温(例えば25℃)で粘着性を示す粘着性ポリマーが挙げられる。
粘着剤(粘着性ポリマー)は、例えば、目的とする出発モノマーを含む混合モノマーを用いて重合して得られる。重合方法は、通常の方法、たとえば、溶液重合、塊状重合、乳化重合等である。
なお、粘着剤の圧縮弾性率は、1×10dyne/cm以上1×10dyne/cm(1kPa以上10MPa以下)がよい。
粘着剤として具体的には、例えば、アクリル系粘着剤(アクリル系ポリマー)、ニトリル−ブタジエン系共重合体(NBR等)、スチレン−ブタジエン系共重合体(SBR等)、非結晶性ポリウレタン、シリコーン系粘着剤(シリコーン系ポリマー)等が挙げられ、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、フッ素系粘着剤が望ましく、シリコーン系粘着剤がより望ましい。
粘着剤は、これらのポリマー1種単独、または2種以上の混合物から構成される。
本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体は、粘着層にシリコーン系粘着剤を含有させることにより、環境が変動した場合であっても、剥離基材を剥離したときに粘着層が支持体側に残存する電子写真用画像記録媒体を実現すると考えられる。
これは、シリコーン系接着剤が含有された粘着層は、剥離性が維持されるためと考えられ、この理由としては、シリコーン系接着剤が含有された粘着層が、粘着性が低くなる傾向にあり、且つ、この低粘着性が、温度変化といった環境の変動による粘着性の変化が抑制されることで維持される傾向にあることが理由として考えられる。
加えて、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体は、粘着層にシリコーン系粘着剤を含有させることにより、ジッピング現象(不連続的に剥離すること)が生じ難くなると考えられる。
シリコーン系粘着剤として具体的には、例えば、信越化学工業社製の微粘着タイプ シリコーン粘着剤が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性が良好なX−40−3270や超微粘着タイプのX−40−3306が望ましく、超微粘着タイプが望ましい。
−剥離性付与成分−
剥離性付与成分としては、例えば、架橋剤、弾性小球及び結晶性ポリマーが挙げられる。
具体的な方法としては、架橋剤を比較的多量に使用し、粘着剤を架橋し、粘着層の凝集力を高くする方法が挙げられる。また、剥離性付与成分として弾性小球を使用し、粘着層に、弾性小球を含む弾性変形する凸部を設ける方法が挙げられる。さらに、剥離性付与成分として結晶性ポリマーを使用し、粘着層のタック(粘着力)を低く制御したり、熱剥離容易性を粘着層に付与する方法が挙げられる。
以下、粘着剤と剥離性付与成分とを好適に組合せて、粘着剤に剥離性を付与する方法について、詳細に後述する。
まず、架橋剤により粘着層に剥離性を付与する方法について説明する。
架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、エポキシ化合物、ビスアミド系架橋剤等が使用される。これらは、粘着剤のカルボキシル基、または、目的に合わせて含まれる水酸基等の架橋性官能基と反応し、粘着剤を架橋し、剥離性を高める様に作用する。多官能イソシアネート化合物としては、たとえば、イソホロンジイソシアネート、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、水添MDI、及び1,6−ヘキサンジオールジイソシアネートから選ばれた1種または2種以上のジイソシアネートを含む出発材料から合成されたものが使用される。たとえば、(A)トリオール(1,1,1−トリメチロールプロパン等)と、上記ジイソシアネートとをウレタン化反応させて得た化合物、または(B)上記ジイソシアネートどうしを反応させて得た、ビウレット構造またはイソシアヌレート構造を有する化合物などが利用される。また、NCO当量を調節するために、上記化合物と、ポリカプロラクトンジオール等のジオールとを反応させて得た架橋剤を使用してもよい。
エポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物等が使用される。エポキシ化合物のエポキシ当量は、70以上400以下がよく、好適には80以上300以下である。ビスアミド系架橋剤としては、たとえば、イソフタロイルビス(2−メチルアジリジン)等の二塩基酸のビスアジリジン誘導体が利用される。ビスアミド系架橋剤は、カルボキシル基を有する粘着剤と比較的低温で反応し、十分な架橋密度を容易に得られる点で特に望ましい。
上記のような架橋剤を用い、その他の剥離性付与成分を用いずに、粘着層に剥離性を付与する場合、架橋剤の含有量は粘着剤100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下、好適には1.2質量部以上4質量部以下である。弾性小球や結晶性ポリマーを含まない場合、この様に比較的多量の架橋剤を用いることにより、接着層の剥離性を高め、300mm/分の剥離速度、180°の剥離角度で測定された、アルミニウム板表面に対する剥離強度を目的とする範囲(0.2N/25mm以上10N/25mm以下)に制御することが特に容易である。なお、架橋剤量を多すぎると、接着力が低下するおそれがあり、反対に少なすぎると剥離性が低下するおそれがある。
弾性小球により粘着層に剥離性を付与する方法について説明する。
粘着層の剥離性は、粘着剤と弾性小球とを含有する接着剤組成物(粘着剤組成物)から粘着層を形成することにより付与される。
これは、粘着層の粘着面に形成される、弾性小球を含む弾性変形する凸部が、剥離の際の剥離強度を低くするのに効果的に作用するからである。たとえば、特表平6‐505763号(国際特許公開WO92/13924号)公報では、中空弾性小球とアクリル系粘着剤とを含有する組成物を含む、感圧接着剤(粘着剤)が開示されている。また、特開平4−306281号公報では、固体で粘着性の弾性小球と、アクリル系粘着剤ラテックスとを含有し、弾性小球の方がラテックスに対して相対的に多く(例えば2.5倍以上10倍以下)含有された粘着剤が開示されている。
さらに、国際特許公開WO98/15298号公報には、基材の少なくとも1つの主面に固定された粘着層とを備えてなる物品であって、その粘着層は、粘着剤を含有するマトリックスと、複数の粘着性を有する中実弾性小球とを含む組成物を含むことを特徴とする、粘着性物品が開示されている。また、国際特許公開WO96/14094号公報にも、アクリレートゴム系弾性感圧接着剤小球を利用した、比較的軽剥離強度(接着力)の粘着性物品が開示されている。一方、特開平8−113768号公報には、基材の表面に接着剤組成物の塗布層を含む接着層を有し、その接着剤組成物が粘着剤と弾性小球とを含有し、その弾性小球が、弾性率が1×10dyne/cm以上1×10dyne/cm(1kPa以上1MPa以下)以下であり、かつ粒径(体積平均直径)が10μm以上100μm以下であることを特徴とする粘着フィルム(粘着性のフィルム)が開示されている。
本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体では、これらの公報に開示の接着剤組成物から、又はそのような接着剤組成物を改良した組成物を含有させて粘着層を形成してもよい。
好適な例としては、前掲の特開平8−113768号公報に開示された接着剤組成物、またはその組成物を改良した接着剤組成物が挙げられる。弾性小球の弾性率及び粒径が最適な範囲に制御され、気泡抜けが良く、被着体への接着の際に気泡をまきこむことがなく、かつ剥離の際に被着体に粘着剤が残らない点で望ましいからである。
弾性小球含有タイプの粘着層を形成するのに用いられる弾性小球は、懸濁重合、乳化重合、シード重合等の公知の合成法により製造される。
例えば、以下のようにして、懸濁重合によりアクリル系ポリマーを含む小球を製造する。まず、脱イオン水、アクリルモノマー、ラジカル重合開始剤、その他所望の添加剤を機械的撹拌機付き反応装置に入れ良く混合する。例えば、反応装置内を不活性ガスでパージした状態で撹拌、混合しながら、目的とする温度に加熱してモノマー成分の重合反応を開始させる。撹拌速度は、10RPM以上700RPM以下であり、反応温度は、30℃以上120℃以下である。また、反応時間は、数時間以上数十時間以下である。
アクリルモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート(たとえば、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート等)と、アクリル性不飽和酸(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)との混合物が使用される。この混合物中に含まれるアルキルアクリレートとアクリル性不飽和酸の(質量)比は、99:1乃至90:10、好適には95:5乃至91:9の範囲である。また、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン等の2官能の架橋成分を上記混合物に添加して、アクリル系ポリマーを架橋させてもよい。
弾性小球の弾性率は圧縮弾性率で表され、好適には1×10dyne/cm以上1×10dyne/cm以下の範囲である。
なお、本実施形態における圧縮弾性率は、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、型番:RSAII、品名:粘弾性スペクトロメ−タ−)等を用い、20℃で測定する。
具体的には、1rad/秒の周波数の圧縮歪みを与えながら、−80℃から150℃の範囲で温度を変化させ、弾性率の温度依存性を測定し、20℃における測定値をもって圧縮弾性率とする。
また、弾性小球の粒径は体積平均直径で表され、例えば、上述の範囲(10μm以上100μm以下)が挙げられる。なお、体積平均直径は、光学顕微鏡による画像処理装置を用いて、1,000個の小球を測定し、その測定値を下記式(1)に当てはめて決定した値である。
体積平均直径[μm]=Σ(di4・ni)/Σ(di3・ni) (1)
[式中、diは、小球の第i番目の大きさの直径(μm)であり、niは、直径diを有する小球の個数である。]
粘着層に含まれる弾性小球の割合は、粘着剤100質量部に対して、30質量部以上900質量部以下である。また、粘着層において、弾性小球は、クラスターを形成しているのが望ましい。接着剤組成物を塗布して粘着層を形成する際の接着剤組成物の塗布重量は、4g/m2以上40g/m2以下の範囲が望ましい。接着層の厚さは、弾性小球の体積平均直径に対し、その20質量%以上90質量%以下の厚さとなるように塗布するのがよい。
なお、接着剤組成物は、粘着剤及び弾性小球、粘着剤同士、弾性小球同士、を架橋するための架橋剤を含有してもよい。
架橋剤の含有量は、粘着剤と弾性小球との合計100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下がよい。一方、このような弾性小球含有タイプの粘着層を備える、市販の両面接着フィルムを使用してもよい。この市販品の具体例として、3M社製の両面接着フィルム、品番:Y−9415PCが挙げられる。この両面接着フィルムは、弾性小球を含有する剥離される粘着層と、弾性小球を含まない高粘着層とを備えている。
次に、結晶性ポリマーにより粘着層に剥離性を付与する方法について説明する。
結晶性ポリマーは、粘着剤と合わせて用いることにより、粘着層の粘着面のタックを低く制御したり、熱剥離容易性を粘着層に付与する。
この粘着剤と結晶性ポリマーとを組合せた接着剤組成物として、たとえば、米国特許5,192,612号(日本特許第3021646号に対応)に、感圧接着剤基礎樹脂(アクリル系ポリマー等の粘着剤)と、脱粘着樹脂と脱粘着粒子とを含有する、感圧接着剤が開示されている。脱粘着樹脂の具体的かつ好適な例として、3,000から342,000の分子量を有するリニアなポリカプロラクトンが開示されている。ポリカプロラクトンは、常温(例えば、15℃以上30℃以下)では非粘着性を示す結晶性ポリマーである。この感圧接着剤は、常温(例えば、15℃以上30℃以下)で、被着体に向かって押圧して接着される。一方、上記の様な脱粘着樹脂は、脱粘着粒子と共同して、常温(例えば、15℃以上30℃以下)での接着剤表面のタックを効果的に軽減し、剥離性を高めている。また、脱粘着粒子はシリカ等の無機粒子である。
一方、米国特許5,412,035号(特表平6−510548号公報対応)には、20℃から40℃の範囲の、少なくとも1つの温度で感圧接着剤となる感圧接着剤組成物であって、高分子感圧接着剤成分(すなわち、粘着剤)と、結晶性ポリマーとからなる、熱剥離容易性の接着剤組成物(感圧接着剤)が開示されている。結晶性ポリマーは、常温(例えば、15℃以上30℃以下)で非粘着性であり、高分子感圧接着剤成分との相溶性が良好であるものを用いている。
結晶性ポリマー自体の溶融温度Tm℃であり、上記組成物中で測定したとき結晶性ポリマーの溶融温度Ta℃はTmより低い。この組成物は、Taよりも低いある温度での剥離強さP1[g/cm]よりも、Taよりも高いある温度での剥離強さP2[g/cm]が小さくなり、熱剥離容易性を有する。
上記公報には、結晶性ポリマーとして、ポリカプロラクトンを用いることや、ポリカプロラクトン等の結晶性ポリオール単位を主鎖分子内に有する結晶性ポリウレタンの使用については開示されていない。しかしながら、ポリカプロラクトンや、結晶性ポリオール単位を主鎖分子内に有する結晶性ポリウレタンを含む結晶性ポリマーと、その結晶性ポリマーの溶融温度以上の温度において、その結晶性ポリマーと相溶する粘着剤とを組合せ、かつその粘着剤を架橋して形成した接着剤組成物は、従来のものよりも良好な熱剥離容易性を示す。
上記ポリカプロラクトン及び結晶性ポリウレタンと相溶するな粘着剤の好適な例として、たとえば、次の様なアクリル系ポリマーを挙げられる。
すなわち、(A)分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーと、(B)分子内にフェニル基を有する(メタ)アクリルモノマーと、(C)分子内にカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーと、(D)炭素数4以上10以下のアルキル基を持つアルキルアクリレートとを含んでなる混合モノマーを重合して得たアクリル系ポリマーである。上記(A)及び(B)成分は、粘着剤の前記結晶性ポリマーとの相溶性を高めるのに必須である。上記(C)成分は、前掲の架橋剤を用い、粘着剤を架橋するには必須である。また、上記(D)成分は、加熱して熱剥離容易性を発現させるまでの間、画像付与対象物に対する接着剤組成物の接着力(剥離強度)の維持を実現する。
この場合に用いられる粘着剤は、前掲のアクリルモノマーを組合せて形成したモノマー混合物が挙げられ、該粘着剤は、公知の方法、例えば、溶液重合等により共重合させて調製する。例えば、上記(A)の分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が使用される。また、(B)分子内にフェニル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート等が使用される。
上記の粘着剤全体の重合単位に占める、(A)成分および(B)成分に由来する単位の合計の割合(質量比)は、40質量%以上90質量%以下、好適には41質量%以上85質量%以下である。上記2つの官能基を含む単位が少なすぎると、結晶性ポリマーとの相溶性が低下するおそれがあり、反対に多すぎて、他の官能基を有する成分が少なすぎると、架橋性や粘着性が低下し、上述の性能が効果的に高められないおそれがある。例えば、架橋性の低下は、糊残り防止効果を損なうおそれがある。また、粘着剤全体の重合単位に占める、(B)成分に由来する単位の割合は、0.5モル%以上、好適には1モル%以上、特に好適には5モル%以上25モル%以下である。
なお、粘着層は、透明な層であってもよく、支持体が透明である場合、画像受像層に形成された画像を粘着層側から視認するため、粘着層が透明な層であることがよい。
(剥離基材)
剥離基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムを代表的に用いられる。具体的には、例えば、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを望ましく用いられ、さらに白色など不透明であってもよい。
さらに、紙や金属、プラスチック、セラミックなどシート状のものであれば望ましい。
なお、本実施形態の各部位は、全体として透明(光透過性)であっても、不透明であってもよい。各部位が光透過性である場合、支持体から照射した光によって画像受像層に形成された画像が視認される。この場合、支持体としては、例えば、内照看板用のライトボックス等の発光装置が適用される。発光装置の発光面に画像付き媒体を貼り付ける場合、粘着層全体の光透過率は60%以上であればよく、例えば、光源に電子写真用記録媒体を貼り付ける場合、粘着層が光拡散性を有している方が望ましい。
(電子写真用画像記録媒体の特性)
−層の厚さ−
画像受像層140の厚さは、5μm以上25μm以下がよく、好適には、7μm以上20μm以下である。
支持体130の厚さは、10μm以上200μm以下がよく、好適には20μm以上150μm以下である。
粘着層120の厚さは、5μm以上200μm以下がよく、好適には10μm以上100μmである。
剥離基材110の厚さは、5μm以上200μm以下がよく、好適には50μm以上100μm以下である。
−画像受像層の表面抵抗値−
本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体は、電子写真方式により画像を形成した場合に優れた画像の形成を実現する観点から、画像受像層の表面抵抗値が、1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲であることがよい。
また、上記表面抵抗値は、1.0×109Ω/□以上1.0×1012Ω/□以下の範囲であることが望ましい。
上記表面抵抗値は、1.0×108Ω/□以上であることにより、例えば電子写真装置内の一次転写部材からの転写トナーが乱れることを抑制すると考えられる。また、表面抵抗値は、1.0×1013Ω/□以下であることにより、例えば電子写真装置内の一次転写部材からのトナーを画像受像層表面に移行することが困難であり、転写不良が生じて画像欠陥が発生することを抑制すると考えられる。
また、画像受像層が支持体の片面のみに設けられる場合には、同様の理由により、画像受像層が設けられない側の支持体表面の表面抵抗値は、1.0×108以上1.0×1013Ω/□以下の範囲であることが望ましく、1.0×109Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下の範囲であることが望ましい。
そして、本発明における電子写真用画像記録媒体の、23℃、55%RHにおける表裏面の表面抵抗値差は、4桁以内であることが望ましく、3桁以内であることがより望ましい。
表裏面の表面抵抗値差が4桁以内とすることにより、トナーの転写不良が生じ難くなり、画像の劣化を抑制すると考えられる。
なお、上記表面抵抗値は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定する。
支持体表面に設けられた画像受像層の表面抵抗値を1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内に制御するにあたっては、画像受像層中に帯電制御剤を含有させることが望ましい。該帯電制御剤としては、高分子導電剤、界面活性剤や、金属酸化物粒子等が用いられる。
また、前記画像受像層が支持体の片面にのみ設けられる場合の、画像受像層が設けられない側の面の表面抵抗値の制御は、剥離基材となるフィルムを製造するときに、界面活性剤、高分子導電剤や導電性粒子などを樹脂中に添加したり、上記フィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、または接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで行われる。
用いられる界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、昨今の電子写真用の負帯電型トナーと相互作用の大きいカチオン系界面活性剤を用いることが、転写性の向上に有効となる。
また、上記カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が望ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が望ましい。


一般式(I) R−A−R−N−R ・ X

式中、Rは炭素数6以上22以下のアルキル基、アルケニル基、又は、アルキニル基を表し、Rは炭素数1以上6以下のアルキレン基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基を表す。R、R、Rは同一でも異なってもよく、脂肪族基、芳香族基、又は、ヘテロ環基を表す。脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、又は、アルキニル基をいう。芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は水酸基等の置換基を有してもよい。Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニル基を表すが、これは無くてもよい。Xは、ハロゲン元素、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有してもよい。
−粘着層の剥離強度−
粘着層の剥離強度は、剥離基材を剥離したときに、剥離基材に糊残りなく剥離され、且つ、画像記録体から画像付与対象物を剥離したときに、画像付与対象物に糊残りなく剥離されるように決定されることが望ましい。
剥離強度の測定は、イマダの180°剥離試験機 IPT200を用いて、300mm/分の剥離速度、180度の剥離角度で、剥離基材表面又は画像付与対象物表面を基準表面として行う。
そして、この基準表面に対する剥離強度(剥離強度AL)が0.2N/25mm以上10N/25mm以下であるように、粘着層の組成や厚さ、粘着面の表面性(表面粗さ)等を決定するのがよい。この剥離強度ALが小さすぎると、電子写真用画像記録媒体の使用中に、剥離基材や画像付与対象物が剥がれてしまうおそれがあり、反対に、この剥離強度ALが大きすぎると、剥離基材や画像付与対象物を剥離する際に、剥離基材や画像付与対象物に糊残りしたり、剥離基材や画像付与対象物が破損したりするおそれがある。このような観点から、剥離強度ALの範囲は、好適には0.5N/25mm以上5N/25mm以下、特に好適には1N/25mm以上3N/25mm以下である。
また、実際の剥離基材や画像付与対象物の基材面に対する、300mm/分の剥離速度、180°の剥離角度で測定された剥離強度は、0.2N/25mm以上10N/25mm以下がよく、0.5N/25mm以上5N/25mm以下が望ましく、特に好適には1N/25mm以上3N/25mm以下であるように、粘着層の組成や厚さ、粘着面の表面性(表面粗さ)等を決定するのがよい。
剥離強度を上記範囲とすることにより、電子写真用画像記録媒体から基材を剥離した媒体を粘着する、画像付与対象物の再利用を実現する電子写真用画像記録媒体が得られると考えられる。
(電子写真用画像記録媒体の製造方法)
電子写真用画像記録媒体は、例えば、支持体の一方の面に粘着層となる粘着剤を含む組成物を塗工し、剥離基材を支持体の粘着層に貼り付けた後に、支持体の未塗工面に画像受像層となる塗工層を塗工することによって形成し得る。
また、電子写真用画像記録媒体は、例えば、支持体の一方の面に粘着層となる粘着剤をを含む組成物を塗工し、支持体の未塗工面に画像受像層となる塗工層を塗工した後に、剥離基材を支持体上の粘着層に貼り付けて形成してもよい。
上記画像受像層の塗工液は、ワックスや樹脂、粒子等の各成分を有機溶媒もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライターやサンドミルなどの装置により分散させ塗工液を作製する。該画像受像層は、塗工液をそのままの状態で、支持体の表面へ塗工又は含浸させて形成する。
塗工又は含浸させる方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、ロール塗布法等の通常使用される方法が採用される。
支持体の表面に塗工層を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥する。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、又は加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法が採用される。
実際の使用上、画像受像層表面の静止摩擦係数は、2以下であることが望ましく、1以下であることがより望ましい。また画像受像層表面の動摩擦係数は、0.2以上1以下の範囲であることが望ましく、0.3以上0.65以下の範囲であることがより望ましい。
例えば、本実施形態においては、電子写真用画像記録媒体の表面に画像としてトナー画像が形成される。トナー画像を形成する場合、この形成されたトナー画像の定着を、該電子写真用画像記録媒体の表面(画像受像層が形成されている面)の温度が、トナーの溶融温度以下となるようにして行うことが望ましい。トナーの溶融温度を考慮すると、上記電子写真用画像記録媒体の表面温度が130℃以下となるようにして行うことが望ましく、110℃以下となるようにして行うことがより望ましい。
また、上記条件で定着を行う場合であっても、本実施形態に係る電子写真用画像記録媒体の場合では、剥離基材が熱変形を起こす温度領域に入ってしまう場合がある。その場合、特に画像受像層のコシが弱くなり、定着装置の加熱ロールに巻付きやすくなってくる。この場合は紙などと重ね合わせて搬送し、定着装置での画像受像層のコシを補ったり、電子写真用画像記録媒体のエッジ部分にガイドが当たるように定着装置内を改造/調整することが望ましい。
また、本実施形態においては、電子写真用画像記録媒体の表面に形成する画像として、電子写真方式の画像形成装置によって形成されるトナー画像について説明したが、これに限られるものではない。例えば、インクなどを用いて画像形成してもよい。
[画像記録体および画像記録体の作製方法]
次に、上記に説明した電子写真用画像記録媒体を用いた画像記録体について説明する。
本実施形態の画像記録体は、画像付与対象物と、画像受像層に画像が記録された、画像を形成した電子写真用画像記録媒体から基材を剥離した画像付き媒体と、を積層することにより得られる。
ここで、画像付与対象物について特に制限はないが、例えば、樹脂、セラミックといった素材のものが挙げられる。画像付与対象物の形状はフィルム状のものが望ましい。
画像付与対象物として具体的には例えば、レンチキュラー媒体、ICカード媒体、窓ガラス、建物の壁、自動車等の車体が挙げられる。
以下、画像付与対象物としてレンチキュラー媒体を用いた画像付きレンチキュラー媒体について説明する。
画像付きレンチキュラー媒体について図面を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体400を示す概略斜視図である。
本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体400は、複数の凸部が配列されたレンチキュラーレンズが一方の面に設けられたレンチキュラー媒体300と、画像受像層140に画像150が記録された、上述の電子写真用画像記録媒体100から剥離基材110を剥離した画像付き媒体200と、を積層したものである。
本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体400は、上記構成とすることにより、レンチキュラーレンズの再利用を実現する。
具体的には、画像付き媒体200は、画像150が形成された画像受像層140と、支持体130と、粘着層120と、がこの順に積層されており、該粘着層120には、レンチキュラー媒体300のレンチキュラーレンズが設けられている面の裏面が粘着されている。
本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体400は、画像受像層140の画像150が露出されることとなる。
次に、本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体の作製方法について説明する。
なお、以下の説明は符号を省略して行う。
本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体は、電子写真用画像記録媒体の画像受像層が設けられた側の面に、電子写真方式により画像形成材料から構成される画像を形成する画像形成工程と、前記電子写真用画像記録媒体を、レンチキュラーレンズが設けられた面の裏面と前記定着画像が形成された面の裏面にある粘着層が対面するように重ね合わせて積層体とする位置決め工程と、を経て作製される。
電子写真方式による画像形成は、まず、電子写真用感光体(像保持体)の表面に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、画像受像層が形成された面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナー画像が画像受像層表面に定着されて、画像が形成された電子写真用画像記録媒体が電子写真装置から排出される。
画像が形成された電子写真用画像記録媒体は、剥離基材を剥離後、支持体側に残存する粘着層の表面(画像受像層が設けられた面と反対側の面)をレンチキュラー媒体のレンズ面の裏面と重ねて画像記録体を形成するため、画像受像層に形成される画像は正転画像とし、上記感光体表面に静電潜像を形成する際には、上記感光体表面に露光される画像情報として、正転像の情報が提供されることが望ましい。
本実施形態に用いられるレンチキュラー媒体は、プラスチック、セラミックなどであり、さらにこれらはフィルム状のものが望ましい。
本発明に用いられるレンチキュラー媒体は、画像記録体としたときに形成された画像が見えやすいよう透明であることが望ましく、透明化したレンチキュラー媒体が代表的に使用される。
上記レンチキュラー媒体用の樹脂としては、電子写真用画像記録媒体の支持体に用いたものと同様なものを用いてもよく、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが望ましく用いられる。
上記の中でも、ポリエステルフィルム、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等がより望ましく用いられる。
本発明においては、さらなる材料として、ポリスチレン系樹脂フィルム、ABS樹脂フィルム、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂フィルム、またPETフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているフィルム等が望ましく用いられる。
本発明に用いられるレンチキュラー媒体としては、厚さ200μm以上5000μm以下の範囲のプラスチックから構成されるフィルムを用いることが望ましく、厚さ300μm以上3000μm以下の範囲のPETGフィルムを用いることがより望ましい。
以上のように作製される本実施形態に係る画像付きレンチキュラー媒体400は、多様な用途に適用され、例えば、3D写真、3D広告媒体、3Dポスター、アニメーションといった用途が挙げられるが、レンチキュラー媒体300の再利用が実現されることから、特に、大型の広告媒体(例えばA0サイズ)、横幅1189mm×長さ6000mm、横幅1189mm×長さ30000mmといった画像付与対象物が高価となる用途において好適に用いられると考えられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例における「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
<抵抗調整層液A−1の調製>
カチオン系帯電防止剤であるアクリル系高分子溶解液(綜研化学社製:エレコンドQO−101、固形分濃度50%)100質量部にフィラーとして架橋型アクリル球状粒子(綜研化学社製:MX−150、平均粒子径:1.5μm)0.5質量部、エタノール200質量部を混合して攪拌し、表面抵抗率を制御する抵抗調整層液A−1を調製した。
<画像受像層塗工液B−1の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン200)20質量部、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1質量部、フィラーとして架橋型アクリル球状粒子(綜研化学社製:MX−1500、平均粒子径:15μm)3質量部、メチルエチルケトン50質量部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液B−1を調製した。
<粘着層塗工液C−1の調製>
シリコーン系粘着剤(信越化学工業社製:X−40−3306、固形分濃度30質量%)33.3質量部、その硬化剤(CAT−PL−50T)0.02質量部を、トルエン20質量部で希釈して攪拌し、粘着層塗工液C−1を調製した。
<電子写真用画像記録媒体1の作製>
剥離基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ社製ルミラーT60、厚み25μm)の片面側に、上記抵抗調整層液A−1を、ワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥させ膜厚0.2μmの抵抗調整層を形成した。
一方で、支持体としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ社製ルミラーT60、厚み75μm)の片側面に、上記粘着層塗工液C−1を、ワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で1分間乾燥させ膜厚5μmの粘着層を形成した。
この粘着層を形成した面に、上記より作製した剥離基材の未塗工面を常温(22℃)下、貼り合わせ速度0.2m/分、シリンダー圧力588KPaで貼り合わせた。
この貼り合わせた積層体の支持体未処理面に前記受像層塗工液B−1をワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥させて膜厚10μmの画像受像層を形成した。
その後、A4サイズ(210mm×297mm)にカットして総厚115μmの電子写真用画像記録媒体1を作製した。
<電子写真用画像記録媒体1の評価>
(表面抵抗値及び剥離強度)
この電子写真用画像記録媒体1の画像受像層の表面抵抗率は、抵抗調整層面で2.9×10Ω、受像層面で3.1×1010Ωであった。
また、電子写真用画像記録媒体1の剥離基材を剥離したときの粘着層の剥離強度を既述の方法で測定したところ、低温環境下(22℃)では0.02N/25mmであり、高温環境下(60℃)では0.03N/25mmであった。
(剥離基材を剥離後の評価)
−画像の形成−
まず、上記電子写真用画像記録媒体1(画像未形成)の画像受像層面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製「カラー複写機 DocuColor1255CP 改造機」を適用し、電子写真用画像形成用フィルム1の画像受像層に12視点からなるカラー画像を形成した。
次に、画像が形成された電子写真用画像記録媒体1を低温環境下(22℃)及び高温環境下(60℃)に24時間放置後、それぞれの電子写真用画像記録媒体から剥離基材を剥離して、画像付き媒体1を作製した。
剥離基材を剥離後、粘着層と剥離基材とを目視で確認した結果、低温環境下に放置した電子写真用画像記録媒体1及び高温環境下に放置した電子写真用画像記録媒体1は、いずれも、支持体側に粘着層が残存し、剥離基材側には粘着層が残存していなかった。
また、いずれの場合も、剥離基材の剥離が容易であった。
<画像付きレンチキュラー媒体1の作製>
まず、PET−G(グリコール変性ポリエステル)から構成される、30lpi(1インチあたりレンチキュラーレンズが30線ある)のレンチキュラー媒体(商品名レンチキュラーレンズ、日本コウバン社製、厚さ1320μm)を準備した。
次に、該レンチキュラー媒体のレンチキュラーレンズが設けられた面の裏面と、上記で作製した画像付き媒体1の粘着層面と、を位置合わせして、貼り合わせた。
この積層体を常温(22℃)まで冷却し、画像付きレンチキュラー媒体1を作製した。
なお、画像欠陥は見られなかった。
<画像付きレンチキュラー媒体1の評価>
(画像付き媒体を剥離後の画像付きレンチキュラー媒体の評価)
次に、画像付きレンチキュラー媒体1を低温環境下(22℃)及び高温環境下(60℃)に24時間放置後、各画像付きレンチキュラー媒体から画像付き媒体を剥離した。
剥離後の粘着層を目視で確認したところ、低温環境下に放置した画像付きレンチキュラー媒体1及び高温環境下に放置した画像付きレンチキュラー媒体1は、いずれも、支持体側に粘着層が残存し、レンチキュラー媒体には粘着層が残存していなかった。また、レンチキュラー媒体には、画像形成材料の付着が見られなかった。
さらに、いずれの場合も、画像付き媒体は容易に剥離された。
[実施例2]
粘着層塗工液を以下の粘着層付き基材に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用画像記録媒体2を作製し、画像を形成後、剥離基材を剥離して実施例1と同様の評価を行った。
<粘着層付き基材>
アクリル系粘着剤付き基材(パナック社製:商品名パナプロテクトET、PET基材厚み50μm、粘着層5μmの粘着層付き基材)を準備した。
<電子写真用画像記録媒体2の評価>
電子写真用画像記録媒体2の粘着層の剥離基材を剥離したときの剥離強度を既述の方法で測定したところ、低温環境下(22℃)では0.08N/25mmであり、高温環境下(60℃)では0.10N/25mmであった。
また、剥離基材を剥離後の評価については、低温環境下に放置した電子写真用画像記録媒体2は、支持体側に粘着層が残存し、剥離基材側には粘着層が残存していなかった。
一方、高温環境下に放置した電子写真用画像記録媒体2は、支持体側に粘着層が残存し、剥離基材側には多少の粘着層が残存していたが、問題のない量であった。
また、いずれの場合も、剥離基材の剥離は可能であったが、特に高温環境下ではジッピングが発生した。
<画像付きレンチキュラー媒体2の評価>
次に、上記電子写真用画像記録媒体2を用いて、実施例1と同様にして画像付きレンチキュラー媒体2を作製し、レンチキュラー媒体を剥離して実施例1と同様の評価を行った。
剥離後の粘着層を目視で確認したところ、低温環境下に放置した画像付きレンチキュラー媒体2は、支持体側に粘着層が残存し、レンチキュラー媒体側には粘着層が残存しておらず、画像形成材料の付着も見られなかった。
一方、高温環境下に放置した画像付きレンチキュラー媒体2は、支持体側に粘着層が残存し、レンチキュラー媒体側にも多少の粘着層が残存していたが、問題のない量であった。また、レンチキュラー媒体には画像形成材料の付着が見られなかった。
さらに、いずれの場合も、画像付き媒体は容易に剥離された。
これらの結果より、画像付きレンチキュラー媒体1、2に用いたレンチキュラー媒体は、環境変動によらず、再利用され得ることが明らかとなった。
100 電子写真用画像記録媒体
110 剥離基材
120 粘着層
130 支持体
140 画像受像層
150 画像
200 画像付き記録媒体
300 レンチキュラー媒体(画像付与対象物)
400 画像付きレンチキュラー媒体(画像記録体)

Claims (6)

  1. 画像受像層と、支持体と、粘着層と、剥離基材と、がこの順に積層されており、
    前記剥離基材を剥離したとき、前記粘着層が支持体側に残存する電子写真用画像記録媒体。
  2. 前記画像受像層の表面抵抗値が1.0×10Ω/□以上3.2×1013Ω/□以下である請求項1に記載の電子写真用画像記録媒体。
  3. 前記支持体が白色である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用画像記録媒体。
  4. 前記支持体が透明である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用画像記録媒体。
  5. 前記粘着層がシリコーン系粘着剤を含む粘着層である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真用画像記録媒体。
  6. 複数の凸部が配列されたレンチキュラーレンズが一方の面に設けられたレンチキュラー媒体と、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載され、画像受像層に画像が記録された、電子写真用画像記録媒体から基材を剥離した画像付き媒体と、
    を積層した画像付きレンチキュラー媒体。
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