JP2005220282A - ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体及びその用途 - Google Patents

ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な官能基含有エチレン系共重合体およびその用途を提供すること。
【解決手段】
[1]エチレンと少なくとも1種のジエンを含む共重合体であって、ジエンに由来する繰り返し単位の全部または一部が一般式(Ia)及び一般式(Ib)から選ばれる少なくとも1種で示される構造であるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体。
【化1】
Figure 2005220282


(式中、*は重合体中での結合位置を表し、Q〜Qは水素原子またはアルキル基を表し、Aは単結合等を表し、X、Yは一方がポリアルキレングリコール基等を表し、他方は一般式(II)〜(IV)で示される基等を表す。)
【化2】
Figure 2005220282

(式中、Eは酸素原子等を表し、Rは水素原子等を表す)
【化3】
Figure 2005220282

(式中、R,Rは水素原子等を表す)
【化4】
Figure 2005220282

(式中、R〜Rは水素原子等を表す)。
[2]前記[1]記載の重合体を含むトナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤、帯電防止剤に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体とその用途に関する。具体的には、エチレンとジエンの共重合体、またはエチレンとα−オレフィン及びジエンからなる共重合体であって、該共重合体のジエンに由来する繰り返し単位として特定の構造を有する新規なビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体、ならびにその用途に関する。
エチレン系重合体は、分子構造が非極性であり、他物質との親和性に乏しいため、従来から該重合体に各種の官能基を導入することが試みられている。特に、ジエンを含むモノマーの重合により得られる重合体は、ジエンに由来する繰り返し単位が二重結合を有するため、該二重結合を変性することにより1分子の重合体中に複数の官能基を導入することが可能であり、各種用途への使用が期待できる。しかしながら、エチレンとジエンの共重合体、またはエチレンとジエン及びα−オレフィンの共重合体の変性体としては、エポキシ変性した重合体のみが報告されており、使用範囲が樹脂用接着剤に限定されていた(特許文献1〜3)。
特開昭60−168750号公報 特開昭61−85405号公報 特開平4−55403号公報
本発明の課題は、エチレン及びジエンを含むモノマーの共重合体であって、ジエンに由来する繰り返し単位中の隣接する二つの位置に特定の官能基を有する新規なビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を提供することである。更に、本発明の課題は、該ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含む新規な材料を提供することである。
本発明は、
[1]エチレンと少なくとも1種のジエンからなる共重合体、またはエチレンと少なくとも1種のジエン及び少なくとも1種の炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体であって、ジエンに由来する繰り返し単位の全部または一部が一般式(Ia)及び一般式(Ib)から選ばれる少なくとも1種で示される構造であるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体、
Figure 2005220282
(式(Ia)及び(Ib)中、*は重合体中での結合位置を表し、Q〜Qは水素原子またはアルキル基を表し、QとQは結合して環を形成しても良く、またQ、Qが結合して環を形成しても良い。Aは単結合またはアルキレン基を表し、X、Yは、一方が水酸基、ポリアルキレングリコール基またはアシルオキシ基を表し、他方は一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)のいずれかで示される基、シアノ基、カルボキシル基、エステル基またはアミド基を表し、XとYは互いに結合して環を形成していてもよい。)
Figure 2005220282
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rは水素原子、炭化水素基、アシル基、ポリアルキレングリコール基を表す)
Figure 2005220282
(式中、R,Rは同一または相異なり、水素原子、炭化水素基、アシル基、ポリアルキレングリコール基を表す)
Figure 2005220282
(式中、R〜Rは同一または相異なり、水素原子、炭化水素基、アシル基、シアノ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基を表す)
[2]前記[1]記載のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含むトナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤、帯電防止剤に関するものである。
本発明によりエチレンとジエンの共重合体、またはエチレンとジエン及びα−オレフィンの共重合体であって、ジエンに由来する繰り返し単位中の隣接する二つの位置に特定の官能基を有する新規なビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を提供することができる。該ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体は高価なモノマー原料を使用しないため経済性の面においても有利である。
また、本発明の新規なビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体により、トナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤、帯電防止剤等に適した材料を提供できる。
本発明に係るビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(以下、本発明に係る重合体という)は、エチレンとノルボルネン系ジエンを含有する少なくとも1種のジエン、またはエチレンとノルボルネン系ジエンを含有する少なくとも1種のジエン及び炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンからなるモノマーを共重合して得られる共重合体(以下、重合体(A)という)の二重結合を変性することにより製造することができる。すなわち、重合体(A)のノルボルネン系ジエンに由来する繰り返し単位中の二重結合をエポキシ化して得られる重合体(以下、エポキシ基含有重合体(B)という)のオキシラン環に官能基を導入することにより、本発明に係る重合体を製造することができる。
本発明に係る重合体において、ノルボルネン系ジエンとともに他のジエンを用いた場合には、ノルボルネン系ジエンに由来する繰り返し単位中の二重結合とともに、該他のジエンに由来する繰り返し単位中の二重結合に官能基が導入されていてもよい。
前記ノルボルネン系ジエンは、一般式(P)または(Q)で表される化合物である。
Figure 2005220282
(式(P)及び(Q)中、A、Q〜Qは一般式(Ia)または一般式(Ib)と同様の原子または基を示す)
本発明に係る重合体の製造に用いられる一般式(P)または(Q)で表されるノルボルネン系ジエンとしては、例えば、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好ましい。
本発明に係る重合体の製造に用いられるα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンが挙げられる。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル-1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘキセン、アリルシクロヘキサン、アリルベンゼン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィンであり、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
その他のジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,4−ヘキサジエンまたは2−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい。
本発明に係る重合体としては、エチレンと、一般式(P)及び(Q)で表されるノルボルネン系ジエンから選ばれる少なくとも1種のジエンからなる共重合体が好ましい。
なお、一般式(P)及び(Q)のいずれの構造も含まない重合体、すなわちエチレンと少なくとも一種の前記その他のジエン、またはエチレンと少なくとも一種の前記その他のジエン及び少なくとも一種のα−オレフィンからなる共重合体のジエンに由来する繰り返し単位の二重結合にX、Yが導入されたビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体も、以下の方法で同様に製造することができる。
<重合体(A)>
本発明に係る重合体の中間原料である重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)で測定した重量平均分子量(Mw)は400〜500000が好ましく、より好ましくは800〜200000、更に好ましくは1000〜100000である。
重合体(A)は、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、より好ましくは1.1〜4.5、更に好ましくは1.2〜4.0の範囲内である。
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロルベンゼン(和光純薬)及び酸化防止剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、武田薬品)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは東ソー社製を用いた。
また、重合体(A)中における二重結合の含有量(以下、不飽和基含有量という)は、以下のようにして測定される。13C−NMRにより得られる二重結合の炭素原子のピーク面積(Sx)と全炭素原子のピーク面積(Sy)から、下記式により1,000炭素原子あたりの二重結合の数(以下、不飽和基数Mという)が求められる。
M=Sx/Sy×1000
1分子あたりの不飽和基含有量は、Mn×M/14,000により得ることができる。1,000炭素あたりの不飽和基数Mは、1.4〜140個が好ましく、より好ましくは2.8〜35個、更に好ましくは4〜30個である。
重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.04〜10.0dl・g−1が好ましく、より好ましくは0.05〜8.0dl・g−1、さらに好ましくは0.1〜5.0dl・g−1、の範囲である。
重合体(A)の製造方法としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法(例えば、特開2001−2731号公報)
(2)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法
(3)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法(特開平11−5818)
(4)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法
<ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体>
一般式(Ia)、一般式(Ib)のQ〜Qのアルキル基としては、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロパン、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
一般式(Ia)、一般式(Ib)においてQとQが結合して環を形成していてもよく、環としては5〜6員環が好ましい。また、QとQが結合して環を形成していてもよく、環としては5〜6員環が好ましい。
一般式(Ia)中、Aで表されるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
一般式(Ia)、一般式(Ib)のX、Yのポリアルキレングリコール基としては下記一般式(T)
Figure 2005220282
(式中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子またはアルキル基を表し、nは1〜10000の整数を表す)
で表される基である。ここで、ポリアルキレングリコール基には一般式(T)中、nが1の場合も包含される。
一般式(II)、(III)のR〜Rのポリアルキレングリコール基としては下記一般式(U)
Figure 2005220282
(式中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子またはアルキル基を表し、nは1〜10000の整数を表す)
で表される基である。ここで、ポリアルキレングリコール基には一般式(U)中、nが1の場合も包含される。
のアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等が挙げられる。Rは単独のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
のアルキル基としては、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、一般式(Ia)、一般式(Ib)のQ〜Qと同様のものが挙げられる。
一般式(Ia)、一般式(Ib)のX、Yのアシルオキシ基としては、炭素数2〜15のアシルオキシ基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、3−カルボキシプロピオニルオキシ基、3−カルボキシ−2−プロペノイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、4−トリフルオロメチルベンゾイルオキシ基、3−ニトロベンゾイルオキシ基、2−カルボキシベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、パーフルオロヘプタノイルオキシ基、パーフルオロオクタノイルオキシ基等を挙げることができる。
一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)中、R〜Rの炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。
この場合のアルキル基としては、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)-3−ヒドロキシプロパン、n-デシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、10-ブロモデシル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖または分岐の炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−フルオロアリル基、イソプロペニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましい。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2,4−ジフルオロベンジル基、ペンタフルオロフェニルメチル基、ビス(4−メトキシフェニル)メチル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
また、アリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−ニトロフェニル基、ヘキサフルオロフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)中、R〜Rのアシル基としては、炭素数2〜15のアシル基が好ましい。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、3−カルボキシプロピオニル基、3−カルボキシ−2−プロペノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、4−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、2−カルボキシベンゾイル基、ナフトイル基、パーフルオロヘプタノイル基、パーフルオロオクタノイル基等を挙げることができる。
一般式(Ia)、一般式(Ib)のX、Y、一般式(IV)のR〜Rのエステル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、2−シクロペンチルエトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2−ペンテノキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、4−フルオロフェノキシカルボニル基、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)フェノキシカルボニル基、1−ナフトキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(Ia)、一般式(Ib)のX、Y、一般式(IV)のR〜Rのアミド基としては、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、1−ピロリジニルカルボニル基、1−ピペリジニルカルボニル基等を挙げることができる。
XとYが結合して環を形成していてもよく、環としては5員環が好ましい。5員環を形成する場合の−X−Y−で表される2価の基は、下記の何れかの基が好ましい。
-O−CO−O-
-O−CR10−O-
-O−CO−CHL-
(Lは水素原子、シアノ基、エステル基、カルボキシル基を表し、R〜R10は水素原子、アルキル基を表す)
この場合のLのエステル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基が好ましい。エステル基の具体例としては、一般式(Ia)または一般式(Ib)のX、Y、一般式(IV)のR〜Rと同様のものが挙げられる。
〜R10で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、一般式(Ia)、一般式(Ib)のQ〜Qと同様のものが挙げられる。
<ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の製造方法>
本発明のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体は、重合体(A)のジエンに由来する繰り返し単位を変性することにより官能基を導入する(以下、官能基化という)。具体的には、重合体(A)のジエンに由来する繰り返し単位の二重結合をエポキシ化したエポキシ基含有重合体(B)から製造することができ、該二重結合のエポキシ化は一般的な方法で行うことができる(US5252677)。また、重合体(A)の分子量は、重合触媒の種類、エチレンまたはα-オレフィンの圧力等の反応条件により、調節することができる。
ここで原料として用いるエポキシ基含有重合体(B)のエポキシ基含有率は、重合体(A)に含まれる全二重結合の30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
エポキシ基含有重合体のエポキシ基含有率は1H-NMRによって決定される。例えば、重合体(A)のジエンに由来する繰り返し単位の二重結合がビニル基のものをエポキシ化してエポキシ基含有重合体(B)を得た場合、エポキシ基付け根の3プロトン分のピーク[A]が1プロトンずつ2.3〜2.4ppm、2.6〜2.7ppm、2.8〜2.9ppmに観測される。エポキシ化が十分でない場合は、二重結合の3プロトン分のピーク[B]が4.85〜5.0ppmに2プロトン、5.5〜5.8ppmに1プロトン観測される。ピーク[A]およびピーク[B]のピーク面積を各々SおよびSとすれば、エポキシ基含有率(Ep(%))は下記式にて算出される。
Ep(%)=S/(S+S)×100
なお、1H-NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
本発明では、エポキシ基含有重合体(B)を、後述する反応剤と反応させることによりビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を製造することができる。
本発明のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の官能基含有率は、重合体(A)に含まれる全二重結合の30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の官能基含有率は1H−NMRによって決定される。例えば、重合体(A)のジエンに由来する繰り返し単位の二重結合がビニル基(−CH=CH)の場合は、得られるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体におけるX、Yの付け根の3プロトン分のピーク[C]が1プロトンずつ3.2〜3.4ppm、3.4〜3.5ppm、3.6〜3.8ppmに観測される。官能基化が十分でない場合は、エポキシ基付け根の3プロトン分のピーク[D]が1プロトンずつ2.3〜2.4ppm、2.6〜2.7ppm、2.8〜2.9ppmに観測される。ピーク[C]およびピーク[D]のピーク面積を各々SおよびSとし、原料のエポキシ基含有重合体(B)のエポキシ基含有率をEp(%)とすれば、ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の官能基含有率(Fc(%))は下記式にて算出される。
Fc(%)=S/(S+S)×Ep(%)
[(1)一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yの一方が水酸基である重合体の製造方法]
[(1a)X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(II)で示される基である重合体の製造方法]
原料となるエポキシ基含有重合体(B)に、酸または塩基触媒存在下、一般式(VI)
Figure 2005220282
(式中、E、Rは一般式(II)と同様の原子または基を表す)
で示される化合物(以下、反応剤Aと表記する)を反応させることにより、X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(II)で示される基である重合体を得ることができる。
一般式(VI)としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-オクタノール、アリルアルコール、シクロプロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、イソプロペニルアルコール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、10-ブロモデカノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2−プロパノール、パーフルオロオクタノール、ベンジルアルコール、2,4−ジフルオロベンジルアルコール、ペンタフルオロフェニルメタノール、ビス(4−メトキシフェニル)メタノール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェノール、2,4−ジクロロフェノール、4−メトキシフェノール、4−メトキシカルボニルフェノール、4−ニトロフェノール、ヘキサフルオロフェノール、4−メチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2−ナフチルアルコール等のアルコール類、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、チオメタノール、チオエタノール等のチオアルコール類、酢酸、
プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マロン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、3−ニトロ安息香酸、フタル酸、2−ナフチル酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸等のカルボン酸類、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、フェニルエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1−クロロ−2,3−プロパンジオール、1−ブロモ−2,3−プロパンジオール、1−メトキシ−2,3−プロパンジオール、1−アリルオキシ−2,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンメタンジオール等のポリアルキレングリコール類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく2種以上の混合物でもよい。
酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アンバーリスト-15(登録商標)等の固体酸類、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、四塩化スズ、二塩化亜鉛等のルイス酸を挙げることができる。
塩基触媒としては例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機アミン類、アンバーリスト−21(登録商標)、アンバーリスト−93(登録商標)等の弱塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。
酸または塩基触媒の使用量は、エポキシ基含有重合体(B)に対して、0.01〜10質量倍が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量倍、最も好ましくは0.5〜2質量倍である。これらの酸または塩基触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても構わない。
反応溶媒としては、原料のエポキシ基含有重合体(B)に対して不活性なものが使用でき、例えばn-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン、パークロルエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。原料のエポキシ基含有重合体(B)がその溶媒に対して不溶でない限り、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料のエポキシ基含有重合体(B)に対し0.8〜100質量倍が好ましく、より好ましくは1〜50質量倍、更に好ましくは2〜20質量倍である。
反応は、例えば次のようにして行うことができる。反応器に、エポキシ基含有重合体(B)、反応剤A、酸または塩基触媒を入れて混合し、均一に溶解するまで昇温する。ここで反応剤Aをあらかじめアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩として使用してもよい。反応温度は用いるエポキシ基含有重合体(B)が溶解する温度が好ましい。反応温度は、25〜300℃が好ましく、より好ましくは50〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。使用する化合物、溶媒によっては反応温度が沸点を超える場合があるためオートクレーブ等適切な反応装置を選択する。反応時間は使用する触媒の量、反応温度、重合体類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分から50時間である。
反応後は晶析操作、洗浄等の操作により、過剰の触媒、反応剤A、反応溶媒を除去して目的とするビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を得ることができる。上記反応において、原料のエポキシ基含有重合体(B)の製造工程から単離精製せずに上記反応を実施することもできる。
また、一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yともに水酸基である重合体の製造方法としては、アルコール等の相溶化溶媒の共存下、エポキシ基含有重合体(B)と水を反応させる方法が好ましい。
[(1b)X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(III)で示される基である重合体の製造方法]
原料となるエポキシ基含有重合体(B)に、一般式(VII)
Figure 2005220282
(式中、R,Rは一般式(III)と同様の原子または基を表す)
で示される化合物を反応させることにより、X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(III)で示される基である重合体を得ることができる。反応は、酸または塩基触媒を共存させてもよい。
一般式(VII)としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、メチルプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、1−エチルプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、tert-オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミン、N-(2−アミノエチル)-1,3−プロパンジアミン、3,3'-イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、trans-1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、ベンジルアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、4−アミノメチル−1,7−ヘプタンジアミン、アニリン、3−クロロアニリン、p-トルイジン、4−アミノフェノール、4,4'-メチレンジアニリン、1,3−フェニレンジアミン、1−アミノナフタレン、ジェファーミン類(登録商標)等を挙げることができる。
酸、塩基触媒とその使用量、反応溶媒とその使用量については、(1a)と同様である。
反応方法は、(1a)の場合と同様に行うことができるが、酸、塩基触媒の非存在下でも反応は進行する。
[(1c)X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(IV)で示される基である重合体の製造方法]
原料となるエポキシ基含有重合体(B)に、一般式(VIII)
Figure 2005220282
(式中、R〜Rは一般式(IV)と同様の原子または基を表す。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム原子、珪素原子、スズ原子を表し、Gはハロゲン原子を表し、lは1〜4の整数を、mは0〜3の整数を表す)
で示される有機金属化合物を反応させることにより、X、Yの一方が水酸基で、他方が一般式(IV)で示される基である重合体を得ることができる。
Gで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Mで示されるアルカリ金属としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子が挙げられる。
Mで示されるアルカリ土類金属としては、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子が挙げられる。
一般式(VIII)で表される有機金属化合物としては、例えば、酢酸エチル-ナトリウムエノレート、マロン酸ジエチル-ナトリウムエノレート、マロノニトリル-カリウムエノレート、コハク酸ジエチル-リチウムエノレート、2−シアノ酢酸エチル-ナトリウムエノレート等のエノレート類、 メチルリチウム、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ジエチル亜鉛、トリプロピルアルミニウム等の有機金属化合物等を挙げることができる。
これらの有機金属化合物の製造は、一般的な方法を用いる事ができる。
反応方法は、(1a)の場合と同様に行うことができる。この場合、酸、塩基触媒を用いないで反応を行うことができる。また、反応後は、水またはメタノール、エタノール等の低級アルコールで処理して金属を取り除くことができる。
反応溶媒とその使用量については(1a)と同様である。
[(1d)X、Yの一方が水酸基で、他方がシアノ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基で示される基である重合体の製造方法]
原料となるエポキシ基含有重合体(B)にシアノ化剤を反応させることにより、X、Yの一方が水酸基で、他方がシアノ基の重合体が得られる。
得られたシアノ基を含む重合体を加水分解によりカルボキシル基に誘導できる。更にこのカルボキシル基をエステル化することによりエステル基に誘導でき、アミド化することによりアミド基に誘導できる。これらの加水分解、エステル化、アミド化は、一般的な方法を用いる事ができる。
シアノ化剤としてはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、アセトンシアノヒドリン等を挙げることができる。シアノ化剤の使用量は原料のエポキシ基含有重合体(B)の0.9〜20質量倍が好ましく、より好ましくは1〜10質量倍、更に好ましくは1.1〜10質量倍である。
反応方法は、(1a)の場合と同様に行うことができる。この場合、酸、塩基触媒を用いないで反応を行うことができる。
反応溶媒とその使用量については(1a)と同様である。
[(2)一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yの一方がポリエチレングリコール基である重合体の製造方法]
一般式(Ia)または一般式(Ib)においてXまたはYの一方が水酸基のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(以下、重合体Dと表記する)を原料とし、該水酸基にエポキシ化合物を反応させることにより、一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yの一方がポリエチレングリコール基である重合体を得ることができる。
上記水酸基に付加重合するエポキシ化合物としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、及びエチレンオキシドである。
本反応に用いる触媒としては、例えばアルカリ金属水酸化物が挙げられる。また、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、及びホスファゼン化合物(以下、P=N結合を有する化合物と表記する)を用いることもできる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビシウム、水酸化セシウム等が挙げられる。
ホスファゼニウム化合物としては、例えば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。
ホスフィンオキシド化合物としては、例えば、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、又はトリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメチルホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタイソプロピル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリアリルホスファゼン、1−シクロヘキシル−2,2,4,4,4−ペンタアリル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−エチル−2,4,4,4−トリベンジル−2−トリベンジルホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−メチル−2,2,2−トリシクロペンチルホスファゼンまたは1−プロピル−2,2,4,4,4−シクロヘキシル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
触媒であるアルカリ金属水酸化物の使用量は原料の重合体Dの1モルに対して、0.05〜0.5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3モルの範囲である。
触媒であるP=N結合を有する化合物の使用量は、重合速度、経済性等の点から、原料の重合体Dの1モルに対して1×10−4〜5×10−1モルが好ましい。より好ましくは5×10−4〜1×10−1モル、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2モルである。
原料である重合体Dにエポキシ化合物を付加重合する温度は、重合速度、副反応抑制の点から、15〜130℃が好ましい。より好ましくは40〜120℃、更に好ましくは50〜110℃の範囲である。エポキシ化合物の付加重合温度を上記範囲内の低い温度で行う場合は、原料の重合体Dに対するP=N結合を有する化合物の濃度を先に述べた範囲内で高めることが好ましい。
エポキシ化合物の付加重合反応の圧力は、副反応抑制の点から、882kPa以下が好ましい。通常、耐圧反応器内でエポキシ化合物の付加重合が行われる。エポキシ化合物の反応は減圧状態から開始しても、大気圧の状態から開始してもよい。大気圧の状態から開始する場合には、窒素、又は、ヘリウム等の不活性気体存在下で行うことが望ましい。反応圧力は、より好ましくは686kPa以下、更に好ましくは490kPa以下である。エポキシ化合物としてプロピレンオキシドを用いる場合には、反応圧力は490kPa以下が好ましい。
反応におけるエポキシ化合物の供給方法は、必要量のエポキシ化合物の一部を一括して供給し、残部を連続的に供給する方法、又は、全てのエポキシ化合物を連続的に供給する方法等が用いられる。必要量のエポキシ化合物の一部を一括して供給する方法においては、エポキシ化合物の重合反応初期の反応温度は、上記温度範囲内でより低温側とし、エポキシ化合物の装入後に、次第に反応温度を上昇する方法が好ましい。
エポキシ化合物としてプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを併用する場合の重合方法には、(a)プロピレンオキシドを重合した後、エチレンオキシドをブロックで共重合するエチレンオキシドキャップ反応、(b)プロピレンオキシドとエチレンオキシドをランダムに共重合するランダム反応、(c)プロピレンオキシドを重合した後、エチレンオキシドを重合し、次いで、プロピレンオキシドを重合するトリブロック共重合反応が挙げられる。これらの中で好ましい重合方法は、エチレンオキシドキャップ反応とトリブロック共重合反応である。
付加重合器の最大圧力は、エポキシ化合物の装入速度、重合温度、触媒量等に影響される。エポキシ化合物の装入速度は、付加重合機の最大圧力が882kPaを超えないように制御することが好ましい。エポキシ化合物の装入が完了すると、付加重合器の内圧は徐々に低下する。内圧の変化が認められなくなるまで付加重合反応を継続することが好ましい。ポリアルキレングリコール基を含有するビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の水酸基価(OHV)を基準とすると、OHVが2〜200mgKOH/gとなるまで付加重合を継続することが好ましい。
エポキシ化合物の付加重合反応に際して、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
次に、上記のようにして製造されたポリアルキレングリコール基を含有するビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の精製方法について説明する。ポリアルキレングリコール基を含有する粗製ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体中に残存するアルカリ金属水酸化物およびP=N結合を有する化合物は、塩酸、リン酸等の鉱酸類、酢酸等の有機酸、炭酸ガス等による中和、吸着剤による吸着除去、水あるいは水/有機溶媒を用いた水洗、イオン交換樹脂によるイオン交換等の方法により除去することができる。
[(3)一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yの一方がアシルオキシ基である重合体の製造方法]
前記重合体Dを原料とし、該水酸基等をアシル化することにより、一般式(Ia)または一般式(Ib)においてX、Yの一方がアシルオキシ基である重合体を得ることができる。アシル化は、重合体Dと、対応する酸ハロゲン化物あるいは酸無水物を塩基触媒存在下反応させる一般的な方法で実施できる。
酸ハロゲン化物としては、例えば塩化アセチル、臭化プロピオニル、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、臭化ヘキサノイル、ヨウ化オクタノイル、塩化ベンゾイル、ヨウ化4−トリフルオロメチルベンゾイル、臭化3−ニトロベンゾイル、塩化ナフトイル、臭化パーフルオロヘプテノイル、ヨウ化パーフルオロオクテノイル等を挙げることができる。
酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等を挙げることができる。
塩基触媒としては(1a)で例示した触媒を挙げることができる。
[(4)一般式(Ia)または一般式(Ib)においてXとYが互いに結合して5員環を形成する重合体の製造方法]
[(4a)−X−Y−で表される2価の基が -O−CO−O- である重合体の製造方法]
原料となるエポキシ基含有重合体(B)に触媒存在下、二酸化炭素を反応させることにより、−X−Y−で表される2価の基が -O−CO−O- である重合体を得ることができる。
触媒としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム等のアルカリ金属ハロゲン化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン過塩素酸塩等の三級アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド等の四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を活性基として保有する塩基性アニオン交換樹脂、酸化マグネシウム等を挙げることができる。
本発明における、触媒の使用量は特に限定されないが、原料であるエポキシ基含有重合体(B)と二酸化炭素の総重量に対して0.1〜200質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜50質量%である。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本反応は無溶媒で行うことが可能であるが、必要に応じて溶媒を使用することも可能である。使用できる溶媒とその使用量は(1a)と同様である。
反応は、液相、気相、液−気混合相の何れでも行うことができる。更に常圧、加圧、減圧の何れの状態で実施する事も可能である。反応効率の面から液相反応で行うことが好ましい。
液相反応において、原料または生成物の沸点以上の反応温度で反応を行う場合には、原料および反応生成物に対して不活性な気体(例えばアルゴン、窒素またはヘリウムなど)により加圧状態として反応を行う事もできる。
反応温度は特に限定はされないが、好ましくは0〜250℃、更に好ましくは50〜200℃の範囲である。
反応時間は特に限定されないが、好ましくは数分から30時間程度であり、更に好ましくは0.5〜15時間程度である。
原料であるエポキシ基含有重合体(B)と二酸化炭素の仕込み組成は特に限定はされないが、例えばエポキシ基含有重合体(B)の高い転化率を達成するにはエポキシ基含有重合体(B)に対する二酸化炭素のモル比を高くすることが好ましい。本発明においてはエポキシ基含有重合体(B)に対する二酸化炭素のモル比は0.05〜50の範囲で行うことが好ましく0.5〜25の範囲が更に好ましい。
本反応後、生成物である末端カーボネートは晶析、洗浄等の精製方法により単離精製される。
また、−X−Y−で表される2価の基が-O−CO−O-である重合体は、一般式(Ia)または一般式(Ib)におけるXとYが両方とも水酸基のもの(重合体Eと表す)を、カーボネート化剤を用いてカーボネート化することによっても合成できる。カーボネート化剤としては、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルクロロホーメート、フェニルクロロホーメートを挙げることができる。
カーボネート化においては、塩基触媒および溶媒を共存させても良い。塩基触媒とその使用量、反応溶媒とその使用量は(1a)と同様である。
反応は、前記重合体E、カーボネート化剤、塩基触媒を混合し、加熱撹拌することにより進行する。反応温度は用いる重合体が溶解する温度が好ましいが、25℃から300℃が好ましく、より好ましくは50℃〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。使用する化合物、溶媒によっては反応温度が沸点を超える場合があるためオートクレーブ等適切な反応装置を選択する。反応時間は使用する触媒の量、反応温度、重合体類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分から50時間である。本発明の製造方法では、副生物の生成が少なく、反応後は晶析操作、洗浄等の操作により、過剰の触媒、反応溶媒を除いて目的とするビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を得ることができる。
[(4b)−X−Y−で表される2価の基が-O−CR10−O- である重合体の製造方法]
原料のエポキシ基含有重合体(B)のエポキシ基とカルボニル化合物を、触媒存在下、反応させることにより、−X−Y−で表される2価の基が-O−CR10−O- である重合体を得ることができる。ここで用いられるカルボニル化合物としては、該構造に対応するR10C=Oで表されるカルボニル化合物であり、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトンを挙げることができる。カルボニル化合物の使用量は、原料のエポキシ基含有重合体(B)1モルに対し、1〜100モルが好ましく、より好ましくは1.1〜50モル、更に好ましくは1.2〜20モルの範囲である。
本反応で使用できる触媒としては、例えば塩基触媒およびベンジルピリジニウム塩を挙げることができる。塩基触媒とその使用量は(1a)と同様である。
ベンジルピリジニウム塩としては、例えば、4−メトキシベンジル−4’−シアノピリジニウム塩、4−メチルベンジル−4’−シアノピリジニウム塩、1−フェニルエチル−1−(4’−シアノピリジニウム)塩、ベンジル−4−シアノピリジニウム塩、4−メトキシベンジル−2’−シアノピリジニウム塩、4−メチルベンジル−2’−シアノピリジニウム塩、1−フェニルエチル−1−(2’−シアノピリジニウム)塩、ベンジル−2−シアノピリジニウム塩等を挙げることができる。触媒として使用するベンジルピリジニウム塩の使用量は、原料のエポキシ基含有重合体(B)1モルに対し、0.0001〜1モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.001〜0.1モルの範囲内である。
反応の条件は特に制限されないが、例えば室温〜80℃で5〜120分間撹拌することにより反応を行うことができる。
本反応は無溶媒で行うことが可能であるが、溶媒を使用することも可能である。使用できる溶媒とその使用量は(1a)と同様である。
また、−X−Y−で表される2価の基が-O−CR10−O- である重合体は、前記重合体Eの水酸基をR10C=Oで表されるカルボニル化合物によりアセタール化することによっても合成できる。反応は、アルコールによるカルボニル化合物のアセタール化反応の一般的な方法により行うことができる。
[(4c)−X−Y−で表される2価の基が -O−CO−CHL- である重合体の製造方法]
一般式(Ia)または一般式(Ib)において、X、Yの一方が水酸基であり、他方が一般式(X)
Figure 2005220282
(式中、Lは前記と同様の原子または基を表し、R11は水素原子またはアルキル基を表す)
で示される基であるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(重合体Fと表す)を、(1c)の方法により合成し、該重合体を酸または塩基触媒存在下、加熱することにより、−X−Y−で表される2価の基が -O−CO−CHL- である重合体を得ることができる。
11のアルキル基は、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、一般式(Ia)または一般式(Ib)のQ〜Qにおいて例示したものと同様のものが挙げられる。
反応は、重合体Fと触媒を溶媒存在下、加熱することにより進行する。
酸または塩基触媒とその使用量、反応溶媒とその使用量は(1a)と同様である。
反応は、例えば次のようにして行うことができる。反応器に、重合体F、酸または塩基触媒を入れて混合し、均一に溶解するまで昇温する。反応温度は用いる重合体が溶解する温度が好ましい。25℃から300℃が好ましく、より好ましくは50℃〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。使用する化合物、溶媒によっては反応温度が沸点を超える場合があるためオートクレーブ等適切な反応装置を選択する。反応時間は使用する触媒の量、反応温度、重合体類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分から50時間である。
反応後は晶析操作、洗浄等の操作により、過剰の触媒、反応溶媒を除いて目的とする重合体を得ることができる。
<ビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の用途>
[トナー用離型剤]
本発明に係る重合体はトナー用離型剤として好適であり、定着ロールへの耐オフセット性を付与する。具体的には、画像鮮明性を向上させる。この離型剤は、結着樹脂(a)および着色剤(b)、ならびに必要に応じて帯電制御剤などとともに静電荷像現像用のトナーの成分として用いられる。この離型剤として用いるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の基となる重合体(A)の重量平均分子量は、500ないし5000の範囲が好ましく、より好ましくは800ないし3000の範囲である。
上記の結着樹脂(a)は、静電荷像の現像材に一般的に配合される熱可塑性樹脂からなるものであれば、いずれでもよく、特に制限されない。例えば、スチレン樹脂、スチレン−アクリルエステル酸共重合体、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらの中では、適当な軟化点(90℃〜120℃)で定着性が良いスチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル芳香族樹脂、およびエポキシ樹脂が特に好ましい。
上記(b)の着色剤は、静電荷像の現像材に一般的に配合されるものであればいずれでもよく、特に制限されない。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、アルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、ランプブラック、ローズベンガル、ジアゾイエロー、ローダミンBレーキ、カーミン6B、キナクリドン誘導体等の顔料または染料が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組合せても用いられる。
本発明のトナー用離型剤の配合割合は、通常、結着樹脂/着色剤/帯電制御剤/本発明の離型剤の比が、重量比で結着樹脂100/着色剤1〜10/帯電制御剤0〜5/本発明の離型剤0.5〜40程度であり、好ましくは結着樹脂100/着色剤1〜6/帯電制御剤0.5〜2/本発明の離型剤10〜20である。
[顔料分散剤]
本発明に係る重合体は顔料分散剤として好適であり、各種顔料との濡れに優れ、持続性を向上させる。具体的には、高濃度のマスターバッチを可能にさせる。この分散剤は、顔料と混合し、次に被着色樹脂と混合した後、押出機により混練および造粒し、ドライカラー、カラーコンパウンドまたはマスターバッチとして使用される。上記顔料分散剤の配合割合は、顔料100重量部に対して通常25ないし200重量部、好ましくは50ないし150重量部の範囲である。
顔料分散剤として用いるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の基となる重合体(A)の重量平均分子量は、1000ないし10000の範囲が好ましく、より好ましくは2000ないし6000の範囲である。
使用し得る被着色樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ4−メチルペンテン-1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABSなどのスチレン系樹脂、ビスフェノール−Aとホスゲンから得られるポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂およびフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
特に、本発明の顔料分散剤は、熱可塑性樹脂に対して好適に用いることができる。使用し得る顔料は、従来から合成樹脂の着色に知られている全ての顔料に使用することが出来る。顔料の具体例としては、アルミニウム、銀、金など金属類;炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ZnO、TiO2などの酸化物;Al2O3・nH2O、Fe2O3・nH2Oなどの水酸化物;CaSO4、BaSO4などの硫酸塩;Bi(OH)2NO3などの硝酸塩;PbCl2などの塩化物;CaCrO4、BaCrO4などのクロム酸塩;CoCrO4などの亜クロム酸塩、マンガン酸塩および過マンガン酸塩;Cu(BO)2などの硼酸塩;Na2U2O7・6H2Oなどのウラン酸塩;K3Co(NO2)6・3H2Oなどの亜硝酸塩;SiO2などの珪酸塩;CuAsO3・Cu(OH)2などのひ酸塩および亜ひ酸塩;Cu(C2H3O2)2・Cu(OH)2などの酢酸塩;(NH4)2MnO2(P2O7)2などの燐酸塩;アルミ酸塩、モリブデン酸塩、亜鉛酸塩、アンチモン酸塩、タングステン酸塩セレン化物、チタン酸塩、シアン化鉄塩、フタル酸塩、CaS、ZnS、CdSなどの無機顔料、コチニール・レーキ、マダー・レーキなどの天然有機顔料、ナフトール・グリーンY、ナフトール・グリーンBなどのニトロソ顔料;ナフトールイエローS、ピグメント・クロリン2Gなどのニトロ顔料;パーマネント・レッド4R;ハンザイエロー、ブリリアント・カーミン68、スカーレット2Rなどのアゾ顔料;マラカイン・グリーン、ローダミンBなどの塩基性染料レーキ、アシツド、グリーンレーキ、エオシン・レーキなどの酸性染料レーキ、アリザリン・レーキ、プルプリン・レーキ、などの媒染染料レーキ、チオ・インジゴ・レッドB、インタンスレン・オレンジなどの建染染料顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料などの有機顔料が挙げられる。
本発明の顔料分散剤は、ドライカラー法による着色、カラーコンパウンド法による着色またはマスターバッチ法による着色のいずれかの方法による着色にも利用できるが、なかでもマスターバッチ法に特に好ましく利用することができる。
[塩化ビニル樹脂用滑剤]
本発明に係る重合体は塩化ビニル樹脂用滑剤として好適であり、滑剤のバランスに優れ、持続性がある。具体的には、生産性を向上させ、消費電力の節減に繋がる。本発明の滑剤を用いたポリ塩化ビニル組成物において、滑剤の配合割合はポリ塩化ビニル100重量部に対し、0.05重量部ないし5重量部の範囲で、好ましくは0.1重量部ないし3重量部である。また、滑剤として用いられるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の基となる重合体(A)の重量平均分子量は、400ないし10000の範囲が好ましく、より好ましくは500ないし5000の範囲である。
滑剤として用いるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体は、一般式(Ia)または一般式(Ib)においてXまたはYがカルボキシル基である重合体が好ましい。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂添加剤を含むポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル、またはポリ塩化ビニルにポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、MBS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタアクリレートなどを混合したものであっても差し使えない。
また、これらの組成物には、更に耐熱安定剤を配合してもよい。使用しうる耐熱安定剤としては、ポリ塩化ビニル樹脂に対し安定化効果を示すものであれば何でもよく、例えば、鉛化合物、カドミウム化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、有機スズ化合物、エポキシ化合物、キレーター等およびこれらの混合物が使用される。本発明に係る滑剤を含むポリ塩化ビニル組成物は、更に他の滑剤、充填剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、耐候安定剤を含んでいてもよい。
本発明に係る滑剤を含む組成物は、初期滑性が優れるため、金属に対する粘着性が軽減され、安定に成形でき、連続運転を長時間にわたって、行うことができる。
[帯電防止剤]
本発明に係る重合体は帯電防止剤として好適であり、熱可塑性樹脂に少量添加することにより帯電防止性を有し、かつ相溶性も良いために成形時に金型汚染やロール汚染が発生せず、機械的強度にも優れる熱可塑性樹脂が得られる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ゴム状(共)重合体などのビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明の帯電防止剤を用いた熱可塑性樹脂組成物において、帯電防止剤の配合割合は熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.5重量部ないし20重量部の範囲で、好ましくは1重量部ないし10重量部である。また、帯電防止剤として用いられるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体の基となる重合体(A)の重量平均分子量は、1000ないし100000の範囲が好ましく、より好ましくは2000ないし50000の範囲である。
帯電防止剤として用いるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体は、一般式(Ia)または一般式(Ib)においてXまたはYにポリアルキレングリコール基を含有する重合体が好ましい。
また、帯電防止剤を含む樹脂組成物中には、帯電防止性を更に向上させる目的で、必要によりアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を含有させてもよい。なお、これらの塩は、帯電防止剤に含有させておいてもよい。
前記塩としては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の有機酸または無機酸の塩が使用できる。この場合のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。有機酸としては、炭素数1〜12のモノまたはジカルボン酸、炭素数1〜20のスルホン酸が好ましく、例えば、ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ酸,コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、チオシアン酸等が挙げられる。無機酸としては、ハロゲン化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。好ましくはハロゲン化水素酸、過塩素酸である。また、ハロゲン化水素酸の具体例としては、塩酸、臭化水素酸が挙げられる。
前記塩の具体例としては、酢酸カリウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、硫酸カリウム、燐酸カリウム、チオシアン酸カリウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、過塩素酸カリウムが好ましい。
前記塩の使用量は、樹脂表面に析出せず良好な外観の樹脂を与える観点から、帯電防止剤の重量に対して通常0.001〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%である。
また、帯電防止剤を含む樹脂組成物には、種々の用途に応じ、該組成物の特性を阻害しない範囲で他の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。他の樹脂用添加剤としては、顔料、染料、充填剤(有機及び/若しくは無機フィラー)、核剤、ガラス繊維、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤及び抗菌剤等が挙げられる。
本発明の帯電防止剤を含む樹脂組成物からなる成形品は、優れた機械的強度及び帯電防止性を有すると共に、良好な塗装性及び印刷性を有する。
[その他の用途]
本発明に係る重合体は、ワックスなどの公知の低分子量ポリエチレンが用いられる用途に広く利用することができる。この際には、必要に応じて種々の添加剤を添加して用いることもできる。
たとえば本発明に係る重合体を塗料改質剤として用いると、塗膜表面を改質することができる。たとえば艶消し効果に優れ、塗膜の耐摩耗性を向上させることができ、木工塗料に高級感を付与することができ、耐久性を向上させることができる。
また本発明に係る重合体をカーワックス、フロアーポリッシュなどの艶出し剤として用いると、光沢に優れ、塗膜物性を向上させることができる。
本発明に係る重合体はクレヨン、ローソクなどの天然ワックスへの配合剤として好適であり、表面硬度および軟化点を向上させることができる。
本発明に係る重合体は樹脂成形用離型剤として好適であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に離型性を付与して成形サイクルを向上させることができる
本発明に係る重合体はゴムとの相溶性に優れており、ゴムに離型性を付与し、粘度調整をするゴム加工助剤として好適である。ゴム加工助剤として用いたときにはフィラーおよび顔料の分散性を向上させ、ゴムに離型性、流動性を付与するのでゴム成形時の成形サイクル、押出特性を向上させることができる。
本発明に係る重合体は紙の滑性、表面改質を改良する紙質向上剤として好適であり、紙質向上剤として用いたときには、防湿性、光沢、表面硬度、耐ブロッキング性、耐摩耗性を向上させることができ、紙に高級感を付与し、耐久性を向上させることができる。
本発明に係る重合体はインキ用耐摩耗性向上剤として好適であり、耐摩耗性向上剤として用いたときには、インキ表面の耐摩耗性、耐熱性を向上させることができる。
本発明に係る重合体は繊維加工助剤として好適であり、繊維を樹脂加工する際に繊維加工助剤として用いたときには、繊維に柔軟性、滑性を付与することができる。
本発明に係る重合体はホットメルト添加剤として好適であり、ホットメルト接着剤に耐熱性、流動性を付与することができる。自動車、建材などの耐熱性が要求される分野でのホットメルト接着剤の品質を向上させることができる。
本発明に係る重合体は電気絶縁剤として好適であり、たとえばフィルムコンデンサーの電気絶縁性、耐熱的を向上させることができる。
本発明に係る重合体はポリオレフィンフィルムの防曇剤として好適であり、樹脂との相溶性に優れ、樹脂表面へのブリードアウトを抑制する。具体的にはフィルムに防曇効果を付与すると共に耐久性を向上させる。末端にポリアルキレングリコール基を含有するものが効果の点で有利である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、重量平均分子量MwおよびMw/MnはGPCを用い、前記の方法で測定した。
(製造例1)
[エチレン系重合体の製造]
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 1000ml、ビニルノルボルネン(5−vinylbicyclo[2,2,1]hept−2−ene)50mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥し、エチレン系重合体(A−1)を得た。エチレン系重合体(A−1)の物性は、以下の通り。
<エチレン系重合体(A−1)>
不飽和基数M:11.8個、
ビニルノルボルネン含有量:10.3質量%(不飽和基含有量(平均)=1.1個/分子)、
密度:956kg/m3
融点:117℃、
針入硬度:1以下、
Mn:1,300、
Mw:3,700、
Mw/Mn:2.8
(製造例2)
[エポキシ基含有重合体の製造]
500mlセパラブルフラスコにエチレン系重合体(A−1) 100gとトルエン300g、NaWO 0.85g(2.6mmol)、CH3(nC817)3NHSO4 0.60g(1.3mmol)、りん酸 0.11g(1.3 mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水 37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加し、30分撹拌した。過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温で、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に当該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、エポキシ基含有重合体(B−1)の白色固体96.3gを得た(収率99%、転化率100%)。エポキシ基含有重合体(B−1)の物性は、以下の通り。
<エポキシ基含有重合体(B−1)>
エポキシ基含有率(Ep):100%
密度:991kg/m3
融点:116℃、
針入硬度:1以下、
Mn:1,500、
Mw:5,000、
Mw/Mn:3.3
50 mLフラスコにNaOH 203 mg (5.08 mmol)、2−メトキシエタノール327 mg (4.30 mmol)、トルエン2.0 g を仕込み、110℃で20分撹拌した。ついで、この溶液にエポキシ基含有重合体(B−1)1.00 gを加え、110℃にて8時間撹拌した。その後、1モル/L塩酸水溶液を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加えて、反応生成物を晶析させた後、固体をろ取した。得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とアセトンの混合溶液で撹拌洗浄し、更にアセトン水溶液で1回、アセトンで2回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後室温にて減圧下乾燥させることにより、転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(一般式(Ia)においてQ〜Q:水素原子、A:単結合、X、Yの一方が水酸基、他方が2−メトキシエトキシ基)の白色固体884mgを得た。物性は以下の通り。
官能基含有率Fc:100%
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 末端メチル基), 0.93-2.25 (m), 3.22-3.41 (m, 酸素原子のα位), 3.43-3.70 (m, 酸素原子のα位)
融点 (Tm) = 115℃
50 mLフラスコにKOH 460 mg (7.01 mmol)、ポリエチレングリコール(平均分子量400)2.64 g (6.60 mmol)、トルエン2.0 g を仕込み、150℃で25分撹拌した。ついで、この溶液に製造例2で得たエポキシ基含有重合体(B−1)1.00 gを加え、150℃にて8時間撹拌した。その後、1モル/L塩酸水溶液を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加えて、反応生成物を晶析させた後、固体をろ取した。得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とアセトンの混合溶液で撹拌洗浄し、更にアセトン水溶液で2回、アセトンで3回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後室温にて減圧下乾燥させることにより、転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(一般式(Ia)においてQ〜Q:水素原子、A:単結合、X、Yの一方が水酸基、他方がポリエチレングリコール基(平均分子量400))の固体967 mgを得た。物性は以下の通り。
官能基含有率Fc:100%
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 末端メチル基), 0.92-2.18 (m), 3.22-3.72 (m, 酸素原子のα位)
融点 (Tm) = 116℃
50 mLフラスコに、製造例2で得たエポキシ基含有重合体(B−1)1.00 g、2−アミノエタノール415 mg (6.79 mmol)、トルエン3.0 g を仕込み、150℃にて9時間撹拌した。その後、水を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をアセトン水溶液で2回、更にアセトンで3回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体(一般式(Ia)においてQ〜Q:水素原子、A:単結合、X、Yの一方が水酸基、他方が2−ヒドロキシエチルアミノ基)の固体888 mgを得た。物性は以下の通り。
官能基含有率Fc:100%
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 末端メチル基), 0.92-2.40 (m), 2.45-3.18 (m, 窒素原子のα位), 3.40-3.90 (m, 酸素原子のα位)
融点 (Tm) = 115℃
本発明のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体は、例えば従来の材料より耐熱性の高いワックス系材料として塗料改質剤、艶出し剤、天然ワックス用配合剤として有用であり、また、樹脂の成型加工性改良剤として樹脂成型用離型剤、ゴム加工助剤、繊維加工助剤として有用である。更に、紙質向上剤、インキ用耐摩耗性向上剤、ホットメルト添加剤、電気絶縁剤、ポリオレフィンフィルム用防曇剤、トナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤、帯電防止剤としても有用である。

Claims (5)

  1. エチレンと少なくとも1種のジエンからなる共重合体、またはエチレンと少なくとも1種のジエン及び少なくとも1種の炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体であって、ジエンに由来する繰り返し単位の全部または一部が一般式(Ia)及び一般式(Ib)から選ばれる少なくとも1種で示される構造であるビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体。
    Figure 2005220282

    (式(Ia)及び(Ib)中、*は重合体中での結合位置を表し、Q〜Qは水素原子またはアルキル基を表し、QとQは結合して環を形成しても良く、またQ、Qが結合して環を形成しても良い。Aは単結合またはアルキレン基を表し、X、Yは、一方が水酸基、ポリアルキレングリコール基またはアシルオキシ基を表し、他方は一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)のいずれかで示される基、シアノ基、カルボキシル基、エステル基またはアミド基を表し、XとYは互いに結合して環を形成していてもよい。)
    Figure 2005220282
    (式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rは水素原子、炭化水素基、アシル基、ポリアルキレングリコール基を表す)
    Figure 2005220282
    (式中、R,Rは同一または相異なり、水素原子、炭化水素基、アシル基、ポリアルキレングリコール基を表す)
    Figure 2005220282
    (式中、R〜Rは同一または相異なり、水素原子、炭化水素基、アシル基、シアノ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基を表す)
  2. 請求項1記載のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含むトナー用離型剤。
  3. 請求項1記載のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含む顔料分散剤。
  4. 請求項1記載のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含む塩化ビニル樹脂用滑剤。
  5. 請求項1記載のビシナル置換型官能基含有エチレン系共重合体を含む帯電防止剤。


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