JP2005206568A - 皮膚老化防止・改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Rhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼ発現増加物質を含有する皮膚老化防止・改善剤。
【選択図】 なし
Description
1、2参照)。これらストレスファイバー等の細胞骨格系が出す力は、個々の細胞で見れ
ば細胞分裂、細胞遊走、形態変化、細胞の接着等に、またinvivo的には、例えば血管内皮細胞では血管収縮による血流制御、皮膚線維芽細胞では傷における創収縮等において重要な機能を発揮していると考えられる。すなわち、筋肉に発生する力と同様、非筋細胞の発生する力そのものが生態系で使われ、機能していると考えられる。
Kolodney MS, Wysolmerski RB, J.Cell Biol.,117, 73-82(1992) Kolodney MS, Elson EL, J.Biol.Chem., 268, 23850-5, 5(1993) Larsson L, Li X, Frontera W R, Am.J.Physiol., 272, C638-C649(1997) Ladora V, Brown M, J.Appl.Physiol., 86, 881-886(1999)
アクチン線維とミオシン線維から構成されるストレスファイバーの形成が必須となっている。通常、非筋細胞ではアクチン、ミオシン分子は細胞内にばらばらの状態で存在しており、ミオシン軽鎖分子のリン酸化によって引き起こされるアクチン、ミオシン等蛋白の重合、ストレスファイバーの形成、エネルギーの受け渡しと、ミオシン線維のスライド運動による一連の過程によりはじめて力が発生する。その力の発生の引きがねとなる部分はミオシン軽鎖のリン酸化であると考えられ、このリン酸化が細胞の力の発生には必須である(非特許文献1及び2)。一方、ミオシン軽鎖のリン酸化は、リン酸化する酵素であるミオシン軽鎖キナーゼ及びRhoキナーゼ(RockI、p160Rock)が担っていることが知られている(AmanoM, Chihara K, Kimura K, Fukata Y, Nakamura N, Matsuura Y, Kaibuchi K. Science,275, 1308-11(1997)、Totsukawa G, Yamakita Y, Yamashiro S, Hartshorne DJ, SasakiY, Matsumura F. J Cell Biol. 150, 797-806 (2000)、実験医学 Vol.17,No7(1999))。
ここで、当該細胞を培養する条件としては、これらの細胞を培養できる常用の培地を使用することができ、例えばイーグル基礎培地(BME)、イーグル最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、MCDB培地、199アール培地、RPMI1640改変培地等が挙げられるが、特にMEM、DMEMが好ましい。これらの培地には牛胎児血清(FBS、FCS)、牛新生子牛血清(NBS)等を添加するが、特にFBS又はFCSを添加することが好ましい。加える量としては細胞継体、増殖時は3−15%、好ましくは5−10%が、また、被検物質作用時には0%(無血清)−5%、好ましくは0.5%−5%がよい。
〜5万個細胞/cm2とするのが好ましく、例えば直径60mmのデッシュであれば1デッシ
ュ当り27万個〜145万個の細胞を播種するのが好ましい。デッシュは通常の培養用でもコラーゲンコートされたデッシュでもよい。
度培養するのがよい。
(1)細胞
ヒト皮膚線維芽細胞(男性、腹部由来、継代数2−3)を大日本製薬より購入し、購入時の継代数を3として、5%FCS含有DMEMでコンフルエント到達時にスプリット比1:4で継代培養した。継代数5−7を若年層(Young)、継代数16−19にin vitro 老化させた老年層(Old)として比較した。
コラーゲンゲル培養系で力の測定法はKolodenyらの方法に従って行った。簡単には、線維芽細胞包埋コラーゲンゲル(1.5×106cells, 1.5mg/mL collagen,新田ゼラチンTypeI-A)を37℃に保温した無血清培地50mL中に固定し、安定化させた後、無血清DMEMで最終濃度の50倍程度の濃度に調整した物質を1mL添加(最終濃度:トロンビン=0.2U/mL、LPA(リソフォスファチジン酸)=10μM)し、発生する力の変化を発生する力はIsotonic Transducerで計測し、MP100A−CE(BIOPACSystems, Santabarbara)で記録した。結果を図1に示す。
図1に示したごとく、in vitro老化させた老化線維芽細胞では若い線維芽細胞と比較し、トロンビン、LPAの刺激により細胞の発生する力が有意に低下することが確認された。細胞数は同一であることから加齢により個々の細胞の発生力が低下したと考えられる。
(1)細胞、抗体
実施例1と同一の細胞を用い、同様にin vitro 老化させた。
抗体はミオシン軽鎖キナーゼ抗体として、Anti-myosin light chain kinase抗体(clone; K36, Sigma, M7905)を、RhoキナーゼにはAnti-Rock(Rhokinase)-1 (clone; H85)を、アクチンはAnti-actin(I-19, 以上Santa Cruz Biotecnology, Inc.)を、ミオシンホ
スファターゼはAnti-myosinphosphatase (PRB-457C,Berkeley antibody Co.) 用いた。2次抗体はペルオキシダーゼ標識Anti-Goat IgG,Anti-Rabbit IgG(以上Santa Cruz Biotecnology, Inc.)等をそれぞれ1次抗体に合わせて用いた。
コラーゲンTypeIコートデッシュ(IWAKI)で培養された継代数7、11、13、17、20のヒト皮膚線維芽細胞を、コンフルエント状態でサンプルとした。冷PBSにより洗浄後、氷冷RIPAバッファー(1%NP40, 0.5%コール酸Na, 0.1%SDS/PBS溶液)により溶解、27Gシリンジ針を数回通して分解抽出した後、蛋白定量(BCA ProteinAsssay kit, PIERCE)した。蛋白含量をそろえた後、10%メルカプトエタノール添加済みlaemmliバッファー(Bio Rad)添加後5分間煮沸したものをサンプルとした。
実施例1及び2で用いた継代数16−19を6ウェルデッシュに播種し、24時間後、表2に示す各種植物抽出液を蒸発固形残分0.0005%から0.01%まで適宜コントロールした濃度で、あるいは日本薬局方収載植物に関してはその抽出液を0.05%から0.2%(体積%)で適宜コントロールした濃度で作用させ、48時間培養した。その後実施例2記載の方法にてサンプルを採取し、ウェスタンブロッティングを行ない、これと植物抽出液で処理していないコントロールについて、ミオシン軽鎖キナーゼ蛋白の発現量をみた。得られたシグナルを画像解析処理により定量化した。結果を表2に示す。
実施例3と同様の方法で、表3に示す各植物抽出液で処理したものと、処理していないコントロールについて、Rhoキナーゼ蛋白の発現量をみた。表3に示すごとく、各植物抽出はRhoキナーゼの蛋白発現量を増加していた。
本実施例では、ヘアレスの系統であるHR/HR (Skh-1)の雌マウスと、通常の毛を持つHaM/ICR系統の雄マウスより自家交配により作製したメスのHR/ICR ヘアレスマウスを使用した。マウス(8−10匹/ケージ)にSE20ランプ(Toshiba Co., Ltd., Japan) を用いてUVB を週5回、毎日12週間照射した。照射するUVBのエネルギー量は1週間目は47 mJ/cm2で、1週間に6-7 mJ/cm2づつ4週間目まで段階的に増やした。そして4週間目の照射量(67 mJ/cm2)を照射終了時まで維持した。UVB照射量はUV-ラジオメーター(UVR-305/365D, Tokyo Optical K.K.)にて測定した。4週間目以降の照射量、67 mJ/cm2、は最小紅斑量(1MED)よりやや低い値を示す。
マウスの背部皮膚にしわの形成が確認された後、6−8匹の群に分けた。UVB照射回数を週3回に減らして継続し、表5に示す各植物エキス(3 vol.%)を含むエタノール水溶液(water/ethanol=20/80 vol. %)を、背部皮膚に1日2回、週5日、4週間、1回あたり100μL塗布した。溶媒コントロールとしてエタノール水溶液 (water/ethanol=20/80 vol %) をサンプルと同様に100μL塗布した。
塗布前(0週時)と塗布終了後(4 週時)のしわの程度を目視により観測し、下記に示したような標準スコア(しわスコア)を用いて評価した。スコアの中間の値(1.5, 2.5, 3.5) も本評価には使用した。
1: しわが観察されない(しわが完全に消失あるいは取り除かれている);
2: 弱いしわが観察される;
3:しわが観察される;
4:顕著なしわが観察される。
コントロール群とサンプル群とのしわスコアの差(被検サンプルの有効性)は下記式により算出した。結果を表5に示す。
Claims (5)
- Rhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼ発現増加物質を含有する皮膚老化防止・改善剤。
- Rhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼ発現増加物質が、アルテア、ウコン、キウイ、ゲンチアナ、サンザシ、ジオウ、チョウジ、トウキンセンカ、ノバラ、パセリ、ハマメリス、サイシン、タイム、オトギリソウ、クララ、センキュウ、タイソウ、チンピ、トウキ、ヒバマタ、ボダイジュ、ホップ、レモン、ケツメイシ、コウボク、ゴシュユ、ゴミン、サンシュユ、ビャクジュツ及びマクリから選ばれる植物又はその抽出物である請求項1記載の皮膚老化防止・改善剤。
- アルテア、ウコン、キウイ、ゲンチアナ、サンザシ、ジオウ、チョウジ、トウキンセンカ、ノバラ、パセリ、ハマメリス、サイシン、タイム、オトギリソウ、クララ、センキュウ、タイソウ、チンピ、トウキ、ヒバマタ、ボダイジュ、ホップ、レモン、ケツメイシ、コウボク、ゴシュユ、ゴミン、サンシュユ、ビャクジュツ及びマクリから選ばれる植物又はその抽出物を含有するRhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼ発現増加剤。
- Rhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼの発現を増加させることを特徴とする皮膚老化防止・改善方法。
- 皮膚線維芽細胞と被検物質を共にインキュベートし、当該細胞におけるRhoキナーゼ又はミオシン軽鎖キナーゼの発現量を測定することを特徴とするしわ及びたるみ改善剤のスクリーニング方法。
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