JP2005199300A - プレス加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金型温度の過渡的な変化や外的要因による被加工材料の温度変化を補償して被加工材料を所定の温度にまで確実に加熱および/または冷却することができ、これによって被加工材料がMg合金や高張力鋼などの難加工材料であってもプレス成形の歩留りを高めることができるとともに、成形品の寸法精度の安定化やダイクエンチングの適正化を図ることのできるプレス加工方法を提供する。
【解決手段】 通電加熱用金型17により被加工材料7を加熱する通電加熱工程および/または冷却用金型19により被加工材料7を冷却する冷却工程をプレス機械1におけるスライド4のモーションに連動させて行い、かつ被加工材料7の温度を検出する温度センサ23,24からの温度情報に基づいてそのモーションの速度を調整することにより、被加工材料7を目標とする温度にまで加熱および/または冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばMg合金やTi合金、ステンレス、高張力鋼、熱処理鋼板などの難加工材料のプレス加工に用いられて好適なプレス加工方法に関するものである。
一般にプレス加工は、抜き加工、曲げ加工、絞り加工、成形加工、圧縮加工などに分類され、更にそれぞれの加工法は、加工前に材料を室温以上に加熱してから加工を行う温・熱間加工および材料を室温で加工する冷間加工に分けられる。
ところで、Mg合金、Ti合金、ステンレス、高張力鋼、熱処理鋼板などの難加工材料をプレス加工にて成形するというニーズは今後増加する傾向にある。それら難加工材料のプレス加工は、冷間加工で行うと割れや亀裂が生じてしまうことから、温・熱間加工にて行うのが好ましいとされている。したがって、プレス加工の良否を決定する上で、被加工材料を如何にして所定の温度にまで加熱するかが重要となってくる。ここで特に被加工材料が高張力鋼である場合にはスプリングバック等の影響によって所定の寸法にプレス成形するのが非常に困難であるため、近年、所謂「ダイクエンチング」と称される手法が注目されている。このダイクエンチングにおいては、その良否を決定する上で、被加工材料を如何にして所定の温度にまで冷却するかということも重要となってくる。
従来、温・熱間加工において被加工材料を加熱する方法としては、(A)加熱炉を用いて被加工材料を加熱する方法や、(B)ヒータによって加熱保温された金型で被加工材料を挟持して加熱する方法(例えば、特許文献1参照。)、(C)金型それ自体を電極とし、被加工材料をその電極兼金型で挟持して通電しジュール熱によって加熱する方法(例えば、特許文献2,3参照。)、(D)被加工材料の両端を電極でクランプして通電しジュール熱によって加熱する方法(例えば、特許文献4,5参照。)などが知られている。また、前記ダイクエンチングにおいては、被加工材料を所定の温度(例えば、900℃)にまで加熱してプレス成形を行った後に、その被加工材料を下死点で保持して冷却することにより、焼入れを行うと共に所定の寸法精度を確保するようにされている。
特開2001−252729号公報 特許第3285903号公報 特開平8−71684号公報 特開2002−18531号公報 特開2002−248525号公報
しかしながら、前記従来の(A)〜(D)の加熱方法および前記ダイクエンチングにおいては、金型に加圧力を付与するスライドのモーションが、所定の加熱時間(冷却時間)や金型温度、金型周辺環境などに基づいて予め定められているために、プレス加工開始時やプレス加工の一時的な中断時等に生じる金型温度の過渡的な変化や、気温の変化、被加工材料の潤滑状態などの影響によって、被加工材料を所定の温度にまで加熱および/または冷却することができない場合がある。このため、成形品の歩留りの悪化や寸法精度のばらつきを招いたり、ダイクエンチングを適正に行うことができなかったりする恐れがあるという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、金型温度の過渡的な変化や外的要因による被加工材料の温度変化を補償して被加工材料を所定の温度にまで確実に加熱および/または冷却することができ、これによって、被加工材料がMg合金や高張力鋼などの難加工材料であってもプレス成形の歩留りを高めることができるとともに、成形品の寸法精度の安定化やダイクエンチングの適正化を図ることのできるプレス加工方法を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明によるプレス加工方法は、
被加工材料を加熱する加熱手段および/または被加工材料を冷却する冷却手段を備えてなる金型に対して加圧力を付与するスライドを任意のモーションで駆動することができるように構成されるプレス機械を用いて、前記加熱手段により被加工材料を加熱する加熱工程および/または前記冷却手段により被加工材料を冷却する冷却工程を含むプレス加工工程を行うプレス加工方法であって、
前記加熱工程および/または冷却工程を前記スライドのモーションに連動させて行い、かつ被加工材料の温度を検出する温度検出手段からの温度情報に基づいてそのモーションの速度を調整することにより、被加工材料を目標とする温度にまで加熱および/または冷却することを特徴とするものである。
本発明において、前記加熱手段は、被加工材料に電流を通す所要の電極を有してなり、前記加熱工程は、前記電極から被加工材料への小電流の通電により前記電極と被加工材料とが密着されていることを確認した後に、前記電極から被加工材料への大電流の通電により被加工材料を加熱する通電加熱によって行われるのが好ましい(第2発明)。
本発明においては、被加工材料に対する加熱工程および/または冷却工程がスライドのモーションに連動して行われ、かつ被加工材料の温度を検出する温度検出手段からの温度情報に基づいてそのモーションの速度が調整されることにより、被加工材料が目標温度にまで加熱および/または冷却される。したがって、プレス加工開始時やプレス加工の一時的な中断時等に生じる金型温度の過渡的な変化や、気温の変化、被加工材料の潤滑状態などの影響による被加工材料の温度変化を補償して、被加工材料を所定の温度にまで確実に加熱および/または冷却することができる。こうして、加熱工程では被加工材料を所定の温度にまで確実に加熱することができるので、被加工材料がMg合金、Ti合金、ステンレス、高張力鋼、熱処理鋼板などの難加工材料であってもプレス成形を容易に行うことができ、歩留りを高めることができる。一方、冷却工程では被加工材料を所定の温度にまで確実に冷却することができるので、成形品の寸法精度の安定化や、ダイクエンチングの適正化を図ることができる。
また、第2発明によれば、電極から被加工材料への小電流の通電により電極と被加工材料とが密着されていることが確認された後に、電極から被加工材料に対し大電流が通電されることによって被加工材料が通電加熱されるので、電極の被加工材料への密着不足によるスパークの発生を確実に防止することができるという効果を奏する。
次に、本発明によるプレス加工方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るプレス機械の概略システム構成図が示されている。
本実施形態に係るプレス機械(サーボプレス)1は、サーボモータ2を駆動源とするスライド駆動機構3によりスライド4を上下方向に任意のモーションで駆動することができるように構成されている。このプレス機械1においては、スライド4とボルスタ5との間に、複数の金型を工程順に一列に配されてなる順送金型6が設けられており、図示省略される材料供給装置によってその順送金型6内に送り込まれた被加工材料7に対して、前記スライド4の上下駆動により順送り加工が行われるようにされている。なおここで、前記サーボモータ2は、交流モータもしくは直流モータのいずれであっても良い。また、前記サーボモータ2の回転力をスライド駆動機構3に伝達する回転力伝達部材8としては、タイミングベルトやチェーン、歯車などが採用される。また、前記スライド駆動機構3としては、サーボモータ2の回転力を往復運動に変換するボールスクリューを用いた直動機構、ウォームギヤとウォームホイールとを組み合せてなる直動機構、ピニオンギヤとラックとを組み合せてなる直動機構、クランク機構、リンク機構などが採用される。
前記サーボモータ2には、データの記憶や演算処理、データの表示、データの入出力などの各種機能を有してなるプレス駆動制御装置9からのサーボモータ駆動信号が入力されるようになっている。また、このサーボモータ2には、例えばパルスジェネレータなどのような回転速度を検出する速度検出手段10が設けられており、この速度検出手段10によって検出されたサーボモータ2の回転速度、言い換えればスライド4の速度情報が前記プレス駆動制御装置9に入力されるようになっている。
前記順送金型6には、図中記号Fにて示される材料送り方向の上流側から順に、第1の加工ステージ11、通電加熱ステージ12、第2の加工ステージ13、冷却ステージ14および第3の加工ステージ15が、それぞれ設けられている。
前記第1の加工ステージ11には、被加工材料7に対し抜き加工を行う抜き加工用金型16が配されている。また、前記通電加熱ステージ12には被加工材料7を加熱する通電加熱用金型(加熱手段)17が、前記第2の加工ステージ13には被加工材料7に対し上方に向けて円筒絞り加工を行う円筒絞り加工用金型18が、前記冷却ステージ14には被加工材料7を冷却する冷却用金型(冷却手段)19が、前記第3の加工ステージ15には被加工材料7に対しトリミングを行うトリミング用金型20が、それぞれ配されている。
前記各加工用金型16,18,20および通電加熱用金型17並びに冷却用金型19のそれぞれの下型16a〜20aは、ボルスタ5の上面に固定される下部ベースプレート21の上面に、圧縮コイルばねの弾性力を受けつつガイド部材(いずれも図示省略)の案内により各金型16〜20の動作方向(上下方向)に沿って移動可能に取り付けられている。こうして、特に通電加熱用金型17においては、後述する電極25が被加工材料7に通電可能に接触される際の衝撃力を緩和して電極25、被加工材料7等の保護を図るとともに、電極25と被加工材料7との接触状態を良好に保つようにされ、また電極25と被加工材料7とが通電可能に接触される接触位置を調整することで、電極25と被加工材料7との接触時間(通電時間)を調整して加熱時間を調整できるようにされている。なお、前記圧縮コイルばねに代えて、ガスクッションやダイクッションピン、油・空圧機構等を用いても良い。
一方、前記各加工用金型16,18,20および通電加熱用金型17並びに冷却用金型19のそれぞれの上型16b〜20bは、スライド4の下面に固定される上部ベースプレート22の下面に取り付けられている。そして、前記下部ベースプレート21と上部ベースプレート22との間には図示省略されるガイドポストが介設されており、下部ベースプレート21に対し上部ベースプレート22がそのガイドポストに案内されて上下動されることで、各種金型16〜20の位置決めがスムーズかつ正確に行われるようにされている。
前記通電加熱用金型17の上型17bおよび冷却用金型19の上型19bには、それぞれ被加工材料7の温度を検出する温度センサ(温度検出手段)23,24が設けられている。そして、通電加熱用金型17の上型17bに設けられた温度センサ23によって検出される被加工材料(成形前被加工材料)7の加熱温度情報は、前記プレス駆動制御装置9および後述する通電加熱制御装置27にそれぞれ入力される。一方、冷却用金型19の上型19bに設けられた温度センサ24によって検出される被加工材料(成形後被加工材料)7の冷却温度情報は、前記プレス駆動制御装置9に入力される。
前記通電加熱用金型17の下型17aには、被加工材料7に電流を通す所要の電極25が絶縁体26を介して取り付けられており、それら電極25は、印加電圧と供給電流とを制御する通電加熱制御装置27に電気的に接続されている。この通電加熱制御装置27と前記電極25との間の配線上には、電圧計28および電流計29がそれぞれ設けられており、その電圧計28の計測結果から得られる電圧値情報が通電加熱制御装置27に入力されるとともに、その電流計29の計測結果から得られる電流値情報が通電加熱制御装置27および前記プレス駆動制御装置9にそれぞれ入力されるようになっている。そして、この通電加熱制御装置27においては、当該通電加熱制御装置27に入力される電圧値情報、電流値情報、被加工材料(成形前被加工材料)7の加熱温度情報、およびプレス駆動制御装置9からの起動・停止信号に基づいて、前記電極25に供給する電圧を制御するようにされている。なおここで、前記電極25は、被加工材料(成形前被加工材料)7をより効率良く加熱するために、被加工材料(成形前被加工材料)7に対し第2の加工ステージ13で円筒絞り加工を施す上で加熱が必要とされる部位に対応させて配置されている。また、それら電極25の配置に対応するように所要の絶縁体30が通電加熱用金型17の上型17bに取り付けられている。
前記冷却用金型19を構成する上下各金型19b,19aには、冷却剤が流通される金型冷却用管路31が形成されている。各金型冷却用管路31は、冷却剤を給排制御する冷却制御装置32に接続されており、各金型冷却用管路31と冷却制御装置32との間で冷却剤が循環されるようになっている。また、各金型冷却用管路31と冷却制御装置32とを接続する配管上には、温度計33が設けられており、各温度計33の計測結果から得られる温度情報が冷却制御装置32に入力されるようになっている。そして、この冷却制御装置32においては、当該冷却制御装置32に入力される温度情報に基づいて、冷却剤の温度および流速を制御するようにされている。
前記スライド4およびボルスタ5には、リニアセンサなどから構成されるスライド位置検出手段34の構成部材がそれぞれ所定の位置に取り付けられている。すなわち、このスライド位置検出手段34は、軸方向がスライド4の上下方向と平行になるようにボルスタ5に取り付けられたリニアスケール35と、このリニアスケール35と対向した位置にあるようにスライド4に取り付けられた検出ヘッド36とから構成されており、スライド4の上下動に伴って、検出ヘッド36が、リニアスケール35に対して上下動することによって、検出ヘッド36の内部に組み込まれたセンサから、スライド4の位置がボルスタ5の上面からの高さとして検出されるようになっている。そして、このスライド4の位置情報は、前記プレス駆動制御装置9に入力される。
本実施形態において、スライド4のモーションは、(a)前記スライド位置検出手段34からのスライド位置情報、(b)前記速度検出手段10からのスライド速度情報、(c)温度センサ23からの加熱温度情報、(d)温度センサ24からの冷却温度情報、および(e)電流計29からの電流値情報に基づきプレス駆動制御装置9が演算処理を行い、この演算処理に基づいてそのプレス駆動制御装置9から出力されるサーボ駆動信号によりサーボモータ2の回転速度が制御されることによって制御される。
次に、前述のような構成のプレス機械1を用いた本実施形態のプレス加工工程の内容について以下に説明する。
まず、図示省略される材料供給装置によって順送金型6内に送り込まれた被加工材料7に対し第1の加工ステージ11においてその被加工材料7における成形予定部位の外周を抜き加工によって打ち抜く(抜き工程)。その後、被加工材料7における成形予定部位を通電加熱ステージ12において通電加熱により所定の温度にまで加熱する(通電加熱工程)。なお、この通電加熱工程において最適の加熱目標温度としては、例えば、被加工材料7の材質がMg合金の場合は250℃〜350℃、SUS304の場合は100℃〜150℃、高張力鋼、熱処理鋼板の場合は900℃程度である。
次いで、前記通電加熱工程にて加熱された被加工材料7に対し第2の加工ステージ13において円筒絞り加工を施してその被加工材料7をカップ状に成形する(成形工程)。その後、カップ状に成形された被加工材料7を冷却ステージ14において所定の温度にまで冷却する(冷却工程)。そして、この冷却工程を経た被加工材料7に対し第3の加工ステージ15においてトリミングを行ってスクラップと成形品とに分離する(トリミング工程)。なお、被加工材料7に対しダイクエンチングを施す場合には、前記成形工程と冷却工程とが1つのステージで行われる。
次に、前述のプレス加工工程が行われる際のスライドモーションについて、主に図2のスライドモーション説明図、並びに図3および図4の順送金型動作状態説明図を用いて以下に説明することとする。なおここで、図2のスライドモーション説明図において、横軸は時間を表わし、縦軸はスライドの高さ位置を表わしている。また、記号Aにて示される点は上死点を、記号Bにて示される点は抜き工程およびトリミング工程がそれぞれ開始される抜き加工工程開始点を、記号Cにて示される点は抜き加工工程およびトリミング工程が終了される抜き加工工程終了点を、記号Dにて示される点は通電加熱工程が開始される通電加熱工程開始点を、記号Eにて示される点は成形工程および冷却工程が開始される成形・冷却工程開始点を、記号Fにて示される点は成形工程が終了される下死点を、それぞれ表わしている。また、記号Gにて示される点は通電加熱ステージ12における被加工材料(成形前被加工材料)7の現在の加熱温度および冷却ステージ14における被加工材料(成形後被加工材料)7の現在の冷却温度を確認する加熱・冷却温度確認点を、記号H(H')にて示される点は通電加熱工程および冷却工程が終了される通電加熱・冷却工程終了点を、記号I(I')にて示される点は1サイクル終了後の上死点を、それぞれ表わしている。
図2に示されるように、スライド4は、上死点Aの状態(図3(a)参照)から抜き加工開始点Bの直前まで最速で下降される。次いで、抜き加工開始点Bから抜き加工終了点Cの間において、スライド4は、抜き加工およびトリミング工程を行う上で最適な速度で下降され、この点B−C間において、被加工材料7に対し抜き工程およびトリミング工程がそれぞれ行われる(図3(b)参照)。次いで、抜き加工終了点Cから通電加熱開始点Dの間において、スライド4は、電極25が被加工材料7に接触する際の衝撃を小さくして電極25の寿命を延ばすために、低速で下降される。この点C−D間において、電極25には、プレス駆動制御装置9からの所定の起動信号を受けて起動された通電加熱制御装置27によって微小な電圧が印加されており、電極25と被加工材料7とが接触されるに伴い(図3(c)参照)、電極25から被加工材料7に対し小電流が通電される。この小電流の通電が成されたことは電流計29からの電流値情報によってプレス駆動制御装置9に認識され、これによりプレス駆動制御装置9は電極25と被加工材料7とが完全に接触されていると判断する。そして、この判断に基づきプレス駆動制御装置9は通電加熱開始点Dにおいて通電加熱制御装置27に対し所定の起動信号を出力し、かかる起動信号を受けて通電加熱制御装置27は電極25に対し大電流を供給する。こうして、電極25から被加工材料7に対し大電流が通電され、被加工材料7の通電加熱工程が開始される。
この通電加熱工程が開始された後、スライド4は、成形工程開始点Eの直前まで再び高速で下降される。次いで、成形工程開始点Eから成形工程が終了する下死点Fの間において、スライド4は、円筒絞り加工を行う上で最適な速度で下降され、この点E−F間において、被加工材料7に対し円筒絞り加工が行われる(図3(d)および図4(a)参照)。なお、この点E−F間においては、成形工程と共に通電加熱工程および冷却工程が同時進行で行われる。
そして、スライド4は、下死点Fから加熱・冷却温度確認点Gまで所定の速度で上昇される。この加熱・冷却温度確認点Gでは、通電加熱ステージ12において電極25が被加工材料(成形前被加工材料)7に接触されている状態であるとともに、冷却ステージ14において冷却用金型19が被加工材料(成形後被加工材料)7に接触されている状態(図4(b)参照)であり、かかる状態においてプレス駆動制御装置9は、温度センサ23からの加熱温度情報および温度センサ24からの冷却温度情報により、通電加熱ステージ12における被加工材料(成形前被加工材料)7の現在の加熱温度および冷却ステージ14における被加工材料(成形後被加工材料)7の現在の冷却温度を確認する。この際、被加工材料(成形前被加工材料)7の現在の加熱温度または被加工材料(成形後被加工材料)7の現在の冷却温度が目標とする加熱温度または冷却温度に達していない場合には、通電加熱工程または冷却工程を継続させつつ、点G−H間を結ぶ実線にて示されるように、スライド4の速度をゼロにしたり、もしくは点G−H'間を結ぶ一点鎖線にて示されるように、スライド4の上昇速度を緩やかにしたりするなど、スライドモーションの速度を調整することにより、成形前の被加工材料7または成形後の被加工材料7を目標とする温度にまで加熱または冷却する。なおここで、点D−H間においては、通電加熱制御装置27による制御により、通電加熱時間(区間D−Hの時間軸)内において被加工材料(成形前被加工材料)7を目標とする加熱温度にまで加熱するための必要十分な電流が電極25に供給されるとともに、被加工材料(成形前被加工材料)7が目標とする加熱温度にまで加熱されたときにその供給電流が遮断されるようになっている。こうして、高精度に効率良く通電加熱工程を行うようにされている。
以上に述べたように、本実施形態においては、被加工材料7に対する通電加熱工程および/または冷却工程がスライド4のモーションに連動して行われ、かつ被加工材料7の温度を検出する温度センサ23,24からの温度情報に基づいてスライド4のモーション速度が調整されることにより、被加工材料7が目標温度にまで加熱・冷却される。したがって、プレス加工開始時やプレス加工の一時的な中断時等に生じる金型温度の過渡的な変化や、気温の変化、潤滑状態などの影響による被加工材料7の温度変化を補償して、被加工材料7を所定の温度にまで確実に加熱・冷却することができる。こうして、通電加熱工程では被加工材料(成形前被加工材料)7を所定の温度にまで確実に加熱することができるので、被加工材料7がMg合金、Ti合金、ステンレス、高張力鋼、熱処理鋼板などの難加工材料であってもプレス成形を容易に行うことができ、歩留りを高めることができる。一方、冷却工程では被加工材料(成形後被加工材料)7を所定の温度にまで確実に冷却することができるので、成形品の寸法精度の安定化や、ダイクエンチングの適正化を図ることができる。
また、図2における点C−D間において、電極25から被加工材料7への小電流の通電により電極25と被加工材料7とが密着されていることが確認された後に、同図における点D−H(H')間において、電極25から被加工材料7に対し大電流が通電されることによって被加工材料7が通電加熱されるので、電極25の被加工材料7への密着不足によるスパークの発生を確実に防止することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るプレス機械の概略システム構成図 本実施形態のプレス加工工程に係るスライドモーション説明図 本実施形態のプレス加工工程に係る順送金型の動作状態説明図(1) 本実施形態のプレス加工工程に係る順送金型の動作状態説明図(2)
符号の説明
1 プレス機械
4 スライド
6 順送金型
7 被加工材料
17 通電加熱用金型(加熱手段)
19 冷却用金型(冷却手段)
23,24 温度センサ(温度検出手段)
25 電極

Claims (2)

  1. 被加工材料を加熱する加熱手段および/または被加工材料を冷却する冷却手段を備えてなる金型に対して加圧力を付与するスライドを任意のモーションで駆動することができるように構成されるプレス機械を用いて、前記加熱手段により被加工材料を加熱する加熱工程および/または前記冷却手段により被加工材料を冷却する冷却工程を含むプレス加工工程を行うプレス加工方法であって、
    前記加熱工程および/または冷却工程を前記スライドのモーションに連動させて行い、かつ被加工材料の温度を検出する温度検出手段からの温度情報に基づいてそのモーションの速度を調整することにより、被加工材料を目標とする温度にまで加熱および/または冷却することを特徴とするプレス加工方法。
  2. 前記加熱手段は、被加工材料に電流を通す所要の電極を有してなり、前記加熱工程は、前記電極から被加工材料への小電流の通電により前記電極と被加工材料とが密着されていることを確認した後に、前記電極から被加工材料への大電流の通電により被加工材料を加熱する通電加熱によって行われる請求項1に記載のプレス加工方法。
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