JP2005196095A - レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 微細な解像性、LER及び焦点深度幅を向上させることを目的とするレジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】 (A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分、および(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するレジスト組成物であって、前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を含む質量平均分子量が8000以下の樹脂であり、前記(B)成分が、下記一般式(b−1)または(b−2)で表される少なくとも1種のスルホニウム化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物。
【化1】
Figure 2005196095

【選択図】 なし

Description

本発明は、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が導入されている。
また、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂(ベース樹脂)と酸発生剤と架橋剤とを含有するネガ型と、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂(ベース樹脂)と酸発生剤と含有するポジ型とがある。
現在、酸発生剤としてはオニウム塩が最も一般的に用いられている。
近年、半導体素子の急激な微細化に伴い、いっそうの高解像度が求められており、例えばラインアンドスペースで90nm以下が求められている。これに伴い、LER(ラインエッジラフネス)が深刻な問題となってきている。
ところで、現在、酸発生剤に使用されるオニウム塩のアニオン部(酸)は、鎖状のフッ素化アルキルスルホン酸イオンがほとんどであり、その他の酸は、酸性度の問題からあまり使用されていない。そのフッ素化アルキルのアルキル鎖は、レジスト膜中の酸の拡散長をコントロールするために炭素数の長いものが、好ましいが、そのアルキル鎖が炭素数4以上のフッ素化アルキルスルホン酸に関しては、安全性に対する疑問が指摘され始め現在、世界的に使用が制限されつつある。
従って、そのような長鎖のフッ素化アルキルスルホン酸を使わずに、レジスト膜中の拡散長が短い酸発生剤が必要とされている。
本発明者らはそのような酸発生剤として、上記請求項1に記載した特定のスルホニウム化合物が好ましいものであることに気づいた。
しかしながら、従来のArF用の樹脂に単にこれらのスルホニウム化合物を組み合わせて用いても、上記した微細な解像性、LER及び焦点深度幅をともに満足することは困難であった。
特開2003−160612号公報 特開2003−140346号公報 特許第3390702号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高解像性で、LERが小さく、かつ広い焦点深度幅を有するレジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、質量平均分子量の低い即ち、質量平均分子量8000以下の樹脂と特定の酸発生剤とを組み合わせて用いることで、十分な解像性が確保でき、同時に従来の樹脂を用いたレジスト組成物と比べてLERと焦点深度幅が大幅に改善されることを見出した。また、その他の特性(レジストパターン形状、現像欠陥(ディフェクト)等)についても従来の樹脂を用いた場合よりも非常に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分、および(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するレジスト組成物であって、
前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を含む質量平均分子量8000以下の樹脂であり、
前記(B)成分が、下記一般式(b−1)または(b−2)
Figure 2005196095
[式中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表し;R〜Rはそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表し、R〜Rのうち少なくとも1つはアリール基を表す]
で表される少なくとも1種のスルホニウム化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物である。
また、本発明の第2の発明は、前記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的に露光処理を行った後、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。また、「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。また、「(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
本発明のレジスト組成物、レジストパターン形成方法によれば、高解像性でかつ焦点深度幅が広く、レジストパターン形状に優れ、LERやディフェクトが低減されたレジストパターンを形成できる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
≪レジスト組成物≫
本発明のレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分(A)(以下、(A)成分ということがある。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある。)とを含むものである。
本発明は、(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を含む質量平均分子量8000以下の樹脂であること、および(B)成分が、前記一般式(b−1)または(b−2)で表される少なくとも1種のスルホニウム化合物を含有することを特徴とする。
本発明のレジスト組成物は、上記特徴を備えるものであれば、ポジ型であってもネガ型であってもよい。好ましくはポジ型である。
ネガ型の場合、レジスト組成物には、(A)成分としてアルカリ可溶性樹脂と共に架橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が発生すると、かかる酸が作用し、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ可溶性樹脂がアルカリ不溶性へと変化する。前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するメラミン、尿素又はグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤が用いられる。
ポジ型の場合、(A)成分は、いわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成においてマスクパターンを介して露光すると、または露光に加えて露光後加熱(PEB)を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。ポジ型の場合、(A)成分としては、構成単位(a)として、後述する構成単位(a1)等を有する樹脂が好ましく用いられる。
<(A)成分>
本発明においては、(A)成分が、構成単位(a)を含み、かつ質量平均分子量8000以下の樹脂であることにより、例えばArFエキシマレーザー等の200nm以下の波長を用いるプロセス用のレジストに用いるのに充分な透明性が得られる。また、後述する(B)成分との組み合わせにより、解像性やパターン形状に優れ、LER及びディフェクトの低減されたレジストパターンを形成することができる。さらに、レジストパターンを形成する際の焦点深度幅(DOF)も大きく、得られるレジストパターンの形状も良好である。
[構成単位(a1)]
本発明のレジスト組成物がポジ型である場合、構成単位(a)は、酸解離性溶解抑制基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、露光前の(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性基を有すると同時に、露光後は、(B)成分から発生する酸の作用により該抑制基を解離することにより、(A)成分全体のアルカリ可溶性を増大させる。
構成単位(a1)において、酸解離性溶解抑制基は、特に限定するものではない。一般的には(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と、環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成するものが広く知られているが、特に耐ドライエッチング性に優れ、レジストパターンの形成の点から、脂肪族単環式又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基が好ましく、脂肪族多環式基が最も好ましく用いられる。
前記脂肪族単環式基としては、シクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、シクロヘキサン、シクロペンタン等から1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
前記脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個又は2個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
この様な単環式又は多環式基は、例えばArFエキシマレーザー用のレジスト組成物の樹脂成分において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすい点から好ましい。
より具体的には、構成単位(a1)が、下記一般式(I)、(II)又は(III)から選択される少なくとも1種であると好ましい。
Figure 2005196095
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)
Figure 2005196095
(式中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に低級アルキル基である。)
Figure 2005196095
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは第3級アルキル基である。)
式中、Rとしては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。中でも、炭素数2以上、好ましくは2〜5のアルキル基が好ましく、この場合、メチル基の場合に比べて酸解離性が高くなる傾向がある。なお、工業的にはメチル、エチル基が好ましい。
前記R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の低級アルキル基であると好ましい。このような基は、2−メチル−2−アダマンチル基より酸解離性が高くなる傾向がある。
より具体的には、R、Rは、それぞれ独立して、上記R1と同様の低級の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。中でも、R、Rが共にメチル基である場合が工業的に好ましく、具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
前記Rは、tert−ブチル基やtert-アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
また、基−COORは、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、これらは異性体が混合していることから、結合位置を特定できない。また、(メタ)アクリレート構成単位のカルボキシル基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合するが、結合位置の特定はできない。
構成単位(a1)は、(A)成分の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であることが望ましい。
[構成単位(a2)]
(A)成分において、構成単位(a)は、構成単位(a1)に加えてさらに、ラクトン含有単環又は多環式基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。これにより、レジスト膜と基板との密着性を高められ、微細なレジストパターンにおいても膜剥がれ等が起こりにくくなる。また、(A)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a2)としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン環からなる単環式基またはラクトン環を有する脂肪族多環式基が結合した構成単位が挙げられる。なお、このときラクトン環とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ここではラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
そして、構成単位(a2)として、具体的には、例えば、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた単環式基や、ラクトン環含有ポリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた多環式基などが挙げられる。
具体的には、例えば以下の構造式(IV)〜(VII)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じであり、mは0又は1である。)
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
構成単位(a2)は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、特には20〜50モル%含まれていると好ましい。
[構成単位(a3)]
(A)成分において、構成単位(a)は、構成単位(a1)に加えて、あるいは構成単位(a1)及び構成単位(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。これにより、(A)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の炭化水素基(アルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、構成単位(a1)において例示したものと同様の多数の多環式基から適宜選択して用いることができる。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の炭化水素基のときは、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記[化9]、[化10]で表される構成単位が好ましいものとしてあげられる。
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じであり、nは1〜3の整数である。)
これらの中でも、nが1であり、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じであり、kは1〜3の整数である。)
これらの中でも、kが1であるものが好ましい。これらは異性体の混合物として存在する(シアノ基がノルボルナニル基の4位又は5位に結合している化合物の混合物)。
構成単位(a3)は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%、好ましくは20〜40モル%含まれていると好ましい。
<構成単位(a4)>
(A)成分は、さらに、構成単位(a1)〜(a3)以外の、多環式の脂肪族炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を含むものであってもよい。
ここで、「構成単位(a1)〜(a3)以外」とは、これらと重複しないという意味であり、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)としては、前記構成単位(a1)〜(a3)におけるものと同様な多数の多環式基が挙げられる。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記(IX)〜(XI)の構造のものを例示することができる。
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
Figure 2005196095
(式中、Rは前記に同じである。)
構成単位(a4)は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜25モル%、好ましくは10〜20モル%含まれていると好ましい。
(A)成分としては、前記構成単位(a1)〜(a4)から選択される構成単位を含むもの好ましい。そのなかでも特に、構成単位(a1)および(a2)を含むもの、構成単位(a1)〜(a3)を含むもの、構成単位(a1)〜(a4)を含むもの等が好ましい。
本発明において、(A)成分は、ポリマー末端に炭素原子に結合した水酸基を有し、当該水酸基のα位の炭素原子が、少なくともひとつの電子吸引性基を有する樹脂であってもよい。このような樹脂と(B)成分とを組み合わせて用いることにより、LERの改善効果や、現像欠陥の改善効果、特にコンタクトホールパターンを形成する際の現像欠陥の改善効果がさらに向上する。また、感度も向上する。
電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子等が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基において、ハロゲンは前記ハロゲン原子と同様である。アルキル基は炭素数、例えば1〜3程度の低級アルキル基が望ましく、好ましくはメチル基またはエチル基、最も好ましくはメチル基である。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が挙げられるが、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
電子吸引性基の数は、1または2であり、好ましくは2である。
前記炭素原子に結合した水酸基を有し、当該水酸基のα位の炭素原子が、少なくともひとつの電子吸引性基を有するとは、より具体的かつ好適には、−CROH基を有し、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基であり、その少なくともひとつはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基から選ばれる電子吸引性基であるものとして、表すことができる。
ここでのハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基とは前記したものと同様であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基が挙げられる。そして、その電子吸引性基は、前記したようにフッ素原子又はフッ素化アルキル基が好ましく、特にはR及びRがともにフッ素化アルキル基、中でもトリフルオロメチル基であるときが、合成上、またLERを小さくする効果に優れ好ましい。
この場合、(A)成分は、前記ポリマー末端に結合している−CROH基(以下、当該基を「末端構造」という場合がある)を有する構成単位(M1)の割合が、(A)成分を構成する、前記構成単位(M1)以外の構成単位の合計100モル%に対して、1モル%以上(好ましくは2モル%以上)であることが好ましい。なお、構成単位(M1)以外の構成単位の合計には、例えばラジカル重合で用いられるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の公知の重合開始剤から誘導される構成単位や樹脂の主成分たるモノマーから誘導される構成単位を含む。
上限値は特に限定する意義はないが、製造方法等に起因して、実用的には例えば5モル%以下とされる。また、組成によっては末端構造の割合が多すぎると、レジストパターンの膜減りや、パターンの裾がややテーパー状になる現象等が生じる場合がある。なお、当然であるが構成単位(M1)のモル数は、末端構造のモル数、水酸基のモル数と等しい。
1モル%以上とすることにより、末端構造を導入したことによるLERの改善効果に優れる。これ以下だとその効果に劣る傾向がある。
当該末端構造は、例えばポリマーをモノマーと重合開始剤にて、ラジカル重合によって重合する際に、−CROH基を有する連鎖移動剤を添加することによりポリマー末端に導入される。この場合、当該末端構造を有する構成単位(M1)とは、この連鎖移動剤から誘導される構成単位(M1)である。
連鎖移動剤は、例えば一般式「X−R’−CROH」で示される。
当該一般式中、Xは水酸基またはチオール基であり、当該連鎖移動剤は、水酸基またはチオール基の水素原子が脱離して、ポリマー末端に結合する。従って、この場合、構成単位(M1)とは、「X−R’−CROH」におけるXの水酸基またはチオール基から水素原子を除いた単位となる。なお、反応性の点から、Xはチオール基が好ましい。
また、R’は2価の脂肪族炭化水素基(直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよい)または2価の芳香族炭化水素基であり、これらの内、直鎖または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
脂環式基としては、例えばシクロヘキシレン基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えばp−フェニレン基等が挙げられる。
直鎖または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられるが、エチレン基、n−プロピレン基が好ましい。
好ましい連鎖移動剤の一般式は、SH−(CH−C(CF−OH(mは2〜4の整数)で表される。これにより、好ましい構成単位(M1)は−S−(CH−C(CF−OHで表される。
末端構造の割合(構成単位(M1)の割合)は、例えば仕込みのモノマーの量や前記連鎖移動剤の量を調整したり、前記連鎖移動剤を添加するタイミングを調整してレジスト組成物用樹脂の質量平均分子量を調整することにより、変化させることができる。
また、合成後のレジスト組成物用樹脂においては、末端構造のモル数(構成単位(M1)のモル数)は例えばプロトン−NMR、カーボンNMR等のNMR(核磁気共鳴スペクトル)によって測定することができる。
(A)成分の樹脂の質量平均分子量(ゲルパーミネーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算基準)は、8000以下である必要がある。7500以下がさらに好ましく、4000〜6500であるのが特に好ましく、5000〜6500であることが最も好ましい。質量平均分子量が8000以下であると、LERや現像欠陥が低減されるため好ましい。分子量が4000以上となることで合成が容易となる。
また、(A)成分は、1種または2種以上の樹脂から構成することができ、例えば上述の様な構成単位(a)からなる樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(A)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
本発明のレジスト組成物における(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。一般的には、固形分濃度にして、8〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
<(B)成分>
本発明は、(B)成分が、前記一般式(b−1)または(b−2)で表されるスルホニウム化合物(以下、それぞれ、スルホニウム化合物1、スルホニウム化合物2ということがある)を含有することを特徴とするものである。
式(b−1)、(b−2)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。 Xのアルキレン基の炭素数またはY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほどレジスト溶媒への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基またはY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
〜Rはそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。
〜Rのうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R〜Rのうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R〜Rのすべてがアリール基であることが最も好ましい。
〜Rのアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子等で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
〜Rのアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R〜Rはすべてフェニル基であることが最も好ましい。
これらのスルホニウム化合物1,2は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(B)成分は、解像性、レジストパターン形状、焦点深度等に優れることから、スルホニウム化合物1、2を含むことが必要である。
(B)成分中、スルホニウム化合物1及び2から選ばれる少なくとも1種の割合は、その合計量として、(B)成分全体の25〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。25質量%以上であることにより、本発明の効果が充分なものとなる。
本発明において、(B)成分は、さらに、従来化学増幅型のネガ型レジストにおいて使用されている公知の酸発生剤を含有してもよい。酸発生剤は、これまでヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩、オキシムスルホネート類、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ニトロベンジルスルホネート類、イミノスルホネート類、ジスルホン類など多種のものが知られているので、このような公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
その中でも、特にフッ化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含むオニウム塩(以下、オニウム塩系酸発生剤という)が、発生する酸の強度が強いことから、好適である。
かかるオニウム塩系酸発生剤のカチオンとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基などの低級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの低級アルコキシ基などで置換されていてもよいモノまたはジフェニルヨードニウム、モノ、ジ、またはトリフェニルスルホニウム;ジメチル(4‐ヒドロキシナフチル)スルホニウムなどが好ましい。
また、かかるオニウム塩系酸発生剤のアニオンは、炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたフッ化アルキルスルホン酸イオンが、安全性が高いことから好ましい。炭素数が7以下であることにより、スルホン酸としての強度も高くなる。また、該フッ化アルキルスルホン酸イオンのフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートなどが挙げられる。
このようなオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4‐メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4‐ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
これらのオニウム塩系酸発生剤酸発生剤は1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分としてオニウム塩系酸発生剤をスルホニウム化合物1及び2から選ばれる少なくとも1種と混合して用いる場合、オニウム塩系酸発生剤酸発生剤の割合は、10〜75質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。上記範囲内のオニウム塩系酸発生剤酸発生剤を配合することにより、LERや現像欠陥等に優れたものとなる。また、オニウム塩系酸発生剤とスルホニウム化合物1及び2から選ばれる少なくとも1種との混合比率(質量比)は1:9〜9:1、好ましくは1:5〜5:1、最も好ましいのは1:2〜2:1である。上記の比率で酸発生剤を混合して用いることで、LERや現像欠陥に優れたものとなる。
(B)成分は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部の割合で用いられる。下限値未満では像形成がなされず、30質量部をこえると均一な溶液となりにくく、保存安定性が低下するおそれがある。
<(C)成分>
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(C)(以下、(C)成分という)に溶解させて製造することができる。
(C)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤との配合比は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜8:2、より好ましくは2:8〜5:5の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤として乳酸エチル(EL)を配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜5:5、より好ましくは3:7〜4:6であると好ましい。また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。(C)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜圧に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内とされる。
<(D)成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
<(E)成分>
また、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。その中でもサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
<その他の任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
従来、化学増幅型レジストに使用されている酸発生剤は、アニオンとしてフッ化アルキルスルホン酸イオンを有するものがほとんどで、それ以外のアニオンを有する酸発生剤は、酸性度が低く、酸発生剤としての作用が弱いことから、あまり使用されていない。そして、該フッ化アルキルスルホン酸イオンとしては、微細なレジストパターンを形成しやすいことから、アルキル鎖の長いものが好ましく用いられている。微細なレジストパターンを形成できる理由としては、レジスト中での拡散長が短いことが考えられる。
しかし、アルキル鎖が長いフッ化アルキルスルホン酸イオン、例えばアルキル鎖の炭素数が8以上のものは、毒性が問題となり、使用が制限されるようになっている。
これに対し、上記スルホニウム化合物1,2を含有する本発明のレジスト組成物は、高解像性を有する。これは、スルホニウム化合物1,2が、式(b−1)または(b−2)に示すように嵩高いイミンスルホン酸の構造を有しているため、炭素数が小さくても拡散長が短く、そのため、高解像性を有すると考えられる。特にスルホニウム化合物1は環状構造を有するために、さらに拡散長が短く、解像性能が高いと予想される。また、該酸発生剤と(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を含む質量平均分子量8000以下の樹脂を組み合わせて用いることで、現像欠陥やLERが低減され、焦点深度幅の広く、矩形性の高いレジストパターンを形成することができる。
本発明は、上述のように、現像欠陥の低減効果を有している。ここで、現像欠陥(ディフェクト)は、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)等により、現像後のレジストパターンの真上から観察した際に検知されるスカムやレジストパターンの不具合全般のことである。このような現像欠陥は、プロセスにおける歩留まりの低下や製品の性能劣化などの原因となるため、非常に大きな問題である。これらの現像欠陥の原因としてはいくつかが考えられ、例えばレジストの解像性能、レジスト中の難溶化物・不純物等に起因するアルカリ溶解性のむら、レジストの表面状態などが挙げられる。
本発明において、現像欠陥が低減される理由としては、上述のように、現像欠陥の原因の1つとしてレジストの解像性能があり、解像性能が現像欠陥に与える影響が大きいと考えられるが、本発明は、上述のように、解像性能の向上効果に優れていることから、結果として、現像欠陥が低減されると考えられる。
このような現像欠陥の低減効果は、特に微細なコンタクトホール(C/H)パターンを形成しようとする場合に重要である。これは、微細なC/Hパターンを形成しようとする場合、非常に小さいサイズのC/Hパターンを形成するために非常に低い光強度でパターニングを行う必要があるため、C/Hパターンの上部あるいは内部が塞がってしまったり、色むらが出るといった現像欠陥が生じやすいためである。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、PAB(プレベーク)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるレジスト組成物は、特に、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
以下、本発明を、実施例を示して詳しく説明する。
合成例1−1
下記モノマー(a11)、(a21)及び(a31)の混合物0.25モルを、500mlのメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、これにAIBN0.01molを加えて溶解した。得られた溶液を、65〜70℃に加熱し、この温度を3時間維持した。その後、得られた反応液を、よく撹拌したイソプロパノール3L中に注ぎ、析出した固形物をろ過により分離した。得られた固形物を300mlのMEKに溶解し、よく撹拌したメタノール3L中に注ぎ、析出した固形物をろ過により分離し、乾燥させて、下記[化14]で表される、質量平均分子量6200の樹脂1−1を得た。
(a11):2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(一般式(I)において、Rがメチル基で、Rがエチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a21):ノルボルナンラクトンメタクリレート(一般式(VI)において、Rがメチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a31):3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(一般式(VIII)において、Rがメチル基で、nが1で、ヒドロキシ基がアダマンチル基の3位に結合した構成単位に相当するモノマー) 20モル%
Figure 2005196095
(式中、n/m/l=40/40/20(モル比))
合成例1−2
合成例1−1と同様な組成及び方法で質量平均分子量7500の樹脂1−2を得た。
合成例1−3
合成例1−1と同様な組成及び方法で質量平均分子量9500の樹脂1−3を得た。
合成例2−1
合成例1−1において、(a11)、(a21)、(a31)に代えて下記モノマー(a12)、(a22)、(a32)を用いた以外は合成例1−1と同様にして、下記[化15]で表される、質量平均分子量6400の樹脂2−1を得た。
(a12):2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(一般式(I)において、Rがメチル基で、Rがメチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a22):γ−ブチロラクトンメタクリレート(一般式(VII)において、Rがメチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a32):シアノノルボルナニルメタクリレート 20モル%
Figure 2005196095
(式中、n/m/l=40/40/20(モル比))
合成例2−2
合成例2−1と同様な組成及び方法で質量平均分子量7200の樹脂2−2を得た。
合成例2−3
合成例2−1と同様な組成及び方法で質量平均分子量9800の樹脂2−3を得た。
合成例3−1
合成例2−1において、(a32)に代えて下記モノマー(a31)を用いた以外は合成例1−1と同様にして、下記[化16]で表される、質量平均分子量7200の樹脂3−1を得た。
(a12):2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(一般式(I)において、Rがメチル基で、Rがメチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a22):γ−ブチロラクトンメタクリレート(一般式(VII)において、Rがメチル基である構成単位に相当するモノマー) 40モル%
(a31):3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(一般式(VIII)において、Rがメチル基で、nが1で、ヒドロキシ基がアダマンチル基の3位に結合した構成単位に相当するモノマー) 20モル%
Figure 2005196095
(式中、n/m/l=40/40/20(モル比))
合成例3−2
合成例3−1と同様な組成及び方法で質量平均分子量10500の樹脂3−2を得た。
合成例4
合成例1−1において、モノマーとして、下記モノマー(a41)、(a42)を用いて、250gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解したこと以外は合成例1−1と同様にして、下記[化17]で表される、質量平均分子量9000の樹脂4を得た。
(a41):無水マレイン酸 50モル%
(a42):tert−ブトキシカルボニルノルボルナン 50モル%
Figure 2005196095
実施例1
合成例1−1で得られた質量平均分子量6200の樹脂1の100質量部に、(B)成分として、上記一般式(b−1)におけるXが炭素数3のアルキレン基であり、R〜Rがフェニル基であるスルホニウム化合物([化18]、以下、PAG1という)3.0質量部、(D)成分としてトリエタノールアミン0.35質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)と乳酸エチル(EL)との混合物(質量比8:2)に溶解して、固形分濃度8質量%のポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 2005196095
次いで、有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、上記ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で125℃、90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚250nmのレジスト層を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,2/3輪帯)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリー)を介して選択的に照射した。
そして、110℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して、レジストパターンを形成した。
その結果、実施例1のポジ型レジスト組成物を用いて得られた100nmのマスクが100nmに転写される露光量にて露光したときのラインアンドスペースの限界解像力は90nmであった。また、100nmのラインアンドスペースが1:1で形成される際の感度は30mJ/cmであり、形状は、トップ形状がよく垂直性のよい、矩形性の高いものであった。また、上記で形成した100nmのラインアンドスペース(L&S)パターンのLERを示す尺度である3σを求めた。その結果、得られたパターンの3σは10.0nmであった。
なお、3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。また、ディフェクトを、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置 KLA2351(製品名)を用いて測定し、ウェーハ内の欠陥数を評価したところ、0.07個/cmであった。また、異物経時特性として、液中パーティクルカウンター(Rion社製、製品名:パーティクルセンサー KS−41)を用いて、製造後40℃で2週間保存した後のレジスト組成物の異物経時特性を評価したところ、異物は確認できなかった。また、100nm、ラインアンドスペース(L&S)パターンを形成した際の焦点深度幅(DOF)は、それぞれ、450nmであった。
実施例2〜9、比較例1〜4
実施例1と同様な方法で、表1に示す組成のポジ型レジスト組成物を調製した。
なお、実施例6〜7および比較例2は、実施例1におけるPEBの条件を125℃、90秒に変えた。また、実施例8および比較例3は、実施例1におけるPABの条件を130℃、90秒に変え、PEBの条件を130℃、90秒に変えた。また、比較例4は、実施例1におけるPABの条件を130℃、60秒に変え、PEBの条件を130℃、60秒に変えた。
Figure 2005196095
表1中、PAG2は下記[化19]で表される化合物であり、PAG3は下記[化20]で表される化合物である。
また、AMINE1はトリエタノールアミンである。
Figure 2005196095
Figure 2005196095
実施例2〜9及び比較例1〜4で調製したポジ型レジスト組成物を、実施例1と同様な方法で評価し、表2にその結果をまとめた。
Figure 2005196095
上述の結果から明らかなように、実施例1〜9のポジ型レジスト組成物は、高解像性でかつ焦点深度幅が広く、LER、現像欠陥が低減され、保存安定性の良好なものであることがわかった。また、実施例3〜7において酸発生剤としてスルホニウム化合物とオニウム塩を混合して用いた場合パターン形状及びLERについて最も優れていることがわかった。
合成例5
下記[化21]で表され、そのポリマー末端に−C(CFOH基(末端構造)が結合した樹脂5を以下の手順で合成した。
Figure 2005196095
(式中、n/m/l=40/40/20(モル比))
2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート/γ−ブチロラクトンアクリレート/3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート=40/40/20(モル%)の組成のモノマー0.1molをTHF(テトラヒドロフラン)150mlに溶解させ、AIBN(前記モノマー100モル%に対して4モル%)を用いて70℃でラジカル重合を開始し、重合の連鎖移動剤として下記化学式22
Figure 2005196095
で表される化合物(末端構造のpKaは約7)を、前記仕込みのモノマーと、AIBNの合計100モル%に対して、2.5モル%添加して重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をn−ヘプタン2000mlに注加し、25℃で30分間撹拌して析出した固体をろ取した。この固体を再度THF200mlに溶解した後n−ヘプタン2000mlに注加し、25℃で30分間撹拌して析出した樹脂5をろ取した。該樹脂5の質量平均分子量は7000であった。
実施例10
合成例5で得られた樹脂5(100質量部)に、以下の成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を製造した。
(B)成分:PAG1(2.5質量部)および下記[化23]で表される化合物(以下、PAG4という)(1.0質量部)
Figure 2005196095
(D)成分:トリエタノールアミン(0.1質量部)
(E)成分:サリチル酸(0.1質量部)
(C)成分:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル=60/40(質量比)の混合溶剤(1200質量部)
ついで、得られたポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で90℃、90秒間プレベーク(PAB処理)し、乾燥することにより、膜厚220nmのレジスト層を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S306(Nikon社製NA(開口数)=0.78,σ=0.3)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に露光した。
そして、90℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で、23℃の温度条件下で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して、口径300nm、ピッチ500nmのコンタクトホール(CH)パターンを得た。その際の感度(Eop)は18.5mJ/cmであった。
現像欠陥の評価のため、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2132(製品名)を用いてウェーハ内の欠陥数を測定したところ、8.9個/cmであった。微細なホールパターンの現像欠陥の測定は非常に難しい為、300nmのホールパターンで現像欠陥を測定している。
次に、マスクを変更して解像性及び焦点深度幅の確認を行ったところ、それぞれ口径130nmの孤立ホールパターン(ピッチ1000nm)及び口径130nmのホールパターン(ピッチ220nm)が得られた。その際の焦点深度幅はそれぞれ0.25μm及び0.3μmであった。
比較例5
(B)成分としてPAG4(1.0質量部)および下記[化24]で表される化合物(以下、PAG5という)(2.5質量部)を用いた以外は実施例10と同様にしてポジ型レジスト組成物を製造し、口径300nm、ピッチ500nmのCHパターンを形成した。その際の感度(Eop)は32.5mJ/cmであった。
Figure 2005196095
得られたCHパターンについて、実施例10と同様の評価を行った。欠陥数は77.1個/cmであり、実施例10の約10倍であった。

Claims (7)

  1. (A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分、および(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するレジスト組成物であって、
    前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を含む質量平均分子量8000以下の樹脂であり、
    前記(B)成分が、下記一般式(b−1)または(b−2)
    Figure 2005196095
    [式中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表し;R〜Rは、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し、R〜Rのうち少なくとも1つはアリール基を表す]
    で表される少なくとも1種のスルホニウム化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物。
  2. 前記(B)成分が、さらに炭素数1〜7の直鎖状のフッ化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤を含有する請求項1記載のレジスト組成物。
  3. 前記構成単位(a)が、酸解離性溶解抑制基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項1または2記載のレジスト組成物。
  4. 前記構成単位(a)が、さらに、ラクトン含有単環又は多環式基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項3記載のレジスト用樹脂。
  5. 前記構成単位(a)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項3または4記載のレジスト組成物。
  6. さらに含窒素有機化合物を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的に露光処理を行った後、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
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