JP2005189059A - ナビゲーション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 仮想基準点を任意に設定する相対測位を行うものにあって、仮想基準点を効率的に配置する。
【解決手段】 カーナビゲーション装置は、自車位置の近傍の仮想基準点Vn における測位用データを補正情報生成センタに要求する。補正情報生成センタは、緯度、経度、高度が既知の固定位置に設置された複数のGPS実基準局からの観測データに基づいて、仮想基準点Vn における補正情報を生成し、カーナビゲーション装置に送信する。カーナビゲーション装置は、仮想基準点Vn についての補正情報を用いたRTK測位を行う。カーナビゲーション装置は、ルートガイダンス機能により求められた自車の移動経路Rに沿って、距離2D間隔で切替点Pn を設定し、隣り合う切替点Pn 間の中心に仮想基準点Vn を設定する。更に、切替点Pn の周囲に、半径ΔDのオーバーラップ領域Oを設け、自車位置がオーバーラップ領域Oに入ったところで、仮想基準点Vn-1 の補正情報を用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn に関する初期化処理とを並行して実行する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、GPS受信機により受信したGPS情報及び通信手段により受信した測位用データ(補正情報)から自局の位置を検出する相対測位を行うように構成されたナビゲーション装置に関する。
例えば陸上用、海上用、航空用のナビゲーション装置に利用される測位システムとしては、RTK−GPSといった、キネマティック干渉測位方式が考えられている(例えば特許文献1参照)。しかし、このような従来の干渉測位方式においては、本来的に、2つの受信機間(基準局と移動局との間)の距離が大きくなるに従って位置精度が劣化する事情がある。
特開平7−190769号公報
そこで、近年では、VRS,FKP方式といった、任意の位置に仮想的な基準点を設け、その基準点(V1)を元に干渉測位を行う方法が提案されている。これを用いると、移動局が移動する毎に、新たな基準点(V2)を移動局の位置付近に設けることができるので、2つの受信機間(基準局と移動局との間)の距離を極力小さくすることができ、測位精度の大幅な向上を図ることができるのである。
ところが、このような干渉測位方式、特にキャリア位相を用いたRTK−GPS測位方式においては、基準点がV1からV2に切替わることに伴って初期化動作(位相アンビギュイティを算出する作業)が必要となる事情がある。そのため、十分な測位精度を確保しながらも、基準点の切替を極力少なくするように、基準点を効率的に設定(配置)する必要がある。ちなみに、初期化動作は、演算式上、理論的に30秒程度経過しない限り解を得ることができない。また、初期化動作が完了しない限り、RTK−GPS測位で位置を求めることはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、仮想基準点を任意に設定する相対測位を行うものにあって、仮想基準点を効率的に配置することができるナビゲーション装置を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの移動経路を探索し案内するルートガイダンス機能を有すると共に、GPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信機と、情報センタに対し任意の仮想基準点における測位用データの送信を要求すると共に、実基準局にてGPS衛星から受信したGPS情報に基づいて求められた仮想基準点の測位用データを情報センタから受信することが可能な通信手段と、GPS受信機により受信したGPS情報及び通信手段により受信した測位用データから自局の位置を検出する相対測位手段とを具備するものにあって、ルートガイダンス機能による自局の予測移動経路に応じて仮想基準点を設定する仮想基準点設定手段を設けたところに特徴を有する(請求項1の発明)。
本発明においては、ルートガイダンス機能の実行により予め自局の予測移動経路が判ることを利用し、仮想基準点を任意に設定する相対測位を行うにあたって、仮想基準点設定手段により、ルートガイダンス機能による自局の予測移動経路に応じて仮想基準点が設定される。このとき、仮想基準点を、自局の移動経路に沿って配置することができ、しかも、その仮想基準点の配置の間隔についても、予め必要に応じてつまり要求される測位精度が得られる範囲で容易に設定することができる。この結果、必要最小限の仮想基準点を効率的に配置することができ、ひいては基準点の切替を少ない回数で済ませることが可能となるものである。
より具体的には、仮想基準点設定手段を、出発地である開始点P0 から目的地である終了点Pk に向けて予測移動経路を直線距離2D毎に区切っていくことにより、測位用データを用いる仮想基準点Vnを切替えるべき切替点P1 〜Pk-1 を設定すると共に、隣合う切替点Pn-1 、Pn (但し、n=1〜k)の中間地点に、仮想基準点Vn を設定するように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、出発地から目的地に到達するまでの間に、常に自局の予測移動経路近傍に位置し、且つ、仮想基準点と自局との間の距離を常に距離D以下とする位置に、仮想基準点Vn を効率的に設定することができる。
このとき、本発明では、移動中に次に切替えられるべき仮想基準点Vn+1 が既に判明しているので、自局の位置が次の切替点Pn に至る前の段階で、次の仮想基準点Vn+1 の測位用データを要求し、仮想基準点Vn の測位用データを用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn+1 に関する位相アンビギュイティを算出する初期化動作との並行動作を実行することが可能となる(請求項3の発明)。これによれば、自局の位置が次の切替点Pn に至る前に、次の仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作を開始することができるので、初期化動作を行うために干渉測位が実行できなくなるいわばロス時間をなくす或いは短くすることが可能となる。
そしてこの場合、前記仮想基準点Vn の測位用データを利用するカバーエリアが、その仮想基準点Vn を中心とし、距離Dにオーバーラップ量ΔDを加算した半径Dsの円の範囲内に設定されることにより、切替点Pn の前後に該切替点Pn を中心とした半径ΔDの円からなるオーバーラップ領域が設けられ、自局の位置がそのオーバーラップ領域に侵入したときに、上記した並行動作を実行するように構成することができる(請求項4の発明)。これによれば、オーバーラップ量ΔDを適切に設定することにより、仮想基準点の切替時に発生する初期化動作のオーバーヘッドをなくすことができる。
従ってこの場合、上記オーバーラップ量ΔDを、切替点Pn を通過する際の予測移動速度に応じて設定することが望ましく(請求項5の発明)、これにより、初期化動作に必要十分な時間に応じたオーバーラップ量ΔDを設定することが可能となる。例えば、自局の予測移動速度をv、初期化動作に要する時間をTi (例えば30秒)とすると、2ΔD=v*Ti の計算式で設定することができる。
また、上記並行動作の実行中に、仮想基準点Vn に関する測位用データの受信が遮断された場合、あるいは、自局の位置が仮想基準点Vn のカバーエリアから外れた場合には、仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作の完了していない時点であっても、仮想基準点Vn の測位用データを利用した相対測位を停止するように構成することができる(請求項6の発明)。これにより、仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作の実行中に、仮想基準点Vn に関する初期化動作を再度実行してしまうといったことを防止することができる。
さらに、距離Dの値を、移動経路の地理的条件により変化させるように構成することも可能である(請求項7の発明)。ここで、例えば、道路の密集するような都市部や交通の要衝では、測位精度を十分に高めることが望ましいが、辺地においては、実用上それほど高い測位精度は要求されない。従って、移動経路にそのような都市部と辺地との双方を含むような場合には、辺地における距離Dの値を都市部よりも大きくすることによって、測位精度面での不都合を招くことなく、その分だけ仮想基準点の数つまり切替回数を少なくすることが可能となる。
ところで、ルートガイダンス機能による移動経路の案内中であっても、何らかの理由で自局の位置が案内中の移動経路を外れてしまうことがしばしば起こるため、自局の位置が案内中の移動経路を外れた場合に目的地までの移動経路を再探索する再探索機能を備えるものがある。このような再探索機能を備えるものにあっては、仮想基準点Vn のカバーエリア走行中に自局位置が移動経路を外れた場合に、仮想基準点設定手段を、再探索された移動経路に基づいて、切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降を再設定するように構成することができる(請求項8の発明)。これにより、自局の位置が案内中の移動経路を外れた場合でも、適切な切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降を再設定して相対測位を続行していくことができる。
以下、本発明をカーナビゲーション装置に適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。
まず、図7は、本実施例におけるGPSを用いた相対測位システム(RTK−GPS測位システム)の構成を概略的に示している。ここで、地球上空の衛星軌道上には、複数個のGPS衛星1が周回しており、時刻情報や航法メッセージ等のGPS情報を電波信号により送出している。一方、地上には、複数の実基準局2、及び、情報センタとしての補正情報生成センタ3が設けられる。また、本実施例では、本システムを利用して自位置の測位を行う移動局として、自動車4に搭載されるカーナビゲーション装置5を具体例としており、このカーナビゲーション装置5は、例えば移動通信網(セルラー網等)の基地局6を介して、前記補正情報生成センタ3との間で双方向通信(無線通信)がなされるようになっている。
前記実基準局2は、GPS受信機を備えて構成され、正確に測量され緯度、経度、高度が既知の固定位置(電子基準点)に設置されている。この場合、複数の実基準局2が、適当な間隔(例えば50km〜100km程度)で配置されている。各実基準局2のGPS受信機は、適切な4個のGPS衛星1を捕捉し、それらからのGPS情報を常時受信するようになっている。そして、複数の実基準局2は、専用回線やインターネット網等の回線7を介して前記補正情報生成センタ3に接続され、同時受信した観測データ(搬送波位相データ)を、例えば1秒毎にリアルタイムで補正情報生成センタ3に送信するようになっている。
前記補正情報生成センタ3は、コンピュータやデータ通信手段を備え、専用回線やインターネット網等の回線8を介して前記移動通信網(基地局6)に接続されている。この補正情報生成センタ3は、前記各実基準局2から送られてきた観測データ(搬送波位相データ)に基づいて位相差を計測し、各実基準局2の位置における誤差成分を検出する。そして、後述するように、カーナビゲーション装置5から要求のあった仮想基準点Vについての測位用データ(補正情報)を生成(更新)し、その測位用データを例えば1秒毎にリアルタイムで移動通信網(基地局6)を介して該カーナビゲーション装置5に送信するようになっている。
そして、本実施例に係るカーナビゲーション装置5は、出発地から目的地までの移動経路を探索し案内するルートガイダンス機能を有すると共に、前記GPS衛星1からGPS情報を受信するGPS受信機と、前記補正情報生成センタ3との間で前記移動通信網(基地局6)を介した双方向通信を行うための通信手段と、GPS受信機により受信したGPS情報(搬送波位相データ)及び通信手段により受信した測位用データ(補正情報)から、干渉測位(RTK−GPS)方式により自局の位置を検出する相対測位手段とを具備して構成される。
図6は、このカーナビゲーション装置5の要部の電気的構成を概略的に示しており、カーナビゲーション装置5は、GPS衛星1からのGPS情報を受信するGPSアンテナ9、その受信信号を処理するGPS−RF(Radio Frequency) 部10及びGPS−BB(Base Band) 部11、前記移動通信網の基地局6との間で送受信(無線通信)を行うためのセルラーアンテナ12、その送受信信号を処理するセルラーRF部13及びセルラーBB部14、アプリケーションCPU15、ユーザが各種操作入力を行うための操作部16、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり道路地図等の各種表示を行なうための表示部17等を備えて構成されている。
この場合、前記GPSアンテナ9、GPS−RF部10及びGPS−BB部11等からGPS受信機が構成され、また、前記セルラーアンテナ12、セルラーRF部13及びセルラーBB部14等から通信手段が構成されている。尚、詳しく図示はしていないが、カーナビゲーション装置5は、地図データ入力手段を備えており、この地図データ入力手段としては、例えば、道路地図データやそれに付随する目的地データ(施設データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディア(DVDやHDの大容量記憶媒体)からデータを読出すためのドライブ装置から構成される。前記道路地図データは、基本的には、自動車4の走行が可能な道路に関する道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、駐車場、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示部17の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
このとき、前記アプリケーションCPU15は、メモリなどを含んで構成され、主としてそのソフトウエア的構成(制御プログラムの実行)により、自局(自車)の現在位置の測位(キネマティック干渉測位)を行う相対測位手段として機能すると共に、ユーザの操作部16の操作に基づいて、現在地(出発地)から指定された目的地までの推奨する走行経路を探索し、案内するルートガイダンス機能を実現するようになっている。
前記ルートガイダンス機能は、周知のように、表示部17の画面に、道路地図に重ね合せて、測位された自局の現在位置(現在地マーク)と共に求められた(走行すべき)経路を目立つ色で表示して目的地まで案内するものであり、また、これと併せて、必要に応じて音声合成機能により例えば「200m先の交差点を左です」といった音声案内も行なわれる。さらに、本実施例では、自局位置が案内中の移動経路を外れた場合に、目的地までの移動経路を再探索する再探索(オートリルート)機能を備えるものとされている。
詳しい説明は省略するが、上記した仮想基準点を任意に設定するキネマティック干渉測位は、前記補正情報生成センタ3に対して任意の仮想基準点(地図データから得られる緯度、経度、高度)を指定してその仮想基準点における測位用データ(補正情報)の送信を要求し、補正情報生成センタ3にて生成された該仮想基準点における測位用データを受信し、自らが4個のGPS衛星1から受信したGPS情報(搬送波位相データ)と受信した測位用データとに基づいて、自局の三次元位置(緯度、経度、高度)を求めるものである。その測位結果(自車の現在位置)は、前記表示部17に、道路地図と共に出力(表示)されるようになっている。尚、この仮想基準点を任意に設定する干渉測位方式では、仮想基準点が切替わることに伴って初期化動作(位相アンビギュイティを算出する作業)が必要となり、その初期化動作には例えば30秒程度を要するものとなっている。
さて、本実施例では、後の作用説明でも述べるように、前記アプリケーションCPU15は、干渉測位のための仮想基準点を設定するにあたり、前記ルートガイダンス機能による自局の予測移動経路に応じて仮想基準点を設定するようになっている。従って、アプリケーションCPU15が、仮想基準点設定手段として機能するようになっている。具体的には、予測移動経路Rを、出発地である開始点P0 から目的地である終了点Pk に向けて直線距離2D(D=Ds−ΔD)毎に区切っていくことにより、測位用データを用いる仮想基準点Vnを切替えるべき切替点P1 〜Pk-1 を設定すると共に、隣合う切替点Pn-1 、Pn (但し、n=1〜k)の中間地点に、前記仮想基準点Vn を設定するようになっている(図2参照)。
そして、本実施例では、自局の位置が次の切替点Pn に至る前の段階で、次の仮想基準点Vn+1 の測位用データを要求し、仮想基準点Vn の測位用データを用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作との並行動作を実行するようになっている。この際、仮想基準点Vn の測位用データを利用するカバーエリアが、その仮想基準点Vn を中心とし、距離Dにオーバーラップ量ΔDを加算した半径Dsの円の範囲内に設定されることにより、切替点Pn の前後に該切替点Pn を中心とした半径ΔDの円からなるオーバーラップ領域Oが設けられ、自局の位置がそのオーバーラップ領域に侵入したときに、その並行動作を実行するようになっている(図1参照)。
尚、前記半径Dsは、許容される誤差内(必要とする測位精度が得られる範囲内)であり、且つ、極力大きい値に設定される。また、オーバーラップ量ΔDは、初期化動作に必要十分な時間に応じた値に設定され、例えば、自局の予測移動速度(平均的な速度)をv、初期化動作に要する時間をTi (例えば30秒)とすると、2ΔD=v*Ti の計算式で求めることができる。
また、本実施例では、上記並行動作の実行中に、仮想基準点Vn に関する測位用データの受信が遮断された場合、あるいは、自局の位置が仮想基準点Vn のカバーエリアから外れた場合には、仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作が完了していない時点であっても、仮想基準点Vn の測位用データを利用した相対測位を停止する(仮想基準点Vn に関する再初期化動作を行わない)ように構成されている。さらに本実施例では、仮想基準点Vn のカバーエリアの走行中に自局位置が移動経路Rを外れた場合に、再探索機能により再探索された移動経路に基づいて、切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降を再設定するようになっている。
次に、上記構成の作用について、図1ないし図5も参照して述べる。図3及び図4は、カーナビゲーション装置5のアプリケーションCPU15が実行する、自車の位置検出(測位)に関する処理手順を示している。図5は、その処理を実行する際の初期における、カーナビゲーション装置5と、補正情報生成センタ3との間の通信シーケンスを示している。尚、図3及び図4のフローチャートは、本来一連の処理の流れを示しているが、スペースの関係上、2つの図に分けて記載している。また、以下の説明においては、図2(及び図1)に示すような、出発地Sから目的地Gまでの移動経路Rの場合を具体例としながら説明する。
まず、図3のフローチャートにおいて、ステップS1にてユーザによる目的地Gの設定がなされると、ステップS2にて経路探索が実行され移動経路Rが決定される。次のステップS3では、仮想基準点V1 〜Vk 及び切替点P1 〜Pk-1の設定が行われる。ここで、この仮想基準点V1 〜Vk 及び切替点P1 〜Pk-1の設定の詳細な手法について、図2の移動経路Rを具体例としながら説明する。
即ち、まず、出発地Sを開始点P0 とし、そこから目的地G(終了点Pk )に向けて移動経路R上をたどり、開始点P0 からの距離が2Dである点を見つけ、これを切替点P1 とする。同様に、切替点P1 からの距離が2Dである点を見つけ、これを切替点P2 とする。距離2Dの点が見つからなくなるまでこれを繰返していくことにより、切替点P2 、P3 ‥を見つけて行き、最後に目的地Gを終了点Pk (この場合k=4)とする。そして、隣合う切替点Pn-1 、Pn (但し、n=1〜k)を結ぶ線分の中点を、仮想基準点Vn (n=1〜k)とする。これにて、各切替点Pn-1 、Pn は、仮想基準点Vn を中心とした半径Dの円C0n(二点鎖線で示す)の円周上に位置し、また、移動経路Rはそれら各円C0n内に含まれた形態となる。
そして、本実施例では、図1に一部を例示するように、仮想基準点Vn の測位用データを利用するカバーエリアが、その仮想基準点Vn を中心とし、距離Dにオーバーラップ量ΔDを加算した半径Dsの円Cn の範囲内に設定されるようになっている。このカバーエリア(円Cn )は、前記円C0nよりも一回り大きくなっており、これにより、切替点Pn の前後に該切替点Pn を中心とした半径ΔDの円からなるオーバーラップ領域Oが設けられるようになっている。
図3に戻って、次のステップS4では、変数nを1として、補正情報生成センタ3に対し、仮想基準点Vn (V1 )の位置(緯度、経度、高度)が送信され、仮想基準点Vn (V1 )に関する補正情報(測位用データ)の送信開始の要求が行われる。引続きステップS5にて、仮想基準点Vn (V1 )に関する初期化処理(位相アンビキュイティの算出処理)が開始され、ステップS6では、補正情報生成センタ3から仮想基準点Vnに関する補正情報(測位用データ)が受信される。
ここで、図5に示すように、前記補正情報生成センタ3には、常に(1秒毎に)、複数の実基準局2から観測データ(搬送波位相データ)が送られており、補正情報生成センタ3は、要求のあった仮想基準点Vn についての測位用データ(補正情報)を生成(更新)し、その測位用データを例えば1秒毎にリアルタイムでカーナビゲーション装置5に送信する。
ステップS7では、仮想基準点Vn に関する初期化処理が完了したかどうかが判断される。上述のように、この初期化処理は、演算式上、理論的に30秒程度を要するものとなっている。図5にも示すように、初期化処理が完了しないうちは(ステップS7にてNo)、ステップS8にて、コード位相測位による現在地の算出が行われる。初期化処理が完了すると(ステップS7にてYes)、ステップS9にて、仮想基準点Vn についての測位用データ(補正情報)を利用したRTK測位により現在地の算出が行われる。
ステップS10では、ステップS8あるいはステップS9にて求められた現在地に基づいて、地図表示及び経路案内が実行される。ステップS11では、自車位置が移動経路Rを逸脱したかどうかが判断され、逸脱していない場合には(ステップS11にてNo)、ステップS12にて、目的地Gに到達したかどうかが判断される。目的地Gに到達していない場合には(ステップS12にてNo)、ステップS13にて、自車位置が切替点Pn からΔD以内の距離(オーバーラップ領域O内)に到達したかどうかが判断される。切替点Pn からΔD以内の距離に到達していない場合には(ステップS13にてNo)、ステップS6からの処理が繰返される。尚、上記ステップS11にて、自車位置が移動経路Rを逸脱したと判断された場合には(ステップS11にてYes)、後述するステップS26に進む。
これにて、図1(及び図5)に示すように、出発地Sからしばらくは、仮想基準点V1 に関する初期化処理が実行され、この間だけはコード位相測位が行われるため、測位の精度がやや劣るものとなるが、仮想基準点V1 に関する初期化処理完了後は、自車の走行経路の近傍に位置する仮想基準点Vn についての測位用データ(補正情報)を利用したRTK測位が行われるため、高精度で自車位置の測位を行うことができるのである。
そして、自車位置が切替点Pn からΔD以内の距離、つまりオーバーラップ領域Oに到達した場合には(ステップS13にてYes)、図4のフローチャートに進んで、ステップS14にて、変数nの値が1だけインクリメントされると共に、補正情報生成センタ3に対し、次の仮想基準点Vn の位置(緯度、経度、高度)が送信され、その仮想基準点Vn に関する補正情報(測位用データ)の送信開始の要求が行われる。
引続きステップS15にて、新たな(次の)仮想基準点Vn に関する初期化処理が開始される。図5にも示すように、この時点では、仮想基準点Vn-1 に関する補正情報の受信(補正情報生成センタ3からの送信)は停止されておらず、仮想基準点Vn-1 についての測位用データを利用したRTK測位と、仮想基準点Vn に関する初期化処理とが並行して実行されることになる。補正情報生成センタ3からは、仮想基準点Vnに関する補正情報と、仮想基準点Vn-1 に関する補正情報との双方が送信されるようになり、ステップS16では、仮想基準点Vn に関する補正情報と、仮想基準点Vn-1 に関する補正情報との双方が受信される。
次のステップS17では、次の仮想基準点Vn に関する初期化処理が完了したかどうかが判断される。上述のように、この初期化処理はある程度の時間を要するものであり、初期化処理が完了しないうちは(ステップS17にてNo)、まずステップS18にて、想基準点Vn-1 に関する初期化が完了しているかどうかが判断される。これは、この並行動作実行中に、例えば電波の遮断などの要因により仮想基準点Vn-1 に関する初期化が戻ってしまうケースに対処するものであり、仮想基準点Vn-1 に関する初期化が戻ってしまった場合には(ステップS18にてNo)、後述するステップS24に進む。
仮想基準点Vn-1 に関する初期化が完了している場合には(ステップS18にてYes)、ステップS19にて、自車の現在位置が切替点Pn-1 を中心とする半径ΔDの円内(オーバーラップ領域O内)から逸脱していないかどうかが判断される。逸脱していない場合には(ステップS19にてNo)、ステップS20にて、引き続いて仮想基準点Vn-1 についての測位用データ(補正情報)を利用したRTK測位により現在地の算出が引続いて行われ、ステップS21にて、求められた現在地に基づいて、地図表示及び経路案内が実行され。ステップS22では、自車位置が移動経路Rを逸脱したかどうかが判断され、逸脱していない場合には(ステップS22にてNo)、ステップS16からの処理が繰返される。
これにて、図1及び図5にも示すように、自車位置が、仮想基準点Vn-1 のカバーエリアと仮想基準点Vn のカバーエリアとのオーバーラップ領域Oに入ったところで、仮想基準点Vn-1 に関する補正情報を用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn に関する初期化処理とが並行して行われる。そして、自車位置がオーバーラップ領域Oを抜けるまでに、初期化処理が完了すると(ステップS17にてYes)、ステップS23にて、並行動作が終了され、補正情報生成センタ3に対して、仮想基準点Vn-1 の測位用データの送信停止の要求がなされる。図5に示すように、補正情報生成センタ3では、その要求があると、仮想基準点Vn-1 に関する補正情報の送信を停止し、以後は仮想基準点Vn に関する補正情報のみの送信を行う。
この後、カーナビゲーション装置5側では、以下図3のステップS9からの処理が繰返され、新たな仮想基準点Vn に関する補正情報を用いた相対測位が実行される。この場合、上記したオーバーラップ量ΔDを適切に設定することにより、自車位置が仮想基準点Vn-1 のカバーエリアを抜けるまでに、次の仮想基準点Vn に関する初期化動作が完了し、切替点Pn-1 付近でロス時間なく仮想基準点Vn に関する補正情報を用いた測位に切替えることができる。尚、図1及び図5では、仮想基準点V1 、V2 のカバーエリアに関しての処理を例示しているが、以下、仮想基準点V3 、V4 、‥の切替えについても同様の処理が行われることは勿論である。
また、上記並行動作中に、仮想基準点Vn-1 に関する初期化が戻ってしまった場合(ステップS18にてNo)、又は、自車位置が切替点Pn-1 を中心とする半径ΔDの円内から逸脱した場合(ステップS19にてYes)には、ステップS24にて、並行動作が終了され、補正情報生成センタ3に対して、仮想基準点Vn-1 の測位用データの送信停止の要求がなされる。そしてこの後は、図3のステップS8に進み、次の仮想基準点Vn に関する初期化動作が完了するまでは、コード位相測位が行われる。
さらに、上記並行動作中に、自車位置が移動経路Rを逸脱してしまった場合には(ステップS22にてYes)、ステップS25にて、やはり、並行動作が終了され、補正情報生成センタ3に対して、仮想基準点Vn-1 の測位用データの送信停止の要求がなされ、その上で、図3のステップS26に進む。また、上記したように図3のフローチャートのステップS11において、自車位置が移動経路Rを逸脱したと判断された場合にも(ステップS11にてYes)、ステップS26に進む。
図3に戻って、ステップS26では、現在地から目的地Gまでの経路を再探索する処理が実行され、新たな移動経路Rが設定(更新)される。引続きステップS27では、再探索された移動経路Rに基づいて、切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降を再設定(更新)する処理が実行される。この後、ステップS6に進み、上記と同様の処理が実行される。これにより、自局の位置が案内中の移動経路Rを外れた場合でも、移動経路Rが再探索されると共に、適切な切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降が再設定され、相対測位が続行されるようになるのである。
そして、上記したような経路案内及び自車位置の測位が行われて、自車が目的地Gに到達すると(ステップS12にてYes)、ステップS28にて、経路案内が終了し、補正情報生成センタ3に対して、仮想基準点Vn の測位用データの送信停止の要求がなされ、この処理が終了する。これにより、出発地Sにおける初期化動作の時間を除いて、自車の移動経路Rの近傍に設定される仮想基準点Vに関する測位用データを利用して、常にRTK測位を高精度で行うことができるのである。
このように本実施例によれば、ルートガイダンス機能の実行により予め自局の移動経路Rが判ることを利用し、仮想基準点Vを任意に設定する相対測位を行うにあたって、自局の予測移動経路Rに応じて設定する、つまり、仮想基準点Vを、自局の移動経路Rに沿って配置すると共に、それら仮想基準点Vの配置の間隔(距離Dsあるいは距離D)についても、予め必要に応じてつまり測位精度を劣化させない範囲内で容易に設定することができた。この結果、本実施例によれば、必要最小限の仮想基準点Vを効率的に配置することができ、ひいては仮想基準点Vの切替を少ない回数で済ませることが可能となるという優れた効果を得ることができる。
しかも本実施例では、初期化動作に時間がかかるRTK測位を行うにあたり、自局の位置が次の切替点Pn に至る前の段階で、次の仮想基準点Vn+1 の測位用データを要求し、仮想基準点Vn の測位用データを用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn+1 に関する位相アンビギュイティを算出する初期化動作との並行動作を実行するようにしたので、初期化動作を行うために干渉測位が実行できなくなるいわばロス時間をなくす(あるいは短くする)ことができるものである。
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
即ち、上記実施例では、目的地Gまでの移動経路R全体に対し、切替点Pを求めるための距離D(あるいは距離Ds)を一定の値としたが、距離D(Ds)の値を、移動経路R中の地理的条件により変化させるように構成することも可能である(請求項7に対応)。ここで、例えば、道路の密集するような都市部や交通の要衝では、測位精度を十分に高めることが望ましいが、辺地においては、実用上それほど高い測位精度は要求されない。従って、移動経路Rにそのような都市部と辺地との双方を含むような場合には、辺地における距離D(Ds)の値を都市部よりも大きくすることによって、測位精度面での不都合を招くことなく、その分だけ仮想基準点Vの数つまり切替回数を少なくすることが可能となる。
1つの移動経路Rに対して、前記オーバーラップ量ΔDを変化させるように構成することも可能である。この場合、ΔDの値を切替点Pn を通過する際の予測移動速度に応じて設定することができるので、例えば、高速道路などを走行している場合には大きく、一般道路を走行している場合には小さく、渋滞が予測される場合には更に小さくするといったことが可能である。
また、上記実施例では、RTK測位を行う場合を具体例としたが、仮想基準点を設定し、その仮想基準点に関する補正情報を得て相対測位を行うものであれば、ディファレンシャル方式などであっても本発明を適用することができる。ディファレンシャル方式の場合、初期化動作に時間を要することはないので、ΔDの設定は不要となり、切替点Pにおいて、単純に用いるべき補正情報(仮想基準点)を切替えれば済み、この場合も、本発明を適用することによって、仮想基準点を効率的に配置することができる効果が得られる。
その他、本発明のナビゲーション装置は、陸上用(自動車用や歩行者用)だけでなく、海上用や航空用(船舶や航空機)にも利用でき、さらには、カーナビゲーション装置5のハードウエア構成や、ソフトウエア構成などについても種々の変形が可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
本発明の一実施例を示すもので、カバーエリアとオーバーラップ領域との関係を説明するための図 移動経路、仮想基準点、切替点の具体例を示す図 カーナビゲーション装置が実行する測位に関する処理手順を示すフローチャート(その1) カーナビゲーション装置が実行する測位に関する処理手順を示すフローチャート(その2) カーナビゲーション装置と補正情報生成センタとの間の通信シーケンスを示す図 カーナビゲーション装置の電気的構成を概略的に示すブロック図 システムの全体構成を概略的に示す図
符号の説明
図面中、1はGPS衛星、2は実基準局、3は補正情報生成センタ(情報センタ)、4は自動車、5はカーナビゲーション装置、6は基地局、15はアプリケーションCPU(相対測位手段、仮想基準点設定手段)、Vは仮想基準点、Pは切替点を示す。

Claims (8)

  1. 出発地から目的地までの移動経路を探索し案内するルートガイダンス機能を有すると共に、
    GPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信機と、
    情報センタに対し任意の仮想基準点における測位用データの送信を要求すると共に、実基準局にてGPS衛星から受信したGPS情報に基づいて求められた前記仮想基準点の測位用データを前記情報センタから受信することが可能な通信手段と、
    前記GPS受信機により受信したGPS情報及び前記通信手段により受信した測位用データから自局の位置を検出する相対測位手段とを具備するナビゲーション装置であって、
    前記ルートガイダンス機能による自局の予測移動経路に応じて前記仮想基準点を設定する仮想基準点設定手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
  2. 前記仮想基準点設定手段は、前記予測移動経路を、出発地である開始点P0 から目的地である終了点Pk に向けて直線距離2D毎に区切っていくことにより、測位用データを用いる仮想基準点Vnを切替えるべき切替点P1 〜Pk-1 を設定すると共に、隣合う切替点Pn-1 、Pn (但し、n=1〜k)の中間地点に、前記仮想基準点Vn を設定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
  3. 自局の位置が次の切替点Pn に至る前の段階で、次の仮想基準点Vn+1 の測位用データを要求し、仮想基準点Vn の測位用データを用いた相対測位と、次の仮想基準点Vn+1 に関する位相アンビギュイティを算出する初期化動作との並行動作を実行することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
  4. 前記仮想基準点Vn の測位用データを利用するカバーエリアが、その仮想基準点Vn を中心とし、距離Dにオーバーラップ量ΔDを加算した半径Dsの円の範囲内に設定されることにより、切替点Pn の前後に該切替点Pn を中心とした半径ΔDの円からなるオーバーラップ領域が設けられ、自局の位置がそのオーバーラップ領域に侵入したときに、前記並行動作を実行することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
  5. 前記オーバーラップ量ΔDは、前記切替点Pn を通過する際の予測移動速度に応じて設定されることを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
  6. 上記並行動作の実行中に、仮想基準点Vn に関する測位用データの受信が遮断された場合、あるいは、自局の位置が仮想基準点Vn のカバーエリアから外れた場合には、仮想基準点Vn+1 に関する初期化動作の完了していない時点であっても、仮想基準点Vn の測位用データを利用した相対測位を停止することを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
  7. 距離Dの値を、移動経路の地理的条件により変化させることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のナビゲーション装置。
  8. 自局の位置が案内中の移動経路を外れた場合に目的地までの移動経路を再探索する再探索機能を備えるものであって、仮想基準点Vn のカバーエリア走行中に自局位置が移動経路を外れた場合に、前記仮想基準点設定手段は、再探索された移動経路に基づいて、切替点Pn 以降及び仮想基準点Vn+1 以降を再設定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のナビゲーション装置。

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